北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2020年4月号の感想

快楽天 2020年 4月号
快楽天 2020年 4月号

 今月はあとゼロスとホットミルクやりたい。てか快楽天とホットミルクを毎月固定でプラスアルファという感じが現実的な中での理想かなぁ。
kitaku2kitaku.hatenablog.com

Happily ever after』Hamao

 親のパン屋が改装(たぶんローン)を金がなくて借金したと勘違いしたヒロインが暴走。あまりに1人で話を進めるのがおかしいんですが、妄想として出てくるAV出演のイメージが迫力あってなかなか魅力的でしたw AVだから修正がモザイクになってて芸が細かい。さらには、そのAVのジャケが今号の快楽天の表紙デザインになっている始末。面白い。Hamao先生はこういうギミック的なアイディアを詰め込むイメージあって好きです。表紙のイメージで本編読み始めると「こんな子だったの!?」と面食らうんですが、あの表紙イラストはあくまでも妄想の中のAVジャケなのでそりゃ本来の姿とは齟語がありますわな。本編の制服姿も可愛かったんですが、表紙(=AVジャケ)の格好もめちゃくちゃ好みでした。ジャンパーの中から可愛い下着が出てくるとか最高ですね。本編だと割とすぐ下着脱いじゃうんですが、まぁキャラクター的に初々しさが魅力的な場面ですので難しいですわな。あの脱いだシャツをきれいに畳んでるコマとか、上は脱ぐけどスカートは穿いたままとか素晴らしかったと思います。
 ヒロインの勘違いがなかなか荒唐無稽ではあるんですが、そのあり得ない勘違い、あり得ない誘いに対して主人公が天使と悪魔の葛藤に陥るので笑いました。勘違い単体だとかなりフィクション度が高いんですが、それに対して “ひょっとしてこのまま紬とヤれちゃうの?” という冷静な2択が出てくることによって急にリアリティが出てくるから不思議です。悪魔の囁き、都合のいい解釈をして揺れちゃう感じ分かりますよね。あと、小さいコマなのに天使と悪魔のデザインが凝ってて可愛かったです。ちょっともったいないくらいというか、コマの小ささと魅力の濃さがバランス取れてないレベルw
 そんなこんなでヒロインに負けじと主人公も可愛いから困る。エピローグのボコボコの顔とか良かったですよねw 主人公は小さいのでヒロインとの間に身長差があり、2人が抱き合うとおっぱいに顔を埋めるような体勢になる。これがね、本作の醍醐味でしたね。冗談みたいな勘違いから始まる話なんですが、あの抱き合う場面でグッと良い話的な雰囲気が生まれるから面白い。そんな抱擁がクライマックス、射精に向けた盛り上がりで再び描かれるのが本当に良かった。彼女が体を伸ばすと顔に届かずキスが出来ないってのは虚しくもあるかもしれませんが、おっぱいに埋もれるのは多幸感あると思います。2人の関係性において最も基本的な形があの包容、という感じでドラマの蓄積による感動もありましたね。
 エピローグ。殴った拳も痛い、とか言えばまだ言い訳できたと思うんですが、あの気まずい間が生まれた時点でアウトですかねw

『うぶえん』おから

 ウブで援な話。ヒロインがオッサン相手にウブを演じるけど、オッサンが思わぬ強者で……。生意気な子に逆襲するとかではなく、本当にウブな子がワケあって売る話でもなく、あくまでも慣れてるヒロインが演技するというのがポイントですね。オッサンが演技を見抜いてたという解釈もまぁ成立するとは思うんですが、基本的にはそういうことではなく、単純にオッサンが満喫しようと張り切ったらそれがヒロインの想定を越えるレベルで堕ちる話。最初は余裕ないフリをしてたはずなのにオッサンが徐々に本気出すにつれフリがフリじゃなくなっていく過程が面白かったですね。ゴムなしの延長戦を認める、求めるようになるところで終わるので「続き見せてよ!」という気持ちにもなるんですが、やはり堕ちるまでの流れが本作の醍醐味であって、堕ちた瞬間がクライマックスなんでしょうね。それも分かる。
 ゴムの件とも通じるんですが、冷静になってオッサン、意外と良い人……は言い過ぎだけど(買ってる時点でw)、強要的なことは一切ないんですよね。序盤に断られたキスを最後までやらないまま本作が終わったのが意外でした。ああいう描写あると「快楽堕ちして彼女の方からキスを求めるようになる」とか想像したんですが、そう安直ではありませんでしたw オッサンは意外と言うこと聞いてくれる。まぁ、最後まで追加料金的な話が出なかったので、オッサンとしてはしてやったりだったのかもしれませんね。
 ヒロインとしてはウブを演じてるので最初に受けに出てしまったのが敗因っぽいんですよね。皮肉で面白かったです。まぁ、仮にギャルっぽくがんがん攻めるスタイルだったとしても返り討ちにあう可能性があるのですがw

