北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2021年9月号の感想

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 エロ漫画買おうと久々に秋葉原に行ってきたんですが、炎天下の中メイドの仮装をした女性が呼び込みしてて不思議な感覚に陥りました。妙なディストピア感というか。常連の人は飲み物の差し入れでもしてあげて。
kitaku2kitaku.hatenablog.com

『成行のパンチライン』ごさいじ

 ヘタレ童貞だと思って主人公の家を宿扱いしてくる腐れ縁の女の子が。寝返りでパンツが見えてしまって我慢できずに手を出して……しまわない。翌朝、シコってたとからかってくる(図星)。その後また家に転がり込んできて再びパンツ。いよいよ我慢できなく……と思ったら “お前寝たフリしてるだろ” 。これは笑った。エロ漫画なんだからすぐに手ぇ出すと思うじゃないですか。そこをすかされる。つってもこの後すぐ進展することになるからストレスもない。主人公はそういうところがヘタレだとも言えるんですが、彼なりの誠意でもありますよね。今の友情を下心で壊すわけにはいかない。「良い奴」感でもあって、そういう意味では普通に好感が持てる。まぁ、シコってるので聖人君子というわけではないんですが、そこらへんのバランスも良い。とにかく、このキャンセルの連続で彼の良い奴感が積み重ねられ、2人の確固たる友情が丁寧に描かれたことがエロ漫画としての強みにもなってる。そこまでなっても手を出さない主人公に対してヒロインが100%とまでは言わないが99%確信が持てる誘いの言葉を投げて、寝たフリ&パンツ。この男女の心理戦……というほど難しいやりとりにはなってないのが可愛いんですが、このやりとりが良いですよね。友人とついに一線を越える盛り上がりの演出として絶品だったと思います。
 てか、だとすると、本作最初のパンチラの場面でもヒロインは起きてた可能性ありますよね。シコってた件は偶然ではなく知ってたというように見える。要するに心理戦、情報戦としては彼女の方が遙かに高度なレベルに達していて、主人公はその高度さに気づきもせず葛藤してたという気もする。まぁ、それも含めて彼の魅力だと思いますw だからこそヒロインは心打たれて(大げさか?)ほとんどネタバラシをした状態での寝たフリに至ったわけで。ここらへんの直接は言わないけど、という好意の伝え方が最高でしたね。
 からの本番。いきなり挿入というのも本作の特殊なシチュエーションならではですね。一応寝てる相手に一方的に、という体裁ですので。そして2回戦突入するも、ここではまだまだバック。顔は見せない。寝たフリを通じて好意を伝えてきたのから変わってない。ここでようやく主人公が男を見せて、2人は向き合って、面と向かって正常位。この感情のドラマをセックスの体位の変化で示すのが見事でした。拙いながらも愛の言葉を投げかけながらのフィニッシュが熱い。事後もねちねちと告白を続ける感じとか、スマートじゃないけど確実に良い奴と伝わってくるので可愛かったです。世のヘタレ童貞がみんな彼みたいだったら世界はもう少し優しくなると思うの。
 からの大学。 “ヤったな…” エンドで爆笑しました。何度も2人が夜を共にしたのを知ってるからこそ無言でも伝わる。あの2人との絶妙な距離感が最高。

『おさななじみ』なぱた

 離島のおさななじみ。本作に「アダムとイブ」というコピーを付けたのはめちゃくちゃ鋭いと思います。一度知ってしまったらもう戻ることはできない不可逆性というか、ずるずるとそれまでの日常が変化していく感じとかマジで「アダムとイブ」的だったと思います。2人のきっかけとなったスマホiPhoneということにすれば完璧やで(この段落、厳密には作品外の話しかしてないw)。
 とにかく、セックスを知ってしまい、そのままハマってしまった2人の話。まだ純粋だった初体験から、2人の姿、セックスの内容が徐々に変化していくグラデーションがめちゃくちゃ詳細に描かれてる。時間の流れ、そして2人の堕ち度の目安としてヒロインの髪の長さが徐々に変化していくのとか見事な演出だったと思います。漫画として面白いし、2人しかいないのにいろんなタイプのエロが見れて眼福でもある。
 髪と同様の変化を遂げるのが胸、というのもエロ漫画的に重要なファクター。初体験の際にはほとんど胸の描写がない、というのも見事な扱いだったと思います。無から始まって、徐々に膨らんでいき、最終的には「立派に成長しやがって……」という感慨に浸れる(嘘ですエロいです)。
 「あの2人がこんなことに……」的な話ではあるんですが、まぁやってることは、おさななじみが順調に愛をはぐくんでるとも言えるので微笑ましいというか、激甘な話でもありますよね。ラストとかまさに甘さの極み、ハッピーエンドの極みみたいな終わり方。最終ページではセックスの話にはならずキスして終わる、というのも良いんだよなぁ。

