北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2021年1月号の感想

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 雑誌は既に年が明けてる……だと……?(毎年新鮮に驚く)
kitaku2kitaku.hatenablog.com

『ギャルから学ぶイイ方法』藤丸

 ギャル。ギャルなんだけど、ギャル作品から連想する話を逆手に取ったような作りになってて面白い。ギャルが頭良くて、見た目だけガリ勉という2人の設定もそうだし、ギャルがオッサンと遊んでるところを目撃しそれをネタに脅されるのかと思ったら、勉強を教えることになる。
 上辺だけの意外性を狙ったような設定にも思うんですが、特にヒロインのキャラクター造形が面白い。とにかく打算なんですよね。勉強ができれば素行の問題も多少は見逃してもらえる、という打算。 “制服の価値が” “今しかないからだよ” という印象的なセリフもいかにも打算的。頭が良いからこそのギャル、というのが少なくとも彼女の中では筋が通ってる。そんな彼女の打算的な思考を通じて見た目ガリ勉の彼と仲良くなっていく話。いわゆるエロという人参ぶら下げて勉強させるんですが、この発想も身も蓋もない感じあって彼女らしいです。それに対する生真面目な彼のリアクションがまた良くて、2人のコントラストが見ててとても楽しい。トイレでフェラするってときに、便座に座ってたのを譲り、それだけでなくハンカチまで敷いてあげるのにはちょっと不意打ち食らっちゃいました。ギャルと真面目キャラとかまぁベタっちゃベタだし、想像がつく……と思ってたところへの不意打ち。たしかに、トイレの個室でのあれこれって2人の立ち位置、どっちが座るかで意味が生じてしまいますね。これはやられた。
 そんなフェラ。口内射精のコマですよ。あれマジすごすぎませんでした? この手の射精の瞬間のエキセントリックな、ギミック感ある見せ方はある程度見慣れたと思ってたけど、あの描写は初めて見ました。圧巻。ヒロインの喉側からのカメラで手前に伸びるチンコの先から射精。口の中なので空きの空間が広いじゃないですか。それ故の精子がドバドバ流れて垂れて溜まっていく感じとかすごい迫力ありました。射精の描写でここまで興奮するとはちょっと思ってませんでした。エロ的な興奮もあるけど、ちょっとそれとは別の興奮もあったかも。
 からの本番。打算と真面目の2人がついに交わるんですが、当然意見は合わない。そこでヒロインが行き着いた結論ってのが見事でした。まぁ、2人が結ばれるハッピーエンドでそこだけ切り取ったら普通なんですが、作品全体を通じてあのオチに向かったフリが丁寧に小出しにされてるんですよね。そもそも2人が初めて勉強をした際の会話で親の話が出てきてる。彼の最終的な目標は「親のため」ですので、そこをクリアするのが究極的なハッピーエンド。それを彼女の打算思考と掛け合わせたのが見事でした。さらに言うと、2人がようやく本番を迎えるときに、家に両親がいないという確認をしていて、ここでも親の話を思い出させてくれるようになってるのも丁寧。親がいない家でのセックスってエロ漫画的には定番のシチュエーションですが、そこから親が帰ってきた先の話に繋げる発想は完全に盲点でした。

