北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2023年9月号の感想

 表紙がちょっと可愛すぎますね。Hamao先生が表紙を担当する号は一見した際のインパクトが強い。
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『ガン見しないで宇月さん!!』どじろー

 彼女がガン見してくる。タイトルのページのド迫力が何より素晴らしいんですが、この「ガン見」というコンセプトが最高ですよね。スタートダッシュとしても文句なしだし、読めば読むほど味わい深い。単なる主観ショットでは終わらず、向こうがこちらを覗き込んでくる。漫画は基本第三者の視点から2人の様子を覗き見るメディアだと思うんですが、そんな読者の優位性を初手でぶち壊してくる。陰キャは女性の目を見れない、というあるある描写でもあるし、いきなり当事者として引き込まれるようでもある。また最初のガン見場面はただの手コキなのが良いですね。ヒロインに対する優位性が1ミリも用意されてない。
 ガン見はエロ漫画としての具体的な描写のテーマでもあるんですが、それを肉付けするストーリーもめちゃくちゃ良い。ガン見に始まり、ガン見を通じて近づき、ガン見によって付き合うようになり、ガン見のままフィニッシュに至る。主人公はチラチラ見て、ヒロインがガン見する関係なんですが、2人の恋(というか宇月さんの恋)は主人公の「目をそらす」から始まった、というのが見事すぎて唸りましたね。そんな彼をガン見することで彼からの視線を確保しようとする話、とも言える。こんな短い読切作品でこんなに……。そんなコンセプトやストーリー、キャラクターがエロシーンと不可分だからこそ、ただヒロインにガン見されるだけではないエロシーンの良さや迫力が生まれる。どじろー作品は毎回好きですが、ストーリー面では本作が圧倒的だったように思います。ちゃんとエロ漫画としてのストーリー(エロ描写と不可分)ってのが最高。
 ヒロインが圧倒的に「顔が良い」タイプなんですが、同時に主人公の方も可愛くて本作はそこも好き。良い子なのが伝わってくるんだけど、同時に意地悪されたり、いじられやすいタイプなんだろうなぁ、という感じが絶妙。ヒロインとの場面も良かったけど、男子と腕相撲してるとことかもめちゃ可愛くて「そりゃ宇月さんもガン見するわ」という納得がありましたね。

『夏、気分熱気球』Hamao

 夏休みに友達とギャルになったらナンパされる。まず表紙が良すぎたんですが、本編読み始めたら3人いて、3人とも個性豊かで魅力的だし、しかもギャルが背伸びの産物だったというので驚きまくり。表紙の号が本作で良かったなぁ、としみじみと感じる。話としては背景にならざるを得ない2人の友人も完璧にキャラクターができあがってるのも贅沢で良いですね。
 街で男子3人にナンパされてカラオケへ。ヒロインがあまりに無垢でそこが可愛いだけに、「悪い奴らには捕まらないでくれぇ~」と切実な思いで読み進めてしまいました。いや、本当に男子たちも良い子で安心w
 背伸びギャルがナンパされる話なので、3対3である必要はそれほどないと思いきや、竿役が彼女にホレたきっかけというのがヒロインが友人に向けて見せた笑顔というのも良い。ただの笑顔ではなく友人への笑顔。良い子なのだろうと感じてしまうのも納得だし、そこを見てそう感じた彼に対しても信頼感が湧く。あまりに作り込まれた友人4人があまりに贅沢な作品で、今後2作品シリーズが続くこととかも想像しちゃうけど、そうじゃないにしても本作が男女3対3であることの意味は十二分に感じられたし、そりゃ面白いよなぁ、という感じ。
 一夏の背伸びであり、冒険で、ナンパで始まった関係なんだけど、同時に2人とも非常に初々しい。エロシーンが着衣でキスで始まり、服を脱いでゴムを着けたらすぐに挿入、というシンプルさ。この2人らしさが感じられる。同時に裸(とルーズソックス)になることで、染めた髪というおそらくヒロインにとって最大の冒険である要素が残ってより鮮明になるのも良かった。同時に彼女の本当の姿も見えてきて、本音と背伸びがない交ぜになってる感じが本当に魅力的。

