北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2023年11月号の感想

 フライ先生の表紙、「○○解禁」が今後も続くのだろうか。そろそろ限界だと思うのですが。
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『夏が終わる』楝蛙

 真面目ちゃんと久しぶりに帰省してきたアラサーおじさん。日常パートで丁寧な描写を重ねているが、意外と2人の基本的な情報については語られてないところが多く、それがラストに大きな意味を持つ。おじさんの秘密が本作最大の仕掛けだと思いますが、ヒロイン側もプロフィール的な情報は少なく、そもそも年齢もよく分からない。有力なのは18ですかね。 “そろそろ手ぇだしても大丈夫な年齢かなと” とあるので。20の線もあるが、スク水のことを考えると18な気がする。
 ヒロインがおじさんを長年好きだったのは明らかで、おじさんから誘われる形でエロが始まるんですが、実はおじさん……というオチが秀逸。すべてがひっくり返るようでもあるが、言われてみればおじさんの言動に違和感があったというか、ただの「憧れのおじさん」だけでは終わらないキャラクター的な深みがあったことに最後に気づかされる。オチを知った上で読み返すとめちゃくちゃ味わい深いというか、おじさん側の言動がいろいろ腑に落ちるものがある。正月には毎年帰ってくるが、これはヒロインと2人きりになる心配がないからですね。好かれてるのは分かってて、扱いに困っていたのだろう、と推測できる。初読時の「このクソ野郎が!」という印象から徐々に変わっていくw
 ヒロインとの最初の会話で、彼女を追い払うようなことを言うも失敗。その後セクハラ発言。これ初読時はエロに向けたジャブ的な印象もあったんですが、オチを知ると「これで去ってくれたら万々歳」みたいな思惑があったんじゃないかな。それでもヒロインが引かず、引かないくせに何もしてこないのが焦れったいので仕方なく汚れ役を演じることに……みたいな。まぁ、ちょっとおじさんに寄り添いすぎた解釈にはなりますが。ただ、エロシーンに入ってからも彼の表情が全然動かないのとかも、「ついに手ぇ出しちゃいました(てへぺろ)」みたいなキャラクターではないと思うんだよなぁ。感慨深さなどはまったくないし、何ならエロを満喫してる様子もない。そんなことを考えながら2周目以降を読むと “ごめんな…” からの外出しフィニッシュが良い場面すぎる。まぁ、謝るくらいならゴムを用意するべきなんですが、婚約もしたからゴムを使わないフェーズに入ってるから持ってなかったのかもしれない。ヒロイン側がゴムの用意とか1ミリも想定してなかったのも彼女の幼稚さというか、2人の年齢差が感じられて良いですね。
 そして、すべてを読み終わって感じるタイトル『夏が終わる』の良さったらない。長く続いた初恋が終わり、熱が冷めて次の季節へ……という彼女の成長が感じられる。(劇中が何月かは知らんけど)9月なのにまだ猛暑かよ、というような理不尽な延長が続いた今年の夏の終わりに読むのがふさわしいというか、掲載時期(9/29発売)のタイミングも含めて最高。

『秘湯』雲呑めお

 温泉に迷い込んだら温泉の精霊と出会う。直前の『夏が終わる』はやや短めの尺で濃密な味わいだったんですが、本作はやや長めの尺でひたすらシンプルで脳天気、とにかく可愛い! エロい! と突き抜けた作品になってて対照的。ひたすらヒロインの魅力を堪能する作品になってて違った意味で最高。温泉の精霊でめちゃくちゃ日本的な存在なんだけど、ビジュアルはエルフっぽくも見えてどこか西洋的という捻りも好き。あとは衣装ですね。温泉入るときに胸元にバスタオル引っ付けました、みたいな布切れ1枚で構成されたヒロインの衣装が可愛いかつエロくもあり、ちょっと神秘的にも思える。
 温泉はヒロインの体液で、温泉の効能は生命力と精力の増強。ヒロインが濡れれば濡れるほど温泉に媚薬のような効果が発生し、男性側もどんどん元気になる、という生ならぬスパイラル。設定の理屈が面白いんですが、粘度のある、少しぬるっとした温泉って実際にあるじゃないですか。本作の温泉もあんな感じで、そこに不思議なチカラが乗っかってちょっとしたローション風呂的なシチュエーションだったのかな……とか妄想してしまう。最後まで温泉に浸かったままというのが良いんですよね。体液でも濡れるが、温泉でも濡れてその境がどんどんなくなっていく感じ。
 挿入後のほぼ立ちで構成されたエロパートも良かったんですが、個人的には前戯の立ち素股のくだりが超好き。後ろからやったと思ったら今後は向かい合わせでヒロイン主導でやることになってて二度おいしい。立ちのまま密着するからこそヒロインの柔らかそうな肌を堪能できる。挿入後も駅弁になると全身でヒロインの体を受け止める形になるんですが、やはり駅弁って運動としてハードすぎるので、立ち素股の場面のようなテンションが高まりすぎずにじっくりを感触を味わっていくようなくだりにも惹かれてしまう……。
 エピローグ。無事元気になって帰れました……くらいのオチかと思ったらあまりに壮大なハッピーエンドが待ってるので笑う。話のスケールが主人公ではなく日本全土になってて「そういう話だったの!?」とびっくり。ひょっとしたら50年前も誰かがあの温泉へとたどり着いたのかもしれない……。

