北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2021年10月号の感想

 修正の黒棒がやたらとデカくなりましたね。何かがあった……という予感のみが感じられて不穏。
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『Hello,My dog』藤丸

 『さよならブルートゥース』の続編。ブルートゥース要素が消失したのでタイトルが大きく変わったのはやむなしか。
 前作でお付き合いすることになったので恋人状態での日常……ではなく文化祭。メイド喫茶で眼福なんだけど、眼福すぎてよその男子の視線が気になってしまう。そのことを伝えると、すれ違い。ある種のケンカ状態なんだけど、その状態でも2人の仲良し感というか、可愛い感じが伝わってきてマジ微笑ましい。
 んで、その問題の打開策として出てくるのが前作でも衝撃的だったヒロインの声フェチ。彼女の好きなドラマCDの中から適切なものを選び、それに準じたセリフで彼女に気持ちを伝える。伝えるんだけど、おそらくドラマCDの内容のせいでどうしたってエロくなる。役を演じることを通じてエロに至る、というのが前作との違いで面白い。役自体はかなりSっぽいキャラで、攻めの内容もドS王子感すごいんですが、彼の本意としては彼女に対する真っ直ぐな恋心であって、という変則的なイチャイチャ。
 最初はSを演じて攻めるんだけど、それに興奮して完全にスイッチが入ってしまったヒロインによる逆転。同級生の邪魔(正論です)が入って彼の方は完全に冷めるんだけど……という2人の温度差がめちゃくちゃ良い。声フェチというテーマにおいて、攻めと受け、それぞれの魅力が描かれてる。そのままエロが進行するんだけど、その最中に元々の論点についても話し合うことになるのが誠実というか、すごい変態カップルに見えるけど、2人の仲良し感としてはめちゃくちゃ健全というか、ものすごくハッピーな雰囲気にもなってて最高。ロールプレイになると自分がなくなりそうなもんなんだけど、この2人の場合はロールプレイをきっかけに元々話し合いたかったことが伝わる。エロのテーマとしてプレイ内容があるだけではなく、物語ともキレイに合致する。そして、当然メイド服でのエロに至るのでそこもめちゃくちゃおいしい。あと、本作、衣装的な要素でいうと男の方がネクタイを残したままシャツを脱ぐことになるのも一部の人から人気が出そうな気がしました。平たく言うとストリッパー感。
 メイドだけでなく、文化祭という要素もエロパートに大いに盛り込んできたのも面白い。文化祭で青春を謳歌するその他の生徒たちとエロにふける2人の様子が交互に、サイレントで描かれる演出は絶品でした。ただ、それで終わるわけではなく、フィニッシュに至るのは2人のイチャイチャ要素の高い会話アリの状態で見せるのもうまいバランスだったと思います。漫画演出としてのオモシロもあるけど、エロさが最優先、という感じ。
 文化祭の様子と交互に見せられると「何サボってんだ」的なことも考えてしまうんですが、エロがバレたわけではないけど、しっかりお叱りを受ける、というエピローグも秀逸だったと思います。ギャグ的に楽しいってのもあるし、「ごめんなさい……」的な味わいもある。

