北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2023年6月号の感想

 暑いのに風が強いと窓開けられなくて終わりますね……。
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『オーバーオーバーオーバー』ごさいじ

 初表紙からの巻頭熱い。最近ちょくちょく初表紙のケース多いですけど、単行本がまだ1冊出たばかり。すごいことが起きてる。
 セックスがうまく行かない付き合って半年のカップル。weekly快楽天で行われたごさいじ先生インタビューで、今後は童貞に頼りすぎない、みたいなこと言ってましたが、まさにそんな内容。カップル始まりを告げる1ページ目から魅力的でした。
 タイトル。何かしらがオーバーするんだと思いますが、まぁエロ漫画なんでね……とある程度察しを付けながら読み進めたら主人公が精力剤でオーバードーズするので爆笑してしまった。微笑ましいカップルのラブラブからのオーバードーズ。振り幅がすごいw ただ、カップルの看病シチュエーションと考えると案外定番でもあって、正攻法の良さもしっかりある。ラブコメ的な楽しさもあって、エロ漫画的な強度も抜群。その2つの境とも言えそうな、ヒロインが主人公のチンコを解放する場面。エロが始まる場面なんですが、どう考えても本作で一番面白い。それでも、ヒロインが目の前の立派なモノに興味をそそられ、少しずつ始めてしまう……というエロへのグラデーションが最高。そんなチンコオープンから挿入までの4ページが完全に無言で進行するのも素敵。笑いと緊張感、そしてしっとりとしたエロい雰囲気という流れ。その後、主人公が目を覚まし、事態を把握した瞬間に射精してしまうのも良かったですね。肉体的な気持ちよさよりもセックスしてるという事実に興奮してしまう。こんな特殊な状況になったら人間がどう反応するかなんて知りませんけど、心理としてものすごくリアリティを感じる。
 んで、作戦が結果的に成功してイチャイチャセックス、ハッピーエンド……ではなく、ヒロインのオーバーキルが始まる。結局ギャグに戻ってくんのかい。無尽蔵ぶりが笑えるんですが、やってることは恐ろしいレベルなのにヒロインの表情はかなり普段に近い笑顔ってのも良かった。イッちゃってる顔とかになりそうなもんですが、あくまでも冷静さを保ってる感じが逆に本物っぽくて怖いw まぁ、ここまでの強者が付き合ってから半年もの間我慢してくれてたわけだから感謝と尊さは計り知れない……。

『愛しのギガント』mogg

 彼氏がデカい。1ページ目からコンセプト丸出しで最高なんですが、タイトルロゴも素晴らしい。完全に怪獣映画w
 彼氏が口下手というか無口で何考えてるか分からないんだけど、ヒロインに対する感情はめちゃくっちゃデカくて、それに伴う行動もいちいち極端。ギャグでおかしい、からの「さすがに怖いって!」の振り幅が魅力ですね。極端すぎて困るが、素直なのは間違いないので、そこにヒロインは惹かれたのかな? とか想像ができる感じがあって微笑ましくもある。美女と野獣というか、ほとんど美女とキングコングですねw
 エロが始まった際の、ヒロインが冷静に彼氏のことをコントロールしようと振り舞い始めるところとか、2人の日常が垣間見えてすごく良かった。彼女なりの強さが感じられて魅力的だし、理性的にエロを行ってる感じがエロい。そんな彼女すらコントロールできなくなってしまって……というクライマックスに向けての暴走っぷりも良かったです。ヒロインの翻弄されっぷりも可愛かったですし、被虐の迫力もすごいんですが、どこかこの激しすぎる状況に満足してるような機微も感じられる。快楽堕ちではあるんだろうけど、単なる快楽堕ちの作品とは全然違う内容でしたねw

『デリヘル嬢は嫉妬なんかしません!』翁賀馬乃助

 3冊目の単行本発売記念の宣伝漫画……なんだけど、それにしては充実しすぎている。10ページでやや短めですが、続編なのでキャラの紹介とかなくサクサクとエロが始まるので、普通の読切作品とエロの強度が遜色ない。
 『デリヘル嬢』シリーズの後日譚であると同時に、新刊のカバーイラストの前日譚でもある、という仕掛け。新刊のカバーイラスト、カバーを広げるとナイトプールに収録作品すべてのヒロインが集合しててそのギミックも素晴らしいので是非(急に宣伝)。そのナイトプール用の水着を買うのが本作の内容で、そこには別の作品のカップルたちもチラホラ出てきて……ととにかく楽しい。宣伝漫画にしては良く出来過ぎてるというか、これを新刊に収録しなかったのがもったいないですね。電子版限定とかでもいいので追加収録できたりしないのだろうか……。