『よりみち』えーすけ

 一目惚れした人を求めてバイトを決めたがその人が人妻。勝手すぎる失恋だが、追い打ちのように彼女の胸(大きい)を見過ぎていたことを指摘される。男視点で考えると純情だが、女性視点で考えるとストーカー疑惑でキモい。痛いところを指摘されて引き込まれたんですが、そこからさらに「それはさておき気に入られてんの?」というツイスト。ストレートに恋が実るとか、不倫関係になるのではなく、一度きつめに拒絶されてからのというワンクッションが最高。すべての主導権を彼女に握られてしまう弱さ。ヒロインとしては若い男の子にエロい目で見られたのが新鮮で興が乗ったということなんですかね。もしくは弱みを握って完全にコントロールできる相手が見つかって好都合みたいな。とくかく年齢差だけではない、決定的な上下関係。エロパートに入ってもヒロインの態度はきついんだけど、常に楽しそうで笑顔混じり。このギャップが最高ですよね。メガネを外して変貌という分かりやすさもあるけど、同じ人とは思えないほどの変わりぶり。
 完全にヒロインが支配的なままセックスが続くものの、主人公は初体験で、あまりに激動なので中折れ。主人公の尊厳がバキバキに砕け散るようで面白いんですが、これでセックスが終わったらヒロイン側もたまらないので、ここで初めて彼女が優しくなる。少なくともプレイ内容が。この緩急でありギャップ、最高でしたね。完全に彼女自身が気持ちよくなるためにチンコを調達しただけの行為だとは分かっちゃいるけど、それにしたって……という良さ。彼女のきつい態度は維持したままプレイが優しくなるというウルトラC
 そして勝手に中出しというミスを犯し、これは印象最悪……かと思いきや最後の最後で彼女が急に優しくて、というラストが良すぎましたね。下手すりゃセックスそのものよりも主人公をドキドキさせた、心を支配した瞬間と言えるかもしれない。
 あとは作品全体を通じて差し込まれる指輪の演出も独特というか、初めて見た。人妻感というのもあるし、彼女との関係性の変化、深みにハマっていく感覚であり、彼女自身の心をそのまま表してたのかもしれない……と最後の最後に思わされる。

『派遣のナカノさんは元AV女優 vol.3』スミヤ

 お馴染みシリーズの3作目。ただ、ちょっと今までとは毛色というかアプローチが違う作品と言えるかもしれない。中野さんとの出会い方も特殊だし、エロに至るまでの流れも今までと違う。シリーズを重ねて2人の仲が確立された上での話の進み方ですよね。今までは中野さんに相談されて、それに答えてたらそのまま……という感じでしたが、今回は街中で出会って、しかも元AV女優の件は関係なく近づくことになる。はっきり言って「まだ付き合ってないの!?」という感じで、そういう意味ではシリーズファンへのご褒美みたいな作品だったと言えそう。イチャイチャ度がちょっと前作までと比較にならないんですよね。完全にごっこ遊びとして、ソーププレイになるのがもうちょっと見てて恥ずかしくなるレベルなんですが、ソーププレイなのにスーツ姿のまま。ありがとうございます。本当にありがとうございます。この日常と非日常のギャップ、マジ最高でした。
 スーツのまま一発やってから、体を洗うのを兼ねて風呂場で本格ソーププレイとなる本来なら逆になりそうな構成も良い。中野さんの派遣かつ元AV女優という2つの属性、2つの顔を行き来するようでもあり、セックスの進行によってどんどん属性のさらに奥にある彼女の本心に近づいていくような展開になってて激熱。「ここまで行ってまだ告白もしないの!?」という焦れったさも含めて最高でした。

