北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC X-EROS(コミックゼロス)#93 の感想

 ゼロス掲載作の続編がweekly快楽天に載り、その感想を先に書き上げる、という困った事態。

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『放課後の空の下で』いづれ

 九州。農家を継ぐ主人公とデザイナーを目指して上京する1つ上の幼馴染。エモい予感は最初からあったけど、エロが始まり、クライマックスに至るとそれがさらに加速する。最近のいづれ作品だと『名残の雪』が上京にまつわるドラマチックな内容で似てるんですが、あちらは言うても3Pで、アナルにまで至る享楽的なノリもあったんですが、本作はよりドラマ性に振り切った作品と言える。『名残の雪』は日常的にやりまくってた関係が上京で崩れる話だけど、本作のエロは1日のみ。それまで溜め込んでた気持ちが別れを意識することで爆発する。終わり方がより切ないし、何ならエロが盛り上がってる最中にもどこか刹那的な雰囲気があって味わい深い。互いに夢(進路)を決めた状態なので、一緒にいたいけど互いのために別れは避けられない、と2人とも納得してるところが切ない。38ページの大ボリュームなんですが、空だけが描かれる大コマとか、1ページ丸々背景みたいなのがあって大作感がすごい。エロが始まる際の2人のやりとりとか、かなり微笑ましいラブコメ感もあったのに……というギャップが最高。ラブコメとエロ、そしてドラマの振り幅が大きく、そのバランスが絶妙でした。どのページを切り取るかでどんな作品を想像するかが全然違うと思います。

『発情都市エロシオン』ナビエ遥か2T

 新種のウイルスが蔓延した未来、ワクチンを処置する主人公の物語。こう書くとコロナの現実を反映したSFとかそういう真面目なことも考えちゃうんですが、実際は「ヌルヌルしてるのエロいよね!」というパワープレイみたいな内容。ローションを使うのじゃ味気ないので……と逆算したみたいな印象。マスクも現実の世界を連想するんですが、とにかく享楽的なノリを強調するアイテムなのが良い。マスク使いのアイディアが豊富すぎてヤバい。しかも「変異型」とかいうコロナ連想不可避なワードまでぶっ込んでくるw 何でもアリな世界設定に思えるけど、そのアイディアの源泉には間違いなく現実のウイルスの話が絡んでくる(たぶん)。コロナ禍の日常をエロ漫画にするような作品はちらほら存在しますけど、それをSF的に荒唐無稽な設定に昇華してるのが面白い。

『熱いシャワーに包まれて』駄菓子

 田舎のバス停で雨宿り。冒頭のびしょ濡れの制服姿が超可愛い。おさげと大きめのリボンも最高です。ブラだけ脱ぐという男の欲望を満たす以外に利がない行為があるのもありがたいw 何でもアリ設定で最初からノーブラってことにしないのが良いですよね。ブラだけ脱いでエロさがパワーアップした感覚が良い。
 雨によってバス停が密室になる……かと思った。思ったんですが、1回戦目を終えて、シャワー代わりに雨を浴びることになり、そのまま野外でもう1回。バス停って定番のシチュエーションですけど、そこから野外になるのは意外だったなぁ。
 予想外の延長戦で大満足……と思ったらまだまだ続く。今度は家に移動してシャワーを浴びて体を温める。タイトルそのままの場面になるのですね。てっきり雨とか体液の表現として「シャワー」かと思ったんですが、直接シャワーも出てくる。そして、ここでも制服は脱がない。どうせびしょ濡れだから……という言い訳込みで好き。ちょっと遊び心発揮して特殊なプレイしちゃう感じ、イチャイチャ感として最高。
 体も温まり、そのまま布団で終わ……らないw 布団の中で裸のまま最後にもうひと盛り上がり。すごい。1作で何回やったよ。どんだけのシチュエーションを横断したんだ。どれか1つだけでも余裕で読切として成立しただろうに。贅沢すぎる……。計画的に1日中やりまくってるというよりは、各シチュエーションの度にムラムラきちゃってそのまま……という感じなのが良いですよね。ものすごい享楽的な内容なんだけど、同時に初々しいイチャイチャ感も印象深い。
 あんだけいろんなことがあり、いろんな水を浴びてるのに最後までヒロインのおさげが維持されたのが個人的には嬉しかったです。冒頭の場面からあの髪型マジめちゃくちゃ可愛かったので。逆に言うと、あれだけの水攻めに耐えられるほどシンプルな髪型、ということだったのかもしれない。