『夏のいたずら』楝蛙

 『湯気のゆくえ』が劇中で映画化されてる!! さすがにエロではないと思うんだけど、最近の作品の中だと一番非エロでもありそうな作品が『湯気のゆくえ』だった、という感じのチョイスでしょうか。
 そんな劇中映画の『湯気のゆくえ』。単なる小ネタというわけではない。本作は理想の青春を大人の夫婦がロールプレイする話なんですよね。ロールプレイという要素が『Hello,My dog』から2作続いたのも興味深いんですが、本作はそこに作者の過去作に対して “最後再会するんだ…” “王道だねー” とメタ的な、ある種のツッコミとも言えるセリフで始まる。要するには「所詮あれはフィクションだから」という話じゃないですか。そんな夢物語である理想の青春を、今、演じてみる、という話。このリアルとフィクションの境をあえて強調するのが本作のテーマを描くのに効果的だったと思います。妻がセーラー服着て照れてる、というのが単純にめちゃくちゃ可愛くて愛おしいというのもあるんですが、理想をかなえるためのロールプレイというテーマがより強調されてる。エロ漫画ってどうしてもファンタジーというか、夢物語みたいな側面がありますけど、本作は「理想のウソを演じてみようぜ」という話とも言えるので、妙な説得力、リアリティがある。これなら実際にあり得るのかもしれない……みたいな逃げ場をふさがれてる感。
 単にコスプレするのではなく、どこかの田舎に行って、実際に屋外でデートする。結構ハードル高いプレイだと思うんですが、まぁ、それなりに若い夫婦なんでしょうね。パッと見でウソだとバレるようだとさすがに変態のプレイ感が強まってしまうというか、村人に見られた際のリスクがでかいw
 旅館に帰ってからエロパート。ここで屋外でやらないのが本作においては適切だったと思います。エロ漫画的な荒唐無稽さは極力ない方が生々しい魅力が際立つ。旅館では浴衣の状態というのも青春ごっこを抜きにしてもあり得る格好だったのも良い。ここでセーラー服だとどうしても変態趣味みたいな印象になってしまったと思う。それもいいけどね。浴衣だけど、あくまでも「青春ごっこ」であることを強調するアイテムとして指輪が出てきたのが最高。あの指輪のくだり見事でしたね。ロールプレイとリアルの境としてあの指輪が存在してる。最後にヒロインが指輪をはめた状態で “…学生だから” と言ってきたのがマジで味わい深い。彼女にとっては理想の青春も大事だけど、やはり結婚した今の関係も愛おしいのであって……みたいなこと考えるとエモい。

『メイドお届けします』雛原えみ

 前編。メイドさんだ。本作もロールプレイの要素がありこれで3作連続。そして、メイドが3作中2作。
 祖父が道楽で理想のメイドさんを作る。そのプロジェクトの一巻として送られてきたヒロイン。男のロマンを追求したエロモードも良いけど、最初の公序良俗配慮Verもめちゃくちゃ可愛いです。すぐ終わってしまって残念な気持ちもあるけど、公序良俗配慮Verではエロなしのまま終わる、という配慮ぶりはある意味おいしかったと言える。
 たまに雑なツンデレキャラを挟んでくるのも楽しい。ロールプレイという要素が強調されてて、エロの追求のための一工夫、というのが感じられてエロい。
 エロパート。前編なので本番には至らないんですが、抜きはアリ。最初に抜かれることになるのがお風呂。ヒロインも全裸なのでここではメイド要素がないんですが、これは要するにメイドの派遣に反発してる主人公を籠絡する上でのワンクッションということなんじゃないですかね。風呂での会話はメイドという役について裏話をするような要素が多く、あくまでも個人と個人が裸で対話してる、というニュアンスが強い。だからこそ主人公は流されてしまった。
 からのメイド服(正式)でもう一発。今度は布団。メイド服で通常業務の要素が増す。ただ、ここでヒロインが真剣に訴えかけるという場面があって、2人の心の交流を感じさせる。風呂の場面よりはメイドとしてのプレイなんだけど、それでも彼女自身の心の叫び(のように思える)を聞いて主人公は流される。このロールプレイだけど、個人間の繋がりみたいなものが描かれててめちゃくちゃエロかったです。役を越えた何か、みたいなものが感じられる。

