北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2024年5月号の感想

 当ブログあるあるなんですが、序盤の感想が長くなりがちで、途中から「これいつまで経っても終わらねぇぞ!」と焦って短くなり、それを忘れてまた長くなって……の繰り返し。
kitaku2kitaku.hatenablog.com

『本日の勝負服』楝蛙

 個展開催にも驚いたんですが、楝蛙キャラの「お散歩ちゃん」が発売されるらしくてビックリ。神コロ様や……。
 友人宅到着直前に空から降ってきたエロ下着(下)を拾う。その友人宅のベランダでエロ下着(上)を発見。とてもエロ下着を着るような子には見えないヒロインのキャラクターが最高である。現物は手元にあるから今目の前の彼女が着てるわけじゃないのに彼女の全身を身ながら「この下に……」と思わず想像してしまう。ちょうどこの日に着てる彼女のニットが特別色気を出してる服装には見えなかったのにエロ下着の事実を知った後では途端に色っぽく見えてくる感じとか本当に絶妙。よく見ると体型が出ててめちゃくちゃセクシーな気がしてくる……という文字通り見る目が変わる体験が超リアル。
 主人公のエロ下着についての追求が厳しくて笑うんですが、それができるだけ互いに気を許した関係性ってことですね。ただ、その下着で最後に勝負した日を聞き、誰に勝負を仕掛けるつもりだったかを知ってしまう……という流れが絶品。瑞々しいキャラクターの掛け合いから一気に物語がエロへと加速する。さらには、今日は何も着けてない宣言でトドメ。例のニットから透けて見える肉感が途端にど迫力……。あの場面マジでやばかったですね。特別胸を強調したポーズなわけじゃないのに、どうしたって目立ってしまう存在感とかとてつもない。下手すりゃ裸よりもエロかったのでは……。
 からの着たまま上と下を攻める展開も熱い。下は脱ぐが上の例のニットは温存というのも名采配。本作はあの衣装がほとんど主役みたいなところあると思うんですよ。
 コトが始まるとメガネを外してて、その場面が何ともいじらしくて可愛らしい。恥ずかしくて見れない、見たくない、見られたくないみたいな心理ですかね。セックスのときは電気消す派のムーブだ。そもそもエロ下着は見られるためのものなのに、という矛盾が人間臭さ。
 そんなエロ下着がエピローグで着用してくれてガッツポーズ。しかもメガネ付きで完全勝利。多少恥ずかしがってはいるが、最中のときほどではなく今までの友人状態のときのような砕けたノリで恋人としての会話をしてくるのがまた良い。メガネがあると日常、みたいな線引きを感じる。

『めすまま』さんじゅうろう

 シンママ、バイト先の年下くんに迫られる。タイトル、最初はお気に召すまま的な意味を考えたんですが、よく考えたら「メス」「ママ」ですね。ド直球ながら平仮名表記だと妙に雰囲気があって良いな……。メスガキみたいな暴力ニュアンスは一気に消え失せるというか。
 女のスイッチはオフにしてるヒロインの色気とか生々しくて素晴らしいバランスだったし、最初はキラキラ感のあった竿役くんが徐々に不穏さを醸してくるのとかも素晴らしかったなぁ。あらすじだけ見たらかなりシンプルな話だと思うんですが、そこにこもるニュアンスが絶品。komifloのコメント欄では竿役のクズっぷりが大好評なんですが、正直初読時は「そんなにクズか?」という印象でした。ヒロインも同様で、そこまで堕ちた話という印象はなかった。ヒロインが子供に嘘ついて竿役と一日中ラブホこもるんですが、その点が最初は「母親だって恋に溺れたりするでしょ」という感じ。子供はちゃんと両親に預けてるし、引き取るのに遅刻したとかでもないので、これで責められるのは少し可哀想な気が……してたんですが、やはり不穏さの演出は無数にされてて、そこを拾っていく度に印象がどんどんクズに寄っていくw
 最初のセックス時、2人がイきそうになった瞬間、2人の隣に子供のオモチャが落ちてくる場面とか最高。後ろめたさとしてもそうだし、ここでヒロインだけ一瞬冷めてしまうが、それでもおまかいなしにフィニッシュに持って行く竿役というのが不穏。2人の齟語、後の主従関係が暗示されてるようでもある。
 あと決定的だったのはゴムの有無ですね。最後のラブホでは明確にナマで、中出し。エロ漫画によっては物語の内容とは関係なく絶対にゴムは使わない、という作品もあると思うんですが、本作は前半ではしっかりゴム使ってるのでもう疑いようもないですね。さりげなくゴムの有無を明示してそこで物語を語る、というのがマジで見事ですね。初読時はエロに夢中で気づかなかったんですが細やかすぎる。さらには嘘ついて別れる際の息子が言う “おみやげ買ってきてねー” がまた良い。後ろめたさを刺激する言葉であり、彼女が得たおみやげとは……みたいな勘ぐりまでしてしまう。普通に息子にも紹介できるような関係性になるのが理想だが、怪しいよなぁ。よくよく考えたら本作での竿役、初セックス以降はマジでセックスの話しかしてないw 彼の瞳からハイライトが消える変遷を楽しむだけでもめちゃくちゃ面白い作品ですね。前半のキラキラ感に嘘はないと思うので、ヒロインとのセックス成功によって彼の中で何かが崩れてしまったのかもなぁ。初手が家にあがった先でのセックスだったのが運命の分かれ目ですかね。もうちょっと健全にデートとかしてたら未来は変わっていたのかもしれないw

