- 「KAIRAKUTEN HEEROINES 30th Anniversary」
- 『穴埋めピンチヒッター』さんじゅうろう
- 『ふたりは恋人』えーすけ
- 『S♡EXpチャンス!EX』Croriin
- 『がまんできない』肉棒魔羅ノ進
- 『ザコメス♡吸性ちょー』いつつせ
- 『ヒビキ・コミュニケーション』スミヤ
- 『出る。』MURO
- 『このアプリ見て!見隈さん』角煮煮
- 『ギャルと鏡は使いよう』雛原えみ
- 『ゆるふわわ。』橙織ゆぶね
- 『都合のいい話』多紋サカキ
- 『Second(が)Best!!』さわたしゆん
- 『三叉路から向こう側』百済児廿日
- 『劣情OVERFLOWED』よちリョウタ
- 『せんせのえな』昼寝
- 『地蔵にお願い』かるま龍狼
weekly記事でもやったのでやるんですが、2024年の個人的な好みで十選を決めるならば、『シークレットテリトリー』『大泥棒アンリエット』『指先から好色』『手紙』『沼る女』『夏草のむこうがわ』『うさちゃん先輩はおちんちんに弱い』『玻璃の欠落』『紫煙のオアシス』『オナホを買っただけなのに』です。範囲は2月号から1月号。性癖を提示してるみたいで恥ずかしいですね……と思ったけどおねショタが全然入ってないのでセーフ。ことよろ。
kitaku2kitaku.hatenablog.com
「KAIRAKUTEN HEEROINES 30th Anniversary」
カラーイラストで、それぞれ「30」をどのように盛り込むかのアイディアが面白いんですが(表紙のギャルピースっぽい「30」もすごい)、翁賀先生がまさかの30人大集合イラストになってるのでぶったまげました。1人だけ画業30周年の個展用のメインビジュアルとかそういう勢い。それぞれキャラが立ってて一目で分かるし、下着や水着がキャラ用に選ばれてて圧巻でした。私の記憶だと翁賀作品にメガネは1人だけなんですが、イラストには2人。見逃した作品があるのか!? と焦りましたが、どうやら次作らしいのでガッツポーズ。
『穴埋めピンチヒッター』さんじゅうろう
遠距離恋愛中のバイトの同僚、久々のデート当日にフラれる。冒頭のデートを楽しみにしてる描写が動物的でめちゃくちゃ可愛いんですが、それと同じ勢いで落ち込むので放っておけず、気分転換に遊びに行く。気持ちや気分は回復したものの、楽しみにしてたものが放置されてることを思い出して……。とこの女性の欲求不満描写がマジで絶品。さんじゅうろう作品はこういうのめちゃくちゃ得意なイメージありますけど、本作は設定が見事で、スケベ心とかは全然ないキャラクターなのに事故的に、瞬発的に欲求不満が爆発してしまう。それを思い出すかのような場面が最高なんですよね。2人の間はかなり健全な雰囲気だったんですが、一瞬でエロい空気が漂い始める。この突如として浮かび上がる2人の間の一線。ヒロインが元々性欲に素直なキャラクターとかではなく、むしろイノセントな印象すら感じさせる可愛らしいキャラクターだったのもギャップとして強い。また主人公も「前から狙ってたんです」的なキャラではない。もちろん以前からヒロインに好印象は抱いていたが、とにかく「可愛い」人なので下心とかそういうニュアンスはほとんど感じさせない。このバランスが本当に素晴らしかったと思います。
そんな健全さすら感じさせる2人なのに、性欲解消のために、恋人でもないのにセックスに至るというインモラル的なニュアンスも醸してるのが最高。もちろんそんな薄暗い話ではないんですが、健全カップルが順調にセックスに至ったような関係でも全然ない。ある種の歪さも抱えた一夜になるので、あくまでもヒロインのために主人公が尽くすという不均衡な関係のエロになるんですが、 “めっちゃ恋人みたいにエッッチしてくれんね…♡” というセリフで2人の行為が恋人プレイのようでもあって、同時に「恋人ではないのに」という事実を改めて意識させる。距離置かれるわけではないんですが、現状の特殊さを象徴するようで素晴らしい場面でした。これを境にイチャイチャ感というよりは彼女の性欲解消に重心を置くようなプレイに移行していくのも良かったですね。ドラマを感じさせる変遷なんだけど、仲良くなった果てにイチャイチャになるのではなく、逆の流れ。
『ふたりは恋人』えーすけ
