- 『ほろ宵いと夏のせい ~sunset~』雲呑めお
- 『繭中のあなたへ』桃雲
- 『ドスケベアグレッション♥♥』肉棒魔羅ノ進
- 『淫讐のじかん』猫肉しゃけ
- 『カラオケ逆ナン物語』ももこ
- 『閉じた海にも飛魚は』加速
- 『THIS IS MY SHIT』ケレンメ
- 『ライター貸したら童貞卒業できた話』日向あお助
- 『赦しのお星さま』綿谷しんぐ
- 『心、夏、氷解。』雛原えみ
- 『淫魔風紀委員 立花凛』ちゅーりっふ。
- 『距離感が雑なギャル』かづき
- 『ラブキングダム』mogg
- 『ちんぽ太鼓』かるま龍狼
更新が大変遅くなりましたが、これでも途中から駆け足です。謎。
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『ほろ宵いと夏のせい ~sunset~』雲呑めお
カラーショート、モノクロ本編、そして本作という三部作。前2作はほぼ同じストーリーラインを多角的に描くものだったのに対し、本話は物語が未知の領域に踏み込み、結論に向かっていく面白さですね。完結編らしい完結編だったと思います。夜から始まった物語の完結編が夕日から始まるのも良かったですね。光の表現が絵的な見所であると同時に、それがそのまま物語としても重要な意味を持つ。こういう良さはシリーズ展開ならではなんじゃないですかね。夕日、そして夜というのが物語の終わりに向けたカウントダウンのようであり、それが同時に夏の終わりでもありますね。そんな夏の終わりを描く作品が9月末、ようやく秋の気配が漂ってきた時期(9月末発売)に掲載されたのも何気にすごいことだと思います。どこまで計画的なのかは分かりませんが、普通夏の終わりは8月末だと思うんですが、今回のはめちゃくちゃ合ってる。あと、夏本番の時期だと「夏の太陽とかマジクソなんですけど」みたいな気持ちも強いので、そういう意味でも9月末で良かったと思いますw 当ブログの更新が10月中盤というのはさておき。
島のあちこちで、それも抜けの良い場所(太陽の当たる場所)でセックスしまくる2人、という冒頭も良い。続編特有のスタートダッシュ感であり、島をどこまでも満喫する姿勢も感じられ、何より終わりの予感を抱いた焦りのようなものもどこか漂う。
そして、最後のエロパートが始まるのが夜。すべてが一周した感がありますね。あと個人的には夜の場面に行く直前の、島の歓楽街に立つヒロインのショット。最初のカラーショートでもあった場所なんですが、夕日を浴びたあの絵面がものすごく好きだったので再び出てきて嬉しかったです。夕日というのが終わりを感じさせると同時に、夜の人間であるヒロインにとっては始まりというか入り口みたいな雰囲気ありますよね。
そしてエロ本番。主人公がかなり前向きというか、ヒロインが大人の余裕を漂わせてるのと対照的に彼はかなり必死なのもあって今回のセックスは彼がかなり主体的。ヒロインの余裕が徐々に崩れていく感じが最高でしたし、ある種の逆転をできるほど相手の弱いところを把握してる、という2人の関係性の蓄積も感じられる。
気持ちを言葉に出せないのでただただセックスが暴走する主人公なんですが、2回戦に入るとようやく本音を吐露するようになる。その場面、主人公の影がヒロインの体を覆い尽くしてるのがめちゃくちゃ良い。やっぱ本シリーズは照明と影の要素がめちゃくちゃ魅力的。物語が動く際には必ず印象的に光もしくは影がある。フィニッシュ後、フェードアウト的に場面が終わるんですが、徐々に2人が影に包まれていく感じがあるのもすごく良かったです。
からのエピローグでハッピーエンド。島の思い出として「お土産」を手にして終わるのが良かったんですが、その帽子が表紙イラストにも描かれてたのですね。初見時まったく気づいてなかったというか、濡れた髪が胸を額縁のように張り付いててエッチだなぁ……などと胸しか見ていないのである。
てか、アレですね。帽子というのも日の光と影を司るアイテムなので本シリーズのまとめとしてこれ以上なくピッタリですね。
『繭中のあなたへ』桃雲
