北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

WEEKLY快楽天 2023 No.22の感想

 梅雨も湿気もイヤ……。
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「表紙」西沢みずき

 お馴染みの西沢先生。数えたわけじゃないけど、最多作品、最多表紙になるんじゃないかしら。
 既に本編は掲載済みのキャラなので、来週か再来週に続編(後日譚)が載るか、史上初のインタビュー2回目。もちろん漫画も読みたいが初物にも期待してしまうな……。

『アイドルとしての分岐』すがる春

 タイトルがもう怖いのよ。直接は何も悪いこと言ってないのにイヤな予感をさせてくる。ただ、エピローグで驚くの急展開を見せるので、タイトルがそのことを指してるとするならば、意外と明るいタイトルだったと言えるのかもしれないw
 担当アイドルが自分のことを好きだと確信を持つマネージャー。アイドルが暴力を振るわれる話なんですが、漫画としての視点は加害者側。この認識が歪んでしまってる、主人公としてのキモマネージャー描写が絶品。 “仕方ないから俺から告白してやるか” とかそういう人の心理としてめちゃくちゃリアルに思えてしまうし、だからこそ怖い。ただ、 “鈴…… 俺のこと絶対好きだろ” と他人に思わせることはある意味アイドルとしての力量と言えるので、「ひょっとしたら順調に人気出たかもしれないのに」みたいな苦さもある。
 すがる先生は前作でも男性側の歪んだ心理描写が良かったんですが、今回はクズとしての純度がより高い。完全にキモい存在として振り切れてるので、ヒロイン(それもアイドル)に心の底から拒絶される、という部分に説得力が生まれていて、そこが本作の強みになってる。ヒロインの口の悪さがマジで容赦なくて最高なんですよね。被虐モノならではのキャラクター描写としてかなり良かった。個人的に一番好きなのここです。心が折れた感じはあるけど、快楽堕ちしたのとはまた違ったニュアンスで、そこらへんも好みでした。
 からのエピローグで急展開。まさかの急カーブハッピーエンドなので笑ってしまった。あれだけのクズマネージャーを描いておいて、最終的に「トホホ~」みたいなめっちゃ軽い終わり方をするのが衝撃すぎる。アイリスアウトするような話じゃなかったでしょw

『先生、こっち向いて。』しゅる版

 女子生徒に告白された先生。そこで「教師だから無理」とエロ漫画の住人とは思えないほどの理性を見せるんですが、その後彼女はモブ男子たちに性的なイタズラ(犯罪です)を受けるようになり、主人公の中で「ほっとけない」と「取られたくない」の気持ちが湧き上がる。ヒロイン視点で考えればずるい大人なんですが、この主人公のめんどくさいキャラクターとその心理がめちゃくちゃ良かった。良い人なんだけど、良い人すぎない面も描かれてるのがリアル。揺れる主人公に対してヒロインが放つ決めゼリフが “先生を壊してあげる” なのも超好き。決してキレイな話ではない、という一線が保たれてるのが作品として誠実だし、インモラルな雰囲気がある方がエロ漫画としては独自の魅力が生まれるのも確か。
 ヒロインは最初、意志薄弱な印象が強く、ほっとけなさと危うげな雰囲気が魅力だったんですが、実際に物語が動き出すと誰よりも意志つよつよだったことが明らかになり……というギャップ。主人公なんかよりも頼もしい存在だったのかもしれない。ある種の立場逆転みたいな魅力。胸の描写が緻密で素敵なんですが、その胸がどうも全体的にだらしないような印象を誘うのもギャップですよね。いや、心と胸に相関関係があると考えるのがまずおかしいんですがw
 ヒロインの表情と胸も良かったんですが、個人的に刺さったのはエロパートの始まり、保健室でベッドに座ったヒロインがまずリボンを外し、シャツを脱ぐ場面。スカートにシャツを入れたままボタンを外して脱ぐのが見栄え良くて好き。上品さも感じさせるが、中から現れる胸の存在感と蒸気などによって彼女の本性みたいなものが露わになったような場面になってて、彼女の二面性が象徴的に描かれてたと思います。彼女の覚悟みたいなものが垣間見えるのも良いんだよなぁ。脱ぎな丁寧な作品は良い作品。

エロマンガアカデミー」

 #42。角煮煮先生による「常識改変」。作者の紹介文に「ロジカルかつコミカル」という表現があって膝を打った。たしかに角煮煮作品は設定が細かく、展開がロジカルだからこそ面白い。何でもアリみたいな作風なんだけど、だからこそその中にロジックがちゃんと用意されてることで説得力が生まれてる。
 そんな作風、及び「ロジカル」と同じで、インタビュー内容が理路整然としてる。物事のアリナシのジャッジがめちゃくちゃ明快というか、先生の中での基準が強固に存在するのが感じられる。
 『常識改変活動記録』は元々単発の、しかもショートのつもりで描いてた、というのも興味深い。主人公の描き込みは端から捨てたが、それが連載化することにより存在感のない「無」の主人公のキャラクターが固まっていく、という矛盾のような状況が生まれていたと思うし、ここらへんは狙ってやるのとは違った魅力なんだと思います。作者も想定してなかったことが起きて、それが作品として面白い、という現象、素敵ですよね。


 終わり。久々に更新時間が早いですね。偉いぞ。
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