- 『Fastfood』Hamao
- 『制服とスーツ』さんじゅうろう
- 『背中越しのモノローグ』楝蛙
- 『元グラドル(34)』星井情
- 『かわいいひと』平丸あきら
- 『甘藷の花』層積
- 『乳がデカいので』アサオミ志群
- 『夏だし』多紋サカキ
- 『街で困っている所を助けていただきまして』さわたしゆん
- 『楓子と坊ちゃん』ゆりしましろ
- 『兄貴のツレの背の高い女』観音リツ
- 『ローン・ウルフのそれから』小野未練
- 『キミをかたどる』ピリオドÖ
- 『死神ギャルに逝かされる!!』アシオミマサト
- 「読者コーナー」
30度超えてるけど涼しいかもしれない……という認知の歪み。
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『Fastfood』Hamao
カラー6ページ。今号の表紙の子。個人的なHamao作品のイメージからちょっと離れたタイプのヒロイン像なので驚きつつ、めちゃくちゃ可愛い。コメント曰くゲームキャラのような派手さらしいですが、ショート作品だから味濃いめのデザインにしたってのもあるんですかね。カラー映えもめちゃくちゃしますし。それと、コメントで気になったのはもう一つ、恐竜のラプトルがモデルらしい。言われてみれば、黄色く爬虫類の目。細かくて見映えのする髪のカラーリングも恐竜の柄っぽい印象です。すごいな、あんだけ怖い恐竜からここまで可愛い女の子になるとは……。
エロシーン。ラプトルらしく捕食感のある内容になってて大変好みなのですが、捕食といっても怖さは全然なく、彼女がノリノリで楽しんでる感が第一ですね。あの圧倒的強者が一方的に楽しんでて、結果的にそれなりに気に入られるという関係性がめちゃくちゃ良いです……。小柄なのに超強いし、試合巧者的な側面もあるのがラプトルっぽいですね。
エピローグでのフレンチドレッシングには笑ってしまった。食欲と性欲、どちらの意味でも肉食系の彼女らしい1コマとは思うんですがw てか、昔、修学旅行の朝食でサラダにフレンチドレッシングがかかってるのを見たクラスの男子が「精子みてぇ!」とクソデカボイスで叫んでて、しばらくフレンチドレッシングが食べられなくなったのを思い出しました……。
『制服とスーツ』さんじゅうろう
朝の電車で一緒になるスーツ成人男性と制服JK。男の悪い願望むき出しって感じのシチュエーションですが、本作の主人公、ちょっと過剰かと思うくらいにビビリというか、制服JKのことを警戒してるので面白い。性欲は普通に抱くのに……というエロ漫画とは思えない矛盾。まぁこれで合法になるわけではないんだけど、読む際の印象としてかなり漂白されたのは確かだと思います。2人のキャラクター、関係性がものすごく重要で、それがエロという形で結実する展開はやはり熱い。
ヒロインは主人公の下心を見抜きつつ、見抜いてるからこそある程度健全に(安全に)交流を重ねる。別にヒロインがSキャラとかそういう話ではないんですが、主人公が弱いからこそヒロインは気に入ったみたいな側面はありそうで、ここらへんの機微が良いですよね。それでいてエロイタズラみたいなのはあるので、エロ漫画の序盤としてのワクワク感も入れてくる。
からのデート。主人公は私服だけど、ヒロインは変わらず制服。タイトルに偽りありですが、たぶん文句言う人はほとんどいないと思うので大丈夫でしょうw というか、ここで主人公が「スーツ男性」という社会的な属性を捨てたことが彼の及び腰……それでいて同時に確実に存在する下心の現れになってて見事ですね。私服と制服とステージチェンジしたことで2人の関係性が一歩進んだとパッと見で伝わる。そして、主人公は制服にビビる。本来なら未成年は社会的弱者だから手を出しちゃいけないという話なのに、主人公のビビリによってこの強弱が反転し、ヒロインの強さの象徴として制服が活きてくる。タイトルにもある制服が単なるビジュアル、単なる属性ではなく、物語的もしくはキャラクター的にものすごく重要な意味合いを持つようになってくる。まさに制服ヒロインを堪能する作品になってますね。
