北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2020年1月号の感想

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 2020年という文字列に震えた。怖い。
kitaku2kitaku.hatenablog.com

「表紙」きい

 本編では見れない私服(部屋着)も良いんですが、乳首は出さずに陰毛のみ。それもものすごい構図なので驚きました。本編とは違った意味でのトンネル。確信を持って全裸よりもエロいと言えるから不思議です。エロは深い。
 あと、「Cover Girl's Episode」。各キャラの名前が出てるんですが、主人公の名前が志輔なので笑いました。直球が過ぎるw

『ビッチスランプ安里さん』みちきんぐ

 アラレちゃん的なタイトルで笑った。明け透けなビッチ呼び好き。
 ものすごく安易に「ビッチ」という言葉を当てたのかと思いきや、本編を読むと何気に重要そうな扱いになってて面白い。「軽薄」にビッチのルビを当ててたり、進歩くんの真面目さとの対比であり、実は安里さんはその真面目さを羨ましく思っている。なかなかに衝撃の展開。単に進歩くんにホレたとか、彼の真面目さを好きになったとかではなく「羨ましい」。この切り口によって安里さんのキャラクターにグッと深みが増しましたよね。冒頭のビッチ活動に身が入らない場面から1話を通じて丁寧に描かれてたと思います。単にデレたとか、チンコに負けただけではないドラマでありキャラクターだったと思います。エロが始まってからの安里さん、モノローグで語りまくりなんですが、表には出ない心の声で彼女の二面性を表してて秀逸だったと思います。心の中でも強がるようなこと言ってるんですが、最後の最後に一言二言だけ本音が……というのが熱い。
 そんな進歩くんの真面目さがプレイに現れるところとして、 “なに一丁前に私の弱いとこ憶えてんのよ…っ” が良かった。愚直な攻めが愛おしく感じてくるとかそういう安易な話ではなく、過去の経験を踏まえて彼らしい形でエロに還元してくる。彼のキャラクター表現であり、続編ならではの蓄積でもあり、だから気持ちいいというロジックの妙があったと思います。
 エピローグ。精子まみれのまま上からパンツを穿くのが絵としてめちゃくちゃエロかったし、気持ちに蓋をする彼女の心理表現としても読めますね。その後、コートを布団代わりにして寝ようとして終わるんですが、そこも溢れ出そうな気持ちを無理矢理押さえ込むようで素晴らしかったです。

『ビビってねーし!』きい(原案ネーム:石川シスケ

 ネーム交換祭り第2弾。最初のページをめくるといきなり「シスケ参上」なので爆笑しました。企画を全力で遊んでる感がすごいw
 ヤンキーグループが廃トンネルに肝試し(?)に行くので道案内をさせられる主人公。この子の名前もシスケ。彼も実はドヤンキーで例の「シスケ参上」は彼が描いたものという奇説も……ないと思いますw
 とにかくこのヒロインのヤンキーだけど、幼げな雰囲気で、直情的でそこが素直でもある、みたいなキャラクターが可愛いんだよなぁ。最高。金髪がプリンになってるのは彼女のヤンキーらしいいい加減さでもあるし、ヤンキーになりきれてない彼女の二面性でもあったのかもしれない。プリンにしたのはマジ英断だと思います。ひょっとしたら単に少しバカなだけかもしれないんですが、そんな言動がイノセントな印象にも繋がってて絶妙だったと思います。おしっこ漏らしちゃって、家に移動し、 “違うからな” からグイグイとエロにもつれ込んでく過程、彼女の無茶苦茶な言い分がすげぇ可愛かったです。主人公のことバカにするような言動もありつつ、イチャイチャな感じもしっかりあってすごいバランスだったと思います。どっちの美味しさもある。おそらく2つの作家が「らしさ」をぶつけ合った結果なんでしょうね。
 あ、てか2作連続でビッチと真面目くんというキャラ構成でしたね。安里さんはビッチから落ちかける良さがありましたが、本作の方はヤンキーらしい貞操観念は最後まで崩れなかったのが良かったと思います。あのエピローグでのあっけらかんをパコ報告するのが最高ですよねw
 最初から何気にめっちゃキャラ立ってたもう1人のヒロインが気になったところでエンド。どちらの先生でもいいので続編とかやってほしいですね。最後の「私も(狙ってた)」は主人公ではなく女の子を、という意味だと思いましたが、どうなんですかね。