『種付けライセンス』mogg

 少子化対策として国に認められたライセンス(タイトル)。全能感ある主人公が好き勝手にやる、という意味ではmogg先生の『裸の学校』をまず連想しました。透視能力で好きにやる話。かなり記憶に残ってるので最近だと思ったんですが、どうやらもう1年も前らしい。一方的な感じは似てるんですが、違うのはその根拠。『裸の学校』はあくまでも個人の超能力に由来するんだけど、本作は国。虎の威を借る狐みたいなクズ感がより強調されてる。そんなクズに好き勝手やられちゃうヒロインたち……という味わい。
 見開きの扉がめちゃくちゃかっこいいし、日常パートを完全に排した語り口も印象的。とにかくすぐエロが始まる。主人公が誰かに自慢話をするかのように語ってる。その語りがナレーションとなって進行するので、そういう意味でも話が早い。サクサク進むし、エロに向けて無駄がない。4人もヒロインがいるのに20ページですからね。それでも薄味にならなかったのは見事だと思います。単に享楽的にエロ詰め込んだだけではない工夫を感じる。
 んで、その特徴的なナレーションが実は……というオチがつくので爆笑しました。ザマァ的な話でもあるんだけど、虎の威を借る主人公だからこそ、彼には特別なものが何もない、という前提を踏まえたオチで面白かったです。それこそ『裸の学校』では不可能なオチ。その日を楽しみにしすぎたからこその先走りというか、危険日を視認するメガネを持ってるもんだから電車で好みの子を選んでたらウッカリ、みたいな話なんでしょうね。エロのためだけの特殊設定が魅力の作品だと思ったら、意外とエロではない物語要素でもしっかり機能していた、というのが気持ちいい読後感。

『バブリミナル』柚十扇

 やったー、ヒロインがメガネだー、と思ったらそれを忘れるほど胸がでかいので驚きました。1ページ目の衝撃よ。満を持してのおっぱいオープンの場面、巨大な胸を支える下着の描写が丁寧だったのも良かったです。あれだけのものを支えてる功労者やで……。
 話としては優しい後輩くんでサブリミナル効果を試す。すごく珍しい設定だと思うんですが、要するにこれ催眠の一種ですよね。催眠ものの亜種と言えると思います。サブリミナル効果はリアルに存在するので話の説得力も高い。さらには、サブリミナルの映像として使われるのがヒロインのちょっとえっちな自撮り。ここで自撮りという要素が加わるのが良かった。催眠ってかなり一方的な内容になりがちだし、そこが魅力的だと思うんだけど、サブリミナルのための自撮りがあると、かける側である彼女もある程度体を張ってるし、彼女の恋心とか自意識みたいなのが現れてて面白い。単に言葉でやってほしいことを指定するのではなく、それに向けた自撮りをする、というのが少し恥ずかしくて、彼女の心もむき出しにしてる感じがある。そこが可愛いし、エロいし、実際のエロパートに入った際の理想がかなった感も良い。
 そして、サブリミナルですので、万が一サブリミナル画像が被験者に見抜かれた場合、今度は逆に彼女の狙いが筒抜けになってしまう。そんなオチがエピローグでつく。これは催眠もので、かかったフリをしてた話とかでもあり得るんですが、やはり本作は自撮りという彼女にとって恥ずかしい要素があるのが良いですよね。逆転の度合いがより大きい。ただ、それに気づいて付き合ってくれる後輩くんの優しさも沁みるw

『プライベート・ビーッチ♡』雲呑めお

 タイトルの通り、プライベートビーチにビッチ。ただし2人。そこに迷い込んできた少年と……という話。少年ですよ。ビッチ2人という享楽さからのショタ要素(そこまで若いかは知らないけど)。これは良さしかないでしょう。良さの塊。この時点で勝利しか見えない……。ビッチ2人と少年の3Pなので、ヒロイン2人が優勢なのは明らかなんだけど、プライベートビーチに入ってくる落ち度は少年の方にあるので、まぁ仕方ないですよね……という心の言い訳。可哀想すぎないバランスで素晴らしかったと思います。
 ビッチ2人なんだけど、しっかりキャラクターは描き分けられてて、積極性の度合いに少し違いがある。北風と太陽じゃないけど、グイグイ攻められる良さもあるし、ビッチなりに少し優しくしてくれる良さもバッチリ。 “今度は自分で動いてみて♡” の場面とか最高ですよね。バックで挿入することになるんですが、少年が背伸びしてるのがまた良い。単に身長差というわけではなく、ヒロインは底の暑いサンダルを履いてるから、つまり彼女のギャル性、ビッチ性が2人の戦闘力の差を如実に表してるようにも見える。享楽的で大味そうな設定なんだけど、3人のキャラクターが丁寧に描かれてて、3Pの魅力、それぞれの関係性の良さが遺憾なく発揮されてたと思います。人物配置が大好物すぎる……。