公園でキッズと本気で遊ぶような天真爛漫JKと付き合ってる(おそらく)成人男性。直前の『穴埋めピンチヒッター』と同じく天真爛漫さが魅力となるヒロインなんですが、本作は明確に? 暗に? 2人の間に不穏さを感じさせながら「まぁ別に普通に付き合ってるだけなら健全だよな」となるバランス。えーすけ先生の作風的にクズ主人公も連想してしまうんですが、具体的にクズな描写は一切ない。ここすごい面白いバランスですね。イノセントな印象の強かったヒロインがどんどんと快楽に突き落とされていくので見てて「大丈夫なのか……?」と勝手にハラハラしてしまうw そういう描写がえーすけ先生はうますぎるので、話としてはめちゃくちゃシンプルなのに、何か勝手に読み取ってしまうw ストーリー的な背景はほとんどない作品で、えーすけ先生のスキル見本市みたいな内容なんですが、それとヒロインのキャラクターとのギャップによって特別な味わいが勝手に生まれてしまう。めちゃくちゃ面白い。恋人同士のイチャイチャなはずなんですが、主人公の内面描写が性感の追求のみなので、2人の対話感、すなわちイチャイチャ感があまりないんですよね。故に「大丈夫なのか?」と勝手になってしまうんですが、最後にあまりに脳天気で大丈夫なエンディングを迎えるので最高。
『S♡EXpチャンス!EX』Croriin
異世快楽天のエースが本誌30周年のために登場。熱い。ちょい短めの作品ですが、過去にあったオモシロ設定を使った続編なのでエロ一直線になってて気にならないくらいの充実ぶり。本格感もあるファンタジー的ルックからアホ丸出しのエロ設定で話が進むのが良いですよね。ふざけてるのは設定だけで、作品として、話やキャラクターとしてギャグに振れる感じでもないのがまた独特で面白いところ(最後だけ分かりやすくギャグっぽくなる)。この狂ったシステムの世界で住人たちは何も疑問を抱かずに懸命に生きている、みたいな。
最初は教員が効率的に精子をそそぎ込むようなプレイ内容なんですが、一段落してからヒロインがやる気を出し、彼女が覚えたばかりのスキルを使い始めることで主従が逆転。竿役は結局のところ経験値のために精子を搾り取られるための存在であったと感じさせられる。竿役(転移者)には特にスキルがないので、セックスすればするほど相手が超人になるので相手にならなくなるんですよね。なので、女性側にやる気があればあるほど(スケベであればあるほど)、教員は最終的にぼろ雑巾のようになってしまう。最初はアホアホな設定故に何も考えてなかったけど、よく考えたらこの転移者、めちゃくちゃ可哀想なのかもしれないw
『がまんできない』肉棒魔羅ノ進
映画同好会の新入部員と順調に付き合うことになったが、彼女を前にすると性欲を我慢できない。自己嫌悪に陥りつつも性欲にあらがえない主人公と、すべて受け止めてくれるがダウナーで何考えてるか分からないヒロイン。主人公がウジウジと悩みを抱えながら問題のある行動を続け、ヒロインは逆に内面が分からない。ある意味都合が良すぎる状況に不気味さも少し感じるんですが、主人公が決心して我慢する(避ける)ことによって話が大きく動き出し、ヒロインの真意が明らかになる。ここからの攻守逆転、さらにエロが急加速していく盛り上がりが素晴らしかったです。
要するに、「がまんできない」のはヒロインも同じで、主人公と同様の、それ以上の性欲を抱えていた。ただし彼女の場合は、彼女がカムアウトするより先に彼氏の方から「がまんんできない」と告白してきたので体を勝手に使わせる形で自身が満足していた。つまり、本当に都合が良いのはむしろ彼女側だったわけですね。まぁもちろんそれがエロ漫画的に都合の良い話ではあるんですが、恋人同士が互いに求め合う超イチャイチャな話のはずなのに、なぜか攻守逆転によってヒロインに犯されるみたいなニュアンスが感じられてめちゃくちゃ面白い。校内でセックスしまくる点は一旦スルーするとして、恋人として何の問題もない互いに気持ちのでかい理想的なカップルのはずなのにどこかインモラルな空気が漂い、イチャイチャとは思えないほどハードなプレイになるギャップが最高。まぁよく考えたら、精子かかったポップコーンを黙って食べてくれる(頼んではいない)のでそもそもおかしかったやないか、という話ではありますね。前半と後半で作品のエロシーンの印象がガラッと反転するのが素晴らしかったです。ある意味、2つの楽しさが詰まってるというか。
