北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2022年6月号の感想

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 ゴールデンウィーク、みんないろいろ出かけてたみたいでビックリです。
kitaku2kitaku.hatenablog.com

『これからの君に』藤丸

 同窓会で元カノ(キス止まり)と再会。同窓会ってのは割と定番のシチュエーションだと思うんですが、本作は一筋縄ではいかないというか、ただの同窓会モノでは終わらない面白さがあったと思います。同窓会でのワンナイトラブではあるけど、それにしては2人の青春のやり直し感が瑞々しく、明るく良い話……に見えるんだけど、2人とも失うものが大きすぎる。かなりすごい決断をするし、それは他人から見たら落ち度だらけの決断なんだけど、2人にとっては紛れもなくハッピーエンドで、ものすごく爽やかですらある。そういう迂闊さも含め、ものすごく青春っぽいというか、突っ走る若者のような印象。
 主人公のハイライトのない漆黒の瞳がとにかく印象的で、人生に諦めてるような空虚さの現れだったと思うんですが、そんな彼がついに “やっと大人になれた気分だ” とまでに至る。それに対するヒロインの返しが割と冷静で現実的ってのも良い。ただの良い話ではないことは作品自体も承知してるようなバランス。
 同窓会における「キレイになったな(元々可愛いけど)」という話なので、ヒロインの変貌ぶりが魅力であり、そのヒロインの変化、2つの顔が混ざり合うような形でエロパートに突入する。コスプレという意味でエロ的なサービスも感じるけど、青春のやり直しという本作の物語的にもめちゃくちゃ大事なことをやってる。エロパートと物語が不可分になってるのが素晴らしい。エロ漫画ではインフレしすぎて意味が軽くなってしまってることも多い(ファンタジーとしての良さでもあるが)「中出し」が本作だとめちゃくちゃ重い行為であり、それがタイトルとも関わってくるのも良かった。ちょっと自分に酔ってるような言い回しも彼らしいというか、青臭さがあってピッタリだったと思います。

『Room022』えーすけ

 えーすけ先生、先月も載ってたのに本作30ページもあってビビった。ゆったりとした、ヒロインが猫をいじるだけのオープニングめっちゃ好きです。単に猫ちゃん可愛いってのもありますが、猫を手懐ける、というのがエロ漫画として暗示してるというか、手でなで回して相手がゴロニャーンしてしまう感じとか妙にエロさも感じてしまう。
 先月の作品がかなりトリッキーな設定だったんですが、本作はシンプルに恋人のイチャイチャ。その分、2人のキャラクターの描写、そして何より冒頭の猫いじりとも関わってくる “……目見るとわかるんです” のくだりが最高。ヒロインのコミュニケーション能力の高さであり、それがセックスの強さに直結する。セックスにおける強さってテクニックの話になりがちだけど、本作では徹底してコミュニケーションとしての側面を描いてて、2人が通じ合い、それが深くなるからこそ気持ちいいし、その様がエロ漫画としてべらぼーにエロい。2人のセックスに連なるコミュニケーションの始まりとして描かれるキスシーンも素晴らしかったですね。非言語的な対話というのが強調されることで、その後のセックスすべてがこれと同じこと分かる。分かるっていうか、そういう風に見えるように誘導される。
 めちゃくちゃ激しいことを制服着たままやるし、制服を汚しまくるんだけど、制服を少し脱いで再びやり、制服を洗いに出してあざといパーカーを着た状態でまたもや……と「まだ終わらないのか!」と驚かされつつ、作品が終わっていく。最後に猫ちゃんが出てきたのも良かったですね。ヒロインの魅了されたのは主人公だけではなく……という感じなのでしょう。