『波に惑って』ちょりもっき

 海の家でのバイトの先輩と。クールなんだけど、それが同時にちょっと何考えてるか分かりづらい感じもあって、それ故にすれ違い。まぁ、全部ナイーブすぎる主人公が悪いと言えそうな話なんですが、理想の彼女すぎて自信なくしちゃう心理は正直めっちゃ分かる。
 エロパートがそんな主人公の自信を再建築するような内容になってるから熱い。まずはシャワールームでこっそりと致すんですが、ここで別のバイトくんたちの声が聞こえるんですよね。ヒロインに対する「エロいよなー」みたいな話。この別のバイトたちがヒロインにアプローチしまくることが主人公の自信喪失の一要因でもあるんですが、そいつらの声を聞きながら、彼らの妄想をシャワールームの中で実行する。この圧倒的優越感。もちろんバレたらヤバいので背徳感もあるんだけど、自信を取り戻していく感情のドラマもあるのでエロの迫力がより増す。
 からの移動して、岩場。ヒロインにリードされるだけでなく、主人公が主体的に動いて仕切り直し、というのがドラマ的に重要だったと思います。自信を取り戻して彼女に対して向き合うようになる。クールで表情が読み取りづらかったヒロインだけど、この肩をガシッと掴んでキスする場面で彼女の表情が少し崩れる。ここがめちゃくちゃ可愛かったです。主人公が動くことによって彼女も新たな一面を見せるようになる。
 挿入中に、実はヒロインの方も自信を失っていたと分かるのも良い。そもそも問題のすれ違いは “俺と静香さんじゃ釣り合わないかも…” なので、彼女からしたら自分が釣り合わないと思ってたわけですね。まぁ、そうだとしたら主人公がとんでもないクソ野郎なんですがw とにかく、悩んでたのはお互い様だった、というのが良い。2人に上下がなくなって対等になる。そのまま感情のぶつけ合いとしてセックスが行われる感じもドラマチックでありつつエロい。セックスによって2人の関係が進展するって部分が丁寧なんですよね。

『兎猫!』鬱ノ宮うかつ

 うにゃん、と読む。可愛い。タイトルロゴも可愛いし、ヒロイン2人にそれぞれの動物要素が取り入れられてるのもすごい。目は印象的ですぐ気づいたけど、歯までとは気づかなかった……(komifloコメ欄で知る)。漫画として違和感ないデフォルメだけど、よく見るとはっきりとそう描かれてる。すごいバランスだ。
 東京から田舎に転校した主人公が田舎のギャルに食われる。扉のページ、2人が並んで立ってるだけで妙に不気味な印象……というか映画『シャイニング』の双子ですよね。別に変なことしてるわけじゃないけど、やべぇ予感がする見事なオープニングだったと思います。
 ラブホに連れてかれ、ヒロインたちが上京するまでの景気付けというか、経験値稼ぎとして利用される。2人のやりとりはめちゃくちゃ可愛いし、天真爛漫な印象の場面も多いんだけど、主人公に対しては明確に「狩る者」としての顔を見せるのが最高でした。めっちゃ明るく楽しい場面もあるんだけど、同時に不気味で暗い。
 主人公の心が完全にポッキリ折られる場面として、東京のどこ出身が明かしバカにされる。唯一畑のある区という切り口が面白すぎる、と同時にハラハラしてしまった。北区は大丈夫なのだろうかw あの表現だと練馬なんじゃない? とか思いつつ、たぶん北区にも探せば畑あると思う。都会イキリしないから許して……。
 怖い話ではあるんだけど、終始ヒロインが楽しそうなので、読み方によってはハッピーな印象が前面に来てもおかしくない。とにかくヒロイン2人の仲良さそうな感じがめちゃくちゃ魅力的なんですよね。ラストの場面とか2人のキャラクター、2人の関係性の魅力が炸裂してて最高でした。

