北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2023年12月号の感想

 毎年のことだけど、もう12月号という事実に震える。置いてかないで……。
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『かつておねショタだった僕ら』星井情

 かつてのおね(裏アカ女子)と、かつてのショタ(女食ってそうな見た目の大学生)。あまりに最高のタイトルに心躍ってしまうんですが、1ページ弱しか描かれない「かつてのおねショタ」パートの破壊力がまたすごくて死にました。おねの良さとショタの可愛さが濃厚に詰まってて好き。星井先生いつかストレートなおねショタ作品描かないかな……と夢想してしまうんですが、同時に本作のおねショタはプラトニックで終わるからこその良さがあるとも思います。
 現在パート。ちゃんと2人がかつてのおね感、ショタ感が残ったビジュアルしてるのが良いですよね。それでいてちゃんと大人感もある。ヒロインはメイクしてるのがうっすらと伝わってくるデザインが秀逸だし、ひーくんは目つき悪くて女食ってそうだが笑うとかつての純朴さが垣間見える。この笑顔で何人の女性が犠牲になったんだ……!(この件にはとあるオチがつくのですが) ヒロインの大人感、メイク感に関しては、エロパートで安い女子校生衣装を着る展開があり、ちゃんと年齢感を踏まえた「無理してる」感が出てるのですごい。乱暴なことを言うと漫画だと現役学生も28歳も美女は美女でしょ、と一括りになっちゃいそうなものなのに。あと、このコスプレの場面、当時の髪型を再現してるのも最高ですよね。やはりひーくんのリクエストだろうか。
 ラスト。変態と変態のハードプレイを描くための設定だと思ったら、まさかの大転換があるのでビックリしてしまった。ひーくん、めっちゃ健気やん。「実は童貞だった」という可能性もありますが、童貞でいきなりあそこまでのハードプレイをできるかは少し怪しいので、練習のために女食ってきた可能性は残りますかね。それはそれで良い。
 オチで驚きすぎてすぐに読み返したらまたビックリしたんですが、セックスの最中はひーくんの顔が省略されてるんですね。基本的にヒロインを見せるタイプのエロ漫画だから採用されても違和感のない手法なんですが、本作の場合はそれが一種の叙述トリックのようにも機能してる。表情は省略されるけど紅潮してるのは分かるので、オチを知った2周目ではむしろ「ここではかつての純朴な顔をしてる可能性が……」と思えてしまう。良すぎるな。てか、憧れのお姉ちゃんが裏アカやってるの知ったときはさぞショックだったろうな。寝取られビデオレターに近い衝撃w

『当て馬の恋』玉ぼん

 テニサーの部長カップルの当て馬をしてた2人。序盤はギャグもあってラブコメ色が強いんですが、徐々にガチドラマ路線へとなっていって最高。玉ぼん先生、ドラマが主眼じゃないと思われる作品もあるけど(好き)、いざドラマ作品になると振り切れるから破壊力ある。でかすぎる感情の発露としてのセックスという感慨はこういう作品じゃないと味わえないぜ……。28ページと長めの作品とはいえ、正直読んだ印象としては「28しかなかったのか」という感じ。詰まってたなぁ。
 ドラマ演出がうますぎるって話なんですが、一旦どん底に落ちてからの……という助走にあたるシーンにおける絶望感が芯を食い過ぎててちょっとした寝取られ作品にも近い味わい。『愛梨ちゃんは寝取りたい!』のときにも似た感想を抱きましたが、フリとしての絶望シーンの演出がうますぎるw ただ、本作の場合は『愛梨ちゃん』と違って、竿役がヒロインの勘違いに気づいて即フォローするので一段と優しい。このデカすぎる感情の起伏はセックス不可避……とエロ漫画的な確信。
 ドラマ演出という意味では、定点カメラが2ページ連続する場面も最高でしたね。定点カメラってエロのための演出かと思ったら(エロいけど)、それだけじゃない時間経過による2人の変化を描いててマジ最高。定点が4段(3段)連なる右に2人の関係を象徴する手のアップを配置して、その次のページでついに……というのが良すぎる。読んでてガッツポーズですわ。
 クライマックスのエロパート。丁寧なドラマにしてはセックスが激しすぎるんですが、2人は体だけの関係をしばらく続けてきたという前提があるので、その違和感もクリアしつつ、そんな2人が初めて心の底からむき出しになってぶつかり合う、というエモさまで加わってくる。汁だくっぷりが玉ぼん作品らしくて最高なんですが、その液体が感情の高まりそのものに思えてくる。あとはやっぱヒロインの顔がそれまでのエロシーンとは明らかに違うものになってて、快感の度合いが違うのも感じるし、それまでにはあった感情の上にある蓋とか膜みたいなものが完全になくなったという印象になる。セックスシーンが山場にあるエロ漫画ならではのドラマのクライマックスになってて素晴らしかったと思います。