『来るもの拒まず』ニコライの嫁

 朝起きたら年下幼馴染風の世話焼きJKがいるが、知らない。ホラー的な始まりで、まず引き込まれるんだけど、そんな疑問はありつつ目の前のエロに逆らえずにずるずると異世界へと引きずり込まれていく感覚も絶品。ニコライの嫁先生、快楽天での奇天列ポルノ路線の作品だと家の中に奇天列な世界が広がる話が多い印象なんですが、本作はその路線の極北。起きたら自宅が奇天列の世界に浸食されてる。こいつぁ新たな傑作ですわ……とか思ってたら最後の最後にそういう前提がすべてひっくり返る。「あっ そっち……?」と呆然としちゃいました。エロ怖SFショートショートという感じで最高のオチ。最後から2ページ目では「まさか死にオチ?」とか思ったんだけど、さらにすごかったなぁw
 読み返すとそのオチに向けた描写や情報が細かく入ってると気づかされる。二度目に読むとそういう意味でも面白いし、もちろん話はさておきエロに集中するのも良し。無数に伏線があるんですが、個人的に好きなのは主人公が路上のベンチで昼飯を食べるくだり。仕事で疲れ切ったサラリーマンなんですが、職場の描写は一切なく、エロ漫画だから省略されても違和感がない……とか思ってたらそもそも彼に職場なんてあるはずもなくw 見送りプレイなので、ヒロインと別れる電車まではリアルだけど、その後から帰宅までは社会的な活動があっては困る。初読時は何の違和感もなく読んじゃったけど、オチを知った上だとちょっとした違和感が隠されていたと気づく。快感ですね。
 あまりに突拍子もなくエロが始まるんですが、「エロ漫画ってそういうもんじゃん?」と疑わなかった初読時が恥ずかしい。ある意味、そういうエロ漫画特有の突拍子もなく都合の良い展開に対して、完璧に理屈を通しきった設定、そしてあのオチだったとも言えそう。エロ漫画みたいなセックスをしたいという個人の願望を徹底的に実現したの本作だったわけですよね。オチを知った上でエロパートを読み返すと主人公の心理やモノローグに対して悲哀だったり、怖さを感じるんですが、同時にヒロインに対して「満喫してやがるなw」みたいな微笑ましい気持ちにもなる。彼女側の心情は一切描かれないんだけど、最後の1ページによって彼女と本作の真相が明らかになり、それを踏まえて本作を読み返すと全編にわたって彼女の動機や心理が浮かび上がってくる。まぁ本作で描かれたことのすべては彼女の作為によるものなので当然ですよね。2周目以降に読む際は本作が「彼女の物語」としてしか見えなくなってしまう。