『Take care of myself』Hamao

 双子。しかもまだかなり若いので、肉体的にもそこまで分かれてない。ロリヒロインみたいな魅力はもちろんあるんですが、兄との区別のつきづらさみたいな部分も重要だったんじゃないかと思います。双子の分身という側面がより強調されてて、それ故に単なる兄妹ものよりもインモラルな印象。幼いので可愛く微笑ましい印象もあるんだけど、だからこその「越えちゃいけない一線」というのも強く感じる。
 マンネリの打破に電マを使う話なんだけど、プレイの途中で脇を電マで刺激する場面とか子供らしくて良かったですよね。大人のじゃれ合いでは出ない無邪気さ。
 話としてはマンネリ打破なので享楽的なんですが、最後の最後、終わりを告げる母からの着信を見て “あと少しだけこのまま…” と2人で言い合って終わるのが妙に切ないというか、2人ともこの関係がいつまでも続くとは思ってない感がする。ここで急に冷静になるんだけど、だからこそ今この瞬間の重要性も深く感じる、みたいな余韻を残すラストが絶品でした。

『共闘カウンター』小中えみ

 会社の同僚とパパ活。いや、パパ活とは違うのかも。会社では日陰者の2人がその復讐として夜の街で欲望を解放させるのも良いんだけど、何と言ってもラストにド級の百合展開があるというか、真の友情が確立されてエンドとなるのが最高。エロを通じて彼女と分かり合えたと思ったらギョッとするような拒絶をされ、そこからさらに一歩踏み込んでハッピーエンド。この決して長くはないページ数で、エロが別に描きながらあのラストの感動はすごい。ちゃんと一発やったあとのファミレスでの食事という布石があるのがすげぇよ。序盤のファミレスの場面、あれ単独でも2人のキャラクターを端的に示す場面として完璧だったじゃないですか。机の上のミックスグリルとコーヒーの対比で。そこでの経験を踏まえてラスト、ついに2人は真の意味で結ばれる、みたいな。食欲旺盛なのが秘めたる欲望の暗示にもなってるし、単にぽっちゃり体型というのがエロ漫画におけるヒロインの属性だし、それが物語的に完璧な着地をするし……と圧巻。
 てか、ぽっちゃり体型が女性コミュニティの中で「男に媚びてんじゃねぇよ」という扱いを受けるのも新鮮でした。そこへの復讐という動機としても説得力あるし、そんな砂漠みたいな状況の中、たった1人の理解者と巡り会えた、というラストが最高なんだよなぁ……。まさか快楽天(男性向けエロ)で、ここまでの女性同士の友情ドラマを見れるとは。ちゃんと男性にとって都合の良いエロシーンががっつり盛り込まれてエロ漫画としての強度もバッチリなのがすごいですね。

