北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2022年12月号の感想

 もう12月号……なのか……(未だに慣れない)。
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『よるまづめ』楝蛙

 親に連れられていく民宿で親が不倫をしてる。親同士が男女の関係になることでその子供同士の関係が始まるという話は『似た者どうし』でもあって、あちらも最高だったのですが、本作は何と言っても冒頭の場面で主人公が少年であり、親が不倫。『似た者どうし』の親は再婚に向けた交際で祝福すべきものだったのに対し主人公に後ろ暗さもある関係が始まる話だったんですが、本作はまるっと逆(親側の事情もあるらしいが)。しかも少年期にはエロに至らない。おねショタを予期した身としては驚きまくってしまったんですが、ピュアでキレイな思い出があり、その蓄積があってついに……という盛り上がりがヤバい。親同士の関係が終わりを迎え主人公たちに会う理由がなくなってしまうことで、積もり積もった感情が爆発するんですが、積もってたのは主人公だけじゃないので泣ける。窓から主人公のことを見ていた、という事実が最高で、2人の「見る/見られる」が逆転するというか、双方向であったと示す。そのことで互いの思いが明らかになり、それを境にエロパート突入。物語的な盛り上がりがそのままエロになる。やっぱエロ漫画って良いなぁ、としみじみ感じてしまう。エロ漫画にしかない良さが間違いなくある。

『ゆめめちゃんねる』亜美寿真

 顔出しゲーム配信者の家に行くことになる。劇中で描かれるゲームに関して門外漢なんですが、komifloのコメ欄だとそのゲーム描写についての話が盛り上がってるのですごい羨ましくなりました。分かったら面白そう。
 そもそも主人公が家に呼ばれたのもおかしいんですが、いくら何でもヒロインが緩すぎる。「危なっかしすぎるよ!!」とか庇護欲かき立てられてたら、時既に遅しだと明らかになるので笑う。 “すぐエッチしちゃうんだ” “皆悪い人だったのかなぁ… ” とこの2つのセリフで良心が徹底的に打ち砕かれるのですごい。皆って複数かよw そして未だに疑ってなさそうなのが余計困る。
 からの彼女のナイトに……ならない。ミイラ取りがミイラになるパターン。それも即日。ヒロインの天然ビッチというか天然魔性があまりに強力すぎて主人公の理性がたやすく敗北。初めて見るタイプの即堕ち2コマでした。主人公の語りにある “「流れ」は存在した” も秀逸。エロ漫画って、エロパートが始まる直前、予感が確信に変わる瞬間が一番エロいと思ってるんですが(ちょっと見栄もある表現)、それがまさに「流れ」。見事に言語化&漫画化されてしまった。
 エロパート。前半は主人公が完全に攻めで、攻めながら説教まがいのセリフを吐き続けてるのが情けなくて笑っちゃうんですが、徐々にヒロインの魔性が爆発して逆転。逆転に暴力的な要素は皆無なんですが、明らかに「負けた」と実感できる。特にフェラが象徴的ですよね。完全にヒロインが勝手にやり出したことですので。彼女からやり出したんだから主人公は特別……と思いたいけど、過去やってない保証はどこにもないんですよね。大丈夫だと思いたいですw
 ヒロインの緩すぎるキャラクターらしいオチがつくのも笑ったんですが、恋人がいると公表するのは防御戦略としては案外アリかもしれない。彼氏持ちだと分かればある程度悪い虫は寄ってこなくなるだろうし。

