北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2021年11月号の感想

 weekly感想もよかったら読んでね。
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「表紙」フライ

 フライ先生の表紙3回目ですけど、今回エロの度合いがかなり増したというか、最後の一線に肉薄してきたのでドキドキしますね。チキンレース的なハラハラ。
 何も隠せてないフリフリの衣装も可愛かったんですが、それを泡と解釈したYUG先生も見事だったと思います。

『straying』Hamao

 『wellcome!』に出てきたエロに至らなかった方の子の続編。とkomifloコメ欄を見て気づく。これは気づかんかった……。ガチ勢の知見マジで助かる。あの続きだと考えると、本作の中でうっすらと語られる翔の失恋の重みが段違いですね。あの子があの後フラれたのか……。エロ漫画に出てくるカップルって寝取られとかそういうのを除けば基本成就するので作品と作品の間の時間で失恋をしている事実がズシンと来る。この展開は珍しいというか初めて見たかもしれない。すげぇわ。
 それはさておき、本作としては、翔のことを好きな女の子の話。主人公ですらないという視点の変更も見事ですわ(見事すぎて気づかなかったんだけど)。大学での友人との旅行。結構な人数がいて、その中の2人。2人きりになって、そこからドキドキする空気になって……という展開が良い。そこに恋心(と過去の失恋の思い出)が乗っかる。そこまで長いページではないのにめちゃくちゃ濃い感情のドラマがあって、それらが乗っかったエロパートが熱い。
 そんなエロパートの開幕を告げるキスシーンが最高ですよね。何あの構図。2人のキスした顔の下で見切れ、その下の空間の奥に反射した2人が映ってる。顔が見えず2人の感情を想像させられるエモさと、実際に絵が見れる満足感の両立。場面として強い。
 その後も初々しくも気持ちの強さが行為に反映されてるようで非常にエロい。緊張はするけど頑張る、みたいなヒロインの姿がすげぇ魅力的です。エロが進むと同時に気持ちが高まっていって、最終的にその気持ちが爆発して告白。このまま幸せ絶頂のままフィニッシュじゃい……と思ったら、フィニッシュ寸前にすれ違い(誤解)になるのでビビった。ここすごかったですね。マジで初めて見た。ヒロインとしては明らかに失恋を確信するような瞬間、彼が果てる。せつねぇ……。フィニッシュの瞬間をこんな感情で描くってのがすげぇし、そんな変則的、実験的とも言える作品を巻頭に持ってくるのもすげぇ。まぁ、これは単にHamao先生が人気だから、という理由なんだろうけど。最終的にはハッピーエンドでラブコメっぽい雰囲気でホッとするし、安心しつつ、照れつつ、ちょっと怒りつつのヒロインの表情が可愛すぎるんですが、そんな作品のエロパートの最高に盛り上がる場面がアレってのがすげぇ。心理の機微を丁寧に描く場面なんだけど、セリフとしては必要最低限で、ヒロインの表情と視線を外す動きだけで読者的には「つれぇぇ!!」と刺激されるので最高。かと思ったらハッピーエンドなんだもんなぁ。緩急どうなってんの。

『エッチなことは』亜美寿真

 彼女にエロ漫画を見つけられる。AVはオープンだけどエロ漫画は隠してた、というのがめちゃくちゃリアルなので笑う。隠してたから彼女はめっちゃ調子に乗るし、という心理も分かるんだけど。そんなエロ漫画の名前が「π楽天」なのが最高でした。パイによる快楽w
 恋人同士がエロ漫画の再現をプレイとしてすることになるんですが、その現れとしてヒロインがツインテールにするんですよね。ロリものの象徴みたいな扱いなのでしょう。んで、本作のヒロイン、プリンなんですよ。髪が。プリンの子がツインテールにすると……というビジュアルが個人的にめちゃくちゃ衝撃でした。あの絵面はマジで初めて見た。そもそもツインテールにするような子はプリンにならないんですかね。普段はツインテールにしない(プリンの)子が、というレアリティなのかな。根本が黒いってのは当たり前の話なんですが、いざ絵として示されると「こんなことになるのか……」と目から鱗に近い感動がありました。あのツートンカラー良いなぁ。
 エロ漫画的なプレイを目指すんですが、本作でメインとなるのは台詞回し。現実ではあり得ない言葉がエロ漫画では当たり前に頻出する。それをエロ漫画にするんだから、よく考えたらめちゃくちゃハードルの高いお題をやってると思うんですが、本作はその「ウソっぽい台詞」とそうでないものの違いが描き分けられてるのですごい。その基準として、というか本作における目標として前半に提示されるのが “自分の状態とか気持ちとかをイヤらしく言うって…それだけや” 。この淫語の極意みたいなものを端的に説明したのが見事だったと思います。これによって演技とリアルという基準が生じる。ゴールというか、2人が目指すべきものがハッキリとするので物語的に感動しやすいし、何より「ついに出た」的な気持ちの高まりを感じやすい。つまりエロい。
 ワガママというかちょっと調子乗った感じの彼女に対して彼氏が逆転するなんですが、最後まで彼氏の抱擁感というか、何やかんや言いつつ彼女のことめっちゃ好きで、そのことが彼女に伝わってる感じがあったと思います。ごっこ的なプレイになるし、屈服させるような要素もあるんだけど、間違いなく恋人同士のイチャイチャとして成立してる感じ、この機微が絶妙。