『甘い懺悔室』SAVAN

 まさかSAVAN先生のこっちの新作が読めるとは……。本格エロはやっぱり最高でした。絵がうまいってのはあるけど、絵柄がとにかく好きなんですよねぇ。漫画らしい可愛さもあるが、エロの迫力も文句なしで、それがシームレスに連なってる。さらに本作は衣装(特に下着)の描写も圧巻でしたね。エロ下着の魅力が強すぎて「そんなシスターいるかい!」とニコニコしながら言いたくなってしまう。中と外のギャップが素晴らしかったです。ヒロインが自ら脱ぐ場面が本当に良すぎるのよね。仕草からは上品さも感じさせるが、それにはしては下着がエロすぎる。
 基本的にヒロインが誘う形で始まるのですが、挿入の場面で攻守逆転……というか主人公が一気に前のめりになる。この作品とエロのギアが一気に入る感じが良いですよね。「アナルじゃないんかい」となる読者がいるのも分かるんですが、ヒロインが提示したものではないものを主人公が求める、というが展開としては大事なのでね、アナルが犠牲になったのも仕方ないw
 そっからさらにヒロインが強気に誘惑してくるもうひと展開あるのもアガったんですが、その先で主人公が気持ちを吐露するとヒロインの衣装の脱ぎが最終段階に移行する、という衣装演出も大好物でした。あそこで完全にエロ下着のみになる、つまりシスターの立場を捨てる、というのがドラマチック。正常位で挿入したが騎乗位になって、ヒロインの取るエロの行動が一つ先のステージに移る。バックの場面の肉感もすごかったですが、騎乗位がこれまた最高ですね。

『六畳ふたり』ニコライの嫁

 komifloのコメント欄で虎の人扱いされてるのがあんまりで笑ってしまった。ただ、ヒロインのオフ感の表現という意味では本作と虎子にも共通するものがあると思いますね。
 銭湯の帰り道、大学の知り合いと出会う。銭湯そのものも良いが、本作ではその帰り道。本来なら外に出ないような格好、自宅内でしかならない姿、そしてマインドのまま公の空間に出る、という日常と非日常が混じり合ったシチュエーション。そこでの2人の交流にほっこりするんですが、同時に少しだけスケベ心も抱いてしまって……という序盤の機微が最高。そこからサクサクと(誘われるがまま)エロに突入していく感じも非日常の入り口という感じで素敵。
 エロパート。ずばり巨乳がテーマという感じなのですが、パイズリを始める直前の “でかい胸の使い道っていったら” のコマが最高。真下に垂れた胸の隙間から主人公の顔が覗く。あの垂れ下がった胸の圧倒的巨乳感と同時に主人公の心境、置かれた状況を端的に表現してる。本作を象徴する1コマだった気がしますね。エロ描写の見せ場というわけではないけど。
 あまりにあっけなくエロへと誘うヒロインと、されるがままだがめちゃくちゃ意識してしまう主人公のギャップ。今までの大学生活を思い返してしまうのも最高だし、挿入時の “そんな簡単に割り切れないんだよ” もめちゃくちゃ分かるw 2人のギャップが魅力的だったんですが、あくまでも本作は主人公の視点に限定されてるので、気づかなかったが実はヒロインの方も……となるエピローグも熱い。てか、ああいう理屈がつかなかったらヒロインはめちゃくちゃ軽い人ってことになっちゃいますね。いや、それはそれで良さがあるんだけど。

『バラ色両想い』肉棒魔羅ノ進

 メスガキみのある後輩と、巨根すぎて彼女と長続きしない主人公。
 個人的に「待ってました!」感があったのがアナル描写。今回も充実してるんですが、今回は主人公がはっきりとアナル好きを公言し、実行する。序盤の非エロパートからラブコメ全開って感じだったのですが、その勢いのままアナルの話になるので笑った。濃いキャラなら何でもアリという感じで強いw
 キスの場面で2人の体格差をこれでもかと描き、そのまま、立ったまま挿入した際には自然と駅弁へと移行。あの体格差とあの巨根だったらもうちょっと慎重な体位で始めてあげてよ……と心配になってしまうんですが、立ったままだからこその見応えは素晴らしかったですね。相性が良いという話だから本来なら対等なはずなんだけど、体格が違うのでどう見ても攻めと受けという感じになってしまう。
 あとは、やはりラストシーン、フィニッシュ時の描写が異様なまでにアナル大映しなので「これだよこれ」ってなりますね。別にそっちに出したわけではないんだけどw

