北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2022年3月号の感想

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 つぼみ引退発表に動揺を隠しきれない今日この頃。
kitaku2kitaku.hatenablog.com

『クロール』えーすけ

 兄妹ものなんだけど、それを隠した1ページ目からのタイトルの流れが良い。日焼け跡なんだけど、本編では出てくることのない水着姿が扉のコマで出てくるのもサービスですな。
 えーすけ先生の兄妹ものというと『つづれおり』の印象があまりに強いんですが、似てるようで全然違う。あっちはもっと享楽的なノリが強いんじゃないですかね。我慢してからの爆発という流れは共通してるけど、本作の、妹がオナニーを覚えるとこから始まる物語という良さは独特。オナニーをやめられないからこそ兄の隣でもやってしまい……という導入。そして、『つづれおり』と大きく違うのはエンディング。本作のラストがあまりにビター。『つづれおり』にも後ろ暗い要素はあったんだけど、あくまでもスパイス程度なノリだったように思います。本作は最後の最後に、2人の最終的な結論として出てくる。兄妹だからこその背徳感をエロ漫画だと都合の良いところだけをすくいがちだけど、そこからまともな判断へと戻る。言われてみればエロパートにおける兄貴は常に暴走状態で、理性のタガが外れた姿なんですよね。妹視点で、最初に具体的な行動を取るのも妹なんだけど、セックスに関しては完全に兄貴主導。そんなヒロインのリアクションが魅力的だったんですが、兄貴のことを考えれば、ラストのああいう結論に至るのも分かる。1回戦目が終わって兄貴は一瞬正気に戻りそうになるんだけど、妹が気持ちよさに目覚めてしまって再び……という流れだったのも読み返すと味わい深い。
 セーラー服からの寝間着が可愛くてめっちゃ好きだったんですが、そこから少しずつ脱げていって、それに従って日焼け跡が見えてきて……という変遷も最高。ラストに日常に戻ると当然日焼け跡は一切見えないんですが、それが昨晩とのギャップをパッと見の印象で強く感じさせてくれる。

『かわいいひと』Hamao

 幼馴染のギャルが彼氏に浮気されてご立腹。ビジュアル的にギャルとしての記号が多いわけではないんだけど(表紙イラストは逆に増量で素敵)、彼女の言動、そして主人公の純粋真面目くんっぷりとのギャップですね。ヒロインのギャル的なキャラクターの魅力が最高。ギャルとの組み合わせはオタクだけではないですね。
 主人公には純粋で真面目ってのもあるけど、ちょっとヘタレな面もあって、それについて本人が反省したり、ヒロインが発破かけたり。2人による甘さだけではなく、勢いでキスしたあとの “やる気がない奴とはヤル気しないわ” の場面がマジ最高。ここでヒロインの顔が見えないのも良いし、ここで主人公が一歩踏み出せないことに激しく後悔しつつ同じ経験をした卒業時のエピソードがフラッシュバックするのも最高。そして、今日こそはと一歩踏み出すのが感動的だし、それに対するヒロインの受け入れたいせいぶりも泣ける。実際に泣いちゃったのも分かるw
 全編を通してヒロインが強気でリードしてくれる良さなんですが、だからこそ所々で表情が崩れる瞬間が光る。てか、どの表情もいちいち可愛いんだよなぁ。性格もあって表情の振り幅が大きく、その種類がエロ関係に限らないのとかもめちゃくちゃ好き。
 長めのエピローグ。そもそもセックスが終わるときに “ざまあみろって感じ” と当初の物語を思い出すというか、状況を冷静に振り返るような発言をヒロインがして、主人公が切なくなる。そこからのエピローグで逆転なので熱い。セックス後に冷静になってしまうのは直前に掲載された『スクロール』と同じパターン……かと思ったら、という甘さが良い。甘いんだけど、そこでのヒロインが彼女らしい強気かつ素直じゃない発言なのも魅力的。あと、単に甘いだけではなく、彼女のが殴られててマジでギョッとしました。まぁ、だからこそ主人公がほっとけなくなって再び一歩踏み出すことになる、というドラマ的な熱さはある。後ろから抱きしめるので、この瞬間のヒロインの表情は詳しく見れない……からの取り繕ったいつもの元気な顔で終了、というのも見事でしたね。この味わいはエピローグ1ページじゃ無理だわ。

