北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC HOTMILK(コミックホットミルク)2021年3月号の感想

 遅くなりましたがホットミルク感想です。
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『姪が大きくなりまして』黒龍眼

 フルカラー8ページ。からかってくる姪を返り討ち。冒頭から衣装が良い。お腹の日焼け跡も良いんですが、その衣装をどう脱ぐか、という部分が燃える。エロ漫画なので登場の場面からある程度期待しちゃうと思うんですが、脱ぎシーンがそれに答えてくれる。おっぱいぺろんのくだり最高でした。この脱ぎのパートはからかいの魅力もバッチリで、そういう意味でも良かったですね。攻守逆転するとガラッと表情が変わってある種のツンデレ的だと思うんですが、その振り幅としても前半のパイズリ良かったと思います。主人公の逆転劇ではあるものの、それほど暴力的な感じではなく、ヒロイン側が心の底から満足してる感あるのも個人的な好みのバランスで良かったです。

「Hot Love Novel」牡丹もちと ICHICO

 「大江呂温泉物語~淫蕩編~」。牡丹もちと先生だーやったー、と思ってたらかつての漫画の続きなので驚きました。そんなパターンもあるのか。ヒロイン2人と場所は同じで、男が交代。同じ場所で再びハントする話。まさか漫画の続きがショートノベルになって読めるとは。これ牡丹もちと先生の単行本とかに載せた方がいいレベルだと思うんですが、こういうのってどうなるのかしら。そもそもノベルの詳しい内容に牡丹もちと先生側がどの程度関わってるのかも分からないw
 それと、今回特徴的なのがヒロイン2人体制。ノベル的にもセリフの割合が高くて文章としてもかなり雰囲気が違う。セリフのやりとりだけである程度話が進行できるってのは大きいですね。そして、同じく大きな影響があるのがwebで聞けるボイスドラマ。こちらも2人、ヘッドホンだと右耳と左耳に分かれてて面白いです(フェラとか挿入あるからリアルな音響効果というよりは2人の区別しやすさ)。前に連載やってたときの最終回でヒロイン2人の回があってマジ最高だったんですが、今回は漫画の続きで、2人で、と二重に嬉しい。いつもは男主人公に語りかけ続けるタイプの内容なんですが、今回はヒロイン2人の掛け合いとかの要素が加わるのでかなり味わいが違う。めちゃくちゃ良いです。
 細かい話になるんですが、ボイスドラマだと温泉の名前が「こうらんの湯」。漫画とノベルだと「蘭香の湯」。音のみだと乱交(当然これのダジャレなんでしょうが)と区別がつかないのであえて変更した感じでしょうか。

『教えたがりお姉さん』江森うき

 フルカラー4ページ。童貞を理由に彼女にフラれた主人公が酒の勢いで姉に教えてもらう。付けっぱなしのテレビと無数の空き缶という日常の余韻を感じさせる冒頭の場面とか実に効果的だったと思います。酔った口調のヒロインも魅力的なんですが、酒がなかったらからかうか慰める程度で終わっていたであろう話が……という良さ。そんな日常からのグラデーションが大事なので、前半は半脱ぎ。やっぱ半脱ぎだよなぁ。半脱ぎ大好き(趣味)。からの後半は全裸なんですが、半脱ぎを経由したことでセックスへの没頭感が増したと思います。前半は「勢いで」みたいな言い訳もあったけど、セックスを満喫するために全裸になる、とアクションに意味が加わる。

