北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2025年8月号の感想

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 月曜(深夜)に更新するときは、更新の遅さに焦ってブログ本館の進行を後ろ倒しにしてるときです。
kitaku2kitaku.hatenablog.com

陰キャ同士のセックスが一番エロいよね #3』どじろー

 扉が体育倉庫でのセックスを予感させるのですが、その扉が差し込まれるタイミングが意地悪なので「竿役はどっちだ?」と少しざわざわする。話の展開では2人の男で揺れるような要素は全然ないんだけど、火のないところに立てられた不穏な煙という感じ。
 そんなメガネくん。陰キャの悪い面が出まくりで今月も笑うんですが、そんな彼を安易な噛ませ犬として扱うのではなく、上村が「俺もあんな風に見えてんの?」と反省する話になるので良い。メガネくんの出番はおそらくこれで終了だが、作品においてなかなか大事な役割だったと言えそう。2人の陰キャ男子が同じだとしたら、実際に告白という一歩を踏み出したメガネくんの方が偉いという見方すらある(交流ない相手にいきなり告白するのは陰キャの悪いところでもあるが)。
 そんなこんなで上村が頑張る。互いになあなあの関係を続けてきたが、先にはっきりとした動きを見せるのは上村。偉いぞ!! よくやった!! とか思いながら読み進めてたら想像を絶する最悪な告白に至るので笑ってしまった。その切り口は予想外w マジで最低すぎるんですが、やっぱり変化を恐れずに一歩踏み出したこと、それ自体は偉いですよね。陰キャ陰キャという属性に甘えずに陰キャから成長しようとする話になってる。本作における陰キャの2人ってどちらも自意識をこじらせてるが故の陰キャだと思うんですが、上村はメガネくんを通じて自分を客観視することで殻を破ることができた、という感じですね。陰キャの成長譚、熱い。どう見られるかとかを気にせずに思ってることをそのまま伝える。伝えた結果があの最悪な告白なんですが、それでも自意識をこじらせたまま何も言えずに状態よりは一歩くらいは前進してると言えるんじゃないですかね。こうなると自意識地獄の最後の砦はやはり天野……。本話では全編通じて受け身のままだったわけですが、物語の締めはやはり彼女なのですね。正直、タイトルの「付き合う直前って今のことじゃない?」という気もしたんですが、さすがにタイトルに嘘はないと思うので「まだ付き合わないってこと!?」と驚くと共に、最終話がめちゃくちゃ楽しみですね。
 エロ的には、本シリーズになって初めての天野のおっぱい。上村が勝手に事を進める一環としての胸なんですが、今までの2話はモヤモヤを抱えてたので「おっぱい見たい」と素直に伝えられなかったってことなんでしょうね。本話で上村は外聞をかなぐり捨てたので、ようやくおっぱいにたどり着いたのでしょう。となると最終話は上村も脱ぐ話になるというか、互いに全裸ってことかしら。あとは、天野のセックス中に顔を隠す癖が相変わらずなので、そこを打破するのかも注目ですね。本話でセックスする直前、上村が天野を抱き寄せた際、本話では唯一と言っていいほど平和な空気が流れるんですが、あれは抱き寄せたことで互いの顔が見えなくなって多少は素直になれた、ってことなんだと思います。天野は面と向かわれるととにかく弱い。自意識こじらせモンスターの習性としてものすごくリアルですね。上村に最悪な告白をされた際、顔面にグーパンしたのも顔の拒絶という意味で理にかなってるというか、限界まで追いつめられた天野の生態として納得できるものがある。

