北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2020年5月号の感想

快楽天 2020年 5月号
快楽天 2020年 5月号

 メガネが多いぞー!!!(歓喜
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「表紙」きい

 女の子が小さい! 表紙イラストってもっと前面にドン! と主張してくるもんだと思ってたらものすごく控えめで驚きました。きい先生によるところがメインのはもちろんですが、それ以外の要素も今号は多めなんじゃないかしら。余白あるんでいつもより遊んでる感。
 そんなきい先生の新作は次号で、巻末に見開きで予告。映画の予告っぽくてかっこよかったですね。あれ作った人グッジョブだわ。

『イイトコロ』ひげなむち

 友人の彼氏に。主人公にも彼氏はいるので百合ではないんだけど、友人のことを心配してるのがちょっと百合っぽさもあった気がします。友人が犯されてるのを目撃してしまう場面で十分すぎるほどの迫力があって、それが作品の主題でもおかしくないレベルだったと思います。ちょっと寝取られにも近い心が闇に染まる感覚。それだけじゃなく、自分も彼氏がいるので浮気。友人の彼氏に手を出してしまった(出されてしまった)だけでも罪悪感なのに、自分にも彼氏がいるので明確に罪なんですよね。あの野郎がクズなのは間違いないけど、主人公も同じ罪を背負ってしまう。あくまでも共犯関係ってのが味噌だったと思います。被害者という立場に逃げられないというか。
 2人の女性が前半、後半で犯されるコントラストがすごかったですね。主人公の友人は最初から彼のことを受け入れてる、クズだと分かった上で魅了されちゃってるのでセックスが開放的というか、自分の心に最初から正直だったと思います。クズに犯されてる場面なんだけど、ちょっとハッピーな雰囲気あるのが独特ですよね。ラストのアヘ顔も圧巻の迫力でしたし。一方、主人公は認めたくないけど……という心理の機微がポイントで違った良さがありました。最後に彼女も友人と同じようなアヘ顔を晒すのか……と思ったら翌朝キリッとした顔で登場、というエピローグの意外性も抜群でした。平静を装ってる……が? という余韻のあるラストが印象的でしたね。

『おしごとですもの!』えーすけ

 前編。AV女優という題材、催眠術という飛び道具的な設定、どちらもゼロではないと思うんですが、そこに「演技」という要素を入れてきたのが最高に面白かった。巻頭のカラーイラストが3Pなのに爽やかな笑顔を振りまいてて爆笑だったんですが、要するに彼女は大根。ルックスは良い、テクもある、努力家だし、真面目で仕事熱心、しかし大根。それを一枚絵で説明しきったのがマジ最高でした。あの違和感はクセになりますね。何なら大根編で1話エロやってほしかった気もしてくるw
 そんな「演技」。こんなに難しいテーマもないと思うんですよ。下手な演技と自然な演技を実際に演じ分け(描き分け)しないといけないわけですから。それを見事にやってみせるから最高でしたね。えーすけ先生はエロ漫画としての演技(のさせ方)が圧倒的にうまい、と今更ながら気づかされました。『DOLLS』みたいな嫌いな相手に抱かれて気持ちよくなっちゃう話もハマってましたが、本作ではそういうドラマ要素がゼロ。「AVだから」という説明のみでセックスが始まる。ドラマはなく、とにかく気持ちよくなってしまう演技のみにフォーカスされる。肝心の催眠術も今時五円玉使ってて非常にやっつけ感あるんですが、それだけにいざ本番の迫力が際立つ。
 そもそも演技はしないくらいのがちょうどいいというか、特にAVだと気持ちよくなってる様を他の大人たちが撮影するくらいがちょうどいいのでしょうね。実際はいろんな細かい演技もしてるんでしょうが(カメラに顔向けるとか)。
 ということで、本気で気持ちいいセックス見せてやるよ、と作者がスキルを見せびらかしてくるような作品で圧巻でした。いざ挿入、という場面で終わっちゃうんですが、「まだ入れてないんだった」と驚いてしまったレベル。エロの迫力がありすぎてマジで忘れてました。