『スキッ部』てりてりお

 スキップする部活。なんだけど、特に序盤がめちゃくちゃで面白い。感情の起伏が激しすぎるというか、単にギャグ漫画調というのも違うのかな。毎ページ大きな飛躍を迎えてて「なにこれ!?」となるんだけど、キャラクターの魅力はばっちり沁みるし、ギャグっぽい話から一気にエロへと振り切れる感覚も絶品。やっぱエロ漫画の魅力ってこの一線を踏み越える瞬間の感覚が大きいと思います。本作はそこをめちゃくちゃなパワープレイで越えていくんですが、そこに「この2人実は過去に……」というドラマが足し算されるのでまた別の意味で予想外。ギャグっぽい要素を全部取り除いたら結構エモい話にもなってたと思うんですよね。けどそれらが闇鍋状態になってるからこそ特別な存在感が生まれてる。
 32ページとしっかりしたボリュームでして、めちゃくちゃな急展開を繰り返すのにエロパートはガッツリ。十二分な量でエロに関しては丁寧な積み重ねも感じる。そして、「実は過去に」の部分こそが物語的には味噌なので、物語要素はエロパート入ってからの方が濃いとも言える。この不思議なバランスが本当に楽しい。ラスト、本作のカオスの象徴とも言えるスキップになって終わるんですが、ヒロインがスキップ始める場面とか普通に感動的な雰囲気すら漂ってるからずるい。そこで終わらず、ちゃんとギャグっぽい雰囲気に戻してから終わるのも良いバランスだったと思います。

『シェアラブる』宮部キウイ

 後編。話のお膳立ては前編で済ませてあるので、エピローグ3ページを除いてずっとエロ。それなのに後編だけで30ページだからすごい。
 最近のフェラ職人ぶりの進化が著しい宮部先生にとって今回の前後編という構成は前編をフェラオンリーにするための策だと思ったんですが、逆に言うと後編からフェラがなくなる。フェラがなくて大丈夫なのかと心配もしたんですが、大丈夫なんだよなぁ。てか、意図的に後編ではフェラをしてないようにも感じました。一応1ページ目に少しだけフェラしてるんですが、あれは前編の名残という意味合いが強いと思います。他は一切ナシ。手コキの場面とかフェラしてもよかったと思うんですが、前編に限定するコンセプトだったんじゃないですかね。たぶん。
 フェラがなくても充分エロいよ、ということで今回はタイトルの通り、3P。ただの3Pではなく「シェア」ですので、女性2人の間に競争のニュアンスがないんですよね。互いに競い合うようにエロがヒートアップしていくのも3Pモノでは定番だと思うんですが、本作では極めてハッピーでピースフルな関係。男に対して優しいだけではなく、女性同士でも優しい。この女性同士の友情の先に3P的な恋愛関係がある、というのが良かった。そんな関係をセリフは最小限にし、プレイの絵で語ってたのが秀逸でした。
 エピローグもそんな3人の関係性として納得の結論。セックスの曜日スケジュールを立てるんですが、日替わりでヒロインを入れ替わり立ち替わり……ではなく、休みを挟んで3P。セックスは3Pが当たり前というのが本作らしくて素敵でした。もちろんエロ漫画だから毎日にしてもいいんですが、休みを挟むことでリアリティというか、1人ずつではなく2人同時にというニュアンスが強まってたと思います。

『天照女学院文化祭』黒川おとぎ

 第1話。シリーズですな。『ザクロ症候群』と同じくハーレムを目的としたシリーズなんですが、『ザクロ』のときよりもハーレムへの距離が短い。今にもハーレム状況に陥りそう……な中、初回の本話は基本的には1対1。『ザクロ』での1対1とは味わいが大きく異なりますね。
 超お嬢様校の文化祭に男子が1名放り込まれる。まさにハーレムな設定なんですが、面白いのが文化祭という点。つまり学生時代に3回ある。1年に1度の奇祭みたいな感じでしょうか。今回のヒロインは主人公が中学が同じで、中学卒業以来、2年ぶりの再会。つまり彼女は文化祭が2度目。ヒロインが初めの文化祭に翻弄されるみたいな要素は今回ゼロ。主人公にとって異世界において唯一の分かり合える存在……かと思ったら彼女も実はアッチ側の人間であった。このエロ漫画としてのギアが一気に上がる瞬間が楽しい。設定の面白さ、舞台の不気味さからの、理解者だと思ってた人が既に……。ちょっとホラー的な展開とも言えそうですね。
 そんな不気味さすらある状況で、主人公が性欲に素直になる。真っ先にパイズリをリクエストするので笑いました。右も左も分からない状況に置かれたはずなのにめっちゃ順応してるw
 最初に2年生のヒロインを出したのが絶妙で、主人公は前夜祭として今回セックスしてしまったんですが、次回以降に出てくるであろう1年の子は文化祭が初めてなわけで、ちょっと立場が逆転しますよね。逆に、3年という歴戦の猛者みたいなキャラが出てくる可能性もあるわけで、今後の展開が気になる第1話だったと思います。

