北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC X-EROS(コミックゼロス)#83 の感想

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 書き始めてから書き終わるまで時間がかかりすぎてて新コロの影響が大きくなりすぎている。

『もっとSwimmy!』森島コン

 3話目。最終回。正直なつき先生も好きすぎるので退場していくのが寂しくもあるんですが、よく考えたら2話目が3人でやってた時点でこうなるのは避けれなかったのかもしれませんね。1話に1人ずつやってから最後に全員集合が一般的な流れだと思うので。
 そんななつき先生への浮気心が浄化されるくらい、めぐみ先生とのドラマが濃厚なので驚きました。正直、今までの2話から受けた印象からは想像もつかないレベルで良い話。エピローグをじっくり5ページ取るのもすごいし、それがめちゃくちゃ良い話……。ショタが大人へと成長するよう決意し、走り出す。大人の象徴としてコーヒーを持ってくるのもうまいし、そもそもなつき先生が現れることによってめぐみ先生に変化が生じ、豪くんが焦るようになる、という序盤の流れもすごい丁寧。プールでの格好は固定なのが効果的でしたね。めぐみ先生が外の世界で旅立ってしまう、みたいな焦り。そして、プールという水で始まった物語が今回、大雨という別の水によって動き出すのもうまい。そっから風呂場というまた別の水場に行くのがキレイですよね。風呂場では先ほどの変化した服装を脱ぎ捨てることで2人の関係性がフラットになり、そこで改めてショタが大人へと成長しようと頑張る、という感動。そんな豪くんの大人な面を見て2人の主従関係が逆転するのが停電なんですが、視覚が遮られることで2人の体格差、年齢差が消滅する。ショタが頑張って男を見せる、という現実的な展開としても自然だし、物語的な展開としても象徴的。……すごい、エロ漫画の感想じゃないみたいな脳味噌使ってるw
 主従が逆転するって言いましたけど、下克上的な極端さはなく、その後も豪くんの頑張ってる感、背伸びしてる感が丁寧に描かれるのが良かったですよね。ピンと伸びて一直線になるショタと、折れ曲がるヒロインという体格差を感じる体位もすごいエロかったです。
 いやしかし、やっぱりエピローグが圧巻ですよね。すごいエロい気持ちになってからの急カーブ。ラストページ、時計のコマの次に豪くんより年下の女の子が出てくるのとかも今後の大人になる成長を予感させる描写で素晴らしかったと思います。エロの権化みたいななつき先生が素直に豪くんの水泳の成長を称賛してたのも象徴的ですよね。エロ以外の成長、魅力が生まれてきた、というわけですので。いやホントすごかったな……

『春のマモノ』flanvia

 『夏のマモノ』の続編。アレ続くんかい!! と声出すレベルで驚きました。まぁ、たしかに春と夏ありますけども。とはいえ、まさかの10年後で壮大な物語展開を見せるので驚きっぱなしですw 前回はキャラクターの説明みたいな側面が強かったと思うんですが、今回は続編だけあって物語要素が高めで、さらにはマモノちゃんのキャラクターの掘り下げもバッチリなので最高でした。童貞しか興味がないので挿入は決勝までお預け、という論理的な作戦が面白かったですよね。そこから決勝に勝ち進んでいく盛り上がりもあるし、それは当然挿入までのカウントダウンでもあって……という物語とエロが比例して面白くなっていく。マモノちゃんのコスプレが見れるのも嬉しいですし、挿入して終わり……かと思ったらそっからまさかのラブコメ展開になるので驚きました。奔放なマモノちゃん可愛いとか思ってましたが、恋心に赤面するマモノちゃんにもうキュンキュンですよ。予想外のキャラ萌え。
 そっからしっかり前回と同じオチに向かっていくのも最高でしたね。マモノちゃんの失恋なので可哀想な話でもあるんですが、最後の復讐で一気にギャグに振れるのが好き。前話のゲイセックス疑惑も酷かったけど、今回は飲酒が絡んでくるのでより切実にヤバいですねw いや、マモノちゃんが酒持ってるのはデフォルトなんでよく考えたら自然なオチなんですが「言われてみれば」な驚きがありました。

