北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2023年10月号の感想

 季節の変化が極端。こういうときは十中八九体調を崩します。雑魚フィジカル。
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『種村くるみは今日も可愛い』亜美寿真

 タイトルがそのままあらすじになってるような作品なんですが、最後まで読むとその印象が変わってくる。バスケ部の姫という感じの可愛いマネージャーで、冒頭の定点カメラ(エロ漫画用語ではなく)でバスケ部の日常を映したような1ページ目が印象的。周囲の男たちがいかに狂わされちゃってるのかが端的に描かれてて微笑ましい。いや下心が見えて気持ち悪くもあるんだけど、特に幽霊部員の人とかあまりに幼稚で笑ってしまう(たぶん私もああなってしまう)。
 平たく言うと「あざとい」タイプの人間で、しかもそれが天然ではなく計算でやってると主人公は見抜いている。ここまで揃ったらヒロインこと嫌いになっちゃうというか、普通だったら嫌な子として扱われそうなもんなんですが、本作ではその「あざとい」を彼女の意志の強さとして描いている。彼女なりのセックスアピールだと分かると途端にいじらしい。読者としての第一印象がひっくり返るというか、ヒロインのキャラクターとしての多面性もしくは奥深さに引き込まれる。そんな彼女の特殊なキャラクターが象徴的に描かれたのが、エロパートに入る直前の “今度は誘われてくれるんですか” 。最高のセリフ出ちまったな……。
 こういう話だとセックスで余裕がなくなって素の顔をさらす話になりがちというか基本的には本作もそうなんですが、パンツ脱いだ際にドヤ顔するのが意外で、しかもめちゃくちゃ可愛くて不意打ち。「ドヤ顔するタイミングそこ!?」と端から見ると思っちゃうんですが、まだ余裕の残ってる段階のヒロインの意志の強さというか、「これが一番好かれるはず」と信じてやまない感じがどこかズレてて本当に可愛い。イチャイチャ特濃な作品なんだけど、2人の間では常にちょっとだけ攻防のニュアンスがあるのが可愛かったですね。
 個人的にすごい好きなのが挿入した際の挿入されたチンコ。白抜きではあるけど、やたら立体感ある構図のど迫力チンコ。それまでが微笑ましいラブコメ的でもあっただけに、このチンコで一気に本作がエロ漫画になってしまった。最高。

『くちとどめ』ごさいじ

 オタ友に囲まれる陰キャだが実はギャルと付き合ってる。恋人始まりな作品ながら主人公にこじらせ感があって最強のごさいじ作品主人公って感じ。ただ、トータルで考えると陰キャにしとくにはもったいない人材というか、モテて然るべきでもあるんだよな。友達も多いし、友達(後輩)の姉と突然出くわしても仲良くできて、最終的には自分から告白もしてて偉い。最強オタクか……。典型的なオタクにも見えるけど、サブカルイケメンにも見えるというデザイン的なバランスも見事でしたね。最強生物。
 ヒロインはいわゆる「オタクに優しいギャル」にも思えるんだけど、主人公が意外と立派なので、そんなに都合のいい存在ではなく思えてくる。主人公がこじらせマインド発揮してるので、2人のパワーバランスとしてはヒロインが優位に思えるんだけど、よく見ると彼女は至ってフラットに接してるだけ。めっちゃ良い子……。
 メインのカップル以外の脇役たちもエロ読切とは思えないほどキャラが立ってるのも好き。ヒロインのギャル友もヒロインと対照的な冷静さで良いし、現実を直視できない主人公のオタ友たちの心理のリアルさったらない。そしてやっぱり主人公の後輩であり友人(そしてヒロインの弟)が数コマしか出てこないのに良すぎる。「姉を取られた」じゃなくて「先輩を取られた」なのがもう本当に素晴らしくてですね。もちろん冗談混じりに言ってるんだろうけど、その冷静さとか淡白な感じが最高。ただ、よく考えたら、帰宅したら事後の状態の姉と先輩とエンカウントってなかなか壮絶なイベントですよね。BL的な妄想の余地がある男性向けエロ漫画。24ページでこの奥行きはすごい。