『8月の灯(了)』藤丸

 私小説シリーズの完結編にして、『8月の灯』の続編であり、先月の『終わりの電気羊』直系の続編でもある。すごい。
 先月の『終わりの電気羊』とか序盤の物語パートが濃厚で「こっからエロ行くの?」みたいな飛躍が面白かったんですが、今回は早々にセックスを始めるのが雰囲気ガラッと変わって面白い。まぁ要するに『8月の灯』で事前の説明は済んでるので話が早いってことなんだと思います。享楽的にやりまくってるのは事実なんですが、その最中にしっかり物語が展開していくし、それによってシリーズがキレイに完結するから驚きました。マジちょっと話運びうますぎでしょ。ずっとセックスしてるのにめちゃくちゃ話も面白い。『シックスセンス』オチなんですが、その衝撃のオチが説明される場面でもセックスしてるので最高。ここで回想になって『終わりの電気羊』カップルのセックスを見せたのが秀逸すぎる。あのあとも楽しくやってそうで何よりですw
 そんな『シックスセンス』オチなんですが、オチありきではなく、しっかり伏線が周到に張られてるのでそれを探すのも楽しいです。かなり序盤の “若さ保ってるねェ” もそうですよね。部屋作っても意味ないと言ってもアンドロイドは聞かない(死んでるから声が届いてない)のもそうだし、2人が真実に気づくキッカケになったハシゴもめちゃくちゃうまかったです。事前説明の部分がまったく説明臭くない。上昇する水面が死のの象徴であり、そこから逃げるハシゴは生の象徴ですよね。それに触れないことで彼が死を悟る、というのが本当にうまいなぁもう!!
 ヒロくんも死ぬ話ではなく、「死んでた」話なのも良かったと思います。劇中にもあったけど、いざ死ぬとなると「成仏しちゃうかも?」みたいなハラハラもあるし、そもそも死ぬのは哀しいことなので死のドラマを描くとどうしたって話が暗く、重くなってたと思います。それが「死んでた」と結果だけ知る話なので、結果オーライ!と気楽なまま終われるというか、幸せの純度が高いまま作品が終われた。蓋を開けてみればこれ以上ハッピーエンドなんですが、そこに至るまでの葛藤とか、まどろっこしい部分を最小限に出来たというか。これだけの物語の密度がありながら、エロパートが驚くほどに多いのはそういうことですよね。

『ひろいもの』

 公園で酔い潰れてる見知らぬ女性を……ではない。知ってる人。それも友人(クズ)の彼女。この設定に度肝を抜かれ、そのままの流れのオチでも驚きました。話としては同じことが最後にもう一度来るだけなんですが、お前そこまでクズかよ!? という驚きですね。この直接は登場しない友人のクズ性が本作を唯一の存在にしてたと思います。超省いて説明すると「可愛い子と付き合うようになりました」で済む話なんですが、その中にスパイスとして、苦味として効いてくるのが友人のクズ性w
 ひどい境遇の女の子を救ってあげたい、という気持ちから次第に仲良くなって……とも少し違う。その可哀想な彼女を助ける気持ちもあるけど、それは欺瞞で、結局のところ主人公も浮気の罪を背負うことになりますよね。そこがダメなんだけど、いやけど断れないし、断りたくないし……みたいな理性のとろけ具合が最高。
 おっとりして可愛い子なんだけど、エロが始まるとクズに仕込まれてるのでめっちゃ積極的に責めてくる、というのもギャップが最高でもあり、可哀想でもあり。一筋縄ではいかないなぁw そこが彼女の魅力だと感じてしまうんだけど、そこは同情すべきポイントでもある。多面的。
 んで、驚くほどアッサリとハッピーエンドになるんだけど、それは想像を絶するクズのおかげでもあるから複雑。なんだけど、ヒロインが元々主人公のことを好いていたのではないか……みたいな予感が少しだけ描かれるのも奥行きとして素晴らしかったですね。ひょっとしたら、すべてはヒロインの計画で、そこにクズが協力していた可能性もある……のかぁ?? というバランス。まぁ、いろいろ仕込んだりしてるのは事実っぽいのである程度クズなのは間違いないと思いますw