『ザコメス♡吸性ちょー』いつつせ
最強勇者を何とかするためにザコサキュバスがあてがわれる。この手の勇者とサキュバスの設定って割と定番だと思ったんですが、サキュバスの自己肯定感低いキャラクターがめちゃくちゃいつつせ作品っぽくて最高。そこに、勇者が復讐の度に出たきっかけである幼馴染とそっくりという設定が加わってどんどん面白くなっていく。勇者が誘いを断れなかった理由としてある意味便利な設定ではあるんですが、(冒頭の)ヒロインはかなりロリっぽい体型なので幼馴染はまだ子供の頃に殺されたと暗に伝わってくるのが良いですよね。復讐のために始めた修行が10年なので彼女が亡くなったのも10年前なのでしょう。いつつせ作品らしくパワータイプな話運びではあるんですが、背景的な物語要素の組み込み方が非常にスマート。そして、勇者の精子を吸ってサキュバスが成長。逆転展開として激アツなんですが、同時に「幼馴染が生きていたら今頃こんな姿だったかもしれない」的な味わいも出てくる。
そして、個人的に超意外で超面白くてブッ刺さったのが成長するサキュバスとは対照的に幼くなる勇者。まさかのショタ化。逆転展開自体はある程度想定内でしたが、突如として現れるおねショタに思わずガッツポーズ。無力になって屈服させられるのも最高ですし、自己肯定感最低から最高へと極端すぎる振れ幅を見せるヒロインの言動もいつつせ作品の魅力全開という感じ。さらに意外だったのは単なる逆転で終わるのではなく、そこからさらに踏み込んで、今度はヒロインに母性が芽生え始める。勇者の無力化が精神にも及ぶ描写が快楽堕ちだけではない味わいで面白かったんですが、それと同時にヒロインが優しくなる。もちろん2人の関係は狂ってるし、勇者が復讐という動機を忘れるのは悲劇でもあるんですが、2人の間だけを見れば突然ものすごく平和なおねショタになるので本当に良い。最高。2人の最終的な関係が決定的になり、完全に堕ちきったことを示す射精の瞬間、ヒロインが快楽責めするのではなく “今まで頑張ったね♡” と頭なでなでするのとか素晴らしかったですね。おねの優しさに屈服してしまうという意味でもそうだし、勇者が勇者たる所以を失う最後の一線。真面目に考えるならば(そんな必要ないかもしれないが)、復讐に囚われた勇者が退行催眠によってトラウマを克服する話、と同じことを物理的に実現したと言えるのかもしれない。まぁ退行催眠と違って本作の退行は不可逆的なのでショタのまま終わるんですが、その不可逆的な変化の影響はヒロインにも生じ、「最強お姉ちゃん」として勇者の旅を代行することになる。こんな形のハッピーエンドが待っているとは……。すごすぎる。そして、急にマジで突拍子もなくラストにやってくるかっこよすぎる1コマで「何を読んでたんだっけ……?」と漫画の印象がグチャグチャになる。ふざけたノリではあるが、基本的に絵がうますぎるし、漫画の地力も強すぎるんですよね。ヒロインは単に強くなるのではなく右手が変容するんですが、これもラストショットの美しさに直結してて素晴らしかったです。最後に勇者の頭を撫でるのがその悪魔化した右手。タイトル詐欺とか表紙詐欺とはまた違った、ラストショット詐欺みたいな魅力を感じる。
『ヒビキ・コミュニケーション』スミヤ
ダンススクールの先生と生徒。が既に恋人で、それ以前は年の離れた幼馴染と2人の背景が後から補強されていく構成が面白い。冒頭に健全(パンツは見える)ダンスシーンを印象的に見せてから、徐々に2人の背景が明かされていくのが読切作品ならではの戦い方というか、スマートな語り口で引き込まれる。彼氏がダンスしか見てくれない、という前提からダンスを通じてエロへと発展していくのも見事ですし、そのエロニュアンスのこもったダンスが故に「彼氏として」ブチギレるラストになるのもキレイだったし、微笑ましい。年齢差の通り、基本的にエロの上では彼氏が優位なんですが、例のダンスによってヒロインが精神的な優位をゲットして終わる、というのが本当にキレイ。ギャルっぽい見た目に反して真面目というヒロインのキャラクターの本質を掃除という行為に象徴させて、その掃除をオチでも持ってくるのも最高でしたね。そしてダンスのときとは違って何を掃除することになったのか……というエロに直結するのも良い。イチャイチャ感ある話にしては攻めがハード……ではないかもしれないが、ヒロインのイキ狂いっぷりが壮絶なんですが、そこに微笑ましいオチがつく。エロ中に「見る」のテーマが継続してたのも良かったですね。基本的にヒロインは防戦一方だったわけですが、彼女のエロいところを見ることで彼氏は余裕をなくす(ある意味で負ける)。そしてダンス動画の反響についても負けるw