『別つ時』亜美寿真

 2年半付き合った彼氏と別れたので荷物を引き取りに行く。街コン会場への遅刻という運命に思える出会いをした、というエピソードが秀逸。マジで運命に思える出会いで、「このままキラキラした恋愛読切でもおかしくない」という雰囲気だったんですが、ヒロインの現在の考えは “やっぱり遅刻する男はダメだわ” 。辛辣すぎるがぐうの音も出ない正論なのでマジ笑ってしまった。てか逆に考えると、例の出会いの場面を読みながらのんきに「素敵な出会いじゃん」とか思ってしまった私も同様に危ないわけだw
 遅刻したのはヒロインも同様なのですが、彼女は(おそらく結婚に向けて)変わろうとしてるんですよね。そうじゃなかったらダメ彼氏でも付き合いを終わらせる理由にならないので。進もうとする女性と、止まり続ける男性。これは別れる……。そもそも2人の出会いが合コンとかでなく街コンだったのが良いですよね。本作の中に具体的に結婚の文字は出てこないと思うんですが、この街コンに結婚も視野に入れて焦り出すヒロインの心理がある気がする。顔も良いしチンコも最高だが結婚相手としては最低、という悲しすぎる現実。仮にヒロインが「経済面は全部私に任せろ」みたいな人だったとしても、彼の意識の低さは決定的にダメだったんじゃないかな。厳しいが読んでると納得しかない……。そんな一旦冷めた気持ちで読み返すと、もう別れてる状態なのに平気でよしよししてくるくだりも結構きついなw(ただそれに対して嬉しく思ってしまうというヒロインの心理も矛盾してて良い)
 ダメと見切りをつけた男なんだけど、思い出と共にずるずると落ちてしまって……というくだりがマジ丁寧に描かれるんですが、直接的にエロ描写があるわけじゃないんですが、ちょっとエロに似た良さを感じてしまう。明らかにダメな方向へと転落する瞬間なんですが、転落してる最中は重力から解放されて心地いい、みたいな話。そして地に落ちきった瞬間に初めて痛みが生じて後悔する。
 このヒロインが一度弱みを見せた瞬間からの元彼の猛攻に「戦略」を感じてしまうw もちろんこういう優しさはある人だったのもあるんでしょうが、「これは落とせる」とか思ってそうな目をしてる(被害妄想)。エロが始まってから、ヒロインの顔が砕けまくってエロいんですが、元彼の方は妙に感情を感じないというか、どこか冷静に攻め続けてるようにも見えるのが最高。最高にクズ。
 あと直前の『めすまま』感想と重なりますが、本作の2人の関係性で中出しはギルティだと思うw まぁこれは恋人の頃からゴムは使ってなかったので2人とも持ち合わせてないという可能性もあるのかな。だとしたら、元は「このまま結婚してもいい恋人関係」という意識だったヒロインが見切りをつけた、という別のニュアンスも生じますね。
 エピローグ。エロ漫画のお約束を想像してるとマジでびっくりするんですが、ヒロインが冷静。まぁもちろんこの後やっぱり彼のことが忘れられなくて……みたいなことを妄想する余地はありますけど、シンプルに賢者モード的にヒロインが冷静になったのでしょうね。セックス前とセックス中は元彼の方が一方的にヒロインのことを「見る」描写が多くて、ドキドキするんですが、フィニッシュ時彼の胸元に沈んだヒロインがひっそりと彼のことを「見る」んですよね。ここ超良かった~。最後まで残ってた理性というか、最後の最後に彼のことを見定めようとする視点があまりに鋭い。この最後の判断があるおかげで本作が「結婚には向かないがチンコは最高な元彼を最後に堪能して別れる」みたいなポジティブなものになりますね。そこまで極端にスッキリした後味ではないものの。
 最後にキスをする(される)んですが、漫画のコマ上に描かれるのはキスの瞬間の絵ではなくヒロインの独白のフキダシだったのも象徴的。彼女の中でこのキスは見えてなく、ただ過ぎ去っていく時間として処理されてるのが漫画的に描かれる。

