北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC HOTMILK(コミックホットミルク)2021年9月号の感想

 今月もブログ更新が遅いのですが、書き始めた時期を考えるとそこそこ早いです。許して。
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『ブラウンシュガーサマー』urute

 フルカラー8ページ。黒ギャルかつおねショタ。そして海の家。強い。要素が強い。
 個人的にグッと来たのが「ボクちゃん」呼び。ショート読切なので固有名詞は削減した方が読みやすい、みたいな戦略もあるんでしょうが、ショタはお姉さん目当てで海の家に通い詰めてしまう話なので、店員と客の関係性なんですよね。だから「ボクちゃん」という呼称に違和感がない。ショタ性をこれでもかと強調するワードでありながら、物語的な必然性がある。これはうまい。そしてやっぱり黒ギャルによる「ボクちゃん」呼びの破壊力がデカい。黒ギャル目当てで常連になってしまうショタも可愛い。一応「黒糖焼きまんじゅう」が目的、という体裁が整ってるのも良い。実在するメニューなんだけど、2人の間ではそれが隠語になっていて……という2人だけの世界、ショタの常連感。てか、黒ギャルの佐藤さんのパイズリ&本番を「黒糖焼きまんじゅう」と表現するのが的確すぎるw

「HOT LOVE NOVEL」ぶなぴー397円 ICHICO

 ノベル&ボイスドラマ(公式サイト)。アイドルの写真集の撮影見学にファンが招待されたらアイドルが撮影中にスタッフとやりまくっていて……。ノベルの方だとかなり男視点に寄り添っているので、いわゆる鬱勃起的な話になってるんですよ。地の文もセリフも男に関するものが多い。ただ、ボイスドラマだと女性声優の独り語りになるので当然女性視点の話になる。この対称性というか、1つの物語を2つの方向から挟むような構造になっててめちゃくちゃ面白い。2つが揃って完成する、みたいな仕掛けになって見事だったと思います。今月かなりの傑作回なのでは。
 完全にボイスドラマの感想に偏ってしまって申し訳ないんですが、声優の演技がめちゃくちゃ良いのですよ。演技が良いというか、作品の内容が演技力を要求してるというか、演技的な見せ場が多く盛り込まれてる。話としてはまずアイドルがスタッフと楽しんでる場面から始まって、その後ファンの男性(ノベルの主人公)が登場。ここで本来のペルソナというか、アイドルらしいファンへの接し方みたいな声になるんですよね。そのままオナホアイドルとしての本性をさらすことになり、裏切られたとキレてる男のことを挑発しつつ誘惑するような展開になる。ここの声色も見事だし、終盤にはノベルにある「野太い淫声」がそのまま声として出てくるのも圧巻でした。短いボイスドラマの中に演技の球種を多く出てくるのでスキル自慢的な意味でも聞き応えのある回になってたと思います。たぶんだけど、声優個人のスキルがどうこうって話も当然あるけど、それを迎え入れる側の「面白いボイスドラマ作ってやる」欲が高まってきてるというか、それを実現するノウハウの蓄積も感じるような回でした。話の時点で声優のスキルを誇示するのが前提、みたいな内容になってると思うんですよね。ボイスドラマがノベルと真逆のアプローチの作品になってるという件とも符合するかなと。

『ハーレム・カルト』宇場義行

 第7話「洗脳」。やべぇ、各話にサブタイトルついてるの見逃してた……と今焦ってますw 小さいのよ。目次ページにも載ってないし。油断してた。
 絶体絶命のピンチ……からの逆転。エロ漫画とバトル漫画は似てると感じることは多いんですが、本作は特にバトル漫画としての特徴が強い。戦う方法としてセックスになってるだけ、みたいな。逆転のロジックと、その逆転ぶり、からのクライマックスでの今までのストレスを払拭するかの勢いの盛り上がり。直接の対決の構図にもなるし、めちゃくちゃバトル漫画的。攻撃が効かない相手をどうやって倒すか、みたいなロジックの部分とかいかにもですよね。それがちゃんとエロとしての納得度であり、説得力になってるから「これはさぞ気持ちいいのだろう」と読んでて伝わってくる。
 それと、個人的にめちゃくちゃ刺さったのが、モブたちを一網打尽にしたあとの、主人公が救出される場面。あそこで優しく解放されたと思ったら即フェラじゃないですか。めちゃくちゃエロい。安心感、開放感からエロが直結する感じがマジで最高。一応会長を追いつめる場面なのでフェラは背景的に描かれてるんだけど、その説明もなく当たり前に行われてる感も含めて超エロい。

