北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2022年1月号の感想

 とあるトラブルが発生したせいなんですが、今EDかもしれない。一過性であってくれ。
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『タメシコウドウ』亜美寿真

 フルカラー4ページ。フルカラーショートの漫画だとどうしてもセックスのみになりがちだし、それはそれで良いんだけど、本作は1ページ目と最終ページの最後の会話、そしてタイトルに物語要素が濃厚なのが素晴らしい。1ページ目に衣装をフルで着た状態を見せたのも個人的にはむしろエロいと思うし、そこでの恋人同士の駆け引きがセックス全体を覆うし、それが最後の会話で再び味わいを増してくる。互いに好きだし、順風満帆なイチャイチャカップルではあるんだけど、どこか影が生じてしまう感じとか良いなぁ。ああいう後ろ向きな性格めっちゃ分かるw
 女性が恋愛の駆け引きとしては女性が仕掛けるんだけど、セックスに関しては男性が激しめに攻める、という捻れが本作のオモシロでしたね。その件について「手玉に取ってやったぜ」的な明るい話ではないのがまた良い。

『わるくていい日』えーすけ

 タイトルは「悪くてもいい日」と「悪くて、良い日」のダブルミーニングなのかしら。
 漫画家が隣の人妻に好かれる。漫画家なので嫌でもメタ的な印象が湧くんですが、漫画家設定のおかげで「現実だから突拍子もないことだって起きるんだよ!」で逃げきれるのが強いw ただ、そういう言い訳は用意してあるけど、別になくても2人が接近する丁寧さ、エロが始まる雰囲気の説得力&迫力で充分だったとは思います。男視点の物語なので「これは行ける? 行けない?」と揺れ動く感じが最高ですよね。やはりセックスが始まる直前及び、セックスが確定する瞬間が一番エロいのでは……とか思ってしまう。ただ、当然セックスシーンも見たい。
 2人が接近するきっかけとなるのが家電のトラブル。過去にあったエアコンについて “あれも言われた通り管理会社に電話して” “次の日には直してもらえました!” とあるんですが、つまり主人公は直してない。最初から管理会社に頼れや、という話ですよね。逆に言うと、それでも主人公に頼ってきたということは電話よりも身近で、頼りになると彼女が判断したということなのか……?? とか何かを期待してしまう良さがある。
 本編で描かれるトラブルはテレビ。配線が痛んでたのが原因で、主人公が持ってた(余ってた)線に換えたら解決。考えすぎかもしれないけど、彼女の家に主人公の痕跡を残すことの暗示でもあるんじゃないですかね。元の線を外して、主人公の線を挿入する話……と考えるとより直接的。
 ヒロインから話しかけてくるけど、彼女は控えめな性格でもあるので、エロパートには主人公がガンガン誘うし、攻める……と思ったらまさかの逆転展開で歓喜。彼女の隠された才能が開花するというか、本性が明らかになる瞬間のエロさがすごい。本作は男視点で話が始まったんだけど、フェラでイッた場面を境に視点(語り手)がヒロインの方に交代。「こんなことを考えていたのか!」的な驚きも感じつつ、彼女の強キャラ感に魅了される。
 最後までゴム内射精だったんですが、あの使用済みゴムの描写が迫力あって、最後の一線がギリギリ保たれてる感が最高でしたね。どんだけ興奮したかの証でもあり、「ゴムがあるからセーフ」みたいな心の言い訳にもなってた気がします。