『映し鏡』おかゆ

 父と娘。ぬわっ、まさかのキンシンソーカン。妻と似てきた娘に性を感じてしまい……という前半のパートも迫力がすごい。幼げでめちゃくちゃ可愛いヒロインなんだけど、この設定で、このタイトルだと「この2人が……??」とすごいハラハラしてしまう。めちゃくちゃ微笑ましい、仲むつまじい場面なんだけど、それだけに。
 この手の話だとヒロインがめっちゃ積極的で、好き好きアピールしてくるのでついに主人公が屈服、みたいなの多くて、それは要するに禁断の関係の後ろめたさをヒロイン側に押しつけてるみたいなことですよね。男主人公は「まったくしょうがねぇなぁ」というスタンスですので。そういう都合の良さはエロマンガの魅力ではあると思うんですが、本作はその逃げすらも除外してるからすごい。がっつり主人公の方から手を出してしまう。それもギャグ的なノリ一切なく。
 とにかくヒロインの幼さが一貫してて、エロが始まってからも「これはさすがに」みたいな絵面から逃げない。頼りなさげで何ならちょっと悲壮感すらあるような。要するにそれが背徳感とイコールって話なんですが。
 ヒロインが勝手に挿入して、主人公がすぐに抜く。この展開もすごいんですが、そっから「大好き」と言うヒロインの顔が母親の顔をダブる。親子かめはめ波みたいな場面なんですが、絵が「似てはいるけどやっぱ違う」というバランスなのが素晴らしかったと思います。絵だからまったく同じでも全然あり得るじゃないですか。それだったら精神的な逃げとしても機能したと思うんですが、言うても全然違う。てか、明確に娘は幼い。この絵の説得力がヤバかったです。そこから娘の髪をほどいてかつての妻と同じようにするんですが、それが最後の抵抗というか、理性が最終ゲートが崩壊した描写としてエグかったですね。すごい。マジすごかった。
 ちなみに、主人公がメガネで、メガネの度によって顔の輪郭が凹む描写ありましたね。あれ大好きw

『イタズラトークReco

 バイト先の先輩。背は小さいんだけど、服装や言動が明らかに年上感あって素晴らしい。あのルックスとキャラクターで「年上」を表現したのが秀逸だったと思います。もっと分かりやすく、マンガチックな年上描写あるじゃないですか。それには頼ってない。故にリアルでもいそうな説得力を感じる。序盤における服装がまた絶妙で素晴らしかったですね。パンツルックだし、安易な年上お姉さんって感じじゃないんですが、そここそが精神的な余裕だったり、大人感としてリアル。
 タイトルにもある序盤のイタズラトークの内容が既に最高なんですが、そこで話してた「1日8回」の件を後半実践するようになるのでマジアガる。エロマンガだと特に理屈もなく何発も出したりするもんですが、本作ではそこに物語的な意味を持たせてるのでリアルですね。そんな回数を示すアイテムとしてコンドームが出てくるのもうまかったし、使用済みだけでなく、空の袋もしっかり見せてるのが新鮮でした。あのベッドの横にきれいに並べてあるの良いですよね。彼女から「数える」意志を明確に感じる。それが積極的にセックスを楽しんでる説得力になってたと思います。

『ぜんぜんワカラン!』オクモト悠太

 キャラ萌えがやばい。ヒロインが可愛いのはもちろんだし、ヨガのポーズ始める場面とか笑いつつも不器用さが愛おしくなったんですが、竿役の江上くんも違った意味で不器用で可愛い。動的な不器用と静的な不器用って感じですかね。さらにはそんな2人を「バカップル」と一蹴する友人の友子までキャラ立ちまくりなので驚きました。本作のエロさとは関係がない人物なんですが、本作の面白さは彼女によるところも大きいと思います。急に冷静になる俯瞰視点としても面白さでもあり、話のテンションの緩急でもあり、ヒロインの不器用さとの対比ですね。真面目、清楚というイメージが強かったヒロインが友子の “ベタ惚れやんけ” の場面を境に「不器用」という要素が打ち出されたと思います。2人+1人のこのキャラ萌え、関係性がとにかくキュートで最高でした。すべてのイチャラブ作品に友子が出てきてほしいとか思ってしまうレベル。

