北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2023年5月号の感想

 前号の更新がめちゃくちゃ遅くなった反動と、花粉症がだいぶ落ち着いてきたため、今月は早めに更新できました。本当に良かった……。
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「表紙」fly

 3人とは豪華な! と思ったら3人で1着の制服をシェアしてるのですごい。これはアイディア賞ですな。3人それぞれに違った良さが発生している。

『カリユグ』YUG

 そんなオモシロ表紙コンセプトに対して「さらに倍!」とぶっ込んできたので笑ってしまった。対応力が強すぎる。

『魅悪ちる先生の逆境』雲呑めお

 続編。地雷系エロ漫画家とすきぴ担当。前作はとにかくキャラの魅力が圧倒的だったので続編マジで嬉しい。2人のその後が見れる……と思ったら予想外の展開かつシチュエーション。
 ということで新キャラ。新雑誌の編集長。出来る女風でちる先生とは対照的な美人。前作はキャラが良いとか言ったら直後にアレではあるんですが、この編集長もめちゃくちゃ良い……。正反対な良さが飛んできて困惑ですわ。まさかすきぴの南編集を取り合う形になるとは。ただし、3Pにはならない。そこらへんの乙女チックさが本シリーズの魅力。一瞬女性視点の寝取られっぽい話になって「これはこれで……」とか思ったんですが、南編集が想像以上にイケメン。というかイケチンポであった。
 乙女ではあるが、舞台はハプニングバーで、かなり怪しげかつ危なげ。ちる先生の方も心配になってインモラルな雰囲気でもある。このキャラとシチュエーションが対照的で、そのバランスが絶品。さらには編集長のカラッとしたキャラクターも話が重くなりすぎない、暗くなりすぎないことの原因でもあったのかな。あのフラレた際の対応が大人で素敵であった。3Pの線はなさそうなのでスピンオフみたいな形も期待してしまう良キャラ。編集部と作家でシリーズの拡大がキリなさそうではありますが……。
 ラブラブではあるが、ハプバーの異常性もしっかり感じられる。てか、普通に考えてめちゃくちゃすごいことやってんなこの2人。前作からここまで飛躍するとは思いませんでしたw 日常会話からセックスまでの間がないのも魅力で、その際のちる先生の衣装が超良い。「服の構造どうなってんの?」とか思ってしまう服のレイヤー感も素敵なんですが、跨がりながらパンツを脱ぐ場面とかもう最高ですね。個人的にベストシーン。

『派遣のナカノさんは元AV女優 vol.2』スミヤ

 こちらも続編。同じ続編ではあるものの、先ほどのちる先生シリーズがキャラの魅力特化だったのに対し、本作は何と言っても設定とそれによって発生する特殊すぎるシチュエーションの魅力。「元AV女優」という設定からのアイディアの発展がすさまじすぎて前回感動したんですが、今回もすごかった。もっとカップルとしてシンプルにイチャイチャしてキャラ的な魅力に頼る話になるかと思ったら、前作にも負けないアイディアが強い。
 ということで、今回はナカノさんの自宅。そこでAV女優の自宅撮影モノのパッケージを発見してしまう。たしかにありますね。AV女優が自宅でどうのこうのってやつ。たしかに見たことあるけど、「元AV女優」という設定からこれはまったく予想外であった。パッケージにいろいろプレイ内容が書いてあるし、おまけに衣装が目の前と同じなのでいろいろ想像してしまう……という幻視の場面が素晴らしすぎる……。
 そっから撮影でも使って気に入ったグッズもあれこれ出てきてエロがますます加速……で終わらず最終的にはコスプレ衣装まで。夢が詰まってるというか、盛り込まれすぎw ただ単に「恋人があれこれコスプレしてくれた」とは違う味わいが生まれてますよね。たぶん衣装ごとにどの作品で使ったのか、というパッケージとの比較とかできそうだし。元AV女優というシンプルな設定から無限に可能性が広がっていくので本当にすごい……。

