北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

WEEKLY快楽天 2023 No.38の感想

 komiflo、エンドページの表示(非表示)設定がバグってますね。おま環ではないはず、たぶん。
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魔法少女の恩返し』角煮煮

 後編。待望の完結編。久々の掲載だったんですが、本話の冒頭があまりに予想外の場面から始まるので驚きました。本話全体を通じてセリフによる説明みたいなものは意外と少なくて、ちゃんと漫画として感動的な雰囲気が生まれてるのがすごい。回想が終わって現在パートに移る演出もうまい。以前のエピソードを読み返すと「魔法少女の食事事情」について言及される場面がしっかりあり、ルルリリにとって食事は大事な思い出であったということがより意識させられる。普通にうまいし、感動的なんだけど、その回想が終わった直後にオナホ扱いされてる少女が出てくるのであまりのギャップに面食らうw
 ということで、本話はついにルルリリとの関係の掘り下げ、であり本番。魔法も常識改変も介さないセックス。照れも恥じらいも感慨も感情もあるセックス。本シリーズ、というか角煮煮作品でこういうのが真正面から描かれるのがレアですね。そんな「まさかこんなものが見れるとは」という読者としての感慨が劇中の印象とシンクロする。
 相手を人間扱いするセックスで、ドラマチックであり感動的なんだけど、主人公がすぐに魔法少女コスを希望するので笑う。常識を持ち合わせてるけど性欲には異常に正直というのが本シリーズ主人公の特徴であり魅力。
 衣装を着せてセックスすることになるので変態度は高まるんだけど、コスはコスで徹底しており、何一つ脱がさない。ずらしておっぱいだけ露出すらしない。ただのフェチ的な追求なのかもしれませんが、エロ要素を減らしたセックスのようにも感じられて、ちょっと良い話的なものも感じてしまう……かもしれない。
 からのエピローグ。ルルリリはいなくな……ったりはせず、かといってルルリリと2人きりの生活になったりもしない。「オナホの調達はやめないんかい」という感じのオチで笑ってしまったけど、ここらへんの謎のバランスが最高でしたね。どう考えても良い話にするには人の道をはずれたエロを楽しみすぎてるんだけど、その水と油がキレイに混じったような気がする(混ざりきってはいない)、という錯覚に陥れる作品。

『正直者が…』すがる春

 年下男子学生を襲う変態女性が闊歩する世界。すがる先生の新作なのに可哀想な目に遭うのが女の子じゃなくて男の子でめっちゃ意外だったんですが、読み始めると作品全体を妙な違和感が覆う。分かりやすい説明だったり明示がないのが良いんですが、おそらく男女の立場、力関係などが反転した世界の話ですよね。SF的であり、少し不思議的な設定。さすがにここまで現実世界が腐ってないと思いたいですが、女子高生が電車通学をすると当然のように痴漢のリスクがつきまとう(らしい)ことを考えるとあながち極端な誇張でもないのかな。つらい……。男女反転して男性社会のクソさを実感するという意味では映画『バービー』をも思い出す仕掛けだ(怒られるぞ)。
 主人公が捕まってすんなりエロパート突入なんですが、すがる作品は相変わらずホラーとかサスペンス演出がうまい。敵う余地が1ミリも存在しない相手がまったく話の通じないサイコパスというのが怖すぎる。過去2作もそうだけど、襲う側がめちゃくちゃ血の通ったキャラクターになってるのが最高ですよね。認識は歪みまくってるんだけど、彼(彼女)なりの思考がしっかり存在してるのが感じられる。だから余計に怖いし、逃げ場のなさを実感させられる。
 本作の不思議設定もそうだし、疑似駅弁(男に支える力はないので女がトイレのドア上部を掴んで自力で浮かぶ)とか、ヒロインがもう都市伝説ホラーとか怪異みたいな存在になってて超面白い。あの駅弁の場面マジですごかったですね。我が目を疑いました。常識外すぎて怖いと同時に、力の差をこれでもかと見せつけられるような行為になってて本当にすごい。相手に対して直接暴力的なことをしてるわけじゃないのに、ここまでの絶望が生じるのは画期的だと思う。この体位流行ってほしい……と一瞬思ったけど、設定が特殊じゃないと成立しない難しそうですね。扱えるジャンルが狭すぎる。

エロマンガアカデミー」

 #50、つかこ先生による「エロ漫画を描いてみよう」。予想外のテーマでめちゃくちゃ面白い。ちょうど50の節目ということもあり、ちょっと「最終回かな?」みたいな感じも出ちゃってる。予告で今後おから先生の回がと告知されてるのでまだまだ続くんですが。
 エロ漫画の始め方、という技術的な話もあるんですが、同時に作家として最初の一歩を踏み出すマインド面の話もあるので超面白い。つかこ先生の場合はそれが二次創作で、そこからオリジナルの制作に移る。今回、オリジナル作品論みたいなテーマにもなってますよね。エロ漫画としてはどっちも同じイメージがあったんですが、ファンがプレイヤーへとジャンプするにあたって二次創作が助走として機能してるのがめちゃくちゃ腑に落ちる話で面白かった(もちろん二次創作が本番な人がいてもいい)。そこからオリジナルへと移るが、オリジナルの場合はどうしもてキャラクターの説明が必要……というのも地味に目から鱗。あまりに何も考えてなかったというか、マジで言われるまで意識したことなかった巨大すぎる相違点でした。
 つかこ作品における、キャラを作る際の好きな要素のリストアップが例示されてるんですが、具体的に文字としてリスト化されるとワガママ全部盛りっぷりにちょっと笑ってしまう……のですが、作品として読む際にはその盛り盛り感は全然目立たないので、これができちゃうオリジナル作家はやはり最強ですね。ファンが崇めるのとは別の意味で神。


 終わり。おから先生の表紙(メイド化)も最高でした。ここまで来るとマジで脱がなくても全然いいレベル(ただ脱いでもほしい)。
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