『肉食ガールと子犬ボーイ』雛原えみ

 こちらもヒロインが打算的というか、金のために男を取っ替え引っ替えして(金銭的に)理想の男を追い求めてる。そこに立ち向かう竿が真面目ではなく、天然系。愚直に好意をぶつけてくるまさに子犬という感じで、その真っ直ぐすぎる好意に陥落するヒロインの様子が可愛いんですが、実は一番計算高いのはむしろ彼の方、とオチがつくのが面白い。まぁ、言われてみればたしかに、漫画だからと飲み込んでたけど、彼の子犬男子っぷりはちょっとあざといというか、狙いすぎな感じはありましたよね。まさに彼が自覚して狙ってたという明らかになるオチには意外性も感じつつ、同時に納得も強かったです。そういう意味でも気持ちいい。
 ヒロインが手を出す口実ってのが彼のチンコが理想的だからなんですが、そのことに対する “おばさんに感謝しな” は思わず爆笑してしまいました。単純にエロいことしてるときに親の話してほしくないのに、さらに言うと自慢のチンコが母親由来と結びつけられるのマジ困るw あそこで萎えなかったのは偉い。
 ヒロイン視点で進行する作品なんですが、最後の最後に彼の真意が明らかになる。思わず読み返しちゃいたくなりますよね。ああすれば彼女はこう動くと完全に把握していたのか、と思うと彼の賢さに驚くし、ヒロインの単純さが可愛くも思えてくる。いや、彼女が単純なのは最初の印象から変わらないんですが、まさか操られてたとはなぁ。セックス終盤に彼が自分のことをプレゼンしてたけど、あそこはかなり本音が剥き出しになってたんでしょうね。たぶん。

『卒業reward』ごさいじ

 引きこもりがギャルになった幼馴染のご褒美につられて学校に行くようになる。ログインボーナスという表現がうますぎますね。唸った。
 エロ的なご褒美によって男が頑張る話なので、話の作りとしては『ギャルから学ぶイイ方法』と似てるんですが、本作の特徴は男視点の物語である点。それもかなり内省的。冒頭の、さっきヒロインが座っていた椅子に顔をうずめながらシコシコする場面とかマジ最高でした。主人公の情けなさ、だけどプライドよりもエロに屈してしまう感じが最高。ギャグでもあるけど、あの場面で彼というキャラクターが決定づけられた気がします。絶対あの椅子で彼自身が屁こいたこともあると思うんですよ。それでも顔を埋めずにはいられない、という情念が良い。
 とにかく男の心理に寄り添った物語で、その機微、変化こそが見所だったと思います。最後に彼が恋心に気づいて終わる、という「続くんかい!!」というオチだったんですが、男視点の物語だからこその味わいでしたね。やっぱ『ギャルから学ぶイイ方法』と比較して読んじゃうというか、どっちも良いんだよなぁ。それぞれの良さが光ってる。本作のラストとかものすごくキレイな場面ではあるんだけど、同時に自己嫌悪も混じってる感じがすごいリアルで、それだけで本作は勝ちだったと思います。
 『ギャルから学ぶイイ方法』との比較だと、本作でも最初のフェラがトイレなんですが、本作だと最初からヒロインが便座に座ってましたね。本作の2人は上下関係が確実にあるので、あの立ち位置もまた象徴的だったと思います。そういう視点が持てたのも藤丸先生のおかげだw
 「最初から前編って言ってよぉぉ!!」とニコニコしながら怒りたくなる感じも楽しかったです。再来月か……。2月末ってことで卒業シーズンにあわせてきたのかな。うまいこと出来てやがるw

『セーラーマント』mogg

 女性ヒーローもの。セーラー服とマントの融合というデザインは普通に魅力的というか「ありそう」でした。というか、序盤、エロの予感すらしないパートが結構なページ数あって逆の意味でドキドキしましたw こういうのは作品のジャンルがガラッと一気に転換する感じが楽しいので、この非エロで1話行けそうな感じは大事だったと思います。エロ感のなさという意味ではモブの子供たちが存在として大きかったのかな。あの子たちが普通に可愛いんですが、その可愛さがエロ漫画とは無縁の可愛さなので「ここからエロになるの!?」という困惑があるw
 ということで、子供と分離して、敵に拘束されてからがエロパート。面白かったのは特殊な拘束具。特殊兵器みたいなノリで非現実なアイテムなんですが、だからこそのあり得ないポーズでの拘束、及びエロ的な意味での責めがありました。拘束だと体勢に縛りが生じるのでセックスを絵として見せる際には難点になりかねないと思うんですが、本作は特殊な設定によってそれを回避。エロに直接関わらないキャラにも名前が付いてたり、しっかりキャラが立ってたりして、そこも魅力でしたね。komifloのコメ欄だと2号が人気になってるので笑いました。気持ちは分かるw

