北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2021年2月号の感想

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 あけ、おめこ、とよろ。
kitaku2kitaku.hatenablog.com

『wellcome!』Hamao

 タイトルがスペルミスなんですけど、おそらく意図的なんでしょうね。タイトルロゴが「well」と「come」の間で改行してあるので「well come」でもある、みたいな。まぁ、タイトルロゴは外注の可能性もあるので考えすぎかもしれないんですがw
 友人の姉と。なんですが、友人と別にもう1人女の子がいて、その2人がちゃんとキャラ立ってるんですよね。一応「この2人の話だな」と察しはつくんですが、残りの2人も魅力的なのでこっちのカップルも描かれるのか、もしくは全員で? とか変なところでドキドキしてしまいました。エロ漫画って意地悪な見方すると「結局のところセックスするんでしょ」と結果が分かってるんですが、それ故に引っかけというか、セックスとは直接関係ないところに作品の個性が強く出るような気もします。
 4人全員がキャラ立ってるからこそ、その中から2人になって「そういう関係だったのか!」と驚かされる場面が良いんですよね。友人に黙ってその姉と付き合ってるドキドキ感なんですが、主人公が友人の顔から恋人の顔へと変化するのが漫画の順番として楽しめる。読者への情報開示の順番、その度合いによって単純な話でも奥行きのある味わいになる、というのが決して長くはない読切ならではの工夫で面白いと思います。ヒロインは年上だし、学校でも「かっこいい」存在なのでそんな彼女にリードされる感じなのかと思ったら主人公が意外と彼女のことを手玉に取るというか、男女の関係としてはむしろ主人公の方が……? みたいになるのが面白いですよね。意外性であり、2人の知らない予期せぬ顔を見れるという驚きとドキドキ感。そして、ラストに友人が現れてバレ回避のドキドキになるんですが、友人としての顔と彼氏としての顔が急に入れ替わる。そんな友人の「バレたのか?」というのも余韻として良かったです。男女2人ずつだと「そっちもやってたんかい」的もあり得たと思うんですが、あっちの方は至って健全そうなので余計に彼がどこまで把握してるのか分からなくなる。

『つづれおり2』えーすけ

 続編。前作は兄妹の関係が義理だと知ることで理性のタガが外れる心理の部分がエロかったんですが、本作は逆に一線を越えたあとの2人なのでかなり享楽的。ただ、背徳感というか後ろ髪引かれてる感じもあるし、それを花火という消えゆくもの、消えるからこそ美しいものになぞらえててエモみも強い。2人がキスすると背景で打ち上げ花火が……ショボい、という場面はスカシのギャグにも思えるけど、2人の関係がそんなキレイで感動的なものにはならないことも暗示してるのかなぁ、みたいな余韻。この手の演出で線香花火って割とベタだと思うんですが、それだけではなく打ち上げ花火の失敗となるのが新鮮でした。
 とにかく浴衣が可愛い作品なんですが、そんな浴衣のまま自室に移動するというのも不思議な感覚で兄妹ものらしい味わいだったと思います。なんだけど、本作の終盤では名前呼びがクライマックスとして描かれてるのも良い。軽薄に読むと、エロ漫画的には「お兄ちゃん」呼びが最強だと思うんですが、後ろめたさというか、兄妹では終わらせたくない心理が現れてたと思います。ここで初めてヒロインが浴衣を完全に脱いで2人が全裸になるのも関係が深まっていく感じとして見事でした。
 ヒロインが精液を含んだままのキスというのが変態プレイではなく、普通にキレイな場面として描かれてるのも印象的だったんですが、これは主人公の罪の意識の現れだったのかなぁとか思います。ただ、そこで暗くなりすぎずに、 “そういう風にしたのお兄ちゃんなんだけど” と文句なしのアゲ場面に繋がるのも最高でした。直接のエロではないんだけど、めちゃくちゃグッときた場面でした。