『インターバル』Hamao

 陸上部の先輩に告白したが保留。冒頭、彼女を追いかける主人公の視点なので、ヒロインのバックショットが多用されるが、4ページ目の扉でヒロインの正面絵がドン!! となるのブチアガりますね。扉絵単体としての魅力も強いが、アバンにおける助走演出が見事すぎる。映画かよ。「告白の返事をもらう」という小さな物語がこのアバンで展開されてるのも含め、マジで良すぎ。
 彼氏彼女となったある日、雨宿りとして主人公の家で2人きり。弟を持つヒロインは主人公の勃起にすぐに気づくが、主人公が勃起した理由はヒロインの乳首の突起であった……という互いに「立つ」がバレる話になってるの可愛い。シチュエーションの良さも感じるし、2人の幼く拙いながらも剥き出しの好意が行き交ってる甘酸っぱさも含めて本当に良い場面。
 そんなヒロインの胸からエロパート。主人公のおっかなびっくりだが好奇心と性欲に突き動かされたゆっくりだが積極的な攻めが最高なんですが、それへのヒロインの反撃(と主人公のリアクション)がまた可愛い。やはり男の弱さは勃起という分かりやすすぎる弱点ですね。 “射精るかと思った…っ!!” はマジで笑う。この2人のやりとり可愛すぎますね。
 からのコンドーム装着から始まる初々しいセックスも最高。最初は互いに必死なので相手を見ることすらできなかったが、徐々に見つめ合う余裕ができて、そこでようやくキス……と順序が逆なのも必死な2人として可愛いし。キスの延長としてヒロイン耳責めするのも「天然でやるとは天才か!?」とびっくりしちゃう。耳責めという特殊プレイとしての良さもあるけど、彼女とのコミュニケーションの果てに絶頂に達してしまう、というのも2人らしい初々しさでもありますね。
 エピローグ、ヒロインの父親が出てくるので「バレた?」と心配してしまうんですが、主人公の部屋の方ではヒロインの血が畳に垂れる描写があったので、そっちの親にもバレる恐れが……。ごまかすために切り傷作るしかないなw

『ミラレタガリ』桃雲

 高嶺の花の優等生が実は。シンプルというかあっさりめのデザインながら筆致が圧巻で、そのギャップに魅了される。衣服の質感やべぇ~となるので、最後まで脱いでほしくなかったんですが、実際に脱がずに完走したので思わずガッツポーズ。肌、布、髪という質感が一度に味わえるクライマックスで最高でした。激しく揺れるが極端すぎない胸の柔らかさ表現とかも絶品。あくまでもヒロインの変人性に主人公が振り回される話なので、ヒロインの胸を好きにするタイプの作品ではなんですが、それにしては胸の主張が強すぎるというか、思わず目で追ってしまうような魅力。
 ヒロインは剥き出しの性欲に突き動かされるキャラクターではあるんだけど、主人公からしたら未知の存在で、そのミステリアスさ、分からなさも魅力。彼女を追い求めるように主人公は必死になり、向かい合っての激甘パートがあるんですが、それはクライマックス直前で、最後にはバックに至るのが2人の関係性として象徴的というか、主人公の「追いかける」が現れてるようでエモ。ただ、エピローグで語られたように、ヒロインの変人性があまりにレベル高すぎるので「ついていけるのかな」みたいな心配になる感じも良いですよね。適度なトホホ感というか、恋人関係を求める主人公と、あくまでもエロが第一のヒロインの間に微妙なすれ違いがあって、そのパワーバランスが魅力的。

