北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2020年3月号の感想

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 もうすぐ次号出ちゃう……
kitaku2kitaku.hatenablog.com

『水曜日に遅刻』藤丸

 オチ!! なんてオチだよ!! これはやられた。完全にやられましたわ。作者の手の上で踊り狂ってしまった。たしかにね、事前にあったカラーの一枚絵が本編とあまりに関係ないのでそこで気にするべきだったのかもしれない。「パラレルのイラストも良いもんだなぁ」とか考えてたけど、鈍すぎるw
 エロ漫画ってさ、読切のページ数にもよるけど、どうしても不自然なエロへの飛躍をしてしまうものじゃないですか。別にそれが読みたいから悪いって意味ではなく。本作みたいなクラスで特別目立つわけでもない、自己評価も低めな女の子がいきなりチンコ舐め出すのは現実であり得るかと言ったら、まぁあり得ないわけで。その違和感を「そういうもんだから」と読み飛ばしてしまっていたわけですよ。そこに本作のオチでは「なぜなら彼女は○○だからエロへのハードルが低い」と理屈をつけてくるから見事。即座にもう一度読み返したくなる魔力を秘めてますよね。クチで一発出した後の “コレで萎えるハズだったのに…!!” とか、なぜそんな相場を知ってるのか、という話ですね。いつもは一発で萎えてたんだよなぁ。このテクニックで本番を回避する日もあったんだろうなぁ、という話で。やたら「イケメン」という点を強調してて、それはスクールカーストの格差を埋めるエロという意味かと思ってたら、普段の相手が……という話だったのですね。やられた、気持ちいいくらいに印象が反転してしまった。
 自己評価低めだけど、端から見たら超可愛い女の子って割と男が幻想抱きがちなキャラクターだと思うんですが、そこに対して「自己評価低いと○○しがちだよね」とオチを付けてくるのがなぁ!! 本当にニクいことするよなぁ!!

『お世話ちゃん』八尋ぽち

 ヒロインが同級生に彼氏を紹介するところから始まるんですが、この彼氏がどう見てもダメ男で「騙されてるんじゃないだろうか」と心配になる。要するに最初は同級生視点で読んじゃうんですよね。そっから案の定彼氏のダメっぷりが明らかになっていき、それも性的な方面が特にダメで……と場面が2人だけの部屋に移る。このカップルの秘密を覗き見るような順番になったのが面白かったし、効果的だったと思います。2人の性生活について秘密が明らかになる、みたいな意識の流れが読者の中にはある。2人にとっては当たり前の日常で、この日が特別なことをしてるわけではないんだけど、というバランスですね。
 そんな彼氏のダメっぷりがおかしい。ほとんどの読者にとって「こいつのことは下に見れる」と冒頭数ページで分かる。そんな彼氏のことを甘やかしてあげるヒロインの包容力が魅力的に見える、という流れ。
 エロが始まってからも圧倒的に彼氏がダメで、ママと思ってもママと言うなよ!! とか強く思ってしまうんですが、彼らの今までの蓄積もあるんでしょうね。いきなりコレではなかった……と信じたい(そうでもおかしくないんですがw)。なんだけど、エロが進むにつれて、徐々に2人の関係性に変化が生じる。端的に言うと逆転。年の差は大きいらしく彼氏が徐々に主導権を握り始める。以前にまともな性経験があったとも思えないんですが、まぁ最悪お店とかありますねw そっから圧巻の潮吹きに繋がるんですが、この潮噴きがこの2人のドラマとして素晴らしかった。潮って気持ちよさの果てに訪れるアクション、イベントとして女性の射精みたいな扱いになることが多いと思うんですが、本作の場合は大量の潮を噴くことによってベッドが散々なことになる。ここで「お世話」が逆転するんですよね。「甘やかす」の方向性が逆になる。ここまで見てようやく2人の関係性が双方向的で、悪くないカップルだったのか……と見返すようになる。まぁ、冷静に考えるとエロのときだけ頼もしい彼氏ってまずいとも思うんですがw とはいえ、そんな彼との関係でヒロインが幸せに感じているのも間違いないですね。そこに説得力がしっかりあるので「なんだよハッピーエンドかよ」となる。決して快楽堕ちとかそういう話ではなかったですね。第一印象からここまで変わるとはなぁ。驚きでしたw 第一印象の反転って優れた物語の証拠だと思うので、これが味わえた時点で本作は勝ち、という印象です。