『シスターザーメン』肉棒魔羅ノ進

 ストレスが溜まるとシスターコスして徘徊する女性と出会う。説明が説明になってなくて笑ったんですが、変態シスター衣装が異様に可愛いのでオッケー! 目隠しというのもヘキを感じると同時に、脱いだらショートという意外性(勝手な思い込み)もすごい良かった。どっちとも可愛いし、衣装を着たら気が大きくなって言動も豹変するのでキャラクターが2人いるかのような豪華さ。さらには、エピローグで目隠し頭巾が透ける描写が初めてなされるので新たな魅力が爆発する。可愛すぎだろ……。
 本作の特筆すべき魅力はアナル。いや、肉棒先生の作品はいつだってアナルが特筆すべき存在なんですが、本作はマジでアナルにしか興味がない。いきなりアナルに挿入してるし、その後もアナルオンリー。さらには特殊衣装の関係で前の穴は見えることすらない。あまりの徹底ぶりに笑ってしまうと同時に「作者が本当に好き勝手やってる!」と変な感動みたいな気持ちにもなってしまった……。信頼と実績を積み重ね、ついに勝ち取ったアナルオンリー。
 即挿入なので、今までの作品で見られた挿入中に物欲しそうにこちらを見てるアナル(幻覚)、という描写はない。ここらへんは悩ましい二者択一ですね。ただ、クライマックスで射精後にチンコを抜く場面で満を持してのアナル大映し。まぁ、性器扱いされたアナルは白抜きの対象という悲しい現実も目の当たりにするんですが。ただ、精子を吐き出した直後のおちょぼ口になってるアナルは圧巻の迫力でしたね……。

『JKクエスト』mogg

 位置情報のみでマッチングするパパ活アプリ。mogg作品でたまにある不思議設定かつインモラル路線なんですが、このアプリの設定はマジで天才なのでは……。内容が内容なので実現することは絶対にないけど、健全目的で何か有効な使い道はないだろうか……とか考えてしまう。それほどにアイディアが見事すぎる。
 位置情報ゲーム感覚なので、街中で出会ったJKにその場で声をかける、というハンティング感がインモラルですごいんですが、一応ゲーム内で女性側の合意も得る仕様になってるので実際は意外なほど健全(麻痺)。それでも読み味としてのインモラル感が強めなのはmogg先生の手腕なのでしょう。最初にOKをもらうから、オジサンが何の遠慮もなく好きなことを要求してくる、というところに暴力性がある。普通のマッチングアプリだったら事前にテキスト上のやりとりをするけど、本作は街中で出会ったばかりなのに……というところが強い。設定の妙。これでSとMの指定とかもできるようになったら無敵なのではないだろうか(事件事故待ったなしだが)。
 アプリがある世界、というのが本作の肝なのでヒロインは固定ではなく、次々と代わっていく。出会ってからエロが始まるまでが以上に早いのもあって、エロのボリューム感が異常ですよね。ヒロインのキャラ、制服、衣装が全部違うのでマジで贅沢な作品。