『似た者どうし』楝蛙

 親の再婚(未遂)によって義兄妹になるかも、と出会った2人。出会いの瞬間は最悪で……というのも含め、かなり定番の設定ではあったんですが、親たちが結婚失敗。一旦繋がりが断絶することで飢餓感というか、もっと仲良くしておけば、という気持ちが掻き立てられる。からの再会そのまま……というドラマが熱い。さらには義兄妹の関係が消失してるので、ただの男女としての交流が始まるのか? という期待。ただ彼女は制服姿なので後ろめたさもやっぱりある。ここらへんの男側の心理がエロにとって良いスパイスになってますよね。
 最悪の出会いをした2人が仲良くなるキッカケが映画。それもメジャーではない。配信もしてないからDVDで観ないといけない。だから一緒に観る。レイトショーでしかやってないから2人が再会するのは夜。そして、親同士が別れて気まずいので家にあげることはできない。そうなったらホテルしかない……とずるずるとエロへの下準備が完成していく流れも最高。おそらくラブホではないホテルに泊まったと思うんですが、これはヒロインが制服姿だからですよね。ちゃんとしてる安心感はあるけど、同時に男側の年上感でもあるので、2人の年の差が強調される形でもあったと思います。
 からのエロパート。本作はとにかく衣装とその見せ方が最高。表紙イラストが顕著で、本編でも挿入の直前の場面で出てくるんですが、ヒロインが服を脱ぎつつ、脱ぎきらない。彼女が着てるものがすべて見えて、同時に胸などの素肌も見える。服の全階層と裸と同時に見せてるのが芸術的だったと思います。その奇跡的な脱ぎ&脱ぎかけの状態のままセックスに突入するんですが、これには漫画ならではの良さを感じる。ぶっちゃけ、あの状態を保ちながらのセックスとか実際のこと考えたらめちゃくちゃ難易度高いじゃないですか。それが成立するのがイラストで構成される漫画の強みなんだと思います。
 思えば、1ページ目にヒロインが初登場する場面では、頭と脚がコマからはみ出る構図なので、彼女の服のみが見えるだけだったんですよね。本作の裏テーマはあの服にあるのでは、とか思ったりしてしまう。それくらい服が魅力的な作品でした。

『レンアイ化学式』雲呑めお

 化学教師とそれに恋する女子生徒。最近ルーズソックスがリバイバルらしいという噂は聞いてたんですが、本作もルーズソックスですね。別に平成ギャル的なコンセプトではないんですが、ワンポイントとしてルーズソックス。なるほど、今はそういう使われ方をしてるのか……と変な感心。
 ギャルとは真逆の大人しめの子なんだけど、頑固でもある。そんな静かなんだけど主張を1ミリを譲らないヒロインによる攻め、誘惑が魅力的。先生の方も優しくてちょっとドジで、と2人とも控えめな感じなのが良い。
 不器用ながら芯の強い誘惑なんですが、そんな彼女にそこに一計を授けるのが友人の桃歌。過去作のヒロインがこういう形で登場するのが熱い。背景にモブとして出るのはちょくちょくある手法ですが、ここまでがっつり友人関係、だけどエロ要素はないバランスが新鮮でした。理科準備室での「バレちゃうのか?」という状態での机の下でのフェラも、エロ漫画では定番な感じありますが、先生が「いや怪しくない?」と真相に気づきかけてるのが面白い。サスペンスもあるけど、同時に作戦の拙さが感じられて、そこにヒロインの愚直さが感じられる。
 直前の『似た者どうし』に引き続き、本作もヒロインが服を脱ぎきらない。ありがてぇありがてぇ。本作は外界との繋がりを意識しながらのセックスになるので全裸にはならない、という感じでもあったのかな。それでいてラストの賢者タイムでは気まずそうに服を着直す2人の姿があるのもおいしい。あそこで冷静になりつつ、今後の関係について結論を出す。服を着た状態で答えを出すのが、エロではない、エロの勢いではない本気の答えというのが感じられる。だからこそヒロインは余計に我慢できなくなるという矛盾w

『切原さんがささる』オクモト悠太

 生徒会副会長(男)と書記(女)。生徒会長(女)が完璧すぎるので眼中にないはずだったが……という攻防。偶発的なパンチラが始まり、ヒロインが性的に見られることに怒りを感じると同時に優越感を得ることでエロの助走が始まる感じが良い。ケンカ的にラブコメ関係を築いていくんですが、それがスムースかつ無駄なくエロへの加速が強い。結構サクサクとエロに発展していくような印象もあるんですが、それでも2人のラブコメ的な魅力も強いんですよね。このバランスが絶品。ケンカ的ではあるけど互いに初々しい感じとか最高じゃないですか。
 男視点の物語で、こういうラブコメからのエロという話にしては相手に対する恋心が介在しないのが珍しい……と思ってたら最終ページの衝撃。ツンが長かったなぁ。いや、主人公に対しては隠し通したので100%ツンとも言えるのか。ただ、エロパートのクライマックスでバックで挿入中に手を握っちゃう感じとか気持ちが漏れてますよね。めちゃくちゃ可愛い。好意ダダ漏れなんだけど、バックなので主人公には表情がバレてない、というエロ漫画ならではの仕掛けも面白いです。体位に2人の関係性、2人のドラマが反映してる。