『甘い香りに乱されて』ちょりもっき

 会社の新入社員がやたら距離を詰めてくる。ちょりもっき作品の意志が強いヒロイン、良いよね。意志と目と顔が強い。ひるんでしまうほど見つめてくるんだけど、本作の主人公はそこに「セクハラに怯える」という要素が加わる。マジでひるんで逃げ出してしまう姿には笑ってしまった。まぁ、たしかに立場が違うと気を使うのも分かるんですが、セクハラで(おそらく)北海道送りになった課長のくだりとかも含め、コミカルで楽しい。あまりにビビる主人公に可愛らしい印象も湧くんですが、同時にその姿勢が彼の生真面目さとか誠実さの現れでもある。ラブコメらしい極端さなんですが、だからこそ端的にキャラクターが伝わってくる。
 極度にビビる主人公に納得させるためにヒロインが合意という証拠を与える。その証拠というのがまさかのハメ撮りなのでひっくり返った。「そいう話!?」と初読時マジで驚きましたし、ラブコメな雰囲気だったのが一気に怪しげで湿度多めになる。この振り幅が最高。さらに引き込まれる。
 スマホで撮影するんですが、そのスマホが漫画の1コマとなる、という演出も超キレイに決まってて好きです。アイディア自体は割とよくあるものなんですが、その精度がめちゃくちゃ高いというか、スマホを持つ手が大きく映るのが良いですよね。
 完全にヒロインが主導する形でエロに突入するんですが、彼女はMなので攻められたい。無茶な話すぎるんですが、ハメ撮りのくだりと同じで主従と攻守が倒錯してる感覚が本作の醍醐味。明らかに彼女のが強いのに、プレイ内容を表面的にだけ見ると男性優位。クライマックスがバックなのもそれを象徴していたと思いますし、終わりを告げるスマホの演出もオシャレで好きです。そういやすっかり撮影どころじゃなくなってましたね。フェラのくだりがこれまた圧巻で(口のアップの良さよ)、その際にスマホが手から離れたんですかね。

『ガマンできるもん!』wakako

 潮をもっと吹きたい。タイトルの出るコマで一気に吹いてて、「ガマンできてないやんけ!」って感じで面白い。しかも、その直後にもっと吹きたいとなるので、ヒロインの底知れなさに驚くw
 いきなりエロシーンから始まったんですが、その後、潮吹きを反省し我慢を決意するまでの日常パートにおけるヒロインがめちゃくちゃ可愛い。大げさすぎない範囲で表情豊かで、仕草も可愛いし、勝手に悩んで勝手に決意する独り相撲感も微笑ましい。ついでに言うと歯磨きシーンがあるのが個人的に嬉しい。
 んで、再びのエロシーン。我慢というコンセプトが設定されるが、このことによって彼氏がちょっと意地悪な言動が増えて、それに翻弄されるヒロインの心理に寄り添うような進行になるのが良い。独り黙々と潮で汚れたエプロンを洗ってた人とは思えないキャラクターになってギャップがあるんですが、これによってプレイ用の仮面というのが伝わってきますね。まぁ、どっちが本性かは知りませんが。
 さらに良かったのが、クライマックス前に明かされる潮吹き時の中の様子。ヌルヌルになって気持ちいいらしい。「えっ そうなの!?」と衝撃の事実だったんですが、このことによってヒロインの潮吹きによって彼の方も満足してる、利があると分かる。潮吹きに理解のある彼くん、ではなく潮吹きによって彼も特別な気持ちよさを得ている。この違いはかなり重要ですよね。こうなると我慢する理由がいよいよなくなるし、ヒロインの潮吹きが彼の射精を誘うトリガーとして機能してるのもエロ漫画的においしい。極論、相手が潮吹かないと満足できない体になってしまう可能性もあるんだけど、それはそれで特殊すぎる性癖ですね……(勝手すぎる心配)。