ヒロインの方が精神的に強者というのは直前の『Fastfood』と同じなんですが、あちらは恐竜モチーフなこともあって直接的な強さが前面に出てる一方、本作は精神的な強さが主眼になっていると思います。特に目ですよね。主人公を見つめてくる目の強さ、相手の弱さを見透かすような目の強さがとにかく魅力的でした。主人公は別に人の目を見て話せない陰キャというわけではなく、あくまでも社会的な関係を気にしてビビってる、というバランスも良かったです。分かりやすくデフォルメすると陰キャ的な味付けになりそうなもんなんですが、そうではない機微が絶妙。部屋で2人きりになりもうセックスが確定すると、まぁ普通なんですよね。超手慣れてるというわけではないが、セックス自体は普通にこなすという感じ。ただ、分かりやすく逆転するほどは強くないし、セックスはしつつもちょっとだけ後ろ髪を引かれてる感じも面白い。
見つめてくるヒロインの目が強いって書きましたが、本作のクライマックスがバックだったのも良いですね。目を合わせない体位になることで2人の関係性が対等に近づく。見つめ合うイチャイチャ感ももちろん魅力的ですが、本作の場合は見つめ合ったらヒロインの強さが前面に出ちゃうと思うので。
『背中越しのモノローグ』楝蛙
久々に帰省したら知り合いがみんな大人になっていて、1人だけ主人公と同じように身軽な立場の人がいて……。タイトルのページにおけるバイク描写が圧巻すぎてちょっと笑ってしまうレベルなんですが、身軽な独り身感の象徴としてめちゃくちゃ良いですよね。バイクで迎えに来たわけですが、乗せられるのは1人だけ、という2人きり感も良い。そして何より楝蛙作品らしい、お尻。一見すると「バイク好きすぎるだけでしょ!」と言いたくもなるんですが、バイクでしか成立しない物語とキャラクターになってるのが本当に見事だったと思います。しかし、家族でも恋人でもないのにバイクの後ろに乗るのはちょっと刺激が強すぎますね。近づくに近づけない……とか考えてると放り出されて死にそうw いやほんと、あのバックショットはめちゃくちゃ魅力的でした。お尻もそうなんだけど、背中に伸びた長い髪もセクシーですし、それが運転中は風でなびいて主人公の前面をさわさわしてくるわけじゃないですか。やはり落ちて死ぬのか……。
主人公はかつてヒロインに告白しようとしたが、何でもお見通しな関係だったため告白を阻止された思い出がある。バイクのシーンで、彼女の背中を見つめる、追いかけるような位置関係が象徴的に描かれましたが、逆に主人公の方が見透かされてる、というのが良いですね。そして下心も見透かされてるので、そのままホテルへイン。バイクで勝手にホテルに連れてかれる感じ、めちゃくちゃ良いなw 主人公の考えがすべてバレバレ、という前提が丁寧に語られてるので乱暴な印象も全然ないですし。
全部分かってるけど、言うべきことはしっかり言わせる、という関係性も良い。儀式的なノリですね。それでいて、いざちゃんと言おうとしたら最後の最後でヒロインの方からキス。かつての告白阻止と似たような展開だけど、今回は逆の結論になってて、セックスの主導権を握ろうとしてくる姿勢が最高。この見抜き見抜かれの関係が魅力的なんですが、いざセックスが進行すると、先ほどまでの精神的余裕はどんどんなくなっていく。これが可愛すぎる。雑魚で逆転というほど乱暴な感じではないんですが、見抜かれてる側の主人公が徐々に優位になっていく。
そして、フィニッシュは当然バックですね。本作ほど「そりゃ最後はバックでしょ」となる作品も珍しいんですが、バイクシーンのときのような背中を見つめるショットはあえてなのか、ない。エロ的な迫力というのもあるでしょうが、今度はヒロインを前から映すショット(あとは結合部)になってるのが2人の関係性の変化として非常に味わい深かったです。
かと思ったらエピローグでお風呂。ここでバイクでの位置関係の再現をして、最終的な結論がヒロインの口から語られる。そしてタイトルは『背中越しのモノローグ』。完璧な構成では……。エロ漫画なので後半になると当然バイクは出てこない(普通に考えて出せないw)んですが、それでもバイクが最後まで一貫して作品のメインテーマのように扱われて圧巻でしたね。ただのお尻強調アイテムではなかった。
『元グラドル(34)』星井情