ストロングスタイル』オクモト悠太

 今度はヤンキー。実際にどこまでヤンキーかは知らんけど、水泳部の中での評価がヤンキー。先ほどの『かわいいひと』のギャルよりも攻撃的に振れた感じですね。そんなイライラ&オラオラっぷりが魅力的なんだけど、本作はそこから自爆属性が明らかになるので笑う。気持ちの強さとセックスの強さが反比例している……。イキやすすぎて自爆は笑ったわ。 “ダマされたぜ…っ まさかこんなヤリチン野郎だったなんてなぁ…!!” の逆ギレでいつもの姿に瞬時に戻るギャップも可愛いんだけど、やっぱ笑う。こんなにもキレイな “覚えてろよっ!!” を見たのは久々だわw
 翌日以降も突っかかってきて返り討ち(勝手に自爆)。最初の騎乗位のときもそうだけど、エロに向かう姿勢が完全に強キャラのそれなんですよね。がに股のM字でめっちゃ搾り取ってきそうな雰囲気なのに……という落差で笑う。可愛い。
 ギャグ的な楽しさでは終わらず、最後にはデロッデロに甘い結論に至ってクライマックス。相変わらずイキまくるんだけど、告白とその返事を経た状態だといつもと同じイキまくる展開でも印象がガラリと変わるというか、それだけ気持ちよくなってることが2人のイチャイチャ度のように思えてくる。
 エピローグでのドヤ顔もめっちゃ可愛かったです。ヤンキーキャラと甘々展開のハイブリッドとしての新たな魅力。

『ハイイロとアオ』ICHIGAIN

 ワケアリ女子と先生。先生の家で個人レッスン。先生としては助けてあげてるんだけど、ヒロインは気にせずガンガン攻めてくる。 “女子として見た瞬間 オレぁ無職だ” のセリフに象徴されるように、エロ漫画の住人とは思えないほどに先生がしっかりしてて、だからこそ結ばれることになる展開が熱い。
 あの手この手で誘惑してくるヒロインが魅力的なんですが、先生が優しいと分かってるからこその罠が良いですよね。単に絵的にインパクトあって素敵ってのもあるし、2人のキャラクター、関係性を踏まえていて最高。寝たフリとだけ考えるとそこまで独自性のあるアイディアとは思わないけど、それでも本作のあの場面は直接的なエロ以外の場面では間違いなくハイライトだったと思います。先生のヒロインに対する見る目が変わる、変わってしまう瞬間。だから劇的。
 ガン攻めのヒロインが魅力的な作品ではあるけど、全編ヒロインの攻めで終わるのではなく、覚悟を決めた先生が “…秘密に出来るか?” と確固たる決断によって一線を越えるのが良い。ここらへんの誠実さはICHIGAIN作品の特徴であり魅力なんじゃないですかね。中出しなんだけど、直後に(本当に次のコマ)過剰とも思えるほど謝ってくるのとか真面目でおかしい。この2人の関係性が可愛い。