『Just a moment』Noise

 前号掲載の『Only Now』の続編……と思ったら前日譚? キャラクターの名前をぼんやり覚えてたのでピンときましたが、終わりの方になるまで気づかないってパターンもあり得るんじゃないかしら。シリーズの作りとしてすごい面白いんですが、とにかく前作との繋がりが薄い。いや、薄いとも言い切れないんだけど……という不思議なバランス。まず前作の主人公がなかなか出ないんですよね。前作は姉の彼氏とやっちゃう話だったんですが、今回はその姉とその彼氏の話。そしてポイントとしては、前作との時系列について序盤はよく分からない。ここが面白い。普通に続きだと思って読むと、前作のことを知ってる人が1人もいない続編という認識になる。読者だけが前作の事実を知っていて……というのがめちゃくちゃ面白かった。前作では寝ぼけながら襲いかかってたのですが、本作では草食で「なんで手ぇ出してくれないの?」と彼女(姉)に思われてるのが笑えますね。お前そんな奴だったのかよw
 セックスが盛り上がってくると思ったら、妹が帰宅。エロの盛り上がりと話としての盛り上がりが一致してるのが見事ですね。前作の主人公が満を持して登場するのでアガります。前作で言ってた「見ちゃった」が今回のラスト、ということになるのかな。
 んで、妹は部屋に入ってきてしまうのかー、というところで終わるんですが、描写が小さすぎてすごい勇気のある演出するなと思ったのが、2人がイク寸前、背景に映ったドアノブが下がってるんですよね。ここで妹側の視点、描写は一切ないんですが「入ろうとしたが止めた」という事実がハッキリと分かる。そのことを2人は知らないんですが、 “例えそこにいたとしても” “何も言わずにスルーしてくれるかな” という最後も面白かった。確信はないけど、別にどっちでもいいや、という軽いスタンス。重く受け取り、心に爪痕を残す妹と対照的すぎますね。

『Neighbors』スミヤ

 変態女子シリーズの3作目ってことになるのかしら。今回はエロ妄想が止まらない子の話。大学入学、18禁解禁ということで妄想と現実の境がつかない序盤のパートがまずめちゃくちゃ楽しかったです。妄想に入る助走みたいなものがまったくないんですよね。ぶっちゃけああいう飛躍があっても「エロ漫画だからな」で納得しちゃうじゃないですか。振り返る描写が入ってようやく「妄想だったか」と気づく。現実だと思ったら妄想だった、って映画『ジョーカー』かよw
 そんなエロ漫画あるあるみたいな展開をメタ的に描く序盤が楽しかったんですが、中盤から本題。本作の要であるヒロインの妄想を覗き見するキャラクターが出てくることで物語が動き出す。タイトルにもある隣人が薄い壁を通じて彼女の妄想オナニーを聞いてしまう。頭の中の秘密が漏れてしまうメタファーであり、ロジックとしても秀逸だったと思います。アパートの部屋がそのまま彼女の脳味噌の象徴でその中身が隣人へと漏れ出てしまう、という話。その後はコミュ障同士の交流として微笑ましくもあり、ドキドキもしますね。大学デビュー失敗という共通項で2人が一気に近づいていく感じとか普通に良く出来たロマンス。考えるだけで行動できない彼女と、見た目を変えるという行動に出たけど見た目がいかつすぎて失敗した彼。それぞれ頭の中と外がおかしい。
 念願の本番。読者としてはヒロインが処女なのは分かってるんですが、彼女は知識とシミュレーションだけはすごいので、彼女の言動を見て彼が “はじめてなのかよっ” と驚くラストが笑えました。たしかに、あの言動は誤解するw 痴女じゃなくて単なる耳年増だと分かっていたら本番での彼の行動も少しは変わったのかもしれませんね。たぶん童貞だと思うんですが、相手が経験豊富だと思って張り切ったというか、背伸びした部分もあるんじゃないですかねw