『浪漫研究部の非日常』おおおおありくい

 エロマン発明品のある日常。とにかく発明品のアイディアが魅力的で、「これ1コで読切いけるでしょ!」という発明品がわらわらと出てくる。本当に贅沢。最初に出てきた下半身の感覚を遮断してえげつない責めをする機械(ドーナツ状で本人は見えない)の時点で超面白かったのに、あれ序盤だけで終わるんですよね。上半身と下半身のビジュアル的なギャップも含め、漫画映えするし、最後の解放時に時間停止モノよろしく快感が一気に押し寄せてくるのとか超面白かった。面白かったので「これをさらにどう使うか」という話で終わってもいいのよw
 続々と出てくるが話として大きく動くのは心の声ダダ漏れカチューシャ。ネコ耳カチューシャだが、しっかりスピーカーが見えるメカ感がまた可愛い。その心の声によって2人の関係がついに……となるんですが、ヒロインの肉声がスピーカーの音声に重なる演出が漫画的にめちゃくちゃ決まってて最高。最高に面白い場面が、同時に可愛くて、それがエロに向けた決断になってのが激熱。
 あれだけ鬼畜責めしてた部長がいざ言い寄らせるとビビっちゃうのがまた可愛かったですね。ヒロインの方は開発済みなので彼女が受ける快感がえげつない描写だが、部長の方は初々しさが感じられるというギャップ。そのギャップを埋めるようにグッズを大量投入……という場面もマジでグッズが多彩すぎて「1コマで終わるのもったいねぇ~!」ってなってしまうw ヒロインを責めるだけでなく、ローターで部長の金玉をマッサージ(効果あるのか?)するのがさりげなく差し込まれてるのも笑いました。基本的にヒロインの方が性欲強すぎる。
 ヒロインのデフォルメの利いたデザインが可愛くて刺さったんですが、非エロパートだとやはりカチューシャをつけた際の表情の変化が多彩で本当に可愛かった。静と動の緩急があって、そこから一気にエロへのスイッチが入るという変遷が良すぎる……。

『きせーじじつの作り方』セミハヅキ

 大柄強面の毒島くんと小柄おっとりの卯佐美さん。今月のキャラデザ大賞。とにかくヒロインのデザインが良い、好き。髪が長く毛量もめちゃくちゃ多いビジュアル、シルエットが漫画的な魅力の塊。制服も上品な感じがありつつ、冗談みたいにデカい胸とも調和してて、ふんわり膨らんだ袖とかもう最高であった。眉も可愛いし、基本上目遣いになるのも殺傷力が高い。おまけにイメージとして差し込まれるウサギも可愛い……。
 そんなキャラデザがエロシーンでも遺憾なく魅力を放ってるというか、キャラデザありきのエロシーンになってる印象。基本的に仰向けに倒れた主人公をヒロインが覆い被さるように襲うんですが、上から下になるのであの長くて多い髪がこれでもかと主張してくる。髪で顔を覆われながらのキスシーンとかめちゃくちゃエロくて、ちょっと危険な雰囲気もあって最高。実際にあの量の髪の毛あるのはほぼあり得ないし、たとえ実現したとしてもあんなキレイな形やシルエットにまとまらないと思うんですが、それ故に漫画ならでの良さを感じる。そして、正常位になったときの髪が地面にキレイに広がっていく様もめちゃくちゃキレイでしたね。着物を脱がせてそのままやっちゃうような作品だとたまに作られる絵面だと思うんですが、それの髪版。
 話としては、ヒロインが実はやべぇ奴だった、的な感じなんですが、エロシーンになるとそれまで印象的だった上目遣いの小動物感というのが一切なくなるのが良いですよね。セックス特有の視線の関係。体格差を魅力的に見せる作品も当然あるんですが、本作はヒロインの二面性を強調するためにセックスの際にはヒロインの小ささが感じられなくなるような効果があったのではないか。ここらへんは髪の存在感も大きいのかもしれませんね。