限界生徒会長を甘やかす。タイトルの「繭中」はヒロインの心の壁みたいなものを表してると思うんですが、蚕の繭だとすると繭に働き者みたいなイメージも重なりますね。そこから糸、結び、布と連想されていく。衣装の布石は冒頭にもあったけど、そのままメイドコスになると思ったら……というサプライズが最高でした。メイド服を作った際の余りでできたもの、という納得度もあるし、仕事でガチガチに凝り固まってしまったヒロインを精神的に裸にして徹底的に甘やかす服装としてふさわしすぎる。後で気づいたんですが、目次ページで軽くネタバレされてるのですね(キラーショットなので見せたい気持ちは分かる)。何も知らずに読めてラッキーでした。
仕事の象徴なんですかね、ヒロインはメガネ。メガネは仕事を意味するので、エロシーンが始まるとメガネは外す。繭のテーマや衣装もそうですが、全体が一つの方向性で統一されてて面白かったと思います。真面目とか仕事を意味するメガネってのはそれ自体はまぁよくあるやつだと思うんですが、作品全体で見るとメガネ(とその不在)がすごく印象的で、魅力的な作品だったと思います。メガネを外すシーンはないけど、外されたメガネが机に置いてある描写があり、象徴的で良かったですよね。おそらく本作において最も大事なあの衣装が披露される場面の前フリとして、あの置かれたメガネ。
28ページとちょい長めの作品であるとはいえ、物語要素もめちゃくちゃ充実してるので驚きました。そしてエロは多い。エロとエロの間に少しずつ差し込まれる外の世界のシーンがものすごく効果的だったと思います。仕事をすべて独りで抱え込む状態ではすべてがうまく行かなかったが、甘えることを知ってからはすべてがうまく回り出す。エロと関係ないキャラも立ってるのは良いエロ漫画の証拠だと思います。最後にその彼女の仕事本番が描かれたのも良い構成というか、後味の良いエピローグ。エピローグと言えば、竿役が突然女装してるので驚きました。そこらへんもっと詳しく……。
『ドスケベアグレッション♥♥』肉棒魔羅ノ進
双子のように仲良しの幼馴染の2人は学園の王子様。そんな2人が彼氏をシェアする話なんですが、単純に考えたらこの2人は別に双子で成立する話だと思うんですよ。それでも双子にしたいあたりに本作のこだわりを感じるというか、独自の魅力があったと思います。ヒロイン2人体制というと『えちえち本番ランド』の衝撃が記憶に新しいのですが、あの作品ほど対照的なコンビではない。2人とも王子様なので似てるっちゃ似てるけど、その中でも個性はそれぞれ立ってるし、そんな2人に同時に、それもコンビプレイのように攻められるというのが最高に魅力的。
ひたすら享楽的な内容なんですが、フィジカルで逆転するのも楽しく、3人の中で「2対1」の配置が変わる展開も面白かったです。基本ヒロイン2人が強い3Pだけど、固定的ではなく流動的な関係こそが最大の魅力だったのではないでしょうか。まぁ単純にヒロインのキャラが濃くて最高、というのはある。竿役が逆転するほどの存在感は見せるけど、キャラの個性としてはかなり表に出てこないタイプなのも面白かったですね。ここらへんの3Pのバランスがめちゃくちゃ心地いいというか、3Pばっか描いてる作者ではないはずなんだけど、3Pモノとしての味わい深さが十二分に堪能できる。
『淫讐のじかん』猫肉しゃけ
なんて可愛らしいペンネームなんだ、と思ったらめちゃくちゃ怖い話なのでビビりました。冒頭のイジメシーンがかなり迫力あって、それもエロ的な要素が希薄で「ここではまだ抜かないでください」的なバランスなのも良いですね。いや、本物のMの人だとあれでも興奮できるのかもしれませんが、私は普通に怖い。
そんなイジメ被害……の夢を見ていた2年後の今。という場面転換が鮮やかすぎる。無駄なくスピーディーに、それでいて感情の高まりが維持されたまま現在の復讐パートに移行される。2年も経ったがあのときの恨みは未だに忘れられない、という心理の説得力が素晴らしいですね。その場面転換を境にエロ描写も増えてくるし、ヒロインの顔も可愛く見えてくる(漆黒の瞳にハイライトが入る)。描写的には可愛くて魅力的なんですが、「何楽しそうにしてんだよ」的な感情も喚起されるのでエロ漫画的にめちゃくちゃ面白い構成だったと思います。ヒロインが可愛いことにイライラしてくるってなかなかない読み味。