『メンドくさいって言わないで!』肉棒魔羅ノ進

 weekly快楽天よりの使者その1。別にweeklyでデビューしてから本誌に来る作家は過去にもいましたが、まぁweeklyの宣伝にもなるならそれはそれでうまい。weekly掲載の『夏くん大好き!』の3人がエピローグの場面にチラッと登場……なんですが、マジでチラッとすぎる。分かる人にだけ分かるって感じですね。元の作品読んだことなくも「この意味深なモブはひょっとして……」と察しがつくパターンもあるんですが、今回のは無理だと思う。
 彼氏の浮気を疑う女の子の話。ともすればヤンデレ的な話にもなりかねないんですが、元気いっぱいに突っ込んでくるヒロインのキャラクターが可愛い。格好の割に乙女チックというか、主人公に対する好きが常に全開なのが愛おしい。
 そんな浮気疑惑の原因である友人の細川くん。「ただの友人でしたー」という話の割にはキャラが濃すぎる、そして出番が多すぎるので笑った。てか、彼氏よりも明らかにキャラクター設定が強い、情報量が多いw
 彼氏が友人の女装趣味に理解のあるってのは全然分かるし、むしろ良い奴みたいな印象も湧きますけど、待ち受け画面はなんでなのw カメラロールの抜き打ちチェックで微笑ましい気持ちにしてからの待ち受けオチで笑った。衝撃が強すぎる。何があったら待ち受けにすることになるんだ。こういう作品ってヒロインの気持ちが暴走するがあまりに誤解が重なってしまうのが定番だと思うんですが、本作に関しては彼氏の方もそうとうおかしいので、ヒロインの “ぼくがおかしいの?” が正論中の正論。
 感想が細川くん絡みに偏りがち、というのが本作の特徴だと思うんですが、当然エロパートも良くて。てか、やっぱヒロインの可愛さが最高。強気だったのに乙女でもあり、セックスが始まると完全に受け。物語としてはヒロインが能動的に動いて彼氏を巻き込むような形だったんですが、エロパートでは逆転。それでもヒロインのキャラクター、好きが常に溢れ出てる感じが一貫していて、そこが本当に可愛い。エロパートはかなり激しくなるんですが、2人の関係が穏やかなものになり、彼女がひょっとしたら初めてストレートに幸せな表情を見せる……のがスマホの待ち受け画面、というラストも秀逸。

『むらさきのアネモネ』層積

 weekyよりの使者その2。バリキャリながら仕事に疲れたヒロインが元彼と再会する。良い女全開の1ページ目が素敵すぎてのっけから魅了されました。ただ、それは社会に向けた仮面にすぎず、それ以降彼女の本当の顔が次々と出てくる。この表情の変化、それによるヒロインのキャラクターの奥行きが本当に魅力的。クンニされて果てた直後に天を仰いで深呼吸するコマとか絶品でした。エロの間のちょっとした瞬間という意味でも超リアルだし、彼女が快楽を満喫してるのが伝わってくるのが最高。クンニで一方的に果てるんだけど、被虐とかそういう話ではないですよね。そういう機微が伝わってくる。
 1ページ目の姿が仮面って言いましたけど、元彼相手には仮面は必要じゃないので彼女が素直になり、活き活きとした言動を見せる。元彼がバリキャラ的な価値観から完全にドロップアウトした存在ってのも大事でしたよね。ギャップのある2人の関係性という意味でも魅力的だし、仕事と1ミリも関係ない存在だからこそヒロインは素直になれて、結果的にそれがちょっとしたセラピーとして機能する。
 クンニ後、彼女がフェラに転じる場面の緊張感混じりなニュアンスも可愛いし、その後挿入に向けてキスする場面で2人が初めてイチャイチャする場面も破壊力が高い。
 フィニッシュ後にピロートーク気味にチンコ舐めるのも最高。そもそもエピローグが2ページ用意されてるのも特徴的でしたね。エロが混じりつつ真面目な会話にもなる流れ、良かったなぁ。