『ギャルみざかり』翁賀馬乃助

 翁賀先生、前作に続いてギャル。ギャルブーム来てる……! ギャルと言うても前作の『ゆきずりhighウェイ↑↑』は驚くほどドラマ要素も濃い作品だったので、そこらへんが翁賀先生の作家性なのかなぁとか思ってたんですが、本作は一気に享楽的な方向へ振り切ってるので驚きました。ここまでの突き抜けっぷりはかなり珍しいのではないでしょうか。
 ドラマ要素は少なめだけど、キャラの魅力は強い。とにかく強いたけピの竿役としての性能がすごい。今の彼女と付き合う前は童貞、だけどジムのトレーナーなので体力はあるし、体の使い方、飲み込みの早さは筋金入り、とキャラの背景の部分でエロのポテンシャルについて説明しちゃう感じですかね。それが開花する話で、その試練としての3P。生真面目キャラなので3Pに対する抵抗(リアクション)もばっちりあるんだけど、いざ行為が始まるととにかく強い。実にエロ漫画に向いてるw
 エロパート。3Pではあるものの、今回ヒロインが友人を連れてきた理由はたけピに自信をつけさせるためと、ゆめぽよにナカイキを覚えてもらうため。なので、1対1が2人分続く感じ。その中で何度か彼女であるしーちゃが参加して3P的な瞬間が成立する。彼女ではない女性とする背徳感の部分もすごい丁寧で、そこから享楽に振り切れるスイッチの瞬間、ギャップがめちゃくちゃエロい。たけピが持ち前の学習能力を生かしたクンニでイカせる場面も迫力すごかったですし、その後のイッて放心状態のゆめぽよに勝手に挿入する場面とか最高でした。それまでは事前確認を丁寧に取ってたたけピが了承も得ずに勝手に始めてしまう変化が良い。いざその気になったら肉体的に強いので有無を言わせない感じになるし、その成長(なのか?)した姿に興奮したしーちゃが参戦してきて完全に3Pならではの体位になる展開も熱い。ゆめぽよにバックで挿入しながらそこにまたがったしーちゃとキスをする、というページのコマ割りも最高ですよね。漫画ならではの3Pの盛り上がりだった気がします。
 からの本妻であるしーちゃとの第二ラウンド。こっちはほとんど1対1なんですが、逆に言うといつもの関係で、深い関係性のある2人のセックスなので、互いに気兼ねなく全力でぶつかり合ってる感がエロい。しーちゃがどこから出てきたのか分からん猫耳をつけてるのも最高なんですが、そんなしーちゃに立ち向かう際にたけピがメガネ外すのが「本気モード」という感じで良かったです。制限解除みたいな印象ありますよね。こういうメガネ演出大好物です。