『ホットスパイスチョコレート』翁賀馬乃助

 メイド喫茶のメイドとバイト店員。翁賀先生、この前作までが単行本3冊目で、最近ギャルが多かったのは単行本のコンセプトなのかと思ってたんですが、(あるなら)次の4冊目収録分の本作がクセ&ヘキつよつよなヒロインなので笑ってしまった。大きい仏頂面女性が棒立ちしてるだけの扉がちょっと素敵すぎるんですよね……。メイド衣装とかめちゃくちゃ凝ってて可愛いんですが、彼女に媚びのマインドがマジで皆無なのが明白で最高。
 とか思ってたら脇役として正統派に可愛いメイドキャラが、ちょっと信じられない数出てくるので驚く。デザインも凝ってるしキャラクターも立ってる。今号だと『くちとどめ』もやたら脇役のキャラが立ってて最高だったんですが、本作の女性キャラたちは普通に本気のデザインをしている。メインヒロインを除外しても好きな女性キャラが絶対1人は見つかりそうな勢い。個人的には “キャストは全員で17名” のコマの後ろで手を振ってる子で死にました。
 女性キャラ多すぎて「読切なのに正気ですか?」とか思ったけど、どうやら本作は続くらしい(クリフハンガーではない)。いやけど、前後編だとしても本作の主人公が店内のメイドさんをハーレムにする話になるとは現状思えないので、どういうことなのかしら。この店を舞台にしたシリーズがその後も続くとかなら納得ですが、だとすると脇役として本作のルゥルゥが出てきたらキャラ強すぎて笑ってしまいそうだ。
 言葉もつたなく、何考えてるか分からないヒロインにされるがままエロパートへ突入。初手で「チカラでは勝てない」と示されるのとか最高でしたね。ただの体格差では終わらない魅力。エロが始まっても全然表情が崩れず、表情から何も情報が読み取れないのも主人公の立つ瀬が1ミリもなくて好き。挿入後はさすがに多少表情が崩れる場面があるんですが、そういうときに限ってバックw
 ちなみに、ヒロインが劇中で一番驚いてたのは何にでもヨーグルトをかけることを注意されたとき。あれだけマイペースだったのに迫真の驚きなので可愛い。
 驚きっぱなしの作品だったんですが、極めつけがアナル。まさかのアナル。しかもアナルオンリー。そして特殊衣装で前の穴は一度たりとも見えない。まったく同じ感想を『シスターザーメン』でも書いたばかりだ。今月の快楽天すげぇな。ちなみに、アナルを使う理由はどちらも同じ。本作の場合は母国の宗教観という要素があって細かくは違うけど。
 てか、「勤務中もあのパンツ穿いてたのか?」と心配な気持ちにもなってしまいますね……。

『押しかけ狐の恩返し』蟻吉げん

 山を出たい狐が押しかけてくる。年齢はよく分かりませんが、当然のようにいわゆる、のじゃロリ。狐の耳、尻尾を含めた感情表現が豊がめちゃくちゃ可愛かったですね。基本的に落ち着きのあるキャラなので、エロパートも含め極端な表情とかはない(序盤にちょっとデフォルメがあるくらい)なんですが、その中間の機微がめっちゃ豊かでじっくり読めば読むほど沁みる……。個人的には、冒頭の和装からすぐに洋装へと変わるのも嬉しい。おまけに狐時の姿も2コマだけあってこれも可愛い。何なら狐状態もっと見たかったし、ベッドで撫で回したいし、抱いたまま寝たい。まぁそこまでやるとエロに移れなくなるからダメか。悩ましい……。
 エロパートも落ち着きのある雰囲気のまま完全にヒロイン主導。ほとんど献身という感じですね。快楽に浸るような描写もなくはない、程度の少なさだったのも本作としては良いバランスだったと思います。あとは、プレイの最中にずっと優しく語りかけてくる感じも超良かったですね。顔を近づけながら語りかけてくる場面では優しさも感じつつちょっとだけ攻めのニュアンスが強まっててそういう機微が絶品。あとは、どんな体位になっても目立つ大きな尻尾が良いですよね。あのフサフサの尻尾、良いよね……触りたい……。