『塞翁がママ』玉ぼん

 疲弊しきったサラリーマンが田舎で女性に拾われる。エロおとぎ話みたいな雰囲気な話というか、ほとんど山姥の話の美女版、それもママみ特濃美女という感じ。優しい人に助けられてラッキー、からの徐々に様子がおかしくなっていき、明らかに異常と気づいたときには既に彼女の毒(ママみ)が回っていた……みたいなホラーにも思える展開が超良かった。話も展開も面白いし、何より怖さとしてママ属性を持ってきたのが最高。
 本番。交互に上になるので対等……なわけがない、という恐ろしさw 彼女の言いなりになって上から襲いかかってしまうのも良かったし、ヒロインが上になる体位ではそのまま食われてしまうのではないかとハラハラしてしまう。もうこれで最高だし、お腹いっぱいだったんですが、射精した先に、まさかの放尿(そのまま中で)へと続くのがマジひっくり返るほど驚いた。ただ、驚くんだけど、同時にママみモンスターの行き着く先としてこれほど納得のいく結末はないよな……という腑に落ちる感覚もある。ママに赤ちゃん扱いされるんだから当然シモの世話もされることになり、それをセックスの一環として描くとしたらアレしかないですよね。中での放尿って知識として存在は知ってたし、極稀にエロ漫画でも読んだことはあったけど、常識的に考えて男性が女性をモノ扱いする果ての行為じゃないですか。それが本作ではまったくの逆で、女性が男性の尊厳をへし折る行為として描かれてるのが新鮮でマジ最高でした。あのだいしゅきホールドされた瞬間の絶望感ったらない。
 話と関係ない感想になるんだけど、犬が可愛い。めちゃくちゃ可愛い。単純に顔が良いし、表情も可愛いんだけど、細かい行動や仕草がグサグサ刺さる。もちろんヒロインが犬を飼っている(自然と集まってくる)、というのがヒロインのキャラクターにとって象徴的でもありますね。

『疲れマラ癒ちゃん』もじゃりん

 こちらも限界サラリーマンが救われる話。ただし、こちらは職場にヒロインがやってくる。そういうデリバリーのお店。『塞翁がママ』と同じで「夢なのかな?」「キツネに化かされてるのかな?」みたいな浮き世離れした印象もある。『塞翁がママ』は間違いなく現実と示されたけど、本作の方はひょっとしたら……という余地もありそう。
 今号の表紙イラストがもじゃりん先生なんですが、そちらは本編と衣装が違くてそっちも可愛い。劇中のサイトに載ってるエロOLという感じの格好も大好物なんですが、本編でメインになるのは謎コスチュームでそれまた楽しい。OL衣装(受付嬢的な?)をバニーガール風にアレンジしたエロ衣装って感じでしょうか。「何だよコレ!」と笑っちゃう感じもありつつ、エロいんだけどどこか爽やかさも感じるようなデザインで素晴らしかったです。元々下は限りなく裸に近い感じだったんですが、そちらも最後まで一切脱がない、というのも最高でした。
 あと、冒頭の場面で劇中のエロ動画サイトに撫子さんが出てくる、撫子さん出演の作品が出てくるのも笑いました。もじゃりん作品世界において撫子さんはどこまで有名になってしまったのだろうかw

『初めてのおじさん』mogg

 おじさんに初めてを売ろうとしたら相手がテレビで謝罪会見してる。援助とか活動とかって定番のジャンルだし、竿役の方に特別なキャラ立てをするのも珍しくはないんですが、本作の竿はマジ珍しさの極みみたいな内容でしたね。学生が手を出すにはあまりに大人な相手、という圧倒的な格差が感じられる。さらに秀逸だったのは一旦別れてからの日常パート。本作は3つのエロパートに分かれてるんだけど、その間に挟まれる日常の中でも相手のおじさんはテレビや雑誌に現れ、ヒロインの日常を浸食してくる。もう戻ることはできない、という実感としてすごかったし、単純に「忘れられない」の表現としての説得力もすごい。
 ヒロインは常に制服姿なんだけど、3つのエロパートではその着こなし(脱ぎっぷり)に差異があって、それが物語の進行であり、ヒロインのおじさんに対する心の開示具合にも比例する。厳密には、2つ目と3つ目にはそれほど変化がないんだけど、代わりに社会の中でのおじさんに対する断罪の温度が変わっていて(忘れつつある)、同時にヒロインの心の変化が決定的。オヤジ雑誌でおじさんの動向を確認してたらギャルの友達に見られて引かれるも、オヤジ雑誌特有のエロ記事に興味津々、というくだりには笑ってしまった。オヤジ雑誌とギャルは意外と相性が良いw
 ヒロインは多くを語るタイプではないんだけど、彼女の心の変遷がめちゃくちゃ丁寧に描かれていて、おじさんの方も悪目立ちはしない程度にキャラ立ちまくってるので2人のドラマとしてのエンディングが妙に味わい深くて好き。ガラス越しに夜景を見ながら、というのが最高なんですが、これは今号のカラーイラストでも描かれてますね。ヒロインの裸体がガラスに映り、夜景に溶け込むようでもある、というディテールが素敵。