『どくせん』fu-ta

 『ひとりじめ』の続編。前回のあらすじに1コマ丸々用意されてるんだけど、これ単行本だとどうなるんだろう。背景のコマだったりするのかな。
 教師生徒ものの後日譚として面白い。オープニングでかなり現実的な問題について話されてて驚く。教師生徒ものって定番だけど、計画的にちゃんとした関係を築いていく話って珍しいよね。教師と生徒が結ばれるのは非日常なんだけど、それを日常として歩んでいく2人の話。続編ならではの良さを感じる。
 新たな日常としての学園生活。隠れてやっちゃう話かと思ったら焦らすので笑った。エロ漫画的にあそこは期待しちゃう奴w 主人公とシンクロしてしまう……。
 隠さなきゃいけないので変装。変装としてのメガネ。続編で突然メガネが出てきたので歓喜。物語的には分かるんだけど、サプライズで良いなぁ。勢いに任せてエロに突入するんだけど、メガネを外さないのも嬉しい。てか、普段コンタクトの可能性もなくもないかも。
 物語の柱としてヒロインの誤解があるんだけど、その件についての決着がエロパートの最中にあるのも面白い。プレイの中のひと展開として誤解の解消が用いられてる感。誤解が解けてイチャイチャするようになるわけでもないのがまた良かったですね。絶対最後は対等な感じになると思ったら、最後まで攻めまくるw

『でぃざいあ』どえむたん

 女の子に乱暴したい願望を抱く主人公がアプリで希望通りの出会いを果たす。アプリに頼った理由である “風俗に行ってみてもお金のために嫌々やってるんだと思うと萎えてしまった” が妙にリアルなので笑った。ここを疑うようになってしまうとホントきついな。ほんとアプリでマッチングするのが合理的な気がしてくる。
 先ほどの風俗のくだりでも分かるように、願望はあるけどヘタレ。ハードセックスしたいけど、どうしても相手のことを考えてしまう。矛盾してるようだけど、こういう中間層みたいな人マジで多いんじゃないかしら。そんな説得力を感じる。そんなヘタレを見抜かれるんだけど、ヒロインの方は生粋の受け、かつ場慣れをしていて、主人公のことを罵倒しながらハードな攻めを誘う。このプレイとして打ち合わせをしないまま馬鹿にしてくるくだり良かったなぁ。一瞬本気にしちゃいそうになるけど、表情で「これは‥‥」と気づかされる。いわゆる「分からせ」的な展開をプレイとしてヒロイン側が演出してきてるのがすごい。プロのマゾヒストはこのくらいするのかもしれない……すごい世界だ……。よくSMは実はMが関係を支配してるみたいな言説あるけど、それを変則的な角度から描いてますね。
 そんなヒロインによって主人公のS心が誘発され、ついに覚醒。望み通りのハードセックスに至るんだけど、それまでの組み立てが良いからヒロインが予想以上の攻めに困惑するリアクションを見ても「これは演技か?」とか疑ってしまうし、主人公が暴走して攻めてる場面でもどこか頭の片隅でブレーキが働いてるというか、一瞬ヘタレが発動しそうになったのを自ら奮い立たせてよりハードに攻めてるようにも見える。
 エピローグ。主人公は覚醒してすっかり別人になってしまうのではなく、賢者モードで大反省。難儀な性格ですねw ただ、ヒロインはそんな彼のことを気に入ってくれ、2度目のことを匂わせてくれる。理想の出会いを果たしてハッピーエンドなんですが、2度目の際、主人公はスムースにスイッチ入れられるのか少し心配になってしまう……。