『Color mixture』変熊

 前にも書いたと思いますが、変熊先生の扉すごい好き。物語全体を象徴する一枚絵が、物語の一部としてではなく描かれるのが非常に良いです。エロけりゃいいってわけでもないバランスが絶妙ですよね。ここでエロを見せちゃったら物語の盛り上がりを阻害することにもなりかねませんし。扉好きです。
 そんな扉がある種の引っかけになってるんですよね。物語全体を通じて見ると正しいんですが、物語を順番に読むと意外。マンションの廊下で下の階の女子高生に話しかけられてそのまま部屋に入れ……ってもうエロじゃないですか。泊めてあげるお礼にとか何でもいいけどもう絶対エロじゃないですか。そこに対してズッコケのような展開を入れてくるのが楽しい。体ではなく心が満たされるんですが、このパートがページ数としては簡素ながらすごい丁寧で、それでいてギャルの奔放な性格を魅力的に描いてて最高なんですよね。ワクワクしてたのが見透かされてからかわれるのも良いし、パンツが見えた状態の彼女に布団を掛けてあげるコマも「彼女とはエロじゃないんだ」という場面として象徴的。そんな関係性、キャラの魅力がばっちり描かれるからこそ、その後のエロが燃える。彼女からかなり強引に迫ってくるのでやっぱり進んでる……と思ったら処女だった、というツイストも効果的でしたね。とにかく印象を反転するような展開が連続する。エロの場所、回数、休憩が多いのでとにかく密度が高かった印象です。扉入れて24ページしかないの?? とマジで驚きました。もっと多いもんかと……。

『温もりに包まれて』駄菓子

 コタツじゃない、掘りゴタツ。単純に行うエロのバリエーションを広げるための設定かもしれないんですが、コタツで包まれたあの場所に穴があってそこに日常から切り離された空間が広がっている感じが掘りの方が強かったと思います。コタツに半身入るか全身入るかで攻守交代するんですが、段差でちょうど股間が目の前に来るのも良かったですよね。穴に落ちた人が好き勝手やるんですが、高さの違いが堕落という印象をより強めてたと思います。
 監視役である母親がいなくなってコタツの外で行う開放感……からの突然帰ってきてからのコタツへ避難。同じ「コタツに隠れる」なんですが意味合いが少し変わってくるのがバリエーションとして面白い。さらに最高だったのはクライマックス、中に隠れるヒロインとやってる最中にヒロインの母親が話しかけてくる。バレるー!!というサスペンスも盛り上がるんですが、まさかの愛の告白に繋がるのが見事でした。エロ、サスペンス、2人のロマンスが同時にクライマックスを迎える構成なのがすごいw

『恋は短距離走サバイバル刃

 komifloコメ欄で竿役がイケメンと話題になってるので笑った。サバイバル刃先生、前作のショタも個人的には好きなんですが。そんなイケメンが乳首いじりながらオナニーするオープニングが衝撃的。男の乳首オナニーが実際に描かれるのって意外と珍しいと思うんですが、陸上選手はこすれて気持ちよくなってしまう、と理屈が後から語られるのがすごい良かったです。単なる性癖ではなく、陸上というテーマに沿った性癖だったとは。絆創膏とかニップレスで対策するとか聞いたことありますが、対策を怠って実際に開発してしまった選手とかリアルにもいるんじゃないかしら……と思ってしまうくらい説得力ありました。
 一見変態かと思ったら実は青春、というのが乳首のくだりもそうだし、物語の展開としてもそう。ライバルの男女が徐々に近づいていき、いざ始まるとドストレートな愛の告白に至るのとか青春感ありましたね。体格差であり、筋肉差の表現が圧巻なんですが、密着してる体位が多いのでより際立ちますよね。もちろん溢れて止められない気持ちの現れでもあって、変に女性の見栄えを意識した体位ではなく「ただ抱きしめる」に行き着くのとかエモ&エロだったと思います。ヒロインのおっぱいも隠れてしまうから割と勇気のいる判断だったと思うんですが、すごい感動的だったと思います。

『アイドルの正体見たり オトコノコ』北原エイジ

 アイドルグループの1人が実は美少年。アイドルグループ内のおねショタ関係最高やんけ……とか思うんですが、本作はショタというより、ふたなりの代替設定なんじゃないですかね。男であることがバレて「チンコ貸せや」となる話なんですが、ふたなりでも成立する話のような気がします(憧れる回想の場面は別だけど)。
 とにかく、そんな「もう男だか女だか分かんねぇな」となる感覚が本作すごい良かったです。この境が曖昧になる感じは漫画ならではの良さだと思うんですよね。リアルだとどうしても生物学的、法律的、自認としての答えが存在してしまうので。「絵なら分かんなくない?」とバランスが魅力的だと思います。いや、もちろん本作は男で答えが出てるし、個人的に大好物なんですが、「俺はふたなりのが好き」という読み方にも全然耐えると思うんですよね(私はショタのが好きですが)。ショタがアイドル衣装を一切脱がないのもそうですし。
 それと本作、主人公としての視点が定まってないので「男だとバレる話」なのか「男だと気づく話」なのか実はハッキリしないんですよね。私は最初ショタ視点だと思って読んだんですが(愛でる対象もショタなので矛盾しますw)、S指向の人は逆に責め視点の物語として読めたりするんじゃないかしら。ふたなりとしても読める、の話とも通じますが、この距離感、バランスこそが本作の強みなんだと思います。