『出る。』MURO
インチキ霊媒師の元にお人形みたいな女の子が、出る。大前提として、可愛いんですよ。めちゃくちゃ可愛いんだけど、ヒロインの登場シーンである扉絵(劇中でも扉)がホラー的に迫力ありすぎる。よく見れば可愛い絵でしかないんですが、間違いなく怖いんですよね。アングルとかポーズの関係で手足が極端に短く見えるので、その不気味さであり、お人形感があって怖い。開けた扉(厳密には襖)から登場するんですが、その開けた襖の四角によって箱に入ったお人形が出てくるような印象にもなってたと思います。話の展開や真相、もちろんエロパートの描写も素晴らしかったんですが、とりあえず本作を傑作たらしめるのはこの扉の迫力にあったというか、もうこの時点で勝ち確みたいなところあったんじゃないでしょうか。
謎の少女がやたら好意を向けてきて、あまりに都合が良いんですが、その都合の良さが不気味さに直結し、それでもその誘いに乗ってしまう主人公のクズさに繋がる。それだけでなく、彼のクズの所業によって偶然彼女は救われ、囚われた家(まさにドールハウス)から「出る」ことになる。そんな彼女の誘いに乗り、まんまと手が「出る」。危機を感じたときには時既に遅しで、中で「出る」。例の扉を見た段階では当然「(お化けが)出る」だと思ったわけですが、実際のところはすべてが違っていて、多彩な「出る」で統一された作品であったと。見事ですね。見事すぎますね。
……と私はヒロインが生者だと思って読み終えたわけですが、komifloのコメント欄だと死者説と取ってる人もいてびっくり。そんなわけ……と思いましたが、彼女が家庭環境の劣悪さによって死亡してしまったと考えることも可能かもしれませんね。たしかに怖さとしてはそれも良い。人怖として生者も良いし、歪んだハッピーエンドという意味でも生者の方が良いというか、好みではあります。ラストの “待ってッ 怖いっ それ怖い” が切実すぎて笑ってしまったのもある。
手を出した果てに中に出してしまう話なんですが、主人公が果てしない後悔を抱えながら「負け」として出すことになるのが最高ですよね。またエロが盛り上がっていくと、ヒロインのスカート(圧巻のフリル描写)や主人公が自らの手で顔を隠す構図になってるのも良かったです。「竿役は主張すんな」的な効果や意図があったのかもしれませんが、尊厳や意志をバッキバキにへし折らせた主人公の心理の反映のようにも感じられる。なので最後にキスする場面では顔が映り、直後に再び怖がると顔を隠す。そしてすべての発端が明らかになるエピローグとしての回想では満面の笑み。もちろんテキトーに調子の良いことを言ってただけなんでしょうが、その言葉にヒロインが救われたのも事実だと思うのでヨシ、なのかな……。
『このアプリ見て!見隈さん』角煮煮
weeklyで大活躍の角煮煮先生がついに本誌デビュー。内容は当然常識改変なんですが、その内容、使い方がまたしてもめちゃくちゃ斬新なので最高。よくもまぁこんなにもバリエーションが生まれますね。設定というか、催眠のルール付けが独創的で、それに伴う物語の展開が本当に見事。マジで作品を追うごとにどんどん面白くなってる印象があります。まぁ、「まだそんな角度があったの!?」という驚きをまず食らうので後発の方が面白く感じがちという前提はあるかもしれません。
めちゃくちゃ仲が良くオタク話もできる奇跡のような女の子だが、エロ的な話題は断固としてガード。そんな彼女に常識改変を行ってしまうのですが、暗示も解除も一度しか使えない。この基本ルールの時点で面白いし、その後実際にかける内容も面白い。 “俺に対する許容量を超えたエロを 正常に認識できない…!!” 。完全に意志を奪うのではなく、いつもの彼女のキャラクターは保ったまま平然とエロを行う。この日常とインモラルなエロが入り交じった展開が角煮煮作品の真骨頂という感じで最高だったんですが、そこから「正常に認識できない」を使ったさらなる展開、それもドラマ的にエモい展開が待ってるのでぶったまげました。面白すぎる。マジでアプローチが多彩すぎる。