『誰にも言えない』こやま滋

 乱暴な彼くんに支配されてる……と思ったら実は支配してる。会ったら「ケンくん」なのに、冒頭のヒロインのモノローグでは「彼くん」なのが最高。最初内心での「彼くん」呼びには違和感もあったんですが、読み終えて2人の異常な関係を考えたらめちゃくちゃしっくり来る。ヒロインの方は相手のことを「彼くん」という属性として見てる部分が大きく、一方ケンくんは異常性癖彼女に対して真面目ガチ恋なので……というすれ違いが泣ける。エロ漫画読んでて「この2人には幸せになってほしい」とか「このヒロインには幸せになってほしい」って思うことあるけど、本作に関しては完全に「ケンくんどうか幸せになってくれ……」と切に願ってしまうw オラつきまくった見た目なのに最後「パァァ」と笑顔を見せるとかずるすぎるのよ。ヒロインもめちゃくちゃ可愛いし、個人的に好きな要素だらけの子なんだけど、本作はどうしてもケンくんにばかり感想が集中してしまうというか、とにもかくにもケンくんのキャラクターとしての魅力が強すぎるので読んでて不思議な感覚になる。SM関係が心理的に逆転するタイプの作品はそれなりの数あるけど、本作を特別なものにしたのはヒロイン視点に限定したのと、ケンくんのキャラクター的な魅力だよなぁw
 何だかんだ言って2人なナイスカップルだとも思うので、このままの関係を続けてほしい気もするんですが、中盤にあったヒロインの “ケンくんだけだよ 私のお願い聞いてくれるの” というセリフが妙に不穏で後を引く。常に彼女のことを満足させ続けないとすぐに他の男を探しに行ってしまうかもしれないというハラハラ。まぁ、この際ケンくんの寝取られ続編とかでも見てみたいかもしれないw

『フラチでフウキ』スミヤ

 風紀委員の彼女とおうちデート。10ページと短めの作品なんですが、話というよりキャラの魅力に全振りという感じで普通に面白い。たしかな満足感。元気いっぱいで彼氏を振り回す側のヒロインがオシャレしてうちにやってきて、元気ではあるがどこかしおらしい……というギャップに魅了される。オシャレ意識としてメガネを外してきた心理も可愛いんだけど、そのことを照れながらエロジョークにしたら墓穴、という急展開も最高。逆にメガネではなく三つ編みの方はオシャレしてもキープなのも味わい深いですね(単に大変という見方もある)。
 学校と2人きりのときとのギャップが魅力なんですが、主人公がちょっとした仕返しをプレイの最中に行って、それが学校生活と恋人生活を繋げてしまう、という展開も熱い。単純にエロシーンの魅力でもあるんだけど、それが学校生活にフィードバックされてしまう。

『サキュバーム』アシオミマサト

 ロリサキュバスが郵送されてくる。コミカルな話で、しかもデフォルメ強めのロリというのが意外だったんですが、変身してお姉さんになるので驚きつつも安心感。「そういうことかー!」と笑ってしまった。ただ、豹変の驚きも込みでやはりめっちゃエロい。また、衣装が良いんですよね。ロリ時と衣装はまったく同じで、そのまま体が大きくなる。布面積は変わらないのでものすごい痴女ファッション(かつファンタジーファッション)になる。あの可変式の衣装はマジで目から鱗というか、あれだけでも「良いもん読んだ」感がすごい。
 変身はそれだけで終わらず、湯に浸かると分裂する。ギズモかよw てか、ここまで読んでようやく気づいたけど、飼育の際のルールという本作の設定自体が『グレムリン』でしたね。あれをエロ漫画として再解釈するとこうなる。このアイディアがめちゃくちゃ面白いし、分裂した際のエロ的な盛り上がりは圧倒的ですよね。お風呂で裸なので、この分裂の場面で初めて淫紋が見える、という驚きも最高。それが2人いるんだから絶望(かつエロ的な高揚)。