『パパに言うよ!』mogg

 セリフがタイトルになってるのマジ可愛い。漫画でしか味わえない良さですよね。特に読切。2作続いてクズ男の解像度異常作品だったので、シンプルめで可愛い本作の配置が沁みる。
 上司の娘を送迎してたら気に入られる。お姫扱いという2人の関係性がとても良い。デートのように寄り道するくだりも魅力的だが、主人公の家に彼女をあげるとあまりに雰囲気がないので怒られる。2人の距離がグッと近くなる効果もあるけど、同時にデートみたいなキラキラした雰囲気は一気になくなりますね。あの激狭1人用コタツのビジュアルが最高。絶妙な台無し感とコミカルさ。台無しだけど憎めない魅力も感じてしまう。
 エロパート。導入こそヒロイン主動だが、主人公が覚悟を決めてから(もしくはタガが外れてから)は主人公ペース。言うて年の差カップルであり、何より先ほども書いたお姫様扱いですね。セックスが始まってからもしっかりお姫様扱いを続けてるのがめちゃくちゃ良い。2人のキャラクター、関係性、物語がしっかりエロパートにも反映されてる。
 ドストレートに激甘作品なんですが、エピローグでタイトルの『パパに言うよ!』の意味が反転するのとか普通にめちゃくちゃうまくてビックリした。良い意味で2人の年の差が最後まで感じさせる関係性だったのがマジ素晴らしいですね。適切な子供扱いって感じ(まぁ適切ならセックスすんなよって話ですがそこは一旦置いておいて)。

『お楽しみは紹介の後で♡』松河

 新刊が出たのでその宣伝漫画。収録作を紹介しつつ、作品のエロパートをチラッと紹介するみたいな感じ。改めて振り返るとどれも設定の段階でめちゃくちゃ面白いですね。「あったね~」と面白さを思い出す感じもあるんですが、どの作品も設定が簡潔ながらまったくベタとはほど遠い凝った話になってて最高。ハーレムモノが2作紹介されるんですが、そのハーレムに至る設定が全然違うのとか見事ですよね。『逆デリヘル』とかハーレムモノの設定としてマジすごいと思います。単に女装があって嬉しいってのもありますが。

『濡れ先生』八尋ぽち

 厳しくて生徒に恐れられてる先生が実は生徒と付き合ってる。本編1ページ目のヒロインの立ち絵が良すぎる。マジで良い。超好き。女性教師の理想型みたいなビジュアルとポーズをしている。リアルだったら明らかに露出が多すぎるんですが、漫画としては一目で厳しい先生だと分かる絶妙なバランス。漫画の嘘が適切。
 問題はその彼氏の方で、校内でいろいろやりたがる。ただのクズ彼氏というわけではなく、元はヒロインが学生時代に隣に引っ越してきた少年。ピュアな頃からの付き合いであり、恋愛関係を続けるうちに気づけばエロお化けになっていた、という感じ。元おねショタというのが最高すぎるんですが、この設定がいわゆる「ホレた弱み」に厚みを持たせてる。クズ彼氏を扱った作品ではあるものの「なんでこんな男好きになったのか」という印象には意外とならない。
 エロパートは当然のように校内で。一応男側にもバレるリスクは多少なりともあると思うんですが、エロで頭がいっぱいなので彼はそのことを一切考えてなさそう。この不均等が2人のパワーバランスになって、その優劣がそのままセックスにも反映される。ただ「バレるかも」というサスペンスにするのではなく、あっちこっちで汁だくのヒロインが学校を汚しまくる。この汁描写が圧巻でしたね。快感の量の視覚化という感じもあり、理性が欲望に負けていくヒロインの心理も感じさせつつ、やはり汁が床や机に垂れるビジュアルの圧倒的な背徳感。絶頂の回数も多いし、場所の移動もあるんですが、プレイ中にも展開が多いのでとにかく読み応えがすごい。実際は20ページちょっとなんですが、読みながら感じるボリューム感はもっとあった印象。「まだやんの!?」みたいな無限地獄っぷりが最高でした。

