北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2022年2月号の感想

 今年もできる限り頑張ります。
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『お鍋がゆく』藤丸

 幼馴染とそれを見つけた化け狸。女の子の方に狸が化けてエロいことしようとする。本当の姿のよっこちゃん、冒頭に1ページ出てくるだけで、あとはエピローグに再登場するだけなんだけど、その1ページで彼女の魅力、そして幼馴染カップル未遂の関係性の魅力が一通り説明されちゃってるからすごい。しっかり者のよっこちゃんが狸が化けることでエロエロになるというギャップなんだけど、そもそもの基本設定があの1ページだけで成立してる。ちゃんと「あのよっこちゃんがこんなことを……」ってなるんですよね。
 狸のワンサイドゲームかと思ったら、しょうくんがまさかの覚醒w ギャグ的な展開ではあるんだけど、「好きなのを我慢してたのに」という部分は十分理解できるから面白い。
 てか、しょうくんの勃起チンコがオーラまとってる描写が完全にバトル漫画のそれなんですよね。無駄にかっこよすぎるので笑う。最近のワニマガ系列は修正が白抜きに戻ってしまって残念なんですが、本作の覚醒勃起描写は白抜きになったことでよりバトル漫画っぽさが増したと思うw
 覚醒チンコで疲れると変化する余裕がなくなるので狸に戻る。ちゃんと狸モードでのエロ描写があるのも嬉しい……と思ったら最後に本物よっこちゃんのエロも見れるのでありがたい。20ページしかない読切なのに盛り沢山だ。唯一エロ描写のない女性キャラがさらにもう1人いるんですが、「この人のエロも気になる……」と妄想を喚起させられますね。ただ、このみたらし油揚げはキス止まりだったらしいです。それはそれで良い……。

『メルティドール』翁賀馬乃助

 冒頭2ページが見事すぎるというか、漫画として面白すぎる。1ページ目は男集団の中に紅一点としてヒロインが描かれるんですが、男たちとの距離感がどうも怪しくて嫌な予感がする……からの2ページ目で完全にアウトなことが明らかになる。まだエロ描写は一切ないのに、すごいことになってると想起させられるし、ヒロインがいいように利用されてて彼女がそのことを自覚してないっぽい事実にある種の絶望感も抱く。翁賀先生の快楽天作品の中で最も寝取られに近づいた瞬間と言えるかもしれない。
 そんな暗さを濃厚に感じるオープニングだったんだけど、ヒロインの描写、ビジュアルとしては全編を通じてキラキラしてて、そのキラキラ感&透明感がもうホントに魅力的。ちゃんとロシアからの留学生という説得力が感じられる。このギャップですよね。享楽的な展開になるんだけど、ただエロにふけるだけの話ではなく、その裏の「彼女がこうなったのは……」みたいな背景を常に意識させられる。絵と物語のギャップによって読んでる際の味わいが増す。
 そんな背景の暗さなんだけど、先生は例の事態を未然に防げなかった、という事実が明らかなんですよね。この断定的な情報を入れてくるあたり意地悪ですねぇw 先生の暗黒リアクションも入るのが最高。未然に防ぐ話だったらもっと明るくハッピーな作品になったと思うんですが、そうだとここまでの奥行きのある味わいにはならなかったと思う。ただ、「まだ分からんぞ」と勝手に希望を見出したいのは、元から彼女は奔放だったという可能性。元から彼女の方が性的強者だったら少しはマシというか、気持ち的に助かる。ただ、それは夢見すぎな気もするんだよなぁw
 直接エロとは関係がないんですが、彼女が自らのことを “ガイジンめずらしから” と言う場面があって、自分で「ガイジン」という言葉を使うのとか地味にイヤというか、個人的に結構つらい場面だった。ガイジンって蔑称になりうる表現だから避けた方がいいと思うんですが、彼女は既にそれを内面化してしまっているという取り返しのつかなさ。彼女の言い方や表情は天真爛漫なのに……というギャップが、来るw
 そんな彼女に迫られるがままにやってしまう。エロ漫画なのでやるのは当然なんですが、「ここでやっちゃうのも良くないよなぁ」みたいな心理が働く物語ですよね。とにかく全編にわたって後ろ髪を引かれるような味わいがあって最高。
 エピローグ。現実的な範囲の中で彼女に救いの手を差し伸べる、という着地も良かった。すべてが解決するわけではないけど、というリアリティ。先生は新しい場を与えて自らは去るのみ、という大人な対応なのも好き。エロパートに少女漫画好きという伏線があったのもうまかったですね(普通に見過ごしてたw)。
 それにしても先生、「スパシーバ」くらいは分かろうよw いや、「今何て言った?」というラブコメ主人公感あって好きな場面なんですが。