『夜のサカナ』楝蛙

 不倫。既婚の女性主人公による不倫。主人公にも非はあるよね、みたいなバランスがすごい面白かったです。『イイトコロ』読んだばかりってのもありますが、浮気とか不倫って誘惑されて陥落する作品のイメージが強いので、本作のそもそもの発端は主人公にあるってのがすごい新鮮でした。主人公がすごい悪い女で、悪魔的な魅力を……ってわけでもないから独特。酔った後輩に襲われる形なんですが、そもそも夜中に呼び出して家に上げた(仕事の用もないw)時点で主人公にちょっとした罪がある。不倫ではないけど、後輩の小野くんもちょっと可哀想だよね、みたいな案配。なんですが、いざエロが始まると彼は彼でなかなか悪魔的な面あるのが良かったですね。下克上とは違うけど、てっきり彼は元々主人公のことが好きで……みたいな甘いドラマを想像してたら単純にエロを押しつけてくるので意外。ラストの賢者モードは笑ったんですが、それをなかったことにして関係の継続を望む主人公の姿がまたエロかったです。
 不倫になっちゃう、と焦る主人公の心理がすごい丁寧で魅力的でした。最初に “レイプ? でも家に招いたのはアタシだから…” と自分の非、リスクについて冷静に考え出すとことかすごいリアルだった気がします。まだ快楽によって思考がぼやけてない。それが最終的に “愛してるから…” “不倫じゃない…よね” という無茶苦茶なロジックに行き着くのが良かった。まともに頭が働かなくなってる感。無茶な言い訳にでもいいからすがりたい、という心理がすごい生々しかったです。

『うつろい』大箕すず

 中学の同級生と再会。男勝りで女の子扱いされなかった主人公と、本ばっか読んで地味だった男の子。大人になりそれぞれ真逆に変化した2人が再会。良い女風になった主人公の視点なんですが、相手が驚くほどに女慣れしてる? チャラい? てかちょっと怖くない? みたいな序盤の駆け引き良かったー。中学時代の関係を見せられてからの再会でもう超良い話を予期しちゃうじゃないですか。甘いの来るぞーと身構えてたら彼の要素が思ってたのと違うのでグイグイ引き込まれました。あの緊張感良かったなぁ。実は翻弄される側だった主人公の姿も可愛いですし、いろいろと魅力的。
 んで、エロパート。彼の攻めが本格的でエロ漫画的に見応えあるんですが、同時に「そんなに変わったのかよ!」という驚きは常にありますよね。エロが盛り上がって嬉しいんだけど、彼の不気味さ……は言い過ぎだけど変化の大きさに戸惑う面もある、というのが独特の読み味。中学時代に彼女に憧れてた(ここは確定)ので、彼女にふさわしい男になるように努力してきたみたいなドラマも勝手に妄想してしまうんですが、どうなんですかね。ラストに “なんで俺のこと覚えててくれたの?” とヒロインに聞いて動揺させてましたが、彼は彼女のことを覚えてたわけで、彼の好意は隠してないんですよね。そのあっけらかんと好意を伝えてくる感じがチャラいという印象にも繋がるんですが、まぁ冷静に考えて好意や感謝をストレートに伝えられるのは大事なことですね。ただ、いきなり髪触ってくるのは距離感近すぎてハラハラするんだよなぁw

『わたしのヒーロー』ボボボ

 幼稚園のときにブスといじめられてたヒロインを救った主人公が今では逆転してる話。冒頭の場面が『うつろい』と似すぎてるんですが、この掲載位置は狙ったんでしょうねw 2人とも地味から派手に成長したのが『うつろい』で、ヒロインだけ美少女になり主人公は没落したのが『わたしのヒーロー』。
 いけてない主人公が学園のマドンナに好かれる、という夢物語に説得力を持たせるのが冒頭の回想なんですが、そんなお気楽な話じゃないくらい主人公が卑屈。序盤のモノローグで喋りまくる場面が最高でした。彼の問題は容姿や勉強、運動ではなく、自信がないから。痛いほどに伝わってくる。そんな彼に自信を与えるのがヒロインの一途すぎる愛……なんですがまず最初にビンタするので笑いました。あそこだけギャルのノリなのが良かったですね。そこから主人公の言い分を聞いて徐々に優しくなっていくんですが。
 怒濤のモノローグが後半になるとほとんどなくなる。彼女に愛されることで救われていく、と書くと感動的なんですが、エロとしては彼女だけ激しくてアンバランス、というのもすごい面白かったです。体格の差もあるんですが、アクションがいちいち彼女の方だけ激しいんですよね。だいしゅきホールドの場面とか関節技決められてるみたいな迫力あって最高でした。