『スキャンダラス・ベイビー』南北

 オナ狂い(特にクリ)のアイドルがナカイキを目指す。オナ好きのナオちゃんというキャラクターがひたすらに良い。極端さと話の勢いがほとんどギャグ漫画でほとんどバカなんだけど、彼女なりの考え(ロジック)がしっかりある。意志の強い子に見えてただのバカだと切り捨てる気には全然なれない。そもそもオナニーはまったく悪いことじゃないので、よく考えたら彼女は何も間違ったことしてないんですよね。いや、事務所でオナニーはまずいがw 狂人的なギャグだがよく考えるとまとも(な面もある)、というバランスが本当に見事で、作品として圧倒的に面白いし、意志つよつよなヒロインの姿に惹かれてしまう。仕事以外では常に感情剥き出しの表情が多彩で漫画のキャラクターとして、エロ漫画のキャラクターとして本当に魅力的。彼女に魅了されるページだけで構成されてるような作品。強いて言えば1ページ目は彼女よりもしおこんぶ太郎さんの方がキャラ立ってたかもしれない……。
 そんな出禁太郎。あまりにキャラ立ってるので、彼とセックスする話になると予想した読者は多いと思います(私含む)。蓋を開けてみたら相手はマネージャー、しかもマネージャーとはセックスしない(広義のセックスはする、挿入しない)。まさかの展開でしたが、話としてはまったくもってその通りの結論なのでちょっと読んでて喝采をあげたくなってしまったレベル。彼を喜ばせる意図が1ミリも存在しないのでヒロインがおっぱい出す理由はないんですが、あれはおそらく衣装がちゃちいから、という理屈も勘ぐってしまう。挿入はマジでしないけど、本物チンポは出すし、ヒロインの弱点(大好物)であるクリは擦る。あとはエロ漫画としてのレトリックが駆使されてるので、ちょっと油断して読んだら普通に挿入したんじゃないかと誤解してしまいそうなほどの迫力であり、普通に挿入する作品と遜色ない。ここまで出来ちゃうなら挿入にこだわる必要ないんじゃないの……と真剣に考えてしまうんですが、これはおそらく作者の技巧故なのでしょうね。
 挿入しないという特殊性を堪能する意味では、ディルドーが本物チンポと同じ白抜き修正されてたのは残念なところではありましたね。あそこは違いがあった方が面白いしエロくなってたと思う。まぁ、単行本を乞うご期待、という話。
 エピローグ。オナニーカムアウトで炎上……かと思いきやまさかのセーフ。初読時はマネージャーと一緒に「終わった!!」とか思っちゃいましたけど、よく考えたらアイドルがオナニーしてると言っちゃいけない理屈ってありませんよね。漫画にまんまと印象を操作されたような気もするし、現実でもそんなアイドルいたりしないかな……と変な興味が出てきてしまう。
 komifloのコメント欄、南北先生が降臨してニキビはクリオナではなく汗かいたまま寝たのが原因として怪しい、とセルフ指摘されてて感動した。男女に関わらず顔洗って寝ましょうねw

『のぼせゆ after』おから

 新刊発売記念の後日談。『のぼせゆ』は温泉旅行という非日常なシチュエーションが大きな魅力でしたが、本作は自宅なのでむしろ日常感。2人の関係が日常と化したその後、ということでまさにファンが後日談に求めるものそのものって感じ。
 ヒロインに誘われる魅力はあるものの、それに対する葛藤みたいなドラマは後日談なので極小。軽い気持ちでずるずるとエロの深みへハマっていく感じが本編とは違った良さ。駆け引きとかなしにヒロインが素直に感情をそのまま出して甘えてくる感じとかマジ最高でしたね。
 短い作品ではあるものの、正常位で始まり、最終的にはバックで、というヒロインの体勢の変化とか見応えあって嬉しい。正常位のラブラブ感も良いんですが、バックでヒロインがこちらに視線をやりながらというラストページもめちゃくちゃ魅力的。あとは、全裸にスカートはやっぱ最高だな、と改めて(服残すの好き……)。

『良い花は後から』オクモト悠太

 久しぶりに母校に行ってみたら当時憧れだった倉木先生に出会うが、今は倉木でも先生でもなかった。まさかと思いながら読み進めたが、人妻とのしっとりとしたドラマになってて超良かった。オクモト作品といえば元気いっぱいなラブコメのイメージが強いけど、その作風の振り幅込みで面白い。いつもは三枚目な役をやってる俳優が新作では超渋い演技してて魅了されちゃう、みたいな現象。ただし、胸はいつも通りの特盛りサイズなので安心。あの大きさであのラフな格好は目立ちすぎなんですが、その驚きが「あのお堅い倉木先生が……」という印象と重なる。
 年上ヒロインとしての落ち着きとかも超良いんだけど、人妻としてのある種の諦念のようなものもセクシーだし、何より社会的にNGという要素が常に漂う。久しぶりに会って良い雰囲気になって嬉しいけど……という後ろ髪引かれる感覚込みでの良さ。2人の距離が徐々に近づいていくのを部屋を上から見下ろす定点でとらえた3コマとか、小さいながらにめちゃくちゃ効果的でしたね。近づいたのはむしろヒロインの方から、というのが象徴的に描かれる。
 エロパート。旦那との関係がうまくいってないからか、ちょっとヒロインが自己評価低そうな言動を繰り返してて、そんな彼女に若く直情的にぶつかっていく主人公という2人のキャラクターのギャップが魅力。主人公の攻めに対して口や目をを隠したり、顔をそらしたりする奥ゆかしさというか、彼女の自信のなさも感じられ、最後にバックに至るのもその流れかと思いきや、バックのままキス、という展開が熱い。主人公の思いが彼女にようやく追いついた、みたいな。
 エピローグ。全面的に大勝利するハッピーエンドなんですが、冒頭にあった「もう倉木でも先生でもない」の件を拾ってきて「倉木先生」に戻るってのが最高。主人公が彼女のことを「倉木先生」で登録してたことも味わい深い。メールの文面のみで示したのもスマートかつ、その後の2人の想像が広がるような終わり方でとても良かった。