『Bye-Bye Sister!』ホムンクルス

 直前のえーすけ先生が兄妹(義理)で、直後のホムンクルス先生が姉弟(義理)という掲載順が熱い。えーすけ先生の方は続編で関係を持ったあとの日常だけど、本作の方は義理の2人が初めて一線を越える部分にフォーカスしてるのも対照的。『つづれおり』は義理と知った瞬間に理性が決壊したけど、本作は義理として出会って関係性を積み重ね、告白するも失敗し、溜まりに溜まった感情がふとしたキッカケで噴出。エロ漫画における義理ってある種の言い訳というのが根っこにはあると思うんですが、どちらの作品もただの兄妹(姉弟)だったらこの良さは生まれてないですよね。
 告白失敗の件がなかったこととして進行するのかと思いきや、主人公の彼女の話題になると姉は動揺し、姉への電話に男の声を聞いて主人公は嫉妬する。ここらへんの表面化はしてないだけで強い感情が地底に眠ってる感、すごく良いですよね。溜めて溜めてドン、という作品なのでこの溜めパートが丁寧に描かれてると助走としてより効果的になる。
 んで、エロパート。姉弟なので親の気配にビクビクする描写が良いですし、バレるのを恐れて自室に移動して二回戦というのも最高。ここで階段での移動があるので、さっき中に出した姉のケツを目の前に見る場面があってここマジ秀逸でしたね。そもそも「家」というのが本作においては特別な意味を持つんですが、その場所を活かしたアイディアが素晴らしいです。
 ハッピーエンド感がめちゃくちゃ強いんですが、ここらへんの味わいは『つづれおり』と対照的で面白いですね。義理だからいいじゃんとあっけらかんとしてる本作と、義理だから一線を越えてしまったものの後ろ髪は引かれまくる『つづれおり』。似たテーマの別の作品を読み比べられるのは雑誌の強みですね。

『ノーカウント』もじゃりん

 大学生の仲良し4人、カップルが2組なんだけど片方が結婚することになるが、結婚する前に別の男のちんちんを試したくなる。インモラルな話でドキドキするんですが、本人は意外とあっけらかんとしていて、オチもかなりずっこけるような着地をしてハッピーエンド。ここらへんのバランスが独特で良いですよね。明るくて享楽的という良さでもあるし、悪いことをしてるはずなのに後ろ暗さが一切感じられないヒロインのある種の不気味さが魅力になってると思います。ギャル故の軽すぎるノリというか、常識が通じないからこそまったく敵わない感じも良い。なんだけど、本作また独特なんですが、ヒロイン視点で進行するんですよね。この話だったら絶対誘惑される側の視点でずるずると流されてく快楽にフォーカスすると思ったんですが、逆。あくまでも比較対照としてちんちんを試す話であって、 “いっつもこんな事シてんの…!?” という魅惑。男のマッチョ設定は単なるギャグ的な感じで終わるのかと思ったけど、「この体の人はどういうセックスをするんだろう」という好奇心であり、それを目の当たりにする意外性ですよね。両カップルで仲良しではあったけど、当然セックスの実状については知るはずもないので、よく知ってる相手の未知なる部分にある種屈服されるような感覚になる。テーマも面白いし、その描き方、アプローチも新鮮でした。

『僕の営業必勝テクニック』馬鈴薯

 新刊発売記念のショート漫画かと思ったらがっつりエロがあるので驚きました。これは良いサプライズ。
 食品会社の主人公が万能タレの営業をする話なんですが、至って当たり前のこととしてエロが展開していくので笑う。ページめくったらいきなりおっぱい出るので「なんで!?」とビビりましたわw 常識が改変された世界みたいな不思議設定……という解釈でいいのかしら。セリフと行動が噛み合ってなさすぎて笑うんですが、事務的にサクサクとエロをこなしていく感じは独特の魅力がある。というか個人的にすごく好きかもしれない。風俗ものとも違った良さがありますよね。ただ、こういうの好きと思ってもこんな作品を他で探せないので困るw
 実際の営業の様子ではなく、営業スキルの教室における実習であったとラストで発覚するのも面白いですよね。不思議世界にさらに1つ捻りが加わってくる。「実際の営業でもコレやってんの?」という余韻が残るというか。

『モテウィーク』ヨイノコtt

 ビジネスもの、サラリーマンものが続くんだけど、こっちもファンタジー系なのが面白い。さすがに本作はもう少しちゃんとした理屈がつくんだけど、なぜこんな特殊な作品が2つも同時に現れるのかが面白いw
 会社では女性たちに散々な扱いを受けてる主人公がある日出会った婆さんに不思議な香水をもらいモテまくる。『週刊ストーリーランド』やないか!! と思ったら、ちゃんとkomifloのコメ欄で指摘してる人いて嬉しいw 2コマくらいしか登場しないのに婆さんキャラデラが立ってて良いですよね。「ババァーン」の擬音もふざけてて最高。てか、『週刊ストーリーランド』だったら最後にはしっぺ返しをくらうようなオチが待ってると思うんですが、本作は得たものを失うだけでトータルで言えば全然プラスなんですよね。もちろん一度おいしい思いをしたからこそ元の生活がよりつらいってのはあるかもしれないけど、具体的に元の状況より悪化することはない。ここらへんは作者の個性なのかもしれませんね。オチもギャグ的な側面が強調されてるのもカラッとした味わいで良かったと思います。
 婆さんの不思議アイテムなので何でもアリ的な導入なんですが、だからこそエロの始まりが早い。おそらくヒロインの3人は上司、同期、部下だと思うんですが、それぞれキツく当たってた3人が急に女の顔になる、という豹変ぶりがエロい。3人とも唐突にエロに突入していくんですが、その中でも3人にそれぞれ特色があるのも良い。
 3人それぞれとやったあとは、日常的に3人とやりまくる話になって、その様子が入り乱れて描かれる。3人の様子が並列に情報の洪水のように描かれるのが圧巻でしたよね。こういうのはAVではまずあり得ないと思います。横向きの3人を並べたり、喜びに浸る3人の顔と中出しした部分を並べるのとか漫画らしい演出で素晴らしかったです。クライマックスのセックスを直線的に描かないのとかかなり大胆な方法だったと思いますが、3人の中から1人を選ぶような話ではなく、それでいて4Pでもない独特の良さが生まれてたと思います。