『同じ笑顔で』こめざわ

 新刊発売記念の宣伝漫画的な扱い、かつ『大切なファンの皆様へ』の続編。AV落ちしたアイドルの話。AV落ちってあまり好きな表現ではないですが、本作は完全に「落ち」という扱いになってて、その闇っぷりが容赦なくて面白い。
 2作目以降も次々とAVに出演することになるんですが、この次々と積み重なっていくヒロインの出演歴というのを端的に示した本棚の演出が最高。徐々に増えていき、アイドル時代の作品を端に追いやり棚を占領していく……というのが彼女の状況、心境、現状を象徴的に表してますよね。マジで秀逸すぎる……と思ってたらラストにもう一捻り入るのでビビった。8ページなのに全力というか、後日譚作品として隙がない……。
 AV女優として来店イベントに出たら、アイドル時代のファンがやってくる。気づかれるとか、バレる話ではなく、ヒロインの方から気づいて話しかけるってのがね、またね……。名前まで覚えててアイドルとして良い子だったんだろうなぁと感じられるのが余計につらいw 男の方はAV転向をまだ割り切れてないんだけど、ヒロインは完璧な笑顔で答えるというのがもう……。てか、よく考えたら先ほどの本棚演出の際の本棚の所有者はこのラストの人ってことなんですかね。だとするとAVの出演作もしっかり買い揃えて、ちゃんと中身も観て、何ならシコったりもしてるんだろうなぁ。切なすぎる……。

『あゝ青春のダブルドリブル』オクモト悠太

 3P。ただし、『ギャルみざかり』とは逆で男2女1の3P。男2だと男性側が支配的もしくは暴力的になったりしがちだと思うんですよ。ヒロインが圧倒的な強者で引っ張るパターンもあるけど。ただ、本作はそのどちらでもなくて、どちらでもある。全体的にラブコメ、ギャグ風味が強くて、男側のバカバカしい欲望を全開で描きつつ、ヒロインの「しょうがないわね」的な受け入れる姿勢にアガる! という感じ。この3人の濃いキャラクターのトライアングルが見事でしたね。『ギャルみざかり』との比較が多くなって申し訳ないですが、本作の方がより3人同時の瞬間が多かったと思います。3人の体位であり、3Pの振り付けの妙みたいな部分が強い。まぁ、こういうのはチンコ2本ある方がやりやすい、とかそういう事情もありそう。
 キャラクターであり、物語要素でもあるのが、男2人のフェチ。おっぱい好きと、お尻好き。そんな2人が1人の女性を求めて暴走する。おっぱいとお尻、これを上と下で分けるのはイメージしやすかったんですが、本作はそれを前と後ろで分割するんですよね。この秀逸だったと思います。2人の位置関係であり、そのままプレイ内容にも直結する。しかも挿入時にも前後の要素は出てきて、要するに後ろの穴も行っちゃう。おそらく童貞だっただろうに、初めてがいきなりお尻ってエリート街道すぎる……。
 からのヒロインの逆転。逆転なんだけど、先生でもあるので指導。前後の対比もここでひっくり返り、最終的には「2人とも仲良くしなさい」という着地に至るのが見事でした。ギャグ調のカラッとした読み味もそうなんですが、ラストのアッサリとしたハッピーエンド感が最高ですよね。男側の身勝手な欲望を満足させた話かと思ったけど、一番満足したのはヒロインの方であった……というラストも最高です。あのラストページにおけるヒロインの顔、ツヤツヤ感が可愛い。怖くもあり、羨ましくもある、というギャグならではのバランスが魅力的。

『新藤さんは伊達じゃない』だいじ

 見栄を張ってたら校内一のヤリマンになって男子たちから頼まれるようになってしまった話。全体的にコメディっぽいノリはあるんだけど、あるからこそいざという場面の迫力、空気が一変したかのような感覚が秀逸。ヒロインがギャグっぽいリアクションもするんだけど、エロパートにおける惚けた表情、または被虐の雰囲気があって、そのギャップが最高でした。ひたすらヒロイン1人のキャラクターを立てて、その魅力が作品の満足度に直結するタイプ。
 んで、とにかくデカいのがコンプレックスの童貞に声をかけられ、童貞を練習台にして嘘を本当にしようと目論む……が失敗するw 相手が童貞だから演技でごまかせる、という考え自体は正しくて、その点に関しては成功するんですが、如何せん体やら何やらがデカいので、いざ行為になると非常に乱暴。童貞だからこそ加減を知らない、相手のことを考えられないので結果的にヒロインの被虐が描かれることになる。めちゃくちゃなことになっても見栄を張ってしまうヒロインの情けなさが可愛くもあり、 “誰か私を止めてくれ!!” が最高ですよね。後悔しまくってるのに余計なことを言ってしまう。言ってしまえばバカなんだけど、そこがめちゃくちゃ人間臭いとも言える。ヒロインがリードするのに最終的には被虐、という二面性も魅力だし、童貞だろうと関係ない、という圧倒的な体格差が絵のみによって納得させられる。あのホールド感すごかったですね。完全にヒロインが埋もれてしまった、という衝撃。
 嘘が雪だるま式に膨れ上がりバッドエンド不可避……と思ったらまさかのハッピーエンドという意外性も楽しかったです。絶望したヒロインのデフォルメ顔もすげぇ好みでした。あんだけ壮絶なことになるのに、あのギャグ顔になっちゃう作品の雰囲気が好き。