元グラドルの奥さんが可愛すぎて毎日幸せ。現実世界には三十代後半や四十代以降でも現役バリバリ感のある肉体を誇るグラドルも存在するので、本作の34才設定は控えめな方とも思うんですが、引退して久しい元グラドルのちょっとだらしくなった肉体感の描写が圧倒的。考えたこともなかったけど、グラマラス系の人は逆に引退後の体型維持は大変かもしれませんね。都合良く胸は小さくならないでしょうし、グラビア的な程良い肉感と、一般生活における健康的な肉体ってのも違うだろうし。そんな中、本作の引退済みを感じさせるだらしなさ……もあるけど、(エロ)漫画的な見映えのバランスが驚きの精度だったと思います。超失礼な感想になるけど「全然アリっしょ!!」と言いたくなってしまうような感じ。もちろん、リアルなだらしなさではなく、エロ漫画の中でのもっともらしさ、という作者と読者の間にぼんやりと存在する漠然としたイメージを正確に射抜いてくる。
グラドル設定がインパクト抜群でしたが、そんなグラドルが妻。オタクの夢を煮詰めたような設定なんですが、1ページ目では復帰したグラドルのSNSでの評判をチェックしてる男の様子が描かれて、ページをめくると奥さんどん! でタイトル。1ページ目だとまだ2人の関係は分からないので、口コミで下品なこと言われてるのに心を痛めてるガチ恋(厄介)ファンなのかな? と思う余地もあったと思ったんですが、2ページ目で急にオタクの夢になるので読んでるこちらも「オワァーッ」ですよ。この奥さんであることの衝撃を示すオープニングが見事だったというか、特別長い作品ではない中で効率的にオタクの夢要素を印象づけてくような語り口だったと思います。
結婚5年目で、主人公は雑誌の仕事で知り合った関係なんですが、主人公は未だにファン心理に近いものを抱いてそうな印象。ファン心理というか、憧れみたいな。しかし、5年も経ってるのでこれまでに結構なプレイも経験したんでしょうね。受け身っぽい関係かと思ったらいきなり長乳オナホを提案するので笑いました。結構なことやってんなw ただ、チンコを挟みたいのではなく、長乳の間にローションを仕込む描写が丁寧にあるのが良かったですね。あの仕込み中のヒロインの表情が絶品。そんなローションと精子でぐちょぐちょになった状態のまま本番に移行するので常に変態プレイの余韻を感じながらの本番になってたのも最高。実際のことを考えたら早く拭き取った方がいいとは思うんですが、まぁそこはエロ漫画のロマンですね。
意外かつ良かった点としてはクライマックスがバックだった点。イチャイチャ度が高い作品だし、「グラドルを抱く」というテーマを考えても向かい合っての体勢になると思ったんですが、実際はバック。これも5年の蓄積を感じるところじゃないですかね。もちろんヒロインの体を見映え良く描く都合もあるでしょうが(長乳がまっすぐに垂れるコマすごく好きです)。5年間の経験で一番気持ちいい攻めというのを熟知してるので、それが見て楽しむ喜びを上回った、みたいな。今号の巻頭、印象的なバックの作品が続きますね。
『かわいいひと』平丸あきら
小説家と押し掛けファン。平丸作品はいつもそうと言われればその通りなんですが、ヒロインがめちゃくちゃ可愛い。特に日常パートの可愛さが印象的というか、「こんな子が……」というギャップがいつも本当にすごい。そんなことを思ってたので、ラストでタイトルのセリフが出た際には「あんただってかわいいよ!」と叫びたくなってしまうw
ヒロインはとにかくファンで、崇拝するタイプなので、従順な良い子であると同時にいつまで経っても深い繋がりを持ててる気持ちになれない……と主人公は悩むことになる。厳密には違うけど、直前の『元グラドル(34)』もファン(憧れ)とその対象みたいな関係性があったと思うんですが、あっちは結婚生活も長いので順風満帆じゃないですか。一方本作は、憧れという一見するとキレイだが、相互理解という意味においてはかなり大きな障壁になってる関係。某ジャンプ漫画の悪役のセリフが思いついてしまうんですが、憧れという壁を挟んだコミュニケーションの話になってるのが本作の素晴らしいところですよね。セックスによって2人の関係、そして関係性の変化を描く、というエロ漫画らしいストーリーになってて本当に見事だと思います。平丸先生は前作の『くしゃくしゃ』が個人的にちょっとどうかと思うくらいの傑作だと思ってるんですが、全然それ級の作品がぽんぽんと出てくるので驚いてしまう。強すぎる。