『アナタとFall 淫 Love!?』軽部ぐり

 シリーズがかなり入り組んだ展開になってきてるんですが、ついに清子先輩単独メインの作品きた!! 今まで常に脇役だったけど、清楚系ビッチで強キャラな清子先輩好きだったんだよなぁ。前回はカラーで登場したのにエロなしだったので悩ましかったんですが、ついに。ありがてぇぇ。
 原点回帰とも言える田舎感。田舎の町役場で仕事の休憩時間にエロにふける。その相手が中学からの同級生ってのが初登場作品である『発情ホームタウン』を思い出させて良いですね。
 職場の休憩中の会話と、回想でのセックスシーン、そして回想中に覗きながらオナニーするもこちゃん。11ページと短めではあるんですが、要素が多くて盛りだくさん。いきなりエロが始まっても違和感ないのはシリーズものの強みですかね。何も知らない山田さんの存在が良いアクセントになってたと思います。最後の号泣も笑ったけど、たしかにちょっと良い話風だったので気持ちは分かる。山田さんマジ良い人だw
 昼休み中にサクッと行為を済ませる感じなので、服は脱がないし、体位も立ちメイン。地面に足以外が付かないように、という限定的ながら、制限があるからこその激しさが感じられてエロかったです。それに対応できるのが清子先輩の強さだよなぁ。

『コーポ初春204号室にて』なまえれんらく

 隠キャとギャル(ヤンキー?)。幼馴染なのか腐れ縁なのか。1ページ目のヒロインの立ち姿、服込みのフォルムがめっちゃ可愛いんですが、本編にそれほど立ちの場面はないのだった。家でダラダラする話なので無理ですね。しかも、ただ家で座ってるだけではなく、ベッドで寝てしまった男を覗き込んでそのまま……という内容。この高低差、位置関係、2人のキャラクター、関係性がめちゃくちゃ可愛い。とにかく可愛い。序盤のギャップのある2人のやりとりも魅力的だったけど、男が寝てヒロインの独り相撲みたいになってから可愛さがさらに爆発したような印象。勝手に攻めるので乱暴な感じになりそうなんですが、そうはならずに1人で悶々としてるヒロインが可愛い。優しいし、相手のことめっちゃ好きやん。寝ながら勃起してしまう、挙げ句うつ伏せでヘコヘコし始めてしまう男側も情けなさ全開なんだけど、どこから愛おしくなるような感じありますよね。それを見たヒロインが悶々としてしまうのにも納得というか。
 エロが本格的に始まっても、片方は寝たまま。こういう状況だと起きて逆転とか、実は起きてたみたいな展開がありがちだと思いますが、本作は最後の最後まで寝てる。何も知らないまま終わる2人の温度差も可愛かったです。そして何より、片方が寝たまま進行するセックスがめちゃくちゃエロい。前半は明るいラブコメみたいな雰囲気もあったんですが、喋れないし、会話も対話も成立しないのでエロパートは薄暗いというか、雰囲気が大きく変わる。このシームレスに雰囲気が変化する様自体がエロいし、相手の夢に介入するかのようなセックスという状況も独特の良さ。ヒロインの夢を見てて、夢の中の発言で告白のようになってしまう……みたいな分かりやすいラブコメはない。ただ、夢の中でヒロインが登場してるのは事実。その夢の内容がしょうもないというか、意味不明なので笑った。笑うけど、たしかに夢ってああいうもんですねw そして、夢の中に出てくるってことはやはりヒロインの存在が彼の中で大きいのは間違いなさそうだし、そのナンセンスな夢の内容的にもヒロインのことを大切に思ってる風なのは伝わってくる。めちゃくちゃながら好意と善意は伝わってくる感じが可愛いし、それに対するヒロインの “わかったわかった” “安心して寝てな” という受けがめちゃくちゃエロい。ヒロインは勝手に自分の性欲を満たしてるんだけど、このセリフが彼に対する普段のスタンスが現れてて最高に魅力的。いつかこのノリのまま、互いに覚醒状態でのセックスに至るのだろうか……とか妄想してしまう。
 エロの内容的にも「彼のためだから」という欺瞞めいた体裁と、結局は彼女の欲望のため、という2つが入り交じった感じがめちゃくちゃリアル。ヒロインのキャラクター、言動がリアルだからこその魅力。そんな二律背反が可愛くもあり、焦れったい。からの朝チュンで、ヒロイン的には決心したかのようなキスをするんだけど、何も伝わらないし、そのまま終わる。このなぁ、彼女としては結構な決意をしたし、その点において本作を通じて成長(変化)したのはヒロインの方と言えるんだけど、2人の関係が大きく変わるのはまだまだ先らしい……という余韻のあるラストが最高。本作は入室から始まって全編密室で、それも独り相撲みたいな話なので閉じた雰囲気だったんだけど、最後の最後に家の外に出て景色が開ける。そこでの2人のやりとりを引きで見せる。このままの関係がまだまだ続くんだろうなぁ、という余韻が最高でした。2人とも超可愛い。