『図書室ではお静かに』木下由一

 某妄想女子の作品で有名な作者の成年向けデビュー作。この直前に妄想女子である『Neighbors』を配した編集部は確信犯だと思うw
 引っかけの仕掛けとなってる導入、アバンタイトルが秀逸。まぁ、「あのギャルっぽい子で見たかったよ!」となる可能性もあるとは思うんですが、作品として考えたら文句なしに面白かったです。派手なカップルの話かと思ったら一見地味にも見える図書委員2人が図書室で既におっ始めてるw 「こっちかよ!」と笑ってしまいました。冒頭で「ギロリ…」と派手カップルのことを睨んだのは「うるさい」という意味もあるんでしょうが「邪魔だよ」でもあったのですねw
 最初は2人揃って顔出しつつ机の下で……だったのが、交代制で片方が机の下に潜るようになる。基本的に脱ぐのは下だけだったのが、ある日ヒロインが上を脱ぐようになって話が転換。物語としては友人に “隠れてエロいことできんじゃん!” と言われた際に “そんな変態みてーなことするわけねーだろっ!!” と彼が返したことに彼女がショック。そこで2人がすれ違うんですが、話としての転換ポイントで「おっぱいを出す」という絵としての違いを持ってきたのが秀逸だと思います。変な話、文字無視して絵だけ見てても「ここでフェーズが変わった」とハッキリ分かる。
 あんだけ変態なことやっておいて、急に乙女になるヒロインも可愛いし、すれ違いの解消する2人が青春丸出しなのもギャップですごい魅力的でした。冒頭がインパクトありすぎたんですが、それが中盤にも利いてくるというか。
 いよいよ本番。ヒロインだけ机の下に潜って業務しながらの挿入。それが盛り上がって業務を放棄して抱きしめながら、キスしながら続行となる展開が良かったです。エロ的な展開が図書委員としての動きとリンクしてるのが秀逸ですよね。そして、その職務放棄中にやってくるのが冒頭のカップルってのも良かったです。エロそうだった彼女は至って健全に図書室に本返してるのに、図書委員の2人は……というギャップですね。好き好き言い合いながら盛り上がるのが青春で最高なんですが、他の生徒が現れることで沈黙を強制されるんですが、それが緩急となってて良かったですよね。冒頭の仕掛けもそうですが、生徒がいなくなったら我慢してた分を解放、みたいな盛り上がり。

『夫婦の秘訣』ヨイコノtt

 秘密じゃなくて秘訣。遅漏で悩む夫のためにヒロインがSMに行き着く。それを知るのが「んほぉーたまぶくろ」なので爆笑しました。小ネタやめてw ちなみに、ヒロインのユーザー名は「woman_co」で、いいね的な「共感した」は69、閲覧数は4545。遊びすぎw
 SMで、やってることはハードではあるんですが、物語としては優しいというか、2人の間には確実に愛があると分かるのが本作のすごい独特な部分ですよね。冒頭、悩む夫が “優子ちゃんはそんなことしなくていいから” と強めに言って後悔するんですが、あの1コマで遅漏の悩みが丁寧に描かれてたのが大きいと思います。「遅漏だと女の子イキまくりで最高やん」とか軽率なことも考えそうになるんですが、負の側面がすごくリアルで誠実。
 最初は照れも見えるんですが、ヒロインが暴走的にどんどんハードな責めに発展していくのが最高。遅漏だから激しめに責めても大丈夫、という話もありますね。
 夫婦の問題は遅漏であることではなく、その悩みを夫が独りで抱え込んでる点、とめちゃくちゃ真面目に、誠実で、優しい結論を出すのも素晴らしかったです。SMの責めがギャグ的なノリもあるので「えっ 良い話なの!?」とちょっと面食らう感じもあるんですが、そこから再びガチSMモードにヒロインが戻るので爆笑しました。夫婦としての問題が解決したが、今回のプレイが終わるとは言ってないw 間違いなく愛はあるが、だからといってSM的に緩くなるわけではない。この一見相反するものが成立してるバランスが本作の魅力ですね。
  “頭おかしくなろ!?” のくだりはコミュニケーションが成立しなくてホラー的な雰囲気も生じるんですが、よーく考えるとその前にあった夫婦としての問題が解決する美しい場面にあったセリフ “私にも心開いてほしいな” と言ってることは同じなんですよね。「独りで閉じこもるな」が今回のキーですので。これマジでめちゃくちゃ良く出来てる。ギャグとかそういうノリにも見えて、そういう意味でも楽しいんですが、夫婦の再生として一貫したメッセージを内包してる。どこまで真面目に受け取るべきか少し悩んでしまうんですがw
 他にもすごい実験的だと思ったのは挿入からの射精がめちゃくちゃ短かった点射精寸前まではストッキング責めで高めて、イク寸前に挿入してそのまま射精。ヒロインが気持ちよくなってるか心配にもなるんですが、冒頭の場面が何気にめちゃくちゃエロいので大丈夫です(何が)。女性に性感がないんですが、同時の男のモノ扱いとしても究極的。彼女の目的としては子作りなんですね。
 エピローグ。ヒロインの目的から考えるに最高の形のハッピーエンド。SMグッズであるギャグボールが子供にバレないため、という新しい意味になってるのが面白かったです。そんで最後にはめちゃくちゃ早漏になった夫の姿。撫でただけでw