『ぎゃるとれっ!』柳瀬こたつ

 ギャルとオタクの話で、ギャルにもう一度告白するためにオタクくんがトレーニングする話なんですが、面白いのがその師匠となるのがギャルの友達(これまたギャル)。この設定は盲点でした。また、トレーニングの結果オタクくんが下克上的にワンサイドゲームしないのも面白かったです。ギャルの3人がギャル性を保ったまま魅力を放ってるというか。逆に言うと、オタクくんは鍛えてもどこかオタク的のままなのも良いよね。鍛えたから結果は得るんだけど。序盤の “知らんし 陰キャのこういうとこ嫌い” は辛辣すぎて笑ったんですが、「これぞギャル……!!」という感じがして最高でした。もちろん話としてはオタクくんに都合のいい感じにはなるんですが、各キャラクターとしては都合の良さがないというか、ギャルが安易に甘い存在にされてないのが良かったです。よくツンデレキャラがデレるのが早すぎる、みたいなことってあると思うんですが、ギャルものでもあるじゃないですか。本作にはそれがない。

『清く淫らな僕らの事情』翁賀馬乃助

 前編。エロ漫画って基本的に必ずセックスが行われるので、どうしてもドラマのクライマックスがセックスになっちゃうじゃないですか。そこにページを割くとドラマが少なくなり……というジレンマがあると思うんですが、前後編はそこを回避できるので良い。快楽天だと前号にもセックスなしの前編があってドラマの盛り上がりと後編のワクワクがあって最高だったんですが、本作もそう。ドラマが良い。良いんですが、序盤の場面はアクションからバイク、からのショタと急展開に次ぐ急展開でちょっとギャグ的な雰囲気すらあったと思います。そんでショタのくだりで一気に良い話のスイッチが入る。良い子すぎて感動するし、鼻の怪我を主人公と共通させてたりして、うまい。主人公がヒロインと接近するキッカケが鼻の怪我ですので、大事な要素ですよね。 “せめてものお詫び” のコマで強調されますし。
 んで、お金のためという体裁で性的な関係を持つようになる(まだ本番ナシ)。そこまでのドラマの積み重ねがあるから切ないんですよね。エロ漫画だとのんきに「イヤッホーイ!」とかなってもおかしくない展開なんですがw 本作はその気持ちもありつつ「良くないよなぁ……」と後ろ髪引かれつつ、けど断ったら彼女が店をやめて関わりが断たれてしまう可能性もあるし、何より気持ちいいので……と心が揺れる感じが最高。エロシーンのエロ描写単体の魅力も大事だし、本作はその点でも充分魅力的なんだけど、キャラとドラマがあることでプラスアルファが生じますよね。その魅力をインスタントに味わえるのがエロ漫画の強みだと思います。AVだと同じ話やろうとしてももっと時間かかりますよね。
 自宅は無理ということで店だトイレだネカフェだと場面を変えていくのも豪華なんですが、場面が進むに連れてエロが加速するし、2人のエロが双方向になったりするのも良いですよね。手コキしながらの雑談も2人が仲良くなってる感じがしてグッとくるし、同時に切なくもある。なんだけど、前編のクライマックスであるネカフェの場面では2人の会話はほとんどなくてエロに全振り。この緩急も見事でした。
 んで、後編は次号ですよ。次次号じゃないのマジありがたいですね。仕事量すごいな……。

『先生で先輩』楝蛙

 大学の文学サークル。そのOBが憧れの作家で。1ページ目にちょっと出てくるサークルのモブの子もめちゃくちゃ可愛いんですが、ヒロインはそことは一線を画す大人の魅力に溢れてるのが見事でした。学生との違いをまざまざと見せつけられるようで圧巻でした。
 エロい雰囲気になる前にヒロインが部室で執筆する場面があったのも最高。作家として憧れてる面をここでマックスまで描いてからの、そことの落差としてエロが始まる。ヒロインが学生時代の思い出として自身のエロ体験談をして、しかもその場所が今いる部室で……というエロい雰囲気の盛り上がりが最高でした。このジワジワと空気が変わっていく感じ。事故的にエロくなったのかと思いきや、実は狙われてたのか? という感じも最高。憧れの先生の思わぬ面を知ってショックを受ける気持ちも少なからずあったと思うんですが、そんなことよりも目の前のエロに気持ちを奪われてしまう感じとか最高にエロいです。エロが始まる雰囲気という意味では今号で最強だったかもない。このシチュエーションとキャラクターは見事すぎるわ。