『ゆきずりhighウェイ↑↑』翁賀馬乃助

 ヒッチハイクするギャルをオジサンが拾う。オープニングから奔放ギャルの奔放ぶりが圧巻ですので、これは享楽にふけるようなノリの作品になるのかな……と思ったらしっかりドラマも濃いので驚きました。ただ、「実はギャルは良い子でした」みたいな分かりやすい感じではなく、ギャルは最後までかなり強めのギャルなんですよね。ドラマ要素があるのはオジサンの方。ギャルとオジサンという組み合わせでここまでドラマを予期した人はいるだろうかw
 冒頭から住む世界の違う2人の出会い、交流の描写が丁寧で。そもそもあのギャルのヒッチハイクに返答する時点で下心あると言われても仕方ないじゃないですか。そこを本作はモブに絡まれてるところを助ける形で乗せてあげる。さらにはそのギャルが実はオジサンの離れて暮らす娘とそっくりでその罪滅ぼしの念もあった……とサクサクとそれでいて自然と物語的な情報がさばかれていく序盤がすごい。ギャルのギャル性は紹介しつつ、ものすごくスムースにドラマが積み重ねられていく。
 2人のドラマのエモみが極まる場面としては、場面が夜になる直前の、2人の半日がダイジェストっぽくモンタージュするシーン。映画だったら挿入歌が入ると思う。この奇妙な2人組の様子が微笑ましすぎるし、めちゃくちゃエモい。中でも最高なのは、隣を走る車の助手席にいる子供がこちらに手を振って、オジサンが振り返す。手を振り返すオジサンが可愛すぎるので不覚にも萌えましたw オジサンにここまで魅了されるとは……。
 夜。エロパートに入るまでの最終的な助走の部分も最高。定点カメラでコマの両端にいる2人の会話なんですが、ここでエロに向けた会話がされるが、まだエロい雰囲気にはならない。そこからのアイマスクした上で逆側を向いてるオジサンを振り向かせる、という展開で完全にエロパートに足を踏み入れる。このついにおっぱいが出てエロが始まった場面の、鏡状に反射した窓を用いた構図とかヤバかったですね。2人の位置関係、向きを踏まえた演出、展開としてマジ絶品。
 からのエロパート。オジサンがそこまで乗り気にならないもののヒロインのエロに屈しつつ……という機微も丁寧だし、揺れる交通安全のお守りが止まることで表現する1発目のシーンも最高でした。いちいち演出が面白すぎる。もちろん、オシャレすぎてエロ漫画的な迫力はないので、これで終わったらさすがに物足りないんですが、ちゃんとそこから2回戦突入。ここで体力不足のオジサンのために初めて手コキとフェラが描かれるのも良かったです。オジサンのリアルも感じるし、1回戦ではキス以外の前戯がなく始まったので、そこでの穴を埋める形にもなってる。しかも、場所を移動するのでよりダイナミックな体位に変わって、と長距離トラックというイレギュラーなシチュエーションも踏まえたオモシロが発生している。
 ヒロインのギャル性が最後まで濃厚というか、彼女が良い子になりすぎないという意味で最も強烈だったのが “パパって呼んであげよぉか?” 。オジサン側のドラマを考えたら絶対にダメなんだけど、水と油とも言える2人が出会ったことを改めて感じさせる場面だったと思います。感傷に浸ってるオジサンのことを彼女は特に気にとめてなかった、みたいな感じですかね。最終的にオジサンは精神的な成長とも言える結末を迎えるんですが、あの件に関してはヒロイン側は特に関わってなくて、オジサンが勝手に自分の殻を破った。セックスが終わったあとに、相談するような会話がされるんですが、そこでも “知らんしぃ〰” なのが良いw
 そうそう、ある意味本作で一番びっくりしたのが、クライマックスの射精寸前の断面図で、あれの子宮口の描写がリアルすぎてビビりました。いや、リアルとか知らないんですけど。子宮口から愛液が垂れて、チンコに絡みついて……みたいな動きまで丁寧に描かれてるのでマジで衝撃。いや、子宮口からあんな風に愛液が出るかどうかも知らないんですが。知らないけどすげぇリアル(説得力皆無)。