『かたち』雲呑めお

 体格差カップルが、今まで入らなかったのがついに入る話。それを「かたち」という3文字に集約したのがオシャレでしたね。漫画の始まりに自販機で売ってるアイスが出てくるんですが、あれも「かたち」を示唆するアイテムだったと思います。大きすぎるのが時間をかけてちょうどいい形に変化する、というのが2人の今後を表してるような気がします(考えすぎかもしれないw)。
 初めてセックスできた日という意味では特別な1日だけど、それを除けば別に記念日というわけでもないし、付き合いたてでもない。このカップルが日常的にイチャイチャしてる感ってのが本作の魅力のかなり根っこの部分だったと思います。説明的な描写やセリフはほとんどなく、2人が平常運転としてイチャイチャしてるだけなので「初めて挿入できた」という部分の扱いは意外と小さいんですよ。過去の失敗を回想シーンで差し込むとかも出来たと思うんですが、やはり淡々と進行していく感じが本作の味わいなんだと思います。心の声もないです(元々多用しないタイプの作家かもしれませんが)。2人の初めてを覗き見るような感覚でとても面白かったです。
 タイトルになってるので嫌でも挿入中の「かたち」を想像してしまう、というのもエロかったです。入るかどうかギリギリのサイズなので、挿入できたとしても大きさがぴったりフィットするのだろう、とか想像を喚起させられますよね。

『モトカノやんけ!』オクモト悠太

 取引先に元カノ。タイトルにもなってるけど2人とも関西弁全開で、間違いなくそこも本作の魅力になってますね。ヒロインの明るく、所々で親父臭くなる感じとかがめちゃくちゃ可愛いんですが、そこにさらなる加速をかけてるのが関西弁だったと思います。もちろん元彼を相手にしてるからってのもあるだろうけど、あの距離感で、主張強めというかクドめに絡んでくる感じ良いなぁ。酒が入る前はそれでも大人として節度を保ってたんだけど、それが酒で崩壊するギャップもとても良い。とにかくキャラクターの勝利でした。グイグイ来る割にはいざエロになると少し照れながら、それでも冗談という体裁に頼ってくる感じとか最高。
 元カノなので話によってはもうちょっと後ろ暗い感じなってもおかしくないんですが、本作はとにかく明るく、ハッピーな雰囲気。順調に恋人生活送ってたのではなく、一度別れることで今回の出会いが特別なものになる。
 いざ挿入、とあてがってから2ページほど焦らすんですが、ここがマジで最高でした。一番好き。ヒロインの可愛さ、関係性の魅力もあるし、緊張感が高まりつつ、それをごまかすために冗談言ったりする感じがたまんないんだよなぁ。いきなりバックの体勢なのもあいまって特別な魅力が生まれてたと思います。やっぱ挿入直前の緊張とワクワクが入り交じった感じ、エロいですね。

『裸空間の世界』かるま龍狼

 新刊発売記念だと思われる『裸空間』シリーズ最新作。weekly快楽天での『あわせわざ』がシリーズの集大成として圧巻だったんですが、今回はシンプルに設定を使っての割と通常路線のエロ漫画。もはや通常が何なのか分かんなくなってくるんですが、本作は設定があまり強調されすぎないバランスなのもあり、普通におねショタとして楽しい作品だったとようにも思います。緊急避難小屋という設定の掘り下げも面白かったんですが、それが当たり前に存在する世界の住人だからこその出会いというドキドキが魅力的ですよね。おそらくだけど、突然の大雨でバス停(田舎)に避難したら……みたいな話の「裸空間」版なのではないかなと思います。もちろん細かい部分はバス停ではあり得ないんですが。