『南雲家に嫁入り♡』ニム

 狐の嫁入り。名家、先祖という要素が絡みつつも基本的はケモロリとマッチョ主人公というパンチある設定。というか、主人公がマッチョなことに特に意味がないのが良い。名家だったはずなのにその血筋は当代で途絶えるかもしれない、だったら狐と、という話なんですが、主人公がマッチョすぎて只者ではない感がw いや、独活の大木的なことなのかもしれませんね。とにかくやりたいことはヒロインとの体格差、という感じなのでしょう。シックスナインの際、ヒロインが主人公の体に完全に乗っかりきってしまう、足が地に着かない、という絵面とかかなりインパクトありました。ちょっと小動物的な雰囲気もありますね。文字通り全体重が自分の体によって支えられてる状態。体格差がありすぎるので、それほど暴力的な意図がなくても絵面がものすごいハードになってしまうからエロ漫画としては楽しい。単純にチンコが大きすぎるみたいな要素もあるけど、2人の体全体が見えるショットとか、支配感がすごいw
 一応当初の目的(子孫)も忘れてないんですが、最初の中出しで妊娠を確信したらそのままアナルに移行、という贅沢コースなのも笑いました。めちゃくちゃやりたい放題やってるんですが、一応話の主軸は守ってるのが良い。
 からのエピローグ。子沢山なんですが、こういうエロ漫画では珍しく男の子もいるんですよね。おそらく跡継ぎとして最低1人は出しておきたかった、ということなんだと思います。

『秘密の配信』だにまる

 誰もが憧れる学級委員長が実は。ヒロインはもちろんなんですが、竿も可愛くて良いぞ、とか思ってたら壁ドンやら顎クイやらされまくりなので笑った。そっち系に極振りという感じで非常に良い。まぁもちろんヒロインとのギャップという効果もありますね。オナニーがバレても凛とした態度にすぐ戻るヒロインの強さ、この人には敵わない感が非常に魅力的でした。
 からの配信。主人公は写真部で、ヒロインのことが好きなのは被写体としての美しさを見出したからでもある。なので当然彼がエロ配信のカメラマンになる。この特等席で見てるだけ、という焦らしが良い。ヒロインに対して抱いていた幻想が崩れるんですが、それと同時に彼女のことを魅力的に撮影しようとしてしまうジレンマ。そして、配信内容が加速していってチンコが使われるようになり、素股の撮影終了後、いよいよ本番のお誘い。撮影外ってところに特別な感慨ありますね。 “配信中あんな物欲しそうな顔して…” と見る見られるの関係が逆転するようなセリフで誘われるのが最高。配信もの、撮影ものにおいてこの視点は面白いです。エロのベクトルが突然逆転する。主人公もエロい目で見られていた。そして、彼の方は配信してないので彼を求めてるのは目の前の彼女たった1人。熱すぎる展開。
 本番。撮影を排した関係ってのがマジ熱いんですが、クライマックスで主人公が “気持ちいい顔いっぱい見せてくださいっ!” と男を見せるのもうまい。セックスの間は配信要素がなくなったと思いきや、見る見られるというテーマは通底していて素晴らしい。単にセックスして気持ちいいという話だけでは終わらず、見られることが気持ちいいと着地したのが秀逸だったと思います。