『桃どろぼう』楝蛙

 野良猫に夢中で遅刻する新卒と、その新卒のお尻に夢中の先輩。お尻!! 楝蛙作品における大きな武器がお尻なのはもはや言わずもがなだと思いますが、話としてお尻にフォーカスするのって意外と珍しいと思うんですよ。本作ではついに(?)お尻好きの竿役によるお尻のための作品になってて素晴らしい。好みがあるので最高傑作は意見が分かれると思いますが、「楝蛙作品と言えばお尻!」という意味において一つの代表作になったと言って問題ないんじゃないですかね。お尻を突き出すポーズから猫というモチーフに繋がったのも良かったというか、猫ちゃんも可愛くて最高でしたね。猫カフェの場面の猫は毛並みの良さも伝わってくるし、愛嬌も良いのでとにかく強い。猫にモテてぇ……。
 楝蛙作品でパンツスーツといえば、『うさちゃん先輩はおちんちんに弱い』が大傑作すぎて記憶に新しいのですが、本作では後輩で、ちゃんと後輩キャラらしい魅力に溢れた作品になっててお見事でしたね……。猫モチーフというのが利いてて、後輩キャラに猫っぽいイメージが重ねられてて最高でした。具体的なプレイ内容的には完全に主人公が攻めなんですが、セックス自体を誘ったり、主体的なのはむしろヒロインの方で。振り回されつつ奉仕したい、という感じが猫への溺愛感と近かったと思います。
 報連相を織り交ぜたプレイも大人のごっこ遊び感あって素晴らしかったです。2人とも照れ隠しとして「なんちゃって」のニュアンスを込めてたと思うんですが、報連相と称して具体的なプレイ内容を逐一言葉にして伝えるのが互いの客観視に繋がってて非常にエロい……。お尻がテーマということもあり、途中からすべてバックの体勢になるんですが、向き合ってないから報連相が必要となる流れも素晴らしかったですね。そして、連絡と報告はあったけど、さすがにセックス中の相談は無理だよね……と思ったらエピローグで見事に「相談」で落としてくる。可愛すぎでは。

『DIVE!!』えーすけ

 水泳部を卒業したが、受験勉強に打ち込めず性欲を溜め込むばかり……というところに弟の友達が現れる。竿役が可愛い! えーすけ作品にそんなパターンがあったのかよ。完全体になってしまう……と個人的にかなりの衝撃でした。奏くん最高でした。ヒロイン視点の作品で、弟の友人と出会うことで限界を迎える話というのもめちゃくちゃ良い。「友人の姉が」ももちろん好きですが、本作ヒロインの物語と、竿役の他者性という意味で「弟の友人」が至高。ありがてぇ……。
 ヒロインが水泳部仕込みの体力で一方的に、という感じなんですが、いくら可愛くてもそこはえーすけ作品の竿役。有り余る性欲と精力、そして暴走する気持ちで徐々に竿役が優勢になっていく、という逆転の流れも最高でした。竿役がうまいとか強いという印象は最後まで少ないんだけど、それでも負けてしまうのが素晴らしかったです。逆転ではあるけど、最後まで可愛いというか、一生懸命迫ってくる感じこそが魅力なので理性が屈してしまう。悶々としてたヒロインが「する」ではなく「される」で真の発散に至るというのが意外でもあり、非常に納得のいく話だったと思います。オナニーじゃ「される」は絶対に味わえない感覚なので。それを満たしてくれるのが自分より下の立場の人間だったというのも都合の良さというか、ちょっとした安心感って感じですかね。理性が屈する話ではあるんですが、意地悪な年上男性に堕とされるのとは全然違う味わいでしたよね。奏くん、今号のベスト竿役でしたわ。