『なつわずらい』かづき

 かづき先生、前作に続いてヒロインが圧倒的に強いんですが、本作はおねショタ。全力でガッツポーズである。田舎に行くと出会う親戚のお姉さん。それがやたらとからかってきて……という健全な雰囲気からのイケナイコトへのグラデーションが最高。ヒロインのちょっかいは明らかに度を超してるんだけど、そこには主人公に対する好意もあるのだろう、と感じられるバランスが秀逸。そして、好意はショタの方も同じなんだけど、こっちはそこに恋心や色恋が芽生えてしまって……という良さ。やっぱおねショタなんだよなぁ。強い。
 ヒロインが完全にリードするけど、支配的ではない。からかうけど、優しさもあって、その大人のお姉さん感が最高。優しくて甘いだけではなく、2人の関係には間違いなくインモラルな後ろめたさもあって、それもすべてヒロインの方は分かっている、という2人のパワーバランスも素敵。夢中になってハマっていくショタの姿も可愛いんですが、それをある種俯瞰しつつ、それでもたまにその余裕を忘れるほどハマってしまう瞬間もあるヒロインの機微が最高。ショタを優しくリードしているようだけど、たまに影のある表情を見せるのがギャップでめちゃくちゃ魅力的でした。
 ヒロインのことをショタはすべて把握できてなくて、その格差が魅力的なんですが、ショタの愚直な姿勢がヒロインの余裕を崩すことになって……という物語的な決着も最高。ヒロインが快楽堕ちとか、分かりやすくデレに転じるようなことはないんだけど……という余韻を残した終わり方が素敵でした。デロデロに甘いような作品でもあるんですが、情緒も感じられる重層的な魅力が詰まった作品だったと思います。

『初売り』赤セイリュウ

 『新藤さんは伊達じゃない』と同じで校内で有名なヤリマンが初めてを経験する話。ただし、本作のヒロインは間違いなくヤリマンで、プレイ内容が初めて。
 売りやってる子の話なんですが、生の値段が5千円なことに衝撃を受けてしまいました。安売りしすぎじゃない?(そもそも売っちゃダメなんだけど) 相場とか知らないけど騙されてるんじゃないかとか心配になってしまったw
 とにかく、そんな彼女の前に万単位でガチャ課金する猛者が現れる。ただし彼は処女厨なので、彼女の初めてであるアナルを売る。10万。普段5千で売ってる子が10万という値段設定するのが良いよね。アナルに対するハードルの高さ、そして10万もらえるならアナルもいいかも、と選択肢が発生してる感じが良い。
 んで、エロパート。本来なら強者であるはずのヒロインが完全に主導権を握られ、困惑しながらも乙女な顔を見せていく展開が最高。ホースで洗浄するくだりとか乱暴すぎてビビったんですが、彼女にとって知らないルーティンをこなしてることが物語的に重要な儀式でしたよね。準備の段階で彼女の優位性が完全に消滅する。
 かと思ったら暴力的な雰囲気にもならないのが本作の魅力。男の方が変なところで誠実というか男らしかったりするし、ヒロインの方も緊張しつつも真剣に向き合ってる感じなのが良い。徐々に「ナイスカップルなんじゃない?」という雰囲気になっていくのが素敵でしたよね。体裁(金)がなくなってハマっていくヒロインの変化が丁寧で、表情のバリエーションが素晴らしかったです。よく考えたらクライマックスでおっぱいが見えるコマがないという珍しい構成だと思うんですが、それが気にならないのがヒロインの内面描写であり、顔の魅力だったと思います。