『コスってみたい!!』オクモト悠太

 友人の兄がイケメンでオタク。全体的にコメディ調で、みんな明るく、そして少しバカなのが可愛い。単に兄貴がボケに徹するだけではなく、ヒロインの方もちょっとズレてるところありますよね(天然というか)。それと、イケメンだけどキモオタみたいな扱いが少しはあるんだけど、ヒロインはその点に関しては寛容というか、全然気にしてない感じが良い。いろいろおかしな点はあるけど、オタクという同士が見つかった高揚感で互いに突っ走れる。めちゃくちゃなキャラクターなんだけど、2人の交流が順調に進んでるので見てて微笑ましい。2人とも仲良くなれて嬉しい気持ちが伝わってくるのも最高ですね。優しい世界だし、そんな2人がエロに至ることの高揚感、達成感、それと「幸せになれよ……」感が良い。
 というか、イケメン設定が最初のギャグくらいにしか活かされてなくて、ほとんどの場面ではイケメンだからどうこうみたいな話がない。オタク同士の恋としてかなり誠実なバランスだったと言えるんじゃないですかね。顔がどうこうよりも同士として仲良くなれたことの感動の方が大きい、みたいな。
 とはいえ、エロ的にはコスプレがメインの要素になるので、ヒロイン側の見た目については言及される。が、それも体型に言及する程度で、それも妹との違いに驚くみたいな話のみなんですよね。劇中でもあったけど、同い年で発育に差がありすぎるw とはいえ、コスプレの着こなしが重要になってくるので、あの発育が良すぎる体型にも意味があったというか、あの妹としか接点がなかった兄貴があんなでかい子と出会ったらそりゃ大変なことになっちゃうよな……みたいな納得もありました。コスプレなんだけど似合ってない、というか厳密にはサイズが合ってないので着こなせてないという細かいバランスが絶妙で、その「着れてない」のビジュアルがめちゃくちゃ迫力あって最高でした。カラーの方もね、まったく着れてないのが可愛いのよ。

『ヤリだしたら止まらない!』鳥茶丸

 両思いのまま進展しない2人のことを見かねた友人が部屋に閉じこめる。いわゆるセックスしないと出れない部屋なんですが、それが人災というか、個人の意図によって支配されてるものなのが面白い。初々しいカップルを強制的にセックスにまで追い込むという乱暴な話ではあるんですが、その友人は肝心の初めての瞬間を目撃しない、というのも絶妙に優しかったと思います。そこは2人だけの世界。最初から指示されて、見られて、みたいな変態度が高いプレイになるわけではない。
 最初からラブコメ度が高くて明るく楽しい、そして可愛い作品だったんですが、セックスが盛り上がってきた終盤、作品のトーンが一気に薄暗くなったというか、そのページだけ見たらこんなラブコメ作品だとは思えなかったんじゃないかというギャップがあったと思います。セックスの激しさの描写が迫力ありすぎてラブコメ感が徐々になくなっていくグラデーションがめちゃくちゃ生々しいというか、「あの2人がこんなことに……」とちょっとドキドキするようなエロさがすごい。極度にデフォルメされたようなラブコメ感がエロパートへのフリになってて面白かったです。ただ、エピローグでは最初のラブコメに戻って、甘ったるすぎて “コレはコレで腹立つなぁ…” と落ちるのも笑った。

『ペンは二度折られる』有村ありお

 こちらはコメディに全振りしたような作品。先ほどの『ヤリだしたら止まらない!』がラブコメならこちらはコメディ。冒頭2ページの勢いが異常なのでもう大好きすぎる。主人公のキャラが濃すぎるってのもあるけど、それ以上にモブのテンション、言動、圧力がもうマジで最高。2ページ目1コマ目の顔アップでの コミケの同人誌がだッッ” とかもう絵が完全にギャグ漫画で大好き。まさかあのまま再登場せずに終わるとは……。いや、彼らはモブだから面白いからそれでいいんだけどw
 もうこれエロなくても充分なんじゃない? という気にもなったんですが、エロが始まるとしっかりエロいというか、フェチ的な要素もガッツリなので最高でした。あのギャグ的なノリからちゃんとしたエロに行くのか……。しかもギャグの勢いのみでセックスしちゃう話になりそうなものを、しっかりヒロイン側の心理、それも心理の変化によるエロに前向きになる展開まで完備してるから驚く。いや「なんでだよ」的な感情の変化ではあるんですが、ただのツッコミ役かと思ってたヒロインが逆にエロをリードする存在に転換するのがめちゃくちゃ良かった。あのギャグの雰囲気から、あの彼女が逆に積極的に誘惑してくるとかギャップも相まってエロい。さらにエロが盛り上がると「あれっ 付き合うの?」みたいな雰囲気にまで進展するので驚きました。甘いレベルまで行くとは……。
 そんな作品のトーンがガラッと変わるのが魅力的な作品だったんですが、中盤にある瓶底メガネを横から映して隙間から瞳がチラッと見える描写、あそこがギャグ的なノリの終わりを示す象徴的な場面だったと思います。あそこで本作の持つギャグ漫画らしさが一旦なくなってマジな雰囲気になる。からの布団の上でのちゃんとしたセックス、という盛り上がりが最高。あの2人が布団を横目で見つける場面、超好き。勢いだけではなく、冷静な考えも込みでセックスのことを考えてる感じがエロい。