『前の席の女』なぱた

 表紙連動。前号の表紙作品でも思ったんですが、雑誌の表紙って発売前から発表されるし、エロ漫画の場合、どんなヒロインなのかをチェックする場にもなるじゃないですか。「こういう子かー」と漠然とイメージを抱いていると、本編を読んでそれを裏切られる。この「思ってたの全然違った!」というインパクトの時点で作品に引き込まれちゃう、って側面あると思うんですよ。ギャルと思ったらオタク趣味で話の通じる子だった、という驚きですね。オタクの願望の具現化として素晴らしいと思います。ギャルにそういう幻想抱いちゃう気持ち、ちょっと分かるw
 好きなアニメをBGMに女の子とキスとか人生の勝ち組感極まってて最高なんですが、その後の2人が初々しくてまたニヤニヤしちゃいますね。主人公の方は “したことあるのかな” と劣等感とか憧れを抱いてるんですが、事が始まれば彼女も初々しい。彼女の方から “吉田ってホントに初めてなの?” とか聞かれる場面とか最高ですよね。彼女も主人公に対して同じ疑念を抱いていたのか? みたいな(冗談らしいですが)。童貞、処女はすぐにそのことを心配する、というあるあるなんだと思いますw
 主人公が “佐藤さんと最後までしたい” としっかり同意を得るのも慣れてない描写として良かったと思います。彼の真面目さでもありますし。あそこまで行っても言語的な確認を取らないと心配ってのが初々しい。
 あくまでも主人公視点に徹底した作品であり、「ギャルかと思ったらオタクだった」がテーマの作品なので、エロパートに入っても「彼女がどう思ってるか分からない」という部分がメインになってるのが良いですよね。コミュニケーションの基本にして神髄だと思います。入れていいのか? これで彼女は気持ちいいのか? と自問自答しながら話が進行する。そして、最後、エピローグで “好きなのアタシだけじゃなくてよかった” と彼女に言われることで完全にハッピーエンド。今更だよ!! って話なんですが、あそこまで行ってようやく好きと言える、相手に言われて初めて言えるってのもオタクっぽくて良いですよね。

『石油王の嫁オーディション』石川シスケ

 きい先生にこのネームは渡せない、みたいな気を使ったんじゃないですかね。そんなことを考えてしまうほど突き抜けてるので笑いました。1ページ目の「この人石油王です」と説明する場面が荒唐無稽すぎて最高。手の平から石油を出す、でショートSFとか作れそうなんですが、あくまでも “やっぱ石油王だ!” と言わせるためだけの描写だからすごい。あの能力まったく意味がないw
 ということで5人の女性を呼んでオーディション。圧倒的な格差を利用して好き勝手するのは序盤で、最終選考ではアピールタイム。あくまでも女性たちが自ら考えてエロで迫る、ようにし向けるのが面白い。何でも命令できる立場だろうに「させる」がメインになる。オーディションならではの味わいがありますね。どんなことを命令しようか、という思考すらもめんどくさがってる感。
 6Pになるんですが、石油王争奪戦なので基本的に1対1を代わる代わる行っていく。この理屈がちゃんと通るのが面白いですよね。アピールであり奪い合いなので普通の3Pとかそれ以上のプレイとはひと味違う。石油王が挿入して楽しんでるところをキスして意識を自分に持ってこさせる、みたいなことも出来ない。あくまでもアピールして、許可を取って、挿入していただく、という行程が独特。常に石油王が優位。
 そんな石油王が行き着いた結論が、彼自身にチカラを与えた彼より上の存在であるアレ、というのも納得できるようで「なんでやねん」なので笑いました。石油王なんだから一夫多妻でいいだろ、と誰もが思ったと思うんですが、その予想を裏切ってくるw