平然とセックスを始められるが、ルールの関係で彼女はセックスしてることを認識できない。日常感を保ったまま彼女を犯してるインモラルさが面白くもあるんですが、セックスという実感を共有できないところにドラマ的なエモさがあり、その先で主人公が出した結論が告白。セックスはエロなので認識できないが、告白はエロ未満なので認識できる。見事すぎる……。そして告白された動揺がセックスされてる動揺と重なって見えるのも見事ですし、その感情の高まりに伴って射精を迎えるのもドラマチック。
からのエピローグ(解除した後)でもう一捻りあるのも最高でした。「そういう終わり方もあるの!?」と驚いてしまったというか、良すぎる。
『ギャルと鏡は使いよう』雛原えみ
エロい合コンで出会ったギャルが家に居着いてる。物語の土台を「エロいギャル」と「エロい合コン」で済ませてるのが豪腕で最高なんですが、1コマだけ描かれるエロい合コンの描写が想像を絶する地獄なので爆笑してしまった。この時点で私の負けだが、あれに参加した主人公も大概だよねw(巻き込まれたなら同情します)
そんなエロいギャルとの、半強制的な同居。「浸食」を象徴するアイテムとしてタイトルにもある鏡(姿見)が出てくるのが良かった。こういう「腰を据える気じゃねぇか」という描写として出てくるアイテムって歯ブラシや寝間着など、風呂や睡眠に関わるものが多いイメージだったんですが、姿見も間違いないですね。そして、風呂や睡眠ではなくオシャレのためのアイテムというところがギャルっぽくて素敵。
そしてその鏡がエロに直結するので最高。自分の姿が見えることでヒロインが照れてちょっとした逆転展開になるのも良かったんですが、本作の白眉はやはりクライマックスに出てくる鏡の使い方ですよね。鏡を使ったセックスってバックで鏡にもたれ掛かるか、ちょっと距離を置いて自分たちを俯瞰視するくらいしか発想がなかったですが、本作はまさかの下に置く。マジで天才すぎる。まさに “エロの申し子かよ” 。ものすごく独創性があって、それによって発生するマジックもでかいんだけど、エロ漫画らしい突飛な飛躍ではなく、全然現実でも可能な内容になってるのがすごいですよね。マジで初めて見たので驚きや感心を通り越してなんかちょっと感動してしまった。
エピローグで再び鏡ネタになるのも面白かったんですが、使用初日から精液で汚れちゃうのは少し落ち込んじゃうな……(持ち主が喜んでるから別にいいんだけど)。
『ゆるふわわ。』橙織ゆぶね
龍二と映画の待ち合わせをしていたら龍二の姉が来た。たまに来るゆぶね先生の年上お姉さんモノはいつも破壊力がやばい。都合良く甘やかしくれる存在ではなく、精神的に対等ではないと常に感じさせてくれるキャラクター描写の緻密さが好きです。ずるい大人みたいなニュアンスがあるんですよね。したたか、の方が適切かもしれない。
龍二の代わりに現れた姉。主人公として事故的な出会いだけど、ヒロインからしたら明確に「代わりに行っちゃおう」という選択の末に得た出会いなのでそもそも2人の間には決定的な格差があるんですよね。主人公は事故的なデートにドキドキしっぱなしだけど、ヒロインはそのことに気づき、観察し、何なら意図的にドキドキを与えてる。強い、ずるい、良すぎる。エロ漫画特有の都合の良い展開というか、するすると流れるようにエロに発展していく展開も、本作の場合は「最初からこれを狙っていた……?」みたいな疑惑に繋がるので、結局ヒロインの魅力として回収されてしまう。すべて彼女の手の上だったのではないか……という快感。
エロパートで彼女からレクチャーを受けるかのような展開も魅力的。2回戦以降主人公が逆転するかのような形になるんですが、それも「彼女の理想のセックスへと導かれてるだけなのでは」みたいな良さ。一夜の逆光源氏計画……だったのかもしれない。
『都合のいい話』多紋サカキ
後輩に告白したら実はめっちゃビッチでホテルへ直行。エロ漫画では不可避とも言える「都合のいい」をそのままメインテーマにしたのが面白いですね。逆算的にキャラクターと物語が作られたのかも……と勝手な妄想。現実で、童貞くんがエロ漫画みたいなするするとセックスに発展するエピソードがあるとしたらこういう「実は相手がビッチだった」が最もリアルなのかもしれない。