『あくまが来たりて』mogg

 クラスの剣崎さんにはツノがある。近寄りがたくて、近づいたとしても若干何考えてるか分からない雰囲気があるんだけどツノ。このツノめちゃくちゃ可愛かったですね。エロスイッチが入るとツノがゴツくなる(つまり勃起……)んですが、その本格的な方のツノも可愛い。小さくてちょっとコスプレにも見えるツノも可愛いし、ちょっとこのデザインの時点で勝ちみたいな印象がある。事後にもう一段階変身が残ってて、そこでさらにゴツくなったツノ(としっぽ)も良かったなぁ。ここまでくると「かっこいい」みたいな印象も加わってきて、それはまた新たな良さ。
 ヒロインはヒロインでちょっと天然なところがあって、それなのに圧倒的強者というギャップが良いんですが、それを引き立てるかのような竿役も天然で微笑ましい。天然というか少し鈍いという感じでしょうか。そして大事なのが素直。だからこそ悪魔にも響くものがあったのだと思う。2人の交流が良いですよね。デートも微笑ましいですし、エロパートでは上下関係があって一方的に快感をむさぼるかのような内容に始まり、攻守交代も良い。いや、攻守交代というよりはあそこで初めて2人が対等になったみたいな。
 あと、個人的に小さいながら好きだったのはセックス中の “ごめんね” 。先月号でもあったけど、セックス中の「ごめん」って良いですね。本作にはそこまで後ろ暗さはないんですが、エロが激しくなりどうしても自己中心的になりそうなところでの、相手のことを思いつつ、衝動も抑えられない状態での「ごめん」。
 ちょっとだけ出てくる七つの大罪を司る悪魔たちもキャラ立ってて魅力的なんですが、「傲慢」は一体どういうことなのw

『きっと知らない』背中が尻

 喧嘩するカップルと、それを目撃する少女。アバンが4ページあるんですが、エロ漫画特有の「どっちがヒロインなんだ……?」となるワクワクとドキドキ、初読時の特権ですね。んで、タイトルページで明かされて、「そういう話!?」と驚かされる。気弱そうな感じだったので寝取られも考えちゃったくらいなんですが、気弱どころか意志と行動力つよつよであった。そして、寝取られはある意味正しいw あっちの子も本気のデザインで可愛いしちゃんと分かり合えたら良い子そうなのでひたすら可哀想な存在ではある……(掘り下げられないのが逆に優しい)。
 本当のヒロインである麻丘先輩。2人の女性キャラの対比として、とにかく可愛い、優しい、少し弱々しい雰囲気が感じられて魅力的なんですが、そういうビジュアルから感じる印象というのがとことん裏切られる。この子のこと全然分かってなかった……と愕然としつつ新たな一面にすっかり魅了される。全編を通じて演技をしてるようなキャラクターなので、セックス中も彼女の表情からは真意が読み取れない。読者には当然分かるんですが、その知ってる情報と見た目との印象がまったく合致しない。その不気味さであり、その多面性が最高ですね。そして1コマだけ差し込まれる “おいで♡” のコマが超良い。ついにセックスしてしまうという最後の一線を越える感情の高まりが熱い。タイトルの『きっと知らない』は最初竿役の彼女のことだと思ったんですが、おそらくメインとしては竿役の彼を指すんでしょうね。
 そんな竿の子。キャラ的にそんな目立つわけじゃないし、それほど彼がドラマチックに描かれるわけではないんですが、彼もめちゃくちゃ良かった。ともすれば、というか客観的に見ればどう考えても彼が最低という話なんですが、本作を読むとそんな気持ちは湧かず、とにかくヒロインの蠱惑的な恐ろしさが目立つ。ヒロインにまんまと惑わされるだけでなく、彼なりに葛藤してる描写がちょくちょく挟まれて、これがめちゃくちゃ良いんですよね。前半は生唾飲んだりして「ちょれぇなオイ」みたいな感じだったんですが、話が進むに連れてヒロインの手の上で転がされてる悲劇性みたいなものにも目が行くようになる。バックでイカせた直後にヒロインが可愛く怒って、それを慰めるかのようにキスしてしまう場面とか巧妙に誘導されてるのが分かる。キスしたまま乳首責め始めちゃうあたり彼が調教されてるんですが、直後いいコいいコされた際のリアクションが最高。我に返ったとも取れるし、最後の理性をぶち壊されて堕ちてしまったようでもある。そして現実から目をそらすように最後にセックスへといそしむようになって、という完落ち感。彼女が可哀想なのは間違いないんですが、彼も彼でかなり可哀想な気がしてきたな……。