『瓊音』幾花にいろ

 ぬなと。玉の擦れ合う音、らしい。勉強になるぜ。
 冒頭から2人が生き生きとした会話を展開するが、2人の背景は見えてこない。「カレシが来る」とナンパを断る場面から物語は始まるが、 “んじゃ今日だけカップルなー” と続く。しかし、カップルじゃないにしては、サクサクとエロが始まっていく。キャラクターにリアリティはあるんだけど、彼らのことはよく分からない。この感覚が絶品。答え合わせのように、エピローグ(事後)で2人の関係が明らかになるのも良い。それを踏まえて今回の2人を出来事、及びエピローグでの会話を考えると非常に味わいが深い。ページ数が短いエロ読切ならではの物語というか、情報量不足を逆手に取ったアプローチが面白い。
 タイトルにあるように音(及び声)が作品のキーになってくるんですが、エロパートになっても会話が多い。冒頭から2人の会話が魅力的だったので納得なんですが、それにしてもエロパートの会話へのフォーカスぶりがすごい。会話へのフォーカスというか、直接的エロ描写の少なさ。2人の顔を隠すようにエロが進行していくのとかすげぇ独特ですよね。セックス要素が減るようでもあるんですが、会話の内容がセックスの具体的な内容についてなので、当人たちが得てる視覚以外の感覚的情報を会話によって表現していて、結果的に読者は感じ取るエロはかなり生々しいものになっているのではないか。
 挿入時の素っ気なさ、何てことなさもすごいリアルで好きなんですが、その後おっぱいの描写が皆無になるのもすごいですよね。ただ、AVじゃないんだから、普通の男女が正常位でセックスしたらそりゃ乳首とか見えるわけないだろ、という感じ。普段読んでるエロ漫画がいかに映えを意識した漫画的をウソの上に成り立ってるかを痛感する。ピルについての会話もリアルで良いんですが、ピル飲んでるから「じゃあナマでいいよね」という話にならないのも好きなリアリティ。

『ぶれいく・ゆあ・ふぇいす』南北

 イキ顔を見られたくない女vsイキ顔じゃないとエロを感じない男。その基本コンセプトを端的に示すオープニングが秀逸。2人の運命を狂わすアヘ顔を披露したモブAV女優に感謝だわw
 ヒロインの大人感、良い女感が素敵。たかが大学生という設定がマジで衝撃でしたわ。自分の好きなように性生活を満喫してる感、自分の望みをすべてコントロールしてきたからこその自信が感じられる。その自信が圧倒的なまでの性的強者に出会って崩れるんだけど、セックスが終わったらちゃんと戻るんですよね。セックスを経て、互いに最大の秘密を共有した2人の関係性も魅力的でしたね。別にナイスカップルになったわけでは全然ないんだけど、ここまでぶっちゃけ合えて、分かり合える関係性ってのも貴重なのではないか。
 ナメてた男がつよつよチンポだったみたいな話なんですが、その畑中くんが彼なりに狂ってるというか、結構なレベルで変態なんですよね。ただチンコが強いとか、テクがあるだけの話ではない。彼なりの最強セックスルーティンがある。性感の追求としてエログッズではなくシルクのシャツが出てきたのも意外性があり、「たしかに気持ちいいのかも……」という説得力。それを一般女子である野口さんに使おうとしてたのがなかなかアレな話ですよねw 彼も結構やばいので、ヤリサーの主になるというヒロインの提案も案外まともな話にも思えてくる。野口さんが普通の子だとすると、彼とは結ばれない方がいいんじゃないか……とか余計なことまで考えてしまうw
 てか、エピローグにおける、 “竹を割ったようないい女でしょ?” に対する “竹割って竹ヤリにしてきてる” が秀逸すぎて爆笑を通り越してもはや感動。何か有名なフレーズの引用なんじゃないかと調べてしまったレベル。