エロパート。主人公の方が前戯をまったくしないのはまぁ予想の範疇なんですが、それに加えて自身が性的な満足を得ることに興味がなさそうなプレイ内容になってるのですごい。一番分かりやすいのは、(ヒロインが勝手に始めた)フェラに対して主人公がイラマチオに発展させる場面。もちろんそういうエロが好きな人もいるとは思いますが、彼の場合は「相手を犯す」の一点のみが行動原理になってる感じですよね。自身のみが一方的に性的快感を得る内容はふさわしくない。ここらへん、単なるドSな竿役の作品とは一線を画するものになってて超面白いんですが、そのことに気づかないヒロインが “シユさん ドSすぎ…?” と言ってしまうのが間抜けであり、その愚かさがちょっと可愛くも思えてくる。が、主人公はそんなことは一切感じないわけでw この的外れな感じもイジメの加害者と被害者の立場の違いがよく現れてましたね。そんな「覚えてない」の姿勢をぶち壊す、主人公の名乗りのシーンがセックス中の体位、相手の視線を強引に引き寄せる行為、上下で逆さまな位置関係などなど、めちゃくちゃ美しい1コマになってたと思います。象徴的な場面。この場面のためにある作品なんじゃないですかね。そして、劇中の主人公もこの瞬間のために生きてきたのではないか。
エロパートだけを見るとヒロインがひたすら可哀想な作品なんですが、かつてのイジメと同じようにその場の被害だけでは終わらない、社会的な被害も発生して終了する。自撮りを使った最後のコマがめちゃくちゃ良かったんですが、目のハートが見えるのも良いオチでしたね。それでも楽しんじゃったんだ……という歪み。
『カラオケ逆ナン物語』ももこ
一人カラオケでアニソンを満喫してたら知らない女に突撃される。要は趣味が合うの一点のみで引き寄せられてしまった、という最高の出会い。映画『(500)日のサマー』だとエレベーター内で聴いてたヘッドホンからの音漏れでヒロインに声をかけられるというオタクの夢が描かれたんですが、ちょっとそれとも似てますね。ただし、ザ・スミスと違ってアニソンという本来なら他人との共感を望んではいないような感じがあるのが良い。いきなり「入室」というインパクトも最高でしたね。人の心の中に突然入り込んでくる、という象徴的なイベント。
しばらくは趣味の一致で盛り上がったものの、彼女の方から「次」の誘いが来てしまい、 “ちんぽには抗えなかった” 。エロとは無縁の交流が描かれてから、場面転換と同時に一気にエロスタートというのが激熱だったわけですが、最後まで読むと “ちんぽには抗えなかった” の際に2人の間に巨大すぎるすれ違いが生じていたと分かるので面白い。当然のように初読時は主人公サイドの認知で読み進めてしまったんですが、オチを踏まえて読み返したら、たしかに彼女の方からはエロの誘いは特に何もされてないので笑いました。勝手にちんぽの概念を持ち出してるのは主人公w 本作はラブホだと思うので少し事情は違いますが、「女性が男性の家に上がったからってセックスOKのサインではない」という話とも似てる。もちろん本作のヒロインはセックスはセックスでアリだったくらいの感じだと思うし、セックスに流れてしまったけど、それでももう一度セックスなしの交流を求めてくれる。これはある意味下手なワンナイトよりも男性側に都合が良い話だったと言えるかもしれない。同時に勝手にセックスのことだと勘違いしたことの申し訳なさも湧きますね。そんな説教臭い話ではないんですが。
思えば、「入室」で始まった物語が、ラブホへの「入室」というすれ違いに至る話になってるので面白いですね。全編を通じてヒロインからは常に好意が向けられてる話なんですが、その好意は「次」を求める言動だったのも印象的というか、こんなに嬉しいことはない。求められてるという激しい実感が最高に嬉しいんですが、何を求められてるかで誤解が生じてしまうw