『making of the legend』ぐじら

 童貞を捨てるため、ヤリマン四天王に会いに行く。ヤリマン四天王って何ですか……とこちらが飲み込む隙もなくどんどん話が進んでいって、おちんちんボロンで一気にセックス成立になるので面白すぎる。普通の作品だったら話が急すぎるとなってもおかしくないんですが、ヤリマン四天王なんだから仕方ない。エクスカリダカリバーの持ち主なら一発オッケーで当然である。
 というようにギャグ調で進むような作品なんですが、極端なキャラクターの中に繊細なキャラクター描写があるというか、ちょくちょくセリフを排したじっくりと間を取るような場面が挟まるのでめちゃくちゃ引き込まれる。ヒロインはヤリマン四天王でセックス大好きなので主人公に対して優しくしてくれる、というのもすごく魅力的でした。お金のやりとりはないので、彼女は彼女ですごく前のめりなんですよね。童貞に優しいヤリマン、オタクに優しいギャルくらい流行ってほしい。ギャルよりも納得度が高いかもしれない……。
 普通に面白すぎたので終盤には忘れてたんですが、四天王なのでね、当然残り3人がいる。それが登場したかと思ったらその後も続々とスケール感のインフレを果たすようなエピローグになるので笑ってしまった。それでもまだ一つの学校の中で留まった話になってるのが良いですよね。全国大会とか日本統一編とかもやってほしい……。

『あくまのあくむ』よるげ

 インキュバス、人間に捕まる。おっとりしてるけど謎の緊縛スキルを発揮するヒロインが魅力的なんですが、竿役への対応が全編を通じて「動物」に対する接し方なところが本作の白眉。動物を愛し愛されの関係とかそれこそディズニープリンセスでもおかしくない要素なんですけど、本作はインキュバス相手でも変わらずに動物扱いというのが究極の支配として機能する。物腰は柔らかいけど、根本として上下の違いがあるというか、対等ではない前提で超優しい、みたいな。赤ちゃん扱いされるような屈辱感にも近い。
 そんな動物扱いと調教が最も象徴的に描かれてたのがゴム装着のくだりだったと思います。我慢の限界で挿入したがるインキュバスを前に、ゆっくりとゴムの説明をして、納得させた上で丁寧に装着する。そして満を持しての “よし♡” 。犬に対する「待て」としてのゴム装着。目から鱗でした。もしくはアレですね。散歩に出かけるとなって、超ワクワクして動き回ってる犬がご主人様がリードを持ってきたときだけじっとしてるみたいな本能的な喜びと調教的な我慢。本作の場合はインキュバスなのでゴムを知らない、という設定も活きてて本当に面白かったです。何も知らずに中出しを決めたと思ってるインキュバス可愛い。

『心、夏、薄氷。』雛原えみ

 就職の報告に田舎に戻ると、かつて嘘を流し込み続けてきた幼馴染のお姉さんに会う。かつてのおねショタ関係と、そのときの心の状態を引きずったまま再会するのが最高なんですが、おねショタ関係における偏ったバランスとして「嘘」を持ってきたのが面白い。たしかに大人(年上)と子供の決定的な違いとして知識がありますね。いつもいい加減な言動を繰り返すヒロインに振り回されつつ悶々としてしまうショタ、良い。あまりに良い。嘘がしょうもなさすぎて普通なら大人として憧れる要素は全然ないはずなのに、主人公にとっては……というところも熱い。
 本作は前編らしく、ヒロインの真意が何も分からないまま一旦劇終。大人になっても掴めない相手としての魅力は抜群なんですが、話の内容を考えるとヒロインに真相の部分が気になるというか、かなり不穏に感じてしまう。タイトルにある「薄氷」も何とも怪しいというか、薄命的な連想をしてしまう……。本作のプレイ内容としてアイスが出てくるのでその「氷」の可能性はあるけど、彼女が主人公をセックスに誘うときの嘘が “えーと… そうだ 知ってる? オナニーってやりすぎると寿命縮むって” と寿命というキーワードが出てくるのがめちゃくちゃ気になる。おそらく本作で唯一嘘をつく前に「えーと」と入るのも予定外の即興感があり、彼女の真意が漏れ出ちゃったのではないか……とか。 “好きな人とセックスすると寿命延びるんだって” がそういうことにしか思えないですよね。アイスプレイの嘘のくだりでは「治療」が出てくるのも気になる。そもそも田舎に帰ってきてるのが自分探しとか休職中とか気になる周辺情報も多い。主人公が彼女と会うときは常に2人きりで、他の大人と一緒にならない、他の大人に彼女の話を聞かない、というのも怪しく思えてきますね(ちょっと考えすぎになってきたかも)。……まぁ、そう主人公に思わせるのが大人になったヒロインの本気の嘘で、というハッピーエンドになることを祈ります。
 嘘にも関わってくるアイスプレイも単純にエロくて良かったです。暑さと冷たさ、という温度を想像させられるシチュエーションが生々しい迫力を生む。思えば彼女の登場シーンは花火なのでこれまた温度ですね。そしてアイスと同じで花火も消えゆくものの象徴なのでは……とか気になってしまうのですが、そんな雑念混じりだけど、雑念を払うかのように目の前のエロに没頭していくような感覚がリアルでこれまた魅力的。