『負ケナイゲーム』ICHIGAIN

 不良少年が保健室の先生に懲らしめられる……というか負ける。不良というキャラクターを「勝ち負け」という切り口で描いたのが面白かったです。たしかに勝ちにこだわる人種ですよね。それがエロによって負けを経験する。
 ということでヒロインの圧倒的なまでの勝ちっぷり、強者ぶりが魅力的。保健室の先生で、一応彼女が「正しい」の側に立ってるんですが、彼女にも不良性はあって、そういう意味でも負ける。
 衝撃かつ感動だったのが最初の勝負。結果としてはフェラのみで瞬殺だったんですが、最初にゴムを着けるんですよね。ゴム装着の手際で彼女のテクニックの片鱗を見せ、それと同時に挿入への期待も高まる。期待したのにフェラだけで終わってしまったという圧倒的な負け感が素晴らしい。射精後の処理が簡単という事情もあったのかな。保健室の先生だからフェラのときにもゴムを使う、とも考えたんですが、一応後の場面ではゴムなし口内射精の描写(たぶん)もあるのでやはり期待を煽ってへし折る、というのが目的だったんですかね。ゴムがエロを阻害したり、制限するアイテムではなく、期待させるアイテム、よりエロを感じさせるアイテムとして出てきたのが印象的でした。
 ヒロインが圧勝し続けるんだけど、ところどころ彼女が優しい顔を見せるような場面もあって(その魅力にやられて負けるw)、単なる支配的なバランスでは終わらないのも良かった。最終的には更生完了! みたいなオチになるのが印象的で、ヒロインとしてはエロ大好きの捕食者だけど、教育者としての目的も忘れてないのかな……という感じだったと思います。エロを使って非合法的な教育をしている、みたいな。

『ストップウォッチ』mogg

 時間停止! 1ページ目、タイトルのコマにおける一発で時間停止を印象づける描写が秀逸でした。スタートダッシュがすごい。
 時間停止。方法としてはヒロインが開発したストップウォッチ。それを男たちが奪って使う。mogg先生、前号も載っててすごいんですが、その『種付けライセンス』と同じで竿役が特別な存在でないってのがポイントだと思います。過去作の『裸の学校』は時間停止ではない別の超能力ものなんですが、あれは超能力者の話なので特別な男が好き勝手する話。『種付けライセンス』『ストップウォッチ』は何でもない男(たち)が好き勝手する話で、ヒロインの被虐感の味わいが違ってくると思います。
 そして、ストップウォッチという道具ならではのアイディアが詰まってるのも面白い。まず面白いのは連打ですよね。一瞬動かして、すぐに止める。どこで動かして、彼女のどのような動きを楽しむのか、という展開が面白かったです。そして、最高だったのがオチ。あの印象的だったオープニングの場面の再現で終わる。ストップウォッチにはもう1つボタンがあるよね? という言われてみれば納得しかない展開だったのが見事でした。
 動かして止める。ヒロインが反抗してもそれがかなわない展開が魅力的ってのはもちろんあるんですが、それと同時に動きの途中で時間を止め、その姿を愛でるという視点がめちゃくちゃ漫画的というか、メディアとしての漫画そのものですよね。なので時間停止というテーマ、それも止めたり動かしたりと頻繁にする話が漫画の題材としてめちゃくちゃハマる。時間停止って定番のジャンルだし、何なら定番すぎて今ではやりづらさもあるジャンルかもしれないんですが、その中でも本作はアイディアと独自性、話の面白さと、それらによるエロさがすごいレベルに達してたと思います。

『ずっと前からあなたの事を』いだ天ふにすけ

 タイトルは女性視点風だけど、語り口としては完全に男視点。ナメてた相手が実は……的な展開が最高で、あまりに底知れないヒロインのキャラクターが素晴らしく、そんな2人の関係性が魅力的。主人公はひたすら「要領が良い/悪い」で他人のことを判断するんだけど、結局のところヒロインに心かき乱されまくっちゃって、果たして主人公は要領が良いと言えるのだろうか……的なオチ。ただ、逆転によるザマァ的な味わいで終わるのではなく、ラストにおける主人公の心理が爽やかというか、アッパレみたいな感じに見えるのが良い。いくらでも暗く、サイコ的な話になってもおかしくないんだけど、案外カラッとしてるというか、ハッピーエンド的な後味の良さもあったと思います。
 気づけば何度も関係を持っていて、自分でも分からないうちにズブズブというのが醍醐味な作品なので、何度も繰り返すような展開になるんですが、その場面転換の度にヒロインの衣装が違っていて、いちいち凝っててオシャレ。徐々に派手になってる気もするんですが、擬態をやめたってことなのかな。脱がせ方にもバリエーションあるし、下着描写もド迫力。さらに印象的だったのが、事後のときに主人公は裸のままヒロインは服を着ていく。彼女の割り切りの早さというか、彼女の持つ顔の多面性が現れてるようで、それが彼女の強者感になっててすごく好きな場面でした。何なら彼女が本当のことを言ったのはこの事後の服を着てる間の時間だけなのかもしれない……みたいな余韻もある。