『ミスターフォーチュン』アシオミマサト

 主人公が女難を受け入れれば運気が上がってすべてがうまくいく。主人公が我慢する理由にもなってて面白いんですが、むしろ本作のメインはラストで語られた「なぜか彼にイジワルしたくなる」の部分だと思うんですよね。本人たちも無茶苦茶だとうっすら自覚しながらも、彼のことを責めたくなる。この運命の強制力に導かれるように責めてるヒロインたちが主体的でもあり、どこか客体的でもあって面白かったです。催眠と似た構図ではあると思いますが、催眠ほど極端ではなく、彼女たちの意志、欲が明確に感じられるのが良いですね。
 バランスを間違えれば主人公が可哀想になってたと思うんですが、あんまそういう悲壮感はないのも本作の特徴だと思います。荒唐無稽な設定なのもあるけど、定期的に主人公がスケベ心を覗かせるんですよね。普通に脚フェチ、お尻フェチとして満喫してんじゃん、みたいなおかしさもある。とにかく女性の下半身への注視がすごい作品で、おっぱいの扱いがこんなに低いのは本号で本作くらいなんじゃないかしら。とりあえず出すには出したけど、程度でしたね。下から見上げる構図になるので、胸もなかなか強調されてたと思うんですが、メインになることはほとんどない。
 女上司ものとして魅力的だったんですが、主人公の女難にかかれば部下だろうと関係ない、とオチがつくのも笑いました。新人にあの感じで責められるのもそれはそれでアリやな……と想像が膨らんで終わるのもキレイだったと思います。

異世界はこう抜く』F4U

 第13射。リビングメイル。どう対処すればいいのか、と始まるのがベーシックで良いですね。そこからのロジックも毎度ながらホント面白いし、ボーイくんも可愛い。てか、今回かなり珍しいくらいボーイくんもちょっとエロい目に遭ってますね。まくら嬢が裸ですので。
 まくら嬢のキラーショットが多かったのも特徴だと思います。ラストの眼鏡を外しながらの目隠しもいかにもな絵面で最高ですし、迷いなく脱ぐのもそうですし、あとは序盤のリビングメイルを見上げて「じっ…」のコマがめちゃくちゃ可愛かったです。まくら嬢のあの表情、良い。

DOLLSえーすけ

 #3。前作のラストですらもうこれ以上ない盛り上がり(ヒロインの落ちっぷり)だと思ったんですが、さらに続き。続くとなるもう完落ちしかないですね。初回から徹底してヒロインが嫌がってるのと、それと相反する気持ちよさを描いてたんですが、今回いよいよヒロインが折れる。認める。「あー!!ついにー!!」という盛り上がりはシリーズものならではの魅力でしたね。
 徹底してヒロインが「認める」ドラマだったと思います。初回では “死んでも嫌よ” と声に出し、#2では “次なんてないのよ” と心の中で自分に言い聞かせるように言っていた彼女がついに自ら求め、そのことを口にする。男と執拗に認めるように、自ら動くように攻めるのが印象的でした。ゴムも今までは自分で着けてたのに今回は着けさせる。おねだりさせるくだりは定番なんですが、ヒロインがまだ抵抗の意志を持って棒読みするのが新鮮だし、そのことを男が喜ぶのも2人の心理的な攻防として最高。トドメとしてベッドの縁を掴ませて “それ離したらやめるよ” と誘惑する、自ら堕ちるよう誘導するのが最高でした。悪魔的な魅力ありますね。彼女にとって最後の一線であり、追いつめられた理性の象徴ですね。ついに折れてしまって、最後はナマで。具体的にゴムの有無には言葉で言及せず、けど分かるバランスだったのも素晴らしかったです。
 ヒロインが折れるまでのドラマだったけど、最後の最後には男の方にも小さな変化が……というのも良かった。よく考えたら初回の段階では彼もまだまともだったんですよね。初回を読み返したら寝取らせに「なんだよそれ」とツッコミを入れるようなスタンスもあるので、そういやそうだったなと新鮮でした。#2以降はヒロイン視点の話になって彼は他者になったので悪魔的な印象になりましたが、そもそもの出発点は彼が巻き込まれる話だったんですよね。おそらく完結だと思うんですが、その最後として彼視点がちょこっと戻ってきたのはキレイだったと思います。