『ラブガン』mogg

 恋のキューピットに取り付かれた主人公の話。ただし、天使が持ってるのは弓矢ではなくラブガン。技術の進歩としては全うだが、絵面が物騒すぎるので笑う。いや、弓矢も本当は物騒なんだけどw
 そんなラブガンを使って片思い中の子と結ばれる。ファンタジー設定の作品としてはかなり王道な展開だと思ったんですが、そこで結ばれた結果、虚無感。念願のセックスなんだけど “こんなに…” “呆気なく…” となって恋心が失せてしまう。あまりに勝手な言い分ではあるんだけど、何となく分かってしまう気もする。よく催眠ものとかで「こんなんで結ばれてそれでいいのか」とか思うことありますけど、本作の主人公はその違和感に敏感w “歩美ちゃんは絶対…こんな事…言わない…ッ” は切実な問題だよなぁ。
 からのヤケクソ的暴走。最近のmogg作品だと『種付けライセンス』とか『ストップウォッチ』でもそうだった、特殊設定による男主人公の暴走(もしくは無双)。
 ということで、ギャル2人を相手し、さらには担任の先生。最初の清楚同級生もギャルも好きなんですが、最後の先生が最高に刺さったのでこの構成は個人的にベストでした。セックスの最中に銃乱射というラブガンの使い方がどんどん激しくなってるのも展開として面白いですよね。催眠ものだと指パッチンを繰り返すような展開なんですが、銃乱射だとより暴走気味の感情が直接吐露されてる感じがあって面白かったと思います。術じゃないからセックスの最中に術を制御する理性と集中力は必要ないって点も重要ですね。

『箱庭シャングリラ』小中えみ

 冒頭の場面のアオリ “勃てる時も、勃てない時も……♡” が百点満点でしたね。1ページ目の絵とのマッチ具合も完璧ですわ。コックリングを結婚指輪と重ね合わせるのは作品全体に通底するテーマのようなものだと思うので、それを強調する意味でも最高。
 射精管理ものなんですが、本作の特徴&魅力は何と言っても夫婦な点。特殊性癖を持つ男女が出会う話でも、出会って結ばれる話でもなく、さらにその先。完全にゴールしたあと、特殊性癖がどうなってるのか。よほどのことがなければこの2人はこのまま生涯を共にするのだろう、という認識の上でのえげつない射精管理。クライマックスに男側の語りで印象的だった “この家にいればずっと” が象徴的ですよね。一時の関係ではない良さ。ここに後悔とかが絡むとミッドライフクライシス(俺の人生これでいいのかな的な悩み)になるんですが、本作はその逆で、「俺の人生これでよかった」という充足感。イチャイチャ関係の深さという意味でもそうだし、夫婦ならではの味わいがあって素晴らしかった。
 タイトルの「箱庭」。男の方が寿退社してるので、夫を囲う箱庭ということですね。帰宅すると駆けつけて抱きついてくるくだりとかペット感あって愛おしい。実際「ペット」呼ばわりもしてましたね。そんな管理の究極系としての射精管理。
 男視点の語りで進行し、前半からヒロインの暴走気味の愛に困惑するような感じもあったんですが、クライマックスでは彼の真意が明らかになる構成。夫婦じゃなかったら快楽堕ちとかも疑いますけど、夫婦だから違うよなぁ、と分かるのが良い。
 射精管理でノー本番。本番の代わりに素股があるんですが、夫婦なのに素股というおかしさですよね。風俗などのシチュエーションで本番は無理なのでギリギリ本番に近い代替行為としての素股だったらありがたい感覚になりますけど、夫婦で射精管理してる状況での素股は真逆の印象。ギリギリ感は同じなんですが、ギリギリやらせてくれない。そこで屈服してしまう、という良さですよ。からのボーナスステージ的に潮まで行くので最高。射精後、本作では初めてキスが描かれるのも2人の特殊な関係性として素敵でした。我慢できなかったからお仕置きなんだけど、キスはしてくれる。その後、潮を噴いたらより深いキス、というのが愛情表現として捻れてて最高。

