北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2024年12月号の感想

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 ヒーター解禁しました。寒くて指が動かん。
kitaku2kitaku.hatenablog.com

『ケモノのおんがえし(?)2』えーすけ

 前作のラストが露骨に続きそうだったんですが、映画とかでよくある「露骨に続編を匂わせるけど決定はしてない」のパターンじゃなくて良かったです。
 前作で互いにハマってしまった2人、のところにケモノの妹が参戦。シンプルに物量でパワーアップしてくる続編ですね。えーすけ作品だと『シルエット2』なんかも思い出しましたが、本シリーズはエロ純度がより高めなので、この物量作戦がよりハマってる印象。逆にドラマ要素である主人公の恋人はついに現実での登場はゼロになってしまった。一応後ろめたさを刺激するものとして言及はされるが、あくまでもエロのスパイスって感じですね。ただ、ケモノとの関係の中に愛情はそれほど芽生えてなさそうなので、それは朗報かもしれない(恋人視点)。まぁ、あれだけやって無責任な関係と割り切り続けてるのもそれはそれでダメかもしれませんがw
 新キャラの妹。同じく発情期ではあるものの、人間嫌い。姉以上につよつよな存在ではないところが面白い。むしろエロの経験的には弱く、敵対心を向ける彼女に対して上の立場から教え込む話。本人は反発してるが、姉が協力してるので……というのが良心を揺らがせますね。主人公も前作の始まりの次点では童貞だったわけですが、それ以降に重ねまくった経験によってすっかり性豪で(元からすごかった気もする)、その強さを何も知らない妹にぶつける。強くてニューゲーム的な無双感もありつつ、2人だけの秘密の関係だった魅力を別の人に教えて連れ込む、みたいな感じですね。もちろんそんなに良い話ではないですが。要は分からせ的な方向性も含まれると思うんですが、とにかく本シリーズは圧倒的に軽いノリで進行するので、そこまで暗くも重くもならない。あり得ない世界としての時代劇という緩さが大きな魅力だと思います。暴力的すぎず、かといってイチャイチャになるわけでもなく、都合のいいモノ扱いするクズキャラが極端に立つわけでもない。トホホなノリで終わるエンディングとかすごく特徴的ですよね。とにかく軽い。その中でひたすらエロの純度のみを高めていく。
 3Pならではの魅力もあるんですが、個人的にものすごく良かったのは、妹がやってる(やられてる)ところを見る姉。彼女はその気持ちよさを十二分に知ってるからこそリアルに想像でき、だからこそウズウズムラムラと高まっていく。2人同時の攻めみたいな話ではない(主人公が強いから)のですが、やってる横にもう1人いる、という魅力がとんでもなかったです。

『コネクト』Hamao

 後編。同じく続編ですが、コンセプトが全然違うので面白いですね。こちらは完全に前後編としての作りで、溜めに溜めた感情とドラマが爆発する形でセックスに至る。本番は初。焦らされたという意味で見事な後編なんですが、さらに続くらしいので驚く。「後編」って言われたら終わりだと思うじゃん? まさかの、さらに続きがあるそうで。嬉しい。
 下拵えは済んだので、後編はすぐに本番……と思ったら結構焦らすので最高。G事件の際、「これはいくぞ……!」とソワソワしてたら、そのまま次の場面に移るので熱い。そこから再び部屋への誘いが入って、今度こそ。焦らしたけど、いざ始まると結構サクサクと進行していく感じも良かったですね。過去(前編)で本番直前まではやってる2人ならではの距離感。再び始めるまでのハードルは高いけど、いざ始めてしまえば前回行ったところまでは余裕。
 からの挿入。最初は互いに目をつむるコマが多かったけど、少しだけ余裕ができると目を開け、そこで目が合い、セックス開始後初のキスという丁寧な流れが良い。てか、キスというのはタイトルの『コネクト』そのものでもありますね。保たれてた連絡先とか、そもそもヒロインの名前が小糸で、ギリギリで残されいた繋がりをたぐり寄せて今強烈に繋がり合うことになる。前戯のくだりから強要されてた声が漏れる件についても、キスできる距離まで近づくことでより意識させられますね。
 エピローグ。「もう一回」のキャンセルは虚しくもありますが、別人のように、そしてかつてのようにイチャイチャしてくるヒロインの様子が可愛すぎるので最高。てか、よく考えたら放置しておくことができないアイスを買ってきたのが主人公の敗因だった気もするw(夏は夜でも外暑いのでしゃーない)