『発情ホームタウン・トモエちゃれんじ!』軽部ぐり

 『発情ホームタウン』の続編。やったぜ。前作マジ面白かったですよね。エロ漫画の導入部分だけが連続するような展開が最高だったんですが、本作はその最後に「まだ新キャラ出てくるのかよ!」という感じで出てきたトモエちゃんの話。例によって前作主人公のことが好きなんですが、その兄貴のことも……。女性視点になると話の語り口も大きく変わるのが面白いです。続編なんだけど、直接の繋がりはそれほどない。逆に言うと今後いくらでもシリーズを増やせるのでそっちにも期待が湧いてしまうというか……。どうやら3人兄弟らしいんですが、やはり次作への布石なんですかね?
 前作と共通してるのはキャラクターよりも都会へのコンプレックスなんじゃないでしょうか。 “なんや意識高そうな都会のオンナと勝手に結婚して…” というセリフが割と本作の中心にある気がします。知らないところに行ってしまう、置いていかれる寂しさ。嫌いなんだけど憧れもある、という都会への感情がそのまま男キャラへのツンデレとして現れる。結婚がこじらせる要因なんですが、前半に彼の左手をアップにするコマがあって話運びとして誠実ですよね。勘のいい読者だったらオチには気づく、確信できるんだけど、トモエちゃんはそれを知らないまま暴走……というのが可愛いですw

『ゲレンデがとけるほど尿したい』鬼頭サケル

 男1女2の恋模様をヒロイン目線で描くんですが、タイトルにもあるように徹底して尿。雪上野ションの残骸の場面はすごかったですね。尿をフェティッシュに描くのはまぁ分かるんですが、直接尿を描かずに余韻をビジュアル化しててすごい。それを好きな男に見せてるのも面白いです。尿がセックスアピールになる、という前提の人たち。厚着してるから脱ぎにくい、温度差で我慢できなくなりがち、ゴンドラで揺れてトドメ、というシチュエーションもハマってたと思います。尿は元々苦手意識はないのですが特別好きという自覚もなかったんですが、本作でちょっと「アリかもしれない……」となってしまいましたw
 からのゴンドラでの密室劇。幼馴染故のツンデレでうまく好意を伝えられないヒロインが焦れったくもあり悲しいんですが、その溜めに溜めに感情の発散として放尿が描かれるのが面白いですね。射精もそうだけど、漫画映え、物語映えするアクションだと思います。放尿。エロ漫画だと広角率で潮噴くのと同じ理屈でしょうか。
 転んで自分に尿がかかる、のがあまりに惨めで可哀想になるんですが、不器用で気持ちを伝えられてない彼女の現状ということで象徴的ですよね。スキーウェアの撥水加工が尿を弾く描写とかも細かくて笑いました。あまりに特殊なシチュエーションの作品なんですが、それだからこその魅力が生まれてる。
 からの3P。ヒロイン視点の話なので彼女を応援したくもなるんですが、幼馴染という座に甘んじて何もしないヒロインをよそにガンガン攻める前田さんも決して間違ってないですよね。なので彼女が可哀想になりかねないんですが、最後の中指おっ立てる場面で爆笑しました。女性2人の勝ち負けみたいなドロドロした部分がカラッと処理されてて見事でした。感情をストレートに表現するのがうまい、と最初から最後まで一貫してるんですが、だからって中指w 良い話なのに尿、良い話なのに中指ズプッ。この不思議なバランスがすごい良かったです。尿に関してもそうだけど、クセになる。