『Day dream』さくま司

 女上司。良いですよね。彼女と別れたと言うや否や目を輝かせながら誘ってくるので笑いました。男勝りなのか可愛いのかよく分からんバランスが魅力的。その後もヒロインは主人公に対して「可愛い」を連発するんですが、前から狙ってた、みたいな解釈も可能なんですかね? 彼女と別れたと聞いて我慢できなくなった、と見ると辻褄が合う気もします。エピローグでタイトルにもある夢が絡んでくるんですが、要するにあれ、主人公が気絶した後もキスしまくってキスマークつけたってことですよね。乳首も前半の責めでは手で撫でるだけだったので歯形は後のことだと思います。意識なくておそらくチンコは立ってない状態でしょうから、それでもあれだけ責めたってのはやっぱ好きだったということなんじゃないかしら。まぁもちろんイタズラとしてやったのもアリだし、それはそれで魅力的ではあるんですが。
 プレイとしては、基本的にヒロインがリードするような内容なんですが、かなり頻繁に主人公に意見を求めてくるというか、言わせようとしてくるのが特徴ですね。一方的な攻めなんですが、彼にも主体的な動きを求めてるというか。それが最後、彼が自ら挿入するように促す場面に繋がったんだと思います。あのサイレントで見せるの素晴らしかったですね。頭が真っ白になって体が自然と動いてる感あったと思います。ヒロインがリードする良さもあるけど、最後には彼に任せる、というのが本作の良さ。

『トキハナツ~Become a dog!~』ICHIGAIN

 今号の巻頭にあるカラーピンナップ、『夫婦の秘訣』と本作なんですが、どっちもSMなので笑いました。偏りすぎている……(ありがとうございます)。あっちは女王様ボンテージで、本作は犬扱いなんですが、不思議なことにどちらもカップルに愛があるのが明白なのが面白いですよね。SMを題材にした作品としてはかなり珍しいバランスだと思うんですが、それぞれの作家性なんですかね。ハードなプレイをしながらも「結局は純愛やんけ!」みたいな印象に帰結する。
 よくMのことを犬扱いするじゃないですか。それは分かるんだけど、そこから犬の愛玩としての側面も引っ張ってきたのが本作の発明というか、本作の強みだと思う。可愛いと思いつつ責めたくなっちゃう。矛盾してる気もするんですが「犬」というキーワードで成立してしまうw 主夫であり(結婚してないけど)、ヒモであり、愛玩目的の犬であり、マゾとしての犬。ヒロくんが究極生物に思えてきたw
 『夫婦の秘訣』だとSMが始まるとヒロインの心情描写がなくなって何考えてるか分からない不気味な他者としての側面が強く打ち出されるんだけど、本作はまったくの逆。プレイが激しくなればなるほどヒロインの心情が描かれ、ハードな責めとは反対に萌え狂る。ただ、ヒロくんのド級の変態なので素直に感謝の言葉も言えなくなるのとか爆笑でした。互いの望みが完全にマッチした関係なはずなのに、彼が完璧であるが故に心配になってしまうのとか笑っちゃうんですが、ちょっと変態カップルだとあるあるなんじゃないかしら、と感じてしまうほどに説得力ある。ラスト、ヒロインが賢者モードになるくだりとかすごいリアルですよね。いや、こんな関係になったことないし、聞いたこともないんだけど、リアルに感じてしまう。
 そして、続く。続くんかい。オチがついて完結した感あったんですが、これはありがたい。女性キャラが増量するらしいんですが、ヒロくんが最強すぎて女性1人じゃ足りないってことかしらw