『白ギャルを追いかけて』ななもと

 当方『マトリックス』世代なので本作のタイトルを見て「白ウサギを追え」を連想してしまった……。実際のところは「白球を追いかけて」でしょうね。ギャルなら黒くてもよかったけど、このタイトルのために白ギャルにしたのではないか、とか疑ってしまうほど見事なタイトル。
 硬派な野球部エースが白ギャルに捕まり、ハマってしまう。最近ギャルものは相当なトレンドになってると思いますが、本作のギャルは「世間から冷たい目で見られる存在」という側面にフォーカスしてて面白い。もちろん基本的には真面目くんと奔放なギャルというギャップが魅力だと思いますが、物語的には彼女との関係を世間に対して後ろめたいものだと感じる。感じるけど、その魅力にはあらがえない……という良さ。このずるずる落ちていく感じはエロ漫画の中でもトップクラスの魅力ですよね。その堕落感がエロいんだけど、本作はそこからド級のハッピーエンドに向かうので最高w てか、よくよく考えてみたら、彼女は最初からめっちゃ良い子だったのでは……とか価値観が反転する感覚が痛快。「この子にハマったら身を滅ぼす」という感覚がエロさを引き立ててたけど、そもそもそんな悪い子ではなかった、というオールオッケーなハッピーエンド。
 そんなハッピーエンドへど場面転換する「1年後」のコマ、ジェット風船が中出しされた精子と重なる、という演出が面白すぎる。ギャグ的に笑っちゃうんですが、中に出された精子が1年後に実を結んで……と考えるとかなり全うなオシャレ場面転換ですよね。「あの日のが当たったのか」と気づくようなオチで最高でした。

『愛?をとりもどせ!』変熊

 ラブラブなカップルなんだけど、彼女は彼氏以上に彼のチンポ様を愛してしまう。我ながら何を言ってるのか分からないが事実なんだぜ。2人しかいないのに立派な寝取られと言えるのでは。
 ものすごくデフォルメされた話で、全体的にギャグみたいな印象も受けるんだけど、普通に愛し合った2人が恋愛感情以上にセックスにのめり込んでしまう、という意味では案外リアルにもありがちなケースで、それの比喩なのではないか。シンプルながら荒唐無稽な物語なのでそんな寓意みたいなものを勝手に読み取ってしまうような奥行きがある……気がする。
 エロパートは、チンポ様から彼女の愛を取り戻そうと彼氏が必死の攻め。ただし、セックスである以上、最終的には自身のチンポを使うことになってしまうので……という矛盾。ギャグ的なのに、何か深い話をしてる気がしてきてしまう魔力を感じるw 「チンポ様」という特殊なワードさえ出てこなければ、本作、普通に恋人がイチャイチャするだけの話でしたよね。それがどうしてこんなにこじれてしまったのか……。

『今年、夏休みに…♡』タカハシノヲト

 帰省して出会ういとこと去年の続きを果たす。ショタ&ロリのイノセントな関係がピュアな印象とともに背徳感を引き立てる。初々しい良さもあるし、ヒロインが若干年上(精神年齢だけで肉体は同い年かも)なのでリードする良さ。おそらく互いに初めてなんだけど、耳年増的にヒロインの方が詳しいのでリードする。相手がロリだろうと、やはりショタは受け……分かる……!
 田舎ものであり、ショタものであり、ロリもの。komifloコメント欄に「エデンの園」という表現を使ってる人がいてマジで膝を打ちました。言い得て妙すぎる。2人の関係、2人が性にふける状況はまさにエデンの園ですね。こういう一言で作品の本質を指摘できるの良いよなぁ。私なんてウダウダと感想をかいてしまうというのに……。
 子供が大人に近づいてる象徴としてスマホの所持が出てくるのも面白い。成長の記録としてスマホでの撮影が行われ、撮影中のスマホの画面がそのまま漫画のコマとして表現されるのも最高。スマホというガジェットが漫画というメディアと相性が良すぎる。
 エピローグ。2人が子供同士の遊びに戻るんだけど、川(滝壺)へとダイブして、その水中で……というラストが美しい。まさに2人だけの世界という感じだし、宙に浮いたように見える2人がキスを交わすのが神々しさを感じるようでもある。セックス後のカップルがキスして終わる、ってこれだけ取り出すとすげぇベタに思えるけど、本作のラストには特別な魅力がありましたね。