『本番なしパイズリあり』鹿成トクサク

 タイトルがそのまま過ぎて笑った。説明というか宣言ですね。たしかに本番がクライマックスだと「結局のところは本番が一番」という結論になってしまうので英断だったと思います。コスプレがテーマなのに本番が始まると脱がせちゃうみたいなガッカリがない。コスプレの例えで言うとおっぱいすらも露出させないほどテーマに対して一途。
 前作の感想書けてないんですが、鹿成先生は作品の変遷がすごい面白いというか、シリーズじゃないからもちろん話は繋がってないんですが、作家として描こうとしてるもの、テーマ選びがかなり連続性が高くて面白いです。ゼロスだけで考えると『離婚調停劇』で漫才のようなギャグに特化したかと思えば(エロもある)、その次の『こたつで…』で “わたしはコメディ作家だったよ…” とメタぶっ込んで、『セックスにも飽きたね』でいよいよエロに特化し「全身性器」を描いたと思ったら、本作ではパイズリ特化。『セックスにも飽きたね』の中の1つを抽出したような話ですよね。パイズリのみで『セックスにも飽きたね』級のレパートリーを見せるのですごいw
 パイズリ観、パイズリ論を序盤に語るんですが、そこがめちゃくちゃ面白い。『セックスにも飽きたね』がそもそも論理的な展開によって「全身性器」を完成させる話だったんですが、本作も論理的というか、理論派ですよね。パイズリ否定派の意見を出して、それを叩きのめすことで自ずと「パイズリ最高!!」と読んでてなる。パイズリの接地面積を図解するくだりとかちょっと笑ってしまったんですが、それと同時に「たしかに……」と納得させられるから面白い。頭がバカになるようなエロも魅力ですが、理屈で高めるエロもありますね。
 ただ、主人公がついにパイズリについての意見を改めて彼女のことを本気で求めるようになる場面で一切セリフがなくなる。『セックスにも飽きたね』でもありましたが、セリフの多さが魅力の作品だったのに、いざエロになると急に黙る。作品の雰囲気が一気に変わるのがすごいエロいです。割とこの一線を越える瞬間というのはエロの本質だと思います。まぁ、個人的に好きってだけかもしれないんですが。日常から非日常へと変わる瞬間、ここが一番エロいとすら思います。……まぁ、その後直接のエロ描写がないと間違いなく文句言うので矛盾してるんですがw

『ドッグガール・ウルフボーイ』塩おにんこ

 可愛い!! すんごい刺さった。1ページ目にヒロインを出さないでページをめくったら扉でドーンというインパクトに完全にやられた。そもそも1ページ目の時点で「ワンコ可愛い……」とか思ってたら、ですよ。
 そんな犬のマロが添え物ではなくしっかり物語的に意味があって彼によって話が展開していくのも嬉しい。単純に出番が多くて眼福ってのもあるんですが、ちゃんと彼によってエロが提供されて「私も犬になりたい……」と心底思わせるし、そこからヒロインの発情を知らせる展開になるのが最高。ヒロインが発情する作品はまぁ割と見たことあるんですが、大体体が熱くなって、目がぼーっとして、自制が利かなくなり主人公(もしくは竿役)に襲いかかる。それも魅力的なんですが、本作はヒロインの発情を間接的に示す。まずマロが発情して、その原因は発情して匂いを発してるヒロインにある、と明かされる。この時点でまだ彼女は自制が利いてるんですが、読者としては「マロと同じ状態!?」と最高にエロいじゃないですか。我慢して「待て」をしてるヒロインに犬の可愛さを感じさせつつ、リアル犬の可愛さも見せて、最終的にはしっかりエロ。完璧な構成。
 んで、エロ。最初のフェラの場面における献身感、上目遣いが犬の可愛さを人間のエロに変換してるようで素晴らしかったです。もちろん犬に直接のエロを感じるわけではないんですが、犬の魅力が人間のエロへと変わっていくグラデーションが丁寧。からの人間扱いするような対面のプレイが続き、最後はやっぱりバック。犬ですね。というか動物全般。バックになることで彼女の尻尾が露わになる、という別の展開に繋がるのも見事だったと思います。最後まで彼女の正体は明らかにならないのが独特の味わいを生んでると思いますが、セックスの最中にも「彼女は一体?」という要素を入れてくる。
 最後に主人公も犬になって終わるんですが、一応彼だけ髪と犬耳の毛色が違う。新参者感あるビジュアル。彼も犬になって飲み込まれていく……と書くとホラーっぽいんですが、最後に「カチューシャだから」と明示されることで回避してたかなと思います。