エロパート。ももこ作品のねちっこい前戯描写大好きで本作も最高だったんですが、読み返してみれば本作、攻めらしい描写は徹底して主人公からしか描かれてませんね。イチャイチャ感のある作品なのでここまで一方的なのは珍しい気もするんですが、「するならするでいいけど元々はセックスするつもりじゃなかった」というヒロインのことを思うとそら全編受け身になりますわなw 対話はしっかりしてるように見えた2人だけど、了承とか同意を得る場面も絶妙にOKの返事はしてないので笑いました。読み返すと本当に大事なところですれ違ってる。極端な話、「クソ男がよぉ!」的な話になってもおかしくないレベルの失態だと思うんですが、それでも好意を向けてもらう話に着地するバランスに落ち着くのも独特で面白い。めちゃくちゃトゲのある作品になってもおかしくないと思うんですが、全編通じて平和で、そしてハッピーエンド。
『閉じた海にも飛魚は』加速
加速先生本誌デビューおめでとうございます。ハッピーな内容で意外だったんですが、「闇」描写がさえ渡ってて本当に最高でした。話は明るいけど、暗さが印象的になる。そんな光と闇が表裏一体のような関係を見せる舞台装置としてセンサーライトが出てきたのにはマジで目から鱗。世の中に対して閉塞感のようなものを抱きながらも2人の関係だけは輝かしい瞬間で……というのが夜の闇と2人を照らすセンサーライトで示される。2人だけを照らすスポットライトのような味わいもあって素晴らしかったです。もちろんバレる危険性を煽ってくる意味でも面白く、マジでセンサーライトは発明ですね。
2人だけの世界、みたいな感覚が印象的な作品なんですが、2人の外にあるクソな世界としておそらくコロナ禍と示されたのもめちゃくちゃ良かったです。実際にコロナ禍真っ盛りのときはそういう背景の作品も多かったけど、夏の大会が中止になるほどのコロナ禍はなくなった今扱ってるのが独特の味わいになってて好き。青春を奪われた宙ぶらりんの若者たち、というのがものすごく象徴的で、物語として消費するならめちゃくちゃエモい。そんなコロナ禍を思わせる具体的な描写は1ページ目のみに留まってるのも良かったですね。そこがメインになりすぎても変だと思うので。ちなみに、劇中のスマホ画面に出てきた「9月8日 月曜日」が成立するのはあのパンデミック以降では2025年しかあり得ないです。思わずカレンダーをめくってしまったんですが、ファンタジーとかパラレルですね。
エロパートの前のキスシーン。足で誘惑してくるヒロインに対して動揺してるとキスされちゃうんですが、この場面、ヒロイン側は明るいのに対し主人公側は夜の闇を背負ってるのが超良いですよね。光と闇の境界線上で揺れ動く2人、というのが最高にエモいし、そのグチャグチャになる感じがエロとの親和性が高すぎる。他にもヒロインの背中を見る場面で、彼女の奥に闇があったりとにかく最高でした。その後はセンサーライトによる緩急が始まるのでオモシロが止まらない内容でした。
『THIS IS MY SHIT』ケレンメ
女が好きなのに男ばかり寄ってきて、女からは嫌われる。美人の苦悩として端的ながら妙に説得力があって面白いオープニング……と思ったらそんなアキラ先輩がサクマなので驚きました。まさかのweekly勢歓喜の流れ。まぁ、そこまでがっつり繋がりがある感じではないんですが、それでもサクマの苦悩がまた違った角度から描かれるので面白い。圧倒的に暴力的な存在に支配される、というわけではないのが良いですよね。酷いことになるのはまぁ当然として、その経緯として寝取らせが出てくる。これ自体は一つのジャンルと言えるほど定番のものなんですが、女同士の前提が加わってくるので面白い。女神とまで思ってた相手がおそらく本作において最も狂ってるから最高ですね。サクマ自体はマゾな点を除けば最も普通だと思うし、竿役もサドと浮気の件を除けば意外と普通だったのかもしれない。それは普通ではない点が2つあったら普通ではないが、彼は彼で巻き込まれた立場であり、ある種の被害者性を(本作の物語の中では)抱えているという話。