『目は口ほどにモノを言う』かづき

 彼氏持ちだがエロがまったく想像できないヒロイン、実は昨日したばっか。ヒロインがおっとり系で想像できないってのもあるんですが、同時に彼氏が草食系を通り越して「お母さん」なので笑った。よく彼女や妻をお母さん扱いしてドン引きされる、みたいな話はよく聞きますが、彼氏の方がお母さんしてるのは新鮮。だが、言われてみればたしかにこういう人もいそうだw
 イメージと違って実は、という部分もあるが、本作は同時に「初体験翌日」という要素もあってそこも非常に魅力的。あの快感を知ってしまったらもう戻れないし、我慢できない、という心理がめちゃくちゃ可愛らしい。何なら初体験そのものよりも2日目の方が初々しいというか、セックスがどういうものかを知ってしまった分より積極的になるからエロいのではないか。本作の場合は初体験の方が全然描かれないので分かりませんが、それを知ってしまって何もかもが一変してしまった新たな日常の1日目、という感じがあって超エロいし、恋人の関係性としてもめちゃくちゃ良い。
 全編を通じてヒロインの語りが多く、顔には出ないが常に求めてしまうギャップが可愛らしいんですが、こうなると必然的に彼氏の心理が描かれない。冒頭の場面の女友達とかと同じで「エロとか想像できないのに」という驚きを持って受けに回ってるのが良い。初々しさは残ってるがとにかく積極的なヒロインというのが引き立つ。まぁ、初めての日に5回もやっちゃう2人なのでその点普通とはかけ離れてるのかもしれませんがw 受けに回るので実は「何考えてるか分からない」属性が感じられなくもない彼氏ですが、挿入中に乳首責め始めちゃう場面とかうっすら彼の意志、キャラクターが垣間見えて面白かったです。やっぱ初体験で5回もやるのも納得というか、「君も相当だな!」という感じで最高。2人の相性の良さが感じられる。

『撫子さんはNo!って言えない』もじゃりん

 特別出張版「春夏秋冬編」。久々の撫子さん新作。撫子さんオンリーの新刊が出るということで、その販促のための特別版。8ページで、1年を通じて撫子さんが流され続ける様子を連続して描いていくんですが、ほぼ1ページ漫画ですね。季節感のあるイベントからあまりにスピーディーに流されていってエロ。ほとんど4コマ漫画みたいなリズム感になってて最高。
 撫子さん、流されやすいので基本的には可哀想なんだけど、その流されっぷりが度を超してるのでもはや「撫子さんに男のしょうもない欲望を受け止めてもらってる……」みたいな印象も湧いてくる。流されるのがあまりに日常となってるので撫子さんが強キャラのように思えてくるというか。「可哀想は抜けない」派だけど撫子さんは別腹ってファン、マジで多いと思います。