『家事代行の水谷さん』みぞれ

 限界エロ漫画家が家事代行を頼んだら、担当者の存在感がすごい。とにかくデカいのでそこにいるだけで圧倒されるんですが、それを最初に表現する言葉が “存在感がすんごい…” なのがめちゃくちゃ良かった。胸とかお尻とかには直接言及しないのが良い。家事代行って頼んだことないけど、たしかに自宅に知らない人が「いる」ことになるので、存在感に対する不思議さは間違いなくあるでしょうね。そこにエロのニュアンスを感じ取ってしまうともう大変。
 主人公の限界メンタルと過労がもたらす、夢と現実の境が溶けてなくなるような語り口も最高。徐々に主人公の心が彼女の存在によって浸食されてる感。心というか、そもそも家を浸食される話でしたね。部屋の中は脳内の反映みたいな言われ方はよくしますが、本作はまさに主人公の脳内にヒロインが入り込んできて、存在感を増していく話。
 リピートしまくるのですが、来る度に彼女の服装がエロくなっていく、という「これはやっぱそういうことだろ!」と言いたくなるけど、確証を持つほどではない、という変化ももどかしくて最高。単純にヒロインの衣装が複数あると嬉しいってのもあるんですが、それが2人の関係性の蓄積を感じさせてくれるので熱い。
 いよいよのエロパート。エロハプニングみたいな事件があってそのまま……とはならずに一旦我慢。完全に我慢した上で、また別の日、今度は出会い頭に言い訳一切ナシのカミングアウト、というのが良い。リスクはめちゃくちゃでかいが、リスクをすべて主人公が負うことでヒロインが事故という言い訳に逃げることを防いでる、とも言えそう。
 とにかくそんな誘惑と我慢の果てのエロなのでめちゃくちゃ盛り上がる。理性がぶっ壊れていく過程が生々しくて、誘惑するヒロインの圧倒的強キャラ感も魅力。下手なサキュバス作品よりもサキュバスしてた話だった気がします。ただ、誘惑されてたのは彼女の方も同じで……と視点が反転する展開も最高。ここで一気に2人の関係性が深くなる感じがありますよね。エロの内容としてはかなり一方的に喰われるような印象も強い作品なんですが、パワープレイな内容の割に2人の心の交流が丁寧に描かれてて、事後に主人公が “俺… あの子のこと 何も知らないや” となる展開がエモい。あのサキュバスみたいな話からここまでの振り幅ってあり得るんですね。めちゃくちゃ良かったし、それまで出てこなかった風呂というシチュエーションで2人の関係性がまた一歩近づく、という終わり方も最高。あんなドエロな盛り上がりからこんな静かに余韻に浸るようなエンディングあり得るんですね。強い。