『アニノイヌマニ』いーむす・アキ

 過保護な兄貴の目を盗んで妹に手を出す……んだけど単純にそれだけではなくて、序盤とかは完全に妹ちゃんの方から誘ってるんですよね。かといって妹ちゃんが完全に支配的なのかというと、後半の屋外での場面は逆。互いに好きが溢れて暴走してる感じ、最強かよw
 本作、モノローグとか直接的な心情表現が極少で、そもそも誰視点の話かも分からないバランスだと思います。男友達視点で考えると「鬼の居ぬ間に」だし、妹視点だと「兄の居ぬ間に」ということなんだと思います。秀逸なタイトル。
 妹はそもそもセリフも少なくて何考えてるかミステリアスな雰囲気なんですが、ラストのセックスの最中、兄貴のことを回想するんですよね。半ページほどですが、彼女の内面を描いたのはここだけだと思います。支配的な兄に対して嫌気がさしてるって感じなんですかね。もしくは、支配的だからこそ、その目を掻い潜ることに一種の快感を覚えるようになってしまった、とか。プレイもシチュエーションも多いんですが、意外と心情表現の少ない淡々とした印象の作品だっただけに、あの半ページの回想が際立ってたと思います。

『Shuttered』スミヤ

 爽やかなスポーツ少女と陰湿な少年が実はカップル……と思ったらどっちもどっちな変態w 読者を騙すようなオープニングが素晴らしかったです。悪い男に捕まっちゃった話だと思うじゃないですか。そうではなくて、彼女は撮られることに快感を覚える変態なので、変態同士でうまく行ってる話。単に撮影されるのが好きな女の子の話をやるにしてもこの導入はなかなか思いつかないんじゃないでしょうか。スミヤ先生、前回の家の中にテント張る話もオープニングで驚かされたし、その後明らかになる性癖でさらに盛り上がったんですが、本作もめちゃくちゃうまい。
 最初は陰湿だと思ってた少年が主人公で、彼女の性癖が明らかになってからはむしろ彼女に劣等感を抱いてると示されて思わず肩入れしちゃうんですが、そこからさらに撮る快感に堕ちていくようになるのが最高。ラストの場面が軽くオチがついたようですが、要するにあれは彼もすっかり撮る側の性癖にハマってしまったということですね。変態ヒロインがメインなのは間違いないんですが、案外彼女に当てられる側の物語でもあったのかなと思います。

『夏目さんの中のナカ』SAVAN

 ダブルメガネだーやったーw komifloのコメ欄だと途中でヒロインがメガネ外したことへの反対意見もあるんですが、個人的にはメガネはフランクに脱着してくれてかまわない派なので大丈夫。外す場面が最高にエロかったのでむしろ大歓迎です。我慢の限界を感じてメガネを外し挿入、という流れがマジ最高でした。制限解除と本気モードって感じで素晴らしいと思います。あそこでヒロインが自覚的に理性(メガネ)を捨てるわけですよね。ページめくったらいつの間にかメガネ外れてたとかではなく、丁寧に外す場面が描かれるのが素晴らしいです。メガネは顔の一部のようだけどあくまでもモノ、という部分が好きです。まぁ、単純にメガネユーザーとして着けたり外したり普通にするよねって話なんですがw
 SAVAN先生、前作が特にそうでしたが、序盤の非エロパートにおける可愛い女の子の他愛もない会話がエロパートへの助走としてこの上ない効果を生んでると思います。モブ生徒に「デート?」とからかわれて、その場面だけ見たらとてもじゃないけど色っぽい雰囲気になるとは思えないんだけど、2人きりになったら……というギャップが最高。マジアガります。タイトルにもなってる「ナカ」を描くには事前に「ソト」のことも描いておかないといけない、って話なのでしょう。