『温泉めぐり』ヲルト

 田舎は田舎でもこっちは温泉。主人公は大人、ヒロインは子供……にも見える超常的な何か。秘湯を探して山奥へと迷い込んだが、気づいたら異世界に入ってしまったのでは……みたいな魅力。現代日本において温泉ってもはや日常から切り離された異質な空間を楽しむ側面も強いと思うんですが、本作はその感覚をブーストしてファンタジックな話にする。
 主人公の秘湯巡りの目的は実は傷心旅行、それも長年付き合った彼女との死別を乗り越えるため。激重なんですが、超常的なヒロインが絶頂を無限ループさせる理屈として出てきた「時間を戻す」能力から主人公のトラウマが明らかになる構成がうまい。読者は主人公に肩入れして読み進めると思うんですが、実は主人公には秘密が多く、セックスの最中にそれが明らかになる。中盤で「そんな話だったの!?」と驚かされる感覚が楽しい。こういうのは読切漫画ならではの魅力ですよね。20ページしかなくて、しかもセックスがメインで描かれるんだけど、物語的な起伏も十二分に面白い。ここらへんが個人的にはエロ漫画読むのやめられない理由の一つかもしれない。エロというエンタメはがっつりありつつ、物語として、漫画としても面白く、それがめちゃくちゃコンパクト。

『ゴゴゴゴ』大盛り

 良くも悪くも学園の有名人に呼び出される。タイトルは彼女が放つ威圧感の擬音。「そんなタイトルの付け方ある?」と笑ってしまいました。最初マジでどういう意味なのかと思ったw
 本作の魅力はそんな「ゴゴゴゴ」の威圧感からは予想もできない甘さ。ギャップ、照れが最高に可愛い。というか、彼女は一種のコミュ障ですね。他人(それも好きな人)との適切な接し方がヘタ。素直になれないとも言えるし、不器用な感じが可愛い。好意の伝え方があまりに変則的なんだけど、気持ちのデカさは十分に伝わってくる。照れとか恥じらいの感情が魅力的なんですが、素直になれなくて一見するとキツい表情になっちゃってる感じとか最高に良いですよね。単なるアヘ顔全開ではない、表情の機微がとにかく味わい深い。エロパートの始まりの部分も良いですし、エロのクライマックス時の崩れた表情も最高。

『デカチンしか勝たん!』北原エイジ

 ナメてた陰キャが理想のデカチン。冒頭の粗チンとやってる場面での不服そうな表情も良いですよね。単純に可愛いってのもあるし、あの最初の1ページで彼女のキャラクターが一発で伝わってくる。
 そんな感じの悪さが魅力なので、エロパートの始まりも感じが悪いw 男女のやりとりが完全に対立構図。というかほとんどバトルみたいな展開ですよね。攻防からのワンサイドゲーム。それをやられる側であるヒロインの視点に限定して描く良さ。男側の責めやその言葉も激しいんですが、エロ漫画的にメインで描かれるのは、それを受けるヒロインの内面だと思います。強気を保とうとする心理と、快楽に没入していくバランスの変遷が魅力的。
 エピローグでは完堕ちしたヒロインの姿が描かれるんですが、このエピローグの場面では視点が男の方に移るので、ヒロインの内面は分からない。というか、すっかり戻ってこれなくなりました、みたいな余韻。最後の最後にヒロインを他者として描くことで、すべて失ってしまった感が伝わってくる。

『風紀委員のお仕事』七尾ゆきじ

 一般生徒から恐れられる風紀委員と、それ以上に厳しい風紀委員の顧問。1ページ目では強者だと思われたヒロインが……という展開が楽しい。生徒による逆転ではなく、元々立場が上の存在が新たに現れる。逆転して痛快ではなく、理不尽みたいな味わいこそが肝だと思います。エロの最中の攻めの言葉があくまでも風紀委員としての体裁を用いた内容になってるのも良いですよね。本来なら風紀について取り締まるはずのヒロインがさらに上の存在によって叱られるような内容。快楽堕ち的な話ではあるんですが、あくまでも風紀についての指導、という無茶苦茶な論理をヒロインが受け入れてしまう。本作はロールプレイではないけど、それに近いある種の欺瞞が感じられて、そこが良い。