今号の快楽天はバックで締める作品が続いてましたが、本作は逆。モノ扱いするようなバックで始まるのに納得しかないんですが、その関係性に満たされなさを感じる主人公が一歩踏み出して、正常位。その一歩を端的に示した “俺の名前知ってるか” が見事でしたね。ファンなんだから名前くらい知ってて当たり前なんですが、「先生」呼びに問題の根っこがあったと気づいたわけですね。
さらに本作で良かったのはキャラクターの関係性をセックスで示しただけで終わらず、主人公の小説家としての仕事についても結びつけてくる。スランプというほどではないんでしょうが、商業性と作家性のバランスに悩んでて、その「わかってもらえなさ」の問題がヒロインとのセックスと重なってくる。人と人がセックスするからコミュニケーションの話になるのはまぁ当たり前なんですが、そこから仕事のテーマにまで派生するので驚きました。作家というのは極端な話、読者(あと担当)とコミュニケーションする職業でもあったと。エロ漫画ですごいところにまで進むので驚くんですが、あくまでもセックスが最後に加速する直前に差し込まれる場面でちょっと語られるだけだったのも良いバランスだったと思います。
『甘藷の花』層積
カンショって何……っと思ったら一発で変換できるので驚きました。いや当たり前なのかもしれないけど。そんな甘藷、サツマイモだそうです。茨城だからですね。干し芋買ったことがあります。おいしかった……。
訛りで悩むヒロインと大学で出会う話なんですが、地元の夏フェスのチケットが取れたということで実質の帰省デートに。ひたちなかでしょうか……。訛りが属性としてそれほど知名度も人気もないという意味で茨城が設定として選ばれたのかと思ったら、別の茨城らしさが絡んでくるので驚きました。遠すぎない距離感も含めてマジで完璧なチョイスだったというか、ご当地エロ漫画みたいなハマリの良さを感じてしまう。
キャラの魅力に全振りしたような印象のある作品というか、とにかくヒロインが可愛い。さっきからこればっかり言ってる気がしますが、可愛いのは本当。一見して「でけぇ!!」となるインパクトがあったんですが、そこからコロコロと変わるヒロインの表情が良すぎる。強い。あとは場面が多いのもあって衣装が豊富なのも最高ですね。超嬉しい。その衣装の変遷が主人公との関係性の変化に対応してるというか、心の距離が近づいてるのが衣装だけでも伝わってくる。最初はいかにもお嬢様っぽい印象の格好で、それ故に胸のインパクトがすごいんですが、徐々に腕も出すようになって、谷間が……みたいな。同時に夏が近づいてきた感でもありますね。そしてクライマックス、実家での超ラフな部屋着(寝間着)。あのお嬢様ルックからここまで……と感慨深いですし、「急に大胆すぎる!!」とドキドキしてしまう。そもそも夏フェス誘うところもそうなんですが、大胆というか、突然思い切りが良くなったりするところが最高ですね。大人しくて受け身っぽいと思ったのに気づけば振り回されてる。
そんな彼女のキャラクターの魅力が詰まったセックスの誘い……であるゴムの渡し方が白眉。前半の友達になる場面を再現するようにゴムを渡す(友達から恋人になる)のとかエモが強すぎるんですが、本作全体的にヒロインの手の演技が良いですね。育ちの良さを感じさせる手の動きが全編通じて魅力的。冒頭の訛り全開電話の場面もそうですし、リアクションを取る際の手の動きも可愛く、当然手を繋いでくる場面の破壊力が異常。本番のフィニッシュ時にも耐えきれずに目をそらしながらも手をしっかり握ってる感じが愛おしいですし、ボーナスステージ的に行われるお掃除フェラの場面では手がそんなスケベな方法に使われるとは……と驚かされ、エピローグで再びの手繋ぎで死にました。方言なのも可愛いんですが、本作で初めて彼女が「手を繋ぐ」ことに言及してくるのも強いですよね。「そういうことですよ」と意識的なわけで。死。
『乳がデカいので』アサオミ志群
ストーカーくんがキモいけど正直抱きたい。ヒロインも可愛いしキャラ立ってて最高なんですが、本作で特筆すべきは竿役では。「ヌ…」という登場シーンがキモいを通り越して怖くて笑っちゃったんですが、彼のキモさの塩梅が本当に絶妙。キモいんだけど、ヒロインが “滅茶苦茶こいつとセックスしてえな……” となってるのを見るとちょっとだけ納得できるというか。ビジュアルが悪いわけではないんですよね。ビジュアルにキモさがあるのは確かだけど、スラッとしてるし、顔が悪いわけでもないし……みたいな。ブレイクしたてはキモさを売りにしてた芸人が人気が安定するといつの間にか割と見た目が良い人扱いになったりする現象があると思うんですが、それと似てるかな。極端に見た目が変わったわけではなく、二面性があってどこに注目するようになるかで評価がガラリと変わる。