『ノラのこ』ほしとラッキー

 野良猫(地域猫?)に餌をやってたら人間の女の子が家に居座るようになる。ヒロインのことを猫のような存在として扱ってて、その猫感がめちゃくちゃ良い。具体的に言うと何考えてるか分からない、けどめっちゃ可愛くて超好きだし、おそらく向こうも好きでいてくれてる……と思う、みたいな距離感。この関係性、この温度感すごい良かったです。平熱な感じで淡々と日常からエロが始まる感じがめちゃくちゃエロい。恋人の日常感を踏まえたエロ作品は割とありますけど、そこに猫というテーマが出てきたの最高。猫との距離感がそのままエロに変換されてる感じが魅力的だったなぁ。ヒロインが猫耳つけるとかそういう単純なモチーフは出てこないのも良い。すぐ欲情してエロが始まるんだけど、ベタベタする感じはない……んだけど仲の良さは感じられるというか、互いに好きなんだろうなと随所に描かれてるバランスが魅力的。互いに感情的になる感じはなく、心の内を吐露するような場面は少ないんだけど、とはいえ互いにウソをついてたりするような感じでもない。めちゃくちゃ素直で分かり合ってるように見える。

『恋のニオイ♡』ゲソスミス

 猫の次は犬だー!! ただし、本作は男の方が小動物担当で、その犬らしさはタイトルにもある匂いを嗅ぐ行為になる。男がヒロインの匂いを嗅ぐので、変態な話にしかなりませんわなw
 本筋ではないのは承知なんですが、1ページ目にイメージとして出てきた犬(飼い犬のジロー)がめちゃくちゃ可愛いじゃないですか。正直エロとは別の満足感に襲われてしまいました。あの真正面から犬がまっすぐ見てくる感じ、たまんないよなぁ。『ノラのこ』に出てきた猫も可愛かったんですが(小さいけど)、あっちはクールな感じじゃないですか。犬猫との距離感の違いがそれぞれ出てて良かったと思います。
 男の変態行為を目撃しても犬扱いのような溺愛ぶりは変わらない。まぁたしかに、家に帰ったら愛犬が自分のパンツ嗅いでたらちょっと愛しく思えるかもしれない。しれないのか? 簡単に言えばヒロインも変態的だったという話だとは思いますが、犬というテーマがあることその変態性がポップになったというか、全体的に可愛い雰囲気になったと思います。
 ヒロインが犬扱いして溺愛して、それがそのままエロパートに繋がっていくのが魅力なんですが、エロパートのクライマックスでは “じゃあ次は上坂が動いていいよ” とバックの体位になる。要するにドギースタイルですよね。犬なんだから交尾は当然バックだろ、という激しい納得。バックでもキスする体勢になるのもエロ漫画的には想像できるんですが、本作にはそういうことがなく、そもそも男のクチが塞がってるw

『のあはいしん』藍夜

 配信もの。元同級生が地下アイドルやってて、自分はファンの中でも特別みたいな意識があったんだけど、ある日特別なリンクを見つけてしましてそこには……。配信ものってジャンルとして強固というか、やることは大体決まってると思ってたんですが、予想外の展開になるので驚きました。寝取られ(BSS)的な味わいが出てくるのが良いですよね。手が届かない場所で、主人公はそれを見守ることしか出来ない。見なくてもいいんだけど、目が離せず、そもそもそれを見つけてしまったのは自分であり……という逃げ場のない感じが最高。
 エピローグが握手会で、これは奇しくも今号の『同じ笑顔で』と同じシチュエーションなんだけど、内容はかなり違って面白い。寝取られ感として「見てるしか出来ない」がポイントだったと思うんですが、最後の場面で主人公が見ていたことにヒロインが即座に気づく。見る見られるの関係が逆転するような展開ですよね。しかも本作は元同級生という関係性もあるのでバレると余計に気まずいというか、逆に主人公の方が弱みを握られたような感覚になるのが良い。ヒロインが強すぎる……という葛藤しつつ勃起してしまう情けなさ。最高。