『運の尽き?』ヤギコム

 貧乏くじ引き続けるような苦労人を後輩が慰める。冒頭の、主人公に懐いてる感ある描写もめちゃくちゃ可愛かったんですが、一気にエロへと飛躍してから途端に変態的な雰囲気になるギャップが素敵。あの「ひょっとしてヤバい女なのでは……」となる感じが迫力ありました。正直言うと、冒頭からヒロインが感情全開で可愛すぎるので「ヤバくても構わんだろ」みたいな開き直りの念も即湧いたんですが、あの「ヤバいかも」的な雰囲気が本作の魅力を底上げしてるのは事実。ああいう赤ちゃんプレイ的なのってどう考えても男の願望が詰め込まれたものだと思うんですが、本作だと変態的な願望を実現してるのはヒロインの方なんですよね。その歪みが面白いし、ちょっとメタ的な印象としては「彼女が満喫してるならそれでいい」的な安心感もあったかな。女性優位ものの最大の魅力はそこだと個人的に思います。安心なのよ。
 ヒロインの濃いキャラクターが魅力なのはもちろんなんですが、主人公の真面目っぷりがそれを引き立ててるというか、作品全体の魅力をさらに上げてたと思います。酔った果てにああいう状態になると「もういいか」と考えるのをやめてエロにふける展開になってもおかしくないんですが、主人公はかなり抵抗というか、マジレスを続ける。そんな主人公に対してヒロインはどんどん攻めの度合いが増していくが、主人公のリアクションに折れて一瞬だけ本音が漏れる。その漫画的に一番盛り上がる瞬間に挿入を迎える、という展開が最高。話の展開と感情、そしてエロの盛り上がりのポイントが合致する。
 からのエピローグ。主人公の真面目ぶりが改めて炸裂するというか、シラフになることでその強さがより強調される。めちゃくちゃ良い奴というか、人としてちゃんとしてる……。そりゃヒロインもホレるわけだわ、という激しい納得がありました。最後にヒロインがタイトルである「運の尽き」というセリフを言って終わるんですが、あくまでもタイトルは『運の尽き?』ですので、実際は運の尽きではない、という含みがあるのも良かったです。

『なないろモーメント』さくま司

 黒ギャル!……と思ったらギャルではなかった。むしろギャルとはかけ離れた純情な子なので魅力がやばい。運動部(陸上部?)による日焼けなので、日焼け跡がクッキリ残っていて、それがコンプレックスで……と物語の内容に直結してくるのも良い。よく考えたら日サロで焼いたら日焼け跡は出来ないのですね。エロ漫画だと当たり前に日焼け跡が搭載されてるので当たり前の部分を忘れてたw
 幼馴染の2人が陰と陽のキャに分かれてしまって……という話なので、ひょっとしたら第一印象の「黒ギャルか?」は案外正しいリアクションだったのかもしれない(とにかく自分に甘い解釈)。とにかくそんな住む世界がもう違うから……と劣等感全開でウジウジしてる主人公と、今も変わらずフラットに接するヒロイン。2人のギャップが魅力的であると同時に、主人公の陰キャ感の説得力がすごい。実際のところ、あんな可愛い幼馴染いたら勝ち組もいいとこなんですが、それでもウジウジと考え込んでしまう(それを誰にも話さない)、というのは陰キャ陰キャたる所以だと思います。そんな陰キャの心にズケズケと土足で踏み込んでくるのではなく、優しく、それでいて思い切りよく迫ってくるヒロインがホントめちゃくちゃ可愛いのよ……。天真爛漫という言葉がピッタリで、感情がそのまんま表情に出る感じとか最高。個人的に “なんでそういうこと言うかなー!!” のコマがめちゃくちゃ好きですね。彼女の素直さが全開で、かつ主人公のあまりに受け見すぎる姿勢に対して叱りつつも甘やかしてくる感じが良さの極み。ちなみに、この場面で出てくる小学生の頃怪我した際に手当てしてもらって思い出というのが本作のラストで再現されてますね。今度は後ろからヒロインが握りしめる、という逆の方向になってるのとかエモの極み。
 エロパート。チンコをお腹にあてがって、こすってたら止まらなくなっって誤射、という陰キャらしい失敗が微笑ましくもあるんですが、それと同時に本作の主軸とも言える褐色の肌を堪能するプレイにもなってて良いですよね。あれで主人公が変態的な欲望をぶつける話になってたら台無しなんだけど、陰キャの暴走というバランスになってるのが絶妙。
 そんな誤射を経て本番に至るんですが、2発目で作品的にクライマックス……と思ったらそっからさらに延長戦入るのでビビりました。どんだけ元気なの……と驚くばかりなんですが、対面座位から正常位へと体位が変わってるのも2人のドラマを感じる。そりゃもう対面座位は最高なんですが、陰キャが積極性を獲得する、というドラマを考えると最後に正常位に至るというのにまた別の感動がある。対面座位では背中から、正常位では正面からのショットで描いてるのも漫画的な見栄えとして熱い。日焼け跡はどっちから見ても素敵。