『卒業式』雲呑めお

 雲呑先生こういうインモラルな作品もやるのかー、意外ーとか思ってたら、読み進めるうちに一概にインモラルとも言いづらい。そこが面白かったです。男2女1の3Pだとどうしても女性への陵辱みたいなニュアンスを感じてしまう。感じてしまうし、実際に作品としても序盤は3人がダークな関係だとミスリードするような雰囲気もあったと思います。具体的には主体的に語るのが男性側なんですよね。序盤は。ヒロインが受け身なので幼馴染の性による繋がりを押しつけられてるんじゃないかと思うように描かれてるように思います。体育館に移動して、 “…ステージは?” “やっぱ明海の変態性には勝てんわ” というセリフで印象が一変する。この3人の関係を支配していたのは実は彼女なのではないか、と予想外の角度から殴られる。もちろん田舎特有の閉鎖的な環境が彼女を、彼らを狂わせたみたいな受け取り方も出来ますが、本作が面白いのはすごい薄暗いダークな雰囲気を漂わせながら、カラッとしてる……は違うかもしれないけど、すごい青春っぽい爽やかさも決してゼロじゃないんですよね。あれ、普通に良い話なの?? と徐々に印象が変わっていくのが読んでて面白かったです。「ヒロインが可哀想じゃない」を強調してますし、この歪んだ関係からの卒業を男2人側が積極的に受け入れてて、その変化に対応できないのはむしろヒロインの方、という少しほろ苦いラストも印象的ですよね。まぁ、もちろん男側が勝手にキレイな思い出として過去にしてるけど、彼女としては快楽堕ちしてるのでもう全うな生活には戻れない、みたいな解釈をすれば悲しい話とも読めなくもないんですが。恋愛感情については特に描いていない点も含め、すごい独特のバランスになってますよね。本作のあらすじを宣伝かなんかで読んだ際の印象と、実際に最後まで読んだ印象は大きく異なると思います。そこが読書体験として面白い証拠ですね。

『わがままアプリコット』明石六露

 komifloのコメントで「8割の男性は茉莉ちゃんがエロすぎて茉莉ちゃんがモンハン持ちをしていることに気が付かない」と指摘されてて爆笑してしまいました。まんまと気づかなかった。ラストページでモンハン持ちしてるやないか……。ゲーム好きに向けた小ネタなんでしょうが、実は彼女めっちゃ手練れ、という本作の物語全体のことを示唆しているようでもありますね。隠れた実力者、というのが本作の良さの根幹だと思います。
 妹の友達をエロい目で見てると、妹に管理される話。サブヒロインと言ったら大げさなんですが、妹の友達もしっかり魅力的に描かれてて、聖域としての魅力ありますよね。乳首まで見えるので、序盤では「彼女もエロに参加するのか?」と予感させる作りだったと思います。彼女への下心が妹とのエロにおけるスパイスとして重要なので、友達には手を出さないのが正解だったとは思いますが、やっぱあの手の届かない存在としての魅力は重要だったと思います。単に登場人物が兄妹2人だけだったら本作の味わいはもうちょっと浅いものになってたのではないでしょうか。
 そんな友達をダシにした妹とのエロが秀逸。ハイライトとしては、バレる……という緊張感の場面だったんじゃないですかね。あそこで巧妙な位置関係でバレないのも面白いし、 “コーヒーの淹れ方教えてただけだよ” “あたしは甘い方が好きー” という会話も象徴的。「淹れる」が挿入の意味なのもそうですし、コーヒーは苦くて飲めないという意見が、彼女だけ子供という事実を示してて面白いです。