『エンドロールはやってこない』背中が尻

 陽キャ彼氏と付き合ってる隠キャ。1ページ目の体育座りしながらゲームをしてるのがマジ可愛いんですが、「待ち」であり「ゲーム」というのが彼女のキャラクターを象徴しているのも良い。
 彼氏のことは大好きなんだけど、彼が陽キャすぎて自分とのギャップに落ち込むし、彼と一緒にいればいるほど自分の隠キャぶりを意識して暗い気持ちになる……んだけど大好きだから一緒にいれば幸せだし、彼に求められたら普通に嬉しい、という隠キャ特有のめんどくさい心理が超良い。めっちゃリアル。別に隠キャ女子の立場で陽キャ彼氏と付き合ったことなんてないけど、絶対にああいう心理になると確信が持てるw あのアンビバレントな心理が人間だよなぁ。こういう格差カップルはよく扱われるけど、ここまで隠キャ(それも女子)側の心理に寄り添った作品は珍しいのでは。ヒロインの心理を徹底して描く一方、彼氏側の心理は一切直接的には描かれないので「本当に大丈夫だよね?」と彼のことを疑ってしまう瞬間も正直ある。そして、疑ってしまう自分の醜さに辟易とするまでがワンセット。
 本作の白眉は何と言ってもラストの「のろいのゆびわ」。私は普通にハッピーエンドだと思ったけど、バッドエンドもしくはバッドエンドを予感させるエンディングと受け取る人もいそう。ゲーム的に解釈すると外すことのできない指輪という意味になるので、学生だけど生涯の契りを予感させるアイテムで、めちゃくちゃ甘いアイテムとも取れるんだけど、「のろい」の物騒さが良いですよね。この上なく幸せを感じるアイテムなんだけど、それに対して「のろい」という表現を使ってしまうヒロインの屈折した心理。彼のことが好きであればあるほど、恋人としての関係が幸せであればあるほど自分のことが嫌いになって死にたくなる、という端から見ればどうしようもない性格なんだけど、そのことを自分でも冷静に理解してるはずなんだけど、この指輪を拒否することなんてできるはずない、という後ろを向いた状態で全力で前向きな感じが最高。めっちゃ分かるんだよなぁw そんなラストが秀逸だったし、読み終わってからタイトルを見るとまた味わい深い。

『おさがりセックスフレンド』スミヤ

 こちらもタイトルが秀逸。2ページ目でタイトルが明らかになった時点でもう十二分に面白い。完璧すぎるタイトルだと思う。
 ということで、兄貴が留学中、兄貴のセフレがやってくる。突拍子もない、けど同時に濃厚にエロの匂いがする設定でのっけから最高。年齢的にも経験的にもヒロインが常に優位に立って、その翻弄される感覚が魅力なんですが、いわゆるセフレ的なイメージとはちょっと違う。出会ってすぐの赤面もそうだけど、ちょっと抜けてるというか、可愛いんですよね。だからこそ「なのにセフレ……」と設定のエロさを改めて痛感。普段、兄貴との関係では兄貴が上に立っていて、ヒロインはそれに追従する形なんだけど、今回は相手が弟なのでヒロインが上に立って、その立場の変化に彼女が少し酔ってる。この慣れてないけど、めっちゃノリノリでリードしてくる感じがすげぇ可愛いし、ある種ハントされる主人公の立場で考えるとエロい。
 インモラルな設定でもあるんだけど、最終的にはめっっちゃ甘い決着に至る。この意外性も良い。ちょっと彼女に対して可哀想みたいな印象も湧くので「兄貴じゃなくて俺なら」みたいな幻想も抱いてしまうというか。中盤に兄貴の名前を呼ぶ場面があってなかなかショッキングなんですが、それを踏まえたラストシーンの良さったらない。名前を覚えてくれる、だけではない。次男丸出しの名前からの、ちょっとしたアレンジ。めっちゃ夢の広がるラストであった……。かと思ったらこれ、シリーズ展開するらしいんですよね。割と本作で完結してる印象もあったんですが、今後どうなるのかしら。今回の関係が日常化するのか、もしくはやはり兄貴が帰ってくるみたいなパターンもあるのかしら。主人公には次男としてのナンバー2感を内面化しちゃってる雰囲気もあるので、シリーズを通じてそれを打破する感じになるってのも物語的にはありそう。あるかも。
 komifloのコメント欄見てて驚いたんですが、本作のセフレという設定に疑いを持ってる人がいた。言われてみれば、ですわ。ホントかどうかは知らんけど、そうなっても面白そうではある。タイトルの良さに魅了されすぎて、そこに疑いを一切抱いてなかったw

『妹、また借りてみた』明石六露

 続編。事故的な出会いだった前作からの、それが常態化した2人を描く本作。妹が兄の欲望に対して強めに反論しつつも、エロに至ることにはもはや何も抵抗を示さない感じとかすごい良い。この歪んだ日常感は続編ならではの魅力ですわ。関係を重ねてきたからこそ快感の精度が上がってきた、という説得力もあって非常にエロい。兄貴が明け透けに欲望を吐露してきて、妹がキレつつ反論……というのが最後に再び描かれたのも好き。これはこのまま続いてしまうのかもな、という余韻。