『友達の恋人』八尋ぽち

 彼女をイカせられないと悩む友人に代わりにイカせてくれと頼まれる。寝取られ、というか寝取らせですね。寝取らせを依頼される側、そしてその渦中にいる女性視点だと何て表現が適切かは分からないのですが。
 いくらでもダークな話になってもおかしくないんですが、八尋先生の圧倒的に可愛らしい絵によって明るい雰囲気もありつつ、だからこそ3人ともどこかおかしいというコミカルな印象もある……というのが前半。狙い通りに彼女はイキ狂ったのだが、意外と快楽堕ちはせずに既存のカップルが仲良くしてて終わる、と思ったら終わらない。主人公は不平不満を抱えつつも何もせず、大きな一線を越えるのはむしろヒロイン。もうこうなってくると寝取られとか何なのかマジで分からなくなってきますね。まぁ、単純に言えばヒロインによる浮気。ただ、そもそも彼女をモノ扱いして他人のチンコ突っ込ませたのは彼氏なのでまぁそこまで罪悪感がメインになる話ではないですね。みんなそれぞれおかしい。主人公が一番まともとも言えそうですが、彼は彼でよその女に魅了されちゃってるのでやっぱりヤバさがある。対抗意識がめっちゃ芽生えてるのが小物っぽくて微笑ましいというか、人間臭くて好きです。 “明日から学校髪おろして来いよ” “絶対そっちの方が可愛いから” とか、完全に余計なお世話かつバレるリスクが発生する愚かな提案だと思うんですが、それが華麗にスカされるの込みで2人の(3人の)関係が面白い。1回目のセックスでは、メガネを外すのも髪をおろすのもヒロインが行うんですが、2回目の学校の場面ではどちらも主人公がやってるんですよね。あの前のめり感。物理的な性欲以外も彼は求めてる、と見ることも可能かもしれない。まぁ、どちらにせよ、あのリミッター解除、みたいな演出は漫画的にめちゃくちゃ映えますよね。

『偽りの誠』日吉ハナ

 返済の催促に行ったら中学の同級生(覚えてない)と出会う。夫と死別したばかりの未亡人の同級生というのがミステリアスな雰囲気かつ身近さがあって魅力的。出会いが同窓会ではないからこその接近感であり、求められてるという実感。他人と身近のバランスが絶妙というか、その境が曖昧で、ある種の浮き世離れした雰囲気と空間に魅了されてしまう。
 魅了されるんだけど、本作の味噌はどう考えてもそこではなくて、大オチ。謎の女、謎の同級生(自称)である「佐藤」の正体が明らかになるオチが面白いのよね。20ページと決して長くはない物語だからこそコンパクトにまとまってる強みというか、一つのトリックのために20ページが費やされてる感じ。エロ漫画ってたまに「すごい魅力的なキャラだったけどよくよく読んだら人名が設定されてない」みたいな作品があるんだけど、本作はその部分を最大限利用してる。エロ漫画、特に読切において名前はそれほど重要ではない。「佐藤」という日本の人口ランキング1位の名前だったのが大きな仕掛けになってるんだけど、真相が「ヤマダ」だったのも好き。結局かなり多い名前だったのねw
 読み返して気づいたけど、ヒロインは主人公のことを「キミ」としか呼んでない。理由は知らないから。これは気づけなかったなぁ。理屈としてはオレオレ詐欺と似たような手口w 行為中もかなり会話が多い作品で、それが濃密なコミュニケーションという感じになっててエロいんだけど、実際の理由としてはヒロインはとにかく情報収集したかった、ということなんでしょうね。即興であそこまで出来るとか恐ろしすぎるw