『この後どうします?』Hamao

 エロへの淡い期待を抱きながら先輩を自宅に誘い……というオープニングの攻防のくだりから楽しい。男性側の下心を見透かされてる関係性が魅力的だし、それを明け透けに言ってくるヒロインのキャラクターも良い。下心についてチクチク指摘してくるのは防御なのか、はたまた誘ってるのか。みたいな様子の伺い合いが良い。結局男の計画は失敗に終わるんだけど、その負けっぷりを見たヒロインの興が乗ってきて……という本音は出し過ぎないけど、徐々に本音が見えてくる2人の変遷が最高。とにかく先輩としての優位性を感じさせるヒロインがめちゃくちゃ可愛いんですよね。彼女のが優位性を保ったままエロに対して乗り気になってくる心理がめちゃくちゃリアルで、緊張感を伴った攻防でありつつ、激甘なイチャイチャのような良さもある。とにかく2人のキャラクターが良いってことなんでしょう。身も蓋もないことを言ってしまえば、2人の関係的に「どうせセックスするやろ」みたいな感じでもあるんですが、多少の欺瞞も伴う儀式のような行程が好き。
 2人のイチャイチャ度とも通じるんですが、ヒロインの囁き攻撃というのが本作におけるエロ的なテーマにもなってて、前半の意地悪な言葉責めからの後半のド直球な甘ワードへのギャップがすごい。

異世界通信』mogg

 前編。mogg作品のオモシロ設定は毎回好きだし、感心するレベルなんですが、今回はまた一際すごかったですね。ただの異世界モノで終わるはずがなく、そこに彼氏とのビデオ通話、しかも通話中のまま転移する。異世界に寝取られを混ぜて、それをビデオ通話で繋げた感じ。寝取られビデオレターの良さ(?)は「ビデオの映像は既に過去」という絶望感だと思うんですが、本作は「今」だけど絶対に手が届かない。見てるだけしかない、というどうしようもなさ。けど目を離せるはずもなく……という救いのなさ。改めてだけど、すごい設定だ。
 さらに、時間の流れが違うので、異世界の生活に順応していく彼女の姿を気持ちの対応ができないまま見続ける、という要素まで加わる。ちゃんと物語的な展開、変化の面白さまであって、そこに彼氏の「ついていけない」という感覚を絶望に結びつける周到さ。言語が違うことで、主人公の疎外感がより強調されるのも見事でしたね。「見てるしかない」の絶望感をこれでもかと突き詰めてくるアイディアとその練度がすごい。
 制服で始まったヒロインが向こうの世界の服装(服と呼べるかは怪しいw)に変わってるのも絶望感を煽るし、小休止として風呂で裸になるのもうまい。ヒロインとも話が通じるし、ちょっと安心したところで……というところでの前編エンド。さらなる地獄ぶりも楽しみだし、物語がどのような着地に至るのかもめっちゃ気になる。仮にこっちの世界に帰ってきても、ハッピーエンドになるのか少し不安ですよね。

『それでも君には』ヤギコム

 ダブルメガネめっちゃ助かる。互いに真面目同士だと思っていた図書委員の話なんですが、実はヒロインの方は不正をしていて、主人公がそれを目撃してしまう。バレても悪びれる様子もないヒロインのキャラクターが魅力的。先生との関係がバレたらそのバレた相手と関係を結んで黙っててもらえばいい、という割り切りの早さ。効率重視というか、彼女なりの合理性というのが最初から最後まで一貫している。ヒロインのキャラクターが確立されてて、それが最後までブレない。主人公との関係でハッピーエンドのようなものを迎えるんだけど、彼女は今までのことを反省するとかではなく、「これはこれでうまい」という道へと進む方向を変えただけ。そんな彼女の強さがめちゃくちゃに良い。単にエロ的にヒロイン優位という魅力もあるけど、何と言っても精神的にヒロインの方が強い。主人公は何とか頑張って彼女の不正を止めさせることに成功するんだけど、彼女の考え、性格が根本から変わったという感じではないですよね。何とかコントロール、もしくは誘導できたけど……という2人のパワーバランスが良い。それでいて2人の相性の良さもしっかり感じられるので、このままうまく行きそうな予感もする案配。2人は結ばれたけど、彼女の手綱をこのまま握っていられるのだろうか……みたいな余韻も込みで素敵な終わり方。
 ヒロインが悪びれる様子もなく、常に自身の考えに従って瞬間瞬間を楽しんでる感じがとにかく可愛いし、それとは対照的に常に必死で食らいつこうとする主人公の真面目さ、律儀さにもキャラクター的な魅力があり、デコボコだけどナイスカップルな感じがするエンディングが最高ですよね。ラストの多幸感がとにかく良いのよ。