『おいしいしゅーかつ』おから

 アプリでオジさんと会って食事するだけ。うまい飯だけ喰っておいしい思いをしていたヒロインが……。痛い目に遭う的な話を想像するじゃないですか。絶対そうだと思ってたらオジさんが最後まで紳士なので笑った。今号は『ゆきずりhighウェイ↑↑』も印象的だったけど、意外とオジさんが紳士。『成行のパンチライン』は大学生だけど、いかにもエロ漫画的状況に置かれても男が手を出さない、という意味で共通してると言えるかもしれない。草食というよりは意外性を狙ってる部分が大きいと思うので時代の波みたいなもんなのかな。まぁ、もちろんただの偶然ですが。
 んで、本作のオジさん。ヒロインが調子乗って酒飲みすぎちゃって寝落ち。目を覚ましたらシャツの胸元がはだけ、オジさんはバスローブ。アウトー!! と思ったらヒロインがゲロっただけなので笑う。オジさんは親切に介抱してくれただけなのかよw
 そんな意外性も面白いんですが、本作で特に魅力的だったのはここから見せるヒロインの言動。キュンときて純愛的な展開になるのではない。今までパパ活的なことはしてこなかったヒロインが自らお礼としてそういうことを始める。このじわりじわりと距離を詰めていって誘惑する感じがめちゃくちゃエロい。さっきまでゲロって介抱されてたとは思えないような上位っぷりというか、多少の照れは感じつつもガンガン攻めていく感じがとても良い。 “奥さんの代わりにシてあげても良いですよ” とインモラルな要素を強調してくる感じとかもヒロインが主導権握ってて魅力的でした。手練れ感と元々感じていた好意もあってノリノリになってるのが最高。エロが進行するに従って徐々に脱いでいくんだけど、基本的に全部彼女が自ら脱いでるっぽいんですよね。もしくはそういう場面が描かれない。2人の関係性を表していてエロいかつ面白い。そもそもスーツというのが彼女の立場を象徴する格好ですので、それを脱ぎ捨ててセックスが盛り上がっていく、という変遷にもドラマが感じられる。やはりエロ漫画の魅力はキャラクターとシチュエーションですよ。物語が凝縮されてる上でエロが描かれる良さ。

『好きと聞かせて』スミヤ

 吃音だかコミュ障だかの女の子に告白される。言葉によるコミュニケーションが得意ではないのは本人にとっては不便だし、困ったことなのは分かるけど、気持ちの高まりに口から出る言葉が追いつかない、という状況は漫画的に女の子が魅力的に見える状況でもあると思う。言葉の情報よりも表情やアクションに感情が強く宿るんですよね。それが漫画映えするというか。非言語的なコミュニケーションは潤滑に行くので、厳密に言ったらコミュ障ではなくて、単に動物的な可愛さが炸裂してるとも言える……のかな。
 口からの言葉に頼れないので困ったときはスマホで筆談するんですが、漫画だから円滑にスマホ会話してもいいじゃないですか。ところが、スマホを出して、文字を打って、という作業に時間がかかってしまい、2人のコミュニケーションが不全に終わる。2人がすれ違う、という場面があるのが面白い。ここが劇的で心をえぐられるような場面なんですが、ものすごいリアルというか、実際にありそうな感じがすごい。そして、それがヒロインが一方的に悪かったという話ではなく、男側が勝手に自己嫌悪になってるのを彼女が嫌われたと誤解してる。別の意味でコミュニケーションが失敗してるんですよね。
 そっからの肉体的コミュニケーションとしてのセックス。物語はドラマチックだけど、ちゃんとそれがセックスに至るお膳立てとして機能している。甘酸っぱいドラマとして充分魅力的なのに、そこからエロへの移行がスムース。2人のすれ違いって基本的にリズムの違いが原因だと思うんですが、常に触れ合って自分のアクションと相手のリアクションを互いに感じ合うセックスによって2人のリズムが初めて同期する。当たり前のことですが、互いの気持ちが通じ合って、その果てにセックスがあって、そのままフィニッシュに至る、というが感情のドラマとエロさが合致してて最高。主人公が動揺して「すきだよ」を噛んでしまうことで2人の立場が完全に対等になる、という展開も素敵でしたね。人は緊張したり気持ちが高ぶると発声が不全になるのは当然、みたいな優しさを感じる。それでも伝えようとする気持ちがあれば伝わるので、考え込んで何も言わないのではなく伝えようと踏み出すことが大事。感想がどんどんエモくなってきた気がするw