『さよならブランケット』七ツ田

 疲れて宿として駆け込んだネカフェの店員が超可愛くて、ムラムラしてそのまま……という冒頭の流れが良い。というか妙にリアルなものを感じてしまう。実体験はないけど、こういう店員さんがすごくタイプで、いてもたってもいられなくなる感じ、すごく分かる。そんな状況で個室(厳密には違うけど)で、目の前には無数のオカズが転がってたら誘惑に負けてしまうのも分かる。なんだろうね、普通に接客してくれてるだけの店員にときめいてしまう感じ。疲れてるのだろうか……(急に心配になってくるw)。
 勝手に女性にときめいて、勝手にシコる。良い行為ではないけど完全にアウトなわけでもなく、ただ後ろめたさはある、という絶妙のラインで葛藤してると、ヒロインから “溜まってるんですよね?” 。ここで主従というか、アクションリアクションの関係が一気に逆転する。彼女に対して勝手にエロい気持ちになってたけど、実際は蟻地獄に落ちてるだけだった、と明らかになる展開が見事。天地がひっくり返るような感じ、良いよね……。ヒロインの手口が監視カメラで覗いて、そのあとは女性専用個室に連れ込むという店員特権をフルに使ってるのもこちらに勝てる見込みが1ミリもなさそうで良い。というか、監視カメラで見てくるのは反則だろ、って部屋でシコる主人公がまず反則なのかw 逃げ道がない……。
 彼女の正体についてちょっとしたオチがついて終わるのも楽しかったですし、ラストページで急に良い話風の雰囲気になるのも落差があって好きです。いや、話として良いことが起きるわけじゃないんだけど、チャリで疾走する絵ヂカラが強すぎるんですよねw

『寄り酔い寝ざめ』亜美寿真

 一人暮らししてるため宅呑み会場にされがちな主人公の家に珍しく女友達が1人でやってくる。ここまで読んだら彼女に誘惑されるとか惑わされるタイプの話だと思うじゃないですか。ぶっちゃけそれも好物なのでワクワクしてたんですが、そのまま何事もなく朝チュンして視点交代。というか最初から主人公は彼女の方だったという衝撃の展開。ちょっと漫画として面白すぎるオープニングだったと思います。開始数ページグランプリがあったら今号で優勝だと思うw
 そして、本題。酔ったフリして迫って襲わせようと思ってたら、全部お見通しだったという話。この展開、転換がめちゃくちゃ面白いんだけど、彼として長いこと宅呑み会場にされてて、その経験のせいで見破れたんだろうな、と察せられるのが良い。んで、本作がめちゃくちゃ面白いのはこの “ばれてる” “ぜんぶ” の場面で、漫画として演出がうますぎるのでここでの敗北感、屈服感がえげつないんですよね。ぶっちゃけ下手なレイプ作品とかよりも絶望にも近い落ちる感覚がありました。冷静に考えると本作の彼、めちゃくちゃ良い奴だし、女性に対して紳士的で完璧とも言えるレベルだと思うんですが、ここでの「負けた……」感がヤバいんですよね。このキャラでこんな話、こんな読み味になる!? という衝撃がありました。
 さらに最高なんですが、さっきの “ばれてる” の感覚がエロパートに入ってからも続くんですよね。ばれてるが故、ヒロインが想定を越える気持ちよさに襲われて、何なら危機を感じてるようにすら見えるレベル。彼が支配的に見えそうにもなるんだけど、 “どんだけお前の事見てきたと思ってんだよ” で急にめっちゃ良い話というか、でろでろに甘い話になる。彼が見破れる理由としても納得だし、2人の関係性が深くなる理由としてもバッチリ。それによってセックスの気持ちよさが数段あがる、というエロ漫画的なクライマックス感が見事でした。
 エピローグで急に鈍感系ラブコメ主人公になる感じも笑ったんですが、結果的にヒロインに対して「お前からやれ」と圧をかけてくる感じは本作を通じてずっとやり続けてきたことなのかなとも思います。ヒロインは手の上で転がされるんだけど、受け身でいることは一切許されない。この捻れがめちゃくちゃ面白かったです。