『捨てる紙あれば拾う紙あり』ニコライの嫁

 ゼロスよりの使者。快楽天デビューとなるんですが、「エロ漫画雑誌」というものを最大限活用した物語になってるので唸った。エロ本や単行本、エロ同人誌ではなくエロ漫画雑誌ならではの多彩さ、ある種のごった煮感。それを1本の読切としてまとめてしまうのがめちゃくちゃすごいんですが、贅沢すぎて逆に不安にもなってくる。劇中の漫画に対して「いやこれで1本普通に読みたいんですけど」となる読者も多いのではないでしょうか。私は「教え子チャレンジ」が読みたいですw
 最初はただの黒ギャルものだと思いました。オタクに優しいギャルに対して「エロ本の恩返し」というロジックで話を組み立てるのがめちゃくちゃ面白い……と思ったらそれどころではなかった。いや、そう思っても仕方ないくらい最初の黒ギャルの子が魅力的なのよ。普通に「あの本の化身」はあの子1人で固定ということで、話が完結しても何の違和感もない。とか思ってたら2人目登場で作品のギアが一つあがったような盛り上がり。「まさかそういう風に続くの!?」と期待混じりで読み進めてしまった。その期待を裏切らない加速度的な情報の詰め込みだったのも素晴らしいし、それでいて最後には主人公にとっての最大の夢である「ナースもの」で長めの尺があり、文句なしのクライマックス感も味わえる。ギャルとか未亡人とかキャラ濃いめのヒロインだったのに対し、最後のナースは優しく癒してくれるアプローチなのがご褒美感あって良いですよね。全ジャンル網羅しそうな勢いだけど、その選択と並びに意味があるのでやっぱり本作は1本の読切であったと感じる。
 エロ漫画は男の夢という結論で、そのことには一切異論はない……と思ったんだけど、「現実であったらイヤだよね」という痛烈なオチが用意されてるので笑った。komifloのコメ欄でしきりに言われてたけど、『世にも奇妙な物語』的な読後感ですよね。寝取られとか犯罪色のある設定のエロ漫画は一切出てこず、あくまでも「男の夢」感はあるハーレムものだったというのも最高。よく考えたら、現実だったら手に負えねぇわ、と言われるまで気づけない感じが痛快。
 これを読んだあとだと、「今号の快楽天だとどの作品に来てほしいだろうか」とか考えたくなってしまいますね。エロ漫画としてはめちゃくちゃ好みだった作品でも「現実だとちょっと……」という視点が得られたのが面白すぎる。いや、当たり前っちゃ当たり前の話なのかもしれないんですが、だからこその意外性であり面白さ。

『ロマンチックゴースト ~布施孝臣は恋がしたい~』さくま司

 幽霊とギャル。男女問わず相手役が幽霊って作品はそこそこあると思うんですが、主人公が幽霊、それも最初から死んでる。ヒロインは霊感が強いので見える。主人公(幽霊)にとってこの「見られる」という不測の事態によって彼が主導権を失い、受け身に回る。めちゃくちゃ特殊な設定なんだけど、ヒロインにリードされる、挙げ句優しくされるという話にスムーズに連結していくので面白い。特殊設定が意外なほど機能してるというか、出落ちという感じは全然しない。
 ヒロイン。クールというか、ダウナーというか、マイペースというか、みたいなギャルでめちゃくちゃ可愛い。表情から感情が読み取れない彼女がエロを通じて徐々に……という展開は単純に燃えるし、本作はそこに生きてる頃の回想として彼女とそっくり、だけどもっと愛想を振りまくタイプの子が出てくるので、さらにバリエーションが増える。顔はそっくりなんだけど、表情で別人だとハッキリ分かる感じが見事ですよね。似てるんだけど、違う。違いによってそれぞれのキャラクターの個性が際立ったと思います。髪色でパッと見で分かる親切設計になってるんですが、そもそも言動や表情が違う。
 似てるのには理由があって……と明らかになって成仏エンディング……かと思ったら違ったw 良いオチだったし、それまでとはまったく別の物語が始まりそうな予感で終わるのも個人的にすごい好き。エロ漫画的なノリではないから「続編もあったらいいな」という感じではないけど、漫画としては描かれないけど2人の物語は今後も続いていく、みたいな余韻が良い。
 本作のヒロインが可愛いというのは大前提として、彼女の母親もめちゃくちゃ可愛いので、普通に両親の馴れ初めの方も気になってしまうw 全方位的に愛想振りまくギャルと「女子みたいな男」のカップリング、たぶんだけど大好物だわ……。