『あしひめ』mogg

 タイトルの通り、脚フェチ特化。ページ数が短めな作品なんですが、脚フェチというテーマのみに注力したような作品になっててこれはこれで適切だった気もする。挿入することなく終わるのも「脚にしか興味ありません」ってことですよね。通常の作品だったらこのあと挿入に至ると思うので、その分のページを削ったら本作くらいのボリュームなのではないか。パンツも脱がないし、おっぱいも出さないって相当ですよね。こだわりというか、コンセプトの徹底ぶりがマジですごい。サービスというか保険として別の要素も入れちゃいそうなもんなんですが、あくまでも脚に特化。ここまで来るとパンツが見えたことに感謝の念が湧いてくるレベル。

『已尽さほはなぜか謝る』ぷるめたる

 無意識的に男を誘惑してしまい、男たちに襲われ続ける。タイトルは彼女の可哀想な立場を示したものかと思ったら……というラストでやられた。あのラストはマジで秀逸。男を翻弄し、男に翻弄される話だと思ってたら最後に「対女」の話になって終わる。単なる意外性としてもそうだけど、ヒロインが自身の特殊な能力(?)を自らコントロールしているというのが示唆されるのも読み味としてかなり重要ですよね。彼女はただの可哀想な存在ではなかったと分かるわけですので。彼女は彼女なりにあの体質を理解し、折り合いをつけながら自分の望みを叶えてる。弱くて可哀想な存在ではなく、どうしようもなく強い存在だったのでは……という印象の反転。本作は全編ヒロインの語りで進行するのに、最後になってようやく彼女の本性(の一片)を理解できたという構成。タイトルも含め、見事すぎる。ラスト、彼女が謝られて、謝り返す、というのも意味深で良かった。

『チョーハツ♡シスター』大伴ヤキ

 タイトルの通り、妹に挑発される話なんですが、主人公である兄貴の情けなさ、キモさに関する描写もしっかりあって面白い。されるがまま、ではなく、彼女の誘いに乗ってしまったという罪の意識、からの逆ギレ感が最高。みっともなさの極みではあるんですが、あのみっともなさは他人事とは思えないw
 その後、エロパートに突入するんですが、挑発する妹と情けない兄貴という構図が維持されるのが最高。兄貴の逆ギレで逆転、と分かりやすい話にはならない。その後も妹は挑発を続け(すなわち優位に立つ)、それに対して兄貴が逆ギレ的に暴走してエロが盛り上がっていく。互いに多少なりとも好意があるならもっと優しくなればええやん、と思うんですが、そこで素直になれない両者のキャラクターが良い。
 エピローグでも結局妹が挑発する立場に戻ってたのが良いですよね。挑発からの逆ギレが2人の関係性として最高に魅力的というか。黄金比のようなものを感じる。経験の数を考えても妹の方が優位に立つのは当然なんですが、妹は兄貴の逆ギレを期待してるのではないか……みたいな含みを感じるエンディング。
 何度逆転されても優位に立つ妹が魅力的なんですが、それは同時に、兄貴が逆ギレする度にいちいち反省して落ち込んでるという話でもありますね。本番を迎えてしまってからは賢者モードというのもあるんでしょうが、この「懲りねぇなw」感もすごい好き。

『Prepayment』Hamao

 同級生の自殺阻止かつ家出少女もの……かと思ったら!!! 良いなぁ、こういうラストでガラッと印象が反転する作品。たった18ページでこんなにも作品に振り回されることある?? 自殺と思ったら他殺やんけ、というオチがすごすぎるわ。マジでたまげた。読み終わってからタイトルの意味(前払い)を考えると最高ですね。主人公はそれなりに誠実な行動を重ねてきたと思うけど、気づいたらもう取り返しのつかないところに行き着いていたというか、前払いを受け取っちゃったんだよなぁw
 首締め。エロ漫画だと特殊プレイとしてたまに扱われる首締めだけど、単なる特殊性癖の首締めプレイでは終わらず、彼女が首締めを望んだ真意とは……とか考えてしまいますよね。首締め自体が物語的な大きな仕掛けになってる。ついでに言うと、首締めプレイに付き合わされて、それを最後まで味わってしまった主人公の取り返しのつかなさもヤバいですよね。途中でビビってやめたとかならまだ救いがあるけど、射精するまで首締めを止めなかった(首絞めによって彼女がイク→その収縮によって主人公がイク)ってのが地獄にへと道連れにされた感あって最高。