『オトナデビュー』オクモト悠太

 誕生日が1日違いの大学の友達同士が二十歳の誕生日に酒盛り。少しアレな話にはなるけど、「二十歳まで自制してる大学生なんているのか……」とか思ってしまったw 男女それぞれが元気いっぱいで、仲の良さも伝わってくるんですが、そこに健全さも加わってくるのが良い。エロ漫画だと背徳感がエロのスパイスとして目立ちがちですが、健全さによって生まれるラブコメ感にも代えの利かない魅力がありますね。冒頭の1、2ページで2人に魅了されてしまったのですが、キャラだけでなくやはりこの設定、シチュエーションが良い。
 からの越える一線。友達だったのがついに……というドキドキ感もあるし、そこに健全さという土台がさらに魅力を高めてくれる。ドキドキしながら互いに全裸になって、何もできずに見つめ合う(というか互いに体を眺め合う)のも超良い。挿入直前にウタウダ言いながら確認を取りまくるのも微笑ましいし、 “…ダメっつったらどうすんだよ” に対する “我慢スル…” も良すぎる。どこまでも健全というか、良い子すぎるのよ……。そんな2人がセックスの魅力にどんどんハマっていって、黙々といろんな体位を試していく、という定点カメラ演出もめちゃくちゃ決まってる。定点ってお馴染みの演出ではあるんですが、本作の2人のための演出だとまた違った魅力が生まれてたと思います。

陰キャ同士のセックスが一番エロいよね』どじろー

 前号に続いてWEEKLY快楽天からの本誌デビュー。やったぜ。
 男女が緊張感を持って女子の部屋に入る場面から始まり、タイトルですべてを説明し、背中合わせで脱衣をしたら回想で2人のなれそめ。過去のドラマが済んだら現在に戻って挿入直前。この構成がマジで素晴らしかった。エロとドラマの相乗効果。
 あと、劇中に出てくる小物によって時代を特定させるようになってるのも最高。2人は制服なので、ただ会話するだけだったら時代性とかないんですが、小物のさりげない存在感で示すのが良い。その時代も古すぎないというか、携帯はあるし、携帯ゲーム機はちゃんとワイヤレスだが、ガラケーだし、おそらくPSP。特定の年代の読者を狙い撃ちにしてる気もしますが、そうじゃない層にも独特のノスタルジーやエモみは発生してる……と思う。
 緊張感を持って始まった話だけど、セックスが始まってからはセリフもしくはモノローグの量が非常に多い。陰キャ特有の早口感だし、思考がグルグル回り続ける緊張感の表現としても説得力がある。会話を通じて2人のキャラクターや関係性が色濃く現れるのも可愛らしいのですが、2回戦直前の会話が最もドラマチックで、交流という感じ。キスの有無もあるけど、2回あるセックスが違った魅力になってて良かった。心をむき出しにするかのようにヒロインが髪をほどく演出も最高でしたね。2回目のクライマックスで学校での思い出がフラッシュバックするのもそうだけど、エモが爆発するような見せ場がありつつ、それがセックスの盛り上がりと直結してるのが素敵。

『行列のできる少女』mogg

 テレビクルーが街中で知らない行列を取材しに行ったら、少女。街のどこかで行われてるかもしれない異世界、という趣があってすげぇ良かった。最初はA子だけで終わると思ったし、それでも超面白い作品だと思ったんですが、まさかのB美、さらにはC恵。3人もいるのに驚いたが、それぞれちゃんと強さ(?)がインフレしていく。それぞれの強キャラ感とかあって面白かったなぁ。2人目のB美は格好がメイドで、ギャラリーの扱いも手慣れててプロアイドルという雰囲気があるんだけど、その後に出てくるC恵が意外性あってこれまた良かった。B美は計算によって達成される強さみたいなものを感じるけど、C恵は天然というか、シンプルに目の前の快感にのみ集中してる感じがあって、「本物の強者はこうなる」みたいな説得力がある。
 それぞれインフレ的に交代していくので普通にC恵で終わってもいいと思うんですが、まさかの合流しての乱交エンドなので驚いた。盛り上がりすぎというか、絵面が忙しすぎるw カオスになりそうなもんだけど、その中でA子のアナルとか、B美の誘惑に耐えられなくなって逃げた青年(たぶん)がB美の弱点である愚直なまでの正常位で、とか展開があるのが面白い。ヒロインのキャラクターがそれぞれ掘り下げられつつのクライマックスになってるのが熱いし、それぞれの違いによって3人のコマが並んだ際のコントラストにもなってて最高。