『まにまに』綿谷しんぐ

 就職に失敗して地元に帰ると、同級生の姉が未亡人になって現れる。当時以上に素敵な上、未亡人という属性が加わってワクワク、とのんきに楽しんでるとあり得ないほどトントンとエロいことになっていく。冒頭で描かれる主人公のエロ漫画好きという設定が地味に利いてて、最初はヒロインのことをある種コンテンツ視してたんですよね。それが本当にエロ漫画みたいに流れるようにエロい事態になっていき、まんまと乗っかってしまい、その先で真意を知る。最初は事情とかどうでもよくエロにふけってたが、ドン引き(もしくはキレ)級の真相。その日が四十九日、憎たらしかった夫への最後の見せつけ。怖すぎる、というかヤバい。ヤバい女だし、最初から狙いを付けられてたということにキレそうにもなるんだけど、それはそうと目の前のエロを断れない。まさに転落ですね。奈落の底からヒロインが誘惑してきて、ずるずると転がり落ちてしまう。未亡人モノって、ヒロインが可哀想だったり薄幸美人みたいなイメージが強いですが、本作の場合はめちゃくちゃ強い意志を持って、狂ったことをしてくるので面白い。谷間で出会った関係が、背中で堕ちる、という展開もキレイ。後ろから抱きつく形で亡き夫の遺影にコンニチハするのとか怖すぎるので乾いた笑いが出ちゃう。しおしお必至な気もするんですが、それをぶち抜いて誘惑が成立してしまう魅惑。
 具体的に何をしてくれという指示は一切ないのに、プレイとしては主人公が攻め一辺倒になる。が、どう考えても本日のセックスをセッティングしたのはヒロインの方で……という歪み。キレの感情混じりにその狙いに乗っかるんですが、ちょいちょいヒロインが可愛い顔を見せてきて、まんまとドキドキしてしまうのでつらいw 結局のところ年上ヒロインがあらゆる面で強かったというか。挙げ句、ヒロインの口から「好き」と言ってもらいたくなっちゃってるのが良いですね。年下としての弱みが全開だけど、その上下関係に快感を見出してしまってる。
 グチャグチャにされてしまいましたな……という感じの内容だったんですが、エピローグでは主人公の主観から一歩引いた視点でその後を描く。周囲の人間(主に母)から理解を得られるような関係ではないが、まぁ主人公本人が幸せならギリオッケーというか、ハッピーエンドと言えるのかな……という余韻に浸りながら最後のコマをよく見たらヒロインが指輪を未だにしてるので笑いました。やっぱダメだわw 破滅だわ。冒頭の谷間に見えた夫の指輪というのもそうだけど、ここぞという場面で指輪を見せる構図が本当に見事でしたね。絶頂の場面もそう。ヒロインの異常性の象徴としての左手。

『スポットライト』南文夏

 大学の音楽サークルの知り合い(元アイドル)とばったり出会う。2人とも背景は濃いというか、結構なドラマがありそうだが、その詳細を大々的に語らずに話を成立させるバランスが絶妙。エロパートで安易にアイドル衣装を着るわけでもないのも良かったというか、あくまでも「元アイドル」の物語が必要なのであってアイドルのガワは不必要、という感じ。ただ、カラーイラストの方でちょっとだけサービスしてくれるので嬉しい。が、本編と整合性の取れた過去の様子だと考えたら、それはそれで破滅の予感がありますね。
 2人が近づく、というか主にヒロインに気に入られる理由として出てくるのが「社会への不満」。内に秘めたる闇感情を共有することで深い繋がりを得る。アイドルはそういう闇感情を表に出しちゃいけない職業、ということだったのかもしれませんね。だから彼女は辞めたと。互いに、具体的に悩みを解消してくれるような話にはならず、直接深く悩みを聞くわけでもないんだけど、そっと寄り添うような関係のまま話が終わっていくのも素晴らしかったと思います。ドラマとして分かりやすくするためにもっと劇的な展開を用意してもおかしくなさそうなんですが、あくまでもほんのりと理解して、寄り添うくらいの関係で終わる。
 そんな物語のクライマックスとしてセックスが描かれ、そのフィニッシュとして描かれるのが “口に出していい?” 。ひょっとしたらこれは私の考えすぎかもしれないんですが、「口に出す」はダブルミーニングですよね。射精する場所のことであり、社会への不満を口に出す。まぁ、主人公の場合は音楽にして発表することなんですが。そんな主人公のリクエストをヒロインが “出して” と肯定することでフィニッシュを迎えるのがものすごくドラマチックで良かった。2人の感情や背景が乗っかりまくったエロというのは味わい深くて良いですね。そして、冒頭の場面からヒロインが持ってはいたが使ってはいなかった「聴く」ための道具であるヘッドホンを事後に使う。聴くのは当然主人公の社会への不満曲。闇感情が、他人の闇感情を浄化するというか、他人が闇感情に飲まれて心の健康を損なうのを止める効果がある、という話で、それがセックスとして描かれたのが本作、みたいな感じ。
 エロ描写に関しては、脱ぎの過程がめちゃくちゃ丁寧で、セックスの盛り上がりに比例して徐々に増えていく肌面積というのがめちゃくちゃ好みでした。そして、フィニッシュの際は全裸にチョーカーだけだったんですが、事後のヘッドホンを使う場面ではそのチョーカーも外して、というのが良い~。ヒロインが文字通り裸になって、社会との繋がりで生じた問題のあれこれを一時的に忘れる。さすがにピアスを外すまではしてないと思うんですが、ヘッドホンなのでピアスが見えなくなり、全裸にヘッドホンのみ、という見た目になるのも良かったです。