『つづきの他人事』いだ天ふにすけ

 単行本発売記念ということで、『他人みたいに』の続編。タイトルが良いなぁ。続編らしさと、同じ言葉を使いながら別の言葉に昇華させてるのとか最高。
 前作は弟側の愛が重くて、それを知ってしまった姉が拒みきれずに……という感じでしたが、本作は逆。前作の経験によって我慢できなくなってしまったヒロインが勝手に決壊する。弟側の狂気が全然描かれないというか、そもそも彼の心境が全然描かれない……と思ったらクライマックスで一言。一発で作品全体を決定づけるような場面になってて素晴らしかった。ただの後日談って感じではなく、2作が表裏一体というか鏡合わせになってるかのような印象。
 タガが外れてだらしなく暴走するエロパートも良いんですが、我慢しようとするけど全然我慢できない序盤の場面も最高。弟が食事してるのを見てるだけで……とか素晴らしすぎる。自分の中の欲望をコントロールできてない感じとしてめちゃくちゃリアル。それがあるからエロパートの解放感もあるし、ラストの弟の一言で「そういう風に見られてたんだ」と明らかになる衝撃。その一言と同時に射精する弟の心理もめちゃくちゃ良いし、その一言に不意をつかれて達してしまうヒロインのこじれっぷりも最高。

『おさがりセックスフレンド#2』スミヤ

 第2話。兄貴のセックスフレンドがやってくる。前回のヒロインとの話を掘り下げる方向性も考えたんですが、代わる代わる新しい子が現れるパターンでした。たしかに特殊な設定のオモシロとしてはそっちの方が断然強い。リアリティとかいいからこの設定で延々と続いてほしい気もしてしまう。
 komifloのコメ欄で、本作に対して『ファイトクラブ』説を唱えてる人がいて笑ったんですが、たしかに物語的な整合性を真面目に詰めるならそういう方向のオチがつくのも面白そう。実際に当たるかは分からないし、もっと享楽的で都合の良いだけの話になるのもアリだと思うのですが、一説としてはマジで面白い。兄貴は正体つまり……(ネタバレなので映画観るかネタバレ調べてください)。
 んで、今回のヒロイン。あまり好きな表現ではないけど、メスガキ先輩。一応兄貴の関係者なので年上ってのが基本になると思うんですが、今回はその上下関係の逆転が描かれる。前作には年上ヒロインに導かれる良さもあったし、ロマンスの予感もほのかにあったんですが、それとはかなり対照的。本シリーズの描ける範囲が一気に広がった感じありますね。シリーズ展開として面白い。年上相手への逆転って意味でもそうで、主人公が今の特殊な立ち位置に対して慣れてきて、ちょっと調子に乗り始める。ヒロインの属性の幅広さを感じると共に主人公に生じる変化も感じられる第2話。
 エロパートとしては、即堕ち。清々しいまでの即堕ちなので笑ってしまうんですが、主人公に自信をつけさせるという意味においては意外と正攻法とも言えるかもしれない。前回のヒロインとは真逆のアプローチ。「おさがり」という基本設定にはどうしても引け目みたいなものが生じやすいと思うんですが、本話のヒロインの即堕ちによってその暗さみたいなものが払拭される。作品全体の印象としても一気にカラッとしたような変化があったと思います。「こんなこともやるんだ」という驚きが楽しめるのがシリーズものの魅力なのではないでしょうか。