ただ、一度セックスしたいという目を持ってからも、彼がキモいのは継続するので面白い。要はセックスが始まってからもキモさは残るんですよね。何を持って人をキモいと認識するのか、みたいなことも考えたくなってくる。プレイ内容がキモいんだったら分かりやすいですけど、それだけでもないんですよね。ヒロインのことをジッと見てくる視線がキモ怖かったり。あとは、距離感の詰め方とか、展開のテンポ感がヒロインの思ってるのと違ったりする。キモ演技が死ぬほどうまい、見た目は別にキモくない俳優、というのが印象として近いですかね。そのキモさ表現のバリエーションの豊かさに驚いてしまうんですが、それが同時にエロい、エロそうという説得力にも繋がってくる。ジッと観察するような視線はヒロインの弱さを見透かしてるような印象にもなるし、間のキモさというのもヒロインの予想外のテンポで攻めて翻弄してるとも言える。こういう快と不快が表裏一体でコロコロ変わる感じがめちゃくちゃ面白い作品でした。そもそも作品のテーマとしてそんなところにオモシロが隠されてるとはまったく考えもしなかったので、ひたすら目から鱗。
ヒロイン側。ボケとツッコミで言えば完全に後者の立場なんですが、それがセックスの進行によって徐々にその立場が揺らぐというか、常識人でいる余裕がどんどんなくなっていくのがリアルで良かったです。挿入のくだりから「お願いを聞いてあげてる」という優位性がなくなっていくんですよね。処女だから実は気を使っていた、と明かされることでヒロインの(心理的)余裕が完全に壊される。たしかに、キモさにばかり気を取られてねちっこい前戯については特に考えてなかったわw 瞳孔開いてるのは怖いけど、一応痛くならないように気を使ってた可能性もあるのかな。良い奴……と簡単に反転したくはないくらい最後まで変人なのも良かったです。
『夏だし』多紋サカキ
夏の終わりに2人で思い出を作る。ひたすらエモいシチュエーションに、極少のセリフ。ちょっとMVみたいな印象にもなったんですが、それ以上に面白いのは2人の設定、背景的な情報が全然ない。まったくないと言っていいレベル。裏設定とかは存在するのかもしれないんですが、何も語られないままエモさが高まってそのままセックスに突入して、フィニッシュを迎えたらあっけなく終わる。コンセプト的に、セリフを一切なくすのも選択肢としてはアリだったと思うんですが(それこそMVですね)、無理にセリフをなくすほどではない、という量のセリフもめちゃくちゃ良かったです。キメとなる展開のある場面で一言二言だけセリフが投下されて、一気に気持ちが爆発する。
2つに分けるチューペットから、線香花火をくっつけ、それが2人のキスと重なり、そのままセックス突入という流れも芸術的でしたし、フィニッシュの直前にヒロインの唇を堪能するかのような展開があるのも良かったですよね。足下のアップで絵的に焦らしつつ、気持ちの高まりを感じさせて、そのままフィニッシュというのも良かった。マジでひたすら(エロ)漫画がうますぎるのでは……とちょっと感心しつつ呆気に取られるような印象でした。こんなショートの戦い方もあるのですね。
ラスト。夏の終わりの話なのに、8/29になって終わるのが一瞬分からなかったんですが、快楽天の発売日かw
『街で困っている所を助けていただきまして』さわたしゆん
姪を預かることになり、迎えに行ったらそれらしい子がナンパされてるので助ける。疲れてるのもあって、ムキになって過剰に若者たちに大人マウントを取る主人公が程良くしょうもなくて面白かったんですが、その結果ちょっとキザにかっこつけた感じにもなり、それがヒロインに刺さる……と思ったらそれだけの話ではなかったw たしかに、白アウターって説明にちょっと違和感はあったんですが、マジでまんまと騙されてしまった。あのすべてが明らかになった瞬間の気まずさが絶品で、あれを味わえただけでも本作を読めて良かった。