『裏垢ちゃん』ほしとラッキー

 学校では大人しい子が実は。ギャップの魅力でもあるんですが、表と裏を併せ持ったキャラクターというのが妙に生々しいというか、どっちも隣接してる感じがリアルだったと思います。家に帰って、誰もいなくて、独りで悶々として、みたいなグラデーションが丁寧ですよね。あと、学校で友人に秘密があるということまではバレちゃってるのが彼女の危うさとしてハラハラさせられました。2つの顔を完璧に演じ分けてるわけじゃないですよね。真逆の顔だけど混ざり合いつつあってる感。学校の友人にぼんやりバレる、という話があるからその後の直球でバレる展開に説得力が生まれるというか。どのみち時間の問題だったろうな、みたいな納得。
 とにかくヒロインの内省的な描写が丁寧で、全編を通してそこのみを描いてると言っても過言ではないレベル。裏垢はやってるけど、まだ処女だし、決してドエロというわけではない、という曖昧な状態にいた彼女がついに一線を越える、という流れが熱い。最初は独りよがりというか、対話って感じじゃなかったけど、徐々に慣れてきたのかセックスの内容にバリエーションが出てくる感じも彼女の成長というか、蓋が開いてしまった感として良かったです。乳首なめられる場面で、彼女が胸に手をやるんですよね。静かながら彼女の中にも積極性が現れてて、さっきまでとは違う人になってしまった感。
 最後、独りになり、彼女が冷静に振り返ることになるので快楽堕ちとかそういう雰囲気ではないんですが、自撮りの内容がほとんど顔出るようになってて心配になってしまうw

『純粋培養の花』ももこ

 コンビニのバイトにヒロインの方から声をかける。そのまま付き合う話になるんですが、男の方が年上かつ、先にアプローチされてる余裕もあるのか、妙に心の壁があるというか、心の内を完全にオープンしてない感があるんですよね。基本的に男側の語りで進行するんですが、思ってることをすべては彼女に伝えない。内心で彼女のことをバカにしてる、は言い過ぎだけど、どこか利用してる感があるのがリアルで良かったです。まぁ、年上として振る舞ってるので多少の格差が生じるのは仕方ないことだと思いますので、そこまで支配的な話ではない……と思う。それと、彼女は彼女なりにたくましくやってる、と最後に形勢逆転的な印象になるのが、チアのグループへの脱処女報告LINE。あそこで一気に彼女への可哀想的な印象が消え失せるので良かったです。あんだけ大人ぶってた男の方がむしろ負けてるのでは? みたいな気にもなってくる。
 エロパートに関しては、ヒロインは初めてでウブな雰囲気全開なんだけど、チアをやってるのでとにかく体が柔らかく、それが一種のセックスの才能として機能する。初々しいのにめちゃくちゃエロいことをやっている、という矛盾を成立させてるのが良いですよね。そして、彼女の特性を最大限味わおうと男側が好き勝手に楽しむ。いくら何でもあんな体勢にはならんやろ、という展開になるんですが、そうなってしまうことが2人の関係性として象徴的。ベッドで横になりながらのI字はさすがに特殊すぎるんですが、ヒロイン側にその自覚はない、というのがチョロくて可愛い、と同時に背徳感。彼女の軟体性に気づくのが初挿入時にとった体勢、というのもエロ展開の盛り上がりとして見事でしたよね。「当たり前にそんなことしちゃうの?」と同時に彼女の才能がバレたことによって男側にいらぬ願望が湧いてくる、という2人の間で表面化はしないけど決定的な展開、というのが良い。