『玻璃の欠落』玉ぼん

 前編。いよいよ始まりました、な前編。がっつりストーリーを描きながら同時にエロ的な見せ場も欠かさない、という圧倒的大作感が素晴らしかったです。今回描かれるエロシーンは、物語的な位置づけ的に序章で描かれたものとほとんど同じ……と思ったらすべてがひっくり返る情報が最後に飛び出てくる。最高すぎる。読み返したら序章のラストでヒロインが悪女としての決めゼリフ的に “私が孕んだらあの人たち” “どんな顔するかしら” と言って終わるんですが、そんな彼女の持つ最大の武器がそもそも存在しなかった……という絶望。良すぎる。気泡の入ったとんぼ玉、割れたとんぼ玉というモチーフもヒロインがすがるものとして魅力的だし、そもそも彼女自身のようでもある。
 何気にストーリー的に好きだったのは、主人公のゆき子に直接的な攻撃を繰り返すちよ子の母もちょっと可哀想な被害者という側面が描かれた点。結局のところ一番悪いのは父親であり、家そのもの。その家をめちゃくちゃにする切り札としてセックス(妊娠)が描かれてたのですが、その前提が壊れる……。この家でまともなのは家の外の人間である四郎のみかと思ったら、彼も家の中に回収されることに目がくらむ、というのが最初。一貫して家(家父長制)が最大の敵として扱われるんですが、これがセックスと不可分なテーマだったという着眼点が見事ですね。セックスという行為によって物語に変化が生じる、という構造。その前提が崩れることになるので最悪かつ面白すぎる……。
 意外だったのは、ちよ子のクズ説もちょっとだけ出てきた点。これに関しては、ちょっとでもよその男と話したらそういう噂をされる、という閉鎖的な社会のクソさを描く場面だったという気もするのでクソと断定していいのか少しためらってしまうかな。ただ、どっちに転んでも話的にめちゃくちゃ面白そうなんだよなぁ。
 救いとしては、四郎は比較的まともというか、やはり常識的、もしくは正気な印象。跡継ぎの件で目がくらんでましたが、あれは数年前の出来事で、そのあとでゆき子との関係を始めたので、気持ちが揺れるなどの可能性は期待できるかも(したい)。 “とんぼ玉の簪を覚えていますか” とゆき子に聞いていたのも良いですよね。彼はしっかり覚えてたわけで、何なら今回ゆき子が簪を奪った件についても彼女の心理を理解してくれてる可能性。まぁ、問題は彼の最大の関心、優先順位が最も高いのが家かもしれない点。ゆき子が家への憎しみを語る際、珍しく四郎は彼女に背を向けているのとかマジ勘弁してくれw 何とかハッピーエンドになってほしいのですが、家を出るか家を壊すしかないですよね。ゆき子はその手段として子作りに執着してたに過ぎないので、子供を持つこと自体が目的ではないと言えそう。なのでまだ救いの目はある。ただ、相手に理解があれば、というのが困った話。頼むよ四郎~!

『だるエッチtoすきエッチ』いつつせ

 作風にギャップありすぎて笑ってしまうが、逆に救いでもありますね。
 エッチよりオナニーの方が気持ちいいと言う彼女のために特訓。絶対分からせとか復讐めいた話になると思ったんですよ。そんで逆転されることがクセになっちゃって……みたいなオチになると思ってたんですが、そんなことはない。よく考えたらタイトルに書いてある通りなんですが、ヒロインが改心する話なので不意に感動してしまった。いや、改心というほどキレイな感じではなく、極端なキャラクター性は保ったまま相手を思いやり、理解し、自ら歩み寄ろうとすることを覚える。相手を気持ちよくしようとすることが、一周して自分が気持ちよくなることに繋がる。超良い。超良くない? セックスを介した物語において最もシンプルで最も美しい形と言えるのではないか……などと大げさな表現を使いたくなるくらい刺さってしまった。単にイチャイチャな話が好きというだけでは説明できない良さがあったと思います。セックスとオナニーと分ける決定的な事項は相手を思いやること、と哲学めいた感想を抱いてしまった。性教育の教科書に載せるべきでは(18禁なのでダメです)。
 ヒロインの心境の変化を象徴する、本来なら受け身の体勢のまま自ら腰を突き出して 挿入()れる!!” 。絵面としてはヒップアタックみたいでコミカルかつ可愛らしいんですが、テーマと彼女のキャラクターとして完璧というか、象徴的で本当に良かった。受け身に見えたヒロインが実質的には攻めを担ってて、みたいな作品はそこそこ多いと思うんですが、本作はそれとはひと味違ったニュアンスがあって素晴らしかったです。その後、 “私から挿入(はい)っちゃう♡” と変化するのも見事でしたね。本当に良い話だ……(そういうノリの作品ではないかもしれないが)。