『俗説ですが…。』層積

 理想のチンポを探す大学の友人に目を付けられる。2人の仲良し感、腐れ縁感の描写も最高で、それがエロへと発展する展開は鉄板と言わざるを得ないんですが、その丁寧さ、情感の豊かさと、ヒロインの直情的かつ即物的な目的のキャラクターのギャップが最高。ラブコメの雰囲気が強めで、勢いで突き進んでもおかしくないキャラクターなんですが、 “気があるんなら早く言わんかい……!!” とあるように、ヒロインの勝手な都合ではエロに進まない。彼側のいじらしさも可愛らしいし、意識されてると知り友人ではいられなくなったヒロイン側の変化も絶品。
 そんなドラマパートが超良かったのに、いざエロが始まるとヒロインが元気いっぱい。相手のパンツを下ろしながら “エヘヘ” と満面の笑みになれる子とか良すぎるでしょ。ラストシーン、てかラストショットの笑顔も素敵でしたね。あまりにカラッとしたまま作品が終わって後味スッキリだし、そこでの2人のやりとりが2人の関係性ならではの魅力を象徴してるようでもある。
 ヒロインのキャラクターとか2人の関係性も良かったんですが、見過ごせない本作のコンセプト(?)としては、巨乳。巨根に対応するかのようにめちゃくちゃデカい。デカさの相乗効果なパイズリが良かったんですが、服の中で行う、というアプローチも新鮮で好き。射精後、その結果を知らせるかのようにおっぱいオープン、という順序。
 彼の方はそこまで変態じゃないので挿入後はプレイ自体はシンプルなんですが、正常位でいる際のヒロインの胸の揺れ描写もすごかったですね。何なら本作で一番巨乳を意識させられたのはこの挿入中かもしれない。別に胸をどうこうする場面ではないんですが。

『知らなければそれでいい』ぷるめたる

 友人に彼女を自慢されたら我慢できなくなる。ハメ撮りを見せてくる友人も大概というか、「彼にも落ち度はある」というのが魔が差すのを誘発したんじゃないですかね。てか、本作のメインの見せ場ではないんですが、この冒頭のハメ撮りを見る場面の演出と迫力、素晴らしかったです。スマホ画面を使った演出も冴えてたし、その後の顔ではなく身体にフォーカスするコマが連発することで主人公の没頭感とインモラル感を醸ち出してたと思います。「これただのお膳立てなんですか?」という驚き。そして、中盤以降のエロシーンもそれに負けない魅力と迫力で最高でした。やっぱアップのコマの使い方が特徴的で、ヒロインの顔に頼りすぎないバランス。何が好きって彼女の身体が好き、というあまりに身も蓋もない主人公の欲望の表現としてハマりまくってる。顔の描写が多くないというのも、自己肯定感が低そうなヒロインのキャラクターと合ってて、独特の淫靡さを生み出してたと思います。よく考えたら、彼氏にハメ撮りさせてる時点で2人の関係性は推して知るべし、という感じだったのかもしれませんね。それもその彼が友人にそのハメ撮りを見せるような奴なので。ただ、そんな友人と同じ道を主人公もたどってしまう、というラストも良かったなぁ。主人公の闇というか、後ろめたさと開き直り。

『素直になれなくて』西沢みずき

 小学校の頃いじめてきた子が今告白してくる。1ページ目の小学校時代のヒロインが、明らかに度を超してて最低なんだけど、あまりにむき出しなのでちょっと可愛く見えてしまうのがずるいな。しかも、読書イジリしてる際の真相が実は……とラストにひっくり返るのも楽しい。好きな子をいじめてしまうって子供の心理としては分かるけど、その突き抜けっぷりがすごいw そして、昔と変わらぬケツキックというラストにはちょっとした感慨すら湧いてしまった。ケツキック属性流行らないかな……。
 ということで、実は好きだったという話でツンデレとかそういう類で定番ではあるのだが、やはりヒロインのキャラクターの振れ幅、極端さが魅力的。話が一気に飛躍するんですが、それがすべてキャラクターの魅力になってるというか、その濃すぎるキャラクターの紹介であり、そのままエロパートへ突入。ただ、そのエロパートへの突入に際してもまた別の飛躍というか反転があって、素敵な話かと思ったら完全にやべぇ女だったと明らかになるので笑う。彼女が顔近づけながら勝手に理想を語り続けるくだりとかマジでホラーなんだけど、その勢いのままエロが始まるので感情がぐちゃぐちゃになるw
 その告白からのフェラは自宅で、セーラー服を着てたんですが、その後場所を移動しての本番のシーンではもはやヒロイン全裸。学校で、という背徳感のあるプレイになるのはいいけど、まさかセーラー服が一切出てこないとはw ここらへんの突き抜けっぷり、展開もしくは場面転換の切れ味が本作は本当に絶品ですね。読切としての密度、充実度がすごい。