『姉の友達』ももこ

 家に来た姉の友達と仲良くなる。きっかけは動物のm……ならぬ「うさ森」。本作、いつにも増してうさぎ要素が多いので笑う。景気がいいぜ。パーカーの「ウサカー」とか笑ってしまった。モルカーですか?
 異性との予期せぬ出会いが本作の魅力だと思ってて、その出会いの瞬間が最高。ソファーに寝そべってゲームをしてると……という冒頭の出会い、そしてそれを繰り返すような中盤の出会い。2回目の出会いの瞬間に2人の関係に変化が生じるんですが、その瞬間のトキメキ、その説得力がすごい。あとはアレですね。お腹にうさぎ乗せながらゲームしてるのが人生の勝者感ある。ヒロインとの出会いやその関係もそうだけど、うさぎ乗っけてゲームできたらもう満足なのではないか。
 年齢もあるので、ヒロインが常に優位。彼女から積極的に近づき、彼女がリードする形でセックスに至る。その関係性も良いんだけど、細かい場面を見ていると「彼女も不慣れ……どころか初めてなのか?」という予感があり、最終的にその予感は的中する。が、主人公はそれを知らないまま話が終わる、というのも良いよね。ヒロインの隠そうとする目論見は成功したまま終わる。そこまで本気で隠してるかも分からないので今後、恋人関係になってから打ち明けるかもしれないけど、主人公の「知らない」という弱さはかなり引きずると思うw
 本作の味わいを増してるのが前作『純粋培養の花』との繋がり。あちらはヒロインの方が年下で、男主人公が割とクールな感情のまま関係に至る話。男主人公が冷静なので2人の温度差が印象的で、何ならヒロインに可哀想となってもおかしくないんだけど、エピローグでヒロインが女友達とあっけらかんとその話をしてるのが特徴的。立場が下だと思ってたヒロイン側にも冷静さや強さがあった、みたいな感覚でとても好きな終わり方なんですが、本作でもエピローグで視点がヒロインに移って女友達とLINEして終わる。話の構成が同じであり、そのLINE参加者も同じ。前作とのリンクにテンション上がるんですが、ヒロインのあまりの平熱ぶりにもちょっと驚く。「彼氏面かよ」みたいな話じゃないですか。ヒロインがああいうリアクションをしてる(してた)というのがすごい新鮮で、女子の生々しさを感じる。ただ、拒絶するのではなく「まぁいいか」的な感じで受け入れるのがまた面白い。感情の起伏が全然ないまま恋人になる、というのがめっちゃ良い。初めて同士で甘酸っぱい話になってもおかしくないし、男主人公側のドラマとしてはまさにそうなってるんだけど、ヒロインの実はクールというギャップ。おっとりした印象もあって、ともすれば天然と考えてもおかしくない子なんだけど……という意外性。したたかなんだけど、悪意は一切感じないみたいなバランスが絶妙。

『猫宮さん』楝蛙

 『おとなり』のおねーさんがカメオ出演しとるやんけ。楝蛙作品史上最高傑作と名高い(私の中で)『おとなり』のヒロイン。あれからもゲームを続けているという事実が最高だし、隣の部屋にはあの少年がいるのかもしれない……という可能性にも良さを感じる。
 話としては、良い人で周囲の人から頼られる猫宮さんが自分のために頑張るが、不器用。良い人ムーブが過ぎて性的に見られてなかった(けど好意は寄せられてた)というのが焦れったくて最高。自分の気持ちをアピールするのも苦手だけど、向こうの気持ちに気づくのも苦手、という大事な人とのコミュニケーションだと全方位的にポンコツになってしまうのが可愛い。
 日常からエロへの飛躍を劇中の猫宮さんが意図して行ってるのが面白い。それが全裸なんだけど、全裸が明らかになってからエロが始まるまでが遅いw 直接的なエロはない対話が描かれるのが面白いし、一旦冷静になってしまうので、そこから再びエロに持って行くのが気恥ずかしい(けど全裸)というのがおかしい。 “両想いでした! はいセックス! っておかしくないですか!?” は笑ったわ。言ってることはその通りなんだけどw
 両者がじりじりと近づいていく緊張感も最高だったし、最初に行うキスのぎこちなさ、緊張、そして不器用さがすごい。そのまま気持ちが盛り上がっていくのかと思ったらまだならず……と照れ隠しの儀式を続けていくのも可愛い。ただ、その2人が全裸で布団をかぶるという照れ隠しが無性にエロい。2人の間の空気がエロに変わるのはこの瞬間と言えるんじゃないですかね。布団オープンから始まった事件が布団に入ることで転換点を迎える、という意味でも収まりが良い。
 布団からいよいよ本番なんだけど、「見る」という行為が強調される。猫宮さんの見られたくないし、見たくない(見れない)様子が可愛くもあり、そこから猫宮さんの瞳が露わになって見て見られることになる、という展開も熱い。挿入後のプレイ(体位とか)がエロ漫画とは思えないほどにシンプルで、それが猫宮さんらしさだと思うんだけど、だからといってそれがエロ漫画として退屈にはなっていない。単純な行為としての特殊性だと挿入前の方が個性的なんですが、挿入後は挿入後でまた別の魅力が生まれてる。