『イジめてご主人様っ!』高津

 久しぶりの新作。主人公が浮気してその件を詰められるはずがめちゃくちゃ主人公が攻める。この理不尽とも思える支配感が面白い。最初はヒロイン主導で、エロい意味で “…今頃たっぷり絞られてんじゃねーの?” だったんですが、平手打ちで一気に逆転するので笑った。特に逆転材料が見つかったとかそういう話ではなく、単に調子乗りすぎ、という感じ。浮気したのにこれかよ、というパワーバランスが良い。
 からの浮気の件はまだまだ続く。電話がかかってくるが、それには出ず、録音される留守電を聞きながらのセックス続行。電話に出させるプレイみたいなのが思いついたんですが、留守電も良いですね。バレる危険性はないんだけど、それでも暴力的なまでの支配感のスパイスになってて面白い。一旦ヒロインが何も知らずに電話してきたことに対して優越感を抱くのが良いですよね。あそこでの表情が最高でした。最高なんだけど、それを主人公に見つかって、さらにお仕置きされる。
 留守電という音声のみの繋がりから、ラストは小さな窓越し、というエンディングも見事だったと思います。何も知らないウブな子の存在を感じながらの堕落的なセックス、というコントラスト。

『ヤリ部屋の恋』玉置勉強

 タイトルの通りヤリ部屋の話なんだけど、 “セックスしないと出られない部屋ってありましたよね?” という話題から本作が始まるのが良い。ヤリ部屋とセックスしないと出られない部屋を重ね合わせるアイディアが見事だし、その件がラスト、まさかそのまんまの形で実現してしまう、という恐ろしさ。メインとなるエロパートが激しく、暴力的な雰囲気もあるのでダークな印象も受けてたんだけど、「本当の地獄はこれから」となる終盤の展開が恐ろしすぎてビビりました。たしかに、童貞がヤリ部屋と出会ってセックスに没頭してしまう、それ故にプレイが雑で暴力的みたいな話だったんだけど、そんなヤリ部屋には当然もっと闇の深い人がいてもおかしくないですよね。考えてみれば当たり前のことなんだけど、「マジかよ」と飛躍のように感じてしまうオチが最高。
 暴走する元童貞による攻めも味わい深いし、ヒロインの方は彼よりもヤリ部屋歴が長そうなので彼の扱いに少し慣れてる節があって、そんなパワーバランスも魅力的でした。暴走してるようだけどゴムを着けろと言ったらちゃんと聞いてくれる。その点で彼は全然良い人の部類、となるのが面白い。暴走してる元童貞をうまくコントロールしてる感。単に男の一方的なプレイなのではなく、ヒロイン側も十分おかしな世界の住人というか、むしろヤリ部屋の常識に染まってるのは彼女の方、みたいなねじれが良いですよね。

『アネとオトウトあるばいと』蛹虎次郎

 その3。完結編。姉弟のエロまであるのか? と思ったら夢オチ。セックスの当事者は自分ではなかった、と痛感させられる夢オチで見事だったと思います。てか、シリーズ的に弟くんがここまで物語的なメインになるの珍しいですよね。ほとんど初めてと言っていいと思います。姉の快楽堕ちに主眼が置かれたシリーズだと思ってたんですが、最終話になって一気に寝取られの要素が打ち出されたので、また別の絶望感が強い。まぁたしかに、前話まででヒロインは堕ち切っちゃってるので、これ以上彼女の堕ちっぷりを描くのは上策ではない、ということなのでしょう。これまでは快楽堕ちの触媒としての役割だった弟くんが視点となることで見てることしかできない、という絶望感がプラスされる。弟くんがコンビニ店員としての業務を行いながら、店内を移動しながらセックスすることで物語の舞台である「コンビニ」を最大限堪能するような内容だったのも面白いですね。そこに姉の快楽堕ち、弟の寝取られが合わさって……という盛り上がりが見事な最終話だったと思います。