『Cutie Chaser』さくま司

 可愛い後輩にやたら懐かれる。ヒロインの可愛らしさがちょっとビックリするレベルで最高なんですが、何気に竿役のデザインも凝ってて面白い。かつてはイケメンスポーツマンでモテモテだったが怪我で心が折れて引退、今ではすっかり肥満体型というキャラクターなんだけど、「痩せればイケメン」というのが感じられるデザイン。エロ漫画に出てくる肥満体型ってキモオタ系の人しかいないと思ってたので(ド偏見)、ここがものすごく新鮮でした。目つきや言動が悪いので印象は悪いが、話が進むに連れて徐々に印象が変わっていく。てか、今号竿役の感想が多い気がする……。
 大人しそうなのに超ガンガン来るヒロインも当然可愛い。というか、マジで可愛いを煮詰めたようなキャラクターになってて歴代のさくま作品ヒロインの中でも屈指の強キャラな気がしてきた……。そして、ただ可愛いだけでなく、彼女の可愛さに物語上の秘密がある。言動は彼女の持つ元々のキャラクターでしょうが、ビジュアル面に関しては彼女が努力によって意図的に作り上げてきたもの、と最後に分かるのが尊い。下着披露のシーンとかただ可愛いだけでなく、「頑張って可愛い下着を選んできた」感もあって最高だったんですが、その選んでくるに至る経緯が最後に語られるのでオチを知ってからだと良さがさらに倍増する。好きになってもらえるよう頑張って変身した結果、という意味では今号は『かつておねショタだった僕ら』も同じなんですが、あちらはド変態方向に突き抜けてる一方、本作はピュアな要素を残しまくった可愛らしさ全開。どっちも良い。元ショタも、元ソバカスもどっちも好き。
 主人公の抱える心の闇が深いので必然的にシリアスめな進行になるんですが、そこにグイグイ来るヒロインが関わってくることですれ違いが生じる。ハメ撮り誤解のくだりとか急にラブコメっぽくなるのでマジで笑ってしまいました。それまでは緊張状態にあった2人の関係性がアイスブレイクしたような印象もあって良い場面。そこから例の下着シーンになり、晴れて勃起。トラウマが一つ解消する。
 終盤に明かされるヒロインの真実。主人公とは逆で、彼女は元々肥満(肥満は言い過ぎでぽっちゃりくらいか)。主人公のデザインでも感じた「目が同じ」というのが感じられてめちゃくちゃ良い。ちゃんと「あの子だ!」という驚きに実感が伴う。てか、普通にあれはあれで可愛い。三つ編みをお下げにしてリボンを結んだのか……とか今の彼女のキャラデザすべてが彼女の選択の結果生じたものだと感じられるのが本当に良いですよね。あの大きすぎる胸はぽっちゃり時代の名残か……とかまで想像が膨らんでしまう(そろそろキモいぞ)。てか、体重は落とすが胸はそのまま、という理想のダイエットに成功したわけで、その成功談をもってすれば女子たちかも人気出そうな気もする。

『2023年10月13日 ~ANOTHER~』ニコライの嫁

 新刊が発売したばかりということで、その販促漫画。偽ドキュメンタリーになってるので笑った。販促漫画にはまだまだ可能性が秘められてたんだな……。
 街頭インタビューなんですが、そこで出てくるのがネットミームとなった有名人たち……とネタが多いので笑う。かと思ったらがっつりエロやってくれるので嬉しい。個人的にアナウンサーの着脱シーンが好きです。特に事後の着る場面が最高。
 販促漫画として珍しいのが、劇中で新刊の感想を言う人が出てくる。街頭インタビューに出てきたカップルの女性は『抜け忍、それは苦しい』のファンで、男性は『六畳ふたり』のファン。前者は女性視点の作品で後者は男性視点というのも含めて「たしかに女性(男性)ファン多そう」みたいなイメージがハマる。あと、個人的に『抜け忍』の手技の場面が超好きなので、今回変則的な形でそれが再現されてめちゃくちゃ嬉しかったです。あのシーン本当に良いよね……。