『オールド・ファッションド』Hamao

 喫煙所で仲良くなったバーテンダーとケーキ屋のバイトの子。いかにもケーキ屋っぽい可愛らしい(けど上品さもある)衣装と喫煙、しかも葉巻のギャップが最高で1ページ目から魅了される。違和感に惹かれるんですが、同時に彼女には吸い慣れてるというか、サマになってる感じが最高なんだよなぁ。会話はフランクなんだけど下品さとは縁遠い感じがとても良い。
 からの主人公の店にヒロインが来るがヤケ酒で泥酔。デート用の衣装の圧倒的可愛らしさと「ぐで~」となってるヒロインのだらしなさのギャップが良すぎる。その衣装のせいもあるし、何よりシンプルにHamao先生の圧倒的画力のせいだと思うんですが、全編通じてヒロインの胸の主張、存在感がえぐい。まだエロとは無縁の、バーの机に突っ伏してる場面の時点で明らかにでかい……。エロパートに移り、ブラを外してポロリ……ではなく「ばるんっ」と飛び出るおっぱいの描写もとてつもなかったですね。ここに限らず、誇張ではなく読む手が止まる級のキラーショットがあちらこちらにある。Hamao作品はいつもすごいけど、本作は絵としての迫力がいつも以上な気がする……(単にヒロインのビジュアルが刺さったからかもしれないw)。胸の話ばっかになりますけど、単に大きいんじゃなくてハリがすごいんですよね。なにあの密度と重量、そして弾力がしっかりありそうな存在感。対面座位で目の前に胸が来るくだりとかヤバかったです。
 エピローグで再び喫煙を通じた2人のやりとりが描かれて、主人公がいわゆる「俺色に染めたい」的な行動に出たものの、やんわりと断られる。先ほどまではヤケ酒で弱ってただけであって、彼女は別にか弱い存在ではないという感じでここも良かったなぁ。葉巻は彼氏の影響だったけど、喫煙自体は元々の習慣だったというのも、自立した女性というと大げさですが、キャラとして自立してる感じがして好き。

『もぬけの春』平丸あきら

 いつも受け身の彼女が珍しく攻めを希望。まずカラーイラストが最高でしたね。上目遣いの破壊力。小動物的な可愛さも感じるんだけど、上目遣いでこちらの心の奥底まで見透かされてるような感覚もあってグッとくる。
 最初のキスとか明らかに拙くて可愛さの極みなんですが、彼女の本当の狙いはその先、乳首にあった。実は主人公はセルフで乳首開発済みで、その性癖が知らず知らずのうちに彼女を攻める際にも現れ、彼女がそれを見抜いていた、という話。AVやエロ漫画がバレるとかじゃないのが珍しいというか、あくまでも「察した」というところがヒロインの非日常すぎないバランスというか、確証はないがやってみたら「やはり」となるところに本作の良さがある。普段やられてることのお返しなので攻め方がうまいってのもあるんでしょうが、自分である程度勉強とかしてきたと思うんですよね。じゃないとあり得ないくらいにうまいというか、攻めのバリエーションが豊富。
 主人公の弱点が乳首というのも面白い。「エロ漫画はおねショタに限る」みたいな意味の「性癖」とは違って、実際に肉体が開発済みという意味での「性癖」なので隠しようがないんですよね。ここのどうしようもなさ、情けなさが主人公を悩ませる……が別にバレたら恋人関係が終わるとか深刻な危機ではないバランス。主人公はか弱い彼女に対して強くかっこいい彼氏であろうとしてるのでそのスタンス? プライド? みたいなものがズタズタになるが、今回のプレイは彼女から言い出したことなのでこのことが原因で嫌われるわけがない。ここで揺れ、最終的に快感で余計な理性が働かなくなって落ちる。最終的に彼が行き着くのが “泣きそうだな” という謎の涙だったのも最高。彼女の優しさに触れて感動してるのも少しはあるでしょうが、それだけじゃないのも明らかで、このグチャグチャにされた果ての「泣きそう」。
 小さくて、か弱くて、守ってあげたい彼女が普段の優しく、ちょっとオドオドした感じのも残しながらそれでも確固たる意志で攻め続けてくる。この機微ですよね。マジで話としてはシンプル極まりない作品なんですが、2人のキャラクターと心理が丁寧に描かれ、それがそのままプレイに反映される。主人公としては弱みがバレてしまったんですが、だからといって安易(というか極端に)逆転みたいな着地にはならないのも素敵。あくまでもお返しであって、イチャイチャなのは普段と変わらないんですよね。それでも不安そうに確認を取る最後の主人公が笑える。小柄彼女にナデナデされる喜びを素直に味わっておけばいいのにw