『はたらけ!みなみちゃん!』梅田ノーチラス

 可愛い制服の店にバイト希望を出したらエロい店だった。梅田作品の、元気いっぱいなラブコメのノリのままエロへとシームレスに変わっていく感じ超好き。絵も、非エロのコメディパートとエロパートのどちらにも違和感がなくて、エロコメディやってると思ったら気づいたら本格エロになってる感じとか大好物なんですよね。
 ヒロインがツッコミ側の立場になるんだけど、彼女が強すぎてると当然エロになんて発展しないわけで、適度に弱い。そこに優しさが感じられるんだけど、優しさでありつつちょっとチョロいみたいな雰囲気もあるのが本当に可愛い。店長にまんまと乗せられてメイドビキニになるくだりとか最高だったし、完全にエロが始まってからもツッコミは続けるんだけど、徐々にツッコミとしての意志が弱くなっていくというか、なぁなぁになってずるずると挿入に至る感じとか最高。話の良さというか、ギャグ的なノリの良さと絵の良さ、そしてエロとしての良さが不可分。
 あとは、マイクロビキニのメイド服(服なのか?)の衣装としての魅力。そのままエロに突入した際に、メイド服を半脱ぎにしたような絵面に近づく感じがしてめっちゃ良いんですよね。エロパートに入ってからの方が衣装としての魅力が輝いてたと思う。あの肩の部分だけ謎に残ってるデザインとかマジで天才だったな。メイド服の本質はあの肩の部分だったのかもしれない……。

『秘めトモ』雛原えみ

 主人公がめっちゃイケメン。学校でイケメン扱いされてるからイケメンキャラ、みたいな漫画としての扱いではなく「こういうイケメンいそう」ってデザインのイケメンで変な感動をしてしまった。エロ漫画でこういうタイプのイケメンが珍しいので新鮮。何回イケメンって書いてんだ。
 そんなイケメン描写の緻密さも良かったんですが、ヒロインの衣装もめっちゃ良い。単にオシャレで眼福というのもあるけど、やはりそのキャラクターがよりリアルに見えてくるような魅力がある。今回のハデなギャルのキャップとか良かったなぁ。キャップとタバコね。主人公の「手でされたい」という話に説得力を持たせるかのような手の仕草の魅力よ。
 主人公は性の趣味を打ち明けられずに悶々としてたタイプだが、一方ヒロインは趣味を全開にする場(裏垢)を持ってエンジョイしてる。主人公のこじらせ感と、ヒロインのカラッとしたギャル感の組み合わせもめっちゃ良かったんですが、試すように変態プレイを続けていって徐々に心が開けていき、コミュニケーションとして深くなっていく、みたいな変遷も良い。単純にエロとしていろいろやってて眼福なんですが、その流れに2人らしいドラマがあるというか、関係性としての魅力や変化がある。話の流れ上ヒロインがいろいろ仕掛ける側なので、当然彼女が攻めの立場にあるんですが、最後の最後に主人公が積極的になり、しかもバックで、というクライマックスも最高。
 エピローグの、そういう関係になった2人の日常というのも超魅力的だったんですが、こうして見ると社交性がやや弱いイケメンくんがハデめギャルに捕まる話ということで、なんかめちゃくちゃリアルに思えてしまうな……。

『そしてデキたのがこちらです』層積

 やばい、層積先生の煮こごりみたいな新作で良すぎる……。ぼくのかんがえたさいきょうのそうせきさくひん。名刺代わりの一本みたいな風格も感じる。具体的に何かはうまく説明できないけど、weekly快楽天に載ってた初期の頃のような雰囲気も感じる。が、絵としては最新進化型としたの破壊力で最高。ダブルメガネなのも個人的に嬉しいし、ヒロインがスーツで、しかもパンツで刺さる……。着たままエロが始まるのも助かるし、ブラウスだけ脱いで、というワンクッションも好き。
 非エロパートだけでこれ以上ないほどヒロインの表情を見せてて正直そこでもう優勝みたいなところはある。元気かつ振れ幅いっぱいの表情が最高なんですが、酒が入るとっややダウナーになり、そこから徐々にエロへと助走していく感じもたまらん。しっとりした雰囲気になるが照れ隠しのようにギャグが挟まれるのも緩急としても良いし、何よりリアル。挿入するとその余裕すらもなくなって、照れ隠しが今度は枕に顔をうずめる。イチャイチャ度は高いけど最初はバックで、しかも顔は見せないというのが良いのよ……。それだけでも良かったのにその後ちゃんと面と向かってもう一回やってくれるんだから全方位的にありがたい。エピローグで2人のメガネが外されるのも「風呂だからそりゃ外すよね」というリアリティとして好き。「絶対外すな」的な主義の人の気持ちも分からんではないけど、これなら安心でしょ。たぶん。
 フィクションの世界ではお馴染みのイベントになってる恋人になったら呼び方を変えるアレ、個人的に「自然に変わったならいいけど無理に変えなくてもいいんじゃない?」と思ってたので、本作の扱いが嬉しかったです。まぁこれもどっちでもいいっちゃどっちでもいい(変えたい人は変えればいい)んだけど、「変えない方が」派の人も当然いるよね。