『お持ち帰りしてあげるから』ぼるしち

 飲み会で酔い潰れたところを美人の先輩に介抱される……と思ったら食われる。優しい先輩だと思ったらめちゃくちゃエロい、ほとんどハンターみたいな人だった、という意外性。最初は男友人が世話してくれそうになるところを、ヒロインの女友人が阻止して、という女性同士の連携も良かったですね。男側がどちらもまともで、女性側がとにかくエロい。
 そんな男2人の話とも通じるんだけど、本作の主人公、最初から最後までめちゃくちゃまとも。この手の女先輩ものって、ヒロインにリードされる形になるからそれを主人公は受け入れるのみ、みたいなイメージが強かったんですが、最後まで頭では拒否感が強いw 陰キャなんで陽キャのノリ勘弁してくれ、と一貫してるので笑う。いや、冷静に考えると一方的に襲われてるので怖さもある話なんだけど、エロ漫画だとそんなこと考えないじゃないですか。妙なところでマジレスを続ける主人公の姿がとにかく面白かったです。めちゃくちゃ意外なんだけど、「言ってることは正しい」と納得してしまうw
 ヒロインに関してはこの手のジャンルにおける定番のキャラクター造形というか、理想型みたいなキャラクターで、すべてが夢のような存在なんだけど、だからこそ主人公とのギャップが面白い。一方的に攻めながらも主人公に対する好意を伝えてくるような甘さもあって、本来なら、普通のエロ漫画だったら何の疑問も抱かずに彼女の魅力に没頭するはずなんだけどなぁ……。
 そんな男側の頭では嫌がってる、というキャラクターがあるからこそのクライマックスでのナマでの本番の迫力がすごい。エロ漫画だとどうしてもナマに対する感覚が麻痺しがちだと思うんですが、本作の「ナマはまずいだろ」という説得力は素晴らしかった。男側が本気で嫌がってる……んだけど気持ちよくて抗えない、というのが最高。レイプとか快楽堕ちとはまた一味違う雰囲気でしたよね。面白かったなぁ。

飛び級恋愛☆生徒会長さん!!』ナスムスビム

 生徒会長のことが好きな副会長の話。告白は成功するも彼女が教科書として参考にしたのが没収したエロ本。風紀に厳しいんだけど、真面目でこうと思ったら暴走してしまうようなキャラクターがとても可愛い。てか、非エロパートから表情が豊かで魅力的なんですよね。冒頭の、主人公のことを心配して顔を覗いてくるコマとかたまらんものがありました。いろんな方向に対して感情が豊かで、それが100%顔に出ちゃうようなキャラクターだったと思います。彼女が暴走気味に取るアクションも可愛いし、無知故の驚きに満ちたリアクションもいちいち可愛い。
 エロパート。本来は取り締まる側なので、堅物だし、知識も経験もないヒロインなんだけど、歪んだ知識を短期間に吸収してしまったので暴走。キャラクターと、彼女のやってることがまったく合致してないから楽しい。こんな子がこんなことを……的な良さもあるし、彼女は彼女で全力なので、自分の行動に間違いがあるとは1ミリも考えてなさそうな自信に満ちた感じなのも良い。暴走気味で何考えてるか分からないんだけど、主人公に対する好意はハッキリと伝わってくる感じとかも絶妙でした。主人公のケツを両手で抱きしめながらのフェラとか象徴的でめちゃくちゃ良かったと思います。だいしゅきホールドのフェラ版って感じでしょうか。懐かしいなこの言葉。