『ひとりでシないで 番外編@電車』エロ井ロエ

 人気シリーズの番外編。ついに家を飛び出してしまうんですが、よく考えたら主人公(霊)の設定を考えたら何の問題もなかったですね。今までなかったのが不思議なくらい。
 霊なので服を無視して触れるし、挿入もできる。能力の覚醒ぶりが最高なんですが、その描写がとにかく良い。過去の2作でも霊の姿が見えないことによるヒロイン単体のとんでもない体勢とかは描かれてきましたが、本作はその延長として、電車内で立ってるだけなのにセックスしてしまう。マスク越しのフェラのアイディアと絵面も素晴らしかったです。椅子に座ったので挿入ではなくフェラに移行というのも面白い。実際は椅子もすり抜けて挿入することは可能なんだろうけど、主人公の視点的(たぶん彼は自分が見えてる)にそんなにエロくないってことなんだろうな。
 設定は違うけど、いわゆる魔法のオナホ的なファンタジー設定だと本作と似たようなプレイはあり得ますが、それと決定的に違うのはやはり竿役の「その場にいる」感。竿役がいない絵面も最高だけど、その場にいて、完全に一方的に彼女を好きなようにしてる、というアンバランスさも良い。

『人妻っていいな』mogg

 同年代や年下には興味がなく、人妻専門。金銭の授受はなさそうなので、あくまでもヤリモクのマッチングで人妻に限定してる感じかな。
 素直じゃない人妻を一方的に攻めて、「なるほど これはタイトルの通りだ」とか納得してたら、まさかの2人目が出てくるのでたまげました。次は少し年齢が上がり、さらにエロの関係においても彼女が主導的。人妻と言っても千差万別であり、いろんな人妻が楽しめるのが本作の本質。人妻の誰々が好きって話ではなく、マジで人妻という概念全体を愛する、もしくはプレゼンするような作品になってるのですごい。mogg作品だと過去にもこういう複数のヒロインが次々と出てくるタイプのものありましたけど、今回はそこに『人妻っていいな』というタイトルを付けたのが白眉ですよね。
 3人目がさらにまさか。まさかの元カノ。たしかに、主人公と別れたあとに結婚すれば当然人妻としてカテゴライズされますね。アイディアがすごい。仕返しというよりは、主人公の好みの淫乱人妻になったことの喜びに浸ってる感じが強いのも独特。制服を着せるのも思い出に浸ったり、彼女を恥ずかしがらせる目的もあるんでしょうが、人妻がコスプレして不倫してるという部分にたしかなワンダーを感じざるを得ない。単なる若奥様では終わらない複雑さがあるのが見事ですね。ひたすら意外なんだけど、同時にまったく知らない良さに教わるような感覚にもなれる。

『夜淫』背中が尻

 彼氏不要論を唱えるヒロインと悪いおじさん。いや、年齢的にいはお兄さんだけど、おそらく親戚? きつく正論をぶつけてくるヒロインに軽く仕返しのつもりで言い返したら核心を突いてしまって、そのまま。12ページと短めの作品なのでサクッとエロに発展するんですが、それが彼女のチョロさ、もしくは脆さみたいなものを感じさせて良かったです。彼女としては背伸びしたい心理もあっておじさんに興味(好意)を抱いてたんだと思いますが、その距離感とおじさんから詰める距離感が微妙に噛み合わない。そのまま流されて、ずるずるとハマっていく。
 主人公としては、軽いカウンターのつもりがあっという間にセックスに至ることもあって、彼の感情、表情が動く描写は特にないんですが、最後の最後にヒロインが「認めた」ことに対して思わぬ口元が緩む。ここで初めて彼の心理が露わになったというか、彼自身をそれまで表に出してこなかったものの蓋が思わず外れてしまう、みたいな感じですかね。計画通り的なニヤリではない印象を受けました。間違いなく彼が落とす側の人間なんだけど、彼女のある種のチョロさに彼の方も深みにハマっていくような感じがあって味わい深い。