『おかけん』伊丹

 オカルト研究部。インチキ除霊という名目で女子部員にセクハラしてたら……という設定がすごい。コミカルに描かれてるけど、インチキ除霊による性犯罪ってめちゃくちゃリアルな奴だw ちょっと悪行としてリアルなのでどうなるのかと思ったら本物の霊が出てくるのでさらに笑った。除霊インチキじゃなかったよ!! 悪霊がヒロインに憑依することで「全員悪人」になるのが見事でしたね。いや、正確にはすべての被害をヒロインが背負うことになるんですが、霊が勝ってもオカ研が勝っても問題ないというか、どっちにしてもある意味ハッピーエンドになってしまう。
 伊丹先生、前作の双子ものもデザイン的にもキャラクター的にもすごい可愛くて好きだったんですが、本作もめちゃくちゃ可愛い。マンガチックなデフォルメがすごい好みの案配です。てか、本作は双子じゃないけどヒロインが2人いる形になりますね。特殊だけどw メガネの子もめちゃくちゃ可愛かったけど、ギャルっぽい霊の子も捨てがたい魅力ありましたね。そっちの姿でも見たかったというか。憑依によってキャラデザとキャラクターがスイッチすることで、その両方も魅力がより際立つ効果もあったと思います。見た目はメガネの子だけど、中身はギャルっぽい霊の子で……とか考えながら読むとそれぞれの人格の違いがより強調されますよね。作品を深刻なホラーに染める可能性もあった霊の子が、メガネの子の日常的なセクハラ(ギャグ調)によって撃退されるのとか最高でした。水と油の2つのジャンルが混ざってる感ありますよね。それがそのまま2人のヒロインのキャラ萌えってことなんだと思います。

『現代エルフと異世界婚』Beなんとか

 エルフとの結婚。時間軸としては1つなんですが、結構な数の衣装が出てくるのが嬉しい。民族衣装っぽいのと学生服がイメージで出てきて、本編としては裸で登場、からの寝間着、そしてエロ下着。出る順番も良かったですね。エロと可愛いが交互に来てる。
 エルフで細かい設定もそれなりに語られるんですが、基本的には夫婦のカルチャーギャップという話。国際婚でも全然あり得そうなレベルの話をエルフでやってる。日常感というか、所帯じみた魅力。
 カルチャーギャップの中でも、エルフはセックスへの意識が低い。長寿だから必要性が低い。だから裸族でエロいんですが、あくまでも「低い」なので、「セックスしない」ではないのが味噌ですよね。嫁にムラムラ来ちゃった主人公に対して嫌悪感を抱いたり、不思議に思ったりせず、ニヤニヤと好奇心を示すのが本当に可愛い。やっぱこれエルフじゃなくても、性欲にギャップのある夫婦とかでもあり得るレベルの話ですよね。それですれ違いになると悲劇だけど、その違いを楽しめる理想の形。嫁がちょっかい出してくるのも可愛いし、ちょっかい出してたらムラムラ来ちゃって徐々に雰囲気が変わっていくのもエロい。エロいスイッチが入るのがそれこそ年イチくらいの頻度なので、それ用に準備が用意されてるのとかリアルだったと思います。夫婦でたまにやるセックスは超燃える、けどセックスレスみたいな悲劇性はゼロ、という一見すると矛盾した状況をエルフという設定で成立させてるのが素晴らしかったと思います。エルフという設定がビジュアル以外はあまり意味がないんだけど、それでも夫婦のセックスのエロさを引き立てるのに役立ってるのは間違いない。