『密やかな庭』モモヤマハ

 オープニング、主人公が教会でヒロインと待ち合わせ、結婚か?? と思ったらシスター。このタイトルが出るまでの流れが見事でしたね。結婚は結婚でも神様との結婚であった、というツイストがうまい。
 人妻ではなく神様の妻という背徳感。ありそうでなかったというか、個人的に初めて見たかもしれない。すごく面白いアイディアでした。濡れた股越しに像を映すショットがあって、私は信心深くないんですがそれでも「いいのこれ!?」とちょっとビビってしまいましたw 背徳感としてはものすごいレベルに達してる気がします。やってることは寝取りですからね。
 スカートを引っ張って庭へと連れ出す場面が美しくもあり、暴力性というか主人公のクズ感があって名場面だったと思うんですが、彼女を教会の外へ出すというのが物語的にも重要ですよね。エロ漫画的な見せ場でもありつつ、2人の物語における儀式のようでもあって素晴らしかったです。
 かなり純度の高いハッピーエンドだったんですが、途中の後ろ暗さとか、キャラクターの影のある要素とかがスパイスになってて良い。庭に出てからは特に草木の美しさが印象的なんですが、あえてというかキャラクターなのか “下品なシスターだ” みたいなセリフが出てくるバランスが独特で良かったです。主人公の引け目もそうだし、ヒロインの少し危なげな雰囲気とかが本作にあらすじだけでは把握しきれない魅力をもたらしてると思います。

『今日は特別ナマ配信♡』こめざわ

 配信を題材にしたエロ漫画、最近特に多いんですが、本作はバーチャルのチューバーで、その描き込みが最高でした。私はこの界隈全然知らないし、投げ銭文化に馴染みないので「モノ買う以外には金使いたくないなぁ」という感じだったんですが、本作の投げ銭シーンが丁寧で良いんですよ。知らない世界だったけど、たしかにこれはハマるかもしれない……という説得力。確実にお礼のリアクションをもらえるので会話に介入できる、というのはデカいのでしょうね。それと、エロとは直接関係しないけど投げ銭した直後にコメ欄見て他のオタクたちのリアクションを確認してたりして、読んでてゾクゾクするようなリアリティだったと思います。たとえ賛否だったとしても彼らにマウント取ってるような悦楽があるのでしょうね。すごい世界だわ……。
 んで、エロパートとしては、配信を終えるもマイクを切り忘れてしまい、そこにテンプレクズ彼氏登場。一種の寝取られ的な構図だと思うんですが、映像はなく音声のみってのが味噌。そして、主人公はバーチャルとしての姿しか知らないので、主人公の頭の中に広がるのはバーチャルの姿。痴態を想像してしまう、という罪悪感の混じったエロがただの寝取られとは違った味わいになってたと思います。最初の方で切ろうとするけどフェラが始まりマウスを握る手が止まってしまう場面とかリアルだよなぁ。迫力がすごい。けどつらいw

『淑女のお嗜み』SAVAN

 ポップ路線のSAVAN作品ホント好き……。お嬢様キャラとも親和性あるというか、破壊力倍増だと思います。衣装も良いし、それを細かい段階を経て脱いでいく行程も素晴らしいです。最終的にブラはずらすだけで外さない、というのも最高でした。
 エロパートに入ったらお嬢様が陥落せずにお嬢様キャラを保ったままなのも良い。もちろん完堕ちみたいな方向性の魅力があるのも分かりますが、本作のこのキャラクターには今回のバランスが最適解だったと思います。序盤のポップな雰囲気における「この子がエロ漫画のヒロインなのか……」という部分が大好きなんですが、エロパートがちゃんとそこに地続きなんですよね。単にエロ描写としての魅力が強いのももちろんなんですが、そこにキャラクターの魅力が乗っかってくるから本当に強い。

『承認欲求のトリコ』Beなんとか

 一部写植のズレが激しい、と思ったらそれ以前に再掲らしい。気づかなかった……。
 エロ版インスタでストイックにグルメアカとして頑張るヒロインの話。人気が出ないのでドーピングとしてエロに手を出してしまい、という流れが良いですよね。承認欲求の魔力に抗えないのには共感してしまうし、結果的にヒロインが能動的にエロに踏み切り、それに巻き込まれ、手伝う形でエロに参加するという設定も非常においしい。無理強いはしてないから、という心の言い訳が担保されますねw 彼女が望んでることだから、と男側に悪魔の囁きが発生してるようにも感じます。このエロに転がり落ちてしまう心理の機微はエロ漫画の醍醐味だと思います。