いたずらごころ3』えーすけ

 3作目。本作は2対2なんですが、ストーリーがどうこうではなく、文化祭に始まり、夏休みに入り、いろいろなシチュエーションで4人が、時には2人や3人が好き勝手にやりまくる。メイド、水着、浴衣、トイレとマジで詰め込みすぎというくらいに詰め込まれる。シリーズものならではのキャラクターのみの魅力のみで構成されてる感。1作目は主人公がいけない世界に足を踏み入れてハマってしまう話で、2作目ではそれを1人で受け止める話で、ダークさ、ハードさがメインでそれがどんどん加速していくような印象だったんですが、本作は意外とダークさはない。ハードなのは間違いないんだけど、クズ男2人に好きにされるというニュアンスはかなり薄れて、4人全員が奔放なセックスライフを堪能してる感じ。作品の雰囲気はかなり変わるんですが、キャラクターの変遷を考えるとむしろ自然で、彼女自身が異常な生活に染まりきったあとの話。本作以降はこういう生活が日常となって延々と続いていく……とシリーズがフェードアウトしていくような終わり方(たぶん)になってて面白かったです。シリーズとしての展開が意外なんだけど、読んでるとめちゃくちゃ腑に落ちる。
 とにかく多様なプレイと特殊なシチュエーションが連続してお腹いっぱいになるような作品だったんですが、最後のパートが1対1で、相手の家に行ってやるだけ、というシンプルなものだったのも良かった。深みにハマっていくような変態プレイが連続したあとに、清楚感の強い私服姿が一度挟まって……という緩急が最高なんですよね。それがあっさり脱がされるという駆け足ぶりも笑う。最後にシンプルかつハードなプレイになることで、「思えば遠くまで来たもんだ」感。シリーズの締めくくり(たぶん)としてふさわしかったと思います。

『百瀬先生のおかげです!』オクモト悠太

 エロで釣って勝手に勉強させる方針の女家庭教師。いかにも童貞が殺されそうな衣装を着てる1ページ目から最高だったんですが、蓋を開けてみたらヒロインがマジでそういうキャラクターだったので意識的にああいう格好をしてると伝わってくる。
 ラブコメばりに明るいキャラクターが楽しいんですが、言動がどう考えてもおかしい。ヒロインの “脱げオラァ!!” でエロパートが始まるのが最高でしたね。メガネくんを脱がすのも良かったし、何よりその後、彼女が例の衣装の胸元だけを開ける。まだ脱ぎはしないけど、という変貌ぶりが見事でしたし、どう考えても可愛いアイテムでしかないリボンをサラリーマンがネクタイを外すかの如く外してる仕草が素敵すぎるw 童貞狩りつよつよヒロインの戦闘開始ポーズとして百点のコマだったと思います。
 その後も脱ぎ捨てるのはパンツだけで、他はずらすのみ、という徹底ぶりも素晴らしかったし、何より嬉しい。やっぱあの衣装が彼女の本性を如実に反映してると思うんですよね。おっぱいを出した際の収まりの良さも好きだし、ロングスカートなのでたくし上げの距離がものすごいことになってて、それも彼女の持つギャップや二面性という感じで好き。最後の体位(寝バック)も彼女の衣装とおっぱいをこれでもかと強調してて最高でした。彼女にとってあの衣装が戦闘服で、おっぱいが武器なんでしょうね。

『狐の雨宿り』いだ天ふにすけ

 年上の未亡人が主人公の家に居候。要するにセフレ関係なんだけど、未亡人で、しかも同居。帰ったら彼女が食事の支度をしてくれてたりして完全に夫婦生活のような錯覚もあって、そりゃセフレのまま割り切れるはずもない。ただ、彼女の方はそんなことないんだろうな……というのを示した『狐の雨宿り』というタイトルが良すぎる。うますぎでしょ。「嫁入りしてくれよぉ!」と主人公と一緒に叫びたくなってしまう。からの逆転ホームランみたいなエンディングも最高でしたね。ハッピーエンドなんだけど、あのまま主人公が腐ってたらあのエンディングにはならなかった、というのが素敵だし、それをヒロインが意図してやっていた、というのが強い。年上ヒロインの強さ、敵わなさが出てて本当に良い。
 謎めいたヒロインの謎(かつての夫婦生活)が明かされるが、ものすごく断片的。「ホントに何もない」という意味にも取れるし、この最小の情報が何かものすごく象徴的な意味を内包しているようにも思える。シャワーの栓が緩くて水がぽたぽた……というのはタイトルの「雨」とも通じる水のモチーフで、ここでもまたタイトル良すぎか。一旦朝チュンビターエンドになるんですが、この朝チュンが雨が止んだことを示してるのも超オシャレでしたね。からの一転再会エンドになるのでテンションぶち上がる。髪切ってるのも素敵だし、喪服のようだった衣装から一転して実務的(というかパート中)な格好なのも最高。エロシーンで髪をほどいて、全裸になって、という時点で結構な変貌があったんですが、エピローグでさらに変化してくるのが本当に嬉しい。