『タイムキーピング!』りぷ

 一浪中の主人公が一個下のヒロインに勉強を見張られるが、ひょんなことからご褒美をもらうことに。結構マジで「なんでご褒美なんだよ」という話なんですが、それに流されてしまうヒロインが可愛い。チョロいというか、以前からある程度そういう気持ちや覚悟がなかったらこうもホイホイと事は進まないだろう、みたいな良さ。
 ホイホイと事が進むが彼女が本当に動き出すのは翌日から、というのも良い。ブラがめっちゃ本気感あるんですよね。「今日の下着はダメ」という心理も分かりますが、改めて準備してきたというのがバレバレなのも恥ずかしいというか、良い。
 エロいことを言い出した(というか見た)のは主人公なんですが、その後はヒロインが勝手に次々と新しいことをやってくる。なぜか主人公が完全に受け身になってるのが面白いですよね。ヒロインは「なんで私がこんなこと」みたいなスタンスなんだけど、言われる前から次の話を彼女の方から打ち出してたりして、端から見て「ノリノリなのでは……?」ってなる。エロの内容としては彼女は常に受け身なんですが、要所要所で決定的な飛躍を決めてるのは彼女の方。いざ本番に至った後も、最初の挿入時は正常位で主人公が動くんだけど、いつの間にかヒロインが上になってダイナミックな騎乗位を披露してる。ヒロインの謎の積極性が本作の魅力。
 そして本作も乳首。やっぱ乳首は開発しすぎると日常生活に支障がある、というのがよく分かる話。日常生活もそうだし、挿入中にもプラスアルファとして快感を増やせるのが強い。強いというか、やられてる人は非常に弱い。騎乗位中に垂れた胸の先にある乳首をくにくにする場面とても良かった……。

『気になってしょーがない!』こやま滋

 双子の姉が彼氏を家に連れ込んできてうるさい。話とはほとんど関係ないが1ページ目のヒロインがマニキュア塗ってる平穏な日常ってコマめっちゃ良い。穏やかな表情と、日常ではあり得ないポーズ。こんな穏やかさはこれ以降一切ないですね。奪われる日常。
 姉はギャルだが、その彼氏は不相応に地味。ただし身体の相性は最高らしい。オタクに優しいギャルではないと思うが(むしろギャルに優しいオタク)、2人の馴れ初めとかも気になってくるw
 そんな2人のセックスを目撃してしまい、最高のチンコが気になってしょうがない。ので、姉のフリをして味見……がすぐバレる。妙に現実的な展開になるので笑った。そして、この彼氏くん、普通に良い子ですね。いつもにこやかだし、彼女の変化にもしっかり気づく。逸材チンコがなくてもモテて然るべきな存在だったのかもしれない。そんなバランスで描かれるので、気づけば主人公が一番のクズみたいな感じになってる気もしてくる。主人公は被害者という気持ちで始まったけど、終わってみれば一番の罪を犯してる(それに流された彼氏くんも悪いけど)。
 まともという自覚だったはずのヒロインがいつの間にか無害な彼を襲うことになる。この不慣れな感じと、徐々にノリノリになり、それがサマになってる感じが魅力的。やはり双子は似たもの同士だったということですかね。
 ヒロインの変貌ぶりが魅力だったんですが、気づけばたぁくんのことも結構好きになってしまう不思議な作品だったな。何だろう、特別な行動はそれほどないんだけど、ちょっとした言動やリアクションで良い子なのが伝わってくる(絶対良い子な気がする)。そんなたぁくん、エンディングでは帰宅した姉に部屋に連れてかれてましたが、今度は姉とセックスする可能性があるよね。2発出したばかりだが大丈夫なのだろうかw 元気がなくて疑われる(心配される)のも面白そうだが、何の問題なく3発目以降をエンジョイするつよつよチンポであってほしいかも。