『メテオ・パラサイト・陰部』高遠くろ助

 甘酸っぱい話かと思ったら2ページ目でいきなり隕石落ちてくるので衝撃。オープニング詐欺みたいな開幕でしたね。読切ならではの短期決戦感すげぇ好き。
 一気にギャグに振り切れるのかと思ったんですが、なんやかんやありつつ少し良い話風でもあるので驚く。てか、案外最初の甘酸っぱい雰囲気は継続してるんですよね。あんな2人がいきなりセックスする理由として隕石が関わってくるだけで、他は全然初々しいカップルらしい内容になっててすごい。なんであの隕石と両立できるのw ふざけた設定からの体格差を活かしたハードなプレイ。なのにどこか甘酸っぱさも残った良い話。なんでや……。特に前半のヒロインが彼のために勇気を振り絞ってエロを行っていく感じとかホント良かったです。健気で可愛い。それに対して理性を失った彼がめちゃくちゃなハードプレイでお返しする、という展開のギャップも最高でした。とにかくいろんな意味で振り幅がデカいw

『かんちがいかん』ふみひこ

 電車内の痴漢。漫画全体を通じて特徴的で、ヒロインの体が占める割合がかなり低い。さらには脱ぎの要素も少ないので肌色も少ない。そこに電車内特有のぎゅうぎゅう詰め感。モブのスーツの黒に囲まれた状態で……という絵がとにかく印象的でした。人口密度が高すぎてどこから痴漢の手が伸びてるか分からない、というのがオチに向けた重要な要素なんですが、相手の情報すらろくに読み取れないからこそヒロインの弱者としての立場が絵による印象としてズバリ伝わってくる。
 そして、本作を読んで真っ先に目に付いたのはやはりマスク。モブを含め全員マスクしてる。そしてそれに対する説明は一切ナシ。まぁ要するにコロナ以降の光景ということですよね。リモートとかそういう題材としてコロナ以降を感じさせる作品はそこそこ多くなってきましたが、ここまでコロナ後の社会をそのまま反映させつつ、反映させるのは絵だけで、話は関係がない。このバランスは初めて見ました。てか、エロ漫画に限らず、一般の漫画、その他映像作品すべてを含めて初めて見ました。
 そんな全員マスク。ヒロインが読み取れる情報が非常に限定的というのが本作の味噌ですので、そういう意味ではマスクが効果的でしたよね。誰だか分からない無数のモブに囲まれて、という圧倒的な敗北感にも一役買ってたと思います。
 そもそもおっぱいすら出さないという挑戦的というか、コンセプチュアルな内容だと思うんですが、それが表面的な扱いではなく、漫画の中のいろんな要素と絡み合って成立してたと思います。電車の中でワケも分からないまま最期まで、という話として完璧な漫画表現だったのではないでしょうか。それがマスクありきの社会ってのがすごいよなぁ。マジで衝撃的でした。

『文学を貪るモノタチ』夏庵

 最終話。ついに完結。前話までの段階でもう救われようがないとこまで追い込まれてたと思うんですが、本話の冒頭で幸せな光景が描かれる。そんなうまいこと行くわけ……と読んでて思うんですが、それでもこのキラキラ感を一回挟んだのは効果的だったと思います。陵辱描写一辺倒になると寝取られとしての印象が弱まってしまうので。やっぱ寝取られは寝取られる視点がいることが重要なのでしょうね。ただの陵辱ではなく、そこに奪われた、失った人の視点が入ることで初めて完成する。
 前回までは割とヒロインが堕ちるまでの変遷にフォーカスしたような内容だったと思うんですが、前話でいよいよ彼女が堕ちきってしまったので、最終話はついにその向こう側。文芸部の扉を開ける、というアクションがものすごく重要で、まずヒロインが陵辱を求めて扉を開けて入室する。そして、いよいよラスト、寝取られの真骨頂とも言える瞬間が訪れるんですが、ここでも文芸部の扉を開ける。彼はヒロインのことをまだ文芸部の部長という認識ですので、ヤリ部屋となってる現実とのギャップがある。てか、今回の陵辱の内容がかなり文芸部という要素をおちょくる内容になってて、そこも意地悪で良かったですね。救いがなさすぎる地獄みたいな結末なんですが、余韻を持たせた終わり方をすることで本当の地獄は読者の想像の中で展開することになる。

