北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

WEEKLY快楽天 2023 No.47の感想

 あまりにも寒い。
kitaku2kitaku.hatenablog.com

『ひどいよ桐山先生』ONAKA

 無愛想で厳しくクラスでは人気のない桐山先生が好き。ONAKA先生の前作かなり刺さったんですが、今回も良い……。今年のweeklyのデビュー作家の中でも屈指のレベルで好き。女性上位という意味では前作と同じ括りになるかもしれないけど、今回の主人公は圧倒的に若い(幼い)ので、まったく別の世界を覗いてしまったドキドキ感と、その圧倒的なまでの残酷さが良すぎる。ポップな印象もあったタイトルが最後まで読み終えたあとでは「ひどいよ……」としんみりする感じに一変する。
 主人公があまりに純情なのでハッピーエンドも期待というか予期してしまったんですが、それをぶち壊してくるヒロインのぶれないキャラクターが魅力的。質問など言葉を投げかけると「は?」とキレてくる感じが最後まで一貫してたのが良いですよね。主人公の真っ直ぐさが彼女の心を解かす可能性も考えながら読んでましたけど、その徹底ぶりに「だめだ……」となる。セックス中に目を合わせない描写とか本当に良かった。視線が上に行くコマが多くてアヘ顔一歩手前みたいな良さもあるんだけど、彼女は独りで性の快感に浸ってるのが明確にされてるようでひどいよ桐山先生。クライマックスの挿入中も目(てか顔)をそらすが、ここは無理のある体勢にも見えるので、おそらく彼女の確固たる意志によって「そういう関係にはならないよ」と一線引いてるんじゃないですかね。その彼女の態度を見た主人公が諦めてバックに変更するのとかもうホントに良すぎるのよ。そのバックでフィニッシュする場面で、おそらく本作で初めて表情が崩れて彼女の心の壁がなくなる。なくなるが、それを主人公が見ることはなく、そのまま “…終わった?” と言われてすべてが終了する。せつねぇ~!
 主人公が恋に落ちた回想の場面など、目が合う場面があるんだけど、それは必ず彼女の方からアクションを起こしたとき、という徹底ぶり。ただ、唯一の例外として主人公が一念発起して二発目に向けて彼女にワガママを通そうとしたとき。ここであの日と同じように小さく微笑む。おそらく主人公は必死すぎてそれにも気づいてないんだけど、そのくらい必死になってようやく少しだけ響く、という関係性なんだろうなぁ。そして、その後の挿入では前述のような徹底した拒絶ぶりを見せつけられるわけで、主人公としては絶望的。ヒロイン的には心を開きかけたので最終ラインを意地でも守ったって感じなんですかね。エピローグで、そんな「一線」を象徴的に見せた最後のコマも素晴らしかったです。
 個人的にすごい良かったのが衣装。学校の場面での地味さもリアルだし、駅のホームで出会った際の大人の格好というのがまたものすごい説得力で好き。特別ドスケベ衣装ってわけではないんだけど、主人公にとって大人の世界に足を踏み入れてしまったドキドキ感が伝わってくる。学校ではただ暖かいだけという感じのニットだったのが、駅ではシースルー多めの衣装になってるのとか最高。あの気合いの入ったように見えるオシャレぶり、そして泣いた痕(なのか?)を考えると彼氏に振られたあと、なのかな。合コンとかマッチングアプリも考えたけど、それだと泣くまでには至らないですよね。ヤリ捨てとかなら泣くけど、そんな時間だと主人公と遭遇しないだろうし。

『桃しっこ娘』moyori

 タオしっこニャン。中華昔話(ファンタジー)という感じで、タイトルの通り、おしっこ。最近のweekly、おしっこショートが多すぎねぇか!? 全然好きだからいいけど!
 産まれてから桃だけを食べて育った女性の体液は桃のように甘く、それが不老不死に繋がると信じられてきた……という伝承が元ネタなのは明らかですが、どうやら普通に日本で発祥した都市伝説だそうです。今知りました。怒られそう。
 moyori先生のイラストの相変わらずの可愛さが最高なんですが、今回はチャイナメイドという謎衣装が可愛すぎてヤバい。パッと見そこまで卑猥じゃないというか、昔話的なイメージにギリ収まる感じで超好き。着たまま桃ジュースを用意できる利便性も良かったんだけど、店長とセックスするときはしっかり脱ぐ(全部は脱がない)というのも良い。
 セックスの際の産物をそのまま客に提供したので……というオチがつくんですが、妙に緊張感のないほのぼのとしたノリで2人とも可愛い。店長が自分の精液を提供することに何の躊躇いもないのとかちょっと笑ってしまった。まぁ、店長もジュースの素材になることで2人の関係が対等に近づいたとも取れるので良い話なのかもしれないw

エロマンガアカデミー」

 #56。どじろー先生による「エロ漫画のオープニング」。何の説明もなかったけど、いつもより1ページ多い計3ページなので年末特別企画なんだと思います。前にもごさいじ先生でありましたね。あの回も面白かったが、今回もまた最高でした。
 ちょっと意外だったんですが、どじろー先生めちゃくちゃ理論的。まぁ、よく考えてみたら今までの作品の面白さ、それも直接エロではない部分の漫画としての地力の強さを考えたら当然ですね。今回のイラスト部分がかなりパワー系っぽいノリなんですが、語ってる内容はひたすら理知的。このギャップが面白く、よりファンになっちゃったんですが、まぁこんだけしっかりしてないとあんだけ面白い作品は生み出せないってことですよねぇ。感服すると同時にちょっとだけ「ちゃんと面白さ(とエロさ)には理屈があるんだ……」と感心というか安心みたいな気持ちにもなりました。まぁ、中には理論とかナシに感覚だけで傑作を描くような人もいるのかもしれませんが。
 1ページではなく2ページなのは「2ページが漫画の最小単位」というくだりがあって、これはマジで唸った。本当に真理だと思う。エロ漫画ということを強調してたインタビューだけど、ここだけ「漫画」の話に到達してしまってるのも良い。マジで漫画の本質に迫った話だと思う。めくりからの2ページ目でタイトルどん、という話の流れで「サムネ映え」というのが出てきたのもすごい。現代型のサバイブ術って感じ。


 終わり。年末の特別感もあったと思うんですが、来週まだあるんですよね。予告通りなら3枠のメンツも分かってるんですが。
kitaku2kitaku.hatenablog.com