『スイーツゲーム』八尋ぽち

 スイーツを賭けたテレビゲーム、からの別の対戦。タイトルのコマの騎乗位の体勢でのゲームする2人の図がおかしくもあり、恋人として微笑ましくもあり、やはりエロい。騎乗位の体勢なんだけど2人は同じ方向を向いている、というのが目新しいし、間にタイトルが入る感じも含めすげぇ好きです。
 当然そのままエロに移行するんですが、2人の関係は先日初エッチを果たしたらしい。まだの関係だったらさすがにあの騎乗位はやりすぎってことですかね。それでいて初々しさ、不慣れな可愛らしさがあって、という美味しいとこ取り。初めては済ませてるので、より性に対して積極的になる段階、という意味でも良いタイミングだったと思います。初めてだとどうしてもドラマ性とかの方が強くなったり、すること自体が重要になるけど、2回目には「どうするか」にフォーカスする良さがある。その結果として “こんなに刺激強かったっけ!!?” となるのが最高。2回目という設定がこんなに魅力的だったとは、と目から鱗

『推されて押して』ちょりもっき

 枕営業を持ちかけられるアイドルと、そのマネージャー。1ページ目の枕の強要、そのにじり寄り方が妙にリアルですげぇイヤな感じ。1ページ目から物語的な情報が濃い。エロパートでキーになってくる媚薬もここで出てきますよね。この時点である程度本作の方向性が決定づけられたというか、土台作りが完成してる。
 竿役のマネージャーがめちゃくちゃ人相悪いんですが、冒頭の場面にあるように善人であることは明白。さらにヒロインに対する一途な姿勢も明白なのが良いですね。これは竿役も人気出るタイプの作品。キャラは濃いけど、主張がくどいわけではないバランスになってて絶妙だとも思います。
 そんな男性のヒロイックな行動で成立してるわけでないのも本作の魅力。ヒロインが絶対に譲れない主張として “このままじゃ私” “役立たずじゃない” と言う場面、めちゃくちゃ良かったです。ヒロインのキャラクターとしても、2人の関係性としても非常に良い。守り守られだけの関係だけでは終わらない奥行き。
 それらの話とも通じるんですが、男が守る話で始まったものの、エロパートでは基本的にヒロイン主体。そんな捻れが楽しい。ヒロインは前のめりで攻めるんだけど、マネージャーの方はかなりしつこく最後の一線を守ろうとする。彼としては誠意の表れなんだけど、ヒロインからしたら焦らしプレイにしかなってなくて……。そんな姿勢を見たヒロインが “菊次は” “私の事が好き” と気づく(確信する)場面がまた最高。告白でもなく、好意の自覚でもない場面ってかなり珍しいと思います。初めて読んだとき驚きました。それを境に今度はマネージャーが攻めに転じるようになって、そのまま挿入……という盛り上がりも熱い。
 事故的な始まりなのでゴムはないんですが、射精の瞬間は最後の理性が働いて……というオチも好き。その後のピロートークにあたる場面での2人の会話も実にこの2人らしい内容。

『生意気上司はチョロザコい』京のごはん

 タイトルである程度説明してくれるの助かる。簡潔な自己紹介として完璧。
 そんなヒロインを罠にはめるとかそういう話でないのも本作の特徴だと思います。本作の竿役は対外的には大人しい地味な奴で、ヒロインが彼を見つけて調子乗った態度で近づいていったら返り討ち。完全にヒロイン視点で進行するのもあって、そのちょっとした自業自得感みたいなものが面白い。ナメた態度、からの勘違い、からの困惑、からの完全敗北というグラデーション。完全なワンサイドゲームなんだけど、ゴムはしっかりしてて、その件について劇中でも言及されるのとか意外性もあって好きです。バックで挿入は女性にとってリスクがある……なんて考えは重々承知で、そんな心配で彼の行動(魂胆)が分かるほど甘くない。ナマを疑ったけど普通にゴムしてる、というのが男側がさらなる優位に立つ展開になってるのが珍しい。