『たえこちゃんとじみこさん』玄鉄絢

 第21話。komifloのコメ欄がパスタ鍋ライフハックで盛り上がってて笑った。なんでそこなんだよw いや、よく考えると “パスタ茹でてるお湯は絶対に泡がでっかくなるんだから” というセリフは本作の今後を暗示してるのかもしれませんね。抑え込もうとしても溢れてしまう。箸を置くのは実際に効果あるらしいんですが、だとすると逆に漫画としての意図が強く感じられる場面になったというか。結局私もパスタ鍋の話してしまった……。
 本番としては、2階建ての家の2階で。1階では子供がテレビを見ている……はずだったが、というラスト。このドア越しに聞いてた、という展開は本話の1ページ目とまったく同じですね。1ページ目と最終ページで同じことをやってる。ただし、キャラが変わっていて、という部分が面白い。次々に連鎖していく感じが本作らしい部分だと思います。

『裏表ストリーマー』みかわや

 委員長がエロ配信。今号だとちょうど『秘密の配信』が似たような題材をやってるんですが(置かれたカメラというラストシーンも同じ)、本作は、主人公が撮影として参加するのではなくあくまでも視聴者として関わりを持っていく。謎解きや心理戦みたいな要素があってハラハラするんですが、ヒロインが配信中にメッセージを送ってくるのでさらに面白い。カメラを局部のアップにして、その隙に主人公とやりとり。配信中なんだけど、2人だけの世界が広がってる感がものすごくドキドキします。同じ配信ものでも『秘密の配信』とはアプローチが全然違うし、それによって生まれる魅力がまったくの別物だから面白いですね。配信ものホント面白いっすわ。一時はちょっと一過性の流行り物というか、突飛な設定だとも思ってたんですが、いろんな作家が作品を重ねた結果、エロ漫画の題材としてめちゃくちゃ面白いことに気づかされました。奥が深い世界だ……。
 配信中は顔を隠すためにマスクを着用してたんですが、翌日の学校で彼女がマスクをつけたまま主人公に接近してくるのとかちょっとホラー的な印象すらありますよね。配信時と同じ顔のまま学校で迫ってくる、というのが彼女の圧倒的なまでの優勢を感じさせる。
 からの彼女の家。最初は配信と同じような状況でエロが始まるんですが、主人公が “俺は俺だけが独占できる白峰さんにドキドキしたい!” と決意の告白をしてまたフェイズが変わる。ここで彼女がマスクを外すことでより深く彼女に近づけた、と分かるから良いよなぁ。「裏表」とタイトルにもありますが、二面性を象徴するアイテムとしてマスクがうまいこと使われてる。

『マ界の優等生』山崎かずま

 サキュバス。それもサキュバスの家系の話。今回セックスには参加しないキャラが2人も扉に登場していて設定の広がりを感じる。ただ、扉では乳首は見せてないのでやはり本作のヒロインは1人のみ……と思ったらラストで出てくるのであったw 寝込みを襲うというサキュバスとしては正統派な要素が最後の最後に出てくる。
 本作のヒロインはサキュバスとしてはかなり変則的というか、はみ出し者。サキュバスらしくない引っ込み思案なところがギャップで可愛いし、そんな彼女が覚醒する場面でドキッとさせられる。ただ、そんな覚醒シーン、覚醒したあとは彼女が暴走して……という感じではない。そう単純ではないのが本作の奥行き。覚醒の予感はするし、その片鱗は明確に見せるんだけど、そこから持ち直す。あくまでも初々しいカップルの初めて、という感じのまま終わる。今後この2人は大丈夫なのだろうか……とか考えちゃうんですが、彼女だけの話に限らず、第三者の介入でさらに事態がこじれる。そんな終わり方。シリーズ展開を見越してるのかもしれませんが、本作単独で見ても魅力的なエピローグだったと思います。 “この子も若いんだし一日寝てればすぐに元気になるわよ” の次のページで寝てると疲れる事態になってるのとか笑いました。咲場家の魔窟感。てか、その母親も安心できるかどうか正直怪しいですよねw