『秘事バックステージ』デルタナイン

 再びアイドル。元同級生ってのも同じなんですが、本作は配信ではなく恋人。家の中ではアイドルとは思えない表情を見せるってのがエロいんですが、本作の特徴は何と言っても主観映像ですよね。厳密に言うと、主観じゃないコマもあると思うんですが、とにかく主人公の顔が見えない。この主人公の「誰でもない」感がとても良い。読者が没入できるって効果もあるでしょうが、アイドルが誰でもない男とただれた生活を送っているので、「アイドルってやっぱ裏ではこういうことしてるのかもなぁ」みたいなアイドル全般のイメージ(酷い話だ)に繋がるような効果が大きかったと思います。男側の情報がなく、抽象化されてるからこそ、誰でもあり得る、誰でも当てはまる話のような感覚が湧く。「アイドルだって裏ではやりまくってんだろ」的な偏見という意味では『のあはいしん』と同じなんですが、その内容、エロ漫画としての味わいは全然違う。似たようなテーマでもアプローチがこうも違うってのが面白いです。
 本作は、家の中で2人きりのときには秘密の関係ではなくなるので、開き直るようにエロにふけることになる。具体的にはアイドルの衣装を着て行為に至るのがとにかく強いですよね。そんなセックスを味わいながら主人公はアイドル時の姿を思い出して、その落差がエロのスパイスになっていく。
 タイトルの「バックステージ」。裏の顔とかそういう意味かとそういう意味かと思ってたんですが、「後ろ」の意味もあって、要するに後ろの穴……となるのが笑いました。ただのセックスでもすらない、というのがすごい。

『運命のひと!?』トウ

 タイトル詐欺というか、タイトルロゴ詐欺になってて笑った。ロゴ以外にも、冒頭の場面の健全ラブコメ感が秀逸ですよね。少女漫画でもおかしくないような女の子が運命の出会いを果たす……と本人は思ってるけど、読者的には「いやこれはまずいだろ……」とハラハラするw ジャンル詐欺的みたいな印象も強いんですが、ヒロインは最後まで運命の人だと信じてる(=騙されてる)ので、本作がこういう雰囲気になったのも正しいんですよね。タイトル&タイトルロゴの脳天気さもヒロインの視点、ヒロインの認識を考えると非常に的確。だけど、それを俯瞰して見てる読者としては……という認識のギャップが面白い。基本的に漫画の主人公って読者の共感を呼ぶ存在というか、読者が肩入れしてその漫画の世界に没入する機能を持つ存在じゃないですか。それが本作はまったく別。ただ、彼女のことを心配するような読み方をしてしまうので、結果的にヒロインに対する意識が強まるというか、彼女のことを可愛いと思う気持ちは大きくなる。まぁ、心配という考え方からすると完全にバッドエンドなんですがw
 逆に言うと、ヒロインの純粋無垢さは最後まで保たれるので、そういう意味では勝利と言えるのかもしれない。物理的に起きたことを考えると悲劇だけど、彼女の認識、彼女の心理的には何も悲劇的なことは起きてない。催眠はハッピーエンド、快楽堕ちはハッピーエンドみたいな論法になってしまうんですが、本作も割とその構造と近いものがあったんじゃないですかね。怖いのはこういう本人は気づいてないだけで……という完全犯罪的なこと、リアルにあってもおかしくないというか、リアルであったら周りはマジでどうしようもない点。そう考えると一番タチが悪い話だったのかもしれないw

『めんどくさガール』明石六露

 妹がめんどくさがり。堕落というか完全にダメ人間という域に達してるので困る……んだけど、正直めちゃくちゃ可愛い。実際にああいうタイプの子がいたらもっと不潔だと思うんですが、そこをエロ漫画のファンタジーでコーティングするとひたすら魅力的な言えるヒロイン像になるから面白い。
 読者の予想を上回るダメ人間ぶりとして衝撃だったのが、序盤のペットボトルの件。エロ漫画だと潮噴いたりするし、おしっこ自体もそれほど珍しいものではないんですが、ペットボトルに放ってる絵面を見せられると途端に「これはヤバい」とビビってしまうから不思議。セックスの最中にベッドに放つだけだと絶頂の表現として気にならないけど、ペットボトルという妙なリアリティがあるとビビるしかない。ベッドは汚れてないからむしろセーフなはずなんですがw
 いわゆるボトラーって男だと砲口がはっきりしてるというか、視認しやすいんですが、女性だとより難易度高そうですよね。それなのに彼女は自然にやってのける、という事実。やりなれてやがる……。
 ヒロインはとにかく動きたがらないんだけど、その状態で主人公のことを誘惑してくる。あれだけダメさの塊のような存在なのに、彼女の誘惑に負けてしまうという情けなさであり、敗北感が魅力的だったと思います。ダメなのに……と分かってるんだけどずるずると堕ちていってしまう気持ちよさ。