『夏休みになったらさ』馬鈴薯

 田舎の幼馴染が暇潰しとしてセックスを行うようになる。ところが、セックスを始めたら異性として意識するようになって……というドラマが一切ないのが面白い。幼馴染としてのラフな関係性は維持しつつ、セックスが当たり前になった日常というのが圧倒的な非日常で面白くもあり、ギャップがエロい。すっかり日常となってる2人を説明なしに見せるオープニングがまず良いんですが、その後回想として始まりを描いてて、そこは当然のように一線を越えるエロさがあって最高。それでも友達のノリを維持したままのある種のイビツさというか、おかしな関係性、セックスをしたのになぜか未だに無垢な存在に見える感じとかすげぇ良かった。
 からの第三幕で事件。その導入として、主人公の先輩がヒロインに対して好意を抱いてて、主人公はそのことを相談され「あいつが?」となる。おそらくですが、ここで主人公の中でヒロインに対する異性としての意識、女性としての魅力という見方の種が芽吹いちゃったんでしょうね。もしくは友人に奪われるかもしれないという危機感と独占欲。ある意味でアダムとイヴのような閉じられた楽園的な関係だった2人に、第三者の視点が加わることでそのバランスが崩れる。最終的に主人公は約束を破って、中出し、キスをしてしまい、さらには告白をしようとする始末(中断させられる)。約束の全項目を破ってて最低なんですが、正直彼の気持ちはめちゃくちゃ分かってしまう。短絡的な考えの変化で愚かというのは読者という割と客観的な立場で見てると分かるんだけど、主人公としての彼の心理も分かるんだよなぁ。そりゃ好きになるでしょって話だし、先輩の存在がどうしても大きいよね。今の関係が終わることを彼だけ予期してしまったので、そのことによるすれ違いなんだろうな。まぁ、もちろんヒロインの方はひたすらに可哀想な話ではある。ただ、どこかで彼女も好意的なリアクションをしてくれるのでは……という勝手な期待を抱きながら読んでたのも事実なので、やはり主人公のことをクズとただ切り捨てる感じにはなれないんですよねぇ。つれぇw
 ヒロイン。ブチギレだし、告白を予期したのか、それを言わせずに拒否。逃亡。おそらく学校でも話す機会はほとんどなくなってしまったのではないだろうか。彼女の言い分としては明確で、最初から何も変わってない。何も間違ってないんだけど、ラストページを初めて読んだときに「意外な展開」と思わなかった読者がどれだけいるだろうか、という話。もちろん私もそう。主人公共々勝手なんだろうなぁ。つれぇ。
 からの主人公に別の彼女ができる、というエピローグが加わるのが意地悪というか、ちょっと残酷な印象すらあるんだけど、めちゃくちゃリアルに思えてしまう。ヒロインのことを好きになった男子の先輩がいるなら、主人公のことを好きになった女子の後輩がいても不思議ではないわけで。ヒロインとの関係が終わったあとに告白されたら断る理由もないってなるんだろうなぁ。リアルだ。諸行無常