『もっとおしえて大柴さん』小林王桂

 続編。後日譚的な位置づけになりますかね。陵辱系の話として一旦完結した作品のさらなる向こう側。男女それぞれ2:2なんですが、加害と被害だと3:1になり、今回はその一件について4人がそれぞれどう思ってるか、というスタンスの違いが明確になるのが面白い。これは続編ならではの魅力というか、この感じを読切で描くのはちょっと難しいというか、想像できないです。
 一件のことはさておいて学校を休んだことのみを心配するアン子もカラッとしたサイコパス感あって不気味。そして場を支配してるようにも思えるナオは悪意が剥き出しなんですが、他の2人がネジ外れすぎてるので、彼の悪意はむしろ常識の範囲内なのでは? とか変なことも考えてしまうw そして、一番どうかしてるのが被害者(主人公=大柴さん)にガチ惚れしてるうイッチ。ある意味で一番何考えてるか分からないサイコパス感あって最高。ガチ惚れと言われた次のページでアン子とセックスしてるのとかこの4人(3人)の狂った関係性が凝縮してますね。
 セックスと手マンがシンクロするのが漫画的にも面白いし、支配感としてもかなりえげつないレベルに達してたと思います。焦らしでもあり、疑似的なセックスでもあり、すべてが3人の手の上という感じで非常に地獄。
 男女ペアを交代して、いよいよ本番。ここで大柴さんへ快楽堕ちを認めさせる流れになるんですが、それを意地で否定。するとイッチが “オレはこういうの受け入れられない大柴が好き” とその否定を俯瞰する立場から受け止めるのが超不気味。このイカれ具合がマジ絶品というか、単に悪意剥き出しで乱暴してくる人にレイプされるのとは違う闇の深さがあって面白かったです。狂った人の一途が最も恐ろしい、みたいな。

『誘惑上手の紺野さん』Dr.P

 保健室でのギャルと真面目くん。保健室という非日常空間での交流というのもアガるし、そこでの攻めと受け、からかいとリアクションという関係がとても良い。さらにはヒロインの飼い犬の話題が出て、 “この子ちょっと狛井に似てない?” という視点が入るのが最高。単純にワンちゃんが可愛くて眼福というのもあるんですが、ヒロインによるからかいが犬に対する愛玩の念と重ねられるってのが良い。犬系男子、というか子犬系男子をからかうようで、実は彼に甘えられたい、みたいな関係性になってるのが良い。ギャルが都合良く主人公のことを好いてくれる、みたいな話はエロ漫画だと定番ですが、彼女が好いてる理由として犬があって、犬のように求愛してくれる人がいたらそりゃ求愛されたいに決まってる、みたいな感じじゃないですかね。分かる、分かるぞ……!(急に熱弁) 犬に対して直接性欲を抱くことはないんですが、犬に対する愛情、情念をどう発露したらいいのか、みたいな悩みは誰にでもあるじゃないですか。決めつけですが。その代替となる人間がいたらそりゃ求められるに決まってる。という説得力。
 そんなからかい系のヒロインからの好意がエピローグで明らかになる。ある種ツンデレ的なオチではあるんですが、実はプレイ中にこっそり写真を撮っていたというオチで、「いつ撮ってたの!?」とつい読み返したくなる。写真ってのが2人が接近するキッカケとなる犬の写真とも呼応してて見事ですよね。可愛い犬のことは写真に収めたくなる、という話。んで、いつ写真撮ってたかの件なんですが、おそらく “夢中で腰振ってる…” “ウチの犬みたいに…” のコマでしょうね。明確に答えのコマがあるので驚きました。良く出来てるわ。ちゃんとそのコマで犬と比較するセリフがあるのも2枚の写真の共通点として見事ですよね。