『酔ってますよ木佐貫さん』シャモナベ

 自分がハラスメントしないか日々怯える課長と無表情クール部下。デカい図体してるからこそ過敏にハラスメントしてないか心配し続けるキャラクターがすごく良かった。そこまでマチズモに染まってないのに図体がデカいので何やっても高圧的に見えかねない人の思考としてめっちゃリアルに感じる。良い人としての説明としてもスムーズで、ヒロインに対する「そりゃホレるわな」という納得もある。そして、そのキャラクターがセックスシーンにも現れる。体格差のある2人なのでハードな方向に行くのかと思ったら課長の攻めが意外なほどねちっこい。それでいてたまに意地悪な面が出てくる感じも日々自分の欲やらエゴを押し殺してる人としてのリアルを感じるw
 ヒロイン。正直序盤の飲みの場面だけでもう大満足なレベルで良かった。明らかに懐かれてると思うが、表情や言動からはまだハッキリとは分からず「勘違いするなよ」と自戒する流れとかマジで最高。ホテルに移ってからはさすがにこれは好意ありで100%だろ、という感じになるんですが、かなり甘えてくるようなセリフが連発するのにビジュアルはめちゃクールなまま、というギャップが良い。課長のねちっこい攻めでその表情が崩れるのも可愛いんだけど、そのことに対してちょっとご立腹なのとかも「負けん気は見た目通り強いんかい」って感じで可愛い。気配り、根回しを丁寧にする人なので、自分のコントロール外のことが起こるのが嫌いって感じだろうか。そんな負けん気とクール無表情の良さが最大になったのが挿入しようと課長のチンコを掴むコマだと思う。ちょっとドヤの入った表情に見えるんだけど、普段のクール無表情の中に彼女の感情がうっすら漏れ出た感じがあもう最高。それでいてやってることはめちゃくちゃエロに積極的なのでギャップでやられる。そして、そこで課長が挿入を一度キャンセルして一方的ではなく、丁寧に合意をとって双方向的な行為として改めて挿入に至る、というのも2人のキャラクターの魅力としても、本作のドラマの流れとしても完璧。
 直接エロではなかったけど、マジ最高だった場面(コマ)としては、ホテルのベッドで横に座りいよいよ始まる……という “酔ってませんよ” のコマ。急に足下のアップになってヒロインの積極性、2人の関係性と体格差を象徴的に見せるのがマジであまりに良すぎる。シャモナベ作品だと過去にも足下のアップでキャラクターの関係性を見せる演出があったと思うんですが(『宵に憧る』)、エロ漫画としての魅力が底上げされるのはもちろんですが、単に漫画としてのレベルがたけぇ~。そして、そこで高まった感情のままエロパートが開始されるのも熱い。
 ネタバラシ的なエピローグもマジで最高。エピローグの良さで言ったら今号ぶっちぎりの優勝、で満場一致なんじゃないかしら。個人的には普通に総合的にも優勝ですが。ヒロインの可愛さが大爆発するという意味でも魅力的だし、あの職場全体の雰囲気の良さが一気に伝わってくるのも良いですよね。直接的ではないかもしれないが、課長の日々の努力の賜物と言えると思う(ヒロインの貢献も大きそう)。オチを知った上で1ページ目を読み返すと、酔い潰れて何も考えてない人と、そこですかさずアシストしてくれてる人が明確に描かれてるのも最高ですね。優しい世界。