『two tails』シャモナベ

 ワンちゃん……めちゃくちゃ可愛い……。ヒロインの体の小ささを強調するための存在でもありましたよね。冒頭のヒロインと犬の顔が並ぶコマとかサイズ感の表現としてすごい印象的でした。タイトルはそんなリアルドッグのシェビーと犬系ヒロインのことを指してる……と思ったら、実は竿役の方も大型犬のようなキャラクターであった、となるラストが良い。普通に男女カップルのことを指したタイトルだった(でもあった)のか。
 そんなシェビー。2人がエロい雰囲気になると閉め出されてしまうのが可哀想なんだけど、あの閉まったドアに向かって静かに泣いてる後ろ姿がめちゃくちゃ可愛くもある。あんな姿見たらエロの気持ちを保てるかちょっと自信がない……(本作の男女は見てないのでセーフ)。そんなシェビーを閉め出す場面、日常から非日常への切り替えというか、2人の世界が完全にエロへとスイッチする象徴的な場面だったと思います。可哀想ではだけど、ものすごく意味のある場面だったというか。
 タイトルに偽りなしの犬コスの展開も熱い。めちゃくちゃ似合うな……。当然のようにドギースタイルになるんですが、そこでしっぽが邪魔になって外したのも印象的。単に外す瞬間が一番気持ちいいという場面でもあるんですが、同時にやっぱヒロインを犬扱いするのをやめる、みたいな雰囲気もあったと思うんですよね。
 エピローグ。約束の買い物なんですが、その場面でのシャビーがまためちゃくちゃ可愛い。慰めてくれてるのに顔は冷静というか、そこまでデフォルメされてないのが良い。言葉は通じないけど、気持ちは通じた……気がするというのが最高。

『BLACK "LOVE" HOLE』ICHIGAIN

 オタクに優しい黒ギャル。エロ漫画の世界ではお約束となってるジャンルだけど、それに対して「これなら実在するかも」と思えるような理詰めで組み立てられたような設定が素晴らしい。つまり、友人の男オタクに恋をした黒いオタクがギャルになる。理由は彼がギャル(キャラ)好きだから。完璧でしょ。これならいける。女性オタクの存在を疑う人はいないと思うので、これなら……きっと……と期待が持てるw
 厳密に言うとギャルになりかけのオタクなのかもしれないけど、「なれる」というのがギャルの大きな特徴だとも思うので、本作のような「なりたいからギャルになる」という話はギャルの本質をとらえたアプローチな気もします。果たしてギャルの本質とは……(何を言ってるんだ)。
 やっすいコスプレも最高。本作の2人は大学生なんですが、あえてコスプレとしてのセーラー服。最初からセーラー服設定のギャルにすりゃいいのに、このワンクッションが良い。あの軽率なコスプレがギャルっぽくもあるし、上辺だけ整えたギャルという意味において象徴的でもあったと思う。さらに言うと、秋葉を散策してると前を通りがちなコスプレグッズに対して「こういうの彼女が着てくれたら最高だよなぁ」となるオタクの夢でもありますね。ギャル描写も好きだけど、「オタクに優しい」の詰め方も好き。
 夢を果たしたオタクの話でもあるんだけど、挿入の直前、 “違う…!! ちゃんと金星さんだ!” と彼が好きなのはあくまでもギャルではなく金星さん、と強調するのも誠実。そっからのゴムを持った決めポーズも破壊力あって最高。「ギャルは自分から誘う」を演じるためにわざわざゴムを自ら持ち出してポーズ取ってる、というのが感じられて熱い。

『きしょく』九十九弐級

 親の再婚で出会った義姉弟。そんな緊張感のある2人の距離感が生々しくて魅力的なんですが、冒頭の場面でセクハラ的な接近をされた弟が “かぁさーん 姉貴がぁー” と母親を呼びつける(冗談)。この手の設定ではかなり禁じ手とも言える発言じゃないですか? かなり驚いてしまった。それだけ、この場面の段階では2人の間にエロはなく……と思ったら姉の方には……というオープニングの展開が良い。絵的にはお色気のある場面で始まるが、2人にエロの予感は1ミリもない、からの実は……と徐々に盛り上がっていく起伏が良い。
 そんな冒頭の場面と対になるような事故が起きて物語が動き出す。ヒロインとしては好きになった弱みというか、罪の意識を抱えてたんだけど、実は弟も。そこでのヒロインが自分のことは棚に上げてアプローチしていくのがめちゃくちゃリアル。ずるい話なんですが、またとない好機にそれまで我慢してきた欲望が暴走していく感じの説得力がすごい。そのまま嘘をついたまま優位に立つヒロインの姿も魅力的なんですが、しっかり謝ってから告白するのが良い。誠実。そこで好手逆転して……という盛り上がり。
 若干本筋からは外れる話なんですが、2人が初めて出会った時点での弟がめちゃくちゃ可愛いのが衝撃でした。あんなのに “おねーちゃん” と呼ばれる良さもあるし、そこから呼び方が変遷していって最終的には……とエロパートのクライマックスに繋がるのもうまい。