『よそのうち』アサオミ志群

 夏に彼女の家に挨拶しに行ったら、彼女の家の特殊なルールを目の当たりにする。夏休みとか盆ってことなんですかね。ものすごく季節感とリアリティのある1ページからの、「いやこんなのあるかい!」となる3ページ目の落差がすごいい。シンプルにひらがな5文字なんだけど、禍々しく思えてしまうタイトルも併せて最高のオープニングだったと思います。
 要するに家族間のセックスが当たり前に行われている家庭だったという話なんですが、さらに不気味なのが少なくとも本作で描かれる範囲ではヒロイン(娘)を中心にのみエロが行われてる点。母親も素敵な雰囲気だったので「主人公はこの人と?」とかちょっと予期してしまったんですが、2人が絡むことはなく、さらには息子が “カーチャンとかキモ!!” と言っている。まぁ、もちろん息子のツンデレ言動なのかもしれませんが、クライマックスのエロパートで家族で川の字で寝てるときもおそらく母親は不在なんですよね。「そういう家だから」という話だったら、親世代の奇習が娘と息子に反映されていくわけだけど、見た感じだと父親と娘で事が始まって、息子(弟)も参加するようになった、という感じなんじゃないかしら。だとしたらただの奇習よりも不気味……。
 クライマックス。主人公が寝てる(起きてる)横でヒロインが弟と始めてしまい、主人公はそれを盗み見、盗み聞きしてるだけ。完全に寝取られの構造なんですが、話の順番としては取られたわけではない。彼女は元々そういう人だった、と分かる部分がある意味本作で最も救いがない点。よく知ってるはずのヒロインが全然知らない人だった、という部分が下手な寝取られ作品よりも鬱勃起を誘発するw

『友達の妹』ももこ

 友人に妹の家庭教師を依頼される。妹の男嫌いを克服するためだったが、克服しすぎてしまう。この克服しすぎに至るまでの心の機微が丁寧で、男性恐怖症だったからこそ男性への距離感がバグってて、一度信頼すると依存レベルで近づいてしまう。徐々に信頼してくれて、どんどん懐いていく過程がめちゃくちゃ微笑ましいんだけど、気づくと取り返しのつかないところまで行っちゃってる。そういう意味ではロリではあるがファムファタール感の強いヒロインでもあったのかな。無知で、それ故にちょっと何考えてるか分からない瞬間もあったりして、ちょっと蠱惑的でもあるんだよな。こんな子が世に放たれたら周囲の男に何されるか分からない、けしからん……と思いながら自分が手を出しちゃう感じが最低で最高。
 恐怖症だったし、そもそも体も小さいので、とめちゃくちゃ慎重にエロを進めていく感じがねちっこくてエロい。超年下ヒロインだからこそのスローなペースが最高なんだけど、そこで慎重になる冷静さがあるならそもそも手を出さないんだけど……とすっかり主人公が当てられちゃってるのとかも良い。主人公のクズ性をもっと打ち出すバランスになってもおかしくない話なんですが、そこはものすごくアッサリとしてて、自責の念もなくはないけど、軽くトホホ的なノリで終わるのが面白い。ダークになりすぎなくて助かる、という意味もあるけど、主人公が気づいたら心の底から堕ちちゃってるというのが逆にリアルにも思えてしまう。
 ヒロインがめちゃくちゃ可愛かったのは大前提なんですが、彼女の姉の素敵お姉さんぶりがちょっとどうかしてるレベル。1ページ目は姉の方しか出てこず、要するにヒロインのロリ性を引き立てるためのフリってことなんだと思いますが、1ページ目の段階では全力で「新作のヒロイン最高じゃないですか!」となってしまったw 大人感ある姉を見た直後にロリ感強めのヒロインが登場することで「可愛い! 可愛いけど……!」という背徳感やら後ろめたさ、姉の信頼を裏切ることの申し訳なさなどが大量に湧き上がる。ほんの数ページしか出てこない背景のキャラではあったけど、あの姉もめちゃくちゃ良かった……。