『純血少女と雑種犬。』玉ぼん

 男子は女子の奴隷になるという特殊学園もの。『捨てる紙あれば拾う紙あり』と同じで「こんなに多種多様なヒロインが出てくるのに読切ってマジかよ」という衝撃。いや、本作の方はシリーズ化も考えてるのかな……。じゃないといろいろもったいなさ過ぎる舞台&人物設定だと思う。主人公がカッチリ設定されてて、背景としていろんな女子やその奴隷としての男子が出てくるんだけど、「こっちのカップルも気になりすぎるんですけど!?」のオンパレードでしたね。どれもSM関係で統一されてるんだけど、その中でもこんなにバリエーション作れるものなのか……。
 主人公は学園のシステムに真っ向反対。それが執拗な責めによってついに……という過程を楽しみ、決壊におけるカタルシスを楽しむような作品。女性の即堕ちを描いた『おさがりセックスフレンド』の第2話とはいろいろと対照的な作品でしたね。徹底的に男主人公の心理に寄り添いながら堕とされる快感を描いていく。
 主人公が負ける瞬間が明確にあって、そこにヒロインの一計があり、射精というクライマックス感も重なって……という盛り上がりが最高。北風と太陽じゃないけど、主人公の敵対心を煽りまくってからの甘い一言で油断を誘い、その隙によってすべてが崩れ去っていく、というロジカルさもめちゃくちゃ良かったです。戦術がしっかりしてて、「なぜ負けたのか」の部分で納得できる。バトル漫画的とも言えると思います。
 続きがあるなら、本主人公の堕ちた後の日常も気になるし、別主人公になるのも面白そうだし、今回脇役として出てきたカップルの様子も見たみたい……とかいろいろ考えてしまう。

『教えてください女体のコト!』層積

 ヒロインがメガネで嬉しいし、舞台が大学の映画研究会でさらに嬉しい。だらしなくも奔放な先輩ヒロインに振り回され続ける関係性もめっちゃ良かったし、何よりエロが始まってから途端に活き活きとし出すヒロインが本当に可愛い。ボケとツッコミ的な関係性の魅力もあって、ちょっとラブコメ的な印象も強いんですよね。それがエロを通じて描かれるのが良い。
 ヒロインの女っ気のないような衣装も素敵だし、彼女が自ら下だけ脱いでエロを満喫していく感じも最高。一方的に搾り取ってる感が魅力なんですが、それが衣装という見た目の印象からも引き出される。上の方を全然脱がないと思ってたら、挿入後にそれを見透かされたように彼女が自ら脱ぎ、そこで陥没乳首というまた別の要素が加わってくるのも最高。エロの進行を通じて彼女のいろんな顔が見えてくる良さ。それがすべてヒロインの意志(気まぐれ)によって行われる。ヒロインのキャラクターの魅力でもあるし、彼女に振り回されるという関係性の魅力としても最高。
 主人公が能動的に動くのは “…き キスしてもいいっすか” だけだと思うんですが、それに対するヒロインの食い気味で不意打ち的な返事、それによって主人公の理性が吹っ飛ぶというか、快感が頂点に達する、という良さもすごい。超絶エロい先輩に捕まった話ではあるけど、ちゃんとそんなヒロインに対する男側の心理、どう気持ちよくなっていくかの部分も丁寧で、だからこそクライマックスの盛り上がりが熱い。物語要素としては限りなく薄いんだけど、それでも起伏や盛り上がりはしっかりあるし、キャラクター的な魅力も間違いない。ヒロインのだらしないながらも活き活きと表情豊かな感じが本当良いんだよなぁ。彼女が快感に浸ってめちゃくちゃ満足げな顔をするくだりとか最高に可愛い。

『ばいばい天国』うるぴな

 死後のサバキの時間。主人公が死んでる作品、今号で2つ目なのすげぇなw
 全編ギャグテイストで進行しつつ、エロ。強引に話が進められていくので逆に作品としてのエロ純度は高くなってるのではないだろうか。ただ、エロではない兄弟が点対称になってるページとか最高に好きですね。急にギャグキャラがかっこいいw
 対戦形式ということもあって、エロシーンの進行が妙にバトル漫画っぽいのも好き。対戦なので互いが全力をぶつけ合ってる感じが強いのも良いですよね。愛とか1ミリも存在しないけど、エロの探求としては互いに本気。それでいて「やったか?」的な場面からの逆転もあって、やっぱり盛り上がる。
 超ハイテンションコメディだったのに、エピローグでは急にしんみりするというか、主人公の生前について思わせぶりな描写が入るのも面白い。あまりのテンションで気にする余裕がなかったけど、彼女はなんで死んでしまったのか、の部分が本作の奥行き。読み返してみたら冒頭の場面でも少しだけ生前について言及されてて「何があったんや……」と妙に引き込まれる。最後の選択は諦念なのか、憑き物が落ちて晴れやかな気持ちになってるのか、とか考えるのも楽しい。