『混血インキュバスの日常』ちゅーりっふ。

 お馴染み混血シリーズの新作……が、まさかのインキュバス。シンプルな反転なんだけど、「その手があったか~!」と膝を打ちました。エロいギャルに捕まってあれこれされるのはエロ漫画では定番の展開ですが、本シリーズではそこに「混血」設定で理屈を通してくるので面白い。助けを求めたいのに先生にも絞られ、日常に戻ろうとすると教室で無数の女子に捕まる。出会う先々で絞られるのは仕方ないんですが(仕方ない?)、体育のための着替え部屋に突撃してしまう、という事故によって普段は絶対にあり得ない規模の悲劇になるのが面白い。『日常』というタイトルではあるものの、ここまでの乱交(一方的)は珍しいと思います。
 規模がでかく、めちゃくちゃ派手な話ではあるんですが、どの女子たちもどこか平熱というか、静かに、当たり前のことのように絞ってくるのが良い。ここらへん『日常』のタイトルにふさわしい温度感で魅力ですよね。混血の無自覚チャームではあるものの、熱に浮かされるような感じではなく、表情も大きく崩れることなく淡々と……というのが非常に良い。女子たちがあまり奪い合いにならないのも独特の味わいでしたよね。チンポ争奪戦にはならず、割と平和に、みんな順番を守って絞ってくる。逆に言うと、女子たちが揉めないので隙間なく、効率的に絞られ続ける、という悪夢感。記念撮影のくだりとかピースフルで超好きでしたw

『誘い水に濡れて』びしょおじ

 雨の中で涙を流すクラスカースト上位の女子と出会い……。めちゃくちゃエモなシチュエーションから始まるので素敵な話になるのかと思ったら、とんでもない変態たちのプレイに巻き込まれるので笑ってしまった。言われてみればタイトルがそもそも不穏でしたねw 超良いタイトル。
 彼氏に酷いことされてるらしいヒロインを優しくすることで2人の心の距離が近づいて……みたいな雰囲気があるんですが、ちょいちょい「あれっ 今日されるよう命令されたってことは……?」みたいな不穏さが混じってくるので面白い。格差のある2人がひょんなことから近づく、という良い話かと思ったし、主人公も劇中でそういうドラマの主人公感覚になってるんですが、実際は寝取らせプレイの寝取り役に抜擢されただけ。誘い水ってそういう……。てか、ヒロインの演技力が何気にヤバいですねw 冒頭の涙は主人公が錯覚しただけ(雨に濡れてるし)の可能性もあるかもですが、雨に濡れて声をかけてくるのを待つ、というのが女優魂すぎてすごい。演劇部に入ったら全国めざせると思うw
 挿入の直前に「思ってたのと違うなー?」というサプライズが訪れ、そっから引き返すこともできず、ヤケクソ気味に本番開始、という展開も良い。感動的なドラマの主人公であることを捨てて竿役として覚醒するというか、謎の熱さがある。そこでヒロインがいちいち彼氏の話をしてくるのも意地悪で良かったですね。そして主人公がキレてより盛り上がっていく。好循環である。好なのかは分かりませんが。
 この手の話だと、覚醒した主人公の攻めによってヒロインが完全に堕ちて、結果的に本当に寝取ることに……という線もなくはなかったと思うし、ちょっとそうなることも予期しながら読んでたんですが、最終的に彼氏への愛は強かったので笑う。ある意味ハッピーエンドですね。幸せそうなヒロインの笑顔と、顔は見えないが満足げなダーリンの姿が清々しいw