『ママガチャ♡SSR草津てるにょ

 「親ガチャ」なんて言葉が取りざたされる昨今ですが、それを思いっきりエロ漫画的に解釈すると「ママガチャ」。なんかもうこのタイトルの時点で勝ちな気がするw
 ちゃんと「親ガチャ」の言葉が象徴する格差を描いてるのが良いですよね。ふざけた、ダジャレみたいなタイトルですが、その発想、そのアプローチはかなり正攻法というか、元ネタをしっかり踏まえた内容になってる。ガチャに恵まれた他人を見て悔しがる、という視点になってるのが秀逸。これこそが親ガチャという感じですね。
 とにかく甘やかしてくるママの話なんですが、主人公(とガチャでSSRを引いた同僚)の年齢設定が社会人。学生とかじゃないのかよ。会社で働いてるにも関わらず母親にあれだけのことをされて……という部分に闇を感じるし、そのグツグツと煮詰まったような不気味さこそが魅力だと思う。
 そんな格差に対して逆転を仕掛ける主人公。寝取りとか略奪の話なんですが、ひがみの感情が出発点にあるのが「ママガチャ」ならではだと思います。繰り返しになるが、タイトルの時点で勝ちだわ……。
 ただ、ヒロインは主人公にとっての母親ではないので、略奪が成功すればするほど作品の根幹である「ママ」要素が希薄になってしまう……と思ったら見事な決着を見せる。もうこの際ただの人妻ものでもいいのかな、とか思ってたら、のオチが秀逸。ワンテーマの掘り下げが見事ですわ。

『おとなのじかん』川島よしお

 第11回。
 最初の「地鶏」。全8コマなんだけど、4コマ目で既にオチは見えたというか、4コマで完結してても問題ないくらいだと思う。が、その後3コマ、ただ自撮りを繰り返すコマが入って、最後に分かりやすいツッコミ。このリズムが良かった。一旦物語進行が完全に停止してサービスショットみたいなものを繰り返してからのツッコミが気持ちいい。
 「おっぱいを触るぞ」。 “彼女が道すじを示してくれた” のくだりが超好きなんですが、そうではなく、「道すじ」がポイントであったw 特にエロ漫画だとたまに「下着の描き込みすげぇな!」って作品あるじゃないですか。それのギャグ的な解釈……かと思いきや最後はほんのりエロい。
 パイパン理容師。2、3コマ目がぶち抜きなんですが、ほとんどこの2コマ目で落ちてると言っていい。さっきの感想と重なるけど、そこからゆったりとするリズム感が独特で良い。こちらのネタは最後に分かりやすいオチがあるわけじゃなくて、そこがまた魅力。見えない部分に気を配ることで精神的な余裕が雰囲気に現れる……とか考えたら案外あり得る話なのかもしれないw

『抑えきれない好きの気持ち』JJune

 かつての先生との再開。「やはり過去に2人は何かあったのか?」などと想像しながら読み進めると、先生の “君とのエッチは気持ちよかった…気がする” 。予想通りではあるけど衝撃を感じられる情報の開示。主人公と一緒に驚いてしまいますね。
 昔の関係を忘れられない主人公がかつての先生に会いに行く話なので、基本的に男主人公がアクションを起こすことから始まるんですよ。なんだけど、先ほどのセリフの場面で一気に2人の攻守が逆転するというか、完全に主導権がヒロインに移る。そこからはヒロインが悪戯っぽく誘惑したり、攻めたり……と最高。向こうから会いに来た元生徒に対するあのスタンスが魅力的で、端的に言ってエロい。彼女からしたら不意の再開であるはずなのに……という良さ。
 あと、主人公のヒロインに対する呼び方が、基本「茉凛さん」なんだけど、動揺したり油断すると「先生」になってしまうのとか芸が細かくて好き。自分はもう生徒ではないという気概も感じるけど、それがすぐに崩れてしまう良さ。