『うらはらエモーション』Reco

 痴漢対策として通学の電車を一緒になった話。本作とにかく溜めて溜めて溜めて、ついにドン! という爆発が楽しい作品だったと思います。言っちゃえばツンデレなんだけど、徐々に2人が近づいていき、徐々に気持ちが高まっていよいよ……という爆発が最高。爆発はするけど、場所が電車なので急いでカラオケに移動するのも良い。エロ漫画だから荒唐無稽に電車内でそのままやる選択肢もあったとは思うのですが、「我慢できねぇ!」と電車を降りて急いでカラオケに駆け込む、という焦れったさも大事というか。
 本作はとにかく溜めのパートが長いのが特徴。ローアングルで彼女を映すコマも多いんですが、彼女がデレるまではパンツもほとんど見せないのも面白かったです。エロい予感はないまま気持ちだけが高まっていく感じ。じっくり溜め込んだからこそ我慢できなくなってからの急展開がとにかくアガる。本格的にエロが始まってからも服を脱ぐのも焦れったいという感じで、めちゃくちゃ臨場感ありました。リアルなこと考えると、初々しい関係だったら全裸になった方がいいと思うんですが、気持ちが先行してる感の演出としてバッチリですよね。そして、半脱ぎの方がエロいと思います(これは趣味)。
 エピローグでメイド服というサービスショットが出てくるのも驚きなんですが、あそこでもパンツは見せなくて、エロの予感はそれほどしないってのがポイントだったと思います。とにかく可愛いのでサービスショットとしては十分機能するんですが。

『Beautiful Spicy Kiss』さくま司

 強面俳優のマネージャーをしていて、その担当役者の娘に怪しい男の影が。主人公とヒロインでダブルメガネなんですが、ヒロイン父を入れるとトリプルメガネですね。みんなメガネで良い。エロパートの最後にメガネを外すのが嫌な人もいるみたいですが、個人的には外すというアクションが描けるのもメガネの魅力だと思うので本作のはめちゃくちゃアリ派。2人がより裸になってぶつかり合う感じとしてメガネ外しが有効だったと思います。あとはメガネにはヒロインの二面性としての意味もあると思うので、それを考えると最後の最後に外したのも勝利感あって好き。
 彼女がチャラい輩たちに襲われてると思ったら、というツイスト。初読時マジでまんまと騙されてしまったw 彼女を助ける話か、主人公が誤解してるパターンだとばかり思ってたので、そこからヒロインが本性を露わにして誘惑してくる場面には驚きつつ、アガりました。言ってる内容はアレなんだけど、絵的にはめちゃくちゃ可愛さをキープしててそのギャップにもやられてしまいました。何なら正体を明かしてからの方が生き生きとして可愛いんですよね。誘惑されて堕ちていくドラマでもあって、ヒロインは影のある女王様的でもあるんだけど、好きなことに夢中な可愛い一面もある。ここがマジ魅力的でした。あとやっぱメガネですねw
 そんなメガネ。メガネぶっかけ(こぼれたのがかかる)からの主人公のメガネに “お返しですよ?” 。ぶっかけって支配的な雰囲気がどうしても出てしまうと思うんですが、それを覆すアイディアに感服です。今号の快楽天だと『つづれおり2』で精子含んだままキスする場面も連想したんですが、あれは主人公が罪を共有するような意味だったと思うんですが、本作は明確に逆転だと思います。まぁ、「同じところまで落ちてこいよ」的な悪魔の誘惑みたいな感じとも取れるかな。それにメガネを持ってきたのが本当に素晴らしかったと思います。ぶっちゃけリアルであったら嫌なんですが(男女どっちも)、漫画的な演出としてはめちゃくちゃ面白かったし、エロかったです。いや、本来なら嫌だと感じるからこそ刺さった場面なのかもしれない。
 ヒロインが圧倒的に優位で、その魅力が大きい作品なんですが、最後の、やっぱメガネを外した場面ですよね。あそこで初めて主人公の気持ちが彼女に届いた……のか? みたいな雰囲気があって最高。それまでは快楽以外に彼女に響くものはなかったと思うんですが、あの最後の場面、 “今の… もっと…” でようやく「これは期待できるのか!?」とブチアガる。からのエピローグがギャグ調で終わるのもギャップで良かったです。まぁ、あそこでお父様がブチギレとかなったら地獄なので本当に良かったw