『小さくて大きな胸の内』たまび

 同棲を準備をするカップル。彼女の方は小さい胸がコンプレックスで……とこのコンプレックス設定だけ見ると割とよくある奴だと思うんですが、冒頭のデートシーンを筆頭に、非エロパートの非エロっぷりが徹底しててそこがめちゃくちゃ魅力的でした。イチャイチャなのは激しく感じるんだけど、エロの予感は全然しない。そんなエロ感がゼロの場面から徐々に、本当に徐々にエロへと繋がっていくので、エロに至ったときの感動がデカいというか、「本当にエロ漫画だった」みたいな感覚になるw 常にヒロインが胸のことを考えてるんだけど、その悩み方が微笑ましく、ラブコメ感がすごいので、エロ関係なく魅力的なんですよね。格ゲーや漫画雑誌の表紙など世界には巨乳が溢れている、と号泣する場面とかマジ可愛かったです。よく考えたら何でもかんでも巨乳が幅を利かせすぎ、というのはたしかにあるかもしれないw
 んで、彼女の悩みが解消し、ハッピーな状態でのエロ開始。しっかり仲良しな雰囲気に戻ってからエロに至るのも重要ですよね。そして、初読時マジで感心してしまったんですが、冒頭から続く非エロパート、単にエロの予感がしない健全カップル感の表現だけではなく、ちゃんと物語的な布石にもなっていた、という展開に至る。それが小さな胸に悩む彼女とは対照的に大きくなってきたお腹に悩む彼氏の話。冒頭からやたらと食事の話で、悩むヒロインも “目の前に大盛りラーメンと小炒飯出されたらどっち食べる?” とか全然うまくない例えを出してくるんですが、ここで彼氏の方が “いや…普通に両方食べるけど…?” と答えたのがダブルミーニングみたいな感じになってるんですよね。胸は大きくても小さくてもいいという話と同時に、ラーメンも炒飯も両方食べるほど食欲旺盛という彼の好みが「食べ過ぎだぞ」的な着地に至る。もちろん、肉体的なコンプレックスを互いに抱えることで2人の関係性が完全にフラットになる、みたいな理想のカップル感あるんですが、それだけじゃない非エロパートからの話の組み立ても素晴らしかったです。
 細かいんだけど、キスシーンが丁寧でめちゃくちゃエロかったじゃないですか。そこでメガネが邪魔になった彼氏の方がキスしたままメガネを外す、という動作が妙にリアルで個人的にとても良かった。日常からエロへとゆっくり変化するのが本作の魅力だと思うんですが、そのスイッチの場面として象徴的だったと思います。あとはやり慣れてる感でもありましたね。

『奇跡の巫女』金時

 ぽっちゃり腹の男がまた出てきたw 極端にキモい存在とかではなく、ただ腹が出てるだけという男キャラって、エロ漫画としてかなり珍しい属性だと思うんですが、まさか2作連続するとは。本作に関しては「昔は良かったのに」とヒロインが嫌味を言うことで2人の関係の長さが感じられる効果もありましたね。
 処女の間だけ特殊な能力が目覚める巫女の話。姉には予知能力があり日頃活躍しているが、実は我慢できずにとうの昔に処女を捨てていて、今は秘密を共有する幼なじみとセフレの関係になっている。これだけで充分面白いというか、設定として濃いと思うんですが、妹に入れ替わりの能力が発言し、姉妹が入れ替わってしまってからが本題。姉妹が入れ替わってしまうが、セフレの欲望が収まらんので妹(体は姉)が寝てる間にやってしまおう、というめちゃくちゃ特殊な3Pに至る。姉(体は妹)への挿入は厳禁。ただ、姉の方も我慢できなくなってきてしまい……という盛り上がりがとても良かったです。本来ならストッパーとなるはずの姉が徐々に流されていく良さ。
 3Pの段階で相当インモラルな雰囲気あるし、ラストには妹が目覚めてしまってバレる。めちゃくちゃバッドエンド、というか妹ちゃんがすげぇ可哀想なんですが、最後の最後は姉ののんきな寝顔で締め、というエンディングが急に微笑ましいので笑いました。妹ちゃんのパニックから泣きに至る演技がめちゃくちゃリアルで「終わった……」みたいな気持ちにもなるんですが、肝心の姉の方が何も知らずに幸せそう、というギャップw