『酔いどれ』といん

 酔い潰れた姉を、姉の友達が連れてくる。姉の友達という距離の知人が他人すぎず魅力的なんですが、仲介となる姉が1ページ目から退場するのが面白い。サクサク進む。さらには、この関係は以前から続いていて、2人はもう既に……と話が展開していく。回想で描かれた初めての場面もめっちゃ良かったなぁ。あの下着姿で攻められて優しく犯されるような雰囲気が素敵。
 普通に考えたら初めてのときが一番ドラマチックになりそうなんですが、そういう関係を通じて主人公は恋心を抱き、その結論を出そうと奮闘する、という今の物語になる構成も良い。エロがすっかり日常となった魅力も描きつつ、素敵お姉さんに背伸びしてアプローチする主人公のけなげさと、それをからかいつつプレイに入っていくヒロインの小悪魔感が最高。とにかく射精回数が多いんですが、それが主人公の実直さのようでもあり、いくらでも搾り取れるヒロインの強さ(エロさ)。3発目にして、(本編としては)初の挿入が正常位と一番シンプルで、主人公のドラマ性が最も熱い。そこで気持ちが伝わったことでボーナスステージという趣の4発目、というクライマックスに向けた盛り上がりが良かったなぁ。結局いつも通り搾り取られる、となりそうなもんなんですが、実状は大きく違うとドラマの土台が利いてる。ドラマ的な盛り上がりは欲しいけど、ヒロインのキャラ的にやはり搾り取られたい、という両得ワガママセットで最高でした。

『先生につけるクスリはない!』梅田ノーチラス

 今度のテストで良い点取ったら家庭教師がご褒美をくれる約束……という超定番のアバンから、「なんでやねん」と言わざるを得ない急カーブを経て本編が始まるので爆笑してしまった。梅田先生、前作がアバン長めでそれも良かったんですが、今回は短距離でひと仕掛けぶっ込んでくる感じが面白すぎる。
 そんなアバン詐欺があるように全体的にコミカルで、序盤における主人公の独り相撲を見てるだけで楽しいんですが、ヒロインである先生のスイッチが入ると途端にエロい。完全にギャグだった雰囲気からの一変が絶品でしたね。もちろんヒロインは最初からずっと可愛いんですが、表情の変化による印象がガラッと変わるのが最高。完全にヒロインの独壇場で主人公は仰向けでほとんど動けないままなんですが、そんな中でもヒロインの魅力的なショットがバリエーション豊かに描かれてひたすらに眼福でした。主人公はあれだけキャラ濃かったのに、エロい雰囲気になったら途端に主張が弱くなっちゃうのが童貞っぽくて微笑ましいですね。ヒロインが覆い被さるような体勢から常に支配していくんですが、暴走がどんどん加速していって、挿入以降はもはや2人の間にまともな会話が成立してない。盛り上がれば盛り上がるほどヒロインの発言にリアクションする余裕がなくなっていき、最終的には搾り取られるのみ。「思ってたのと違う」の極みなんですが、その予想外の本性というのがめちゃくちゃエロくて可愛い。あそこまでやっておいて、エピローグでちょっとラブコメのほっこりした雰囲気に戻るのも素晴らしかったです。最終的にはヒロインの多面性をただただ追いかけ、愛でる作品であったという着地。あのオープニングからは信じられないw