『指先から好色』南北

 直前の作品は「ギャルとオタク」の派生みたいな作品でしたが、本作は疑いようのない「ギャルとオタク」。ど真ん中ストレートである。最高。定番ジャンルだけど、作家によってその扱いや、描き方が全然違うのが良いよね。手っ取り早くセックスを始められる便利設定として扱う作品もあれば、キャラクターとストーリーをがっつり掘り下げてくる作品もある。本作は後者。
 オタクとギャルの話ではあるが、都合良くオタクに優しいわけではない。ギャルにはギャルの考え、好みがあり、それがたまたまオタクくんと合致する。それが塗装。オタクはプラモ、ギャルは爪の塗装。まさかオタクとギャルに共通項があるとは思わなかったのでこの設定が目から鱗でした。実際どこまでプラモで培ったスキルが通用するのかは分かりませんし、同じ塗装だとしてもオタクくんに頼ろうとした時点は相当な人格者だっとは思います。それこそ「オタクに優しい」に計上されても不思議ではないレベル。
 本作のヒロインはそれでもオタク(男)に依存してない、精神的に自立したキャラクターでもあって、それ故に最終的にはオタクくんとの間に不和が生じる。塗装を通じて仲良くなるくだりが素敵すぎるので読みながら「付き合っちゃえよ」みたいな安易なことを考えてしまうんですが、異性観(恋愛観やセックス観)が決定的に違うのでオタクくんは戸惑う。セックスへのハードルが低い感じはいかにもエロ漫画的なんですが、彼女はあくまでも割り切った関係としてしか男を求めない。エロが始まる前にそう宣言し、エロが終わったあともそのスタンスが崩れない。が、オタクはそう簡単に割り切れないので……というすれ違いが切ない。何も嘘は言ってない一貫性のあるヒロインと、何がが変わると期待してしまう男主人公。ギャルとオタクの『(500)日のサマー』かよ。
 エロパート。2人の馴れ初めである指を使ったプレイが熱い。2人のドラマを感じるし、2人の指を通じた無言のコミュニケーションが良い。また、キスがないのも2人らしくて良いですよね。というか、キスを求めなかったオータくん偉い。好きとはハッキリと伝えるが、キスは求めない。その「好き」も相手の顔の横に自らの顔を埋めて言うのが最高。気持ちのデカさは感じるけど2人は向き合ってない。
 エピローグ。オータくんは彼なりにスタンスを曲げない。安易に純情なオタクは愚かみたいな話にならなかったのも好きです。意地張ってるに過ぎないので子供っぽいとも取れますが、それこそ『(500)日のサマー』の主人公より応援したい気持ちになるかもw 安易にヒロインが折れることにはならないと思いますが、関係が失われたことに彼女も残念そうにしてる……というまま終わったエンディングが良い。あのときオータくんがエロの話を打ち出さないままでいたら彼はおそらく唯一の特別な存在でいれたのかもしれないが……という後味。

『改悪メ@コスプレイヤーいつつせ

 コスプレイヤーをしてる幼馴染に原作愛がない。エロい格好の題材、バズるために材料みたいに割り切ってるのが「こういう人もいるだろうけど!」という感じで良い。妙にリアリティも感じちゃう……があそこまで露悪的に振り切っちゃうのはいつつせ作品らしいバランスですね。こういう考えの人はいるかもしれないけど、ここまで極端に主張してこねぇよ、みたいな。
 作品のテイストがまるで違うけど、独自の考えを持つ女性に振り回されるオタク、という意味では直前に掲載の『指先から好色』と通じるところはあると思います。オタクくんがエロに屈するところまでは同じ。しかし、ヒロインが圧倒的に「強い」のでそのままワンサイドゲームになるかと思ったら、ものすごいウルトラC的な捻りを迎え、本作は驚くほどにラブラブな展開になる。ヒロインの極端さがそのまま感情の大きさとイコールになるので、どっちの顔も本物なんですよね。この両極端なのにどちらも真なのがすごいw 『指先から好色』と共通してると書きましたが、ラストが全然違う。混じりっけなしのハッピーエンド。エロも、原作愛のあるコスプレも、そして幼馴染との恋も総取り。なのに、2人のどちらかが折れたり落ちた話ではない。なんでこれが成立してしまうんだ……

