北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

WEEKLY快楽天 2023 No.41の感想

 本誌の撫子さん新作嬉しかったけど、weeklyで何もないのは寂しいので再掲とはいえ嬉しい。weeklyの座長感あるよね。
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『背日』平丸あきら

 平丸先生の前作、アホの子可愛いという路線だったので今回のしっとりとした路線に驚いたんですが、めっちゃ良い……。今になって思うとアホの子の明るさにある種の引け目を感じる主人公の話だったと考えれば案外2作にも通底するものがあるのかもしれない。
 真面目ちゃんと先生の秘密の勉強。真面目(かつクラス的には地味)なので損な役回りとしてしまってるヒロインと、彼女に目をかける先生のやりとりが冒頭から超良い。直接的な説明はあまりないんだけど、自然なやりとりで2人の背景が徐々に見えてくる。先生が添削の最後に書いたちょっとしたメモをヒロインが指でなぞりながら先生に話しかけるコマとか、添削という2人だけになる口実が示されると同時に彼女が特別な思いを抱いてるのも暗に伝わってきて超良い場面(同時に先生が次の可能性を明確に残してる)。
 そんな「おいおいこの2人はどうなっちゃうんだよ~」とかワクワクしながら読んでたら実は2人の関係はもう既に始まっていた、という構成も熱い。豹変ぶりに引き込まれるし、「周りは何も知らないのに」という本作の醍醐味を読者として追体験したような感覚。
 個人的に好きなのは中盤で出てくる2人の初めて。ヒロインが少し無理をして頑張った形なんだけど、それが単なる甘酸っぱい初恋みたいな感じではないんですよね。学園生活に楽しさを見つけられない彼女がヤケになって取った行動、みたいな。負の感情がうっすらと漂ってるのが先生を誘ってしまう生徒の心理としてめちゃくちゃリアルに感じられた。
  “一緒にだめになってください” との誘いが多少なりとも先生に響いたんだとは思うけど、作品全体を通じて先生側の心理はあまり描かれない。学校の日陰者同士の交流だとは思うけど、ひょっとしたらただのクズかもしれない、みたいな余地も感じなくもない(生徒に手を出してる時点でクズというのはさておき)。場面場面で彼の本音が表情に漏れてるのでは……というコマが差し込まれるんだけど、それがまた何とも言えない感じで素晴らしいんですよね。単純にヒロインの描写が多くてエロの迫力が邪魔されない、というのもありつつ、スパイス的に先生の描写が足されていく。最高のバランスだったのでは。すぐに涙が溢れちゃうヒロインがとにかく可愛いんですが、先生はその対極にいるような存在で2人のキャラクターが超良い。語りとしては作品全体がヒロインによるものなんですが、エロパートのクライマックスに関しては物語が先生視点になったんじゃないかと読みながら感じました。ヒロインは彼女の中で完全に答えを出しきってるので、葛藤は先生側にのみ残されてるってことなのかな。
 エピローグ。すっかり忘れてた「勉強」という体裁を思い出させてくれる構図になってて痺れました。てか、読み返したら挿入の場面でも机の上のノートが映されてたわ……(エロに夢中)。

エロマンガアカデミー」

 #52、なまえれんらく先生による「作品世界のつくりかた」。インタビューも超面白かったんですが、イラストが良すぎる。背景もバッチリで本気の仕上がりだし、「ネオ七五三ギャル」というテーマが最高に好き。何がどうなってるのか分からないが、たしかにネオ七五三ギャルだ……。そして可愛い。
 インタビューの中だと「不衛生な場所とエロの関係性」の質問のくだりが面白かったというか、過去のなまえれんさく作品を読んでて感じた、うまく言語化できずにいた良さがキレイに説明されたような感覚。個人的には潔癖に近いところがあるのでどう考えてもキレイなところが望ましいんですが、フィクションの中だとなぜか惹かれるものがある……と謎だったのが腑に落ちました。そこで出てきた「社会と個人の狭間」というキーワードも、「なまえれんらく作品だ~!」って感じで最高。


 終わり。エロマンガアカデミー読んでるといろんな作家がいること、いろいろいるおかげで全体としてめちゃくちゃ面白くなってることを感じる。今週改めて感じました。
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