『生意気チアちゃんと』絵空るご

 先輩のことをからかってくるチアコスの後輩。前半の悪戯っぽい笑みがめちゃくちゃ可愛いし、結構辛辣な言葉で先輩のことを攻める割にどんどんエロいことしてくれるので「これは意外と甘い感じなのか?」と思ってたら先輩の大逆転に至るのでビビったw ブチギレぶりがすごい。序盤はそれこそ陰キャ的な弱々しさ(と素直さ)が感じられたんだけど、豹変するのですごい。いや、ブッツンいってしまう感じも陰キャらしさなのかもしれない。
 攻めが完全に交代して、それぞれのパートが対比されるような内容になってるんですが、そういう意味で秀逸だったのがアンスコを脱がしてパンツが露出する場面。どうせやるなら2枚一気に脱がせりゃよさそうなもんなんですが、アンスコだけ丁寧に脱がすことで、下からパンツが出てくる。復讐としてもそうだし、フェチ的な描写としてもポイント高かったと思います。さらに、実はそのパンツが濡れていることでヒロインの心の内が覗かれてしまう。体だけでなく心も彼に掌握されてしまった、という象徴的な場面だったと思います。演出としてめちゃくちゃ良かったなぁ。フェチくてエロいというのももちろんですし。
 フェチという意味では、乳首が最後まで出てこなかったのもすごい。ニップレス的にバッテンが貼られてるんですが、それが最後まで維持。あそこまで激しい攻めをするのに乳首は求めないまま終わるのが意外。いや、一度胸を攻めたが、そのときにヒロインに “おっぱいだいちゅき赤ちゃんですか~?” と返されたので、それを気にしておっぱいを攻められなかったのかもしれないw だとすると、やっぱ彼は結構な陰キャなのかもしれない。素直になればいいのに、その自意識は強め。

『ばすとしょっと!』まんす

 ブラビアアイドルの撮影の後で……。社長ぐるみで、会社のシステムの一環として行われてるので、男性支配的なシチュエーションではあるんだけど、ヒロインはエロ大好きなので、むしろそれを目当てに業界に入ったらしく、ヒロインはヒロインで好きに楽しくやってる感があって良い。基本的には「ご奉仕」なので男に尽くすプレイになるんだけど、男性が支配的であると同時にヒロインが主体的でもある。このバランスが絶妙で素晴らしかったです。アイドルが撮影のついでにスタッフたちと乱交するってのはホットミルク今号のノベルコーナーとシチュエーション自体は似てるんですが、読者の視点役となる新人スタッフやヒロインのキャラクターに違いがあって「それぞれどっちも良い」と味わい深いというか、細部の味わいについても意識が向くようになる。本作の方がより享楽的で、みんな楽しそう、幸せそうという部分が魅力だと思います。もちろん行われてることはかなりヤバいし、何ならインモラルな雰囲気になってもおかしくないんだけど。そこを底なしの明るさで整えたのが本作の良さ。この連中で旅館の露天風呂撮影をしたらどうなってしまうのか……とか妄想が膨らむラストも素敵でしたね。温泉だとさすがにもう少し狭いし、幻惑的な雰囲気になるので海でのこの明るさとはまた別のエロさになるのではないか、とか。