『Only Now』Noise

 兄妹の次は姉妹。姉の彼氏と……ですね。『わがままアプリコット』でもそうでしたが、年齢差というのがキーになっていて、それを象徴するアイテムとして飲み物が出てくる。『わがままアプリコット』ではコーヒーが大人の飲み物でしたが、本作は酒。 “観音はダメー” と姉に止められる場面がありますが、主人公が疎外される、主人公が孤立する意味として重要だったと思います。
 主人公は姉の彼氏のことが実は好きで……というのが切ない。そこに2人が泥酔してる場に居合わせることで物語が動き出す。主人公が我慢できずにちょっかいを出すのではなく、酔った姉の彼氏が主人公を姉だと勘違いして迫ってくるのが最高。ものすごい変則的ですが、悪魔の囁きですよね。「このまま勘違いさせておけば」という誘惑。積極的に受け入れなくていい、黙っていれば理想の相手と結ばれる、というお膳立てが心情としてリアルだと思います。心の言い訳ですよね。2人には迷惑かけられたし、元々好きだったし、間違えてるのは相手の方だし、そもそもレイプされたとも言える状況だし、という無数の言い訳が主人公を陥落する。黙って受け入れるのではなく、 “こんな場所じゃ妹が起きちゃうでしょ…?” と積極的に姉のフリをしたのも彼女の罪として大きかったと思います。性的合意じゃないですけど、このセリフで確実に彼女は覚悟を決めたわけですよね。こういう心理の機微がすごい良かったです。「今だけ」憧れてたものを享受する喜びもあるけど、「今だけ」だから切ない。ラストページの最後のコマ、姉カップルは腕で結ばれてるのに主人公だけ孤立、という絵面が象徴的でオシャレだったと思います。シンデレラの魔法が解けるじゃないですけど、ものすごいドラマチックな賢者タイム

『あまやどり』楝蛙

 遠距離恋愛。受験前の主人公が上京して彼女と久々の再会。駅から降りてホテルに直行なんですが、ラブホではなくビジネスホテル。この「やるのか? やらないのか?」という緊張感が最高だったと思います。タクシーの中でやられちゃうんですが、あのお預け食らってる感じが最高ですよね。久々なので我慢できずにいるんだけど、彼女も我慢できてないどころか彼女の方が積極的……からのホテルに着いていよいよ何も気にせずに発散。いや、ビジネスホテルなので多少危ういとも思うんですがw
 ホテルに着いたらすぐにシャワー浴びるんですが、浴びながら一発。ここのくだりがろくにセリフがないので超エロかったです。2人とも「我慢できない」という一点で気持ちが合致してる。シャワーの音で埋め尽くされるので感覚のみに身を任せてる感じがしてすごいエロい。言葉がないけど感情が伝わってくるとか見事ですよね。
 その後も徹底的にやりまくるんですが、受験前という設定を踏まえた心理が細かく描かれるんですよね。彼女だけ大学に通ってて “垢抜けたっていうか……” と焦るんですが、受験に合格すれば毎日会える(毎日やれる)と目の前にニンジンぶら下げられるのも燃えますし、結局我慢できずに続行しちゃうのも欲望に忠実で最高。「こんなことしてる場合じゃないんだけどなぁ」という後ろめたさが彼氏側には少なからずあるんですが、それがスパイスとして利いてくる。こういう物語的なスパイスによってエロさがより際立つってのはエロ漫画の醍醐味だと思います。ただ単にエロい絵を見たいわけではない。いや、見たいけどw

異世界エロスとブタ野郎』いーむす・アキ

 異世界に召喚される話。厳密には召喚「する」描写なんですが、そのやってきた主人公がオナニー中で笑った。よりによって貫通型のオナホで、精子をまき散らすw 自宅でも問題ありすぎると思うんですが、風呂場でシコってた可能性もあるのかしら(無駄な考察)。
 とにかく対象の性感を高める魔法を得る。手っ取り早く催眠とかでいい気もするんですが、その回りくどい行程が味噌ですね。快楽堕ちが武器。女性が相手なら無双できるけど、そうじゃなかったらどうすんだ……と話が展開していくのも気持ちいいです。何気にこの手の超能力ものとして誠実な物語構成になってるのが笑える。ちゃんと「どう使って勝つか」が興味の吸引力になってる。大味なジャンルパロディではあるんですが、決して雑ではない。
 からのビキニアーマー。ブタオークに襲われてる。 “ヒキニートの俺にオークは倒せない…” と主人公が苦悩するのかと思ったら魔法の使い道で笑った。「助ける」の方向性が違いすぎるw 凄惨なレイプであるはずなのにそれどころじゃない……。あの精子の海の上に立つのもイヤだわw