『ピュアレス』鬱ノ宮うかつ

 タイトルは略すと「ピアス」になる……って偶然かしら。
 家出少女もので、ヒロインのキャラが濃いというか、影も濃い感じなんですが、実は主人公である竿の方もなかなか抱えたものが大きそう。このツイストが2人が近づくキッカケであり、本作がエロ漫画として始まる瞬間ですよね。主人公がいわゆる良い奴ではなくて、まぁ平たく言っちゃうと彼も闇を抱えていてだからこそヒロインと共鳴するって話なのは分かるんですが、ちょっとこの主人公に共感してしまうから困ったw ピアスに偏見もないし、可愛いと思っているんだけど自分が穴を開ける勇気はない、とか他人事とは思えないです。
 さらに彼の心の底が露わになる場面として、なぜ自分を買ったのか聞かれた際の “嫌な事があったから… 人に優しくする事で… 心に余裕を持ちたかった…” 。もうこのセリフが良すぎて。良すぎるというか、めちゃくちゃ分かる。あるよね、この心理。激しい共感とともに「あれっ 私だけ?」と猛烈に不安になりましたw
 そんな嫌な事あると人に優しくしたくなる件についてヒロインが “あたしはねぇ 逆” と返すんですが、セックスの内容を考えると彼に優しくしたようにも思えるんですよね。そこらへんの捻れというか、心理のグチャグチャな感じがとても良かったです。
 からのエピローグ。いよいよ主人公がピアスを開けるんですが、すげぇ生々しい描写で「やっぱ私は無理かもしれない」とか思った。痛そうでめっちゃ怖いわw そんな左耳に穴を開けるんですが、代わりにヒロインの左頬(口元)には手当した母親に殴られた傷を手当てした跡があるのも最高でしたね。傷を作る主人公と傷を覆うヒロインという対比。

『わからせられたいオトシゴロ』京のごはん

 タイトルがややこしいので笑った。いや、言わんとすることは分かるのですが。
 オナニー配信をしてた子がオナニー以上に気持ちよくしてくれる男を募る。あとはタイトルの通りなんですが、応募の時点で期待してるのがチラチラ出てるのが良いですね。会う約束を取った最後に “…これでシコろ” とつぶやくんですが、もうこの時点で負けてるというか、負けたがってるw
 言葉責めもあるので男側の主張は強いんですが、男の姿、顔が映るコマはめちゃくちゃ少ない。探したら1つ2つある程度。本作は完全にヒロイン視点で、落とされるのを期待しつつ、予想外の責めににやっぱり落とされる話で、その心理にのみフォーカスした作品なので、この男の描写が限りなく少ないのが効果的だったと思います。チンコにしか興味ないんだけど、そのチンコだけに屈服させられちゃう話なんですよね。
 結果的に10万を払う側になってしまうんですが、男はその10万以外にもハメ撮りを売って儲けることになる。男の目的は最初からココだったのですね。よく考えたら自薦のメッセージを送る際に過去に落とした子のハメ撮りを都合良く用意できたのはそういう理由があったわけだ。趣味で撮影してたのではなく、売るために撮影してたわけで。もうこの時点から負けてた、と改めてわからせられるオチで素晴らしかったです。

『快感シグナル』うぱ西

 主人公のオナニー阻止から始まって驚くんですが、ページをめくると彼女がセクサロイドと明らかになってさらに驚愕。テクノブレイク必至なのでセックスを控えてたけど、準備が整ったのでいよいよ、という話。食事の用意や健康状態の管理をしてくれてセクサロイドというより奥さんじゃん(性的な要素はナシ)、って感じだったんですが、この奥さん感というのが今後の展開の布石になってて見事でした。要するに、セックスを除いた関係を築いた結果2人の間には愛が……。いざエロが始まるとセクサロイドらしく主人の理想の属性を演じてセックスしてくれて、「こんな未来があったらいいな」的な話になるかと思ったら、ですよ。初めての射精を迎える前に “いつものユリに戻ってくれる?” ですよ。この意外性が最高でした。プレイとしては理想的でもそれ以上に気持ちいいセックスは気持ちの通じ合った人の愛のあるセックスである、という言ってしまえば至極当然の結論。それをセクサロイドというフィクショナルな設定で描いたのが見事でした。演じることしかないセクサロインドの本当の姿はどこにあるのかという話なんですが、それを「不具合」と称したのもうまい。欠点こそがその人の本質である、とか考えたら哲学的な域に達してるような気もしてきますw
 ハッピーエンドの極みみたいな終わり方をするんですが、結婚みたいな雰囲気ありますよね。「ご主人様」の意味がちょっと変わったような気もして素晴らしかったです。