『山村の令嬢』もず

 田舎のエロ因習ものの一種だと思うんですが、もず先生らしく可愛らしい雰囲気が前面に出てそこまでおどろおどろしい雰囲気にはならない……けど一般的な常識からは外れた価値観で動いてる人たちに振り回される。田舎の不気味さと、ヒロインの可愛らしさとエロさに「まっいっか……」と心が揺れてしまう感じが絶品。この疑問は感じながらもずるずると堕とされてく感覚、エロ漫画の醍醐味って感じがする。
 最終的に田舎のシステムに主人公が飲み込まれていく結論に至るんですが、主人公がそのことにまったく気づいていない……のではなく、 “や 俺自身の意志です まったく罠とかじゃないですよ たぶん…” と少しだけ疑問を抱いてるまま終わるのが最高。可愛い嫁さんもらって最高じゃん、と思考停止するのも良いし、ヒロインが可愛いのは事実なのでそれはそれで真実なんだけど、「結局のところ利用されたのでは?」という裏を勘ぐってしまう苦み。ハッキリと苦みを感じるほどではないけど、何となくその予感がする、くらいの余韻がすげぇ良い。可愛いしエロいから細かいことはいいんだよ、で納得してもいいんだけど、「罠だった」としたらヒロインの意志はどこにあるのか、とか結構大事な問題じゃないですか。その心配になってしまう後味の悪さ……いや、後味が悪いと言うほどの苦みではないんだけど、という絶妙なバランス。

『イキヌキっ♡』余命3週間

 ソープランドの店長。女性とエロに溢れた世界に生きる主人公にとって心のオアシスと言えるのが、コンビニバイトの女性との交流。そんな女性が店の面接にやってきた。その事実が明らかになるのが5ページ目なんですが、そこまでの4ページ、マジで本作がどういう話になるのかまったく分からなかったw コンビニ店員とのピュアな関係の話になる可能性とかも考えてたので「そうなるのかぁ!!」とひっくり返った。もうこの時点で超面白い。意外性ってだけで百点だし、エロとは無縁だから良いと思ってた人に濃厚なエロを感じる話なので、そのギャップがめちゃくちゃエロくもある。
 主人公は面接のときもそれなりに紳士的に接するんだけど、ヒロインが思いの外エロに対して前のめりで……という意外性も最高。この状況になってもまだ2人の間にはちょっとトキメキのようなものを感じさせる余地があるのが良い。そんなドキドキ感を抱いたままの研修。互いに体裁を抱えたまま、2人はエロの関係に至るというのが最高。
 秘密の関係として2人の繋がりは継続するようなエンディングだと思ったんですが、komifloのコメ欄で「寝取られなのでは?」と論争が湧き上がっててそれもまた超面白い。言わんとすることは分かる。個人的にはピュアな関係だと思ってた2人が割り切った関係になるのがエロいと思うけど、ピュアさを期待してると嬢としての生活を始めるラストが寝取られに見えるって意見もめちゃくちゃ分かる。こういうの見るとやっぱエロ漫画って面白いなって感じちゃいますね。
 ラストのコマのコーヒー(コンビニのコップとはデザインが違う)とかめちゃくちゃ味わい深くて好き。