『借金地獄と外れ者』エロ井ロエ

 父の借金を返すために異世界の風俗で働くことに。直接エロとは関わらない説明役(借金取り)のガイコツが妙に表情豊か(に見える)で可愛いので好き。と思ったら普通にめちゃくちゃ可愛いのでまんまと騙された。借金取りとの続編が見たくなるんですが(ただ風俗業の日常をもっと見たい気持ちもあるワガママ)、彼女とのエロをやろうとすると当然本来の姿が多くなると思うんですが、少しだけでもガイコツの場面があるといいなw
 異世界の女性用風俗は誰からも疎まれる忌まわしい女ばかりが来るはずだったが、初めてのお客様が可愛い。根も葉もない言い伝えで虐げられてる、という感じだろうか。高圧的だが同時に自己肯定感低そうな言動がギャップで可愛くもあり、少し心配にもなる。そして、それが主人公の徐々に絆されていく……という過程が最高。心を許していくヒロインが最高に可愛いんですが、一方主人公は割と「お客様が満足そうで何より」くらいしか考えてなさそう、という落差も良い。何も考えてないくらいが彼女にとってはちょうど良かったというか、フラットにエロを追求する男が心の隙間にピタッとハマった感。極端にバカだったり乱暴だったりはせず、常識的に優しいんですが、良い意味で相手を特別扱いしてない。主人公のキャラクターとしてはかなり弱めの味付けだと思いますが、そのフラットさにヒロインが勝手に癒されていく、というある種のチョロさが可愛い。そしてそこに「俺何かやっちゃいました?」感もあって異世界モノの王道も感じる。主人公がどこまで意識的に最適な行動を取ってるかが分からないのが良いんですよね。ヒロインが独り相撲的に問題が解決していくようにも見えて可愛いし、フラットな主人公の無垢さが最高に良い奴のようにも思えてくる。最後の予約の会話とかめっちゃ好青年なんだよな。ヒロインのあの微笑みも納得。

じゃじゃ馬ならし』吉田Killy

 快楽天本誌ながら異世界モノが続く。先ほどの『借金地獄と外れ者』が異世界転移のローファンタジーだとすれば、本作はハイファンタジー。話としては、王宮女騎士が領主の息子に狙われる。定番かつ鉄板の女騎士モノって感じなんですが、本作はヒロインの衣装デザインが良い。アーマー感は薄いのにちゃんと騎士っぽさを感じるし、何なら気品のようなものすら感じる。もちろんこの手のお約束に染まった目で見ると、であって実際にいたら普通にスケベすぎるのですが、そこが良いじゃない。ウソと矛盾を成立させるのがフィクションの魅力。
 衣装が良いなぁなどと思いながら読み進めると城にもてなされたヒロインが装備を解くよう促されるので「脱いじゃうのか……」と落ち込んだんですが、領主のどら息子、早々に登場するので全然脱ぐことなくエロパート開始。やったぜ。「装備を解く」は武器だけであった。ありがてぇ~。本番が始まってもマジで何も脱がないので感動した(破きはする)。やっぱあの衣装込みでの女騎士感だと思うので大満足です。竿役は徹底したクズだが、ちょっと同調してしまうところがあって悔しいw 衣装を堪能できるという意味では、クライマックスでのベッド透過演出も最高でしたね。バックというヒロインが相手に顔を見せない体位だったのも本作らしいんですが(体位はヒロインが決めたように見える)、それが透過演出によってヒロインの衣装と相手に見せない顔が一度に映し出される。
 本編自体も意地悪な話だったんですが、エピローグでさらにもう一段階深い地獄に落ちるので驚く。どら息子が個人の趣味としてやってることだと思ったら、調教した先にさらに組織的な悪意がうごめく。タイトルの『じゃじゃ馬ならし』ってそういう……。

『マリッジアタック!』アシオミマサト

 牛の花子を世話してたら宇宙船にさらわれる。馬の次は牛ですね(無理のある繋がり)。まぁたしかに宇宙人によるアブダクションって牛の被害とも関連づけられること多いですよね。いや、エロ的な本編としては牛は関係ないんだけど、漫画としては花子が妙に印象的な良いキャラしてんのよ。エピローグとか花子と子育てすることになったというハッピーエンドにも見えるw
 アシオミ作品って脚とかお尻の下半身のイメージが強かったんですが、本作はかなりおっぱい強め(もちろん脚も良い)。花子はエロパートに関わってこないが、プレイ内容は牛モチーフと言えそう。タイツ的なSF衣装から飛び出たお乳がプレイ中にこれでもかと振り回されてて圧巻でした。躍動感。
 異文化交流としての側面があるのも面白い。ヒロインは人妻だが、ラムダ星人は繁殖期が短く、セックスも交配目的に特化してるので味気ない。そこで主人公が地球仕込みのエロ目的の欲望発散セックスを披露するので相手を魅了する。ちょっと無双のロジックが異世界転移モノっぽい。そこに人妻と子作りという要素が加わってきたのが複雑ながら新鮮で良い。
 主人公の活躍によってラムダ星人による地球侵略は人知れず防がれたのであった……というやたら壮大なラストも好き。ひょっとしたら地球だけでなく花子の貞操も救われたのかもしれないw