んで、やはりキャラクター的に一番面白いのは本作で最も狂ってるミカちゃん。寝取らせ願望だけならまだ分かる(分からないけど)んですが、そこからさらにサクマに対するこじれた心理が語られるのが最高でした。彼女の言い分がめちゃくちゃ歪んでるんですが、話の筋としてはしっかりしてるというか、ちょっと納得できちゃうところもあるので困った。そしして、サクマがいつも通り女に嫌われる展開になってるのも面白かったですね。めちゃくちゃ捻れた話をしてるのにいつも通りの結末になってしまった……と思ったら急転直下のハッピーエンド(?)になるので熱い。まぁ、サクマはサクマでそこそこ狂ってると思うので、あの狂った感情と共に抱かれても普通に喜べそうなので本当に良かったと思います。別の作品とかだったら「こんな子に抱かれてももう喜びづらくない!?」とかなっってもおかしくないんですが、たぶんサクマなら大丈夫。初めて訪れた幸せな瞬間、というのに思わぬ感動がありました。
『ライター貸したら童貞卒業できた話』日向あお助
パチンカスでヤニカスの2人が仲良くなる。どちらもやったことないので身近に存在する無知な世界という感じなので、パチンコ屋の喫煙所というのが魅力的なシチュエーション。今は店内で吸えないのですね。居場所のなさがすごいことになってますが、だからこそ、隅の隅に追いやられた状態での出会いは濃いものになるんだろうな……という喫煙所ドリームを感じる。
そんなパチンコ&タバコという共通項によって(主人公にとって)一気に身近に感じられるヒロインだが、その実彼女のことは何も分からない他人という独特の距離感がめちゃくちゃ良い。ミステリアスなのは間違いないですが、クールなのかダウナーなのか分からない空気をまとってるのが本当に魅力的。そんな何も分からない彼女が “ばいばい” と手を振ってくれるのにもグッときますし、挙げ句はパチンコ惨敗時の笑みですよ。普段あの感じから一気に笑みを見せてくるのはちょっと強すぎる。気に入られてる感というか、確証みたいなものが感じられて良いですよね。何考えてるか分からなかっただけに、漠然と好意という概念だけが浮かび上がってくる。
そんな平熱なテンションのままセックスに持ち込まれるのも魅力的なのですが、おそらく初めて彼女が見せた自虐を主人公が否定することで、彼女が笑顔とはまた違った新たな表情を見せる、というのも熱すぎる。そのまま本番開始という流れが最高でしたね。思わぬタイミングで彼女とかなり深いところまで繋がれたんじゃないか、という感動からの物理的な繋がり。
全編通じてヒロインの表情の機微が絶品で、セックスが進むにつれてめっちゃ心開いてくれてるかも、となる瞬間とか本当に良いですよね。からの事後で一気にクールになるが、主人公のダメっぷりが発揮されることで再び破顔してそのままエンド。パチンカス&ヤニカスという強烈な属性を持つ作品でしたが、2人はそんな社会的なダメさを通じて心を通わせていく話だったと言えそうですね。なので最後にヒロインが笑顔を見せたタイミングも象徴的というか、本作の総括のような味わい。
細かいところですごく好きだったのは、劇中にチラリと出てきた「海」のマリンちゃん的なキャラ。あれがヒロインとは別方向の可愛さになってるというか、ちゃんと劇中では二次元キャラだというのが伝わってくる。それと、「海」に対するパチンコファン内のイメージを知らなかったので笑いました。
『赦しのお星さま』綿谷しんぐ
彼女との初体験に失敗し、気まずくなって保健室に逃げ込んだら、保健室の先生に捕まる。綿谷先生、快楽天での前作も「悪い大人」なヒロイン像が最高だったわけですが、本作は竿役が圧倒的な年下ということもあって、その悪さがより邪悪。悪意とか支配というのをかなり剥き出しにして襲ってくる感じがあって最高でしたね。前作のは狂ってるのに抗いがたい魅力を放っていて、成人男性が分かった上で沼っていく話でしたが、本作は半ば暴力的ですらあり、怖さのニュアンスが強さめでしたよね。あとは竿役に無垢さがあって可愛い&可哀想な魅力を静かに放っていたと思います。そこまで前面に出るタイプの竿役ではないと思うんですが、しっかりキャラ立ってて、だからこそバキバキに心と性癖をへし折られることになる展開が最高。