『僕の天使』歩芽バにら

 『わたしのヒーロー』からの連続性も感じるタイトルなんですが、つらぁぁ!! 推しのアイドルとひょんなことから出会って……と男の妄想煮詰めたような導入で「なんて都合の良い話なんだ……(良いぞ)」と思っていたらその後明かされる現実がつらすぎてもう。都合が良いと思ったアイドルの方から近づいてきたのには救いを求めていて……と明かされるラストがもう。ラストがもう!!
 彼女ががんがんエロいことをしてくるんですが、嬉しいようで天使がそんなことをするなんてとショックでもある。しかしチンコはしっかり反応してしまう、という男のアンビバレントかつ面倒くささがおかしい……って作品じゃなかったんかい!! つらいよ!! その様子のおかしいアイドルにすべて説明がつくことになるんですが、その説明がつらすぎる。フェラして “良く褒められるの” とか徐々に怪しい情報を小出しにしていく話運びがうまいんだよなぁ。ギャグ的なノリかと思ったらシームレスに暗黒すぎる現実を突きつけられるw 枕という最悪の現実が彼女の口から直接語られるのではなく、1コマだけ絵として差し込まれるのとか説明が上手なだけに刺さる、染みる、つらい……。挿入に至ってエロが最高潮に盛り上がると同じくらいドラマも盛り上がってしまって、心に刺さる。エモーションの爆発がセックスというアクションに反映されるのがエロ漫画の良さだと思うんですが、本作はそのエモーションが悲しすぎる。下手な寝取られとかよりも断然来ますわ。エロが盛り上がれば盛り上がるほど「天使」から乖離していくという矛盾なんですよね。そして射精の瞬間ではついてにタイトルを否定するようなセリフに至る。その後、ヒロインがおそらく本作の中で最高の笑顔を見せるってのもマジ感動でした。「笑顔」は彼が求めるアイドル像の根幹ってことなんでしょうね。泣き顔を彼に見せないように、というラストがマジつらいわぁ……。予想外の破壊力を持った作品が飛んできてマジ衝撃でした。

『しよっか!』ぼーかん

 吹き出しにタイトルが入ってるデザインすごい可愛いんだけど、よく考えるとあの場面にあのセリフ(=タイトル)はおかしい気もしますね。あの時点でヒロインは消極的だと思われるので。あの余裕ある感じでタイトルのセリフを言ってくる感じは正直大好物すぎるんですが、その直後にキスすらも恥ずかしくて断ってしまうのを考えると矛盾も感じる。
 まぁ、とにかくそんな彼女の姉が登場して話が動き出す。彼氏と姉のツッコミがシンクロするところが印象的ですが、とにかく序盤は主人公と姉、妹という2-1の構図。姉が暴走気味に突っ走り、主人公がそれを肯定し、妹が振り回される、というトリオ漫才がとにかく楽しい。主人公の関西弁が良いアクセントになってましたよね。それでいて “まぁオレももうちょいムード作らなあかんな” とか言って良いヤツなのも感じる。この明るさとキャラクターのおかげで妹が可哀想には感じにくい雰囲気になるのが良いですよね。とにかく明るいノリでエロが進行していくのが魅力的な作品であると同時に、姉妹の積極的、消極的なコントラストも魅力なんですが消極的な妹が完全に嫌々という感じがない。同じ顔なのでちょっと二重人格というか、彼女のオルターエゴが具現化してるような味わいもありました。彼女の中の天使と悪魔でいう悪魔が噴出してしまったというか。とにかく男目線からすると二倍おいしくて最高と言わざるを得ない状況ですよね。もちろん彼女の姉に手を出す(出される)のは浮気になるのかもしれないけど、彼女同席で納得してるのでセーフ!! 奔放な姉がとにかくエロくて最高だったんですが、最初に少しフェラをするだけで後は指導とサポートに終始してるのが意外と常識的なのも良かったと思います。浮気という罪悪感を抱かずに彼女が普段よりもエロくなっていく、そして視覚的なエロさも倍。魅力が強い。