『鈍色ときどき雨のちのち』シャモナベ

 幼馴染がフリーになったので告白。冒頭の場面、前後に何があったのか分からない2人がコンビニでコンドームを買ってるんですが、次のページではその前の場面に移りそこで告白、家に移動するとエロい雰囲気になって……とここで冒頭のコンビニに繋がるんだと思います。飛び飛びでなかなかトリッキーな時間軸操作なんですが、ちゃんと分かりやすくなってるのはタイトルにもある雨のおかげですね。その後はずっと全裸でエロパートなんですが、それまでの助走パートの情報量が多い……んだけど緩やかで情緒のある雰囲気もバッチリ感じられる。すごいバランス。タバコ、巨大な船、自転車など含みのある記号がふんだんに盛り込まれてるが、それが押しつけがましくない。あと、始まりの場面で2人が高低差のある位置関係にいたのも象徴的ですね。
 エロパート。こなれてるヒロインと初々しくも背伸びしたい気持ちのある主人公。2人の関係性が最高だし、ヒロインの落ち着き払って表情に大きな変化はないんだけど、要所要所で印象的な顔、視線を見せるのが最高。派手さというか、目立った突飛なプレイには至らないんだけど、めちゃくちゃ引き込まれる。キャラも最高だしエロも最高。強い。エロ漫画なのに陥没乳首を放置、というのも素晴らしすぎる。その手があったか。主人公は緊張のあまりそこに気づけない、そこをいじる余裕はない。たしかに、あの少年が乳首いじって「ぷっくりしてきたじゃないか」とグヘヘと笑い出すとかイメージできないですねw それほど主人公は拙いんだけど、何がヒロインを満足させるかと言えば「好き」というセリフ。良すぎかよ。そして、この「好き」が彼女に刺さる言葉である件については序盤の元彼の話のときにもチラッと出てくるんですよね。やはり薄味に思えてめちゃくちゃ情報量の多い作品だ……。
 主人公の未熟さ、緊張、背伸び感の描写もいちいち丁寧で、そして演出の数が多い。個人的には髪から覗く耳が真っ赤、というのがめちゃくちゃ可愛くて好きです。一人称は本来「僕」なんだけど、自分を大きく見せようとして外向きには「俺」になるのも素晴らしいし、騎乗位で “女の子みたい かわいー” と言われると頑張って正常位を希望するのも最高。射精の瞬間の相手に身を委ねるような体勢も良いし(それを包むヒロインも最高)、その後不安そうに “俺のこと… 好き?” と確認するのも可愛い。その返事に喜び、気が大きくなったのか、元彼及び一足先に大人になってヒロインに対する気持ちも込みでタバコに手を出そうとすると……ここでのヒロインが本作の中で最もむき出しになったようにも見える顔をになって劇終、という切れ味。あのタバコの拒否、そして握りつぶしというのはいろいろ考える余地があって素晴らしいエンディングでしたね。悪い方向に進もうとする主人公に対して咄嗟に過剰なまでの拒絶を見せてしまった、というのがとりあえず表面的には第一になりそう、かな。あとは元彼や彼女自身の「大人になってしまった」という後悔も込みの感情とかも想像させられる。
 改めて読み返すと、コンビニでコンドームは買えるけどタバコは絶対に買えない、というのも感じさせられますね。だからヒロインは制服。読めば読むほど味わいが増すとか最高かよ……。

『ばにこす☆はにー』梅田ノーチラス

 文化祭でコスプレする彼女が可愛すぎる。いや本当に可愛い。可愛いの純度を高めた果ての何かを浴び続けるような作品。
 アバンタイトルが長めに4ページあるんですが、それがまた良い。1ページ目、作者名は出るけどタイトルはまだ。そして描かれるメイド服のヒロイン。正直これが満点で、なので「メイド服じゃないんかい」となってもおかしくないレベル。ただ、このメイド服はクラシカルとまでは言わないけど、セクシー要素の薄いデザインなのであの完璧なメイドさんが最後までキープされたことには納得というか感謝の念すら湧く。その後コスプレショーが開催されて、そのどれも可愛いんですが、最後に出てくるのがバニーで、そこでようやくタイトルがどん。これも同様に可愛いんですが、今までの衣装とはちょっと一線越えた感があるというか、セクシー要素が大きいというか、端的にエロを感じる。バニー姿が大映しになるコマで作品の空気が一気にエロ漫画へと変容したような感覚。
 その後は駆け込むようにエロパートになるんですが、こっちでも衣装の魅力がバッチリ。なるべく脱がずにセックスできるコスプレは何か、という逆算からバニーというテーマが決まったんじゃないかと思い込みが発生してしまうくらい収まりが良い。数少ない「脱ぎ」に近い行為は胸を出すくだりなんですが、ここでは「脱がす」というアクションをめちゃくちゃ丁寧に描いてるので、魅力的な衣装の遊び方として腑に落ちるものがある。おっぱいは出したのに襟は残ってるし、カフスも残ってて、バニーって本当にエロいな、と改めて伝統の衣装の強さを思い知らされました。