サキュバスに注ぐ一週間』エロ井ロエ

 弱ってた野良サキュバスを拾ってくる。冒頭、母親に “また犬か猫拾ってきたんじゃ…” と疑われるくだりとか『ドラえもん』っぽくて笑ったんですが、それも含め、一夏の冒険(自宅内)という感じで良いですよね。今号は夏とか夏休みを題材にした作品がいくつかありましたが、夏休み感という意味では本作が一番好きかもしれない。
 拾いサキュバスサキュバスモノにまだこんな可能性が残っていたのか、と感動してしまった。エロ井作品らしい不思議設定と、その掘り下げっぷり、それにまつわるストーリーとエロというが本当に理想的。可哀想な存在だったり、庇護欲をかき立てられる存在としてのサキュバスなんだけど、当然エロいことにはなるので……というギャップであり、水と油が常に混じり合ってる感。最初の、フェラが下手なので主人公が自らシコって精子を飲ませてあげるくだりとか、絵面は完全にエロ漫画なんだけど、話としてはちょっと感動的ですらある。話としてはのび太がピー助にマグロの刺身をあげてるのと同じなのでw
 そこから言葉の分からないサキュバスと、かろうじて互いの名前は伝え合って交流が深まっていく。心温まる話なんだけど、サキュバスが犬や猫と違って知性ある生物だと実感する場面でもあるので、少しだけ「大丈夫なのか?」みたいなヒヤヒヤも混ざってくる。エサをやってるだけだから、訓練してあげてるだけだから……とサキュバスとのエロに没頭していくくだりとか主人公の後ろめたさと自分の欺瞞に気づいてるけどやめられない自己嫌悪みたいなのが漂ってて最高なんですよね。出オチみたいな始まりをしたんですが、不思議設定の掘り下げと発展が見事なので普通に感動してしまうし、ちゃんとドラマとしての味わいも濃い。頭と金玉を空っぽにするような作品ではなかった、という意外性が超好きです。ラストもまんまと感動しちゃったし、仲良くなってしっかりコミュニケーション取れるようになったヒロインのことが愛おしく思えてしまう……。

『デリバリーおぷしょん』吉田Killy

 何とかイーツを頼んだら汗だく巨乳がやってくる。自転車が壊れたらしいので一旦家にあげてあげるんですが、これ何気にギグワーカーならではの話になってて見事ですよね。宅配ピザだったら即帰らないといけないし、バイクでも置き場所の問題が出てきちゃう。自転車で(一応)個人の仕事なので無責任に人の家にあがれちゃうし、あげれちゃう。もちろん「そんなわけあるかい」となる話ではあるんですが、エロ漫画らしい唐突すぎる男女の出会いとしてかなり良いアイディアなのではないかと妙なところで感心してしまった。もちろん突然出てきた汗だく巨乳美女に心躍ったんですが。
 風呂を貸して、今まさに頼んでた飯を分けてあげる。互いに踏み込みすぎだし、そううまく行くか怪しくもなるんですが、だからこそそこには主人公の下心が介在していた……と静かにドキドキするくだりも良い。大味そうなオープニングから意外なほど丁寧に機微が描かれるんですが、そこをヒロインの方から大きすぎるジャンプで飛び越えてくる。主人公としては突然の非日常に面食らってるけど、ヒロインに対して「さては初めてじゃないな……」という印象も湧いて、その2人のギャップも良いし、ヒロインの手練れ感にも惹かれてしまう。エロが始まった際にヒロインが最初にするのがアイスを含んでのキスというのがプロの技すぎて最高。主人公の方はものすごく頑張って決心してる風なんですが、ヒロインの方はあまりに軽やかに、落ち着きつつも、心からこのことを楽しんでそうな雰囲気。突然の出会いすぎて互いのことは何も知らないんだけど、2人のキャラクターが丁寧に描かれてるのは間違いなくて、それ故の魅力、関係性やエロシーンの魅力が確かにある。
 そんな2人の温度差を象徴するかのようなオチにも笑った。冷静に考えると後腐れない、その場限りの関係と捉えてるヒロインの方が圧倒的に正しいんだけど、主人公側の勝手に好きになって、勝手にドラマチックに盛り上がって告白しちゃう気持ちも分かるんだよなw