『ぬかるみ』シャモナベ

 やっば、冒頭のヒロインの格好がめたくそかっこよくて惚れた。元高校教師の主人公が元生徒と出会うもあまりの変貌ぶりに驚く話なんだけど、冒頭の着衣状態のままベンチの上で主人公を誘う姿が最高すぎる。余裕に溢れてて、ピアスだらけで、お腹を見せたらそこにもピアス。そこの表情の細やかな変化とかが味わい深い。エロパートでも、どこまで演技というか、どこまで余裕を保ってるのか勘ぐってしまうような魅力が詰まってる。
 表情の件もそうなんだけど、本作で表面上語られる物語は、元教え子と会ってそのまま一晩過ごすってだけなんだけど、エロの最中にちょくちょく差し込まれる教師時代のフラッシュバックが物語にものすごい奥行きを生んでて最高。単に快活だったあの子がこんなに……みたいなギャップを煽るだけかと思ったら、ラストの果てたあとにヒロインを見下ろした際のフラッシュバック。黒髪が胸までかかる女性生徒とセックスした際に同じ体勢になったらしいが……という部分が直接は何も説明されないまま終わる。ただ、よくよく思い返してみると、それらしき情報は語られていて、おそらく教師時代に女子生徒に誘われて……と想像できるバランス。享楽的なエロ作品だけど、その背景で語られる物語要素の濃さがすごい。あそこで急に別の女性生徒出してくるとか素晴らしすぎるでしょ。そこで「にしむー」呼びだったのが「先生」に変わるのとかも最高。闇を感じさせながらも全体的に享楽的かつ何ならちょっと甘い印象すらところどころあったんじゃないですかね。
 ヒロインの表面的な属性としてのピアス。鎖骨にピアスあるの初めて見たかも。顔と同じくらい視界に入りやすい位置なので目立ちますね。んで、そんなピアスが最後の最後でサプライズ展開として出てくる。良い人ぶってる主人公がヒロインと同じところまで堕ちることになる、みたいな演出としても見れるんだけど、序盤の会話でピアスあけることに対してまんざらでもないようなリアクションをしてたので、そこまで「どうしてくれるんだよ」的な感じでもないのが絶妙だったとも思います。

『使う?』まんの

 大学の腐れ縁的な友人と。パンツ丸出しで寝っ転がってゲームやってるところを注意したら、タイトルの “気になるんでしょ? 使う?” 。そのままずるずるとエロが盛り上がっていくんですが、その際のヒロインの表情ですよね。最初は完全に無関心だったのが、徐々に表情が崩れ、そのままバックで一発やり、ヒロインがこちらを向き、ゲームという建前が崩壊する瞬間の顔が素晴らしい。この手の友人から体の関係になる話って一線を越える瞬間までの緊張感からの爆発みたいなのが魅力的ですけど、本作の場合は既に一発やっちゃってるのが面白いですね。普通だったらあの “全然ゲームできないんだけど…” でいよいよ2人が結ばれる展開になると思うんだけど、2回戦突入の際にこれが描かれる。友人の関係が壊れるのではなく、ゲームという建前が壊れる瞬間になってて、そこから2人が向き合って正常位になることで盛り上がりもバッチリ。自堕落な2人がだらだらとやっちゃう話から、2人が気持ちを通わせながらのセックスへと移る。そこがエロい。
 からのエピローグ。土下座も笑ったんですが、それに対するヒロインの “私以外にはしない方が良いわよ” という気の利いた返事も秀逸でした。最初からそういうことだったんかい、と明らかになるんだけど、そこでヒロインがめちゃくちゃ乙女の表情しててマジ可愛かったです。主人公には背を向けてるが……というカメラがヒロインの正面に回り込み、彼女の顔と主人公の呆気にとられたリアクションで終わる、というが絶品。

『ゆきどけの華』いちまつ

 妹のクズ彼氏と。弱みを握られるのではなく、むしろ相手の弱みを握る(浮気目撃)んだけど、強引に迫られてそのまま。ヒロインに落ち度はない、という救いのなさ。浮気を目撃したはずがいつの間にか浮気の共犯になってしまっていた、という取り返しのつかなさが面白い。1回やって終わりなのではなく、そこから罪の意識を抱き、妹に釘を差すこともできなくなった状態でさらに浮気を重ねていく。日常の隙間でセックスを繰り返していくモンタージュの場面最高でしたね。黒ビキニのくだりとか意地悪すぎるので笑いました。
 からの徐々に快楽堕ちへと至るグラデーションも良い。最初のときにあったキスが最後の最後で再び描かれて、その2つの対比によって「堕ちてしまったか……」という実感に至る。キスは好きだし、ちんぽも好きだけど……という譲れない一線というのが最後に描かれて終わるのも良かったです。ほとんど意味をなしてない体裁みたいな一言なんだけど、そこが味わい深い。タイトルの「ゆきどけ」感でもあったと思います。