『決行は日曜日!!』Hamao

 日曜日の学校でやってしまう。可愛らしいカップルが計画的にそれを行うというのが意外でもあり、青春の冒険感みたいな爽やかさも感じてしまう。もちろんやってることはエロなので作品の語り口に騙されてしまってるのですが。
 校門で待ち合わせをし、学校を移動しながら、回想を挟みながら「どこでやるのか」で読者の興味を引っ張っていく前半の場面がすげぇ良い。最終的に行き着くのは屋上の手前の踊り場(?)なんですが、そこに一昨日から置いてあるパスケースを確認して人気のなさを確認してたのもリアル。そして、到着し、いざやると思ったら緊張してきて学校中からいろんな音が聞こえてきて……という演出も絶品。感覚が鋭敏になって、日曜ながら賑やかな学校という日常と非日常が混ざった独特の味わい。
 キスから始まり、次にフェラなんですが、彼氏の方が踊り場から顔を出したまま。先ほどのパスケースのくだりもそうですが、計画を練って慎重に校内プレイを実行していってる感が生々しくて良い。秘密の作戦を決行してる感じがあって、それが単なる露出プレイとは違う良さを生んでる。やってることは露出狂の第一歩(スタートダッシュ)みたいな話なんですが。
 本番も顔を出して下を確認しながら行うんですが、盛り上がっていくに従ってそんな余裕もなくなり、立ちバックだったのが普通の正常位になってしまう。リスク管理としてはかなり危なくなってるんですが、密着し、キスしながらの正常位はイチャイチャ感が最高。可愛らしい2人のイチャイチャなんだけど、同時にインモラルでもある。背景とか無視して2人のキャラクターの言動だけを切り取ってみたらただひたすらに可愛い2人のイチャイチャなんですが、状況がとんでもない、というギャップが素敵。可愛い2人の悪いこと感がまた独特の良さなんですよね。ガチの露出狂とは違った魅力。

『甘たらし』かづき

 立食パーティで人付き合いよりも自分の好きなスイーツにのみ集中してしまうヒロインに、ヤリチンくんが迫る。冒頭のヤリチンくんの登場場面もキャラクター紹介として端的で良かったんですが、それ以上にスイーツに目がないヒロイン、というのがいろいろ象徴的ですよね。イノセントな印象もありつつ、実際のところは欲望にひたすら正直であることの現れでもあった、という後半徐々に分かってくる底知れなさ。ヒロインの圧倒的なまでの強キャラ感に魅了される作品でしたね。
 おっとりしてるし、ひたすらチョロそう(ヤリチン視点)。何の問題もなくサクサクとセックスに突入していくんですが、あまりに順調に行くのが不気味で、ヤリチンが主導的に振る舞ってるはずが……という様子のおかしさが最高。ヒロインのおっとり系なのにミステリアスな雰囲気の魅力にグイグイ引き込まれますし、「絶対おかしいだろ」と思いながらも、気づいたときにはむしろ彼女の方が積極的に事を進めていってしまう。ヤリチンが自慢のテクを披露するかのように前戯する場面とかすげぇエロくて好きなんですが、前戯が終わった際のヒロインが言う “一方的なセックスじゃないとこすき…” のセリフが怖すぎるのよw 彼女自身はとにかく嬉しそうで、トロンとした表情も超エロいんですが、言ってることがこちらの想定を遙かに越えてて底知れない。
 初めてと言いながらグイグイ迫って騎乗位で入れてしまうヒロインの行動がわけ分かんなくて最高なんですが、そこで火がついたヤリチンくんが正常位で攻め、攻めながらどんどん快楽堕ちしていく。能動的なのになぜか支配されてるというか、蟻地獄に引きずり込まれてる感じがめちゃくちゃ良い。ヒロインが荒唐無稽なキャラクターではあるが、それに翻弄されるヤリチンくんの心理がめちゃくちゃリアルで、快楽堕ちして浄化していくようなラストが微笑ましかったですね。ハッピーエンドで良かったんだけど、ちょっと彼女のことが心配になってしまうのもたしかで……とか考え出したらそのままズルズルと彼女に依存してしまいそうな魅力(魔力)を感じる。

『レモンパイ』ます

 バイト先のギャルに近づかれる。あの心身共に距離が近い感じ、ギャルの魅力(ギャル幻想の魅力)の本質って感じがして好き。そんな距離を定点の3段のコマで見せた場面が秀逸。エロとかそういう絵的な魅力は最も低いページと言えると思うんですが、本作全体を象徴していて、同時に次ページより本格的に始まるエロパートの溜めのようにもなってる。チョロQじゃないけど、一旦離れてからの……という近づき方が極端で、それがエロ漫画的には最高なんですよね。
 そして、何と言ってもヒロインの天真爛漫なキャラクターがとにかく可愛い。主人公からしたら「なぜか距離を詰めてくる」なんですが、そのからかい混じりの様子が本当に楽しそうで、何なら無邪気さすら感じるレベル。小悪魔的な魅力なんだけど、同時に本音でぶつかってきてるのも事実だろう、と思えて、だからこそ「勘違いしてしまう」という魔性が生まれる。
 クライマックスに向けて、ページ内の情報量、絵の密度がどんどん上がっていくのが読んでて盛り上がりを感じるし、同時に彼女の魅力に夢中になってしまって頭がいっぱいになってる主人公の感覚も反映されてるようでものすごくリアル。あの定点3段のページからここまでの密度になるのだから……と感慨深くもなってしまうw