『かわいいから、』平丸あきら

 急に不機嫌になる彼女のことが “よくわからない” 。こないだweeklyで表紙として描かれてたのは本作の子ですね。「新作だよね?」とソワソワしてたので早めに読めて良かったです。
 蓋を開けてみればスーパーイチャイチャ大戦みたいな話で微笑ましさの極みなんですが、主人公が「わかった」果てに行き着いたのがハードな攻めによるイキ狂いなのが良い。平丸作品らしいイキ狂いなんですが、そこに暴力的な要素が完全にゼロになってるのですごい。いや、厳密にはイキ狂いというよりは彼女がイッた後も何度も続ける、みたいな感じ。プレイとしてえげつないことはしないけど、無限絶頂編みたいなことになる。それが「わかった」という恋人間のコミュニケーションが進歩した証として行われるのがめちゃくちゃ良い。あらすじとして考えれば非常にシンプルな話なんですが、足りてなかった2人のコミュニケーションが深化する話なのでそれ自体が感動的というか、クライマックスにおける今までよりも深く踏み込むセックスそのものがドラマ的な到達点になってる。エロ漫画として「わかる / わからない」というテーマを持ってきたのが慧眼だと思います。
 平丸作品でお馴染みの主人公のモノローグによる進行。心で思うだけで相手に伝えないので、2人の非対称性みたいなものとして機能することが多かったと思うんですが、本作の場合は「わかろうとする」という主人公の成長の話になってるのが素晴らしい。また、主人公が要所要所で超重要なセリフを「わからせる」ため……と書くと語弊がありますが、「伝える」ためにセリフを吐き、それによって彼女が明確に喜ぶリアクションが描かれてるのも良いですね。ちゃんと「わかる」のテーマが双方向的なものになってるのでイチャイチャの純度が高い。
 あとは、過去作でも感じられたヒロインの天真爛漫のちょっとした仕草や言動みたいなのが本作も圧倒的な魅力だったと思います。何なら冒頭の不機嫌な状態すら可愛いの困った。いや、そこで慢心せずに前進しようとした主人公は本当に偉い。

『つく尽く』多紋サカキ

 文芸部の後輩のことをよく見てるので、よく分かる。偶然ですが(もしくは編集部の意図)、2作連続で「分かる」がテーマですね。好き! weeklyデビュー組の作家が偶然同じテーマを扱ってるのが勝手ながらテンション上がるんですが、テーマは同じなのに内容がまったく違う、それこそアプローチは真逆とも言えるので面白いですね。『かわいいから、』は恋人が「わからない」ところから始まるのに対し、本作は非恋人状態が「分かる」ところから始まる。本作は文芸部ということもあり、静かでしっとりとした雰囲気の中じっくりと距離を詰めていく過程が丁寧に描かれてて最高にドキドキします。またテーマと思われる「分かる」の類義語として「見る」があるのも最高。見ることで分かる話。当たり前ですが、漫画は視覚のみのメディアなので、劇中で主人公が分かろうと見る視線がそっくりそのまま漫画としての表現になるので読んでる際の引き込まれる感覚が強い。セリフがなく、見て分かろうとする場面における緊張感と徐々に近づきエロが進行していく感じとかマジで絶品でした。仰々しく言うならその読み味が文芸的。
 などという理屈っぽい感想もいくらでも捗る作品なんですが、シンプルにヒロイン可愛すぎますね。冒頭から可愛すぎてびっくりしってしまったし、その後の場面でどんどん魅力が増していく。多紋作品で制服ヒロインってそこそこ珍しいと思うので、その新鮮さもあったのかもしれません。ただ、個人的な好みとして制服ヒロインなので過剰に加点が入るわけでもないので、単純に本作の絵柄が刺さりに刺さった形なのかな。いかにも漫画チックな巨大リボンなんですが、それなのにちゃんと(一見すると)ミステリアスな文学少女としての存在感が成立してるのも何気にすごいですね。
 ヒロインも可愛いし、ヒロインの友人たちも可愛く、何なら竿役も可愛かったと思う……というか、主人公が直接言及するような場面は少ないですが、主人公も「見られて」「分かられる」側なんですよね。それこそ裏テーマのように作品全体を通底している。特に2周目以降に味わいが増してくる要素。ヒロインの友人やモブ、先生から見られてバレバレという描写が微笑ましい。