連立方程式より前に!』だいじ

 あまりに無垢でメンタルが子供すぎる子が実はクラスの真面目くんと。無垢な存在が実は性にふけってるというコンセプトは直前の『夏休みになったらさ』と同じで、掲載位置に強い意図を感じるんですが、「似た作品2連発」では全然ない。あまりに違う。読み味が違いすぎる。本作の、特に冒頭3ページとかエロの予感がマジで1ミリもしないんですよね。健全ラブコメ作品……どころかラブ要素もなくただの日常コメディみたいなノリ。「絶対掲載誌間違えてるって」と言いたくなるような明るく楽しい雰囲気で超可愛い。可愛いんだけど、エロ漫画で感じるタイプの可愛さではないw
 学校から自宅に帰り、2人きりになると途端に作品の空気がエロ漫画へと一変する。初読時には「えっ 急にエロくなってない?」と思わず動揺してしまうレベル。この雰囲気のコントロールが見事だったというか、切り替えが絶品。2人の中では特別演技をしてたわけでもなく、どちらも素の姿なんでしょうね。だからこそのシームレスな激変。幼い2人のエロなので、それを背徳感のスパイスで描くのはままある手法ですが、2人の間に後ろめたさはないし、作品も明るく楽しいノリを維持してる。それなのに日常パートとのギャップがすごいので強烈に背徳感に近い何かが生じてしまう。絵だけ見たら超可愛い2人(2人とも可愛い)がセックスしてるだけなんですが、漫画として、物語として読んだときに生じる特別な味わい。
 エロパート。好奇心と性欲の赴くままによりハードなプレイへと発展していってて、それが日常となってしばらく経った状態。無垢な印象は未だに残ってるのにエロ的にはかなり進んだ状態になっていて、背徳感とは別にちょっと心配にもなってしまう……のは私がビビリだからなんだろうなw
 結構なことやってるのに軽口叩くようなキャラクターと関係性がめちゃくちゃ魅力的。なんですが、それぞれが余裕というか日常のノリのままだったがプレイが進むにつれ、徐々に快感に顔が歪んで日常としての余裕がなくなっていく、というグラデーションが丁寧でこれがまた良い。可愛い女の子だったヒロインが女の顔が出てくる感じとか素晴らしかったんですが、相手の真面目でクールなメガネくんも良いですよね。クールなままエロを始めるけど、余裕がなくなったり、ヒロインに対してムキになったりするので「やっぱ子供じゃーん」って微笑ましい気持ちになる。一番盛り上がったときにおそらく彼の方からキスをしに行くのも2人の関係性がよく出てて最高でしたね。
 そんなクライマックス。まさかのアナルにまで至るので驚いた。子供だからこその遠慮のなさというか、コントロールのなさ、ブレーキのなさ。「子供なのにハードすぎんだろ」と驚くんですが、身体的な負担とかを考えたら案外アナルの方がリスクは少ないと言えるのかもしれない(よく知らないで言ってる)。
 コマとしては小さめですが、いわゆる断面図だったり挿入内部を描く場面がすごい良かった。特にアナルに2本目の指を入れるくだりとかイケナイコトしてる感と相まって超好き。ただ、アナル(及びアナル内)の修正の基準が謎で、指の腹で触れたとこだけが修正対象。あれは業界内でもルールがそれほど定まってないということなのかしら。外から見た際は、アナルを性器扱いし出したら修正という感じなんだろうとは察することができるんですが、アナルの内部だと途端に基準が分からなくなる。ちょっと興味出てきたんで、他の作品でもアナルに指入れる描写やってほしいなw

『PUSSY CAT NIGHT』SAVAN

 アメコミヒーローモノみたいな世界におけるスーパーヒロインとライバルのヴィラン。この2人が実は……。このアメコミ的な舞台設定がめちゃくちゃ面白かった。デザインもだし、冒頭にほんの少しだけあるアクションシーンもオマケとは思えないほどに楽しい。スーパーガールの正体が実は大学生で……というのもアメコミっぽくて良いんですが、そこでの姿がまた可愛くてね。こっちメインで1本欲しくなってしまうレベル。
 アメコミヒーローという特殊すぎる設定に驚くんですが、よくよく考えてみると割と定番の話にも思えてくる。学校の真面目委員長が実はヤンキーくん(オタクくんor悪徳教師)とそういう関係になっていて、彼に攻められるのが癖になっている……と捉え直すと途端にお馴染み感が出てくるのではないでしょうか。お馴染みではあるが、そこにデザイン的な真新しさ、そして2人のライバル関係から派生したこじれまくった愛憎みたいなのが加わってくるので面白い。バレた際のリスクのデカさもちょっとどうかしてるレベルなので、そういう背徳感もありますね。スキャンダルなんてレベルじゃないw
 超人同士ということで、セックスにおける激しさがほぼバトルになってるのも本作独自の楽しさ。セックスを主導権争いのバトルのように描く作品は結構ありますが、本作の場合は日頃マジのバトルをしてる関係というのが面白い。バックのままほぼ駅弁状態になったかと思いきやヒロインが空中のままひっくり返して正常位へと叩き落とす場面とかエロいのかかっこいいのか混乱してくる(最高)。挿入したままあんだけのアクションしたら2人とも性器への負荷がすごいことになりそう。それが気持ちいいならいいがw