『アミちゃんのひみつ』雛原えみ

 ギャル。雛原先生は以前にオタクに優しいギャルを扱ってたけど、今後は黒ギャル。定番ジャンルをベタに描くのではなく、独自のギャル解釈を加えてくる感じがすげぇ良い。アオリに “彼女がエロくアップデートした!!” とあるんですが、なかなか言い得て妙というか、本作の本質を指摘してると思う。劇中に出てくる言葉だと「進化」。今回のギャルはとにかくアップデートを重ねる。重ね続ける。元は白かった、と思ったら白時代の描写が意外と多くてこれまた嬉しかったりしました。
 ヒロインの最初のアップデートが舌ピアス。彼女の根幹は黒ではなくピアスにあった、と途中まで読んでようやく気づかされる。そこがタイトルになってる「ひみつ」なのでしょう。そんな舌ピアスに対して彼氏が “でもアミらしいね” と言うのが2人のイチャイチャとして最高すぎる。というか、このリアクションをもらうことでヒロインのアップデート癖は確立された、とも言えるかもしれない。あそこで彼女のスイッチが急に入る感じ、すげぇエロかったです。
 現在のエロパートでは最新のアップデートである某ピアスがメインテー。1ページ目では黒ギャルがメインテーマだと思ったけど、黒は彼女にとってそこまで重要な要素ではなかった、というツイストが良い。もちろん黒ギャルの肌にピアスが生える、というビジュアル的な魅力もバッチリあるし、全身のピアスを味わい尽くすような描写がまたエロい。

『君の視線で焦らされて』ちょりもっき

 兼田パイセン!! 毎作ではないけど、定期的に出てきて、エロとは直接関わらない兼田……。今回は兄貴としての側面が明らかになるので笑った。そして舞台は兼田家(実家)。兼田パイセンの周辺情報が積み重ねられていく。彼の関係者がみんなエロいことになっていくw
 話としては、兼田弟が従姉に狙われる。おねショタ時代に事故的におっぱいを見てしまってから気まずい関係。その件についてヒロインが土足でズケズケと言及してくる導入が良い。2人のパワーバランスが決定的に分かる。向こうは何も隠さずに全開で迫ってくるのでとにかく強い。その関係性もエロいし、それが反映されたエロパートも最高。前戯部分から完全にワンサイドゲームなんですが、本番のあたりからヒロインが勝手に楽しんでるような感じも見えてくる。誘惑の延長線上でエロが始まったかとも思ったけど、自分の欲望に正直すぎる彼女が勝手に満喫してる。主人公に対して支配的でもあり、ちょっとだけ独りよがりっぽくもあるんですよね。自分の満足のために主人公を利用してるというか(もちろん好意ありきでしょうが)。大人としての強さは感じるけど、余裕という感じではない。彼女は自分の欲望の実現に全力なので。
 エロ漫画だとお馴染みのゴムを出してから捨てる展開が本作だと兼田パイセン絡みの出来事として描かれ、それがラストでの再登場でオチとなるのも楽しい。 “よせやい” が最高なんだけど、たしかに自分の弟が関わった話でゴム使わないのは心配になるw