ワンルーム・ラブ』雲呑めお

 巻頭の方にカラーが1枚あるんですが、本編にまったく出てこないバニー水着なので「どういうことなのおおおお!!」ってなりましたw あのカラーに至るまでの話、そしてその後でもう1話読みたい。カラーにそんな使い方があったとは……
 遠距離恋愛でボロアパート。学生ではないけど青春イチャラブって感じで素晴らしいですね。シンプルな話ではあるんだけど、学生カップルよりも甘酸っぱさを感じるって相当すごいのでは。
 本作で印象的だったのは、窓。ボロアパートの寒さを示すため、ホワイトクリスマスであることを示すため、それ故に狭い布団、狭い風呂の中でくっつく話なんですが、それ以前の場面でも窓が描かれるんですよね。新幹線で移動中の彼女の奥に窓、仕事中の彼の奥に窓。遠距離恋愛を示す遠さ表現だと思うんですが、この離れていても……みたいな感じ最高でしたね。その後のボロアパートでの場面、エロが始まってからも頻繁に窓が映り込んで「寒いんだからカーテンくらいしなさい!」とかリアルなこと考えちゃうんですがw 要するにあれはそれ以前は2人を分断していた窓が今は2人きりの空間であることを示してるわけで、コントラスト利いてる。世界から2人だけが隔離されてる感。遠距離恋愛で4ヶ月ぶりだけどこのクリスマスの一夜だけはこの世界に2人だけ。カァァーッ!! 甘酸っぺぇぇぇ!! 最高でございます。ラストが超狭い風呂の中でのイチャイチャなんですが、そこでも場面転換の際に、窓。窓の向こうは雪で、内側は風呂の蒸気。この世界から隔離されてる感であり、温度差表現ですね。素晴らしかったです。

『認めなければノーカンです!』いとうえい

 キンシンソーカン。ノーカンと言い張りながらソーカンする話。今号は『映し鏡』の親子がなかなか衝撃的だったんですが、こちらは兄妹。そして何より徹底してライトな味わいだったのが対照的で良いですね。 “これって本当にキンシンソーカンにならないんだよね?” と疑問に思う場面が出てくるんですが、そこの解決が完全にギャグ。根拠のない “大丈夫!” という断言でクリアしてしまうのが明るくて良い。
 なんですが、妹が快感にあえぐ場面とか結構リアルというか、若干の「これはやっぱアウトだよね」感があるのも良いバランスだったと思います。「ノーカンだから」と押し通してそこに何の疑問も抱かないまま終わる作品だとやっぱ味気ないというか、じゃあ兄妹じゃなくてもいいじゃんって話になりますからね。苦み……は言い過ぎかもしれないけど、苦みのような成分がゼロではない程度に混じってるのが本作の奥行きとして重要だったと思います。

『ななこの七転び八起き』うしまぬ

 エロマンガってみんなそうじゃんって話なんですが、ダジャレタイトル多いなw
 うしまぬヒロインらしくオナニーが大好きなななこさん。最初のページめくり後、いきなりオナニー始めてて「そこで!?」と笑いました。少女漫画とかティーンズラブっぽいとか言われますが、この圧倒的なオナニー愛によって一気にエロマンガへとジャンルが堕ちてくるようで大好きです。女性キャラクターにリアルを感じさせるのにオナニーは大きな効果を生んでますよね。当たり前だけど女性にも性欲もあるし、それをコントロールできてなくて彼氏に呆れられる感じとか、男性読者だろうと「こっち側の人間」と共感できると思います。オナバレの話とか男子中学生みたいなバカさ加減で最高ですよね。男子も女子も関係ないし、てかこのヒロイン中学生ですらない。オナニーを通じる人間の悲哀や情けなさは人類の共通項w
 そんなヒロインに呆れつつも結局は大好きなんじゃん、と透けて見える彼氏のキャラクターも秀逸だし、2人の関係性、漫才チックな掛け合い、エロの攻防が最高。あの素直じゃないイチャイチャ感羨ましすぎますね。オナニーという人としての底辺な部分を見せてからの理想と夢を見せてくれるのがエロマンガのロマン。
 クライマックス。いざ挿入したら急に言葉数が少なくなって、最終的には1ページ丸々セリフがなくなり、そのあとのことは細かく覚えてません、みたいな絶頂描写も意外性あって良かったです。あんだけ喋りまくってたのに、本当に気持ちよく、幸せになると感覚に身を任せ、頭が真っ白になっていく。