ビッチはビッチでも今号の『ギャルと鏡は使いよう』みたいなエロいギャルとは真逆の方向性。ダウナーでどこか何考えてるか分からないキャラクター。逆に言うと主人公(と読者)が分からないだけで彼女には何か考えがある。このキャラクターで年下というのも良かったなぁ。さらには、気が利く後輩というのが良い。気が利くというのは単なるコミュニケーション強者というよりは、知性に裏打ちされたコミュニケーションみたいなニュアンスを感じますよね。そしてその気が利くの部分はビッチとは関係なく、1人の人間として普通に尊敬できる点であり、「好きになったのは間違ってないぞ」と勝手に主人公を応援したくなってしまう。
エロパート。何か考えがありそうで、地頭が良さそうなヒロインに知らない世界へと誘われるみたいな味わいで最高。恋人としての順序(ナンセンスな考えかもしれませんが)を無視していきなりセックスなので、完全に彼女にリードされる形で、パワーバランスも完全に彼女に傾いてる。最初はハードにならないだけで支配的な関係かと思ったんですが、彼女の語るセックス観がかなり興味深くて、支配ではなく常に相手がどのように感じてるか考えてるんですよね。それが冒頭の “気が利いて” であり、エロ中に出てきた “気を遣える” というセリフと完全に一致するキャラクター。彼女の中では、図書委員(たぶん)での差し入れと、童貞をリードするセックスが同じ。圧倒的に強いヒロインに童貞を食われる話としては直前の『ゆるふわわ。』と同じなんですが、ヒロインの考え、志向はまるで違う。あちらの作品は都合良く利用されるようなニュアンスがあったけど、本作では初めての快感をいちいち観察、確認、そして共有してくる。こういうタイプの心の中への浸食もあるのだなと膝を打ちました。セックスの内容自体は優しいという部類に入ると思うんだけど、優しいものの童貞の心の中にぐいぐい入り込んでくる強引さも感じられて最高。
そしてエピローグ。ここでの “むしろありがたいくらいっス” “先輩 一回抱いただけで分かったフリしないから” というセリフがが彼女のキャラクターを象徴してると同時に、圧倒的な弱者だった主人公が彼女にとって少し特別な存在になれたかもしれない、という希望が感じられて熱い。彼女は他人を「分かる」ことの解像度がめちゃくちゃ高いので、雑な理解で分かったフリをする男が嫌なんでしょうね。そういう意味では彼女の「気が利く」に惹かれた主人公はお目が高かったというか、だからこそ彼女に気に入られる資質がある。
『Second(が)Best!!』さわたしゆん
フられた者同士が仲良くなり、フった同士のカップルを尾行する。慰め合う関係としてはたしかに理想的、合理的と言えるのかもしれない。共通の敵であり、共通の好きを持ってるので仲良くなりやすいというか。
冒頭1ページ目、2人の背景を語るより先に尾行してる様子が描かれるんですが、陰から覗く2人の立ち姿が2人の性格が反映されてて素晴らしい。どんな話かさっぱり分からない段階ながら、2人のキャラクターが何となく分かってしまう良いオープニング。
そんな自己肯定感が高くてつよつよなヒロインと、気弱だが内に気持ちをぐつぐつと溜め込みクソデカくしがちな主人公。そんな対照的な2人、童貞と処女なのにパワーバランスが傾いてるのが魅力的ですよね。そして、初めての緊張感が伝わってくる空気の描写が絶品。勢いでキスして一気に盛り上がると思ったら静かに背中合わせになって服を脱いだり、ゴム装着の手際の悪さで童貞あるあるを見せつつ、その間ずっと勃起してパンツが我慢汁で濡れてしまう……のをヒロインがふと見てしまう。2人の元気いっぱいなやりとりが魅力だし、会話も多いんですが、その間に挟まれるセリフのない、言外の情報が絶品。初めて同士の緊張感描写として迫真だし、微笑ましくもあり、2人のキャラクターの可愛さに引き込まれる。ナイスカップルすぎて見ててニヤニヤしちゃうし、親心というか変に俯瞰した立場から見守るような気持ちになってしまう。