『のぼせゆ』おから

 親戚が集まっての温泉旅行でいとこと。主人公は運転係になり、ヒロインと事前に2人きりになる。ヒロインは車内でスマホをいじり車酔い。到着後、運転疲れと車酔いで2人だけ旅館に残って……と2人のエロが始まるセッティングが着々と進んでいく感じが面白い。サクサクだが違和感のない流れが好き。
 からの部屋風呂。ヒロインの方からガンガン来るんですが、車内での素っ気ない感じからのギャップが可愛い。本心では幼い頃の「お兄ちゃん大好き」から変わってないと分かる安心感と背徳感。断られながらも攻め続けるヒロインの姿がいじらしいし、その背伸び感も最高。風呂に入ってからは表情から感情がダダ漏れだし、主人公とのやりとりを通じてさらに多彩な表情を見せてくるのもひたすら可愛い。「そういやしてなかったな」とクライマックスで主人公からキスをするのも良かった。あんだけ積極的だったヒロインだけど、キスは受け身というギャップ。
 エピローグ。親戚一同にバレないようにハラハラしてると布団の中のヒロインが一言、というラストも可愛い。やっぱこの背伸び感、ませてる感じが強い。

『アナタのお願い』大伴ヤキ

 お嬢様と執事。同い年かな。ヒロインの方が早熟な印象もあって、そのパワーバランスも可愛い。執事視点で進行するんですが、彼は真面目なのか鈍いところがあって……というラブコメ感も良い。ヒロインの好き好きアピールは結構露骨だと思うんですw 最後にヒロインが素直に気持ちを伝えて甘々な感じになるかと思ったらポンコツというオチがつくのも笑った。どちらも大事なところで抜けてるのが可愛い。
 冒頭のいかにもお嬢様ファッションに身を包んだままの描写も素晴らしかったんですが、中盤の布団の中のエロ下着姿も素晴らしい。肉感やシーツの皺などページから伝わる画力の圧が強い。それが作品の雰囲気と相まってめちゃくちゃ魅力的であり、そんな中で繰り広げられるのが互いに少し抜けた2人のラブコメってのが最高。
 冒頭の着衣もめちゃくちゃ好きだったんですが、事後のエピローグで互いにバスローブを着ながら会話して……という流れもすごい良かった。非エロパートでは2人の制服姿もありましたが、衣装のバリエーションが多い作品めっちゃ好きです。贅沢な望みだとは思いますが。

『アヤカのヒメゴト♡』まんの

 妹がよく睨んでくる。「これはツンデレかぁ?」とか思いながら読み進めたら予想以上に愛が重いので笑った。そんな妹のキャラ紹介パートと思われた冒頭の場面でしっかり「仕事のストレスで睡眠薬」とシチュエーションの土台となる情報も提示してるのがうまい。睡眠薬は主人公自身が用意したもの、というのも本作の独自性だと思います。いくら愛が重くても睡眠薬を兄に盛るようなことまではしない。むしろ「兄が睡眠薬を飲んでる」という事実を目の当たりにして魔が差したというか、悪いことを思いついてしまった……という感じ。。この心理はかなりリアルですよね。妹はかなりぶっ飛んだキャラクターで荒唐無稽にも思えるんだけど、チャンスが転がってきた、と勝手に認識してしまった末の行動、というのは何なら感情移入すら発生するレベル。
 睡眠薬を切らしてしまったので妹の異常な日常を知ってしまう。言ってしまえば主人公は被害者側なんだけど、家族がめちゃくちゃになると考えたら寝たフリをするしかない、となる心理もめっちゃリアル。さらには、いつもはキス止まりだったのが、今晩は兄貴が起きてるので勃起してしまい……と事態が悪化していくのも面白い。「妹がいつもやってる」という事実を知ることが面白いんですが、それと同時に妹がチンコに手を出すようになる、という劇的な瞬間も描く。「いつも」と「初めて」の両得。普通に考えたら矛盾するはずなんですが。めちゃくちゃなシチュエーションなのに各人の心理と、各展開はめちゃくちゃリアル。ここが漫画としても面白かったと思います。もちろん、ずっとエロシーンみたいな話でもあるのでエロの方も充実してる。

