北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

WEEKLY快楽天 2025 No.24の感想

 暑くても謎に湿度が低い日がここ数日続いてますね。かなり助かる。そもそも暑すぎるという事実を忘れるDV被害を内面化する被害者みたいな感想。
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『初恋の人がお狐様だった』日野ひもと

 地元の神社のお狐様に恋をした少年が10年後、激重になって帰ってくる。扉がちょっとどうかと思うくらいに可愛いんですが、意外とこのノリは本編になかったですね。少年時代の甘い思い出という可能性もあるけど、本編後、2人が付き合ってる状態の日常というのもありそう。良すぎる。
 ラブコメ的なノリが楽しい作品なんですが、コメディにおけるボケの立場が徹底して竿役の方なので笑う。神をも圧倒する巨大感情。2人の間に攻防のようなものがあるんですが、その基本ルールは「動揺したら負け」なので恋心に一切のブレがなく、謎の確信を得てる竿役が最強なんですよね。愛の大きさが美しいとも言えるんだけど、大きいというよりは重いw
 ヒロインが捨て身でエロ攻撃に出るが逆効果というか、ほとんど自爆。正確には隙を見せてしまい、その隙を竿役が見逃さない、って感じですかね。巨大感情がギャグっぽく描かれるので彼は一種の狂人みたいな印象も受けるんですが、思いの外彼は冷静もしくは理性的。ただ一方的に巨大感情をぶつけるのではなく、結構戦略的というか相手を言いくるめるように攻めてるので面白い。冷静な上であの巨大感情を抱いてることが驚きなんですが、同時にやっぱそれはそれでちょっと怖いかもしれないw まぁ、少年の無垢さを保ったまま大人の体になった状態って感じですかね。あと大人の経済力。
 そんな強靱すぎる意思のみに陥落させられるヒロインの変遷が見所。つよつよヒロインが負ける話なので暗い感じになってもおかしくはなく、実際竿役のぶつけてくる感情はかなりジメジメした雰囲気もあるんですが、話自体はかなりカラッと明るく楽しいトーンになってるのが良い。なかなか難しいというか、不思議なバランスの作品ですよね。ヒロインの負けっぷり、堕ちっぷりが迫力あるんですが、最終的にはものすごくほのぼのとした、ラブコメ的な着地。お幸せに……。

『知らない所、初めてのこと』楠まじり

 初めてを捨てるためおじさんに会う。おじさんに対する入念なリサーチのくだりがかなり微笑ましく、処女ながら彼女の強大な意思が強い話になるのかと思ったんですが、いざ事が始まると当然おじさんのペース。この徐々に形勢逆転していき、ヒロインの理性や余裕が溶けていく感じがものすごくリアル。リサーチの内容的におじさんは(その世界の中では)比較的良心的な人かと思ったけど、そんなこともなく……。まぁ、冒頭のくだりでヒロインの学生証をチェックして、学校のブランドを楽しんでる節がある時点でまともな人ではないよね……。
 一応ヒロインから声をかけた関係なので、基本的にはおじさんがエロいことしてもおじさんの悪性が露出する感じはないんですが(法的なことは無視するとして)、挿入のあたりで徐々におじさんの本性が明らかになってくる感じが不気味。途中から全然話聞いてくれなくなるのが不均等な関係の強者って感じで怖いんですよね。まぁ、初めはおじさんが丁寧にやってただけであり、ヒロインの言い分を考慮してくれたのではなく、最初から最後までおじさんが好きなペースで攻めてた、というだけなんだと思います。隠してた本性を現したというよりは、最初から彼の態度と言動は不変だけど、ヒロインが見抜けなかっただけ、みたいな感じでしょうか。なのでエロの進行によって徐々にヒロイン側の余裕がなくなることで相手が徐々に不気味に思えてくる。
 おじさんはクズで、相手のリクエストを無視するんだけど、最後の最後、中出しする際は一応確認を取る。それまでリクエストを無視して未知の快感を教えてきたから、相手が堕ちるという確信があったんでしょうね。おそらく今まで相手してきた人の経験によって「はいはいこのパターンね」的な感覚もあったのでしょう。わざわざ言質を取らされるヒロインが可哀想でもあるが、たぶんキスした方が気持ちいいのと同じ理屈で言葉で認めた方が気持ちいいんでしょうね。けどダメだよw そんなフィニッシュ後、こぼれ落ちる精液が彼女の言葉のフキダシとなって……という演出も素晴らしかったです。最終的な彼女の感想、結論がおじさんによって浸食されるような感覚。
 エピローグのおじさん。再会して真っ先に言う “もしかして誰かを紹介してくれるの?” が最低なので笑いました。ただ、そのおじさんと、そこでのヒロインの返事が、冒頭の場面における口コミとリピート数の多さの裏付けになってるというか、最初はかなり特殊な存在に思えた彼女も今までの人と同じようなパターンに収まっていくような薄気味悪さがある……んだけど、彼女の顔は非常に晴れやかなので味わい深い。

エロマンガアカデミー」

 #84。多紋サカキ先生による「かわいい顔、エロい体」。weekly出身作家の中でも屈指の存在感がある印象があるので、このコーナーまだやってなかったのがめちゃくちゃ意外でした。とっくのとうにやってると錯覚していた……。
 そして、多紋先生に話を聞くならこれっきゃないよなぁ!! というテーマだったので熱い。エロ漫画におけるデフォルメ問題。漫画的な可愛さを生むのにデフォルメは有効だが、エロとしての迫力を出すにはリアルな肉体はほぼ必須。デフォルメの顔とリアルな体、という矛盾の成立。熱い。というかエロ漫画の真価的な話でもありますよね。AV(とか実写メディア)じゃなくてエロ漫画にしかない良さ、エロさは間違いなくあって、リアルじゃないところに漫画の極意というか、原初的な魅力があるんだと思います。エロ漫画いい話。
 多紋先生がかなり具体的に語ってくれてることもあり、ちょっと過去作を読み返して今回出てきた話のポイントを確認したくなること必至。そんな中、来月初の単行本が出るので要チェックや!! というか真面目な話、今回のインタビューも収録した方がいいんじゃないかという気になってくる。


 終わり。毎週日曜の行動の順番を試しに変えてみました。ブログ更新が1時間ちょい早まったのですが、どうでしょうか……。まぁ実際は、多少時間の余裕がある段階でブログ書いた方が精神的に楽という話なんですが。
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