『くちなわのリング』40010試作型

 本号の目玉と言って問題ないと思う。52ぺージという特大ボリューム。膨大なページ数なんですが、ヒロインの数が多いとか、セックスの数が極端に多いわけではない。とにかく全体的にじっくりとしたペースで物語が進行する。長尺ならではの味わい深さがありました。
 1ページ目にでかでかと登場する姪とはエロいことにならなくて、2ページ目に本命登場、という流れも長尺ならではの良さを感じる。普段快楽天で読む作品とは異なるルール、文法で成立してるような感覚。こんだけページ数あったら姪ともやってまえ、とかなりそうなもんなんですが、あくまでも姪はただの姪として終わる。いくらでも詰め込めるのに詰め込まない。この余白が本作らしい良さだと思います。ただの背景にしてはキャラがしっかり立ってて、リアルに息づいたキャラになってるのも良かった。いつもの感覚だとこんだけキャラの立ったキャラとは当然エロいことになる……という先入観をうまいこと利用された感。
 そんな姪の存在もヒロインによる挑発の材料になるのも素晴らしかった。直接的な下心、エロの気持ちだけを見透かされるのではなく、エロのないはずの姪との関係をも利用してくるってのが別の背徳感を刺激してくれる。
 とにもかくにも悪魔の誘惑みたいなヒロインの誘い、挑発が魅力的。エロ漫画ってセックスが始まる前の段階の方がエロいのではないか、とかたまに考えるんですが、本作はまさにセックスが始まるまでの過程がエロい。もちろん溜めに溜めた果てに行為に至る盛り上がりも最高なんですが、ヒロインに誘惑され「どうなってしまうのか」と翻弄されつつ、セックス未満のエロいことになっていくパートが超良いんだよなぁ。ヒロインの誘惑が無自覚ではなく、完全に自覚的だからこそ悪魔的な印象が湧く。その悪魔感が彼女の圧倒的なまでの強さであり、魅力。

『らぶ・ぽ~しょん』鳥茶丸

 何でも発明するヒロインが媚薬を作る。その依頼者は前作『ヤリだしたら止まれない!』のヒロイン……てか、前作に本作のヒロインが既に出てたのですね。魅力的な脇役を主役に持ってきた形。
 からの後輩くんが頑張る。制作中の媚薬をイッキして “ちゃんと効果…” “出てますよ!” は良かったなぁ。事態がエロに進むと同時に2人のドラマ的な進展としても熱い。元から好きだから媚薬の立証にはならないよ、とか神視点の読者としてニヤニヤできる良さもある。
 媚薬を発明するような荒唐無稽な設定で、勢い重視のラブコメにも思えるんですが、意外と2人の進展具合がピュアで、その心理描写が丁寧で細やか。2人の言動もそうだし、表情ですよね。照れ顔と言ったらそれまでですが、気持ちを押し殺したような表情で急にしおらしくなる瞬間がとにかく印象的。エロが始まってから、そしてエピローグまで、2人が控えめで、おとしなく、慎重に様子を伺いながら本音を小出しにしていく感じがすげぇ良かった。2人とも可愛いし、2人の関係性が可愛い。

『嗅がずにはいられない!』柚十扇

 1ページ目からブラウス巨乳のインパクトがすごいので、彼女の匂いを嗅ぐのかと思ったら逆だったので意外。そっちか! ヒロインが匂いフェチだったという話なんですが、出来る女で、少し厳しい先輩だと思ってたヒロインが徐々に変態の顔に変わっていくグラデーションが最高。最初の方はまだ普段の外面を意識して、自分の欲望を押し殺しつつ匂いに興味示しちゃってるような顔だったのが、後輩のシャツを堪能してるところを目撃され、逆ギレ的に正体を明かす。この逆ギレ感も「この関係でまだ優位に立とうとするの?」みたいで面白かった。先輩として強い立場にいる様が魅力的でもあるので、そういう良さもあり、「さすがに無理あるでしょ」というギャップも良い。
 てか、1ページ目であれだけ印象的に描かれた巨乳が物語的にはほとんど意味のないものだったのも驚き。もちろんエロパートであの巨乳を駆使することにはなるんですが、それが匂いフェチの件とは直接関係がない。あの巨乳は標準装備、という割り切り。まぁ、最終的に後輩くんがおっぱいに魅了されたような感じでもあったので、2人がそれぞれ別のフェチを向けあう関係性になった、という話でもあるのかな。匂いフェチという性癖を持つある種の変態があの強烈なおっぱいで攻めてくる、と考えたらかなり面白いですね。勝てるわけない。
 エピローグ、ヒロインが強い先輩の姿に戻るのが良かった。戻るんだけど、後輩くんには正体を知られちゃったので……と2人の間だけの秘密を共有する感じも良い。