『ラビットトラップ』アシオミマサト

 元コンパニオンの社長がバニーコス。こんなにもバニー側の立場が上、という設定の作品も珍しいと思います。なかなかないでしょ。単にコスプレでもそうだし、どうしても男に従属するみたいなイメージの強いバニーガールで。
 押しの強いヒロインによる、端から見たらどうかしてるアプローチ。この「端から見たら」が劇中にも出てくるので笑った。言ってしまえば社長が公私混同してるわけで、感じ悪い話にもなりかねないんですが、その他の社員がツッコミを入れながらも微笑ましく見守ってる、という社内の雰囲気が良い。ヒロインのポンコツ具合も強調されるし、作品全体の優しい雰囲気も醸成されるしで意外とこのモブ社員たちの描写、大事だった気がします。
 エロパート。バニーはバニーでも、網タイツが今回のメイン。それもクソデカ編み目というのが実用性皆無で素晴らしいですね。フェチという意味でもそうだし、脚と尻に無数の線が重なることで、肉感、立体感がこれでもかと強調される。単純に絵としての迫力もマシマシになってたような印象。さらに言うと、編み目が大きいからそのまま挿入も可能、という結構驚く展開になるのもすごい。タイツをテーマにしたエロ漫画だと「タイツが好きなのに破いちゃうんですか?」みたいなことが発生しがちだと思うんですが、本作はその問題を華麗にクリアしている。あのバニーコスのまま、あの網タイツのまま、最後までできてしまう良さ。
 バニーはまずいけど、網タイツだったら日常業務でも着用可能、としたエピローグも良かったです。エロが日常にも浸食してくる余韻。いや、さすがにあんな網タイツはダメだろうって普通の作品だったらなるんですが、社長なのでセーフ!!

『青春リビドー山』位置原光Z

 第30回「NTRビデオレター」。NTRビデオレターが届くも、VHSなので再生できない。最近だとDVDやブルーレイでも再生機器持ってない人多そうですね。プレステにもディスクドライブ非搭載の廉価版がある時代ですし。……そんな具合に話を広げたくなってしまう魔力があるのか、komifloコメ欄が妙な盛り上がりを見せてるので笑いました。この手の機器に詳しい人には刺さりまくる内容だったんでしょうね。ちゃんとそれに耐えうる考証があるというか。
 話としては、気の迷いでNTRビデオレターを作成した彼女が登場してから一気に動き出す。2人の立場が逆転してるというか、彼氏の方がビデオレターに前向き、それも超ノリノリになっちゃってるのがおかしいですね。おかしいけど、ちょっとこの感じ分かるよなぁw わざわざプレイヤーまで用意してる時点でもう「ビデオレターの再生」というミッションが楽しくなっちゃってるというか。
 実際に視聴してのオチ。レビューのみの描写だけど、ビデオの内容が割と具体的に語られてるのでドキドキしてしまう。マジでやってたのか……。それと同時に女優(彼女)の評価だけはベタ褒めなので微笑ましい。微笑ましいのか??(混乱)

「読者コーナー」

 真空ジェシカのガクのコラム。締めがNTRビデオレターなので笑った。みんな好きすぎだろうw
forms.gle
 終わり。weekly快楽天が休みの隙に終わらせたかったんですが、月曜深夜になだれ込んでしまった。本文は書き終わったんですが、読み返してチェックしたりブログの更新作業とかが月曜。とはいえ、ぼちぼち早い方だったのではないでしょうか。うちのブログにしては。
 ということで、今度はゼロス感想です。その前にいろいろ本アカの方で書くんですが。
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