『妹討伐♡』西川康

 公園で男友達とモンハンばっかやってる妹に、兄がちょっかいを出す。男友達との関係性からガラッと変わるギャップがエロいんですが、本作冒頭のモンハン描写の細かさが異常で、個人的にそこがすげぇ気になってしまうw 「何となくそれっぽいゲーム」みたいなぼんやりした扱いではないんですよね。会話の内容が完全にモンハン。あまりに精度が高いので「公園でモンハンやってみたい人生じゃった……」と寂しい気持ちにもなりました。しかも、そんな冒頭の場面でのモンハン会話のネタが終盤、エロパートのクライマックスでも出てくるんですよね。ヒロインのモノローグとして。絶頂するヒロインをリオレイアに重ね合わせるエロ漫画が存在するとは……。ギャグ的でもあるんだけど、モンハンしか知らなかった子供のヒロインがセックスを覚えて急激に大人になるので、セックスの感想としてモンハンネタが出てきてしまう、という捻れになってると思うと、彼女のセックスの歪さみたいなものがより感じられる。
 そんな子供だったヒロインがセックスを経験し、徐々に大人になっていく、みたいな機微が描かれていて、そこは本作の武器だと思います。冒頭からちゃんと可愛いんだけど、徐々に変化を重ねていく様子が味わえるからすごい。髪を下ろしたことで雰囲気がガラッと変わるのもそうだし、エピローグの場面では服装もすっかり変わってしまって……という男友達とのすれ違いも切ない。彼女ほどではないけど、あの男友達の中にも思春期の到来の予感みたいなものがあるのが良いですよね。ヒロインが女の子であることを意識するようになってしまい……と少しずつエロの影響が伝播していってるというか。ああやって公園でモンハンやってる時期は意外と短く、だからこそ尊いのでしょうね……(そんな話じゃねぇよ)。

『保体の修学を自習する旅行』薙派

 修学旅行で先生から隠れるために布団に隠れる。冒頭からおっぱいポロンしてるんですが、タイトルの出る場面などでの着衣状態もめちゃくちゃ可愛い。半纏、良いよね……好き……。エロ混じりではあるものの健全ラブコメのような爽やかさも感じる可愛さというか、表情がコロコロ変わる感じとかも本当に最高。
 からの布団の中で2人。最初はからかいつつヒロインが誘惑する感じになるんだけど、主人公が我慢できなくなって軽い逆転。ただ、逆転は言い過ぎというか2人のやりとりがとにかく可愛いんだよなぁ。からのヒロインがスイッチ入っちゃってからの表情とかもエロい。ちょっと余裕があるというか、からかいとか誘惑のテンションが最後まで継続なんですよね。彼女が慣れてるってことなのか、主人公の方が極端に童貞ムーブ繰り返してるのかw とにかくヒロインの方は楽しそうで、セックスを満喫してる風なのがとても良い。修学旅行だから当然同い年なんだけど、先輩ヒロインの誘惑してくる感じとは違った良さがあったと思います。
 エピローグ。あんだけ盛り上がったらそりゃバレるでしょ! という感じなんだけど、鈍感なのか無知なのか何も分かってない子と、お察し状態のの子でコントラストがあるのも笑えました。助けてくれたようにも見えるし、軽くキレが入ってるようにも見えるw

サキュバスナイト』あび

 就活で逆ギレ状態の主人公の元にサキュバス。それも2人。あび先生、たまに明るい作品が出てくるから油断できないです。ポップ路線の作品もめちゃくちゃ良いんだよなぁ。
 ただサキュバスに一方的に攻められるのではなく、サキュバスが2人いるのが本作の白眉。3Pでエロいってのはもちろんなんですが、内気な後輩サキュバスに教授するという形で3Pになるので、よりヒロイン2人側が主体的になるというか、主人公はチンコを貸すだけ、みたいな扱いになるの。ヒロイン2人のコントラストが魅力的。かと思ってたら後輩サキュバスが覚醒。ここで一気にギアが上がるんですが、3人の関係性、パワーバランスがガラッと変わるんですよね。1対2の人物配置に変化が生じる。最も余裕があった先輩サキュバスも後輩の覚醒に当てられちゃってペースを乱され、今度は彼女が2人から同時に攻められることになる。サキュバスサキュバスを攻める理由は本来ならないんだけど、後輩が “見てるだけじゃだめなんですよね?” とグイッと迫ってるくる場面が最高。ヒロイン2人がそれぞれ真逆の表情を見せるので盛り沢山な作品だったと思います。3Pってだけでも充分なのに、そっからさらに倍。