『おとなのじかん』川島よしお

 巻中の4コマ(8コマかも)、新連載。それも驚きなんですが、まさかの作者なので驚きました。ゼロスで会うことになるとは……。
 ヤンキー(スケバン)を陵辱するのかと思ったら、のネタ。ヤンキーが陵辱以上に嫌がるであろうことを強要する、という展開で笑いました。1ページ漫画、8コマ漫画ではあるんですが、しっかり4コマ目で一旦落ちる構成も好みです。
 最後のおちんちんアプリ。スマホで出来る愛撫って意外と限定されてるよね、というバランスが丁寧。この手の不思議アプリ系のエロ漫画読んだことありますけど、スマホ上の操作では到底無理な刺激を与えてるのがほとんどだと思います(もちろんそれはそれでアリ)。タップと指の腹で擦るしか出来ない、という慎ましさが良い。

『真面目な子』「タカシ」

 作者名で「今回はどっちだ!?」と身構えてしまうw しかも前回の『思い思われ』と違ってどっちか判断がつきにくいタイトルですよね。深読み、裏読みを誘うようなタイトルが秀逸。闇全開でも描けそうな家出少女という題材も良い。初読時の緊張感が他では味わえなくてクセになります。その「このまま大丈夫か?」という緊張って劇中の主人公の感情とも近い気がするんですよね。すごいメタい視点で読んでるようでそれ以上に没入してるのかもしれない。すごい読書体験……。
 闇展開を(勝手に)危惧してしまう一因が教師と生徒の社会的に許されない行為にあると思います。そもそもがアウトな話なので、話として暗黒に落ちていってもおかしくない……? となるんですが、物語のオチでその2人の問題が完全にクリアになる。あの混じりっ気なしのハッピーエンドが見事だったと思います。周囲のリアクションも割と好意的な感じで優しい世界ですよね。100%の確信を持ってハッピーエンドを迎えるのも力量だと思います。エピローグを2ページと多めに取っただけのことはある読後感でした。

『音にのせて』ミカリン

 アニソンDJに捕まる話。ただのDJでも話は成立するんですが、アニソンDJにすることで、普段クラブに行かないような人が興味を持つ、みたいな説得力、リアリティーを生んでますね。
 んで、本作が面白いのはその時間軸。現在と過去、2つの時制を行ったり来たりする構成になってるんですが、セックスが描かれるのは過去。現在の方は思い出に浸りながら遠隔バイブで弄ばれる。回想がメインになる話ではあるんですが、一概に回想だけの話とも言えなくて、印象的に現在パートが差し込まれるんですよね。さらにはクライマックス、いざ射精……の瞬間、場面が現在に移ってヒロインが絶頂。すごい面白い。実験的、挑戦的とすら思います。もちろん回想パートの射精間際から現在の絶頂がシームレスに繋がっていくので漫画として見たら違和感ないエロの盛り上がりなんですが、要はバイブでイッちゃっただけの話ですからね。現在は。それを演出によってセックスの追体験としてあれだけ説得力を持たせたのが見事だったと思います。

『正しいオナホの使い方』gonza

 オナホ開発の主任にテストを頼まれる話。主任がエロいわけではなく、仕事に対してバカ真面目というのが良いですよね。決してエロに積極的なのではない彼女がなぜかオナホ責め、そしてその先へと続いていく展開、ロジックが楽しい。よく考えたらオナホのテストだったら主人公が自分で使うのが普通だと思うんですが、なぜか主任が直々に使ってくれる。主人公が要求したのもありますが、「本物以上」という比較なので自発的に動かすのではテストにならない、という意味でも成立してたと思います。本物との比較なので視覚情報も欲しいなぁ、よく考えたら童貞だから本物知らねぇや、と要求が加速していくのも最高です。もちろん要求は図々しいんですが、言ってることとしては間違ってないw そこまでの展開がギャグっぽくて楽しいんですが、いざ本番になるとヒロインが思いの外快楽に弱いので、エロへの加速もすごい。オナホとの比較だからあくまでもチンコにどのような刺激が行くか以外は考える必要がないんですが、彼女が気持ちよくなるための行為が連続していく。体裁を忘れてエロに没頭していく感じが素晴らしい。男が暴走して支配的になるだけでもないバランスが良いですよね。妊娠の可能性についてヒロインの方から確認を取るのとか適度に冷静で面白かったと思います。女上司としての良さを残したまま、ですね。