『STEP UP』ももこ

 コーポシリーズが終わってしまった。ショックだ……と思ったら本作ののヒロインは前作『焦熱』ヒロインの姉。コーポは直接出てこなかったけど、世界はまだ繋がってる。やったぜ。まぁ、さすがに部屋数にも限界あるから永遠に続けられるシリーズではないですが、終わるのは今日ではない。良かったぜ。
 コーポを抜け出したことで学生カップルの初々しさ、甘酸っぱさ極振りの内容。たしかにこういうのはコーポは向いてなかったかもしれませんね。あまりの青春キラキラ感に目眩がしたレベル。
 そんな初々しさを補強するのが、巨根によるセックス失敗。テーマとしては本号の『かたち』と同じなんですが、やはり学生カップルの初体験失敗ということで、初めてならではの丁寧さ、慎重さが別の魅力になってますね。ビビってるのもあるだろうけど2人が焦らずにゆっくり事を進めていくのが本当に良い。初体験として理想の形なんじゃない? とか思ってしまう。セックス失敗なんですが、それほど悲壮感はないのも良い案配ですよね。 “今ちょっと顔ドヤってる!” とかギャグっぽく処理したのもうまかったと思います。どちらかがトラウマ的になってもおかしくない状況なんですが、2人が明るく、前向きなのが最高。
 徐々に慣らしていって、チンコの代わりに指で攻める場面も良いですよねぇ。ほぐして広げる意味もあるんですが、ただのクンニではなくセックスの代わりとしての指ですので、よりその中の感触に意識的になるのが伝わってきて非常にエロい。焦らし的な盛り上がりもあるし、チンコではなく指だからこそ気づける細かい感触みたいな描写がめちゃくちゃリアル。その指で得た情報をいざ本番でも役立てるので快感の説得力もすごかったです。
 本筋と関係ないですが、序盤のセリフに出てきた、うさぎが家を爆破する続編映画。一瞬「何やねんそれw」と笑ってしまったんですが、『ピーターラビット』かな。現実ではコロナで公開が延期になっちゃったけど、こっちの世界では順当に公開されてるようで羨ましいです。

『犬は手を噛まない』いだ天ふにすけ

 最初の扉のコマが可愛すぎて正直この時点で一定の満足度を得てしまった感ある。2人の関係性とその魅力を端的に1枚で示してて最高でしょ。そして、タイトルは従順な犬(男)のことかと思ったら、手以外は噛む、という別の展開になるのもうまい。さらには、本当の犬はどっちなのか……みたいな終わりになる。良いタイトル。
 酔って寝てる間にやってしまった、というオープニングから驚くんですが、そこから彼のヤンデレ感が出てくる感じとかも不気味で良い。ポップなキャラクターでとにかく可愛いんだけど、そこから一気に黒い雰囲気になるギャップ。怖くなったものの、快感が忘れられずに戻るのではなく、その前に出てくる白山さんが良いスパイスになってたと思います。彼女の伝言を伝えるため、という最接近の言い訳であり、そのまま彼を取られてしまうかもしれないという危機感。様々なモヤモヤした感情がグチャグチャになってのエロパート突入という盛り上がりがヤバい。黒い雰囲気あったけど、蓋を開けてみたら過去のいだ天ふにすけ作品の中でもかなりハッピーな内容でしたよね。純度の高いハッピーエンドだったと思います。複雑な心理模様とかはしっかりあるのに最後はキラキラ、けどやってることは変態、というバランスが最高でした。
 てか、本号の快楽天には『肉食ガールと子犬ボーイ』があったし、犬属性の彼氏が流行ってますねw 実は彼の方が関係を支配していたとなるのも一致。てかプロットとしてはこの2作品かなり似ていたように思います。もちろんキャラクターや細かい部分が全然違うので読み味としてはまったくの別物になってて、そここそが面白いんですが。