ということで、全然知らない他人。互いに気まずくて死にそうな場面だと思うんですが、恥ずかしかったり動揺を隠せないのはむしろヒロインの方。まぁ、たしかに知らないオッサンの部屋に強引に連れ込まれたわけで、それが強引なナンパじゃなかったんだから平静じゃいられない。逆に、状況を飲み込み、「てことはこの子はそういう期待をしていた……?」と察して気持ちと行動を切り替える主人公の判断が早いw 性欲ゼロだった女の子が突然自室に、それもそういう期待(納得)もした状態でいることに気づき、一気にチンコが反応して、セックスに気持ちが移るのですごい。本来なら主人公の方も相当恥ずかしいというか、彼の方が恥ずかしいと思うんですが、相手の弱みに気づいて一気に上の立場をキープしようとするメンタルと実行力。手練れですわw
ヒロイン側。ある種の弱み(?)を握られてそのまま流される話なんですが、セックスが進むに連れて徐々に自己を解放するようになっていく。ずっと受けだった彼女が初めて攻め、上の立場に回り、彼女の考えを口に出すようになる展開が熱いですよね。そのまま逆転のように終わるのかと思ったら、自分の欲望に素直になった彼女が「下」をリクエストしてくるのが可愛すぎる。可愛いのと同時に可哀想じゃないのが確定する感じもあるのが良いですよね。あの状況からイチャイチャになってハッピーエンドを迎えることって可能なんですか? とちょっと驚いてしまう。
あと、メガネ好きとしては、エピローグのシャワーシーンで主人公が本来の姿をさらす意味でメガネをするが、それをヒロインが拒否する、というのも良かった。彼女が自分の欲望に素直になって、それを直接伝えるようになった、という関係性の進展を感じるラスト。ある種の役ですよね、「街で助けてくれたかっこいい大人」という仮面を求めるんですが、素がメガネで、仮面が裸眼という逆転が面白い。しかし、いきなり自宅での関係を持ったのに、素の姿ではなく役を求められるのは結構大変そうというか、脳味噌バグりそう。そのうち役に本来の自我が飲み込まれていくかもしれないw
『楓子と坊ちゃん』ゆりしましろ
名家の坊ちゃんと、幼馴染のボディガード。坊ちゃんの必死の頼みで一度セックスを許したら、それ以降ずるずるとそういう関係が続く。エモを感じさせる設定からえげつないサラシを巻いた巨乳になるので驚いたんですが、そのサラシにもう一捻り入ってくるのが良かったですね。でかすぎる胸を締め付けるためではあるが、同時に背中の傷を隠すものでもあったと。その背中の傷が2人の立場の違いの象徴で、坊ちゃんはそれに納得ができないでいるが、最終的にそんな傷もまとめて抱く。シリアスでエモなドラマが強くなるのかと思ったら、ドスケベ堕ちするヒロインの落差がすごい。イチャイチャな話だし、ハッピーエンドではあるんだけど、2人のそれぞれの気持ちのデカさはちょっと方向性が違うというか、最後まで完全に一致するような関係ではないのが意外で面白かったです。この手の設定だと駆け落ちが定番だと思うんですが、主人公の結論、それもヒロインがめちゃくちゃそそのかした末の結論が駆け落ちとは真逆のものだったのも良かったです。立場の違う2人がイチャイチャに至る話なんだからクライマックスに「坊ちゃん」という呼称から名前呼びに変わる……と思ったらファーストネームではなくファミリーネーム。家を継ぐ覚悟を決めたから「士門様」。なるほど……。膝を打つような展開でマジ最高でした。決死の覚悟で気持ちを伝える坊ちゃんと、それを受けるヒロインのリアクションにちょっと温度差があるのも良かったです。最後まで2人の間には少しだけズレがあるというか、ドシリアスな坊ちゃんと、ドスケベに浸ってるヒロイン。ただ、全体的にラブコメ的なポップさもあって、といろんな方向の要素が混じったすごい作品だったと思います。定番の設定ではあるんだけど、話が面白いんだよなぁ。イチャイチャではあるんだけど、愛の言葉を伝え合うのは挿入直後で、その後は交わす言葉は減って、モノローグ的になり、それも淫語。最後のバックは、背中の傷を見ながらという意味もあるけど、孕ませのニュアンスも強そうですよね。それがラブコメ的な雰囲気とのギャップがすごく、それでいてドラマ的な結論から考えると間違ってるわけでもない。
ラストのヒロインの言葉が、口に出すのではなく内に秘めた決心だったのも面白いですよね。たぶん坊ちゃんが望んだイチャイチャな関係とはちょっと違うんだろうけど、という。2人の主従がハッキリする話であったのと同時に、ヒロインが勝手に動く(画策する)未来へと続いてるような気もします。最後まで坊ちゃんに可哀想な感じが漂ってるのも含めすごく好きです。坊ちゃんのシリアスで悲壮感漂ってる感じも可愛いので。