『元カノ失格』翁賀馬乃助

 翁賀先生のサイン会を楽しみにしてたのですが、新型コロナウイルスの影響で中止。サイン本は来月届くらしいので普通に楽しみなのですが、濃厚接触したかった……(やめなさい)。
 そんな翁賀先生の新作はメガネ!! やったぜ。そんなメガネをかけるだけで最初の1ページを使ったのがオシャレな開幕でしたね。ゆっくりなオープニングで「何があったのか」と期待が高まりつつ、しっかりおっぱいが見える親切設計。からの2ページ目でタイトルなんですが、今回のヒロインが明らかに化粧バッチリ決めてるのが分かるのがすごく良い。明らかに不測の寝落ちによる朝だと分かる。漫画だとどうしても化粧って省略されがちな部分だと思うんですが、それに物語的な意味を持たせるからうまい。メガネをかけるという朝のアクションも、かけてようやく事態を把握する、という溜めの説得力でしたよね。やはりメガネは良い。ありがとうメガネ。
 元カレと偶然の再会を果たしそのまま一夜を共にし、目覚めたところがオープニング。昨晩何があったのかを確かめるように同じプレイをなぞっていく、という設定がエロい。元カレ元カノじゃなかったらここで簡単に「確かめるためにもう1回」とはならないじゃないですか。そのエロへのハードルの低さが生々しくてエロい。プレイが検証であり、記憶の有無という情報格差に基づいてるのも面白いですよね。元カレの方は昨夜の成功体験があるので相手が気持ちよくなると分かってるわけなんだけど、ヒロインの方は気持ちいいことへの驚きがある。この格差、元カレの優位性が良かったです。どのくらいで相手がイクのかも把握してるわけですよね。テクニックやチンコで男がアドバンテージを得るエロ漫画は多いですが、記憶ってのは珍しいんじゃないでしょうか。
 あまりの気持ちよさに認めることになる……のではないから面白い。思い出し、確信を得るのはフェラの場面。味という物証を得て、徐々に記憶が甦り、その後の気持ちよさを思いだし期待が膨らんだところで、ついに認める。展開としては快楽堕ちと近いんですが、ひと味違うのが本作の特殊な設定ならではの良さだと思います。そんですべてを思い出したヒロインが “この後…って どうしたっけ…?” と分かった上で相手を誘うのもエロいんですが、ここでページをめくると一気に場面が飛躍して挿入中。このエロが確定した瞬間に場面がジャンプする演出、『蜜月』のことも思い出しました。
 オモシロ演出として最高だったのは、見開きの場面での3回のセックスを同時に見せるやつ。正確には2、3回目かな。おそらく定点カメラ演出の亜種として、1コマに収めたバージョンだと思うんですが、定点カメラ演出だと大体縦に進むのが一般的だと思うんですが、今回のは横長で視点が横に移動するのがすごい面白かったです。エロが盛り上がりすぎて前後の記憶がゴッチャになってる心の感じとしてもリアル。3つ目でシンプルにおっぱい大映しになるのも嬉しい展開。引きの画が多いんだけど最後はアップ。
 絶頂を迎えてから余韻を味わうようにキスをするのもエロい。それまではとにかく快楽を追求するようなプレイだったのに最後の最後でスローな展開で締めるのがオシャレ。仰け反って絶頂した勢いでメガネが外れるのも最高でしたね。あそこで彼女の本音がダダ漏れになる、という演出がうまいし、エピローグで彼女が家を出て日常に戻ろうとする場面でメガネをかけようとして作品が終わるのも最高。メガネをかけることで始まった物語が、再びメガネをかける場面で終わる。メガネ演出フェチ(何それ)として大満足でした。

『なくなくないしっ!』明石六露

 2作連続でメガネ。てか、今号メガネが多いんですよね。まくら嬢のいる月ってのもあるんですが、それを除いても4作。本当にありがとうございます……。
 直前の『元カノ失格』は大人っぽいヒロインだったのですが、本作はロリ。そして妹。メガネが下にちょっとずれる感じが幼い印象にブーストかけてたと思います。激しいプレイに今にも落ちそうなんですが、なかなか落ちない安定感が嬉しいw 本作はツンデレというか、妹のチョロさがメインの作品だと思うんですが、メガネがずれて瞳が剥き出しになったりならなかったりするのが彼女の本音が見え隠れする感覚と一致したと思います。非常に良いメガネ。
 冒頭がセーラー服なんですが、本題としてはジャージというのも英断だったと思います。我が家での妹とのイチャイチャとしてジャージが効果的。タイトルからして素直になれない(けどチョロい)キャラクターが可愛いんですが、ジャージで口元を隠す仕草が象徴的でしたよね。中盤にも出てくるし、最後にも出てきました。本音を隠そうとする仕草なんですが、それは本音が漏れまくってる瞬間だから隠そうとしてるワケですよね。メガネもそうだけど、この本音を隠してるようで漏れてる、というのが本作の味噌であり、キャラクターの可愛さの本質ではないかと思います。