『交尾忍法帳』おりひか

 『忍法帳』とタイトルにある通り、無数の忍術によって展開するストーリーがめちゃくちゃ面白い。ギャグ作品で全編笑えるんだけど、それと同時に忍術の設定とその運用(展開)のロジックにはちょっと唸るものがありました。ギャグなんだけどねw
 物語の核となる忍術は分身の術。一定の衝撃を受けると分身は消滅し、その時点で分身が得た経験は術者へとフィードバックする、という設定がマジで最高。経験を引き継ぐってのは隠密活動とかに便利そうで、普通にありそうじゃないですか。それを分身を消さずに拘束し、快楽責めにする。本人が現れ、目の前で分身を消すとその快楽が津波のように押し寄せる。要するに時間停止モノによる時間再生のくだりを分身の術で再解釈した展開だと思います。時間停止と違って、分身が複数用意できる(本作だと3体)。1体目はクリ、2体目は乳首、3体目はGスポットと部位ごとに分けられてるのも面白かった。本作でしかできない面白さであり、エロさだったと思います。
 からの忍術バトルみたいな展開になりつつ、そのまま本番。ここらへんから術の内容がかなり雑になるというか、ギャグの勢いがトップギアに入る感じがあって、エロの盛り上がりと相まってとにかく楽しい。面白くて忘れそうになるけど、ヒロインのくのいち衣装もめちゃくちゃ可愛いんですよね。
 こんだけ勢い重視で、かつハードなことやってるのにヒロインが快楽堕ちする話にならなかったのもすごい。ヒロインが決定的に敗北するのは変化の術でヒロインが恋する師匠に化けられたから。単なる快楽堕ちではなく恋する乙女としての顔を引き出されたから負ける。ジャンルとしては分からせの要素もあると思うんですが、そうとは思えない明るさ、何ならハッピーさすら感じる(錯覚です)ような話で良かったなぁ。ヤケクソのような爆破オチも大好きです。この爆破で初めてヒロインの衣装が脱げる(爆散w)というのも最高。

『しゃべって しゃぶって マッチング!』ねとろもりこん

 マッチングアプリで出会った女性が積極的。この手のマッチングサービスってエロ漫画だと割と定番というか、便利設定という感じあると思うんですが、その中でも本作が珍しいのはマッチングという行為の中にある「見定める」にフォーカスした点。本作ではヒロインが積極的なのでやたらサクサクと事が進むんですが、彼女の言動や質問がいちいち面接みたいな雰囲気あるんですよね。主人公は2択の質問に常に緊張しながら答え続ける。選択肢が表示される演出とかギャルゲーっぽくて面白いんですが、この常に選択肢を選ばされ続け、相手に見定められ続ける、というのは出会いを効率化したマッチングならではのシチュエーションだと思う。選択肢の演出は分かりやすいけど、その後の自然な会話にもいちいち「どう答えますか?」という圧が込められてて、その鋭い視線が素敵だし、そのことに気づいた主人公が順応し、適切に答えていく様が面白い。デフォルメはされてるけど、基本的に人と人のコミュニケーションって大体こういうものでもありますよね。あそこまで極端に見定めることはなくても、うっすらとした印象レベルでは全然成立してる話だと思います。つまり本作はコミュニケーションの話であり、そこに肉体的なコミュニケーションであるセックスが同時に描かれる。序盤は2択の連続にヒヤヒヤしてた主人公が徐々に慣れていき(成長していき)、スムーズなコミュニケーションであるセックスをこなしていく展開が熱い。さらに言うと、前半であれだけ選択制のコミュニケーションを強調して見せられたので、後半のエロパートでも主人公の取る一挙手一投足、そしてそれに対するヒロインのリアクションに意識が集中させられてしまう効果もあったと思います。そんな2人が、最後の射精に至るまでのパートでは一言も交わさずに突っ走る、という盛り上がりも最高。どんどん2人のコミュニケーションの深度が高まってるように感じられて、エロの迫力が増していく。