悪い大人であるヒロインが明確に「強い」人として描かれるのも良かった。逃げようとした主人公をベッドの上に捕まえる場面とか超好きです。おそらくチカラが特別強いって話ではないと思うんですが……という迫力。押さえ込んだまま脱がせる手際も好きですし、何より彼女の脱ぎっぷりが最高。芸術的なまでの美しさがあったと思います。あの脱ぎ方がちょっと色っぽすぎるというか、ストリップショーみたいな洗練された振り付けのような印象すらありました。そんな脱ぎを相手に見せるわけではないってのもがまた面白い。
セックスの同意を得ようとする際の、主人公の手を握るムーブも最高でした。本来ならイチャイチャ感の強い行為だと思うんですが、本作だと完全に「支配」ですよね。あくまでも相手の心を支配するための儀式としての同意、もしくは確認。なので実際はただの強要っていう。
そして挿入の際には引き出せなかった主人公の言葉をセックスのクライマックスでようやく引き出すことに成功する、という完堕ちの表現も圧巻。やっぱり竿役は可哀想で可愛いですね。別にショタみがあるわけではないんですが、それでもヒロインとの対比的な関係性において彼の子供性というのが印象的に描かれてるのですごい。言葉を引き出されることで主人公の負けが確定するんですが、 “じゃあ今度は” と彼が勝手なことを語りだそうとすると今度は阻止されるので可哀想w キス明けに初めて彼が彼の欲望を吐露しようとするんですが、そういうのは求められてない。不憫すぎる……。
『心、夏、氷解。』雛原えみ
後編。『ほろ宵いと夏のせい』と同じくらい楽しみにしてて、気になってたという意味では本作の方が強い。カス嘘お姉さんの真相や如何に……。前編の時点では確信まではいかないまでも「薄命的な?」とイヤな予感がしてたんですが、蓋を開けてみると東京で婚約破棄。そっちかぁ~! 勝手すぎる言い分ですが、健康で何よりです。というか、素っ頓狂な感想を抱いてしまって申し訳ないですね。ただ、改めて前編を読み返すとミスリードを促す描写が意図的に盛り込まれていた気もしないではないです。違ったら本当にごめんなさい。何にせよ、「帰省したのに地元の集まりにに顔を出さない」というのは確かに病気よりも婚約破棄のがしっくりきますね。これでもかと納得できてしまう……。
ということで、真相が明らかになってのハッピーセックス……なんだけど最初は竿役がグチャグチャの感情を爆発させそうになってるのが最高ですね。ヒロインに長年振り回されてきた元ショタの葛藤。そんなマジな悩みの吐露にヒロインが初めて? 茶化さずに向き合ってくれる。熱い。そんな真面目な空気が苦手ですぐ茶化しに逃げてしまう性格で彼女もつらい思いをしてきたので、そのことが彼女にとっても自己解放であり、トラウマ的体験の解消とも言えるものになっているのが感動的。初めて互いに心を剥き出しにした状態での対話、というのがそのままセックスになってるのが良いですよね。エロ漫画におけるドラマのおいしいところだと思います。
これを機にカス嘘お姉さんのキャラがなくなってしまうのではなく、セックスが終わるといつものノリに戻るのも最高。 “現れんのかい……” はマジで笑ってしまいました。喜ばしいはずなのに、というグチャグチャさが良すぎる。
『淫魔風紀委員 立花凛』ちゅーりっふ。
サキュバス風紀委員。サキュバス設定でこういう角度もあったのかと膝を打ちました。サキュバスのいる世界、という設定の組立が結構真面目にされてて、だからこそサキュバスで風紀委員という一見すると矛盾した存在が生まれる。サキュバスと人間の純愛というのもめっちゃ良かったです。そこに風紀意識の低い不良サキュバスが絡んでくる、という話も好き。こっちで一旦やってしまうのもアリというか、ちょっとだけ予想もしてしまいました。ここで「制御チャームを外す」アクションを一度見せてるのも前フリとして良いですよね。寝取られるくらいなら、という決断も非常に納得できる。純愛セックスだったらサキュバスとしての催淫を使わなくてもよさそうなもんですが、よその催淫から守るためにも先に催淫しちゃう、とロジックが構築されてるので面白い。ヒロインの決断は結構理屈っぽく組み立てられてるんですが、漫画としては非常にサクサクと進みながら、気がつけば必要な情報や説明が済んでてその勢いのままにセックス開始となる。サキュバス設定の転がし方がさすがのうまさだったと思います。