『何だかんだ言いながら』ヤギコム

 脚立から落下して聞き手を捻挫したので先輩に世話してもらう。落下してパンツを見てしまい怒られる、という冒頭のちょっとしたやり取りで2人の関係性がすぐに分かるのが良い。定番のシチュエーションなんだけど、その中で2人のキャラクターを丁寧に描いていて、だからこそエロが始まると魅力が倍増する。クールだけど押しが弱いヒロインに対して押して押して押しまくる……んだけど、頼み倒すのではなく、実際にチンコで迫る場面が最高でした。漫画的なオモシロが詰まってるし、ヒロインのリアクション、表情の変遷が素敵。そんな腰と顔の密着した場面がそのまま手コキからの玉吸いの場面に繋がるのも良い。行為としてはわりかしシンプルなんですが、2人のやり取り、ヒロインのリアクション、そして表情ととにかく魅力的。その後の本番でもヒロインの受けっぷりがとにかく最高。密着した体位が多いんだけど、行為の途中で服を脱がせてるのも好き。なりふり構わぬ感だし、ゆるめの服をガバッと一発で脱がせる感じもエロい。

『ガールズコレクション ~GIRL:めぐみ~』ヨイコノtt

 裏垢女子と、ハメ撮り垢男子。基本的に男視点で、上からの立場で進行するんだけど、『へべれけベロベロちゅっ』のときみたいにヒロインの本性が明らかになって……と逆転すると思ったら違った。裏の裏は表みたいな話で、最後まで順調に行くんですよね。冒頭の場面で示された2人の関係性がそのまま維持される。ただ、SNSを介したハメ撮りの世界がどうにも不気味で、そこに積極的に迷い込むヒロインの存在も妙に怪しげで、全体的に薄暗い雰囲気があり、ヤバいものを見てる感がすごい。最初から最後まで順調で、何なら2人はすべて合意なんだけど、ヤバさが漂っててすごい面白かった。暴力とか支配は一切ないのにインモラルでダークな味わい。ヒロインは何考えてるか分からなくて、どこか不気味さもあるんだけど、エロに関しては弱者のまま最後まで行くというのも逆に珍しいというか。エロに関して徹底して受けなので被虐的な感じもあるんだけど、そのすべてに対して彼女が望んでる、という捻れ。この解答というほどハッキリとしたものが語られるわけじゃないけど、エピローグにおけるヒロインのちょっとした迷い、 “これ飲まなかったらほんとに妊娠しちゃうんだ…” が彼女というキャラクターの本質を示しているようで面白かった。とにかく性的な好奇心に突き動かされてて、それが暴走しがち。心が求めるものに肉体が追いついてないというか。エロの好奇心が暴走するってのはありがちな話ではあるんですが、それを女性視点で、この究極の「もしも」で示したのが新鮮で、超良かった。こういう心理は普遍的だけど、男キャラだとここまでギリギリの「もしも」は作りづらいんじゃないかしら。たぶん彼女はピルを飲むと思うんですが(そうであってくれw)、あの「もしも」に一瞬頭が支配されてしまう感じ自体はあるあるだと思います。それこそエロじゃなくてもいいし。
 主人公(てか男)が終始ヘラヘラしてるのに、すべて彼の思惑通りに進行して終わるのが意外なんですが、例のラストシーンによるハラハラが読者の中には発生する、という余韻が良い。ハメ撮り続けてたらああいう「もしも」が暴走しちゃう子が実際に現れる可能性もあるのかも……と思うと男側としてもめちゃくちゃ怖い。彼としては用意周到に事を進めてるけど、あのラストみたいな発想は彼にはコントロールしきれない部分ですよね。すごい余韻だ……。