『AIディルドが届いてしまった!』あるるも

 酔った勢いで最新のAIディルド(人型)をポチってしまう。起動したら間髪を入れずに即ハメモードなので笑った。ご挨拶代わりにセックスするなよ。即ハメがデフォルトは怖すぎるw
 妙に緊張感のないヒロインと、その割にはハードすぎる不条理な攻めのギャップがおかしいんですが、AIの真価は学習能力にあり、ということで話が展開していく。この学習能力(と思考読み取り能力)が優秀すぎて、ヒロインが少しでも期待してしまったプレイを全力かつ全部盛りで実現してくる。ここらへんの優秀すぎる機械とのすれ違い悲喜劇ってのはSFコメディって感じで最高ですね。エロの有無を無視すれば『ド○えもん』とかでもありそうなタイプの話。基本的にはほのぼのとして雰囲気なんだけど、ホラー的な瞬間が訪れるのも好き。AIとしての機能はめちゃくちゃ高いのになぜかコミュニケーション方面は機能ゼロなので怖い。一言も喋らずにあの攻めを黙々をこなしてくる竿役イヤだなw
 下手すらSFホラーになってもおかしくない話なんですが、基本的にはヒロインの願望を実現してる存在なので、どんなにハードになっても可哀想とまでは行かない。ここは設定の妙ですね。常に酒飲んでるので思考も緩くなって、その思考を読み取った上で学習してしまったが故に起きた悲劇(悲喜劇)という感じ。

『はみだすふたり』ゆりしましろ

 ハラスメントがはびこる職場で働く限界会社員の2人が我慢の限界を迎える。冒頭の飲み会のシーンの地獄っぷりが容赦なさすぎて笑った。エロとは関係ないところでここまで「可哀想」なヒロインは珍しいかもしれない。今号の快楽天だと『酔ってますよ木佐貫さん』みたいなホワイトな職場も存在しているのに……という無慈悲なギャップ。
 ゆりしましろ先生って見覚えのある名前なので何本か読んだことあるはずだけど……と思わず過去作を探ってしまったんですが、今回ずば抜けてキャラデザが違うのですね。いや、3本とも方向性が違ってマジすごいんですが(話の方向性も全然違って最高)、本作の限界OLを体現したかのような可哀想可愛いなヒロインめっちゃ好き。漫画的なデフォルメが強めで、限界OLとしての記号が盛られてる感じとかすごく惹かれる。まぁ、エロと同じくらい仕事面で救われてほしい気持ちにもなるんですがw
 ストレスが積もり積もった果ての爆発としてエロがあるのが面白い。負の感情に突き動かされてると言ったら誤解を招きそうだし、実際エロに至る2人の関係はとても優良なものなんだけど、地獄の果てで出会った一分の救いみたいな感じが超良いんですよね。我慢の限界としてヒロインが鼻血を出すのも漫画的な記号としての楽しさもありつつ、ついに彼女が本音を爆発させるときが来た、みたいな盛り上がりも感じる。
 竿役。前半の日常パートでは口数が少ないながらにセリフがあるんですが、エロパートに入ると途端に無口。竿役が喋らないという意味では直前の『AIディルドが届いてしまった!』とも共通するんですが、本作では明確に2人のコミュニケーションという側面が感じられる。日常の場面が地獄すぎたのでこの静かに(セックスは激しいが)コミュニケーションが成立していく感じが妙に感動的で、エピローグの美しさと相まって「本当に良かったねぇ……」としみじみと感じ入ってしまったw エロ漫画読んでると「この2人には幸せになってほしい」と感じることが多いんですが、本作の場合はスタート地点の負があまりに巨大なので、そこからの脱却というニュアンスが大きくてそこが唯一無二。飲み会の席で部長に例の水風船ぶつけてほしい……。