異世界エロスと豚野郎』いーむす・アキ

 後編。少なくとも3話構成じゃないとまとまらないんじゃないでしょうか、と言いたくなるくらいに終盤が駆け足、というかヤケクソ的なまとめになるので笑いました。いや、そもそもキレイな締めを目的とした作品じゃないってのも分かるんですが。そのオチでいいのかよ! と思いましたが、そのくらい意外なオチだったのも確かで、主人公が関係ないところで事態が解決……からの時間差で主人公が介入というラストページの畳みかけがマジ最高。オークキングに対して意外とキレイな目してるのには笑いました。まぁ、たしかに姫様に挿入する際もわざわざ小さいモノを用意してあったりして紳士的だったと言えるのかもしれないw
 そもそも前話の段階でもそうだったんですが、主人公の魔法が役立たずなので物語に関わるようであまり関わらない、けどトドメはさすという絶妙な距離感が面白かったです。今回も姫様の聖印を解除しててむしろ邪魔してるので笑いました。二重三重にひっくり返るオチが待っていて、一応彼にも報いが下るんですが、 “エサうめ~” とそれなりに豚ライフを満喫してる風でもあるのが独特ですよね。痛い目を見て終わる、とはちょっと違う味わい。まぁ、元がニートなので飼われる生活という意味では大差なかったのかもしれないw

『ベストショット』オクモト悠太

 クールすぎて怖い印象を持たれがちな女上司と。ヒロインの漫画チックなキャラクターと、それと徐々に近づいていく主人公の誠実さがすごい良かったです。ドラマの果てにエロがある作品は強い……と改めて感じた次第。端的に言って大好きです。やっぱエモからのエロが最強だよなぁ。「本命」についての誤解ギャグみたいな展開になるんですが、それに対して主人公がごまかすのではなく真正面から告白したのとか素晴らしかったと思います。だからこそヒロインに響いたわけであり、クールなヒロインがぐらついて表情が崩れる一瞬、というのが本作のタイトルにもなってるメインテーマですね。その「一瞬」が何度か描かれるんですが、その盛り上げ方がいちいちうまいんですよね。その「一瞬」が徐々にレベルアップしていって、それが物語の展開とも合致してて見事だったと思います。そんで、最後にギャグ的なオチにもなるのが最高でしたね。ただ、あの下手な笑顔も個人的には可愛いというか、すげぇアリでしたw 不器用さが可愛いし、ちょっと怖いレベルのクールさって意味でイケる……!
 感情を表に出すのが苦手、恥ずかしいヒロインがエロの前に陥落する、というわけでもないバランスだったのが本作すごい良かったと思います。もちろんエロで乱れはするんですが、そこまで極端に快楽堕ちするわけではなく、恥ずかしがりながら、という奥ゆかしさは残してる。彼女の性格、意志を尊重してるようで良かったし、だからこそ一瞬だけ漏れる彼女の表情という感動が強まったと思います。タイトルにもなってるベストショットは決してアヘ顔ではない、というバランスですよね。

『送春』モモヤマハ

 前号に続いてWEEKLY快楽天から本家快楽天へのシフト。WEEKLYでの『末永き日々』もこじられた男主人公のめんどくささが炸裂した作品でしたが、本作もまたすごい。『末永き日々』はスタートが夫婦なのでセックスを通じて一旦のハッピーエンドにはなるんですが(子供は作らないので完全ではないけど)、本作はこじれた片想いに過ぎないのでラストのビターさが倍増。ラストで「子供作るか?」という選択肢が主人公の中で生じ、結果としてNOを選択するのは『末永き日々』とも一致しますね。変奏としてすごい面白かったし、また『末永き日々』が読みたくなるし、それ以上にビターな本作を再び読みたくなるw
 『末永き日々』が好きなので比較ばっかりしてしまうんですが、本作でも主人公がヒロインのことをちょっとバカにしてるのが出発点。ナメてたけど実は……というひっくり返るのが楽しいんですが、本作は年上ヒロインなのでそもそもとして彼女の方が大人。主人公は勝手に現実から目をそらし彼女のことを子供扱い、バカ扱いしてたけど、彼女は年相応に大人になっていて、それは精神的にも肉体的にも……という感覚がマジつらいw 今号は『僕の天使』もつらくて最高だったんですが、モモヤマ先生も負けてないぜ!! と謎の感想。主人公が最後の最後まで卑下しまくって終わるのが読んでてホントに、来るw ヒロインの “東京行くのいやだあ……” に対して “向こう行ったら うまくやれよ” と言ってしまうのとかマジもどかしいんだけど、あそこで彼女のことを止められないで「俺なんか」という感じになるの分かっちゃうんだよなぁ。分かるからこそきついw