『本懐のあざ』梅久

 前編。そして、『追想のあざ』の続編!! それに分からずに読んでると中盤の展開(男が急に攻めてくる)が理解できなくて混乱しそうなんですが、「実は続編」というのが本作の味噌だとも思うので、分かりやすい説明が入ってたらその良さは消えてしまう気もする。ここらへんのバランスは難しいですね。
 『追想のあざ』は要するにおねショタな話で、最後にお姉さんと別れるほろ苦いラスト(背景に暗い事件)。その続編なので、お姉さんとの再会とか考えるじゃないですか。全然違う角度からの物語なので面白い。かつてのショタが成長してしまった、というのを別のヒロインを主人公にして描く。あのショタがなかなかのイケメンに成長してて感慨深いものもあるんですが、当然のことながら彼は彼でかなりこじれてしまっているようで……というのがまた切ない。彼の中には傷が残っているのを感じる。そして、エロによってそれが本作のヒロインにも広がっていく、というドラマが良い。もちろん、本作のヒロイン的には何も事情を知らないので理不尽なレイプみたいな話なんですが、事情を知った読者からは男側に感情移入……は言い過ぎだけど、肩入れのような気持ちになってしまうので、という構成がめちゃくちゃ面白い。エロ漫画の続編でこんなこともできたのか、という感動すら覚えました。
 本作で最もショッキングなのは首締めだと思うんですが、それも前作からの続きなんですよね。突然男からレイプされて首締めまでされるとか理不尽の極みなんだけど、前作だとヒロインからショタに向けた首締めになってて、その首締めに至るまでのドラマもあってまた印象が大きく違う。しかも、そのお姉さんはおそらく主人公と別れたあと、諸悪の根元である父親を殺してるっぽいので首締めの意味合いがまた変わってくるというか、重みを増す。そんな闇にショタ時代に触れてしまい、それが続編である今になって赤の他人へと向けられる……というつらさしかない話なんだけど、めちゃくちゃ味わい深くて面白い。後編どうなってしまうんや。次号予告に梅久先生の名前がないのが悔やまれる。楽しみ。

『隠蘭島』松田ヴァル

 海の向こうに見える小さな島に民家があり、そこにやらせてくれる女性がいるらしい。都市伝説的な趣かつホラーの雰囲気があってとても夏らしい。もちろん海ってもあるし。売春島のもっと怪しい版、という感じでしょうか。正直この設定の時点で充分面白いんですが、本作にはそこにオンラインゲームで仲良くなった「ゆんころ」という女性が絡んでくる。田舎の少年特有の「ここではないどこか」に向けた渇望感がエロのスパイスとしてめちゃくちゃハマってたと思います。やっと会えた的な感動もあるんだけど、「そんなうまい話ないだろ」みたいな怪しさ、疑わしさ、いかがわしさが常に漂ってるのが良い。慎重になった方がいいと思うんだけど、目の前で繰り広げられる都合の良いエロに対して抗えるはずもなく……という流される感覚が絶品。
 少年の一夏の思い出というか、夢だったのか? みたいな余韻を残しつつ、かと言ってホラー調とは言えないレベルに明るいエンディングだったのとかすごい面白いバランスだったと思います。エピローグでのヒロインのバカ笑いが良いですよね。恥ずかしいと同時に、いつものノリを垣間見て安心するみたいな心理もあったと思います。