『酒カス天女』夢叶羽どどどちゃん

 終電を逃し路頭に迷ってると酒カス女性に捕まる。喫煙所で「タバコ一本くれません?」というのならまだ分かるけど、まったくの初対面で「酒奢って」は理解の外すぎて笑った。正直ちょっと怖すぎるんだけど、主人公も捨て鉢になってるというか、失うものはないので乗っかってみた、という感じですかね。ああいう深夜のノリはちょっと分かる。
 店に入る金もないのでコンビニの酒を路上で飲んでるとエロい雰囲気に。主人公の吸い寄せられるような感覚がリアルで良かったんですが、途中で背景が描かれたり、引きのコマが差し込まれるので「ここ路上じゃん!」と一瞬我に返る。主人公としてはそんなことも気にならないくらい没頭しちゃってるんだけど、読者的には端から見たら2人は同類って感じになってて味わい深い。路上モノで定番の「バレるかも」というサスペンスを煽る感じではないのが新鮮でした。深夜のさめた空気みたいなのが感じられるというか、広い街に2人しかいないような感覚。ただし、この後で人が来て逃げることにw
 使う予定ないのに持ってるコンドームをヒロインにいじられるの好き。ちょうど直前の『そしてデキたのがこちらです』でもあった描写なんですが、マジで良いよね。本作は特に主人公の背伸び感もあるし、もしものときのために準備してたゴムを見て「そのもしもが来たよ!」みたいな感慨深さも感じちゃう。
 あまりに夢のないエロの終了シーンも最高だったし、エピローグにおける主人公のチョロさも可愛い。からの早すぎる&気まずすぎる再会にも笑ってしまった。もう話すことないだろ……。

『蒸熱』てぃーろんたろん

 付き合って3ヶ月のカップル、彼女は自身の匂いが気になっていて……。夏の終わりから秋の始まりくらいの時期ですかね(もしくは春)。季節感という意味ではまだちょっと早いんだけど、汗塗れの自分の体の不快感がやけに気になってしまって……という感覚と心理はめちゃくちゃ生々しく感じられる。寒いので窓を閉めた部屋というのがヒロインにとっては困ったシチュエーションで、その中が徐々に蒸気で満たされていく。あのイヤァな湿度がめやくちゃリアルに感じられる。この湿度、湿気の描写がマジ絶品でした。本来なら不快だし、ヒロイン的にもコンプレックスを刺激されるもののはずなんだけど、その蒸気が2人の体から発せられるエロそのもののように感じられる。事後にその湿度を改めて感じるが、元々は嫌いだった匂い今では好きになっていて……というある種の成長物語みたいな決着も超キレイだったと思います。最初は彼氏が匂いフェチで変態的な印象も強かったんですが、意外なほどラストシーンはキレイだったなぁ。セックスの最後に汗以上に臭い精子と向き合うことになるが、そこまでうまくは行かない、というオチも微笑ましくて好き。最後にデフォルメが描かれるのが可愛い(それまではそんな余裕がなかった)。
 湿度描写の見事さと重なる話なんですが、汗で濡れたビショビショの服、というのも素晴らしかった。着てて気持ち悪そうという生々しさと、その一線を越えちゃった人視点ではそれこそが途方もなくエロいのだろうな、と納得させられちゃう感じ。ビショビショかつ蒸れ蒸れの靴下とか最悪で最高だったんですが、ヒロインがシャツとスカートを脱ぎ捨てたコマとかすごく好き。あの湿度の固まりを捨てた分、本人は快適になってるはず、という感覚もあるんですが、それ以上にもう戻ることのできない大きな一線を踏み越えたという踏ん切りみたいな印象。