『麻辣ハッスル』おりひか

 寂れた町中華の裏メニュー。ホール担当の2人がヒロインで片方は元から店の子で、もう片方は店主に武術を学びに来た子。武術は本物だが店主は中華料理(クソマズ)にしか興味がなく、しかし裏メニューは店は繁盛。そこに主人公(てかツッコミ役)がやってくるが、その牙城は崩せない。
 インチキ臭いノリで始まるエロが楽しくもあり、エロのハードルが低すぎるが故の狂乱感も素敵。裏サービスに慣れてるので黙々とエロをこなし、それでいて最後の一線はがっちり守るヒロインと、なりふりかまってられないのですべてを投げ出して勝負する(が負ける)ヒロインという対比も良い。前者の微笑み以上は表情が崩れないマイペースさ(マイペースを保てる強さ)とか超良いですよね。隣に徹底的に負けてくれる子がいるから成立するバランスw
 前半ではあるものの、2人の衣装の可愛さと、その衣装を使った展開が大好物でした。特にお腹のメニューを見せる場面とか下手すりゃ本作で一番エロかったと言っても過言ではないレベルで好き……。
 あとは、エロパートでも容赦なく差し込まれるジジイ(店主)も好きです。料理シーンとか普通にうまそうに見えるんだけどなぁ……

『ヤリモクお嬢様!』鳥茶丸

 お嬢様がお金では手に入らないセックスをついに手に入れる。2人とも可愛いデザインしてるので元気なラブコメだと思ってたんですが、主人公がブチギレて逆転してから本作の色がガラッと変わる。当たり前ですけど、2人ともデザインは同じで、極端に絵柄が変わるわけでもないんですが、前半と後半でハッキリとジャンルが違うのが分かる。てか、めっちゃ今更な話になるけど、ひたすらに絵がうまい……。前半と後半で全然違うのにどちらも成立しちゃうのマジですごい。キャラクターにギャップがあって魅力的に感じることはよくあるというか、もはや常套手段って感じですが、本作の場合は作品という枠組みそのものにギャップがあるようなイメージ。お嬢様ヒロインが後半になるとギャグ(ラブコメ)では済まないと一目で分かるようなビジュアル、リアクションになるのが本当に衝撃。逆転展開自体は特別珍しいものとは思いませんが、後半における絵の迫力、「あっ これはガチ……」とラブコメ的な余裕が一切なくなる雰囲気が読んでてゾクゾクしました。
 マジで圧巻……なんですが、エピローグで元通りの、元気いっぱいのラブコメ的な雰囲気に戻るのでまた最高。お嬢様ヒロインの「癖になってんじゃねぇか」感とか一気に微笑ましく思えちゃうので強い。めちゃくちゃガチで、何なら深刻な雰囲気すら感じてたのに、それすらも「ハードな攻め」として楽しめちゃうんかいw
 作品全体が豹変するような印象だったんですが、竿役の彼がブチギレるのも仕方がないくらいお嬢様のキャラクターが酷いんですよね。「お嬢様キャラ」というお馴染み感あるキャラクターながら「ラブコメとして笑って済ませられない一線」を絶妙に少しだけ越えてくる感じ。