『夕暮れエフィカシー』だいじ

 初めての際にアダルトグッズ(女性用)を使おうとしたら断られ、そのことを彼女の姉にイジられる。思春期にエロ好奇心が暴走してしまってグッズを集めるのは分かるけど、恋人がいないと実行できない女性用グッズにまで手を出してしまうのはなかなかの猛者ですね。電マくらいならまだ男性が自分に使っても気持ちいいのかもしれないけど(知らないです)、その後ディルドーとか出てくるので「気が早すぎるだろ!」ってなる。ただ、だからこそのその捌け口が見つかったらもうどうしようもなく暴走してしまうのだろうな、という納得に繋がる。
 からかい、冗談、ツッコミが多分に混ざった2人の会話がラブコメ的にめちゃくちゃ魅力的なんですが、そこにエロ以外の何者でもない物理的なグッズが介入してくるギャップ。一線を越える瞬間がエロ漫画における大きな見所だと思うんですが、本作においてはアダルトグッズがそれを担う。ポップな可愛らしさすら感じた2人がグッズを使い出すにつれ、文字通りスイッチが入る。この豹変ぶりがめちゃくちゃエロい。
 挿入しながら電マ使ってフィニッシュ……と終わりだとマジで思ってしまったw まさかディルドーを実践、しかも後ろに挿入しながら第2回戦になるとは。エロ漫画の定番ツッコミに「初めてなのに激しすぎる」ってのがあるけど、本作の場合、激しいのはグッズに由来するのでそのツッコミを回避してますね。後ろに挿入の件も事前に経験があるらしい(さすがにグッズは使ってないと思う)。
 最高だったのがエピローグ。非デフォルメでは初登場となるヒロインの妹が予想以上に可愛くてぶったまげたんですが、その妹ちゃんを見せてからの姉と主人公の様子がまたギャップに溢れてて素晴らしい。エロパートでもラブコメっぽい会話は続いてたので、グッズを使ってる割には変態っぽい印象が薄い話だったと思ってたんですが、「グッズは普通無理だよね」という常識的な感覚を持つ妹ちゃんを一度挟むことで、主人公カップルの異常性を客観視させられる。それにしてもグッズ使いすぎ、というかグッズ所持しすぎなんですが。自分用のグッズを欲しがらなかったのが逆にすごいw

『破れ鍋に綴じ蓋』りんごくらぶ

 お兄ちゃんのパンツでオナニーしてたら、お兄ちゃんが妹のパンツでオナニーし始める。明るくポップな雰囲気ながら怒濤の勢いでエロへと突き進んでいく。ドア「ばんっ」のコマの過剰とも思える勢いの良さとかかなり好きですね。別に決めゴマという感じではないんだけど、やけに印象に残る。
 優しくしっかり者だと思ってたお兄ちゃんがヒロインに対してグツグツと性欲を溜め込んでいたというのも良いんだけど、それ以上に暴走気味に愛を伝えるヒロインが最高。2人のぶつかり合いなんだけど、比較するとやや妹の方が思いと行動は強そうに見える。
 あと、これは意図したものなのか少し分からないんですが、妹が引き籠もりだったり、義理の兄妹であることが明らかになるのが終盤の手前、いよいよヒロインの暴走がトップギアに入るあたりで明かされる。ざっくりと兄妹モノだと思って読んでいたら、その詳しい背景がここに来て明らかになり、2人のキャラクター、2人のドラマの解像度が一気に上がる感覚が読んでて面白かったです。特に初読時。引き籠もりの妹が兄貴のパンツでオナってるとかなかなか衝撃的だし、そんな妹のブラでシコってる兄貴もなかなかですよね。ちょっとだけ暗い要素がスパイス的に利いてくる感じですごい好きなバランス。基本的には底抜けに明るく楽しい、そして可愛い作品なんだけど。

『オナニーはOK』かるま龍狼

 授業中にトイレ行くのはダメだけど、オナニーならしょうがない。何だよそれ、というかるまワールド炸裂な設定だし、途中で出てくる伸縮型ディルドーとかそれこそ4コマ連載で出てきそうなネタで笑っちゃったんですが、そんな不思議設定のオモシロもあるんだけど、個人的には今回ヒロインがめちゃくちゃ可愛い。おっとりした印象もあるけど我慢できなくてウズウズしてる1ページ目のタイトルのコマとか超好き。エロパートでも、好奇心旺盛で目の前のエロを全力で楽しんでるような表情とかめちゃくちゃ良かったなぁ。最近の作品の中で一番好きなヒロインかもしれない。
 話としては、女子トイレに駆け込むも満員なので急遽男子トイレへ。そこで同じくオナニー中の男子と遭遇し……。根本が「何でやねん」と言いたくなる設定ではあるんだけど、この細かい部分に関しては妙にリアルというか、学校生活におけるちょっとしたあるあるのようなものも感じる。授業中にトイレ行ったときのソワソワ感、妙な開放感、無人のトイレに対する不思議な感覚。さらには、そこで出会う男子も同じようにオナニーのために抜け出してきたいわばはみ出し者なので、学校生活の当たり前の日常から少しだけ外れた2人が偶然意気投合し……という話だけ切り取るとめちゃくちゃ良い話にも思えてくるw
forms.gle

 終わり。すいません、今月もあとはweekly記事の更新のみになります。本館が通常運転に戻れない。
 突然のまとめコーナーになりますが、今月のベストキャラ、女性部門は『塞翁がママ』、男性部門は『誰にも言えない』となります。知らんがな。
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