『ぱーふぇくとぼでぃ!』オクモト悠太

 ジムに行ったらパーソナルトレーナーが同じマンションの人妻。パーソナルジムってエロい願望抱いちゃうよね、という設定が非常に良い。めちゃくちゃ分かるわ。「実際はそんなことあるわけ……」と分かってはいるんですが、夢を見ちゃう。行ったことないので可能性は2つに1つです(詐欺)。
 女性のトレーニングウェアもエロいし、人妻という設定とのギャップも良い。事故的に勃起がバレてしまうんですが、その際の人妻が満更でもないというか、ちょっと目の色変わる感じがエロいよね。相手の格上感、この期に及んでリードされちゃう感じが理想的だと思います。学生視点の人妻幻想としてマジ100点なんじゃないでしょうか。
 体力も勝てないんだけど、精力と性欲だけは負けなくてそこで人妻に迫る。そこでも満更でもないリアクション。満更でもない人妻、心躍りますね。
 いよいよ本番で形勢逆転……しない!! ここ大事でしたね。人妻が受け身になってたのでリードできてると思ったら、「童貞セックス」呼ばわりされる。喜ばれてるのはいいけど、精神的なマウントは取られる感じが絶妙だったと思います。特別人妻側からハードな責めをしてくるわけでもないし、主人公も主体的に動くんですが、人妻の包容力には勝てず、最終的には体力で死ぬw しっかり「ジム」という出発点である設定を思い出すようなオチが付くのが秀逸でした。

『「……イヤ?」』雛原えみ

 カップルや夫婦の間でもレイプは成立する、という認識が広まった昨今ですが、本作はカップル間の性的合意がテーマなんじゃないですかね。恋愛にまつわる心理戦って恋人になる前がフィーチャーされがちだけど、恋人になってからもあるよね、主に性生活で、という話だったと思います。テーマがいいし、その掘り下げも素晴らしかったです。誠実でありつつ、それでいて説教臭くなく、回りくどいその手間も含めて愛おしい、というような魅力に溢れてました。もちろん完全にツーカーで通じ合ってる状態が理想だとは思うけど、本作みたいに相手のことを思いやりながらも自分の性欲にも嘘つけない、みたいな駆け引きも楽しいと思うのですよ。合意、確認が相手のことを思ってこその発言、行動なわけですから。彼女の目のを見て “いける” とタイツを破る場面とか最高でしたよね。破くという間違ってたら取り返しが付かないアクションというのが象徴的だったと思います。タイトルが鍵括弧になってて当ブログの表記的には非常にややこくて申し訳ないんですが、あのタイトルのセリフはどっちが言ってたんでしょうねぇ? という感じですね。彼氏側がおっかなびっくり確認を取ってるようでもあるけど、すべてを分かった上で彼女が恥ずかしがるプレイに興じてる彼女側の言い分としても成立しそうですよね。
 この話、テーマを描くにあたって、冒頭の同僚の愚痴のくだりでヒロインが “前島くんが気づいてないだけで…” “彼女さんはずっと合わせてくれてたんじゃないかなあ…? その方が円滑になることってあるでしょ” “ま ちょっとニブいとこあるもんね 前島くん” と言うんですが、この一連のセリフが全てですね。前島は本作の主人公の名前ではないんですが、果たして前島のことだけを言ってるんですかねぇ……というところから2人の攻防が始まる。カップル特有のめんどくささなんですが、それを楽しめるのがカップルの特権ですよね。下手にイチャイチャを見せられるよりも羨ましくなってくる……