『らぶらぶナイトパック』ねとろもりこん

 ネカフェの常連がどう見ても地雷系。可愛いし懐かれてるが、ネカフェに入り浸ってる(深夜)ので心配で仕方がない。真っ直ぐに好意をぶつけてくるヒロインがひたすら可愛い作品なんですが、そこに「心配になる」「ほっとけない」という要素が加わったのが独自性あって面白い。
 竿役は父性もしくは庇護欲を抱くが、ヒロインの方はガチで狙ってる、というアンバランスも良い。お近づきになるとヒロインが豹変(したように感じるだけでおそらく彼女の行動原理は常に1ミリもぶれてない)。ちょっと読んでて「大丈夫なのか?」と竿役の方が心配になってくるから面白い。若干怖くもあるが、ヒロインの方は芯があって意志がめちゃ強い子でたくましい印象が湧いてくるから心配とは別の方向に行くんですよね。元から好きだとストレートに伝えてる子ではあったけど、エロになった際の “エッチの仕方決めてるの!” は少し怖いw 理想のセックス像が固まりすぎててもはやコミュニケーションになってない。真っ直ぐすぎた結果相手のことが見えてない感じがあってホラーみもあるんですが、特筆すべきは竿役の包容力、というか驚異的な性癖の一致w 勝手な攻めが続くというかほぼすべてが勝手な攻めで構成されてるんですが、そのすべてが気持ちよかったのでオールオッケー、というハッピーエンド。セックス中に信じられないほど不穏な空気が流れたと思うんですが、トータルで見ればタイトルの通りラブラブな内容になってる。すごいバランスが成立してる作品。竿役の方が社会的な立場は(おそらく)上で包容力もあるが、2人の関係性としては徹底的に弱くて下。これが成立しちゃう2人は理想のカップルなのでは……。

『配達車の荷台のなかで』かるま龍狼

 こないだweekly快楽天の方でショート読切が載ってたんですが、本誌にも登場。さすがすぎる。
 団地への配達で苦労する2人。サインかハンコの代わりにチンポを出されたせいでムラムラしてしまい……というかるま作品特有の不思議世界がエロの前段として出てくるのが面白い。チンポ出されてそのままやっちゃうのではなく、一旦車に帰ってオナニーしてると配達の相方に見つかってそちらとやっちゃう。「玄関先でやらないなんて常識的!」と錯乱したような感想を抱いてしまう良さがある。荷台の中ならオッケー、という謎の良識。発端はただのセクハラクソジジイなんですが、そこから離れたところで常識的(たぶんw)な竿役と社会的に迷惑にならないシチュエーションで、という不思議設定からの回りくどさがめちゃくちゃ面白い。
 そもそも仕事中、さらにはヒロインは人妻なので……という後ろめたさが常に漂うのも良い。不思議世界なのにインモラルな要素がスパイスとして機能するのは良識があるからこそですね。そして、ヒロインはセックスを長引かせようと竿役がイキそうにいなると動きを止める。それを見破った竿役が早く終わらせようと激しく腰を振るようになる。ちゃんと人妻に誘惑されるという女性優位の魅力もありつつ、そこから逆転へと至る攻防があるのが面白い。「そもそもセックスすんなよ」という話なんだけど、良識を働かせるからこそセックスを盛り上げることになる、という謎な説得力のあるロジックがあるのが最高。対立に近い構図なんだけど、最終的には2人仲良くエロを盛り上げていく流れになるのが妙にほのぼのとしてるというか、優しさのようなものも感じられてホント独特、良いですよね。
forms.gle
 終わり。めっちゃ更新早い。間にブログ本館でジャンプの感想も書いてるわけで、謎の調子の良さ。まぁ、あとは快楽天の発売が曜日の関係でいつもより2日早く、10月が31日まであったことも大きな要因ですね。
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