『砂の中の情事』かるま龍狼

 weeklyでの4コマ連載の奴だ!! 以前にも4コマのネタを通常の読切サイズに引き延ばす作品はあったんですが、今度はweeklyから本家快楽天への出張(出戻りか?)。
 冒頭の4ページが完全に元の4コマに相当するような展開だったと思います。逆に言うと、5ページ目からweekly読者の知らない新たな世界。そこでのガールミーツボーイとして、新たに砂風呂という要素が足されるから最高。単に本番が描かれるようになるだけではなく、浮き輪のネタに相当するようなアイディアがさらに足される。よく修学旅行で布団の中でこっそりと……みたいな作品ありますけど、それの砂風呂版。いや、砂風呂版って何だよw とにかく、海岸というめちゃくちゃ衆人環視の状況だからこそのハラハラ感。「隠れてねぇだろ」的なツッコミもあるんですが、そこらへんの不思議世界がかるま作品の魅力でもありますよね。バレないように……というプレイ自体はエロ漫画的に定番のジャンルなんだけど、その土台作りがかるまワールド炸裂という感じで最高。
 からのエピローグでの「ミル貝」がまた最高でしたね。ここで急に4コマ的なしょうもないギャグになるというか。4コマを経てまた新たなレベルへと登り詰めてしまった感がある……。単純に4コマとして面白すぎるし、それを長編化した際のスムースさが完璧なんだよなぁ。

『あつかい注意!!』白菊

 「協力:ミナギリ」。こないだweeklyでもミナギリ先生がネームのみ参加する作品があったんですが、まさかこっちでも。ただ、クレジットの表記の仕方が違うので、『ふたりの隠れ家』に比べたらミナギリ先生の仕事の比重は小さい……のか? 単に雑誌の方針として表記が違うのかもしれません。ミナギリ先生好きってのもあるんですが、組む相手もいちいち私好みなので非常においしい。この2作がどういう経緯で成立したのかまったく想像もつかないのですが、私としては得の多い2作でありました。
 ガタイ良すぎ男子と、柔道部副主将女子。恋人同士で2人きりなのでやることは一つなんだけど、男の方としては体のデカさがコンプレックスがあって……という内容。心に闇を抱えながらそれを乗り越えていく話でらりつつイチャイチャ度も高い。そして、実際に行われるプレイ内容が寝技のようなものになってるのが面白い。ウブな2人だけど、エロ以外の資質によってエロが盛り上がるという説得力。体格差の魅力も間違いなくあって、男が覆い被さるような絵面が迫力あるんですが、そこで終わらずヒロインも頑張って上になる。2人の対等感がプレイ内容に反映されてるんですが、2人が対等になれるのはヒロインに柔道スキルがあるからなのでは、という余地。フェラがなかったのがかなり珍しいと思うんですが、それも柔道感、寝技感の現れなんだと思います。まぁ、リアルなこと言うと初々しいカップルがいきなりフェラするとは限らないだろ、という話なんですが、エロ漫画の世界ではフェラって標準装備みたいなところあるから不思議ですねw
 とにかく、そんな2人の緊張感と対等感、おっかなびっくりだけど気持ちを全開にしてぶつけ合ってる感が魅力的でした。そして、ラストにラブコメ的なオチがついて、それがちゃんと「大きい」の話だったのも見事ですね。

異世界はこう抜く』F4U

 第25射。キョンシー。名前は知ってるけどよく考えたらキョンシーが具体的にどういうものなのかよく分かってなかった、と痛感。一時期大ブームがあったと、情報としては知ってるんですが、少し世代が違う。
 ゾンビの派生ということでいいんですかね? そうなだけあって人数がすごくて、埋もれるかのようなまくら嬢(とボーイくん)が可愛かったです。埋もれても余裕を感じさせるまくら嬢の表情が良いですよね。ボーイくんの方は全力で驚いてるしw

forms.gle

 終わり。10日(の深夜)に終わったのは割とマシな方だったのかもしれない。週3日はブログ本館の方で書くことがあって、毎週日曜はこっちのブログでweekly感想なので、それ以外の記事書く時間が意外とない。気づくと1週間経ってて無限ループみたいな感覚。
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