『籠もり日和』ももこ

 大規模な停電があった十月十日後にはちょっとしたベビーブームが来る、とかまことしやかに言われるじゃないですか。街中でヤッてんのか……とそわそわワクワクするんですが、本作が気持ちを満たしてくれる。生活を心配する彼女と、「そんなことよりも」とやる気満々な彼、という関係性がリアルだし、ホントあんな感じで始まるんだろうなぁという説得力ありますね。彼氏の方が極端にエロくて彼女がそれに振り回されるという感じでもなく、割と自然に彼女が受け入れるのがすごい生々しかったと思います。停電の夜という劇的なイベントがあったんだけど、セックスに入るまでの流れはいつも通り。
 からの前戯が良いんだよなぁ。めちゃくちゃ良い。特別変態なプレイをするわけでもないし、突飛なことをするわけでもないんだけど、ものすごく丁寧。ハードさとは真逆の方向性なんですが、2人の積み重ねられてきた経験を感じるというか、とにかく2人の中でベストの行程、最も気持ちいい流れになってるような説得力。「いきなり○○」みたいな要素が一切ないのが良いんですよね。じっくり、ねっとり、丁寧に順を追っていくような前戯パートが最高でした。彼のが積極的だけど、前戯をやめて本番に行くよう促すのは彼女の方、とか関係性が完璧なんですよね。彼女の方から欲しがる、というアクションをゴムの装着で示してたりと展開がゆっくりながら無駄がない。
 前戯のまったりさもそうなんですが、台風で特にやることがないからセックス、という状況が良いんですよね。時間を潰すためであり「何時まで」みたいな制約がない。急ぐ要素が一切なく、挿入して一度射精してからも何度でもやり直すし、そのまま雑談混じりに続けるし、という感じが生々しくてエッロ。もちろんエロ漫画だからクライマックス的な盛り上がりはあるんですが、2人の中ではそこの盛り上がりに重きは置かれてなくて、むしろ “一緒に住まない?” という会話の方が重要だったりするバランスも絶妙。すごい大事な話だけど、静かに切り出すのが良いですよね。
 例によってコーポうさぎが舞台なんですが、今回台風なので建物に危機が迫る話なので笑いました。場所だけが共通するシリーズなんですが、こういうイベントを持ってくるとは。物語のメインテーマになるわけではないんですが、気づいた人だったら少なからず「アパート大丈夫?」と気になってしまいますよねw

『セーラー服大作戦』ふらつ

 マンネリ打破としてのセーラー服。あくまでもコスプレって部分が大事ですね。かつて着ていたセーラー服なので準備に金がかかるとかではないってのがあり得そう、そして夢があるw 彼女側のことを考えても青春時代の若さを思い出す、みたいな効果もあるんですかね。
 セーラー服効果で彼氏が奮起して、それは思惑通りなんですが、彼氏が喜びすぎて軽く引く、みたいなテンションも面白かったです。リアルを感じるというか、効果があるのは嬉しいことだが、ありすぎると別の意味で困るw 初手でスカートの中に突っ込んでくるので笑いました。最も憧れてたのはそこかよ。視界が悪くなるからセーラー愛としては悪手な気もしますが、埋もれたい的なことなんでしょうね。それは分かってしまう。
 挿入もなく終わってしまいそうで怖いので彼女の方から挿入を促すのも良いし、そのために自らおっぱいを露出させるのもエロかったです。彼氏はセーラーが好きすぎるから脱がす方向のプレイには消極的なのですねw
 エピローグ。お返しに彼氏の方も制服持参……と思ったら学ランでガッカリ。ひでぇ扱いで笑いますけど、まぁ今回の場合も彼女がブレザーだったら彼氏はイマイチなリアクション取ってたかもしれないんですよね。もうあんだけ効果あるならコスプレできるラブホとか行くしかないのではないか。この2人だったら金出す価値あるでしょw