『オスメスのすゝめ』SAVAN

 まさかの続編!! 彼氏がいるのに先生に犯されて……という前作では快楽堕ちのようなラストを迎えたんですが、本作の冒頭ではその彼氏との別れが明かされる。すごい衝撃的だし、結果として作品としてのジャンルがガラッと変わりましたね。先生の誘惑に完落ち(認めてないけど)したあとの日常、というすごい珍しい作品。こんなのもあるのかと驚いたと同時に、そりゃ快楽堕ちしたあとも人生は続くよな……と妙な納得もありました。すごい。
 彼氏とは別れたので後ろめたさはなくなり、前作みたいなダークさはかなり薄まりましたよね。むしろハッピーな印象すらあったと思います。前作から一続きの話で、同じ先生に犯される話ではあるのに。すごい。
 SAVAN作品の特徴でもあると思うんですが、オープニングでのエロとは直接関係ない、けどちょっと予感させる、日常の中のガールズトークが魅力的。あそこでの普通の女の子としての一面がすごい可愛いし、だからこそエロに飛躍する驚きも増す。こんな明るい子が実は……という衝撃。いや、前作の続きだから驚きはないはずなんですが、それでも印象としてどうしても驚いてしまうw
 ラスト、完全にエロを受け入れたヒロインの姿が色っぽいんですが、やはり髪型が最後の最後に変わってる、結ったのが解けてるのが最高ですよね。この状態でのエロがもっかい見たい! となるんですが、そもそも本作のオープニングは彼女が髪を結ってる場面でしたのでそことの対になってる。見事な構成ですね。日常の象徴としての髪結いだと思うんですが、日常から徐々にエロへのグラデーションが進み、最後は完全に非日常の姿に、というラスト。前作よりも好きかも。

『ぴゅあ♡カプセル』雲呑めお

 またメガネ!! ホント嬉しい。本作はメガネに白衣というスタートなのでそこも最高だったと思います。話の展開的に白衣はすぐに脱ぐんですが、相手との距離がグッと縮まる瞬間(縮まってたと読者に明らかになる瞬間)に白衣を脱ぐ演出が抜群の魅力だったと思います。メガネを外しても同じ効果が期待できたと思うんですが、「メガネは最後まで外さねぇ!」という強い意志を感じる。その代わりの白衣ですね。ありがてぇ。
 ドラッグストアの薬剤師。この設定がすごい新鮮でちょっとした発明なんじゃないかと思った。すごい身近なんだけど、特別深く考えたことはないみたいな距離感。せっかく資格取ったのにそのスキルはたまにしか生かせずなぜかレジ打ちをしている、みたいな悲哀も秀逸。ドラッグストアに足を運んだ回数と薬剤師ならではの仕事をお願いした回数を考えると、なんだか申し訳なくなってくるw
 そんなヒロインが “今日ウチ来るのよね…?” でコマで颯爽と白衣を脱ぐ。この描写が色っぽいんですが、薬剤師ではなく1人の女性としてのドラマが始まった、という感じに満ちててすごく魅力的なコマでした。お前ら付き合ってたのかよ!! と一瞬ドキッとしますね。そっから実は猫目的だったとズッコケるような展開になるんですが、2人とも異性として意識してないはずもなく……と話が展開していくので本当にうまい。シンプルな話なんですが、あれやこれやと興味を引きつける要素、展開が詰まってる。あと、2人と繋げるダシとして使われてる感もある猫なんですが、これがマジ可愛い。猫をメインにした作品(どんなだよ)にした方がいいんじゃない? とか考えてしまうくらいに可愛い。あの太いシッポがたまらん……
 からの急接近するドラマが本題なんですが、ここでのヒロインの不器用さ、桑山くんの真面目さが魅力的。2人のアクションとリアクションの関係がすごく良いんですよね。やや暴走気味にヒロインが動くんですが、それに対して真っ直ぐに好意で返事するのが素晴らしかったと思います。
 そんな不器用なちょっと暴走しがちなヒロインのキャラクターに薬剤師という要素が加わってエロパートに突入するのが最高。本作で見たいものがどんどん積み重なっていくような快感がありますね。ドラッグストアといえばコンドーム、みたいな失礼な連想もしてしまいましたw 女性がゴム用意する作品元々好きなんですが、本作はキャラクターや2人のパワーバランスを反映してて特に良かったです。からの用意良すぎアイテムとして「鰐勃」が出てくるオチも笑いました。ギャグのようでもあり、めっちゃ期待されてたじゃん……というエロさもありますよね。