『教えてあげる』うぱ西

 夢オチ始まり!! めっちゃ良いですねこれ。エロがあるのもそうですが、小さい男の子と大きい女の子という本作のコンセプトをデフォルメして描いてるのが最高。無数の女性にチヤホヤされてる男の子をデカ女が心身共に支配することになる、という本作の物語を示唆してるような内容になってるのもうまい。間違いなく今号のベストオープニングですわ。
 ママ活、姉活してる男の子と、彼のことを好きな大きな女の子。強引ながら彼を救う話……ではなかった。このツイストも良い。そう甘い話ではないというか、結局はヒロインの方も自分の欲のために他人の被害を踏み台にする。要するにちょっとヤンデレ的な雰囲気もあるんですが、男の子の方が普通に悪い子でもあるのでね、そこらへんのバランスが取れてるというか、「意外とナイスカップルなのでは?」みたいな印象にもなりました。まぁ、もちろん最終的に彼のことを騙して彼を手中に収める話になるので、対等という関係性ではないんですけどね。
 ママ活、姉活の常習犯ということもあって、男の方が攻められながらも可愛い。そういう演技によって(もしくは天性のものか)女性を手玉に取ってきたということなんでしょうが、可哀想よりも可愛いの雰囲気を出すんですよね。その演技がどこまで続いて、どこから折れたのか、みたいな部分を読み込むのも楽しい。とにかく可哀想な目にあっても、可愛さが残るので、そこらへんが本作全体の印象に大きな影響を与えると思います。よく考えたら心まで犯すようなレベルの高いレイプみたいな話なんですが、パッと見は愛の深すぎるデカ女と可愛いショタ、というバランスに留まってる。絵としては可愛いのにやってることはえげつねぇ、というギャップも素敵です。
 体だけでなく、心も支配するためにヒロインがつく嘘。これが秀逸。他の女性たちに騙されてる、と嘘をつくことでまず彼の自信をへし折る。その上で傷ついた彼を癒す、という体裁で心に入り込む。周到かつ怖い話でもあるんですが、同時にショタ側のチョロい側面の可愛さみたいなものも浮かび上がってくる。互いに心を開示して通じ合う話ではなく、騙し騙されの関係で結ばれるんですが、「騙されちゃって可愛い」という視点が最後に描かれるのが最高なんですよね。単にヤバい女かと思ったら意外と知的というか、周到な支配ぶりが恐ろしくもあり、そこまで心をバキバキに折られた上での支配というのはM心をくすぐるものでもあって、単に劇中のキャラに感情移入するのとは違った良さもあったと思います。うぱ西。先生の過去作だと『そばにいる』が本作と物語の構造、オチに似てる部分があると思うんですが、本作はそこにおねショタ的な要素もぶち込んでまた新たな魅力というか、さらなるレベルアップを遂げてたように思います。まぁ、私がおねショタ好きだからというのもあるんですがw とはいえ、めちゃくちゃ面白くなってるのも事実なのではないでしょうか。

『マジムリッ!』うるぴな

 アマチュア漫画家と編集。SNSに自撮りをあげてフォロワー稼いでる作家と、そんな彼女にエロ漫画デビューさせようとする担当の攻防。漫才のようなやりとりが楽しいですが、ちょくちょく無駄にかっこいい絵が飛び出るのが最高。そして、よくよく考えるとこのめちゃくちゃな会話をしてるのは居酒屋(個室)なわけで、大迷惑であるw
 男性編集の方がやたらとキャラが濃く、話としても彼がエロの世界に誘うので、彼が優位になってエロパートに突入するのかと思ったら、意外とヒロインの方からガン攻め。さすが脱ぎっぷりが良いw 心身共にマウント取ってる彼女の姿がめちゃくちゃ魅力的なんですが、エロパートが進むにつれ、逆転の雰囲気に。2人とも真剣にマウントの取り合いをしてるだけなんですが、端から見るともうただのギャグでしかない、という雰囲気が漫画としてとにかく楽しい。ギャグ混じりのバトル展開という感じでもありますね。やってることは完全にエロなんですが。デフォルメされた2人の感情表現が100%むき出しのものなので、面白くもあると同時に、しっかりエロとしての迫力も充分。ギャグ的に面白いからと言ってエロさがなくなるわけではない、というのがエロ漫画の魅力だと思います。。

『愛を被る』柳瀬こたつ

 スポーツ万能高身長ヒロインと、チビでもやしな男子(こっちが先輩)。年齢差は逆ですが、疑似的なおねショタという雰囲気で、そういう意味では今号の『教えてあげる』と似てるところがあるんですが、本作のショタ(に相当する男性キャラ)、中性的な可愛さではないですよね。ちゃんと美形で、それが低身長でヒロインと並んでると身長差の良さが生まれて結果的に可愛く見えてくる。ここらへんの機微にちょっと感動してしまったというか、奥が深い……。
 話としては、初々しいカップルである2人のイチャイチャ。基本的に2人の関係性は対等で、互いにドキドキしててめちゃくちゃ可愛いんですが、いざエロが始まるとフィジカルの都合でヒロインが圧倒的に強いw 決して精神的に極端にヒロインが上に立ってる感じではないんですが、エロ的な強弱によって必然的に。
 膝枕から先輩が “綺麗なカラダしてるなって…” と陸上部のエースという要素を意識させるようなセリフを吐き、そのまま逆転、先輩が攻めに転じる。逆転というよりは対等な関係によるターン性みたいな雰囲気なんですが、クンニが成功して “へへ♡” と笑う先輩を見たヒロインが、先輩のあまりの可愛さに理性のタガが外れる、という場面がマジ最高。本作の白眉はココだと思います。手に負えなくてヤバい、みたいなハラハラ、ちょっとした怖さも感じさせる雰囲気が最高ですよね。そんな場面なんだけど、ヒロインに「可愛すぎる先輩が悪いんですよ」みたいな説明的なセリフが一切ないのが秀逸。勝手にハーハー興奮して、完全に対話不能な感じなんですよね。その「スイッチが入った」描写が見事なので、セリフなどの説明が必要ない。絵だけで伝わってくる情報だけの方がむしろ迫力がある。クライマックスとか対面で立ちのままフィニッシュに至るんですが、ヒロインの強さが圧倒的なので「鯖折りでも決められてるのかな?」みたいな雰囲気。対面って基本的にイチャイチャ度の高い体位だと思うし、まぁ実際この2人はイチャイチャしてるんですが、それでも一方的な印象が強いのが独特で面白い。
 からの事後。ここで先輩がクールな顔に戻って “でも実際今日は余裕だったな” みたいなことを語って、そのまま落とされる。この単純さというか、チョロい部分も可愛いです。そんなところにヒロインはメロメロなのだろう、と見ててハッキリと分かるw