『あせだく』かるま龍狼

 エロとは無縁のノスタルジー溢れる雰囲気から当たり前のように始まるエロが良い。日常から非日常に入るドラマ……かと思ったら2人の間では同じような経験が過去にあって、と明らかになる流れ。2人はどういう関係なんだろうか……と探りながら読んでいると想像以上に関係が深かったという衝撃。やっぱこの情報開示の順序は読切の醍醐味ですね。時系列順に追うだけでは味わえない良さだと思います。少年時代に一歩手前まで行った2人が大人になって再会、しかし彼女の方は結婚していて……ってめちゃくちゃドラマチックな関係性なので情感たっぷりに描けるんですが、再会してしばらく経ってからの時点で物語が始まるので非常に淡々とした読み味になりますよね。読者としては結果だけ伝えられるので。ドラマの割には平然としてる方だと思うんですが、読者が想像でその裏側の感情を補完するような距離感。
 家の中に入ることで始まり、出ることで終わる話。再び日常に戻っていくエンディングなんですが、最後には日が暮れて暑さと汗が引いてる。タイトルにもある「汗」が感情の高まりを示してるのがオシャレでしたね。ちょっと暑さにうなされて見た白昼夢みたいな印象も湧くというか(実際は違いますよ)。

『雌門のすゝめ』SAVAN

 ウブなカップルかと思ったら寝取られ。冒頭のカップルの “香苗なら大丈夫だよ” “度胸もあって男まさりだし” という会話が微笑ましくもあり、彼女が抱えてる問題に彼が一切気づいていない不穏さでもありますね。彼女のこと全然分かってあげれてないやんけ!! という。彼女の “ちなみにホメてくれるのは嬉しいんだけど… 一応繊細な乙女なんですが?” という返しが意味深……。
 エロパートは2回、別の日に分かれてあるんですが、2つとも校内でありながら衣装がガラッと違うのが嬉しいですよね。個人的には2種類の下着がすごい凝ってるので感動しました。決してメインに打ち出されてるような要素ではないと思うんですが、すごい目に付く。どちらの場面でもパンツは脱がないままですし。後半の方はジャージの上着は来たままブラを脱いでるんですが、しっかりフロントホックでブラが外れる描写が小さくあるのが芸が細かい。エロ漫画だからロマン重視で「いつブラ外れたんだよ」になっても別に構わないっちゃ構わないんですが、そこの整合性が取れるからすごい。まぁ、ブラ脱がすなら上着も脱げよって話ではあるんですけどね。そこはやっぱりロマンだよなぁ。

『やけくそ片想い』飴沢狛

 少女漫画かよ、と言いたくなるくらい可愛い絵柄なんですが、安易にロリにはしないでむしろ大人っぽいキャラクターになるのが良いですよね。こないだのWEEKLY快楽天での作品でもそうでしたが、めちゃくちゃ可愛いのに大人っぽいのが最高なんだよなぁ。
 幼馴染のねーちゃんに対する『やけくそ片思い』。タイトルが素敵。抑えきれなくなった感情が爆発する告白シーンがまさに「やけくそ」なんですが、そこでそれまでの思い出がフラッシュバックするのが、演出としてもそうだし、単純にいろんな年代の2人の姿が見れて絵としてもおいしい。ねーちゃんの征服姿が小さく見れるのも嬉しいんですが、幼稚園児の主人公が小さな花を持ってプロポーズするコマとか可愛さしかなくてヤバいw
 年の差が主題だからだと思うんですが、上下の位置関係が印象的でした。冒頭の家庭教師の場面では主人公が座り(下)、ねーちゃんが立ってる(上)。それが告白の場面では主人公が立ち上がりねーちゃんを座らせることで上下が逆転。要するに「年の差を埋める」を絵として描いてるんだと思うんですが、その後のエロパートもいちいち上下なんですよね。冷静に考えれば、可動式の椅子は不安定だからベッドに移動するか床でやった方が……という話なんですが、あの椅子を使った上下の位置関係がすごい効果的だったと思います。基本的に主人公が上に立つ構図なんですが、最後の最後に再びねーちゃんが上になるんですよね。椅子に座ったまま。そこの2人がまた可愛いんだよなぁ。最高。