『クノーテン』88

 クノーテンとはドイツ語で「結び目」を意味するねじれた形状のパン。オチのことだったのですね。これ一目見て意味が分かった人は逆にどういう風に本作を読んだのだろう、と気になってくる。最後になるまで「パン要素なくない!?」と混乱したのではないかw まぁ、ねじれとか結び目という意味が2人のドラマの象徴している、みたいな読み取りは可能かもしれませんね。
 とにかく最後までに何の話なのか分からない構成になってるのが面白い。物騒な雰囲気から始まり、そこからヒロインが優位に立つようなカップルの関係性が描かれ、そのままセックスになるんですが、2人の背景、ここまでに至る具体的な物語は語られない。どういう関係なんだ……と興味を引かれながらエロシーンを堪能するのが面白い読書感覚でした。からのオチで、「何だよこのほのぼのオチは!」とずっこけるのも楽しい。
 冒頭に出てきた銃についての説明がまったくなく、めちゃくちゃ気になるんですが、気持ちを落ち着かせるために銃をいじってたことを考えると、元殺し屋が足を洗ってパン屋を開き、本作はその初日の様子ってことになるのかしら。だとするとヒロインとの関係は一体……とさらなる興味が湧きますね。この情報のバランスすごい面白かったです。エロ漫画だから基本的にはエロシーンがあれば成立するんですが、だからこそ他の情報が抜け落ちていることによって独特な味わいが生まれてる。

『蛮族王』後藤マサキの野望

 開拓時代、富豪の屋敷に勤めるメイドが蛮族に襲われる話。文明と野蛮、両極端な2つが同居するのが開拓時代ってことなんでしょうね。勢いで突き抜けるような印象もある作品なんですが、何気にこの時代設定好きです。世紀末的な暴力に支配される話なんだけど、ヒロインは文明がなければ存在が成立しないメイド。このギャップが良い。クラシカルなメイドって良いよね。そんなメイド服がひん剥かれてしまうのが残念でもあるんですが、メイド服が彼女の社会との繋がりというか、心の拠り所でもあるので、それを奪われることに意味があったのだと思います。
 ヒロインと蛮族たちのキャラクターというか、世界観が違いすぎる感じがジャンルミックスみたいな面白さになってたと思います。同じ作品にいるのがおかしいでしょ、みたいなバランス。そんな彼女が快楽堕ちして完全にあっちの世界の住人になってしまうんですが、そこでの爆発オチで笑いました。勢い重視というか、雑さを狙ってるような印象。あそこで一気にギャグ的な雰囲気になるので、後味はスッキリしてるのが面白いですね。かなり可哀想な話だったはずなんですがw