『雨にフラれて地固まる』てぃーろんたろん

 元カノに都合のいいディルドとして使われる。実際のところはセフレなんでしょうが、モノ扱いされてる感が見事で、その関係性によるドラマが面白い。ディルド扱いされる際のある種の儀式として精力剤を飲まされるんですが、精力剤というと今号は『オーバーオーバーオーバー』でも出てきて、あれは若い男性の微笑ましい暴走として描かれてましたが、本作では人をモノ化するアイテムという扱い。あまり好きな表現ではないですが、女性に対してオナホ扱いするような作品もあって、本作はその男女反転と言えそうですね。ただ、ただの反転ではなく男が肉ディルドとして扱われてることに独特の味わいがある。この男性側の悲哀、めちゃくちゃ良かった。奉仕するが報われない。男性の心理だけ切り取るとなんかキレイそうなんですが、やってることはめちゃくちゃインモラルで……という良さ。
 からの逆転ホームラン。ヒロインが今彼にフラれる。タイトルの「フラれて」って主人公のことかと思ったらヒロインのことだったのですね。この転換は見事でした。雨に濡れた可哀想な子犬状態のヒロインがギャップで可愛いんですが、そこで彼女のが着てる衣装というのも最高に魅力的。彼氏にあわせて不本意な格好をしていたとブチギレられるのですが、その努力とハリボテが雨によって剥がれ落ちる。
 からのクライマックス。キレて、落ち込んで、不機嫌だったヒロインが徐々に機嫌を取り戻していく機微とかめちゃくちゃ良かった。酷い人なのは間違いないんだけど、セックスをしてる際は2人の関係性は無条件で良好なものになってしまう、というセックスが始まる前とのギャップ。2人の相性の良さが感じられるという意味でも魅力的でしたね。体の相性だけではないのが伝わってくる。

『ドリドラレ』みやぜん

 タイトルが何のことかと思ったんですが、「ハメ撮りハメ撮られ」であった。良いタイトル。
 ということで、ハメ撮り。ヒロインの意向で映像制作としてAVの模倣をすることになるのだが、AVを真似るのであれば視点(カメラ)は主人公の方であろう、と反転。まさに「ドリドラレ」な展開ですね。彼女の意向でハメ撮りをするが、撮影を主体的に行うのは彼氏の方、という捻れ具合が最高に面白い。今号だと『甘い香りに乱されて』も特殊な反転込みの撮影を扱ってるんですが、本作はプレイとして、演技という層が加わってくる。演技が加わるのだが、基本的にヒロインはクール系で、感情表現が大きくないタイプなのでその捻れ、ギャップが生まれててまた独特の魅力。撮影を希望する彼女は常に至って冷静に、撮影に満足するのだが、撮影の魔力に毒されてしまうのはむしろ主人公の方。ヤリながら撮ってるうちにどんどんエロい気持ちになっていき、さらにはAVの模倣という演技が加わることでいつもはしないであろうハードなこともノリノリで行ってしまう。指示と役を与えられたことで過激化する際のタガが容易に外れてしまう、というのはちょっとアイヒマン実験みたいな話でもありますね。そんなに恐ろしい話ではないのですがw
 エピローグ。撮るという支配的な行為に主人公は酔ってしまったわけですが、カメラには主人公の姿は撮られてないものの、主人公の声は録られていて……とオチがつくのも最高。これが本当のタイトルの意味だったのかもしれない。

『恋文こんふゅーじょん』吉田Killy

 社員旅行で気になる同期に手紙を出したら、取り違え。冒頭の場面で「キラキラした話になるのか!?」となってからのツイストが鮮やかすぎる。結果としては実質モブだった2人のキャラが、キャラデザとキャラクター造形がしっかりしすぎてるのよね。あとは、吉田先生の絵柄がそっち系でも全然あり得そうというか、普通にハマる絵なのが最高。
 本題として登場するのが、ヒロならぬ広井。ビジュアルが極端に汚いオッサンというわけじゃないんだけど、調子こいたオッサンのキモさが容赦なく描かれる。無害なオッサンとして終わってもおかしくなさそうなのに、ヒロインの部屋に入ってきた瞬間からオッサンのキモさが煮詰まってて瞬発力がすごいw 強引に攻める際の言動、彼なりの言い分というのもキモさ全開で最高だったし、なぜエロ的に強いのか、の理屈の部分もしっかりキモい。てか、読み返したら冒頭の場面で「周囲のガヤガヤ」として彼の前フリが丁寧に描かれてるので笑ってしまいました。初読時はマジで見過ごしてたw
 ヒロインの可哀想すぎる快楽堕ちの描写も良かった。前半のまだ正気を保ってる場面ではオッサンのことを見る(そして拒絶する)視線が多いんですが、徐々に堕ちていくにつれ目が虚ろになり相手のことを見る場面が少なくなっていく。最終的な完堕ちとして “「ヒロくん」とセックスしちゃった……” というセリフを持ってきたのも決まってたと思います。自己防衛的なウソ、という感じもあるのかもしれませんね。
 エピローグがめちゃくちゃ意地悪なんですが、何も知らない2人の様子がめちゃくちゃポップに描かれてるのがこれまた絶品。このうまさが本作めちゃくちゃ強いですね。あの2人が結ばれる地獄展開とか想像してしまうんだけど、絶対に見たくないw(ほめてる)