『えすけーぷ勉強会!』おから

 友人と、友人の妹と勉強会。友人の妹という距離感、良いよね。ガチ妹ほど禁忌ではないけど、「手を出しちゃいけない」存在でもある。友人が同席してるので彼女の妹らしい一面が見れるのも良い。冒頭の場面、主人公が除け者になりつつあるくらい兄妹の会話が多いんですが、そこで「彼女は妹である」と強く意識させられる。お兄ちゃん呼びもしっかりある。お兄ちゃん呼びと先輩呼び、どちらも堪能できる贅沢プラン。ここで彼女のキャラがしっかり立ってからの抜け駆け。いや、実際にその場から抜けるのは兄貴の方なんだけど。
 2人きりになると恋人の顔になる。兄貴と主人公、どちらにも意地悪のような絡み方をするんですが、同じ意地悪でも全然違うんですよね。ここの機微、良かったなぁ。
 部屋に移動して、さらにスイッチ入るんですが、そこでもヒロインが主導権握ってて、そこがまた魅力的。年下なのにうまいこと手の上で転がされてる感ですよね。理想なのでは……。
 兄妹の仲がガチで険悪ではないのが伝わってくるのも本作の魅力の1つだとは思うんですが、そうなると除け者にされた兄貴に少し同情の念も湧いてくる。素直で良い奴そうなんだよなぁw そんな若干の後ろめたさを感じつつも誘惑に溺れてしまう感じもエロい。

『冬のある日』ほしとラッキー

 引きこもりの同級生を世話をしてる。冒頭の場面の会話、 “てか まだ中学ジャージ着てんのかよ” “短パンは小学校のだよ” “今の学校のジャージはまだ新品なんだ!” というやり取りが最高。主人公の心配が空回るような内容でありつつ、ヒロインがいつ頃から学校行ってないのかが端的に伝わってくる。エロ漫画的に学校ジャージが武器になるってのもあるんだけど、それと同時に本作の設定についてちょっとした会話で説明しきってる。ナレーションとかで説明しようとしたらもとウダウダ長ったらしいものになったと思うんですよ。それがこのスマートさ。変なところに感動してしまった。
 低体温というか、基本的に感情表現が少な目のヒロインがエロを通じて感情が漏れ伝わってくる。それに対する男主人公のキャラクターはかなり薄味であくまでも個性を消すような存在なのが面白い。ヒロインは本来ならかなり消極的なキャラクターなんだけど、エロパートはかなり極端に彼女中心に描かれるので、彼女の細かい感情の動きに嫌でも意識が向くようになってる。薄味ならではの味わい深さを感じる。
 その薄味の良さをさらに感じたのがエピローグにおける、 “……もしかして …エッチの時も気持ちいいフリとかしてくれた?” という主人公の心配。疑心暗鬼になる童貞マインドも嫌いじゃないんですが、ラストにあんなこと言われると「フリじゃなかったよね?」と確認したくなってしまうじゃないですか。そうして読み返して彼女の感情の機微をより見出そうとしてしまう。んで、読み返すとセックス中の会話で「気持ちいい」という確認が何度も繰り返されてることに気づく。どの場面で、どちらがその確認をしてるのか、そこで実際に気持ちいいのかどうか、とか気にし出すと本作の良さが倍増すると思います。2週目がめちゃくちゃ面白かった。

『おませに飲ませて♡』明石六露

 妹のパンツでシコってたらオナバレ。そこからさらに妹の特殊性癖の目覚めの話に至るので笑った。オナバレだけじゃ終わらないのかよw
 んで、タイトルの通り精飲のみの関係がしばらく続く。手と口のみのプレイは服を脱ぐ必要が一切ないから日常との境が極めて希薄。彼女は一切脱いでないのに、というパワーバランスも良いし、日常から地続き、日常の隙間に搾り取られる日々が描かれるのが良い。
 からの妹に彼氏が出来たので兄貴は用済み……という煽り。寝取られ的な感情を刺激しつつ、兄貴の屈服を促してるのがまた良い。ネタバラシがかなり早めに行われるのも何気に優しさですよね。そこまでガチで騙すつもりも、寝取られ的な感情を誘うつもりもない。いつもの精飲から一歩進むのに際した一種の確認としての嘘。そうして兄が折れていよいよ本番に至るんですが、折れたもののいざ挿入となると抵抗を示すのがまた良い。そこでまた妹の誘惑ですよ。常時妹が誘惑することで優位に立つ、という良さ。
 兄妹だからゴムは大事だよね、とか一瞬思ったけど、実際は本番だけど精飲したいから、という欲望に忠実な理由だったのも面白い。そこから、無数の散らばったゴムを描くことで “死ぬ” というギャグ的なラストに繋がるのも見事でしたわ。この回数表現はゴムならではの魅力ですね。