『前略♡お兄様』えびふらい

 兄妹。冒頭からかなり強引な形でエロに発展していく。それだけ妹が振り回す形になってて、その関係性が1つの魅力なんですが、いざエロが始まるとヒロインがそれまでの勢いを失うというか、途端に口数が減り、モノローグがめちゃくちゃ増える。この緩急というか、お兄ちゃんに伝わらない程度のツンデレ感。別に下克上と言うほどお兄ちゃんが支配的になるわけではないんですが、妹は強がってただけと明らかになるような展開が良い。そんな妹の弱さの部分をお兄ちゃんがどこまで把握してるのかがいまいち分からない感じも良かったですね。鈍ちんなのか、何とか隠しおおせたのか。妹のワガママに振り回されつつも、その受け入れるのが込みで魅力的な関係性になってる感じとか、兄妹ものとして王道というか、理想的なバランスだったと思います。お兄ちゃんのキャラクター造形はかなり薄味で、ガンガン主張してくるタイプではないんですが、それでも妹のことを受け入れる度量は感じる内容だったと思います。完全に妹の視点、妹の心理に寄り添った作品で、お兄ちゃんはあくまでも竿役という扱いながら、この身勝手な関係が成立するのはお兄ちゃんの優しさがあってのことだよね、みたいなことを感じる。兄妹ものとしてもそうだし、エロ漫画の竿役がどこまで主張するべきなのか問題とも繋がるようで非常に面白かったです。

『菓女』ねこあか

 パティシエ。パティシエの衣装は可愛いですよねぇ、とか思ってたらいきなり「栗」の話になるので笑った。2ページ目でいきなりかよw そのままダジャレ的に菓子作りとエロを交えていくので面白い。バナナは定番ですが、桃、マンゴーと止まらないw 桃のタルト食べたくなってきてしまった……(食べ物の話)。
 ダジャレ的な要素が目立つんだけど、何気にセックスがアナルだけで完結してて、そちらにも驚く。どっちも試すとかではなく、完全にアナルオンリー。まさかマンゴーが踏み台扱いで終わることになるとは。その理由がバナナとの相性はマンゴーより桃となるのも本作らしくて良い。個人的にもマンゴーより桃の方が好きですね……(フルーツの話です)。

『ゲノム』古賀亮一

 今回かなり所長が魅力的な回だったんじゃないですかね。ホタテビキニがエルエルだけで終わらなかったのも驚きましたが、その前の「うふ~ん」のコマも好き。やはり普段レンズが反射してるメガネキャラは瞳が見えるだけでドキッとさせられますね。
 そして、『ヴィーナスの誕生』のあの貝がホタテだったとは知らなかった。スベスベマンジュウガニは知ってたので今月は勝ったと思ったらホタテトリビアで負けましたw あんなおいしそうな貝の上でセクシーポーズしてたんかい、ヴィーナスさん。

コアマガあほすたさんあほすたさん

 女性の絶頂。女性の性の目覚めは幼稚園の遊具。登り棒とかで股がこすれて目覚めるってよく聞くよねーとか思ったら、全然違うのが出てきて笑った。まさか直接の刺激がゼロとは……。いきなり高度すぎる。大人になってクリへの直接刺激を覚えたら力みオナニーを忘れてしまった、とかイノセントな子供の頃にだけ見れるトトロみたいな感じでめちゃくちゃ面白い。何も知らないからこそ発想が自由というか、物理的、合理的な方法を知ってしまうと選択肢は一気に狭まってしまうのではないか……。大人の状態で力みオナニーいける人っているのかしら。ちょっと最強に思えるw

『母性天使マザカルカノン』1億年惑星

 バレンタイン。2号前のクリスマスなあんなだったので嫌な予感しかないんですが、まさにその通りだったw
 ただ、クリスマスみたいなバトル回ではなく、むしろ母性天使としてはかなり王道な内容だったんじゃないですかね。相変わらず勢いがありすぎるギャグが楽しいんですが、カノンちゃん自体は今回かなりまともというか、母性天使としてのスタンスを徹底してて、それにほだされる話。カノンちゃん大勝利回ということで、意外と珍しいのではw


 終わり。すっかり月末、というか最終日になってしまった。今月は花粉のせい、ということにしておきましょう(症状が出たのここ1週間ですが)。
docs.google.com
 アンケート(もうすぐ期限切れですごめんなさい)。面白かった、可愛い、ヌけたの3本ですが、それぞれ『かんちがいかん』『秘密の配信』『裏表ストリーマー』かな。今更ながら配信ものの魅力に目覚めたかもしれない。ジャンルとしての奥深さを感じました。
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