『あなたが堕としたのは?』おりひか

 泉にバイブを落とす。前号の快楽天の予告ページに「落としたのは… どっちのバイブ?」と添えられてて、その時点でもう面白かったんですが、当然のように本編も最高でした。泉の女神がめっちゃ性格悪い(からの即堕ち)のも良かったし、セックスが始まってからの2人の攻防がバトル漫画のように丁寧な展開をもって描かれてるので漫画的な満足感が強い。そして女神のデザインや衣装も超好き。
 女神の魔法(女神パワーw)と、魔法を付与したバイブを駆使したただの人間(ヤリチン)の攻防がひたすら楽しい。即堕ちで話が終わっちゃうかと思ったんですが、そこから女神が魔法で逃げて、それを追い込むように次々とあの手この手ので展開していく。互いに策略とか心理戦みたいなのがあって楽しいし、それが気持ちいいことの説得力に繋がるのでエロ漫画としての迫力にもなる。
 基本的に竿役の方は何も考えてないというか、気持ちいいセックスできればそれでいいという感じなので、2人の間に攻防が生まれるのは完全にヒロイン側の事情。勝手に追い込まれて、勝手にセックスを提案して、勝手に負けちゃう、という独り相撲感が楽しいし、ヒロインの可愛さでもある。モノローグではあるが、考えや目的、そして悪口が剥き出しすぎるんですよね。感情の起伏が激しくてキャラクターとしての魅力が強い。セックス中に女神が女神らしさを感じさせる服を脱がなかったのが嬉しいんですが、最後の絶頂で完全に服が脱げ落ちてしまい、その後の土下座ではほぼ全裸土下座になってる、というのも様式美という感じで最高。

『委員長と問題児の仲良し♡計画』まんの

 セックスしないと出られない部屋。もはや一つのジャンルとしてお馴染みの設定ですが、それをまんまストレートにやってて清々しい。とにかく男女がセックスするためだけの設定、という切れ味。委員長が変態に振り回されながら流されるようにやっちゃうのが魅力的だし、部屋のことがあるのでセックスに関してはヒロインの方も渋々了承してる、というバランス。シンプルな設定をそのままやってるんだけど、それを丁寧に描けばこれだけ面白いんだからやっぱ人気になる設定にはそれだけの理由があるんだなぁ……とか変なこと考えてしまった。ヒロインが快楽堕ちするわけだけど、心が折れて相手にとって都合のいいことを大声で言っちゃうみたいなとこまでは行かない。気持ちとしては最後まで委員長としての意地は通しつつ、体はもう完全に堕ちてしまう、というバランス。
 シンプルでいいね、とか思ってたらラストで描かれる「部屋の外」がすごいことになってるので笑ってしまった。投げやりなトンデモオチとも取れるんですが、あのオチで本作の印象がガラッと変わってしまう。こんなことならもっと相手と仲良くなるようにすればよかった……とか思っちゃいますよね。ただし、男の方は何の後ろめたさも暗さもなくカラッとしてる、と「もうダメだこいつ……」感あってこれまた楽しい。絶対続きとかないんだろうけど、「この2人は今後……」とか考えちゃいますね。たまにエロのある連載とか、そういう規模の作品を妄想してしまう。