『饒舌スロウマーチ』小中えみ

 komifloコメント欄でりんたろー人気がすごいので笑いました。竿役が(も)魅力的なエロ漫画は傑作の法則あると思う。おねショタ的な雰囲気もあるんですが、ドラマとしては竿役が王子様ばりの活躍を見せる……んだけどエロパートでは結構ハードに彼を責め立てるw このギャップすごい良かったです。ドラマパートはすごい感動的で、りんたろーが男を見せるんですが、エロパートだと完全にヒロイン上位。完全に主従のあるプレイになる。下克上とかよく言いますが、本作の場合はドラマパートで下克上して、エロパートに入るとそれがリセットされる。要するにヒロインの溜め込んでた感情が爆発することでエロに至る形なので、必然的に一方的に責め立てることになる。かっこいい姿にドキッとしたけど、エロパートだとかっこいい要素が消滅して可愛い要素のみになるのが面白い。すごい独特なバランスですが、まぁ番犬とかそういうイメージですかね。守ってくれて頼もしいけど、基本的には可愛い、みたいな。小中先生は前作の『激白ワンダフル』がちょうど犬モチーフ(男の方が)だったので、そこからの系譜も感じました。可愛いと思ってた犬が泥棒を撃退したのでキュンとしていつも以上に可愛がってしまう、みたいな。
 男女共に魅力的で最高なんですが、どちらかの語り、モノローグはない作品なので、どっちの視点に立っても楽しめる二度おいしい仕様だったと思います。好きな女性のことをお世話したいとか、彼女が意外と隙だらけなのでほっとけない、みたいな気持ちでも楽しめるし、りんたろー可愛いとしても楽しめる。2人の上下関係が絶妙にスイッチする物語構成がすごい面白いし、効果的だったと思います。好きな女性を守った挙げ句犯されたい、というのはなかなか特殊な話なんですが、その二面性が本作の魅力ですよねぇ。すごい好き。

『トキハナツ ~I am a top of breeder!~』ICHIGAIN

 後編。こちらも男性が犬モチーフですね。彼のことを犯し尽くすんだけど、すべて受け止められるので「彼の方がヤバくね?」となる感覚が楽しかったんですが、後編ではまさかのヒロイン増量。1人じゃ彼の相手をするには足りない、みたいなバランスですかね。そして新ヒロインがメガネなので最高ですよ。今号の快楽天がんばりすぎだろ……最高……。
 そんな新ヒロインが主導となって物語が動くので前後編ながらかなり味わいの違う作品になってて面白い。メガネヒロインとプールという組み合わせもすごい面白いし、ヒロイン2人のやりとりだけで冒頭4ページ半を費やしたのもすごい良かったです。本題のセフレシェアの話も面白かった。女性上位の行き着く果てとして女性が複数。男がモノ扱いされてる感が増すし、女性同士の関係性の魅力がとにかく良いですよね。女性同士がボケとツッコミの関係になってて、そこに犬として男が加わる。
 ということでセフレシェアで3P。新ヒロイン主導で進むんですが、前ヒロインも大事なところは持って行くバランスで良かったです。優しい世界。いざというときに犬扱いが長けてる前ヒロインが維持を見せる、というクライマックスに向けた展開が良かったですよね。単にエロさや、テクニックで上回るのではなく、男との関係の深さによって優位に立つ。なので新ヒロインを踏み台にするような印象も薄く、女性が2人いてとにかくエロい、というハッピーな内容になってたと思います。あくまでも2+1の関係なのはキープしつつ、疎外感、悲壮感はまったくない。それでいて3人それぞれのキャラが立ってる。3P作品としてすごい独自の魅力を放ってたと思います。まぁこんな設定なかなかないと思うんですがw