『家出少女のなぐさめ方』葉科たまき

 路上で家出少女と目が合ってしまう。黒マスクの少女がこちらを見上げてくる1ページ目からもう最高なんですが、2ページ目のマスクを下げる仕草で最高を更新してきた。マスク外しって良いよなぁ。まぁ、突き詰めると「メガネは外すな」みたいな過激化しそうで我ながら怖いんですが。
 家出少女とサラリーマン。まったく接点のない2人だからこその独特の距離感、赤の他人だからこそ清廉でいようとする主人公の葛藤とかめちゃくちゃ良い。雰囲気が徐々にエロに近づいていくドキドキ感も魅力的でしたが、シンプルに2人の個性が感じられるやり取り自体が魅力的。キャラクターに引き込まれる。
 まずヒロインに強引に一発やられてからの、ピロートーク的なやり取り……からの2回戦という流れも熱い。主人公の説教臭くなれるほど立派な立場じゃないけど、それでも大人として彼女に良い影響を与えたいという誠実さが最高。ただ、その誠実さを保ったままずるずると再びエロへと発展していく矛盾のある2回戦の導入が熱い。ゆっくり、じっくりとエロになっていくんだけど、1回目のときよりも明らかに2人の間に交流というものが発生してると伝わってくる。双方向的なコミュニケーションが取れてる関係性だからこそのセックスの深さ。安易に恋愛に至るわけじゃないんだけど、最後の最後にキスをしてフィニッシュ、という構成も最高。

『感光』いちまつ

 生徒のことを盗撮してる教師が、盗撮対象の生徒に捕まる。「撮影」についての話なんですが、それに「感光」というタイトルをつけたのが秀逸。撮影という光に当たることで不可逆的に変わってしまった、という感じでしょうか。もしくは撮影側がモニターの光に当たることで変わってしまう話、という解釈もできるかもしれない。
 変態教師がさらなる強者に見つかる話なんだけど、2人の関係性が妙に清々しいというか、理解者に出会えた喜びみたいな描かれ方としてるのがものすごく独特。もっと単純に脅し脅されの関係になるかと思ったけど、全然違う。もっと複雑というか、変態故の歪みがあるんだけど、2人とも歪んでるのでキレイにハマってしまったという感じ。
 今号の快楽天、ハメ撮りを扱う作品が多かったんですが、本作はその中でも断トツでインモラルで、それ故の甘美さ。そして、メイン(前半)のエロパートで行われるのが動画の撮影ではなく、写真というのも面白い。瞬間の1枚を並べて動きを表現する漫画というメディアにハマりやすい、というのもあるし、2人が意図的に写真を撮っていて、より良い写真を追い求めてるので、エロ漫画として出てくるかっこいい1枚のコマが、そのまま「良い写真撮れたな!」という謎の達成感に繋がってしまうので面白い。
 それだけで終わらず、本作がめちゃくちゃ面白い構成になってるのはクライマックス。主人公がまさかのセックスを見守る立場に回る。普通の作品だったら完全に寝取られなんですが、本作だとそうではなく、むしろセックス相手のリアクションによって主人公の変態故の優位性のようなものがより確立される。主人公とヒロインが唯一無二の関係性のように思えてくる……のに、エピローグではそんな単純な話としては終わらないw 「違う男とやるの!?」という展開には驚きましたが、最終ページの衝撃もすごかったな。終わり方の切れ味が鋭い。
forms.gle
 終わり。今号もかなり好きな作家が揃った号だったんですが、次号もめっちゃ良いな……となってしまった。我ながらチョロい。
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