『花井家』どえむたん

 父親とセックスするのが当たり前な花井家の日常と非日常。狂った世界の話かと思いながら読んでたらイレギュラーな雰囲気を醸す「ポチ」で一気に不穏。「あーこれはまさか……」と最悪なことを想像した結果予想が当たったわけですが、催眠ですね。催眠による一家の乗っ取りと支配。珍しく自分の勘が良くて満足してたら、それがバレた前提の上でどんどんツイストしていくので面白い。催眠による乗っ取りだけで読切一本終わらせて十分すぎると思うんですが、正直ちょっと面白すぎる。乗っ取られた家に催眠が解除された長女が帰り、戦いを挑むって展開が熱いし、その催眠が解除されつつ、徐々に真相が明らかになる……という話運びもスムーズで快感。あらすじとして面白いのもあるけど、その提示、説明の手際が良すぎる。
 ということで対決。まぁ負けるんですが、単に「結局催眠術が強かった」では終わらずに、いちいち術師側にロジックがあるのが良い。バトル漫画としての基本がしっかり抑えられてる感ありますね。認識は戻っても体は調教済みなので、というだけで面白いのに、そこからトッピングとして足されていく新たな催眠がいちいち面白い。術師は長い乗っ取り生活があるから「何をかけたら面白いか」を熟考してきたんだろうなぁ。そういう説得力を感じてしまう。「幸せになる」「感度が上がる」だけど決して「好きになる」とか「逆らえなくなる」ではないんですよね。あくまでも反抗してくる子を相手したいのであって、極めつけは「嫌いになる」。幸せになりつつ、感度が上がりつつ、嫌いになる。矛盾しそうでギリギリのところで成立するというか、まさしく脳がバグりそうになる感覚がものすごくリアルで面白かったです。個人的に「幸せになる」という内容はマジで目から鱗でした。条件付けとしてものすごく絶妙なラインだと思います。

『特等席』MURO

 男性1人と女性の双子。双子の姉と付き合っているのだが、主人公である姉は彼氏が妹と喧嘩しながらも仲良くしてる光景が大好きで、自分に対して妙に気取ってくる彼氏に物足りなさを感じている。ので、妹のフリして彼氏と寝取りセックス(寝取られかも)。ややこしい~。そのややこしさが面白すぎる。直前の『花井家』、ついでに直後の『そういう妖怪』もそうですが、やけに複雑なルールの元で進行するセックスが面白すぎる。設定の時点でどれも勝ちだと思うんですが、3本ともページ数が普通のサイズなのがすごいですよね(『そういう妖怪』はやや長い)。この複雑さをスマートに説明し、整理し、キャラの魅力を立て、起承転結があってちゃんとラストに盛り上がるようになる。当然セックスをするわけで、オモシロの情報過多でしょ。読者としては贅沢な限りです。
 複雑なセッティングがそっくりそのままヒロイン(姉)の性欲の発露になってるのが良い。キャラの魅力ってのもそうですし、この複雑なストーリーでしか発散できない性欲がそこにはある。読者がエロ漫画を読むのは現実ではあり得なかったり、あり得そうで味わいたいことを追体験するため、という気持ちが多少はあると思うんですが、本作のヒロインはそれを妹の承諾の元で実現する。
 ヒロインが楽しそうで何よりなんですが、それでも竿役が蚊帳の外になってない。書き割り的な存在になってもおかしくないと思うんですが、しっかり血の通ったキャラクターになってて魅力的ですよね。不自然なセックスレスからの急な旅行に浮気をほぼ確信していて気が狂いそうになってる様子には同情しつつも少し笑ってしまいました。同時にめっちゃ良い奴で好きになっちゃうんですが、そうすると流されてセックスするのが複雑な気持ちに……と思ったら、彼が最後までやると決心するのが、エロに溺れて暴走するのではなく彼女(姉=目の前の人)を愚弄されたことに対するキレがきっかけになってるのでナイスガイ感がなくならない。すごいバランスを保ったまま完走してしまった……。
 話が話なのでイチャラブ的なセックスには一切ならないんですが、自分を捨てて彼氏と浮気セックスすることで、彼氏の本当の気持ちを知ることになる。ちょっとここで急に良い話になってくるのが超良かった。姉という立場を捨てたはずなのに、彼氏から姉への本当の思いを剥き出しの形で知ることになる。この特殊すぎるロールプレイをしたからこそ到達できた話になっててちょっと感動みたいな気持ちにもなるんですが、エピローグでの彼氏の自責の念では笑いました。そりゃそうなりますよね。つくづく良い人である。その様子に姉が満足してネタバラシするのも爽やかなエンディングで素晴らしかったです。あの出発点から爽やかな終わり方するこってあるのか……。