『先輩の選択』ぽりうれたん

 美術部のやたらマッチョ(草食系)の後輩と。徹底してヒロインの視点で物語が進行するんですが、このヒロインのもうほとんど独り相撲みたいな思考の暴走ぶりが楽しい。タイトルにもなってる「選択」を彼女が考える場面の漫画的技巧、絵柄の遊びとかが凝りに凝ってて楽しい。ここでヒロインのいろんな表情を見せることで彼女の魅力が存分に示し、そっから満を持してのエロパート、という盛り上がりが熱い。
 とにかくヒロインに寄り添った作品なのであくまでも竿という扱いの後輩くんなんだけど、やたらマッチョなので童貞(たぶん)なのに筋肉的な意味でヒロインを圧倒する展開になったりしてエロのバリエーションがある。先輩ヒロインがリードする良さもあるし、そっから逆転というほどではないが後輩くんが攻めまくる展開もある。独りで舞い上がったヒロインがあれやこれやと、とにかく感情の起伏がでかいw そして、やはりメガネですよね。本作のメガネ、そしてメガネを使ったアクションがマジ最高に可愛い。メガネを使ってポーズを取るコマもあるし、顔射からのメガネを拭くリアリティもめちゃくちゃ良い。メガネものだとぶっかける展開多いですけど、拭く場面があるのはかなり珍しいのではないでしょうか。その直後から始まる本番パートで再びメガネをかけてるのもありがたい限りですね。てか、しっかりものを見るためにメガネを拭いてたわけですので、彼女の積極性を示す行為とも言えるのかもしれない。

『あねぬき!』似せ

 安心安全の姉弟おねショタ。komifloコメ欄で言及してる人いましたけど、おねとショタの扱いがかなりイーブンというか、ヒロインと同じくらいショタの描写があるのが良いですよね。むしろショタ方がメインになるようなページも少なくなく、コスプレ的な良さに関してはショタ側の方が充実していたように思います。そして、クライマックスでは2人の描写がかなり対等に近づくので、どっちもうまい。オープニングではショタ側の語りで始まるので彼に寄り添った話なのかと思いきや、それはオープニングだけなんですよね。エロに関してはヒロインが主導で、描写の割合も2人がかなり対等に近いのでどっち視点とかほとんど関係がなかったように思います。どっちを見てもうまい。当然2人セットの良さも爆発的に出てて「やはりおねショタは良い……」としみじみを感じ入る結論。

『ゲノム』古賀亮一

 番外編RPGシリーズ。序盤の「知らないおっさんの使い古されたパンツ」がビニール袋に入れて渡されるのが生々しくて笑ったんですが、次ページでそのおっさんが出てくるのでさらに笑った。知ってるおっさんだからダメージ減、とか分かるようで「それでいいのか」感あるロジックも好き。 “お前がそれでいいのなら仕方ない!!” というツッコミも秀逸だと思う。理解を示しつつ、もう手に負えない感。

コアマガあほすたさんあほすたさん

 自分を好きな人が好き。好意の返報性。ちょっと分かるかもしれない……。自信のなさや精神が不安定なときに働きやすいという説明に納得というか、身も蓋もなさすぎる事実を突きつけられた感。私ごときが人様を選ぶだなんて……みたいな心理がどこかある気がする。恋愛に限らず友人関係、人付き合い全般に当てはまりそうで怖いw

『母性天使マザカルカノン』1億年惑星

 第46話。漫画家とバズ。今日日めちゃくちゃリアルな悩みというか、いち読者視点でも「今の漫画家は大変だよな……」ってなってしまう。SNSでの強さというか、適切な立ち振る舞いが求められるというか、漫画とは別のスキルが必要になってくるというか。ただ、本作はそこに全力で「バズりたい」と下心丸出しにしてくるので笑う。そりゃそうだよねw 「有名人と繋がりたい」はみっともないの極みだけど、リアリティがめちゃくちゃある欲望。SNSの闇というか、魔力、魔性性を煮詰めると「有名人と繋がりたい」になるんだと思う。恐ろしい話を描いてる……と思いきや、バズりたい気持ちと好きなものを描きたい気持ちの葛藤というちゃんとしたテーマに着地する。何気にめちゃくちゃ良い話だった気もする……んですが、絵面としてはひたすらガラス突き破ってるので笑う。そして突然出てくるヒソカがやばいw

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 終わり。またもや更新が大変遅くなったのですが、次号の発売がもうすぐそこ、と考えれば案外悪くない!(それは私だけだろう)
 上のアンケートへのリンクはもうすぐ期限なのでお気をつけください。
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