『変×変』いちまつ

 好きな人から声をかけられ、順調に付き合うようになったが、その彼が変態だった。クズ彼氏に捕まって開発される話のようにも見えるんだけど、主人公であるヒロインが元々その素質を持っていたとも考えられる。その場合は運命の相手に出会ったとも言えるのでハッピーエンド……なのかなぁ?? みたいなグラつきが楽しい。ヒロインが完全に喜んで話が終わるので、彼女のことを可哀想だと思ってた読者を突き放されるような感じがある。
 逆に、彼の方が、元々クズだったのか、それとも変態趣味を受け入れてくれる彼女を得たことでどんどんタガが外れていったと考える余地もある。徐々に本性を露わにしたのか、徐々に変態性が加速していったのか、絶妙に分からないバランスだと思います。最初はただのハメ撮りで、そこから2段階くらい先に飛躍するので驚くんですが、その最初の飛躍はあくまでも事故なんですよね。あそこで彼の計画性が感じられるようなら元々クズで確定なんですが、その決定打はあえてぼかしてあるように思います。『変×変』のタイトルにふさわしいバランスなのではないでしょうか。

『Bet your body』アシオミマサト

 カジノでイカサマを疑われ、バニーとディーラーに絞られる。バニー服はこの手のコスチュームとして人気ですが、私ディーラー服も好きなんですよ。なのでこの2人体制嬉しかったですね。まぁ脱いじゃうんですが、バニーだけだと脱ぎの量が少ないのでディーラーも一緒にいた方が脱ぎによる露出が増えてこれはこれで効果的だったと思います。
 それと、女性2人とも脱ぐことは脱ぐんですが、ディーラーは全裸で、バニーは耳とタイツを残したまま(2人とも蝶ネクタイを残すんですが出たり消えたりするのでここではノーカン)。ディーラーの方は服を失い、ディーラーとしての属性を失うんですが、バニーは耳があるからバニーとしての属性が残るんですよね。ここが2人の精神的な余裕の差になっていて面白かったです。個人的にはディーラーの方も半脱ぎくらいが好きなんですが、彼女は完全に負けのポジションにいるので全脱ぎにしたのが適切だと分かる。
 特徴的なのがディーラーの視点で物語が進行する点。男1女2の構図だと男視点か、中立視点になるもんだと思ってたんですが、1人の女性に絞られたのが面白かったです。ディーラーはシリアスな雰囲気で男のことを疑っていて、セックスが始まるまでのパートが結構心理戦という雰囲気なんですよね。逆にバニーの方は享楽的な感じで、「お前最初からやるつもりだっただろ」みたいな勘ぐりもしたくなる。そんな女性2人のコントラストも良いし、ディーラーの彼女としては結局のところ味方がいなくて2人を別々に相手してるようなもんですよね。男とバニーが特別結託するような感じでもないんだけど、ディーラーは2人にひたすら振り回される、というのが3Pのあり方としてすごく新鮮でした。

『焦がれたひと』白菊

 予期せぬ再会という意味では『モトカノやんけ!』と同じなんですが、付き合ってたわけではなく、元片思い。かつ元おねショタですね。大人になっても2人の上下の関係性は変わらないんだけど、主人公はうじうじと悩む。このうじうじマインドですよ。かなりアッサリとエロパートに突入するし、場面が移ると既にフェラが始まってるんですが、そのサクサクとエロが始まること自体に対して主人公は「なんでだよ」的な考えに至るわけで。好きな人とエロいことになって嬉しいのは間違いないし、何より気持ちいいんだけど、その気持ちよさこそが気に入らない。このめんどくさい思考がめちゃくちゃ説得力あったし、正直すげぇ分かるw こんな経験ないですけど、この状況に置かれたら100%同じ思考に陥る自信がある。
 フェラと挿入、その最中にかつてのヒロインの姿(現実ではない妄想)をフラッシュバックしてしまい、目の前の現実と比較してしまう演出もマジ最高でした。髪の色が違うのも良いし、何より過去(妄想)のヒロインは初々しいリアクションなんですよね。現実ではサバサバと主人公のことをリードしていて、それはそれで年上ヒロインの魅力に溢れてるんですが、そのコントラストが素晴らしい。そして、一度暴発してしまい、「もう一回」となってからはその過去との比較がなくなるんですよね。うじうじとした後ろ向きな思考が吹っ切れて目の前の彼女に集中する、というのが言葉ではなく絵として、漫画として伝わってくる。心の声も一切なくなるので、悩むのをやめて直接伝えるようになると分かる。そしてその「直球」こそが彼女の心に響く有効打であった、とオチがついたのも秀逸でした。2人の年の差カップル感が薄れるんですよね。ヒロインの方も必死になることで。それが2人の距離が近づいたことの証拠であって、というのが最高。