『彼女がえっちにハマったら』森シンリスク

 ヒロインの元気いっぱいぶりがとにかく可愛い。感情と言動との間に違い1ミリもなさそうな直情ぶりが最高。冒頭の場面とかエロ漫画なのか分からなくなるような健全ラブコメ感があったと思う。そっから徐々にエロへと展開していくのでぶちあがる。ヒロインが自らリボンを外して誘惑してくるとことか特に良いですよね。あそこで一気に彼女が性の対象という風に見えてしまうというか。このスイッチ、一線が最高。
 そっから本格的にエロパートになっていくんだけど、ヒロインがしおらしくなったりはせず、マジで終始元気いっぱい。快活すぎるノリで主人公のことを責め立ててくるから熱い。ヒロインのキャラクター的な魅力がそのままエロへと変換される良さ。
 主人公がひたすら受けのキャラで、その責め立てられっぷりもヒロインの魅力を支えてたと思います。元々恋人なので友人だったのがついに一線を越えるドラマではなく、むしろ「あーまた今日も……」という諦念があって、それがある種のチョロさみたいな感じになってて良かったと思います。彼側のドラマが前面に出過ぎないというか、エモくなりすぎない。恋人だからいつものことなんだけど……という流されっぷりが良い。2人のパワーバランスとしてとても魅力的。

『わるいイイ夢』デルタナイン

 高校の友人に自慢するために童貞卒業しようと店に行くが、入る勇気がない。そんなところを嬢に声をかけられる。主人公の卑屈童貞っぷりが可愛らしく、ただ思春期こじらせすぎて嬢に対して失礼すぎる態度をとっちゃう感じとか絶妙だったと思います。彼の見栄の張り方は普通に最低なんだけど、だからこそヒロインにお仕置きされても仕方ない、みたいな納得。もしくは可哀想になりすぎないバランスって感じですかね。高校生なのにお世話になる嬢にケチつけるような言いぐさするのは本当に良くないというか、若くして説教親父と同じで悲しいんですが、男性社会の被害者みたいな感じもありますかね。
 んで、本作、とにかくヒロインが強い。圧倒的な強者の前で見栄を張るしかできない少年が好き勝手にされていく。少年の被虐っぷりが可愛くもあり、ヒロインの強者ぶりに惚れ惚れもする。最高ですね。優勝。
 最初の方のヒロインは主人公の言い分に対して意地悪に反論するような感じなんだけど、徐々に反撃というよりは楽しくなってきちゃってる感じが前面に出ててそれまた最高。ただ、潮噴かせた直後に、一番の本題というか、高校生である件を見抜く発言を持ってくる感じが意地悪すぎて最高ですね。あそこで心をポッキリ折りにいくw 少年側からしたら秘密を持ってることで最後の一線、どんなにひどいことをされても自分という殻はかろうじて守れるじゃないですか。そこを一気に崩される。そっからの崩落ぶりが最高だし、ヒロインが一度優しく抱きしめてくる緩急とかもたまらんものがある。このまま優しくなるのかな……ってなるはずがない。念願の本番なんだけど、あまりに捕食ぶりにホラー的な印象になってしまう。 “ミアさんッ 普通がいいッ” とかマジ最高でぶっ刺さりました。おねショタは甘めが好きとか自分では思ってたんですが、ハードなのも最高……。普通に店行ってアレだったらもう少し印象が違ったと思うんだけど、店を経由せずにヒロインの自宅でのプレイなのでヤバさがハンパないんですよね。店だったらどんなに酷いことになっても一定の余裕は持てたと思いますが。