『怒りのわからせ』デルタナイン

 格ゲープレイヤーの「渋谷ランボー」が恨みを買う。板橋何とかみたいな名前でありそうかと思ったら、そもそもタイトルが『ランボー3 怒りのアフガン』ネタなので笑った。
 女子プレイヤーが恨みを買って「わからせ」に至るんですが、ゲーセンカルチャーの暗黒面が土台になってて面白い。今はここまで世紀末なところは少ないんだろうけど、私はゲーセン観が古くてまだちょっといかがわしかったり、ちょっと怖いことになるイメージもあるので、そこと合致する。無数の男に囲まれる環境としても自然だし、さらには最初と最後に出てくる無垢な少年という存在も効果的でしたよね。彼とのおねショタ作品になってる可能性もあったはずなのに……というギャップがとても良かった。そんな善なる存在である彼のことをラストでは……となるのもヒロインの堕落ぶりを示してて良かった。彼にとってかっこいいお姉さんのままでいたかったのに現実ではそうもいかない、という儚さ。竿役よりもその少年の方がキャラデザがしっかりしてる、という捻れ現象もすごい特徴的ですよね。竿の顔をそれほど描かない作品はよくありますけど、竿を描かない上で、モブの少年をしっかり描く。これは相当珍しいと思うし、その効果はめちゃくちゃ出てたと思う。ジャンル詐欺的なサプライズ感もあるし、彼女が失ってしまったものとしての絶望感も煽られる。

『お姉ちゃんズは逃がさない!』トウ

 クリスマスの間、いとこの家で過ごすことになり、2人のお姉ちゃんに捕まる。1ページ目のタイトルコマで明確におねショタだと提示されるのが良い。3人それぞれの表情が絶品で、この1ページ目だけで本作のことが大体分かる。約束されたおねショタ。1ページ目では横に挟まれてたんだけど、ラストでは縦に挟まれることになる、というお姉ちゃんズならではの魅力もふんだんで最高。やはりおねショタは良い……。
 おそらく全方位的に積極的なお姉ちゃんと、真面目なんだけどショタコンのお姉ちゃん。それぞれ主人公に対するアプローチが違って、それぞれ良い。積極的に攻められることでショタの受けの魅力が引き出されるし、むっつりショタコンの方も秘めたるヤバさが随所に感じられて楽しい。どちらかというと、こっちの方が危険なのかもしれない……とか勘ぐってしまうw
 それぞれのキャラクターが反映されたような衣装も魅力的なんですが、エロパートになってもみんな脱がない。半脱ぎのままフィニッシュ。いろいろとありがてぇ。日常からの地続き感もありましたね。
 個人的に最高だったのは片方にフェラで抜かれ、それがバレた際の “さっきだって… 奈生くん困ってたでしょう” “え〰 気持ちよかったよね? 奈生” の場面。それに対する奈生くんのリアクションも含め、3人の関係性の魅力が炸裂してたと思います。この3人のパワーバランス、そしてまともだと思われたキャラの理性が決壊する瞬間の「もう逃げ場ないわ」という絶望感(歓喜)が最高。各エロパートのブリッジとも言える場面なんだけど、ここマジで良かったなぁ。本作の肝とすら感じる。