『家庭×教師』mogg

 Lesson3「秘密」。第1話は妄想オナニー、第2話は兄妹で、そして第3話はついに先生が実際に……なんですが、この3人の関係性を完全に妹が支配する。このパワーバランスが魅力ですよね。基本的には妹と先生、妹と兄。この2つが交わることで3Pになるが成立するんですが、常に妹を経由する。
 今回面白い試みだったのが目隠し。初回から先生の精神を追い込むような話になるんですが、今回は直接のエロであり、目隠し。自分からは動けず、視界も奪われる。ちょっと自由の利かない妄想の世界というか、夢の中にいるような感覚もありますかね。この目隠しがさらに面白いのはお兄ちゃんの投入。妹と先生のセックスにおいてチンコが外部発注されるような扱いなんですが、目隠しなのでお兄ちゃんの人格は先生の中では成立しないというか、建前上は妹とのセックスなんですよね。お兄ちゃんはほとんど喋りませんし。もちろん2人いるのは目隠しされても分かるんですが、体裁として、言い訳としてお兄ちゃんの存在が消えてるというか。先生視点でもマゾ的なんですが、お兄ちゃん的にもマゾい魅力がすごかったと思います。ラストシーンがまた芸術的ですよね。クライマックスでお兄ちゃんが主体的に動くんですが、出したあとはそそくさと退場し、扉の隙間から残った2人(先生の目隠しが取れる)を眺めて劇終。かっこよすぎでしょ。3人で得たセックスの余韻を妹が独占し、それを先生に分け与え、お兄ちゃんの手元には虚無。堕ちた先生の表情がエロいんですが、それは妹のもの。

『仲良くしてね』いだ天ふにすけ

 今までのWEEKLY快楽天で最も話題になったのが『業務』じゃないでしょうか。早速本家にやってくるのがドラマとして熱いですね。
 『業務』は今読んでも不思議な作品で、男性視点でハードなSM関係になるんですが、Mのヒロインに支配される、みたいな感じでしょうか。プレイ中は間違いなく主人公が支配的なんですが、そう単純じゃないのが余韻として強烈でした。ちなみにそんな『業務』カップル、本作の劇中にもナマコを買いに来る客として登場するのでWEEKLY読者として嬉しいです。端から見ると普通にナイスカップルな感じしてまた良いですね。逆に考えると、壮絶なラストを迎えた本作のカップルもひょっとしたら後々はこのような微笑ましいカップルになってる可能性もあるのかもしれない。
 んで、本作。今回もハードなSM関係で、最終的に首締めまで行くのでマジビビったんですが、業務と違って本作は女性視点。ヒロインの方が年上なので彼女主導のセフレ関係かと思ったら徐々に相手の狂気が露わになっていくのが迫力ありました。『業務』と同じで相手が底知れないエロを抱えていた、という形式の話ではあるんですが、女性視点になるとやはりストーカー的な怖さもかなり生じますね。それで単にサイコホラーみたいな話かと思いきや、ヒロインが自覚すらしてない変態性を彼に見抜かれてる……のか? みたいな余韻も感じなくもない。話が進むに連れてヒロインのモノローグがなくなっていくので、実際のところどうなのか、が気持ちいい形では明示されないんですよね。デフォルメが利いた絵柄が徐々に感情が読みとれない不気味さへと印象が変わっていくので見事でした。

『猫温泉の若女将』アシオミマサト

 猫が可愛い!! 目が大きくデフォルメされた絵も可愛いし、露天風呂に集結してるショットとか夢のような多幸感ありました。もちろんエロとは関わりがないんですが、オープニングとエンディングが猫なので気になってしまうんだよなぁ。
 オープニング、若女将が猫に「おそるおそる」近づいてるんですが、それがまた可愛いので若女将の方にも一気に引き込まれました。「おそるおそる」で彼女のことを好きになってしまう。猫との距離感としてリアルであり、感情が漏れ出ちゃってて可愛いですよね。私もなぁ、猫には好かれたことないなぁ。つらい。
 旅館の最後の客として長期滞在し、若女将と徐々に仲良くなっていく……ではなく、既に仲良い。この温泉での場面エロかったですね。ここで一気に物語、関係性が飛躍するというか。若女将が自ら感情的に伝えるタイプではないので、ある種のミステリアスな魅力あるんですが、それと相まって良いサプライズ。他に客がいないから旅館の場所を選ばず情事に至るのがまたエロかったですね。旅館モノってやっぱそういう憧れが強いから人気のジャンルだと思うんですが、その中でも他に客がいないって設定は特殊な強みだったと思います。