『つかえるサナエ』昼寝

 親の再婚で義理の兄妹となった2人、と書くと割とベタな設定なんですが、それについて説明的な描写が入るのは終盤、フェラしてる際のフラッシュバックで、オープニングとしてはわけも分からないままメイド風の格好をさせられ、そのまま始まる。どうやら義兄妹だが主従関係にあるらしい、と2人の異常な日常を見ながらバックグラウンドを想像させられる形。元々可哀想な境遇で、義理の兄が出ることで、そしてその兄が妹を変態的ではあるが強く求めたことで今の関係に至ったのではないか……みたいな想像が膨らみました。実際に描かれるのは結果だけなので妄想ですが。結果しか描かれないので、物語としては淡泊なんですよね(描写が特濃ですがw)。その既に完成された狂った日常を淡々と描くのみ、というのが特徴的でした。特にオチらしいものはなく、ある1日のセックスが終わっただけ、というバランス。ただ、とにかくその描写が、漫画として、絵としての圧がとんでもないという。昼寝先生の過去の作品と比べても突飛な設定とか、ギミックもなく、最もシンプルだと思うんですが、逆にだからこそその異常性、迫力が増したという効果はあったと思います。

異世界はこう抜く』F4U

 第20回。今回はこびと。ガリバーよろしく拘束され、そういう趣味なのかと思ったら実際はその逆で、下克上されたかった。ちょっと本シリーズの中で最も共感できる客だったかもしれないw もちろんファンタジー設定ならではの種族とそれに基づく性癖なんですが、圧倒的なチカラに蹂躙されたい、という人は多いのではないか。分からされたい、というのが分かってしまうw

「読者ページ」

 扉イラストがごさいじ先生なんですが、『卒業』の番外編という感じでしたね。「やれないけど……」という渇望が1枚に描かれてて見事だと思います。良い作品だったな、と改めて。まだ終わってないけど。
 真空ジェシカ ガクの連載コラムはいつも面白いんですが、今回は筆者紹介のところに「Xvideosにネタ動画をアップ」と書いてあって爆笑してしまいました。その手があったか……


 恒例のアンケート。個人的には関心の高い質問で面白かったです。私としては、抜けない。可哀想なのは抜けないです。抜かない、が正確か。鬱シコ的な状況にはなるが自発的にその状態に陥りたいとなるまでのレベルには達してないです。
 ただ、ホラー映画とかと感覚は近いんですが、抜けないけど、面白いは面白いんですよ。可哀想な作品の方が、漫画として味付けが濃くなる傾向にあると思いますし。可哀想展開に対して「そう来たか! 最悪ゥゥ!!」みたいな痛快な感覚になることも少なくないですし、そこらへんは難しいというか、我ながらめんどくさい心理が働いてると思います。


 終わり。今月はちょっと遅くなってしまった気がします。どうしよう、今月もう1つ、月刊誌の感想書きたいんですが、間に合うだろうか……。
forms.gle
 最後にアンケート。面白かった作品3つですが、『ギャルから学ぶイイ方法』『今日は特別ナマ配信』『焦がれたひと』になるかな。
 快楽天としては、次はもう来年ですね。良いお年をー。
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