竿役が一切喋らない無個性が個性となってるキャラなんですが、サキュバス設定もあるので案外それが目立たないというか、油断して読んだら気づかなかったかもしれないというレベル。しっかりイチャイチャは感じられない内容になってるから驚きですね。その上でヒロインが独りであれこれ苦悩して決断する話になってる。そっからさらに、喋らないまま逆転展開にまで続くので面白い。暴走なので暴力的なニュアンスもあるんですが、「普段これを我慢してくれてるのか」と転換されてしまうのがサキュバス設定の妙ですね。
『距離感が雑なギャル』かづき
真面目店長と、バイトの男性陣を惑わせるギャル。天然魔性という感じで見ててめちゃくちゃ不安になるオープニングからして最高。いくらなんでも飲み会の空気が世紀末すぎるので店長としても関わりを持たざるを得ない。そしてミイラ取りが……という感じ。最初、ヒロインは距離感がおかしくて無意識的に男を狂わせてしまうだけの人だと思ったんですよ。何なら彼女は彼女で可哀想みたいな。そしたら、息をするようにセックスを始めるので笑う。心配の気持ちは強まるんですが、ちょっとだけ怖さも湧いてきますね。同時に「彼女を守ってあげなくちゃ」的な気持ちもあった傲慢さも感じるかな。あまりにマジモンなのが想定外なので手も足も出ない、という流れも面白い。エロ的に都合が良いとか、「羨ましいじゃんw」みたいな気持ちにはあまりならないかな……。ヒロインが魅力的なのは間違いないんだけど、本物すぎる彼女のキャラクターに圧倒されるというか、畏怖の念すら湧いてくるw
本物すぎるヒロインのキャラクターが圧巻なんですが、それでも彼女に対して激ヤバビッチみたいな悪い印象にまでは振り切られないのが本作のすごいところ。いろいろとおかしい人ではあるけど、根が良い子なのが常に感じられるというか、邪悪な要素は常にゼロですよね。ここらへんのバランスが魅力的な作品であり、キャラクターだったと思います。ぶっちゃけこのキャラだったらもっと露悪的な話になってもおかしくないと思うんですが、最終的には「めっちゃ良い子じゃん……」とまでなってしまうので強い。結局また心配になるのですが、いくら店長の立場があったとしても本当に守れるのかは結構怪しいというか、心配は絶えないw
あと、本作で見逃せないのはエロとまったくの無関係の中西さん。このサイズの読切でここまでキャラの立った脇役が出るのはすごいことだと思います。マジで超魅力的でしたし、何なら本作はある意味で中西さんの物語だった可能性すらあるw 闇感情を爆発させてはいたけど、それをヒロインに対して直接ぶつけるようなことはしないのも本作全体に言える謎に優しい世界観だったと思います。あの関係であそこまで非暴力というか、直接怒る話にならないのはマジで立派。ただ、それはさておき、そこまでして木村のことを好きなのがミステリーすぎますね。もう手遅れということは知らない可能性もあるのかな。だとしたら少し可哀想ですが、あの飲み会の様子を考えたら「そりゃそうでしょ」としか言えない気もするw
『ラブキングダム』mogg
ちょっとHなテーマパーク、とあるが全然ちょっとではない。mogg作品でたまにあるどうかしてる設定が全開の、とにかく登場人物が多い系の作品なんですが、その中でも火力がトップクラスだったと思います。享楽的の極みなんですが、一応テーマパークという体もあるので、全体的にノリが軽いというか、ポップなのが良いですよね。ジメジメしてないというか、ひたすら陽性のノリ。その中でも乱暴で暴力的な要素も出てくるんですが……というオメガちゃんの受難が断続的に描かれるので笑ってしまった。ああいう対象外キャラみたいなものにロマンを感じてしまう気持ちは分からんではないし、そのリミッターが外れてる感じがテーマパークの良さなんだろうけど、しつこいまでに襲われ続けてるのが独特の良さ。オメガちゃん普通に可哀想なんだけど、彼女のリアクションも軽いので、そこまで可哀想に見えないというのも良いバランスだったと思います。