『その乙女、才媛につき』余命3週間

 家庭教師の教え子に告白されて付き合ってるが彼女が全然勉強してくれない。家庭教師の教え子は定番の設定で順当にワクワクしてたら扉におけるヒロインが才能豊かすぎるので笑った。手に負えねぇw 独りで緊縛&目隠しして待ってたことにも驚くんですが、目隠ししても満面の笑みなのが伝わってくる……。緊縛も目隠しも本来なら受けの行為なはずなのに、本作においてはそれが逆転しちゃってる。まともに動けるかも怪しいヒロインにその場を支配されてる状況が面白いし、それに誘われるがまま堕ちていってしまう主人公の立場も非常に良い。とんでもない言動はされてるけど、言うてもラブラブなカップルなので……という関係性が独特ですよね。主人公が完全に乗り気というわけでもないけど、「やれやれ」的な引いた立場でもない。
 ヒロインが用意したグッズが無数にあって、手当たり次第使っていく展開なんですが、「これどうなってんの!?」みたいなグッズが何の説明もなく出てくる感じも好き。最初こそローターと電マという定番アイテムだったんですが、あの乳首のやつは電動で吸い上げるってこと……?
 その後の挿入は拘束も解いての通常プレイなので安心だけど、頭の片隅で「手加減されてるのかもな……」みたいな気持ちにもなる。主人公は満喫してめっちゃ満足してる風だけど、「本当にこんな普通ので彼女は満足できるのか?」と怪しんでしまうし、実際にそうなるw
 前半にあった、ヒロインが狂った日常生活の中で認識をより狂わせていく、という委員長との会話シーン。常識がぶっ壊れた会話で笑ったんですが、それにしてもこの委員長もめちゃくちゃ可愛いですね……。あの委員長の定番というビジュアルで腰痛がってる姿があまりに良すぎるw

『変態同士』赤セイリュウ

 変態の主人公が優等生のヒロインに弱みを握られ、セフレになる。「そうはならんやろ」的な飛躍が楽しい作品なんですが、雰囲気やじとっとした湿度が決して本作をコメディにはしてない。この語り口であのぶっ飛びヒロインの話をやるという意外性がめっちゃ良かった。
 冒頭の場面、机から女子のパンツを取り出してクンクンしてしまう主人公の背後からヒロインが現れる。弱みを握って……という展開自体は定番なんですが、中盤で主人公はパンツを盗んだのではなく、ヒロインが彼の机にパンツを仕込んでいたと明らかになる。まさかの叙述トリックにテンション上がると同時に、ヒロインのヤバさが想定以上なので少しビビるw ヒロインは長年主人公がエロい目で見ていたことに気づいていて、それで運命の人(=変態同士)と気づく。ずっと見てたし、見てるのに気づいてた、というのは普通に甘酸っぱい恋愛モノとしても成立しそうな話なのに、どうしてこんなにも変態になってしまったんだ……と膝から崩れ落ちるような思い。同時にめちゃくちゃ面白い。主人公がただの被害者ではなく、ちゃんと彼も立派な変態っていうのが良いよね。そして、騙されたような形になったことに腹を立てて攻めが激しくなり、そのまま挿入。ドラマの盛り上がりと、キャラの感情の盛り上がり、それがそのままエロの盛り上がりとシンクロしてるのが素晴らしいと思います。エロ漫画ならではの醍醐味。
 ヒロインが拘束されているが、2人の関係性における主は彼女の方、という捻れた関係性は直前に掲載された『その乙女、才媛につき』と奇しくも同じ構図ですね。なのにこんなにも読み味が違う作品になるとは……。今はついていけてるし、おそらくエロにも満足してるけど、ヒロインに比べて主人公の顔が全然嬉しそうじゃない、というラストページの味わいとか超良いんだよな。「このままでいいのだろうか」的な葛藤が感じられるというか。