『だってコレが好きなんだもん♡』いとうえい

 フェティッシュなパンツ責めで始まるので過去の『クロッチよりも愛してる…?』を思い出したんですが、本作は変態なのがヒロインの方。この逆説的なアプローチ面白いですね。同じパンツ愛でも全然読み味として変わってくる。そもそも女性が自分のパンツを介したプレイに特別な思い入れを抱く、ってかなり倒錯してるじゃないですか。男の「パンツ好きー!」はかなり幼稚な印象ですが、変態なのが男女逆転しただけで “どうして志帆は…” “そんなに歪んでしまった…?” と頭を抱えるようになるw 精子で汚れたパンツを彼女が穿く場面とか、彼が攻めの関係だったら支配的なプレイですけど、彼女が勝手に暴走してるだけだと賢者タイムと相まってドン引き……みたいな楽しさありますね。ただ、その後の自撮り画像で分かるように、ドン引きはしたもののめちゃくちゃエロいのもたしか、というのがエロ漫画としてうまいバランス。彼女の言い分も分かるというか「本来それは男が妄想することだから!」とツッコみたくなるw
 そんな暴走する彼女に振り回されつつも勃起しちゃう彼も関係性として可愛いんですが、ラスト、彼への「可愛い」がさらなる暴走を喚起するので爆笑しました。まったくの予想外w 女装ではあるんですが、彼女の制服をそのまま着る、というのはちょっと制服へのフェティッシュな欲望としてない話じゃない……まぁやっぱり男が抱くタイプの欲望ですねw 彼女の言い分としては彼に可愛い下着を穿いてもらってそのまま射精させたい、ということでオープニングとやってることの根幹は同じ。女装への飛躍が凄まじすぎて「なんで!?」と驚いてしまったんですが、彼女の言い分にもちゃんと一貫性があるのですねw

『凸凹パワープレイ』肋骨

 1ページ目から水中土下座してるので爆笑。肋骨先生の前作もそうでしたがマンガチックな飛躍とデフォルメの利いたキャラクターに魅了されます。
 そんな無茶苦茶なヒロイン視点の語りなのがまた良いですよね。1ページ目の “そろそろ…” というモノローグで彼女の本性が分かるというか、彼女なりの好きの伝え方なので微笑ましいです。歪みすぎですがw
 要するに大好きな彼がブチギレて下克上してくるのを彼女は待っていた、という話なんですが、最高だったのがエピローグでの語り手のスイッチ。最後に最後に彼視点の “あー やってしまった…” という賢者タイムが描かれる。彼は彼でめんどくさい愛情表現しかできないわけですよね。仕返しだとしてもプレイ内容がハードすぎましたので(ハードすぎて笑える)。この双方向でポンコツな感じがタイトルに偽りなし、という感じで魅力的でした。双方の内心が描かれるのであれだけ無茶苦茶なプレイを見ても微笑ましいハッピーエンドを感じてしまう。パワーバランスが常に「100ー0」か「0-100」と極端すぎるんですよねw

コントラスト』江口ジョーズ

 あかん、小動物的な、子犬的なヒロインが可愛すぎる。犬耳を生やして「あのね あのね」と近づいてくるイメージで完全に打ち抜かれてしまった……。猫も好きだけど犬の良さはまた格別。
 そんな小動物性を彼女自身はコンプレックスに感じているのも可愛いし、それで彼氏の前で落ち込む様が可愛い。可愛いの無限ループ。
 とはいえ、思春期だとこの感じのメンタル、マインドってのは分かります。他人からの「子供らしくて可愛い」が本人にとっては「子供とかイヤなんですけど」だったりして。それがクラスの男子たちとの関係に集約されてる。自分の女性としての世間的評価を気にする。自信をなくすだけでなく、彼氏にも同じ評価を下されるのではないかと心配になる……のも可愛いから困ったw
 最終的に彼氏に愛されることで自信を取り戻すことになるんですが、自信を得た彼女で終わるのではなく、一皮むけた彼女を見た例の男子生徒たちが「あれ……」と内心で評価を撤回するところで終わる。ヒロインに肩入れする読者としてはザマァと痛快でもあるんですが、同い年の女子はちゃんと女の子扱いしてあげないとダメだよね……という教訓でもあったと思います。その点、ヒロインの彼氏は可愛い子に可愛いと伝えてて偉いんだよなぁ。当たり前ですが、大事ですよね……(学生時代なんてまったく出来ませんでしたw)