『ママハン ラスト・ハント』七尾ゆきじ

 最終話。少年たちがママをハントする話かと思ったら元凶はとあるママにあって……という展開が衝撃的だったんですが、今回はその集大成。ラスボスである叶さんが完全に支配した乱交。今まではメインでもあった少年たちがただの竿要員としてしか描かれてないのが特徴的ですね。もはや顔もセリフもないレベル。体格で何とか少年と把握できるくらいのバランスですね。それだけ叶さんが支配していて、少年たちは彼女にコントロールされてる状態。ほとんど叶さんが他の全員を犯してるような状態ですよね。ここまで極端なバランスになるとは思わなかったので驚きでした。今までは少年たちの生意気な言動とかなかなかキャラ立ってたと思うんですが、それらが消失してしまうほどのラスボスの存在感。 “普段の母親としての自分は忘れて” というセリフが印象的だったんですが、これは女同士、母親同士の関係性にフォーカスした人物配置ならではですよね。少年たちが調子に乗ってこれを言うのだと説得力が全然違う。

『Pee♡フレンド』秋白秋乃

 本号2つ目のおしっこ。主人公がまずド級の変態で、変態の語りで始まるのが衝撃だったんですが、そんな彼女が彼女以上の変態のヒロインに出会って支配される。そこに竿役として出てくる先生がまた良い感じにキャラ立ってるのが良かったですね。三者三様に変態w 秋白先生だと2作前の『イイ先生もラクじゃない?!』も女性主人公が男を支配してる変態ヒロインに出会って支配される作品で、そこでも男が妙にキャラ立ってて面白かったんですが、本作だとツッコミ役だった主人公も変態になってるのでパワーアップがすごいw どちらの作品でも竿役の先生は顔を隠してて滅私……かと思ったらめちゃくちゃクセが強いというか、自我剥き出しなのが独特ですよね。キャラを殺したいのか立てたいのかw
 全員変態なせいでもあると思うんですが、支配による主従関係は基本としてあるんですが、全体的にハッピーな雰囲気すごいんですよね。類は友を呼ぶで3人が収まるべき関係性に収まった、みたいな。変態でハードではあるんだけど、ライトな感じがすごい良かったです。支配が逆転する展開にもなるんですが、快楽を追求した結果であり、決して下克上という火事ではなく、翌日以降は再び3人で仲良く……というオチなのがすごく良い。

『Next♡Stage』ザシャ

 WEEKLY快楽天エロマンガアカデミー」での描き下ろしイラストの子だ!!! 当時の感想にも書きましたが、あのアイドルの子めちゃくちゃ好きだったので漫画として読めるの本当に嬉しいです。ムチムチ感もそうですが、単純に衣装の可愛さとかも最高なんですよねぇ。ありがたいサプライズでした。まぁ、私の勘が悪いというのもあるんですがw
 アイドルが担当マネージャーに恋していて、マネージャーが異動になったのを機に告白する話。読み終わってから20ページと気づいて驚いたんですが、とにかく濃いんですよ。もっとページ数あると錯覚しましたw ドラマもしっかりしてるし、キャラも多い、もちろんエロも大満足。アイドル3人のちょっと百合的な雰囲気のおかげで序盤のドラマパートも普通に眼福ってのが大きいですかね。ライブシーンでプロのスイッチ入った状態も見れるし、シャワーシーンでおっぱいも見れる。エロい場面ではなく、女の子同士の恋バナとしてシャワーシーンがあるのが意外性あって良かったです。短い読切だとどうしてもおっぱい出たら即エロ、みたいな連結しちゃうじゃないですか。しっかりキャラクターや女の園としての魅力を見せつつのシャワーシーンになってるのが絶妙。
 告白してエロ突入なんですが、残りの2人に応援されながら、見守られながら、というのも良かった。見られることによる変態性というよりは(それもあるかもしれませんが)、とにかくキャラの魅力ですよね。エロに繋げるための告白……メタい見方をすればそりゃそうなんですが、読んでるうちはそんな気が全然しない。
 直接のエロとは違う場面で恐縮ですが、告白とセックスの間、橋渡しとして行われるキスシーンがマジめちゃくちゃ良かった。たっぷり2ページ費やしてゆっくりとキスしていくんですが、ここでの「するのか!?」「しちゃうのか!?」という煽りが最高なんですよね。様々な角度からのショットへ次々に移っていくので「したのか!?」と意識がぐーっと集中させられてからの「したー!!」という盛り上がり。キスだけでこんなに燃えたの本号では間違いなく唯一だし、最近の中でもかなり珍しいんじゃないかしら。最高でした。