『がんばれカノンちゃん』ゆりしましろ

 前号デビューでいきなり2号連続掲載ってすごいことになってる。しかも作風というか、話の方向性が全然違う。本作は完全にオモシロ設定系ですよね。
 そんな本作。イキやすさが武器のAV女優が時間停止AVに挑む。AV女優モノとか、時間停止モノの漫画は読んだことあるけど、時間停止AVを撮影する話は目から鱗で設定の段階でめちゃくちゃワクワクしてしまった。面白すぎる。
 しかも、AVで、時間停止というと、何となくヒロインが酷い目に遭ったり、イキ狂ったりする話を想像しちゃうんだけど、そんなことはなくて、撮影チームが普通に良い人たちなので驚いた。ヒロインも真面目に頑張るし、それを支えるスタッフたち陰ながら支える感じで好印象。監督たちと一緒に「頑張れ……!」と応援しながらエロシーンを読み進める、という稀有な読書体験w 普通に良い話なんだけど、絵として描かれるのは時間停止AVで、しかもヒロインはハードにイキまくる。絵としてはめちゃくちゃ王道のエロさがあるんだけど、話とキャラクターへの印象は「良かったな」みたいな謎の爽やかさがw
 実際に時間は停止しないけど、停止してる演技をする女優、というめちゃくちゃ複雑なエロシーンなんだけど、その描写もめちゃくちゃ良かったですね。顔は大きく動いてないので「演技としてはセーフ」というのは分かりつつ、明らかに快楽が蓄積して顔がどうにかなっちゃう寸前、というバランスが丁寧に描かれてて応援したくもなるし、必死さが可愛くもあり、やっぱりエロい。短めのページ数の作品なんですが、いくつもの場面を撮影するので、エロ描写は豊富だし、何より衣装が何種類もあってそこもまた個人的に嬉しかったです。控え室のシーンでオフの格好が差し込まれるのもありがてぇ。バスローブとかAV女優っぽくて好き。

『起きてってば!』こやま滋

 せっかくのデートの日に寝てる彼氏を起こしに行く。2ページ目の登場シーンにおけるヒロインが可愛すぎて一気に掴まれた。格好も楽しみにしてたデートらしい気合いが感じられるし、そんな格好と相反するムカムカ顔というのが超可愛い。たぶん登場シーンの初速という意味では今号ぶっちぎりで好き。ここだけ切り取ったら全然健全というバランスとかも好きなんだよなぁ。
 話としては寝続けてる彼氏を襲っちゃう。「あーはいはい 睡姦ってやつね」とか想定しながら読んでたら描写がいきなり彼氏の夢の中へ。超面白かった。現実の睡姦と夢の中の特殊なシチュエーションでのセックスが同時並行的に描かれる。夢と現実でごっちゃになりそうな話なんですが、2人の格好、彼氏の体勢に大きな特徴があるので場面が何のキッカケもなく切り替わってもスムースに理解できる。ここらへん普通に漫画としてめちゃくちゃうまいんじゃないかと思います。それと、夢なので状況が一瞬で激変しちゃう感じとか「夢ってこんなだよね」とすげぇ好き。特にエロい夢ならではの都合の良さと不条理感w 現実はヒロイン視点だけど、夢は彼氏視点という捻れも良い。
 ただ、夢と現実、それぞれのセックスが進行し、激しくなっていくと2つのセックスにパッと見で分かる大きな違いが徐々になくなっていき、夢と現の境が曖昧になっていく感覚。前半は明らかに分かりやすかったんですが、終盤はちょくちょく「あれっ 今どっちだっけ?」とかなりました。それでも現実における彼氏側の衣装が固定(当たり前だw)なので明確な違いはあり、漫画として困惑するわけではないが、劇中のキャラクターと同じようにまどろみの中で気持ちよさだけに浸る感覚が味わえる。夢の中の彼氏が攻める側に逆転すると、最終的には現実の方でも……となるのとか説得力ある展開で良かったですよね。寝たまま攻めに転じる、って普通の漫画だと「漫画だからね」という都合も感じつつ楽しむところなんですが、本作だと「あの夢見てたらそりゃね」と納得できてしまうw