『刹那、すべてを理解する』りんごくらぶ

 元気いっぱいのヒロインが “わかんない!!” と懐いてくる感じ、めっちゃ可愛いですね。こういう小動物系の雰囲気を持ったヒロイン像ってのはお馴染みだけど、そこに「理解」というテーマ、そして「わかんない」という決めゼリフを持ってきたのが本当に良い。
 「わかんない」はヒロインが下にいることを確定させるので、男性の優位性をくすぐる言葉でもあるんだけど、いざエロになるとそれがガラッと逆転する。分からないのは “興味ないからかな” と言っていたように、興味あることに関しては、めちゃくちゃ分かる。その逆転ぶりが端的にエロいし、真面目くんである主人公のある種のチョロさみたいな側面も、2人の関係性の魅力を底上げする要素だったように思います。目にハート入って本気モード入ったヒロインの強さも魅力的なんですが、それに翻弄される男側の描写も含めての良さですよね。めちゃくちゃワンサイドゲームなんだけど、好きの高じたものであり、暴力的ではないバランスに収まってるのも個人的にとても好みの案配でした。一方的で、支配的でもあるんだけど、めちゃくちゃ甘い。そして最後に再び “わかんない!!” とちょっとドヤ気味に締めたのがまた最高でした。

『コレうらやましい』Beなんとか

 漫研の先輩が描くエロ漫画の資料になる。エロの相手となるヒロインもそうだけど、女の子がみんな活き活きとしてて可愛い。撮影係となるメガネの子もエロ不参加とは思えないほどキャラが立って魅力的だったし、何なら最初と最後にだけ出てきて漫画の評価をしてた子も可愛い。もちろんメインヒロインも可愛いんですが、個人的には最初に出てきた衣装ありの状態がめちゃくちゃ刺さりました。脱ぎの場面も好き。2ページ目の撮影の場面とか最高でした。メガネの子の笑顔も良いw
 んで、資料の撮影という体裁でのエロ。自分の考えたエロいシチュエーションに引っ張られながら、という捻れが面白い。撮影係の子が作者以上に内容に注文つけてくる感じとか良いですよね。自分の発想(作品)が一人歩きして自分の首を絞めてる感w
 さすがに挿入はまずいので股にオナホをセット。特殊なシチュエーションが面白い……と思ったら早々に外れてリアル本番に至るので笑った。オナホくんの立場がねぇw ただ、物語的にこのワンクッションは必要で、男の方はオナホだと思ってるからこそ乱暴に、自分勝手な攻めをしてるわけですよね。本物だったらそこまではしません、という一線がキャラクターの魅力であり、「いや本物なんですけど」というヒロインとの情報格差が2人の関係性に奥行きを生んでる。

異世界はこう抜く』F4U

 第24回。花の妖精。受粉させたいので人間ではどうしようもない……からの “わたしのつぼみを使いましょう” 。相変わらずロジックの構築が見事。いや、「ホントか?」という内容ではあるんですが、しっかりワンロジック用意されてて、それが「まぁたしかに……」と一瞬納得してしまうようなレベルになってるのが素晴らしいです。隔月で毎回すごいですよ。絵的な盛り上がりと客のキャラデザ、まくら嬢とボーイくんの掛け合いも毎回楽しいし、ものすごい安定感のある連載。毎回しっかり面白い。個人的にはやはりボーイくんの解説兼リアクションぶりが特に好き

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 真空ジェシカ ガクの連載。マックではエロゲーができない、という衝撃の事実が書かれていた。知らなかったよ。そんな不公平がまかり通っていいのか。
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 終わり。今月はまた一段と遅れてしまった。もう来週、次号が出ちゃうよ。上記のアンケートも期限ギリギリ。8月は時間あったはずなんですが。なんでや。
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