『童貞格ゲーマーVSギャル』赤木クロ

 本来なら住む世界の違う2人がゲーセンで出会う、という設定が良い。オタクとギャルの話は割と人気のジャンルですが、あえての学外。互いにはみ出し者である2人が出会う場として、共通の趣味を一発で分からせる場として、知らない人同士が声を交わす場としてゲーセンが完璧。あまりゲーセンに縁のない人生を送ってきましたが、ちょっとゲーセンに憧れを抱いてしまうような魅力がありました。
 そんなゲーセンでの2人の交流、導入のパートがすげぇ良かった。ギャルの他人との距離感が異常に近い感じや、明け透けだけど根は良いヤツみたいなのが伝わってくるバランスがすごく良い。ギャルがギャル性を失わないままゲーム好きという共通の趣味で仲良くなっていく感じが最高。ゲーセンに行ったらワンチャンあるか?? とか夢を見てしまうような良さあったと思いますw
 からの良い話なんですが、1回主人公のちょっと間の抜けた修行みたいなのを挟むのも良かったですよね。ギャグっぽいんだけど、ヒロインは「きゅんっ」と来てるので「アリなんかいw」とちょっと笑ってしまいました。笑ったんだけど、気持ちのみに着目すれば確かに良い話だし、きゅんと来るのも納得なバランスが良いですよね。そこまで真面目になりすぎず、適度に良い話。
 修行のくだりで読者の視点が一瞬ギャルに移るんですが、本番になると再び主人公視点に戻る。やっぱギャルに攻められ……ではなく優しくリードされるのが魅力ということなのでしょう。分かる。すごく分かる。ギャルだが優しい、優しいがギャルという良いとこ取り。

『教えて!有名作家のなりかた』山田こう

 同人誌のイベントで騙される話。あの世界全然知らんのですが、この犯行マジであるんじゃない? とか少し心配になってしまったw 本作はすごいギャグベースだし、細かい言動がデフォルメはされてるけど、これと似たような被害にあった人とかマジでいるんじゃないかしら。セックスに至らないにしても。作家本人がコスプレしてるとこういう情報の格差が生じるよなぁ。それが可愛いと目を付けられるわけで。
 んで、有名作家だとウソついてヒロインを好きなようにするのが本作の味噌で、ウソを通すために有名田先生(偽)が謎の語彙力を発揮する。ここがとにかく面白すぎる。単純に笑えるんですが、エロに詳しい有名作家のフリだから仕方ない、という意図が感じられるのが面白いですよね。雑な計算だし、雑な演技なんだけど、そこがエスカレートするほど「こんなんに騙されるんかい」と笑ってしまう。ヒロインは追いつめられてて必死、という土台があったのもうまく利いてる。めちゃくちゃなギャグのようで何気に丁寧な構成。
 状況が状況なのでヒロインの方から自主的にアピールしないといけない、嫌だけど彼女から迫る、という捻れた関係性で本番に向かうのも面白かったです。脅迫と構造としては同じなんですが、読み味としてかなり違いますよね。そこまで深刻じゃないw
 個人的にすごいグッときたのは、パイズリが終わって、本番に行くかどうかの間の部分、ヒロインが休憩しつつ悩むんですが、ここで1コマだけメガネを外すんですよね。これがすごいアクセントとしてすごい可愛かったと思います。あそこで彼女の素がむき出しになるような感じありますよね。やはりメガネは良い。外すというアクション込みで好き。

『ぎゃるぱら! ~平行世界でセックス無双~』池瀧玩具店

 後編。異世界転生しての無双かと思ったら、まさかのSF、ディストピアみたいなオチを迎えるので驚きました。驚いたんだけど、セックスがない世界、民衆がセックスを知らない世界の説明としてかなり納得度が高いので最高。『徳川セックス禁止令』じゃないけど、お上がセックスを禁止、支配してしまった世界。伝道師とか呼ばれるので、こっから『ぎゃるしん』のシリーズに繋がるのかな?? とか一瞬思ったんですが、そっからの急展開にやられました。これは面白いわ。前編と後編でエロとしてのジャンルが全然違うからすごい。前後編の展開としても面白いし、2つセットとしても見事だったと思います。
 前編で描かれたようにヒロインがかなりぶっ飛んだキャラクターなので、今回可哀想な目に遭っても割とハッピーなノリを維持するから面白いですよね。話としてはディストピアなんですが、そこまで重苦しい感じもしないから不思議。彼女ならこの世界でもやっていける、という謎の信頼感w ラストのピースが快楽堕ちとは違う味わいですよね。あの扱いを受けてあの心からであろう笑顔。あの状況の笑顔で可愛いと思えてしまった自分に驚きましたw