『おとなのおもちゃ』藍夜

 入った会社が子供のオモチャじゃなくて大人のオモチャ。序盤がコメディ調で進行するんですが、そこでのヒロインの元気いっぱいのリアクションが本当に可愛い。藍夜作品といえば寝取られとかダークな話の印象が強いのでこのストレートな可愛さが全開の姿にまず魅了されてしまった。
 「オモチャ会社だから営業の際に実際に使ってみるのは当然だよね?」と狂った常識が展開されるあたりもまだコメディとして笑えるし、ヒロインもそういうノリの可愛さがあるんですが、実際にエロが始まるとそこは信頼と実績の藍夜作品という感じで、この落差が本当に良かった。オモチャを挿入する直前まではまだギャグ的なリアクションを保ってたんですが(超可愛い)、いざ入れると途端に快楽堕ちへの雰囲気へとガラッと変わる。最終的には冒頭の楽しさが見る影もなく……という転落劇。
 ただ、それだけで終わらないのが本作のすごいところで、エピローグではまさかのコメディ調へと戻って終わる。ヒロインが才能を開花される、というまさかすぎるオチには笑ったんですが、コメディ的な可愛さも保ちつつ、エロも大好きって究極生物が誕生してしまったのでは……。

『あにょめ』かるま龍狼

 人妻が暑い中帰ってくると夫が風呂に入っているのでサプライズで突入……が夫ではなくその弟だった。ショタというほどではないと思いますが、2人の力関係の差にはそれにも近い良さを感じてしまいますね。気づいたときにはもう手コキしちゃってた、という気まずさと、おねショタ作品のような愚直な竿とそれに翻弄される大人ヒロインのギャップが良い。
 冒頭の勘違いもそうなんですが、ヒロインが弟くんの誘いに乗るまでの葛藤が軽いというか、割とあっさり “仕方ないわね…” となるのが妙に良いんだよな。コメディとしての軽さもありつつ、人妻ヒロインとしての「あらあら」感も楽しめる絶妙なバランス。
 ヒロインが承諾してからは、彼女が上になってねっとりと前戯、からの挿入。この主従が逆転する感じが良かったんですが、そこからさらに弟くんが攻めに転じるんですが、そこではバック。「実は昔から好きだったんです」的なエモい話にはならないので、この即物的なエロを貪るようなプレイが印象的でした。序盤もそうだけど、全体的に妙にドライな雰囲気があって、そこが魅力なんですよね。
 エピローグ。夫が帰ってきて即バレ、絶体絶命と思ったら、ここで本作最大の「そうはならんやろ」となるのでマジ笑った。序盤も少し不思議世界ではあったけど、最後の最後でいつものかるまワールドが濃厚に感じられて最高。

「読者ページ」

 葉月つばささんのコスプレコラム。前号からの1コマのチョイスが「めっちゃ分かる……」という感じで嬉しいんですが、今回は特に再現度が高くて驚く……からの激安だったと知ってずっこけました。いや、安くてあの再現はむしろ夢のような話か。というか、元の作品における「地に足ついた範囲でのオシャレ」という解像度が異常に高かったと逆算的に浮かび上がってきた形ですね。プロとプロのぶつかり合いによって素人には知る余地もなかった真実が垣間見れた、みたいな。
forms.gle
 終わり。正直な話、かなり順調に書き進んでたので、途中で実写『ONE PIECE』にハマらなかったら数日は早く更新できてた気がします……。
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