『兄貴のツレの背の高い女』観音リツ
兄貴が連れ込んだツレの女にやけに気に入られる。気に入られる理由は主人公が小さいからで、かつ彼女がでかいから。その小ささは主人公のコンプレックスなので全然嬉しくない……。あんなに輝かしい顔で喜んでくれてるんだから何よりだと思うんですが、思春期あるあるですね。あとは兄貴への劣等感もこじれの原因か。そもそもせっかく好意を向けてくれた女性が兄貴のツレ、というのがまた良い。主人公のこじれと、あくまでも自分本位に可愛がってくるヒロイン。端から見ると「最高じゃん」としか思わないですが、届かないと分かっていながら “キスして” と言ってきたりして意地悪でもあるんですよね。最初は都合良く主人公のことを甘やかしてくる存在なのかと思ったけど、実際はどこまでも自分の欲望に忠実、という感じでしょうか。ヤベー女の部類で間違いないかと思います。そこが良いじゃない……という話なんですがw
キス未遂のくだりもそうですが、2人の体格差を如実に示す構図が多いのも良いですよね。そして、「まともにキスもできない」と事前に示されてるので、フィニッシュ直前に騎乗位のままキスされることの強引さが強調される。キスという行為が完全にヒロインの一方的な意思なのが良いですよね。覆い被される屈辱感に加えて駄目押しのようにキスが行われる。その際の感想が “重…ッ” なのも最低すぎて良かったです。種付けプレスの逆バージョンと言いたくなるような迫力。それなのに満足した彼女が “かっこいーじゃん” と言って終わるのもこじれてて最高でした。言うて2人の相性は良いと思うのですが、彼女との関係を通じて主人公に自信がつくのかは少し怪しいかも……。
『ローン・ウルフのそれから』小野未練
クラスの一軍グループを追い出されたヒロインが、かつて仲良かった幼馴染を襲って、それから。タイトルのローン・ウルフがそのままな状況で見事なんですが、『ダーウィンが来た!』で聞きそうなワードをエロ漫画の題材に持ってくるのですごいですね。小野先生だと以前「汽水域」を使ったも最高でしたが、タイトルだけで既に面白そう。『ダーウィン』的な意味でのローン・ウルフは群れを出た先で行うのは新たな群れを作ることであり、詰まるところセックスなんですよね。汽水域よりもめちゃくちゃエロ漫画向きなワードと言える。そんなローン・ウルフの話をウルフ視点ではなく、ウルフに振り回される側の話にしたのも最高でしたね。大人になりきれない主人公の心理が重なることでより小野未練作品感が増した印象です。陰キャのメンタリティとしては割と定番の題材なんですが、外界から隔離された2人だけの狭い楽園、みたいな。『汽水域』もそうですし、『ピアノどろぼう』にも近いかな。
大人になれない、群れに入れない主人公のヤケクソ感、こじれ感が魅力なんですが、そんな彼の暴走とも言えるセックスによってヒロインのことをコントロールできてしまうのがある種の悲劇と言えそう。負けのようなショックを受けるのではなく、ヒロインを自分の世界に引きずり込んで、閉じこもることに成功してしまう。エロ的にはめちゃくちゃ盛り上がるんですが、盛り上がれば盛り上がるほど端から見ると良くない方向に加速してるのが分かる。「好き」の気持ちを爆発させて伝えてるに過ぎないので良い話になりそうなもんなんですが……という。前述の『ピアノどろぼう』も外界から孤立して閉じこもる話でしたが、もうちょっと前向きというか、クソな世界の中で何とか生きてく居場所を見つけるみたいなニュアンスが(多少は)あったと思いますが、本作はもっと良くなさが強かった印象です。ウルフだったはずが、手懐けられる犬に堕ちてしまった、堕としてしまった、みたいな話。
あと、細かいですが、小中高とヒロインの成長をモンタージュする場面での中学のコマがめっちゃ好きです。伸びる髪と髪型の変化で成長を感じさせるのが動物っぽい描き方なんですが、仲良かった小学生の頃の雰囲気は強く残りつつ、別のステージへの変化が始まってる感。この頃にもうちょっとうまく立ち回っていたら何の問題も生じずに2人仲良く健康に大人になれてたのではないか……的な味わいを感じる。
『キミをかたどる』ピリオドÖ