『不成の殻』大箕すず

 ならずのから。不良くんと真面目委員長。物語が始まった時点で既に日常的に関係を持ってる風なんだけど、行為を始める際に不良くんが写真を見せて脅してくる。2人の過去について何となく察しがつく。ものすごいスピード感。エロくないの最初の1ページ目だけですからね。ものすごい充実度。それでいてドラマ性、ヒロインの心理描写とかも丁寧で素晴らしい。何なら不良くんの方の描写もしっかりしてて、手マンしてから “1人で気持ち良くなりやがって” と吐き捨てる場面とか彼のフラストレーションが端的に現れてて好きです。よく考えると手マンしといてそんなこと言うのは理不尽の極みなんですが、好き勝手やってるのに胸の内のイライラは消えない、みたいな。
 心身ともに責め続けるんですが、途中で2人の関係の始まりについて明らかになる。何かしら脅されてるのは分かってたけど、ヒロインが職員室でカンニングしていたところを目撃したらしい。そのまま脅してエロ写真を撮って、さらに脅して……。本作の特徴的なところは真面目ヒロインが快楽堕ちするまでの話ではなく、すっかり快楽堕ちしたあとの話な点。説明的な回想は最小限で、2人にとっての日常を描いてるようなもんなんですが、それがものすごくハードで、そしてヒロインがさらに深く堕ちてしまうようなイベントも完備。バレそうになるハラハラがクセになってしまうんだけど、そもそもこの2人の関係はバレることから始まってるんですよね。必然性みたいなものが感じられて面白かったです。ヒロインが噂されてる描写が序盤から繰り返されるんですが、それがクライマックス前のドア越しのサスペンスへと繋がるから効果的。それまでは不良くんから言葉責めするような感じだったんだけおど、それ以降はヒロインの方が多く喋るようになるのがヒロインの陥落ぶりとして象徴的だったと思います。

『Ride the rider』アシオミマサト

 夏ということでホラー風味ということでいいのかな。首なしライダーの都市伝説の真相を確かめようとするとしたら高校時代の先輩と出会う。都市伝説に関しては何でもなかったというオチがつくんだけど、冒頭の場面での主人公、割とマジで死にかけてたんですよね。そういう意味では冒頭が一番怖い。ただ、ヒロインと出会ったことで救われたので、ある意味都市伝説とは真逆の結果でしたね。
 高校時代の先輩との再会。ライダースーツでムチムチ体型が強調され、さらにニケツでヒロインの体にしがみついて……というのが本作の前戯として機能してるからすごい。まぁ、たしかに命を預けてる感もあるのでそういう意味ではエロとの相性が良いシチュエーションなのかもしれない。んで、ガレージに入って本格的にプレイ開始なんですが、まずいきなりヒロインのお尻を堪能する展開になったのが良い。それまで我慢してた欲望がついに発散される気持ちよさ。てか、前半にヒロインに抱きつかれる場面でおっぱいを感じただけで、本格的なエロパートではおっぱい要素ゼロのままフィニッシュしたんですよね。珍しいというか、贅沢な作品だったと思います。たしかにね、バイクに乗って強調されるのは胸よりお尻ですからね。本作は尻で勝負、という判断も納得です。

『青春リビドー山』位置原光Z

 第26回「先輩、海」。サブタイのデザインがエモすぎるので笑った。前にもあったけど、サブタイが妙にかっこいいからずるい。
 海に行く約束だったが入院でキャンセル。彼女の水着が見れなくて残念……ではなく逆。女だって彼氏の水着姿見たいんだよ、という発想がめちゃくちゃ新鮮で良かったです。特にエロ漫画雑誌だとより見落としてた発想。よく考えたら男はなぜか乳首丸出しでそこらへん歩いてるわけですので、とんだストリップですね。なんで男だけパンイチなんだろう……とか常識がぐらつくw
 漫才的なやりとりが楽しいんだけど、話としては仲良しカップルのイチャイチャだし、すれ違いとかは一切なく互いに好意を隠さない感じなので普通に可愛いですよね。好意が暴走気味のヒロインも可愛いし、正論なんだけど振り回される彼氏も良い。てか、あんだけ海パンへの欲情を吐露されたあとだと、いざ水着になるときめちゃくちゃ恥ずかしくなってしまいそうだw
forms.gle
 終わりです。もう14日か……。これから次の快楽天までにゼロスの感想をだね。毎月のように自転車操業です。いや、のようにじゃねぇか。普通に毎月。
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