『そういう妖怪』いだ天ふにすけ

 住み込みで働くことになったが、そこには人形みたいな可愛い子がいて、オーナーに良いようにされてる。「どういう話!?」と思いながら読み進めてたら例のヒロインが夜這いにくるので「どういう話!?」と再び驚いてしまいました(夢中)。
 当然のように彼女に魅了された主人公だが、彼女を好きになればなるほど彼女の境遇に納得できなくなり、彼女を救いたくなってくる。初読時ここらへんの段階では普通にヒロイックでかっこよく感じてたんですが、2周目以降は「男のヒーロー欲って本当みっともねぇな」みたいな気持ちになってしまうw いや、主人公は完全に受け身の立場で始まってるので巻き込まれたいわば被害者的な立場だと思うんですけどね。ヒロイックな選択をしたと思ってたのにすべてヒロインの思惑通りに転がされてたのが不憫……を通り越して少し可愛くも思えてきたかも。かっこよかったのにおっぱい見たらすっかり惑わされちゃって、チョロ可愛いのかもしれない。
 ヒロイン。圧倒的魔性で男たちを惑わし、家を転々とする、まさに妖怪。彼女の目的はマジで謎なんですが、「家」に執着してるのが妖怪っぽくて良いですよね。いや、執着というほどではなく、ちょっとしたマンスリーマンションくらいの感覚なのかもしれないのですが。彼女はお人形みたいなファッションに身を包んでたのも、家と人形という意味で興味深い。圧倒的な非日常感が魅力ではありますが、彼女が外に出て普通に暮らしてるのはまったく想像できない。可愛い格好の割にはやけに露出が多くて、彼女の(男を惑わせる)攻撃力を感じる。主人公はかなり直接的なエロで誘惑されましたが、おそらくだけど彼女の必殺技はそれほどエロに頼ってなくて、「旦那に酷いことをされてる可哀想な私を助けて」と暗に伝える。エピローグで「次の人」に移るんですが、次の旦那を落とす際に色仕掛けを一切使わないのでもはや超常的な恐ろしさ。
 おそらくだけど、性癖的には生粋のMで、「裏切り者」とブチギレられながら攻められるときが唯一彼女が心の底から満たされる瞬間なんだと思います。が、その瞬間は一人の男から一晩しか得ることができず、その度に男たちは人生が狂う級の絶望に陥ることになる。怖すぎでは……。

『こんなに大きくなっちゃった♡』吉田Killy

 ハーフで完璧な王子様の幼馴染と再会したら、でかい。正直冒頭のショタアンドレが好きすぎるのでヒロインと同じようにワクワクしてからずっこけてしまったw ただ、現在のデカアンドレ、ちゃんと面影を感じるというか、同じキャラクターだと感じられるので見事ですよね。あまりにでかいので存在自体がギャグみたいな雰囲気ですが、彼自身は変わらず理想のままだし、普通に超良い人なので「別に大満足では?」となるが、ちょくちょく “でっっっっっか” と差し込まれるので笑う。理性では言うことなしの理想だと分かるが、直感がギャグ的に “でっっっっっか” とリアクションしてしまうw 漫画的に面白いってのもありますが、ヒロインとしては幼少期にショタアンドレに一度性癖をぶち壊されてるので、その幻影と重ねてしまうってのもあるんでしょうね。なので、でかさを目の当たりにする度に一瞬冷静になってしまう。アンドレ自身は何も悪くないんですが、強いて言えばショタアンドレが悪いw
 問題はない関係なので順風満帆にセックスへと至る。至るんですが、これまでスーパー紳士だったアンドレの服の脱がし方があまりにスケベなので最高。あのおっぱい「ばるんっ」のコマで本作がラブコメから一気にエロ漫画へと昇華したような印象でアガるんですが、ひょっとしたらアンドレアンドレで彼女の現在の姿を見て “でっっっっっか” と感じてたのかもしれませんね。胸を見て。本作、特別尖ったデザインの制服って感じではないんですが、あの服を全部残したまま胸まで到達する脱がし方がマジでめちゃくちゃ良い。ブラの存在も確認しながらエロが進行し、激しくなるに従って徐々に脱ぎの範囲が広がっていく。個人的に大好物な展開でアンドレには感謝を伝えたい……。
 ちょっとだけあるデートシーンでの私服も凝ってて可愛いんですが、よく考えたらあれも胸が強調されてると言えるので、アンドレが内心 “でっっっっっか” となってた可能性。
 エピローグ。急すぎるパロディで笑ってしまったんですが、一戦を終えたシーツの皺が妙に迫力あって好きです。クレーターになっててもおかしくなさそう。