『萌ゆる歯は腐肉を噛み』なまえれんらく

 社会のはみ出し者と言えるような2人が偶然出会う……と書くと感想が『童貞格ゲーマーVSギャル』と同じになっちゃうんですが全然違うw(どっちも良い) ヒロインは良いとこの子っぽくてそれ故に居場所がないようなんですが、男の方がすごい。トイレの鍵壊すとことかギャグっぽい雰囲気ありましたが、作品全体のトーンがそれだけでは済まないんですよね。天然で非常識なのか、ひょっとしたら何らかの障害が……みたいな雰囲気がすごい。決してそこがメインになる作品ではないんですが、唯一無二の存在感だったと思います。
 そこから2人が求め合うようになっていく……みたいな簡単な話じゃないのも良い。そんなに甘くないw ヒロインが支配的なのは間違いないんですが、圧倒的な肉体の差によって主従が逆転するような瞬間がクライマックスの前に訪れるのとかすごい緊張感で引き込まれました。だいしゅきホールドとは逆で、足で男を押し退けるようにする体位もすごい新鮮で初めて見たんじゃないかしらってレベル。ただ、下克上って感じのオチになるわけじゃないのも面白い。彼が最後までコントロール下にあるのは間違いないですよね。エロ漫画だといろいろ単純化されがちだけど、本作はそれと逆方向。
 タイトルにもある「肉」「腐肉」というモチーフもめちゃくちゃ良かったです。肉屋というロケーションの不気味さも雰囲気ありますし、そこからトイレ、明かりに集まる虫、そして餌付けプレイ。退廃的な雰囲気が作品の魅力として圧倒的……だったんですが、2人のエロが始まると突如として差し込まれる「花」もコントラストとして素晴らしかったと思います。あの瞬間から彼女の人生が色めき出すというか。そんな花と肉が最後のページでは……というのもオシャレなエンディングでした。

『ぼくたちおんなのこ』隣乃えすいち

 新連載。最初は一挙2話掲載で#1と#2。余命宣告され、性転換し何とかチューバーデビューする話。○日後に死ぬワニマガジン……とか冗談を言おうと思ってたんですが、本家が炎上しちゃったんだよなぁw
 格上チューバーと遭遇して一気に物語が動き出すんですが、人物紹介として出てくる「登録者数」が完全にバトル漫画における戦闘力なので笑いました。
 激辛対決になるんですが、「この作品はどこに向かっているんだ」的な興味を抱いていると突然の回想。急にエロ漫画っぽい内容になるギャップも面白いんですが、焼きそばのトラウマとしてこんな展開を見せるとは……という驚きが楽しい。連載なので他の読切作品とは一線を画してるのは間違いなく、そもそもエロが出てくるのかも分からない……と思ってたら回想の中でのエロ。毎話この手のエロが入るかはまだ分からないんですが、この油断ならない感じ楽しいです。

『絶倫マンション』東雲龍

 性欲が強すぎて嫁に逃げられたシングルファーザーの主人公がマンションの住人であるよその奥さんに家事の委託をする。見返りは当然……という設定が面白すぎる。男の夢としてハーレム願望ってあると思うんですが、その夢物語と離婚、マンション、人妻というリアリティーのある設定のギャップ、すり合わせがすごい良かったです。もちろん本作の設定も荒唐無稽ではあるんだけど、マンションがそのまま俺の城になっていく過程がセックスファンタジーとしてすごい魅力的。1人と結婚するには有り余る性欲が、無数の奥さんを相手にする場合は王としての資質となる、みたいな価値観の転換が面白いですよね。弱みがそのまま彼にしかない強みになる。
 そんな絶倫マンションというシステムが完成し、時間が経ち、子宝マンションとして噂が広がり住人の循環も続いていく……という余韻のあるエピローグも見事でした。主人公の子供の成長で時間経過を示してるのとかすごい気が利いてたと思います。最後のページで初めて住人の旦那が出てきたのもスパイスとして良かったですよね。決してホメられたものではない、だけどそれ故に奪い取る快楽があるのも事実、みたいなバランス。

forms.gle

 終わり。大変遅くなってしまいました……。1ヶ月かけて書くもんじゃないですよね。まぁ、隔月になったのですぐ次号ということはないんですが、読者アンケートの締め切りがギリギリw(4/1まで)
 来月こそはもうちょっとマシな更新を目指します。毎月言ってるんですがw 今月はスタートダッシュそこそこ成功したと思ってたんだけどなぁ。

 そんなアンケート。面白かった3つは『もっとSwimmy!』『Color mixture』『ドッグガール・ウルフボーイ』かな。優勝は『ドッグガール』です。マジ超好き。