『ヨメトリ』藍夜

 網元に寝取られる。圧倒的な権力と暴力の前では為す術もないのが最悪ですね(ホメテル)。よく考えたら主人公が橋の下でキスや挿入するのを我慢して、もう少し秘密裏に駆け落ちを計画してたらバレることもなかったんじゃ……みたいな余地もあるのがまたね、イヤですねぇw
 網元がヒロインの心を追ってから体を支配する。快楽堕ちになって終わり……と思ったらそこからさらに地獄展開が待ってるので驚きました。「寝取られ」とは取られる男の視点が重要なのである、と言わんばかりの襖の隙間展開。ヒロインが陵辱され堕ちていくだけじゃダメなんですね。「俺の」女が……という視点が入ることで正しく全うな「寝取られ」になる。感動というか、膝を打つというか、そう来たか!という納得がありました。嫁を取るってタイトルが他人の嫁を取るって意味になってるのとかも凝ってましたね。

『サイレント・カムバック』秋谷昭

 彼女を捨てて自分探しの旅に出た主人公が彼女に見つかる。ギャルなのに主人公のことを忘れずに一途なのがめちゃくちゃ可愛いんですが、本作の特徴としては、以前の2人の描写が絵としてない点じゃないですかね。旅に出た主人公はそれなりに変貌していて、それでも気づくってのが可愛いところなんですが、その「変化」の部分について最後にしょーもないオチが付くので笑いました。最後の最後までキスしないんですが、キスすることで主人公が髭を剃ろうと思い立つんですが……。最後のオチなんで付けたんだよ、という感じなんですが、彼女は彼女でちょっとバカだった、みたいなバランスも可愛いですね。ひょっとして好きだったのそこ!? みたいな話なんですが、よく考えると「身体は覚えてる」という本作のテーマとしっかり合致したオチになってるのも面白かったと思います。服を脱いでも残る身体的特徴、ということですよね。彼氏としては今後もキスする関係でいようと歩み寄ったつもりだったろうにねw

異世界はこう抜く』F4U

 第14射。ハーピィ。鳥人間だから鳥頭ですぐに忘れてしまう。ハーピィの特徴そこかよ、と笑ってしまった。地味に『サイレント・カムバック』から記憶というテーマが連なってますね。あんまりすぎる関連ですがw
 今回のまくら嬢、直接的なエロという意味では控えめだと思いますが、今回のプレイ内容が人間でも真似できるのでちょっと憧れちゃう部分あると思います。『セーラー服大作戦』でも似たプレイありましたが、プレイの主題が「服」か「お腹」かという違いもあって興味深いです。
 あと、いつものことですが、ボーイくんの実況が可愛いです。最後にうまいこと言おうとする感じとかマジ最高w

「読者コーナー」

 Beなんとか先生の扉(?)イラスト、めちゃくちゃ良い。たった1枚なのにドラマを感じさせるのがうまいし、性的好奇心と恋心がない交ぜになったヒロインの心理、その愛しさという意味でかなり斬新だったんじゃないかしら。男→女ではあり得ない状況って意味でも女性のリアルを感じました。

forms.gle

 終わり。遅すぎでしたね。毎回こんなこと書いてる気がしますが、反省はしてます。次からはもうちょっと頑張ります。快楽天次号とゼロスの次号の感想やりたい。スパン2日しかないんですがw
 最後に読者アンケート。面白かった作品3つなんですが、『「……イヤ?」』『籠もり日和』『やけくそ片想い』ですかね。ベストは『「……イヤ?」』です。
 ジャンル偏りすぎだろ、と我ながら思うんですが、好きなんだから仕方ねぇよなぁ!!(逆ギレ)
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