『お兄ぃと特訓♡』といん

 エッチしたら足が速くなると思い込んだ妹がお兄を襲う。冒頭の健全パートから日焼け跡が炸裂して最高なんですが、スポーツウェアを着た状態なのに日焼け跡、というのが新鮮。よりガチ度の高いウェアへ最近変えたので、露出が増えた部分が日焼け跡になってしまった、という感じだろうか。そんなウェアのままお兄ぃとのエロパートに至るのもありがたいんですが、その前段階としてウェアの上に制服という状態を挟んだのも最高。「脱いだらウェア」という絵が強烈で、この場面によって、あれはエロいものなんだと刻み込まれてしまう。
 元気いっぱいでエロに至らなければラブコメ感もあるヒロインがめちゃくちゃ可愛いんですが、その誘いを断れずに流されてしまうお兄ぃも微笑ましい。妹を溺愛してる優しい兄というのが伝わってくるし、溺愛してるからこそ妹の誘惑に対してあまりに弱いw なけなしの理性で断ろうとするくだりも2人の関係性が出てて超可愛かったですね。お兄ぃの扱いに慣れてるヒロインの魔性も魅力的。年下ヒロインの王道を行くようなタイプかと思いきや、対お兄ぃに関してだけだけは手の上で転がすような魔性の女ムーブが様になる。してやったりな妹も可愛いし、あまりにチョロいお兄ぃも可愛く思えてくる。
 言及されたり使われたりはしないけどやけに気になるアナル描写も良かったですが、やはり日焼けと日焼け跡描写が絶品。エロパートだと色白のお兄ぃに抱きつくことが多いので、そことのコントラストも映えまくりで、そこからの彼女自身の中心部の白さという二重のギャップが楽しめる。

『週刊ウラNews!』アシオミマサト

 ゾーニングした上で規制が緩和された世界における、エロありの裏ニュース番組。女性アナウンサーのニュース番組を扱った作品ってバカ路線になりやすい傾向があるイメージなんだけど、本作はバカ設定の中にもアナウンサーとしての知的さ、上品さみたいなものがほんのり残ってるバランスが良かった。話も彼女の言動もめちゃくちゃバカなんですが、それでも女性アナウンサーという属性がまったく崩壊しない。
 今号の『がんばれカノンちゃん』とも少し通じるんですが、現場の雰囲気がピースフルで、みんなそれぞれ良い人(やってることはバカ)というのも良いですよね。彼氏のADくんが控えめな性格ながらナイスガイですし、チラッと出てきた女性プロデューサーっぽい人もバカな番組にやりがいを感じてる風で見ててニコニコしてしまう。ただ、バカな番組をやりながらセックスに至る話なんだけど、なぜか最終的には社会的な悪を追求し、裏が表に一発食らわせてやる話にまでなってしまうので驚く。しかも表の大物に対する有効打となったのがハメ撮りによる副産物なので笑った。いや、笑いながらもしっかりした話のオチがついたことに感心もしてしまう。あれっ、いつの間にか良い話にもなっていた……?
forms.gle
 終わり。エロ漫画冒頭の、日常パートにおけるただ服を着てる場面、めっちゃ良いよね……。毎回のようにそう感じるんですが、思い返せば思春期の頃、「グラビアアイドルは水着より服着てるときの方が可愛い」と感じていたのを思い出した。エロ漫画感想は自己分析もしくは思わぬインナートリップへと誘ってくれる……(クソみたいな話のまとめ)。
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