『おもいこみブレンド』白菊

 白菊先生、前作がめちゃくちゃ好きで、カップル2人のことを一歩引いたとこから観察するような冷静な視点が印象的だったんですが、今回は逆。タイトルにもあるように思い込み。序盤、徹底的にヒロインの内省に寄り添い暴走にも近い考え事を追っていく……と思ったら誤解したヒロインが取る突拍子もない行動という場面でカメラが一気に下がる。机の下から2人を覗き見するような定点ショットになるのがマジ最高でしたね。この距離感の緩急マジ痺れました。ヒロインが脱ぐ場面なのでエロを見せる内容にしてもいいんですが、脱いだという事実が窺えるだけで彼女の顔も見えないのが最高なんですよね。ここで急に彼女のことが何考えてるか分からない他者になる。誤解からの暴走とか、ちょっと自信のない女の子がひょんなことがキッカケで大きく踏み出すのってドラマとしては割とありがちなんですが、あの定点4コマの場面が本作を唯一無二にしてると思います。その後はまた彼女に寄り添うような視点に戻るので、彼女の暴走に対してキャラ萌えもするんですが、一度あの突き放すような視点が挟まれることで、彼女のことが分かった気になるけど最後までは分からない存在として絶妙の距離感になったと思います。ラストのオチも「そこまで飛躍する!?」みたいな驚きで最高でしたね。いや、分かるんだけどね。彼女の言い分も間違ってるわけじゃないんだけど、というたまに思考がジャンプしてしまう感じがすごい可愛いw
 オチとも通じる話なんですが、相手役の店長、紳士的なイケオジみたいな印象だったんですが、エロに対しては結構積極的で、割とコロッと乗り気になりますよね。一発出しても余裕で2回戦突入するのはエロ漫画としては大正解なんですが、店長として大丈夫なのか? みたいなバランスでおかしい。そんな店長に対してお仕置き……は言い過ぎだけど「ちゃんと付き合えよ!」みたいなツッコミが入るようなオチなので笑いました。
 コーヒーをこぼす、噴き出す、そして潮を噴く。液体が散乱する描写が本作多いんですが、ヒロインのおもいこみ暴走のことを示してるんでしょうね。思いが溢れてしまって制御不可能になり、カップから噴出、みたいな。

『豚とプレゼント』昼寝

 クラスのマドンナ的な子が実はブタとして飼育されていた。この「されていた」というのが大事で、そもそも最初からそうなんですよね。日常から非日常へと移行する話ではない。既に世界のどこかでは非日常が進行していた、という話。ずっと監禁してるのではなく普通に通学もしていたのが衝撃というか、彼女もそれを望んでいるのか? みたいな余地が生まれる。
 ビニールシートを使うディテールの細かさも良かったです。男4人がデブで、本来ならこちらがブタ呼ばわりされそうなんですが、 “ブタ女の汁ですぐ床が汚れるからね!” とビニールシートを絶賛する場面でちょっと笑いました。お前らの汗もあるだろ、と。またこのビニールシートというアイテムが、日常を薄い1枚で非日常が覆い被さる、という意味で象徴的な印象も受けました。非日常によって日常が汚れないように、みたいな。冒頭の学校の場面もそうですが、日常と非日常が表裏一体として同居してる。

『青春リビドー山』位置原光Z

 第17回「Hしないと出られない部屋」。便利エロ設定として重宝がられてるあの部屋について男1女2の心理戦、パワーゲームとして丁寧に描いてるから最高。安易に「エロいことなんてならねぇよ!」と茶化すのではなく、複雑な心理戦の果てに結局エロいことは起こる、となるから最高w 行為そのものは描かれないけど、前後が生々しく描かれるので「いや普通にエロいじゃん!!」と叫びたくなってしまう。徐々に本心が剥き出しになっていくグラデーションがリアルですよね。脱がないって言ってたのに実際の事後の場面では脱いでて「どんだけ盛り上がったの!?」と想像が膨らむ……。

「読者コーナー」

 最後の感想投稿、Noise先生の『Only Now』についてと書かれてるけど、内容が同じNoise先生の『お姉さんに任せなさい』ですね(感想投稿熟読勢)。おそらく投稿ではなく文字を打ち込む際に間違えたか。
 ていうかNoise先生どんだけ描いてるの……とビビりましたw

forms.gle

 終わり。今月はすごい急いで書いたつもりだったんですが、気づけばもう11日ですね。むむむ、もう半分くらいで書けないものか。
 最後にアンケート。面白かった作品3つは『Just a moment』『夫婦の秘訣』『コントラスト』です。今回はキレイに3つ決まった感ある。頭一つ抜けて好きなのがちょうど3本でした。この中で優勝を決めるなら『夫婦の秘訣』。狂ってる……ようで良い話なのが刺さりました。んほぉぉ玉袋!!
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