『お願いキョーちゃん♡』こやま滋

 太めオタクのキョーちゃんと、そんな彼が大好きなギャル。オタクに優しい、を通り越してオタクを溺愛するギャル。ひたすら男性読者に都合のいいヒロインで最高……とか思ってたらラストにすべてがひっくり返るので笑った。16ページと少し短めの作品なのですが、それ故に2人の背景を語るような描写は少なく、すぐにセックスへ突入。ほぼセックスしっぱなしで終わり、最後の1ページで大仕掛けがドン。都合のいい存在なのはギャルではなくキョーちゃんの方だった……というまさかすぎるオチが面白すぎる。キョーちゃんはオチのためだけの存在とも言えるんですが、ひょっとしたらこういう属性は穴場なので案外ホントに人気出たりしてな……とかよく知らんのに勝手なことを考えちゃったりもした。あの体型にハードな攻めをされたり女性は少なくないのかもしれない、など。控えめで優しくもあるキャラクターがオチを踏まえて考えるとプロとしての言動に思えてくるから不思議w
 1周目と2周目で見え方がまるで変わる作品なんですが、変わらないのはヒロインのキョーちゃん大好きという言動と、彼女の満喫ぶり。最初から最後まで本当に楽しそうで、その様がひたすら可愛い。キョーちゃんのキャラが強いのと、話の仕掛けが強烈すぎるのでキョーちゃんの話で感想が終わってしまいそうな魔力があるんですが、ヒロインもめちゃくちゃ良いんですよね。優しいというか良い子という言葉が似合うタイプだろうか。すべて本音で喋ってる感じなのが魅力的なんだよなぁ。彼女は本音しか語ってないと明らかに分かる……のに最後に騙されてしまう。

『よいざめ』みやぜん

 大学時代の恋人と再会。付き合い始めは初々しかったものの、エロにどっぷりとハマって堕落。転落人生にビビった主人公が勝手に彼女の元から離れ、疎遠。久々に会った彼女はあまりに様変わりしていて、すっかり地雷系(ファッションとしてではなく)の雰囲気。激変ぶりに魅力は感じるし、普通に今の様子も魅力的なんですが、その変化(主に下方向)の要因は明らかに主人公にあって……という後ろめたさが良い。久々に再会してロマンチックな雰囲気もあるんですが、それだけではない味わい深さがある。ページ数からはとても信じられないような物語としての濃さがあって素晴らしかったです。しかも、堕落の原因はエロにあるので、今の彼女は当時の主人公に仕込まれ、別れたあとも似たようなことを続けていたので今の彼女はとにかくエロいんですよね。物語的な要素が高くなるとどうしてもエロが弱くなってしまうものですが、本作はその問題がない。そして、今の彼女がエロければ「俺のせいで……」と今度はまた物語要素へと繋がっていくのでまさに好循環。
 久々の会った元カノが超エロくて最高じゃん、という見方もあるんですが、彼女には当然思惑があって……とサスペンス展開になるかと思ったらすぐに彼女が折れる。彼女の堕落の原因は主人公との関係もあるけど、根っこには彼女自身の自己評価の低さにあった、と分かる場面が最高。その自己評価の低さは、すべてが輝いて見えた付き合い始めの瞬間からその片鱗は見えていた、とフラッシュバックするのがうまい。無駄がなさすぎる。しかし、主人公は彼女の変わらなさを目の当たりにして幻滅ではなく、逆に惚れ直すことに……と物語とエロ、どちらのギアも上がる。そのまま挿入という激熱展開なんですが、そこでのヒロインのリアクションがあまりに堕落してるので少し心配にもなるw
 エピローグ。ピロートークの段階で賢者モードというか元の自己評価どん底モードに入っちゃってるヒロインが可愛くもあり不安も誘うんですが、そこで改めてあのときと同じやりとりをして……というエンディングが最高でしたね。ヒロインの返事が同じところに希望を感じる。
forms.gle
 終わり。komifloのコメント欄、基本的には治安が良くてグッドバイブスに溢れてるんですが、作品の傾向によっては荒れがち、もしくは荒れる予感が漂いがち、と本号は顕著だったと思います。サプライズ的な苦さに敏感。読者なんてワガママなもんでいいとは思うけど、いくら何でも繊細すぎないかと少し心配にはなる。まぁ、ギャグ的に大げさに言ってる人も多いとは思いますが。
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