北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

WEEKLY快楽天 2021 No.26の感想

 『ドラクエ10』のストーリーが一旦完結して非常に感慨深いです。けどエロ漫画を読む。
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『少女汚染』だんれんじ

 無菌状態で少女を育てる寄宿学校に対するテロ、を見ているだけの主人公。一応捜査する立場にはいるけど、捜査する場面はない。冒頭から世界設定の説明が念入りにされ、そこからワンクッション挟んだ形でエロシーンへと突入する構成がめちゃくちゃ面白い。「言語」というファクターがあるエロ漫画ってのも初めて読みました。そもそも届けられたビデオを観てる立場の話なんですが、そこに字幕が添えられる。犯人側が用意した字幕なんですかね。ビデオ、そして言語という2つのレイヤーありきで作品が成立してる(さらには回想)。字幕は横書きなので、日本語の漫画として読むとどうしても異物感あるというか、普段の読書のリズムとは一線を画すものがあると思うんですが、そのある種の違和感込みで作品が設計されてたと思います。それとは別に主人公の語りも多用されて、ここはちょっとハードボイルドものっぽい印象もあって、とにかく作品の進行が一筋縄で行かない。通常の作品とは違う。そこが良い。
 寝取られの中でビデオレターものってありますけど、本作は同じビデオレターでも趣が全然違う。少女が犯される様を見て主人公が絶望する、のではない。主人公の語りが回想に近いので、新鮮に驚くようは描写は皆無。どこか冷めた視点で進行するのが強烈な特徴。それどころか、冒頭の場面で “そこに映る彼らのどす黒い想いを俺は……否定しきれなかった” と犯人側に共感すら抱く。そんな特殊な心理状態で回想する、という形式で本作のエロパートが描かれる。描かれるのは悲惨なレイプなので、可哀想の極みなんだけど、劇中ではその惨状に悲観する人物は当の少女以外に登場しない。主人公が絶望に近い驚きを感じるのはこのエロパートではなく、むしろエピローグでの場面、というのが本作の肝だと思います。
 そんな主人公が同窓会で例の寄宿学校に娘を入れる金持ちと出会う、というレイヤーが最初と最後で描かれる。とにかくレイヤーが多い。ただ、やはり物語的な醍醐味としてはこの最初と最後の場面だと思います。あれだけの悲劇が起きたなら当然何か劇的な話に発展する……と思うんだけど、実際は何も起きない。「それだけ……」というのが読者にとっての驚きであり、それが主人公の心理、絶望というか諦念の境地みたいなものとシンクロするようでした。あまりの格差、そして上の人間の無関心を目の当たりにした主人公が闇堕ちしちゃうのでは……みたいな意味でかなりのバッドエンドのような印象ちゃんとエロがあるのに、それが物語と密接に関わっていて、その物語がめちゃくちゃ面白い。ただ、主人公はエロと直接の接点はない、というのが見事でした。

『先輩とわんちゃん』moyori

 憧れの先輩が卒業してしまうのでワンチャン狙って告白したらわんちゃんにされる。完璧なタイトルだw めちゃくちゃ可愛らしい雰囲気からのSM突入の衝撃がすごい。
 完全にヒロイン視点で進行するので、先輩が何考えてるのかが分からず、これはクズに捕まったのかな? とか思わざるを得ないんですが、絶望とか悲観の話ではなく、結論としては意外とハッピーな感じもあるんですよね。このバランスが素晴らしかったと思います。いくらでもダークな話にできるし、そういう解釈もできるんですが、そう単純ではない。まぁナマでやっちゃってるので決してホメられたもんではないんですが、ヒロイン側がこの関係に満足してるというか、めちゃくちゃハマってる感じがあるんですよね。不思議なハッピーエンド感としてここが大きい。何なら彼氏のS的な欲求を追い越すほどにヒロインがMとして覚醒してしまったのでは……ということが示唆されるエピローグとか秀逸だったと思います。

エロマンガアカデミー」

 16時限目、楝蛙先生による「白黒漫画の仕上げ方」。やはり来たか!……とは言いつつ3週目に来ると思ってましたw
 このコーナー、絵についてと話についてでテーマが2つのタイプに分かれると思うんですが、今回は前者。めちゃくちゃ前者。超専門的かつ技術的な話。即物的というか、「こうだからエロい」みたいな話も特に出てこないのが最高。とにかく絵の話。エロ漫画だからといって構成要素すべてがエロなわけではない。当たり前だけど、忘れがちというか、リビドーだけじゃなく技術もなければ作れない芸術。そんな事実を痛感しました。つまりは、エロ漫画ありがてぇ。
 話が細かくなるからこそ、最新作のお気に入りの場面がピンポイントで指定されてるので、ファン的にとても嬉しい。これは確認したくなる奴や。ちなみに8ページ目の方はこのページで引用されてるコマのことですね。6ページ目の方はど迫力のお尻、そして幻想的なライティングが芸術的。エロとしても良く、漫画としても面白い。
 てか、言われてから『つづきから』読み返したら、マジでめちゃくちゃお尻の作品でしたね……(そこらへんの視点が抜けててマジお恥ずかしい)。


 終わり。快楽天の方の感想もそろそろ終わりそうなので今日中にやっつけるつもりだったんですが、『ドラクエ10』に費やしてしまった……。ジャンプ記事終わったら急いで終わらせます。目指せ水曜くらいの更新。
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