『スッキリしよう!』シャモナベ

 剃毛なんですが、まずは彼氏のヒゲ。てか、このヒゲを剃った際のヒロインが目を輝かせてるのが可愛すぎて魅了されました。もう勝ちだわ。この時点ではまだエロの予感が1ミリもないのが良い。そっからの「これエロ漫画だったわ」と思い出すラッキー感ってありません? そういうのが私は好きですね……(独白)。
 エロ漫画なので当然下の毛を剃る話になるし、丁寧に剃毛が描写されるのはヒロインの方なんですが、ただの剃毛だとどうしても男性優位というか、多少なりとも支配的なニュアンスが混じってしまうと思うんですよ。そこを本作はうまいこと回避してる。最初はヒロインのリクエストで彼氏のヒゲを剃る。次に彼氏のシモを剃る。ここで “エッチする時 気持ち良いらしいよ~ 感度上がるんだって” というセリフが入ることで、じゃあヒロインの方も剃っちゃおうとなる。彼氏の方が2回剃ってからのヒロインの剃毛。これはフェア。ヒゲという男にしかない剃毛を最初に持ってきたのがうまいですね。
 そんな剃毛。性器の周りに刃物を当てるとか相手に全幅の信頼がないとできないですよね。その命預けてる感が良い。慎重にやらないといけないから相手の性器をガン見することのエロさもあるし、相手に剃られる際のハラハラ感もマゾヒスティックな魅力があったと思います。埋もれてる女性器の周りを剃るハラハラもあるし、出っ張ってる男性器の周りを剃るのも違ったハラハラがありますよね。あまり深く考えたことないフェチだったのでちょっと目覚めそうになりましたw
 剃毛していよいよ本番かと思ったら、さらにワンクッション。保湿クリームを塗る。指で触ることになるので今までよりも愛撫という側面が強くなる。徐々にセックスに近づいてる感があって最高です。からの彼女がクリームを塗り返すということで素股。剃毛だけでこれだけプレイが連鎖するのか……と素直に感心しました。さらに言うと、ヒゲがない方が表情がよく見える、というセックスの際の副産物も描いてるのが良い。これは完全に盲点というか、目から鱗でした。
 本番が連続するんですが、ここで最初の “エッチする時 気持ち良いらしいよ~” が利いてくる。ここまでじっくりとセックスに向けて盛り上げてきたのも大きいんですが、直に触れ合うから気持ち良いという物理的なロジックが加わることで「さぞ気持ち良いに違いない」という説得力が生まれる。いざ本番の際もいちいちヒロインのパイパンを強調するような構図、体位になるのも良かったですね。
 剃毛というフェチがメインテーマの作品だったんですが、最後、エピローグで別のフェチに興味を示すようになってエンド。ギャグっぽくオチがついて笑ったんですが、よく考えたらこの次なる興味である「潮」ってのもタイトルの『スッキリしよう!』に当てはまるんですよね。剃毛というスッキリから、別のスッキリの話になって完結する。うまい。

『ちちはじめ』ボボボ

 正月。いとこと。季節ネタですね。結構この正月親戚が集まって的な設定好きなので嬉しいです。盆でもあるか。日常と非日常の境が曖昧になる感じがエロ漫画と相性良いと思うんですよね。他人だけど他人じゃない、みたいな距離感が。
 子供ができたヒロインに対して主人公が “子供がいるってことは アヤカねぇちゃんもセックスしたんだよな…” となるのが良い。この感じ、すげぇ分かる。思春期あるある。世界にはこんなにもセックスが溢れてるのか……とか愕然とする奴。超分かる。エロのことは隠すのが当たり前なのにみんなセックス前提で社会が形成されてるという捻れにクラクラくるあの感じ。
 そんな入り口から母乳に興味を持ってしまい、そこをヒロインに見抜かれる。このプライバシーのなさがこの設定の良さだと思います。現実であったらマジ地獄なんだけど、人の心の中にズケズケと土足で入ってくるからこそ生じるエロ。それが良い。
 ということで母乳。授乳プレイ。じさじわとお乳が噴射する描写が丁寧すぎて驚きました。男がおっぱいに吸いつくくらいのものを想像してたら度肝抜かれましたw
 人の部屋にズケズケと入ってきたのはヒロインに酒入ってるから。ストロング缶片手に入ってくるんですが、ちゃんと “最近リクトも離乳食が始まったじゃない?” と授乳は終わったという設定なんですよね。だからお乳が余ってて、プレイに至る。主人公が吸うお乳にストロング缶のアルコールが入ってないか心配にもなるんですが……とか思ったけど、お乳吸ったら酔っぱらうとかめちゃくちゃエロい気がしてきたw 授乳プレイに詳しい人に話を聞いてみたくなってきた。エロの世界は奥が深い……。
 本番。当然のように挿入中にお乳を吸う場面もあるんですが、驚いたのが、ヒロインが自身のお乳を吸う展開。男が直接享受するエロではないんですが、このグチャグチャになった感じが妙にエロかったです。てか、セルフ授乳って一体どのような感覚なのだろうか。ただの授乳プレイでも実現可能性低いのにw