『性なる夜に祝福を』アシオミマサト

 修道院長の代役を務めるシスター。そして、相手はショタ。やったぜ。アシオミ先生作品でちょくちょく出てくるおねショタモノ、大好物です。シスターという清廉なる存在がショタにあれこれ教えるようになる、という捻れがめちゃくちゃ良い。最初は仕方なく、最低限のこと(オナニー)だけ教えるが、性の快感を覚えてしまったショタは止まることができずに……というある種の逆転。彼が夢中になるのがシスターのお尻、というのが渋すぎるというか、将来有望すぎる。シスターがワンピース型の衣装を着てるんですが、着たままお尻を突き出すポーズになる場面もド迫力で素晴らしく、挿入に至るようになっても、スカートをまくり上げるだけで、1枚も脱がないまま最後まで、という徹底ぶりもすごい。
 脱がないので、日常業務をしたままでもできる、とどんどん加速していくんですが、最終的に行き着くのが告解室なのも良い。シスターモノのロマンというか、狭くて密着し、暗くて背徳感を助長するんですが、何よりあのお尻のポーズをより強調するシチュエーションになってて最高でしたね。
 エピローグにおけるショタの成長オチもかなり好みでしたね。ハッピーエンドという意味でもそうだし、ショタの儚さと、それでも関係を続けようとするラストの良さ。

『やおやのおねえさん』アサオミ志群

 アシオミ先生からのアサオミ先生。ショタというほどではないが、こちらも年上ヒロインの魅力が詰まった作品……と思ったらラストですごいことになるので笑った。この仕掛けはやられたw 八百屋でエプロンつけて働いてるお姉さん、というのに主人公と同じように幻想を抱いてしまうんですが、それが根底から覆る。その衝撃の事実を説明ゼリフではなく、ヒロインの衣装一発で済ませるラストシーンの切れ味も素晴らしかったですね。本編の中で語られる2人のプロフィールについての情報が限定的で、かつ主人公がウソをつくので、ちょっとフワフワした印象のまま主人公の動揺などのドラマが描かれるんですが、それが最後の最後にガツーンとハマって物語にキレイなオチがつく。
 ある種のどんでん返しがある作品なので、読み返した際の味わいの違いもめちゃくちゃ面白い。最初はヒロインのお姉さんとしての魅力を感じてしまっていたら、実はそれは幻想であり、本当はお姉さん的な魔性を天然で醸しているだけの……という一枚レイヤーが重なるので2周目に読んだ際のヒロインはより味わい深い。本作は全体的に主人公の語りが多めに進行するんですが、2周目だとヒロインのモノローグもちょっと想像できるようになるのでホント面白いんですよね。

『一杯のラーメンと君』こやま滋

 八百屋の次はラーメン屋。こちらは主人公が店で働く側だけど、どちらも家の手伝いというのが共通してる。この「職場=実家」の状況で相手と出会って交流する、というシチュエーション、良いですね。『やおやのおねえさん』は情報が限定されてることを逆手に取った作品でしたが、本作は同じクラスで関わりのないヒロインがいきなり家にやってくる、という状況としてのラーメン屋。学校での接点のない2人が出会う場としてのラーメン屋。
 2人の交流がめちゃくちゃ丁寧に描かれてて、その様子だけでニコニコしてしまうし、2人のことが好きになってしまう。2人の交流という点においては今号の中でも断トツの魅力だったと思います。2人が直接交流する前に、ヒロインがおいしそうにラーメンを食べて、そのお礼を言う。この時点でこの子絶対良い子だと思えてしまうし、何ならもう好きw ギャル特有の距離の詰めで話が進むのかと思いきや、ギャルとかそういう属性以前の「超良い子」という印象で一気に掴まれる。
 店の外でそのままエロパート突入。互いにそれまでの格好の延長上にエロがあるのも良かったし、何より最初から最後まで立ちのまま、という制限が印象的。童貞にはハードル高すぎる気もするんですが、彼女の中では日常のすぐ先にある行為で、主人公はそこに誘われる形。終始立ちで変態チックな感じもあるんですが、密着度の高い体位が続くのでイチャイチャ感のようなものもあって最高でした。エピローグで主人公がヒロインのことを呼び捨てになって、その変化が極端で可愛いんですが、あんだけの体験したらああなってしまうのも仕方ないですかね。