『Switch』おかゆ

 教師と生徒。おかゆ先生は前作が父娘もので衝撃のデビューだったんですが、本作も禁断の関係……ではあるけどだいぶソフトになりましたね。ただ、家という社会から隔離された空間を共有しないカップルの話なので「バレたらヤバい」という要素が強く打ち出され、そこが本作の大きな魅力だったと思います。公園で始まり、校内のトイレで本番というハラハラが尽きない内容でしたよね。そのトイレってのも女子トイレなのでそもそも危険な一線でもある。先生だから生徒を探しにトイレの入り口から声をかけるのはまぁギリセーフ……からの中に入っていく、という場面が秀逸でしたね。越えちゃいけない一線を越えるアクションがそのまま物語全体を象徴していたと思います。
 からのトイレの中で。ヒロインに誘惑される形で本番に至るんですが、彼女が優位に立ってるとは言い難い関係性なのが良かった。2人のパワーバランス、社会的な地位ってのが反映されててとても魅力的。ヒロインのことを探しにくる女友達ってのもスパイスとして利いてますし、そもそもここでバレたら困るのは主人公なんですよね。バレる被害としては主人公に偏ってるんだけど、葛藤しながらも主人公が攻める内容になってるのがねじれた心理として生々しい。
 ラスト。卒業し、冒頭で描かれた公園のベンチで再び、となる構成もキレイでした。卒業しようと公園はリスクがデカすぎるんですが(制服だし)、「卒業するまでは」と言ってきた手前断ることもできず……という余韻が最高。

『雪の中からこんばんは』かるま龍狼

 タイトルロゴは『雪の中から』なんですが、その他だと大体『雪だるまの中からこんばんは』なんですよね。どっちが正しいのかしら。
 雪だるまの中から女性が。最初の手から出てくる場面が少し貞子じみてるので笑いました。日常の片隅に潜む異世界という設定が絶妙でとても魅力的だったんですが、最初に行うのがオシッコ。ヒロインに処理してもらう(袋で)のはなかなかエロいんですが、引きで見ると雪だるまにチンコ突っ込んでる絵面になるので「なんだこれは」ともなりますw
 からの雪だるまの中に入り、エロに至る……んですがエロに発展する過程は細かく描かれない。一旦カメラが引いて雪だるまを外から映し、再びカメラが雪だるまの中に戻ったらもう始まってる。ここがすごい良かった。世間からは気づかれない、隔離された空間でひっそりと、いつの間にかエロが始まってる。この「人知れず」の感覚が本作の肝だったと思います。ラストに雪だるまに入って無邪気に遊ぶ子供が小さく描かれてましたが、あの中で何が行われてるか分からない不思議な感覚。

異世界はこう抜く』F4U

 ランプの精。ウィルスミスではない。
 最近ストレートにエロい回が増えてる印象だったんですが、今回はさらに加速。完全にフェラですやん。疑いようのないフェラなんですが、本編には一切「フェラ」という言葉が出てこないので面白い。あくまでも「ノーハンド」とかしか出てこない。てか、相変わらずボーイくんの実況が可愛い。
 あと、今回珍しく、まくら嬢がテクニックで無双する回でしたね。アイディアとか戦略によって「こう抜く」を導き出すことが多いんですが、今回は完全にテクのみ。まくら嬢、セリフも冒頭のみで他は仕事するのみ、という感じでプロ感がハンパなかったですね。ボーイくんが実況してくれるから成立するバランスで、とにかくエロい回でした。

forms.gle

 終わり。新コロで世の中大変なことになってますが、快楽天が順調に300号(8月号)を迎えることを楽しみにしております。エンタメがないと心が死ぬと最近強く感じます。いろいろと奪われてきてる。
 アンケート。面白かった作品3つですが、『しよっか!』『元カノ失格』『饒舌スロウマーチ』かな。メガネは1つに絞っちゃいましたが、どれも良かったです。毎号メガネ欲しいので次号以降も是非。
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