んで、メインストーリー。一日お姫様がアテンドしてくれるという話で、パーク内はいろいろとエロの仕掛けがあって、そのアイディアと展開の豊富さが作品の魅力なんですが、メインの2人は不思議なくらいプラトニック……は言い過ぎですが、焦らしたまま話が進むんですよね。そして日が暮れるとついに……という構成が熱い。というか、これ普通に遊園地デートして、その帰りにホテル行ってセックスした、というめちゃくちゃイチャイチャ度の高い話(と骨子は同じ)ですよね。このバカすぎる設定でそんな丁寧なことするのが面白いというか、悪ノリ的に設定を突き詰めるだけでは到達できないエロ漫画としての面白さがあったと思います。本作も十分露悪のノリはありますけど、露悪だけになったらさすがにインフレするというか、すぐに飽和状態みたいなことになっちゃうと思うんですよ。そこに遊園地デートという主軸を丁寧に盛り込んだのが見事だったと思います。クライマックスの花火の場面とか「えっ この設定でエモいことってあり得んの!?」と驚いてしまいました。
『ちんぽ太鼓』かるま龍狼
夏祭りの主役はちんぽ太鼓。9月末発売で夏の輝きを感じさせる作品も多かった今月号ですが、その締めにこれ以上ないほどふさわしい作品、それが『ちんぽ太鼓』。マジで面白すぎてどうにかなってしまいそうでした。かるま作品らしい面白さではあるんですが、ちょっと近年の中でも屈指の傑作だったような気がします。出オチ的な設定と1ページ目の爆発力がすごいんですが、その後のストーリーがちゃんと面白いんですよね。そっからエロ漫画的な魅力も普通に良くて、とにかく総合力が高い。全方位的に面白すぎる。今年の快楽天を代表する一作だったんじゃないかと結構マジで思います。絶対出オチだと思ったのに、引き込まれてしまった……。
人妻の色気と、そこに絡むショタというのも最高だったというか、かるま作品の中でもトップレベルにおいしい要素が組み合わさったような印象。そこにトンデモ設定が絡むんですが、本人たちは至って真面目で、狂ってるんだけど真剣なノリでエロが進行するので最高。全員が「そういうもん」と受け入れてるのが最高におかしい世界なんですが、その中でも竿役は「そういうもん」とエロ設定を受け入れながらも、まだ若いので戸惑いや動揺がある。ここでちゃんとおねショタ作品としての魅力が丁寧に描かれてるので頭が混乱してくる。どうかしてるのに、普通にめっちゃ良いおねショタになってしまっている。なんでや。狂った風習の許容度というのが竿役とヒロインでちょっと違うんですよね。その差によって話がグイグイ進行してるのが最高におかしく、ちゃんとおねショタしてくれる。
そして何よりエピローグの爽やかですよ。めちゃくちゃ良い話みたいな余韻が漂うので最高。ヒロインの大人の余裕を感じさせる色気がまた良いですし、ショタの今後の成長を感じさせる甘酸っぱい思いとか普通に感動的。からのまさかの第三者登場でまた別の甘酸っぱいドラマが生まれるので面白すぎる。20ページしかなかったのが信じられない詰め込まれぶりであり、それでいて全体としてゴチャゴチャはしてないスマートなバランス。ネタ的に最高に面白いってのはもちろんありますけど、それだけじゃない凄みの塊だったと思います。
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終わり。全体の量としてはまぁいつもくらいだったと言えるのかな。次号はね、さすがにもう少し早めに更新できるように気をつけます。
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