『傍惚れにつき』だいじ

 無意識的に男を誘惑してしまう女と、それを守る男。誘惑体質みたいな設定ってたまにありますけど、本作だとそこに「不思議と最後の一線は越えない」というのが加わる。その法則の上にヒロインが胡座かいてるので主人公が叱りつつ……。主人公が誠実であればあるほど “ほら私の言った通りですよね!?” と調子に乗るのでどんどんエロが加速していく。この特殊設定ならではの攻防がめっちゃ良かった。本来なら守る立場だった主人公が徐々に闇堕ちしていくような味わいもあるし、それに対するヒロインのリアクション、どのような表情をするかの部分が最高。基本マイペースで表情が崩れず、何考えてるか分からないようなヒロインなんだけど、何ヶ所か表情が崩れる場面があって、その破壊力が抜群。主人公は言葉責めのような形になるんだけど、それに対するヒロインが言葉では返事をしない、けど明らかにイエスな返答をする、というクライマックスも熱い。そこでヒロインがキスをねだるんですが、思えば彼女の表情が初めて崩れたのがキスしたときだったんですよね。そんなことを考えても味わい深い。
 エピローグ。タイトルの傍惚れってそっちだったんかい!! と喚き散らしたくなるオチがつくのも素晴らしかったです。

『メスかぶり』潮汐きよし

 兄の友人がメスガキ好きらしいので演じる。この設定だともっとラブコメっぽい雰囲気の作品になるかと思ったんですが、予想外にダークな雰囲気になり、その迫力が良い。
 ヒロインは黒セーラーなんですが、作戦を思いつき実行する際にスカーフを外す。これが彼女のリミッター解除の表現になってると思うんですが、スカーフが外れることで彼女の服装が黒のみになるんですよね。彼女のスイッチ表現としても面白いし、作品全体が黒に染まっていくようでもあったと思います。セーラー服にこんな使い方があったのか……とマジで感心してしまったというか、奥が深い。
 男の方がいい具合にヘタレで(まともとも言う)、そこらへんも本作がラブコメ的な決着になると誤解した部分なんですが、そんな彼もが闇堕ちしていくようなクライマックスも良い。1コマだけある首締めに「あっ やばっ……」と確信させられるし、それがラストの首輪に繋がるのもナイス。首輪って定番のアイテムだけど、それに至るワンクッションがあるのが面白かったです。

『ひねくれ者とBSSうぱ西

 これは良いタイトル詐欺。NTRとかBSSって冒頭の場面だと純愛ものに見えたりして、そこからの捻りが面白いと思うんですが、本作は逆にBSSかと思わせてから捻りを加える。試みとしても面白いし、ジャンルに対する批評性のようなものすら感じる。もしくは「BSSとかやめぇや」という作者及びファンの心の叫び。
 私はあゆむさんのこと一目で女だと分かったよ! と本人に伝えたくなるんですが、そうだと予想していてもその後のBSS的絶望パートがすごい。めちゃくちゃ本格派なので「これは大丈夫」という自信が揺らいでしまったw 視界が歪み、目に入るものすべて、思い出のすべてが “でも… 真紀さんは今頃…” というよからぬ妄想に発展してしまう感じとか本気で殺しに来てる。だからこそ、そっからの逆転劇がめちゃくちゃ熱い。
 最後まで読むと甘々な作品だったと分かるんですが、ヒロインが “私の事… 奪われて悔しいんだ?” とカマかけてくるのがまた面白い。オチを分かってから再び読むと彼女のおふざけ感がまた甘さの強調になって良い……。年上ヒロインがヘタレ主人公の背中を押すためにウソをついてくるという優しく大人にさせてもらってる感が最高なんだよなぁ。ヒロインが主人公のことをヘタレだけど素直なところを可愛く思ってる部分とかも素敵。上下のあるカップル関係として理想的ってくらい好き。

異世界はこう抜く』F4U

 第27回。今回はなまはげなまはげ対策としてまくら嬢がメスガキ演技を始める(逆転分からせはナシ)。私の好み的にメスガキ属性ってそれ自体が特別魅力的という感じではないんですが、今回のスイッチの入ったまくら嬢は正直めちゃくちゃ良かった……。
 あと、あっさり逆転されるなまはげがチョロくて少し可愛かったw

「読者コーナー」

 1月号掲載の『two tails』、タイトルの意味を知りました。同時に意味を誤解していたことが明らかになったのでウケる。英語の慣用句……オシャレな表現しやがる……。
forms.gle
 終わり。今月はもうちょっと早く終わると思ったんですが、なんでですかね(知らねぇよ)。
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