『もう我慢できない』江口ジョーズ

 付き合って半年なのにキス止まりなのでコスプレして誘惑してみる。可愛すぎかよ。コスプレする心理も、その結果のコスプレも、コスプレ後の展開もすべてが可愛い。同じコスプレを扱った『改悪メ@コスプレイヤー』との違いは一体w それぞれ作家性が強すぎる。コスプレして誘惑したい、という心理自体はどちらも作品も共通してるのに、なぜこんなにも……。
 両作ともに言えることなんですが、コスプレ衣装(重言)のデザインがしっかりキャラクターに合ってるのが良いですよね。『改悪メ』は極端にエロ要素を足しすぎてバランス崩壊したような感じがあるし、本作のは素人が思いつきで手を出してみたようなデザイン(出来合いの商品)のシンプルさと、それを着た際の不慣れな雰囲気も込みでものすごくリアリティみたいなものを感じる。漫画的にはコスプレ以前の彼女の姿は3ページしか描かれないんですが、それでもちゃんと「こんなことする子じゃないのに!」という意外性が感じられる。初々しさもあるんだけど、よくよく考えたら目的はすべてセックスのためなので、そこらへんのコスプレイヤーよりも全然ドスケベと言えるかもしれない。そんなギャップが良すぎる。健全カップルにしか出せないエロさがあって本当に素晴らしかったと思います。
 しっかり気持ちを伝えて話し合った果てにセックスへ至る。初々しさの演出として「もう衣装はいらないよね」となってもおかしくない話だったと思うんですが、最後まで全然脱がなかったの偉すぎますね。パンツが着たまま出来るようなデザインになってるので、おそらく着た時点で、この衣装を買った時点で最後までする決意はついてたということなんだと思います。改めて考えてもやっぱマジでめちゃくちゃエロいですね。ここまで来ると半年経ってようやくという初めてを迎えたのにこんな格好のままやることになった彼氏くんもすごいというか、情報量多すぎて頭がパンクしてしまいそうだ。彼氏も偉いぞ。
 初々しさ演出として脱ぐのも手、みたいなこと先ほど書きましたが、エピローグではその「衣装を脱いだ状態」をしっかり見せててもうね……。全方位的に強すぎるのよ。今後の2人は普通に全裸でするようになると思うんですが、しばらくしたらどちらから「またあの時の……」みたいな欲を出したりするんでしょうね(妄想)。良い……。

『再逢』かるま龍狼

 元教え子が卒業証書を持ってやってくる。今号で唯一の明確な季節ネタ。そして卒業証書というモチーフは表紙イラストと合致してるので、今号を締める最後の漫画作品としてこの上なくふさわしいのではないかと。
 かるま先生なので不思議設定とかも期待してしまうんですが、本作は至って現実的な世界。てか、生徒と教師のそういう関係ってエロ漫画では定番の設定ですが、本作は「バレて職を失った後」の話になってるのでマジでどこまでも容赦なく現実的。全編通じて暖かくてイチャイチャしてる作品なんだけど、物語には苦みも通底してる。先生のビジュアルの変化が職を失って落ちぶれた成人男性としてリアルだし、そこから最後にもう一度変化が描かれるのでものすごくドラマチック。要するに復職なんですが、あくまでも塾講師というのがまたリアル。私の学生時代の担任、卒業後に酔った勢いで痴漢して職を失ったらしいんですが(最低)、その人もその後塾講師になったらしいです。あと本作、先生時代にバレたときに2人がセックスまで至ってないのもやりすぎないバランスで良い。エロ漫画だったらどこまでも描いても不思議じゃないんですが、調子に乗った先生の過ちというバランスが絶妙。まぁ、現実的なバランスで考えたら、校内で生徒とセックスしてたらどんなに丁寧に描いても「クズ野郎だろ」としかならないですよね。
 エロパートがその問題のキスから本格的に始まったのも良い。というか、先生が覚悟を決めたことを示すのがキス。シンプルな話なんだけど、細かいところがとにかく丁寧で、背景程度に語られる過去とのバランスも超良かった。あとはやっぱりかるま先生の描くヒロインは可愛いですな。1ページ目の “来ちゃった” もそうだし、部屋にあがって制服を着たままの状態のイチャイチャも可愛く、脱いだあとのセックス時にも2人の年の差を感じさせられる。そして、脱いだ状態のまま場面転換し、最後のエピローグではヒロインのまた新たな姿が……と繋がる。同一性は感じつつガラッと印象が変わるのが素敵。ただ、 “生徒さんに手を出しちゃダメだよ♡” の冗談はちょっと怖いな。苦笑いしかできないw
forms.gle
 終わり。今月は『別つ時』の感想で「今月の最優秀エンディング賞を受賞ですな」とかいい加減なこと書いてたんですが、その後『オールド・ファッションド』『指先から好色』でも「これも受賞じゃない?」となったので元の感想消しましたw それ以外にも今月は良いエンディングの作品多かったですね。賢者モードに良いエンディングは沁みるぜ。