『飲みのちハレ』森シンリスク

 コミュニケーションが苦手で学生時代から独りでいることが多いヒロインが、会社の飲み会で苦労してると同僚が近づいてくる。彼女の頑張りを見てる人がいた、という展開が感動的だし、そこでヒロインに最もぶっ刺さる言葉が “尊敬してます” なのが良い。いきなり「好きです」的なことになるよりも響いてしまう気がする。その後も、ヒロインの失われた自己肯定感を彼が丁寧に満たしてくれる展開の連続も良い。ただ、愛の告白を察知したヒロインが咄嗟に逃げだそうとしたりして、めちゃくちゃリアル。コミュ障のリアルな生態……。
 そんな彼女の自信のなさは服を脱いでも現れて、わざわざ体型についてヒロインが自虐する。よくぽっちゃり体型がメインテーマの作品で、ヒロインが体型についてコンプレックスを抱いてる話とかあるけど、本作は別に体型にだけ悩んでるわけではない。自信のなさの一つとしてさらっと出てくるのがリアル。それを男がいちいち肯定してくれるのが泣ける。
 ヒロインがそんななので初々しい感じになるんですが、プレイ内容としては意外と変態的な要素もふんだんにある。パイズリからのバレるかも的なハラハラ感すごいですよね。初めてにしては冒険しすぎなんですが、ある意味その冒険感こそが彼女の成長ドラマ(もしくは救済されるドラマ)の表現として適切だった気もします。
 ヒロインはメガネをかけてて、定番のキャラ造形にも思えるんですが、メガネに精子が引っかかったり、レンズの反射の描写が丁寧にあったりしてメガネ描写的にも大好物でした。起きて慌ててメガネをかけるくだりも最高ですよね。

『おうちじかん』いちまつ

 隣の家の子が懐いてくる。この「懐いてくる」の距離感、関係性がめちゃくちゃ可愛い。年の差感もそうだけど、このニュアンスの魅力、本作の設定でしか発生しないのでは……と思わせてくれる。そんな冒頭の数ページで完全に掴まれました。
 主人公による説明的な語りで進行するんですが、「実はもう既に」という急展開を見せていきなりエロパート突入。設定の魅力からの無駄のないエロへのジャンプが見事。このサクサク感はエロ読切の魅力ですよねぇ。初めて関係を持つドキドキ感、ドラマ性にも魅力はあるけど、「もう既に」の魅力も間違いなくある。さらには本作、その初めての瞬間についても少しだけチラ見せしてくるので妄想を促してくる、という良さもありますね。おいしいとこ取り。
 無邪気にじゃれてくるのにエロが進むと静かになるのも可愛い……と思ったらエピローグですっかりいつものノリを取り戻してる(ただし裸)。この瞬間こそがひょっとしたら最強なのでは。その場で即もう1ラウンド突入……はしないかもしれない2人の日常感も好き。

異世界はこう抜く』F4U

 第26射。今回はクラーケン。絶対触手責め的なエロやってくると思ったw 実際、1ページ目はそんな期待を煽るような内容なんですが、そんな甘い予想を遙かに上回るまくら嬢の一計で笑った。ページめくって2ページ目の衝撃w
 例によって本作独自のロジックが納得させられるような意味不明なバランスで最高。 “言うなればきみは夜のドクターフィッシュ!!!” とか秀逸でしたよね。勢いで納得させられた気になってしまうw

「読者コーナー」

 真空ジェシカM-1決勝進出おめでとうございます。最近はお笑いにすっかり疎いので、決勝進出者を見てもほとんど知らない人ばかりなんですが、「快楽天の人!!」と妙な親近感。
forms.gle
 終わり。個人的にかなり早めに終わったイメージだったんですが、10日以上かかってるんですよね。これで早かったら……という話です。むずいね。
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