『童貞たちの神になる』ゆりしましろ

 露出でしか反響がもらえない処女コスプレイヤーが開き直る。「オタサーの姫誕生譚みたいな感じかな?」と思いながら読み進めてたんですが、方向としてはその通りなんだけど明確に思ってたのと違うことになっていくので最高でした。いや、タイトルで言った通りなんですが。
 オタサーの姫的な立場だとしても、そのヒロインに対する怒りの感情を爆発させるような話にはならないんですよね。エピローグでちょっとだけ「それでいいのか?」的な視点は入ったものの、妙に抜けが良い雰囲気のまま終わったというか、何ならヒロインの成長譚みたいな感動もあった……のか? あった気がする。スケールのでかさというか、ヒロインが受け止める童貞たちが予想を超えてくるし、それを満喫するヒロインが魅力的だし、ハッピーエンド感ある。たしかに、オタサーの姫型の話がみんな姫に対して悪感情を募らせるのもよく考えたらおかしな話ですよね。オタクは楽しんでんだからもっと感謝しろよって話で。その点、本作はヒロインがオタクたちの理想が100%体現しつつ、理想の一歩先みたいなものまで提供する始末。究極のウィンウィンなのかもしれない……。
 冒頭のコスプレイヤーの悲哀とかリアルで良かったし、突然対面で筆下ろしのリクエストされるのとか怖すぎて可哀想に思ったんですが、そこで「乗っかるの!?」と思ってしまうほどにヒロインが一線を越えていく。セックススキャンダルで炎上するが、エロを積極的に売りにする場合においてはむしろ好評で……とどんどん話が加速していく感じも面白かったです。ものすごいスピードでスケールが大きくなっていく感じとかちょっと寓話っぽい雰囲気あるんですよね。それでいて、本当の自分を見失って云々みたいな説教じみた要素は極小。要するにペルソナがコントロールできない勢いで肥大化していくような話だったと思いますが、それを選択し、積極的に演じてるんだからそれはそれで本当の彼女なのでは。と開き直る……とは違って、妙に清々しい話になっていく。承認欲求に踊らされる愚かな女性の悲劇という感じではないんですよね。それがゼロだとも言わないけど。よく考えたら徹頭徹尾、彼女は何一つ悪いことをしてない、というバランス。まぁ、省略されてるだけでオフパコ撮影会の参加費とかあるのかもしれませんが、正直正当な対価に思えてしまうw ヒロインが積極的に知恵を絞ってサービスしてる感じがダークになりすぎないというか、良い話なんだよなぁ。

「読者コーナー」

 葉月つばさのコスプレ連載が好きなんですが(コラムも面白いです)、ようやく何が好きなのか分かった気がします。エロ漫画に出てくる非エロな1コマ、非エロだが明確にヒロインの魅力が輝く瞬間に改めて注目してみる、というのが個人的な好みなんだと思います。毎度毎度作品とコマのチョイスが良いんですよねぇ。作品の魅力を再認識させてくれるという意味でもとても良いコーナーだと思います。のぞき部屋は怖そう(コラム)。
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 終わり。土曜くらいに更新したかったんですが、普通に無理だったので、月曜のブログ本館を後ろ倒しにしてこちらを更新しました。困ったときの対処としては良いんですが、それが当たり前になると今後がヤバそうではある。
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