美術部の変な先輩に捕まる。ヒロインの変人で、おそらくクラスの中で評価されるタイプの美人ではないだろうけどとにかく脱いだらすごい、という破壊力。肉感ですよね。肉体的に相手を圧倒する2人の対比という意味でも良かったんですが、やはりショタみのある竿役が非常に良いですね……。変人の、しかし才能にはホレてる先輩に振り回されながら気づけば即セックス、という関係性込みでめちゃくちゃ魅力的。エロい気持ちになってしまうのが、美術部的なリスペクトとエロ漫画的な魅力の両方を兼ねてるのも面白かったです。ヒロインの圧倒的な優位性であり、一方的に攻められるけど断れない弱み。前半はちょくちょく差し込まれるデフォルメも可愛かったですし、今号のベスト竿役間違いなし。ショタが好きなだけではと言われればそれはそう。
エロパートでかなり特徴的だったのは、竿役が一つの椅子に座ったままですべてが完結してる点ではないでしょうか。前戯からフィニッシュまで完全に着座のまま固定。厳密には服を脱ぐくだりが入るのでちょっとだけ立ったんでしょうが、漫画上は完全に座ったまま。竿役の一方的な受け身感としてすごく良かったですし、美術のモチーフから考えると彼が逆に観察の対象になってる、みたいな感じもありますかね。ヒロインも離れた位置にある椅子に座るところから始まり、パイズリで一発出したあとに一旦その椅子に戻るんですが、彼女だけが自由に椅子を離れ、接近し、好きなようにセックスを進める。美術らしい「見る」「見られる」の関係というのが強調され、質感や感触を「識る」行為としてセックスが描かれるので、漫画として描かれる視覚情報以外のものへの想像が喚起されるので、めちゃくちゃエロいですよね。ヒロインの圧倒的な肉体の迫力というのもより活きてくる。このパイズリで一発出してから一旦離れた椅子に戻り、再び近づいていざ本番、という展開、本作の白眉だったと思います。竿役が座ってるだけ、というかなり限定的なシチュエーションを感じさせない豊かさがある。
『死神ギャルに逝かされる!!』アシオミマサト
限界リーマンがオナニーし損なって死ぬ……ところに死神ギャルが現れる。オナホ取ろうと座ったまま無理して体を伸ばしたら転んで死ぬ、というのが嫌な死に方すぎるんですが、ちょっとだけリアリティも感じてしまう。怠惰なオナニーしてるときのあの無理して体を伸ばす感じ、めちゃくちゃあるあるなのではないでしょうか。さすがに死にたくはないのでちゃんと立ちましょうね……。
ということで死神ギャル。主人公の生命の蝋燭が消えかけてるのでやってきたが、死神ギャルがあまりにエロいので生命力(性欲)がブーストしてしまう。死神ギャルとかいうバカな設定かと思ったら、しっかり設定を掘り下げた矛盾にたどり着くのでめちゃくちゃ面白いです。たしかに性欲が生きる活力となってしまう可能性はありそう。そして、昇天させるためにエロ開始。頭の悪い展開なんだけど、「昇天」とか誰うま感あって最高ですね。
あとはヒロインのギャル性、ちょっとバカなんだけど悪い子ではなさそうな感じがものすごく絶妙で魅力的でした。あくまでも仕事熱心なだけなんですよね。そしてエロへの抵抗感が皆無。あっけらかんとしたノリなので、騙された可哀想な感じがなかったのもすごく良かったです。そして、クライマックスが近づくと「イッたら死ぬのか」という事実を思い出すような構成になってるので、終盤のもう止められなくなったあたりで少しだけ怖いサスペンスのような味わいもしてくる。ある程度射精感が高まってしまったらどうにもこうにも射精が止められなくなる感じとしてリアルでしたよね。死の予感を抱きながら意識を失う気持ちよさもありそうで良かったです。最後に見る光景が自分にまたがる黒ギャルってのは嫌かもしれないですが、最高かもしれないですね。
「読者コーナー」
葉月つばささんの連載。今月のコスプレがちょっとどうかしてるレベルですごいので感動しました。本連載の中でも屈指の回じゃないですか? 「こんなのプロじゃん……」ともはや畏敬の念。普通にプロなのですが。
あのネクタイって不自然に短いんだ、とか言われるまで気づかなかったです。可愛さを支える工夫の一端を知れました。
docs.google.com
終わり。これからweekly記事書くぞ。エロ漫画感想を書くマシーン。
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