『悶々アトラクター』森シンリスク

 知らず知らずに男たちを誘惑してしまう女性の話。いや、狂わせるの方が正しいのかな。フェロモンだだ漏れというか、根っからのファムファタール気質というか。ヒロインはメガネなんですが、初めて被害に遭った回想の場面ではメガネなし。ひょっとしたら自分を地味に見せるための演出としてかけた可能性もありますね。……とか思ってたら最後のオチでまた別の意味が生じる。文学少女を通り越した作家先生の記号としてのメガネでもあったのですね。そういう意味では今号の『先生で先輩』と同じ。
 全編にわたって回想形式のナレーションによって進行する。自己紹介程度では終わらず最初から最後までなのでちょっと驚きました。本作のセックスは完全に一方通行のもので、ヒロインはただ受けるだけなので話しかける相手は自分しかいない、という意味なのかな? とか思ってたら最後にどんでん返しw あれは見事でした。読切サイズだからこそ鮮やかに決まる仕掛けというか。
 ヒロインの想定しない被虐の話なので、ちょっと薄暗い雰囲気というか、下手すりゃ「可哀想」な話じゃないですか。それが最後の仕掛けで文字通りひっくり返るんですよね。彼女はその狂った日常をそれなりに楽しんでるし、その経験を仕事という形に消化し、そのおかげで評価を得ている。このたった1ページで「なんだハッピーエンドじゃん」となる豪腕にすっかりやられました。てか、森シンリスク先生の前作が底抜けに明るかったのでちょっと今回の内容に驚いてたんですよね。そしたら、最後に一気にギャグ的に明るくなるので笑いました。そういうことかw

『ボウネンカイ』藍夜

 正月ネタは先ほどあったけど、今度は忘年会。巻末に来て季節ネタが増えましたね。
 人妻ヒロインで、パートの忘年会。馴染みのメンツの違う顔を見ることになるのが実に忘年会らしい状況だったと思います。もちろんここまでの事態を経験する人はまずいないでしょうが、「お前そんな奴だったの!?」みたいな驚きは誰にも経験があるのではないでしょうか。それをエロ漫画にするとこうなる。
 忘年会に参加してた若手が悪い顔を見せて、というだけの話じゃないから面白い。冒頭の場面にどう見ても人の良さそうな雰囲気だった店長が実は……。複数に好きなようにされるという物理的な絶望感はもちろんなんですが、精神的に一番ショックを受けるのはこの店長のくだりだったと思います。誰も信用できない、逃げ場のない感覚。そもそもこの忘年会という席がそもそもこの計画のためにあった、みたいな話ですよね。物語が始まった時点でヒロインは既に詰んでる。「あのときああしていれば」的な救いが1ミリもないw

『青春リビドー山』位置原光Z

 第22回「スレイブもの」。学生カップルの話かと思ったら奴隷関係にあるらしいので笑った。カップルがプレイとして奴隷にしてるとか、やけに主張の多い奴隷の話とか思ったけど、マジの奴隷関係で、奴隷の話をしてるはずなのになぜか甘酸っぱいラブコメの波動が生じてしまうから面白い。 “二人で登校なんてしたら私が田中くんの所有物だってウワサになっちゃうでしょ!!” のくだりとか爆笑でしたわ。うますぎるんだけど、うますぎるが故に2人の関係が謎に思えてくるw

「読者コーナー」

 真空ジェシカ ガクの連載コラムが毎度のように面白いんですが、今回はエロとかエロ漫画よりもインターネット老人会の側面が大きすぎるので笑った。快楽天じゃなくても全然いけるのではないかw


 恒例になってるツイッターでのアンケート。テーマがおねショタなんですが、みんな「おね」じゃないの……?? と困惑。いや、男性視点でヒロインを愛でたいというのは分かるんですが、ここまでの大差になるとは意外でした。仮に読者をその作品の「おね」と同年代の男性だとした場合、性別の壁と年齢の壁、どっちが大きいかって話なのではないでしょうか。ファンタジー度の高い存在はむしろショタだと思うので、そっちの視点で楽しむ方がハードル高いのではないか……ってだからこそ漫画を読む醍醐味でもあるのか。
 まぁ、以前あった「姉モノ」「妹モノ」のアンケートでも姉が勝ってたので、それと同じ向きの話ってことなのかもしれませんね。女性優位が保証されたジャンルでもあるし(たまにショタの逆転もありますが)。


 終わり。年末号ということでめちゃくちゃ豪華でしたね。あと数人呼べたら私的快楽天オールスターが完成しちゃうレベル。
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 アンケート。面白かった作品3つですが、『ぎゃるとれっ!』『Beautiful Spicy Kiss』『快感シグナル』になるかな。あれやこれやも面白かったんですが、こうして振り返るとどう面白かったかが端的に言語化しやすい作品に偏りがち、というのはあるかもしれません。とりあえず優勝は『Beautiful Spicy Kiss』になります(そんな質問はされてない)。
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