『なりきりプレイ』こめざわ

 悪徳整体……かと思ったら、という最初のめくりで爆笑してしまった。これはずるいw 1ページ目は作者名だけで、2ページ目になってようやく『なりきりプレイ』とタイトルが出るんですが、こめざわ先生はさぁ、過去にダークな話もいっぱいやってるから「今度は整体でそういうのやるのか……」とか納得しちゃうじゃないですか。マジずるいわ。弄ばれたw まぁ、よく1ページ目を見てみると部屋の背景とか、男の格好とか全然整体っぽくないんですけどね。ヒントを事前に提示してるフェアな感じも含め悔しいw
 拍子抜けというか、ズッコケるような感覚が楽しいんですが、そのまま男の頭にスマホ固定する絵面でまた笑いました。画として間抜けすぎるw あの威厳のなさで2人のパワーバランスが明らかになるようで良かったです。そもそもヒロインの制服姿も卒業後なのでこれすらも『なりきりプレイ』なのですね。もう1ページ目にはウソしかなかったw
 男の頭なんてほとんど描かなくても済むと思うんですが、定期的に映り込むので笑ってしまいます。ただ、あのカメラの存在があるおかげで、ちょくちょく描かれる一人称視点のショットに説得力が生まれるんですよね。特にヒロインと目があって彼女がこちらに話しかけてるような感じがすごい生々しくて良かったです。これは漫画を切り取るカメラではなく、具体的に彼の頭についてるカメラの映像なのか……みたいな。
 からのキスでカメラを外すのも最高。これまたちょっと情けなくて笑えるんですが、彼の必死感であり、本気で愛し合ってる感として素晴らしかったですよね。『夏目さんの中のナカ』におけるメガネを外す場面と同じ良さがあったと思います。そもそもあの位置にカメラをつけてたらキスはまったく撮れませんもんね。キスをねだる彼女の姿にグッときて「それどころじゃねぇ!!」となる話でもあるんですが、実際に撮影のことを考えてもキスは撮影向きじゃない。彼女の頭頂部が映るだけですねw

『壁越し』かるま龍狼

 かるま先生の少し不思議ワールド炸裂。説明的な描写がなく「そういうもんだから」と淡々と進行していくのがホント良いよなぁ。それでいて不思議設定のルールや、設定の掘り下げとかが自然と理解できるからうまい。オモシロ設定ってどうしてもくどくど説明したくなっちゃうと思うんですが、そこをグッと押さえて「お宅もそうでしょう?」くらいのノリで描くのが秀逸。
 ほのぼのした雰囲気なんだけど、夫が目の前にいるのに挿入されちゃって……みたいなインモラル全開な展開になるのも面白い。かといってダークになりすぎず、むしろその夫がオチを作って終わる。この読後感が良いですね。少年と人妻の関係とか普通にドラマチックなんだけど、湿っぽさゼロのオチで終わるのが最高w

『カリユグ』YUG

 快楽天表紙の改変で、より裸に近づいてるんですがエロ要素は一切なくなってるので笑った。健全w

「読者コーナー」

 快楽天ちゃんの話からビーストくんの話が出てきて笑いました。こないだのビーストでのビーストくん誕生漫画マジ最高だったなぁ。火鳥先生の描く快楽天ちゃんがまた可愛いんですよね。もちろんビーストくんも可愛いですw

forms.gle

 はい、終わり。今度こそとっとと終わらせようとか思ってたに、気づけば半月たってました……。まずい。
 総括代わりにアンケート。面白かった作品3つ。『ぜんぜんワカラン!』『ワンルーム・ラブ』『なりきりプレイ』ですね。
 よく考えたら前々号の3選のうち2つが作家同じだった……。まずい、単調かよ。いやアンケート送るのは好きな作家でいいけど、ブログのまとめとしてはちょっとアレな気がする。ただ、今号の優勝は『ぜんぜんワカラン!』ですね。あんなキュートな作品あっていいのかよってくらいマジ良かったです。

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