『ふたりでけいこ』まきん

 柔道教室にて。2人の体格差が大好物だったんですが、柔道の寝技という出発点だったのも体格差をより強調するシチュエーションになってて素晴らしかったです。上四方固から流れるように69に移行するんですが、男性キャラの方がマジでヒロインの体に埋もれてしまう。そこからポテンシャルのみで逆転していく様も圧巻で、才能が開花していく、徐々に余裕を見せていく感じとかも逆転の機微として良かったです。悪意を持った逆転という感じではなく、逆転できたことによる心境の変化みたいな感じ。
 ノーおっぱいのままフィニッシュというのがコンセプチュアルで面白いんですが、2人にとってはあくまでも柔道の練習という体裁が大事であり、寝技の延長線上にセックスがあるので、柔道着の下のシャツを脱がす余地はない、ってことなんでしょうね。柔道教室という設定から安易に柔道着で終わらせるのではなく、その先のインナーに着目したのがフェティッシュで新鮮でした。やってることはセックスによる屈服なんですが、その体位がちゃんと寝技っぽいシルエットになってるのとかも面白かったです。クライマックスは正常位なんだけど、めちゃくちゃ支配感が強い印象が生まれてて体格差からの逆転というのも含めて魅力的。

『熟成ラブ』赤セイリュウ

 カップルでポリネシアンセックスしてる間に寝取られる。設定がめちゃくちゃ面白かったし、間男が最後までポリネシアンセックスの件を知らないまま終わるので、ちょっとしたすれ違い劇としての面白さも生じていて好き。なんですが、komifloのコメント欄が寝取られ脳破壊勢によって荒れてるので笑ってしまった。作者の前作を考えるとそれほど驚かないんですが、まぁたしかに序盤が恋人の甘い感じを丁寧に描いてたので、そのフリが全力で機能してしまった形なのでしょうね。フリがうますぎる問題w
 恋人のイチャイチャポリネシアンセックスと、寝取られのギャップが見事なんですが、その連結が妙にスムーズなのも好き。間男くんが最後まで真実に気づかないんだけど、ヒロインがセックスしてないこと、溜まりに溜まってることを細かく感じ取る。無駄に優秀なんだけど、勘違いはしてる、というおかしさ。間男が絶対的に優位に立つわけではないというか、無意識的にごっつぁんゴール決めてるだけ。
 ポリネシアンセックスと、バイト中での間男による性的なちょっかいが交互に描かれるのもめちゃくちゃ面白い。彼氏が丁寧に焦らしたところを、間男が何も知らずにいただく形。漫画上ではヒロインが攻められ続けている、というのを場面と時間を飛び飛びにしながら描いてるのもすごい良かった。ポリネシアンセックスと寝取られの組み合わせのアイディアも素晴らしかったけど、その2つをなめらかに繋げる漫画としての面白さも絶品。積もりに積もったものが間男パートのセックスで爆発する。ただ、間男パートはバイト中ということもあって脱衣は限定的で、ノーおっぱい。おっぱいは彼氏の焦らしパートのみで描かれる。この捻れも最高。

「読者コーナー」

 扉(?)のイラストが前号でも掲載された星井先生なんですが、キャラが前号の作品ではなく、weeklyでの作品の方。思わぬ人選が嬉しかったんですが、よく考えたら前号掲載の作品ではその後のエロが発生し得ないということなのかもしれない。つ、つらい……。
forms.gle
 終わり。せっかく快楽天記事が早めに終わったので、今月こそはブログ本館の借金をゼロにして最新号に追いつきたい……。
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