エピローグ。発端であるフった同士のカップルとエンカウントしてしまうという作品によってはギャグ的な「オチ」になりそうな場面なんですが、本作はそんなことはもはやどうでもよくなった先の2人(特にヒロイン)、という底抜けに明るいハッピーエンドに至るのが良い。お幸せに……。
『三叉路から向こう側』百済児廿日
兄に塾の送迎をしてもらう妹。昔はベタベタなほど仲良しだったが制服を着るようになって露骨に距離を取られるようになり……という妹の悩みが良い。個人的に百済児作品は服の描写が好きなので、それが作品のテーマになってて嬉しいってのもあるし、大人になる途中の制服に悩みを象徴させたのがめちゃくちゃ良い。妹視点の作品ですが、「兄貴は制服姿に女を意識するようになってしまったんだろうな」と即座に察せられるのも話のスタートとしてスムーズ。
妹視点の作品なので、彼女のキャラクターの可愛さが強調される感じはあるんですが、おそらくほとんどの読者にとって共感(肩入れとか)するのは兄側なのではないでしょうか。兄の心情が多く語られる作品ではないんだけど、「こんな妹を持った兄の葛藤」というのを自然と想像させられるというか、妹視点の描写で語られる兄のキャラクターが読み進めるにつれてどんどん立体的に、リアルに感じられる。表層的には必死な妹が可愛いんですが、そんな妹を見てる読者としての視点が劇中の兄と重なるって感じですかね。このバランスの語りがめちゃくちゃ面白かったですし、天然の魔性を放つヒロインの魅力も最高でした。
ヒロインの必死さが可愛いんですが、エピローグでは平時の余裕のある状態の可愛さが炸裂するのも良い。そして、その場面はおそらく初詣のための着物姿であり、問題の制服ではない。百済児作品の着物、良いよね……。
『劣情OVERFLOWED』よちリョウタ
優しい彼氏に優しくされたくない。優しくて理想的な彼氏のはずなんだけど、性欲的にはほんの少し物足りない。贅沢っちゃ贅沢なんだけど、かなりリアルで切実な悩みですね。こういうカップル、現実にもうじゃうじゃいそう。
ヒロインの悶々&空回り描写も可愛いんですが、それを裏打ちするかのような彼氏の「良い人なんだけど……!」感が絶品。決して愛想を尽かす話ではない、というのが徹底してて、だからこそもどかしい。個人的に好きなのは、エロ下着作戦に出た際の “ハート可愛いね!!” のリアクション。「ダメだこいつ……」という絶望感があるんだけど、普通に超良い人なのは間違いないので彼のことを攻めづらいw いくら何でも察しが悪いとは言えるかもしれないので、かなり天然な人なのかもしれない。
空回りするヒロイン。真剣な悩みの末に手を伸ばすのが「ムラムラボッキスルーノ」なので笑ってしまう。本作はそもそもの段階で「超良い彼氏じゃねぇか」というのがあるので、彼女の切実さに寄り添うというよりは空回りぶりが微笑ましく感じられる側面が強いんじゃないですかね。どんな真面目な話でも「ムラムラボッキスルーノ」の文字列が出てきたら脱力してしまうw ふざけた名前なのに冗談では買えない値段してるのがまた最高。
実戦導入されるムラムラボッキスルーノ。効果がないと思いきや時間差で瞬発的に効果を発揮して……という時点で少し「演技か?」と疑ってしまうし、オチ的にもおそらくそうなんですが、彼氏としては彼女の涙を目の当たりにして即座に決意を固めたわけで、そういう意味では単なる演技とは言えないのかもしれない。涙に心打たれて強制的に気持ちが盛り上がったという意味で。ヒロインはムラムラボッキスルーノ(言いたいだけ)に頼ってしまう自分の情けなさに泣いたわけですが、彼氏の方も彼女をそこまで悩ませてしまった自分の情けなさに決意を固めたと思うので、2人はお似合いのナイスカップルですね。
彼氏の猛攻。初の射精(顔射)の際にいつもみたいに自分の暴力性にどん引きするようなリアクションを見せるんですが、それをされた超喜んでるヒロインの姿を見ており決意を固めるというか、ちょっと逆ギレみたいなニュアンスも感じてしまう。今まで気を使って我慢してたのがバカみたい、みたいな。なので、仮に始めは演技だとしても、徐々にそれが彼の中で真実になっていく、
という機微を感じる。もちろん描写としてはヒロインのイキ狂う(大満足)描写がほとんどで、たまに差し込まれるように彼氏の描写が少しだけ入るんですが、エロパートにおいて葛藤もしくは感情の揺れがあるのは彼氏の方なので、そのドラマも非常に味わい深い。超イチャイチャな話なはずなんだけど、ヒロインの満足度合いが突き抜けてるので、彼氏との間にちょっとギャップも感じるんですよね。別に不仲になるみたいな不穏さはなくて、そのチグハグさも込みで可愛らしいカップルなんですが。
