北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

WEEKLY快楽天 2024 No.12の感想

 クイズ「庄ちゃんって何回書いた?」みたいな記事になってしまった。
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『苺のクリシェに小夜曲を。』百済児廿日

 ギター屋の常連さんと。百済児作品では珍しくヒロイン視点の進行。過去に後日譚ショートがヒロイン視点になることはありましたが、あれは後日譚故のイレギュラーだと思ってました。基本的に男のウジウジした語りのイメージが強いので。本作も一応ウジウジした心理と言えなくもないんでしょうが、やはり女性視点で、年下ヒロインということもあって途端にその語りが乙女な印象になる。普段は冷静で皮肉屋みたいな側面もあるんですが、異性と意識するようになってしまったお兄さん相手には極端なまでに一喜一憂。そしてその一喜一憂してる自分に対するツッコミなどが心の中で渦巻く感じが超可愛い。百済児作品としての共通項や一貫性はしっかり感じるんだけど、新機軸としての魅力も大いに感じる。やっぱわちゃわちゃしてる女の子って可愛いですね。一方、落ち着きのある大人のお兄さん感出してた竿役が実は……と慌て出すのでこれはこれで可愛い。ゴムバレ自体は定番のイベントだと思うんですが、互いに動揺しまくってポンコツになるのが微笑ましかったです。同時にポンコツになることで2人の立場が対等になって距離感がグッと近づいた感じありますね。一度エロとは無縁のコメディな雰囲気になったけど、そのままの流れでエロへの一線を越えていく流れがすごい良かったです。緊張と緩和みたいな効果があってリアル。
 年上として優しくリードしたい竿役と、年下な立場は受け入れつつも自分の至らなさに少しうんざりしつつも初めての感覚を冷静に噛みしめようとしてるヒロイン側の心理が交錯する感じが素晴らしかった。互いに不慣れなので実際に挿入中はイチャイチャする要素は少ない(する余裕がない)んだけど、出したりイッたりで区切りがつく度にイチャイチャし出す感じとかマジで生々しかった。挿入中にキスするようなイチャイチャ感もそりゃ好きですけど、イッた直後に思い出したかのようにキスし出す感じも目の前のものに夢中って感じでめちゃくちゃ良い……。
 百済児作品でいつも好きな脱ぎかけ描写も絶品だったんですが、本作は初々しさが強いのもあってクライマックスの際は互いに全裸になってて、そこも2人らしさが感じられて良かったです。ヒロインがエプロンを脱ぐことから2人はエロは始まってるので、2人の変遷、日常から徐々にエロだけの世界に浸っていく感じがあって最高。

『巣立ち』橙織ゆぶね

 後編。アバンで相変わらず庄ちゃんが幼馴染持ち主人公(勘違い)ムーブしてるので最高。ただ、よくある幼馴染作品に対するディスではなく、本作は明確に越えちゃいけない一線を越える言動を庄ちゃんが繰り返してるんですよね。この機微を丁寧に描けるのがつえぇ……。komifloのコメント欄で言われてて初めて気づきましたけど、庄ちゃんはモラハラ。そうとは気づかずに、自分が世界の主人公であるかのように悦に浸った庄ちゃん、という解像度が本作は異常に高い。庄ちゃんの哀れな勘違い主人公ぶりを見てるだけでマジでお腹いっぱいになれるレベル。エロ漫画においてエロを担当しないキャラなのに明確に作品の中核なんですよね。
 私の先週(前編)の感想では「後編は庄ちゃん視点で進行してほしい」「NTRビデオレターされてほしい」「庄ちゃんの鬱勃起エンド」などと半分冗談(半分本気)で書いたんですが、それぞれちょっとずつ合ってたのでガッツポーズ。理想的な後編すぎる。我ながら絶対にないと思ってたらNTRビデオレターは当然ないんですが、代わりに深雪が庄ちゃんに彼氏とのセックスのことを話すエンディングが待ってたのでマジで大歓喜でしたわ。現実的な範囲でのNTRビデオレターだったと言えるレベルでしょこれ。いや、冷静に考えるとあそこまで赤裸々に語る深雪がちょっとどうかしてるんですが、長年の庄ちゃんによる呪いああいう心理の捻れが生じてしまったんだろうなぁ。木村くんと付き合ってるうちに徐々にまともになっていくんだと思います(希望)。しかし、あのラスト、後頭部に手をやりながら “周りが色々うるせぇし” と告白してくる庄ちゃん、あまりに良かった。庄ちゃんが完璧に庄ちゃんすぎる。頬をポリポリしてたのが徐々にBSSへと転落していくのが最高。ありがとう庄ちゃん。何が間違ってたのかちゃんと反省しろよ。
 エロパート。最初はしっかりゴムをするが、深雪の希望でナマでやることに。前編にもあった精液で庄ちゃんからの呪いを上塗りする話ですね。ナマなので中では出さずに、と事前に話し合うんですが、そのおかげで後編のクライマックスでも前編と同様にぶっかけが描かれる。上塗り感を象徴するぶっかけをエロがヒートアップした後編でも違和感なく繰り返されるのが見事だったと思います。2発目(前編と同日なので昼にも2発出してるので本日合計4発目)なのに正常位から抜いてすぐの位置から顔までの距離を飛ばしてて性豪っぷりがすごいぜ。庄ちゃんだったら無理なプレイだ。やはり庄ちゃんにビデオ送ってほしい……(話的に無理がありすぎる)。

エロマンガアカデミー」

 #65。姶蜜先生による「異世界×百合」。isekaiがオックスフォードの辞典に掲載されたらしいので妙にタイムリーなテーマ。weeklyだとたまにエース級の作家が快楽天本誌に出張したりそのまま移籍したりしますけど、異世快楽天の作家は異世から出ないでくれ……みたいな作家も多い印象。異世界作品を謳歌してるが故。姶蜜先生もその代表例みたいな感じありますね。そういう意味で異世快楽天を立ち上げたのは英断だったんだなぁ。
 異世界作品、特にエロ読切だと特殊な設定を最初に説明しないといけないのがかなりネックだと思ってたんですが、お約束が共有された世界なのでむしろ自由度が高い、とあり納得。たしかに説明の問題がないんだったらその後の自由度はめちゃくちゃ高いというか、そりゃ異世界じゃなきゃあり得ないエロも多く存在しますよね。百合はまだ現実の範疇ですけど、異世界要素は完全に想像の世界でのみ成立するエロですので、文化的にものすごいジャンルなんじゃないかという気がしてきた。そりゃオックスフォードも見過ごさない(までに成長する)わけだわ。
 あと、ゴブリンガールちゃんの体型、めっちゃ良かったです。本編でちょい役なのもったいなさすぎるでしょ……。


 終わり。この2週間はひたすら庄ちゃんのことを考えてたというか、今後ああいうベタな幼馴染持ち主人公の作品を見る目が変わってしまいそうで怖い。いや、「この主人公は庄ちゃんと違ってモラハラじゃない」と判断できるようになるので、庄ちゃんのおかげで幼馴染持ち主人公の解像度が上がったと言えるのかもしれない。
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