『シークレットオーダー』アシオミマサト

 先輩の盗撮写真をSNSに投稿してたら、それがバレる。謎の人物から脅されるがままにその先輩に迫る。エロの最中も電話で指示が続いてる、というめちゃくちゃ特殊なシチュエーション。変則的な3Pとも言えるのでは……と思ったらただの2Pだったw 「実はヒロイン」的なオチは最初に予想したものの、プレイ中も電話してるのでさすがに無理だと思ったわ。そのどんでん返しを成立させるための、机下に頭を突っ込んだままのエロパート。お尻がテーマとなる作品なのでおっぱいは出さないというコンセプトならまだ分かるんだけど、おっぱいどころか、主人公がヒロインの顔を見ないままフィニッシュするので笑った。特殊すぎる。特殊シチュエーションならではのエロさもあるし、その状況でしか成立しない物語的なトリックがあるのも最高。ちゃんとヒロインが頭を突っ込んだ場面で、ヒロインの顔、そして左手の腕時計、ヒロインのセリフ、脅迫のセリフが1つのコマに収まってるのですね。これは見事だわ。読み返した際、あまりに鮮やかなのでちょっとした感動に至る。
 濡れ衣要員の鉄河原部長、エピローグであまりに微笑ましい顔を見せるので笑った。ヒロイン側の好意が部長にはバレバレだった、というの良いですね。ヒロインの犯行は完璧に思えたけど、外から見たら結構隙だらけだったのかもしれない。

『くれっしぇんど!』鬱ノ宮うかつ

 やべぇ、ヒロインかわええ。髪型がやばいよ。内向的で、可哀想的なキャラクターではあるんだけど、冒頭の場面ではかなり明るいというか、ラブコメ的な表情を見せるのも好き。からの竿役が王子様的なキラキラを背負いながら誘惑してくるのも微笑ましくも、ちょっとだけ怪しい雰囲気。最初から最後まで仲良しな2人の話ではあるんだけど、ヒロインの快楽に落ちていく描写が迫力ありすぎて薄暗い印象も湧くというか、少しだけ心配になってしまう感じも良い味わいだったと思います。冒頭のラブコメ的な雰囲気からのギャップが魅力的ですよねぇ。すげぇ良かった。
 大きい声を出す、という物語的な軸がちゃんとエロパートでもテーマになってるのも良い。竿が「聞こえないよ?」と攻めるのってエロ漫画だと定番の展開だと思いますが、本作だと「ヒロインの声が小さい」という要素が加わるので、その定番のセリフに重みが増す。ドS攻め的なセリフでありつつ、ヒロインの成長を促す意味もあるので重層的。
 からのエピローグで再びコメディ的なオチになるのも最高。真面目に考えるならば、一度はコントロールを無視してでも大声のリミッターを外し、そこから徐々にコントロールしていくのは道筋として悪くないと思うので、彼女の成長の第一歩としては決して間違ってない……と思いたいw

『青春リビドー山』位置原光Z

 第28回「実はふたなりなんだ」。てっきり「シュレディンガーふたなり」みたいな「本当はどっちなんだ!?」という話だと思ったんですが、ラストで思いっきり手でやってるので笑った。全編ギャグだし、ラストもギャグなんだけど、ラストの場面だけエロ要素の混じったギャグになってることで、そのエロがめちゃくちゃ引き立つ。正直あのラストめっちゃ良かった。それまで優位に立ってたヒロインが実は、というギャップを最後のオチだけで見せる。もっと見たいんだけど、あの最後の最後の爆発力が魅力だったというのも分かる。

「読者コーナー」

 「リメイク」「リバイバル」が響く年齢になった話。私としては『スパイダーマン ノーウェイホーム』が完全にそれでして、お祭り映画としてマジ最高だったと同時に「もうあれ20年前か……」と不思議な感覚になりました。
 そして、真空ジェシカkomifloコメ欄がM-1の振り返りみたいになってるので笑った。まぁ、こんな形でM-1と関わるとは思わなかったよなぁ。ハライチはラジオで快楽天ビーストのことネタにしてたし、妙にM-1との関わりが深い回であった。
forms.gle

 終わり。いよいよマジで遅かったですな。年末年始でいろいろあったのですが、とはいえですね。まぁ、とにかく今年もよろしくお願いします。去年は1回快楽天感想サボったので(モンハン発売直後)、今年は毎号書ければいいなと胸に抱きつつ、可能な範囲で頑張ります。
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