エピローグ。この手の話だと、彼氏が覚醒してしまって2人の関係が不可逆的に変化する、みたいな話が多い印象だったんですが、事後では彼氏がいつも通りの優しいモードに戻ってるのが意外で、個人的にすごく好きなバランス。もちろん覚醒する話も好きですが、あくまでも演技で、頑張ってくれたという点にも独自の魅力があると思います。
『せんせのえな』昼寝
先生のために絶対に100点取りたい。冒頭の “絶対100点” の考えに囚われてる描写から、家庭で優等生であることを求められすぎてる呪いみたいな話なのかと思ったんですが、家に帰って家庭教師と出会うと真相が明らかになる。呪いでなくご褒美。「そう来たか!」と一気に引き込まれてしまった。話としてはすげぇシンプルなんだけど、冒頭5ページの話運び、情報の隠し方と出し方が絶妙で、実体が明らかになってからのエロ的な急加速ぶりが熱い。2人の関係、2人の物語はもう既に始まっていた、と分かる構成めちゃくちゃ良いですよね。決して長くはない読切漫画ならではの合理的かつスムーズな展開。
先生の初手は一応「よしよし」なんですが、それが明らかにチカラが入りすぎて暴力的というか、支配のニュアンスが感じられるのも良い。実は調教済みだったとなる話なんですが、その調教の深さを早速実感させられる。
ヒロインの語りによる進行が徹底した作品なんですが、エロパートで彼女が喋るのはほとんど調教の内容に沿ったもの。そして家庭教師が喋るのは言葉責めか彼女への命令。この圧倒的な不均衡が見事ですし、 “普段ゴニョゴニョ喋るくせに 突かれてる時はベラベラ喋るな” はちょっと見事すぎて好き。言葉責めとしてクリティカルすぎるw
ハードすぎて忘れそうになるんですが、あくまでも「ご褒美」なので、クライマックスでは彼女の要望を聞いてあげるし、次の餌の設定もする。先生の方は目の前のエロに満足せず、今後のことを見据えて計画を立ててるのが支配の方法として見事というか、こういう計画を立てるのは家庭教師の仕事の本質だったりするのかもしれませんね。この先も延々と続いていく、感じさせるフェードアウトのような終わり方も見事でした。
『地蔵にお願い』かるま龍狼
お地蔵さんにいろいろお願いする。かるま先生のおねショタっぽい年の差作品良いよね……とか思ってたら地蔵の使い道がのっけから(2ページ目から)ぶっ飛びすぎてるので笑った。そしてその後も地蔵のアイディアがマジで信じられないほどに多彩。正直最初のズル剥け地蔵だけで読切1本とか余裕でできそうに思えたんですが、オナホシリーズといい湯水のように湧いてくるアイディアがすごい。
そして最終的に行き着く地蔵が、 “3Pしてるみたい…” なので笑ってしまった。マジで面白すぎる。人妻と地蔵とで3Pって何をどのように考えたら思いつくんだ。3Pパートはしっかりエロだし、何なら地蔵の主張も少なめ(ただし3P感もある)なのも良いですよね。しっかりとエロ漫画してる。個人的には3Pを始める直前の「お清め」のくだり、意外性もあってエロくて超好きです。主人公と同じく頭がついていかない感覚になるんですが、その不意打ち感と「一応理屈は分かる……」という面白さがたまらん。お清めの際に主人公に視線をやるヒロインの1コマとかめちゃくちゃ色っぽくて良いですよね。この時点ではまだ何がなんだか分からないだけど、エロの空気が着実に高まっていく感覚。
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終わり。遅くなりましたが、ことよろです。快楽天展(正式名称ではない)にも早く行きたいです。平日の夕方にちょこっと寄る、くらいが個人的にちょうどいいんですが、火水金はお休みなので難しい。けど行くと思います。
それはさておき上記リンクのアンケート、「つまらなかった」の選択肢から「なし」が消えてて不穏~!
kitaku2kitaku.hatenablog.com
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