『葉山美咲は繋がれたい』小矢部亮

 『冴島瑠璃はこらしめたい』の続編。前作はサキュバスの話だったんですが、本作は異変に気づいた一般女子生徒の視点。本来ならサキュバスに直接狙われるはずはないのに……実は標的にされてたという意外性が楽しい。それも今回は夢の中に特別なフィールドを展開してるので、教室内で完結した前作とパッと見のビジュアルが大きく違う。さらには大人数。続編らしいインフレ感が楽しいですね。やはり続編は物量でスケールアップしてナンボ。
 メインとしては女の子しか出てこないんですが、竿役として駆り出されるのが、先生。先生がキモすぎて妙にキャラ立ってるので笑いました。こういう余計なキャラ付け好きw
 サキュバスの支配する夢の中なので何でもアリ。クリトリスとチンコの感覚を繋げてセックスの感度がまさに2倍。さらに3P全員分繋げて3倍……かと思ったら魔法が暴発してサキュバス自身にも接続される。パワーゲームとしてサキュバスの支配が最後まで続くのは間違いないし、直接セックスには参加しないことで彼女の強キャラ感も伝わってくるんですが、それはそうとしてサキュバスのエロも見せてくれるあたりにサービス精神を感じる。そもそもサキュバスなのに自身は参加しないところに彼女の意地悪さが現れてたと思うんですが、ある意味本末転倒みたいな自業自得になるのが面白い。いや、他人に多人数プレイをさせてその感覚を自分にも反映させるってのはクセになる魅力があるかもしれない。

『アタシの好きな人』さつきあしゃ

 陰キャがギャルに絞られる。それはそうと本作の続編がweekly快楽天に掲載されて、その感想を既に書いてしまってるのですよね。感想書く順序がめちゃくちゃになり、我ながら混乱。
 本作のヒロインめちゃくちゃ好きなんですよ。ギャル属性は割と好きなんですが、本作のは可愛いの比率がかなり高くて、ピュアな乙女みたいな側面もチラホラする感じとか超好き。それでいてギャルらしい強さもあって、南くんとの関係性も含め、めっちゃ良い。序盤ではチンコ目的みたいな言動もあって実にギャルっぽい(てかビッチ)、なんだけど最後に純度高めの乙女なオチが付くのが良い。個人的にめちゃくちゃ好きなバランス。ショートの2本が表裏一体となるような二部作だと思うんですが(たぶん)、トータルでもページ数まだまだ少ないのでさらなる続編あってくれねぇかなぁ、とか期待してしまう。

『トンデモ初体験♡』東雲龍

 初々しさの残る純情カップルの初めて。彼女の清楚なところが好きなんだけど、コトを進めるうちに徐々におかしな一面が見えてきて……。エロ漫画でよくある「処女なのにテクニックありすぎだろ」問題ですね。その視点は同じなんだけど、本作はそこに男主人公の誤解(浮気)が絡んでくる。そして、逆ギレ的に激しい攻めへと転じていく。物語的な起伏はしっかりあるんだけど、それがすべてセックスの中で構成されてる感じが理想的エロ漫画。そこにアナルというフェティッシュな変態プレイも加わってくる。変態プレイに主人公は喜ぶでも動揺するでもなく、逆ギレ。オチを知ったあとだと独り相撲感もあるんですが、逆に考えると彼女はそれなりに鍛えられてるので、逆ギレした童貞の暴走程度だったらそれほどダメージはない、という安心感。ハッピーエンド感。主人公の心の闇みたいなものが出てくる話ではあるんですが、最終的に重すぎない、暗すぎないバランスに着地したのとかとても良かったと思います。
 エピローグ。ギャグ的なオチで「マイケル君」が登場して笑ったんですが、よく考えたら冒頭の場面で主人公もコンドームのことを「ゴムさん」って言ってるんですよね。名前を付けるほどではないが、軽い擬人化的視点は彼も持ち合わせてた、というのが微笑ましい。
forms.gle

 終わり。発売からほぼ1月経ってしまったんですが、今のゼロスは隔月だからセーフ……ということにしてください。すみません。上記リンクのアンケートはあと1週間くらいで期限切れなのでお気をつけください。
 てか、次号のゼロス、もう来年なんですね。えっ、2021年終わるの? 実感がない……何もしてない……。
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