『異食症』ケレンメ

 本誌に移ってからはエモなドラマ要素も強く、漆黒のドラマ感は控えめになるのかと思ったら本誌2作目で容赦ない話を放り込んでくるので最高。タイトルとロゴが死ぬほど不穏でしたが、主人公とヒロインの関係とか普通に素敵で、それが4ページじっくりと描かれるので誤解しそうになるんですが、予想以上に最悪な事態が展開するので笑うと同時にちょっと嬉しい。いや、正確には最悪な事実を知る、という感じですね。最悪なコミュニティは続いていたが、主人公がたまたまそれを垣間見てしまった、というだけ。主人公の知らないところで狂った日常が平和に継続していた、というのが救いがない。マジでどうしようもない話なので最高(最悪)。
 ヒロインを中心にコミュニティが形成されてる、というわけでもないのがイヤな味わい。あくまでも彼女は今のお気に入りとして重宝されてるだけであって、憧れのヒロインが歯車の一つに過ぎなかった感。何も知らない段階の、ヒロインに憧れを抱く場面での彼女の良い女感とかマジで素晴らしいものがあるんですが、「あちゃ~」的な真実が露わになってからの彼女の姿もちょっとイメージがシームレスに繋がるというか、どこか納得してしまうイヤさがある。漫画描いてるときより活き活きとして見えてしまうのが最悪すぎるw
 結局最後まで彼女と本番に至ることなかった、というコンセプトの完遂っぷりも良かったんですが、あっちの世界の住人として心を決めれば当然のように本番も可能、と選択肢を提示されて終わるのも最高に意地悪で良かったです。唯一まともで悩みを相談することもできてたハヤシさんも当然あっちの住人で、というのも良かったですね。何なら本作で一番絶望感が強かったのはあの瞬間だった気がします。憧れを抱いていた世界がどこまでも徹底的に毒されていたという絶望。からのそこに招待されるエンディング。
 クライマックスは中継なのでカメラは固定。実際はちょっとだけ劇中のカメラ以外のアングルも出てくるんですが、固定カメラ特有の鬱勃起感。絶対に手が届かない感、からの最後の最後に彼女からメッセージが送られる。見てるだけの存在から急に手を伸ばされるような距離感の変化が良いラストでした。あと、話は戻るけど、アングルで言うと、ヒロインに手コキされる場面で、射精の瞬間が真正面からのアングルだったのが珍しくて良かったです。ありそうでなかった見た目であり、宙に散っていく精子が虚しくもあり、それがこちらに飛んでくるイヤさが最高。

『はにかみナイトメア』さくま司

 セックスレスでいろいろとカップルとしての危機を感じてるところ、彼氏のパソコンからコスプレ画像を見つける。カメラ趣味は以前から知ってたっぽいが、その被写体としてコスプレイヤーがいると話は別。ショックを受ける彼氏の意外な趣味、として結構絶妙なラインなのではないか。エロコンテンツのコレクションとかだとスケベ野郎として分かりやすいし、ハメ撮りとか一発アウトなんですが、コスプレの撮影となると「エロなのか? 浮気なのか? 軽蔑なのか?」と微妙。間違いなくセクシー要素はあるので、ショックを受けるのは当然だが、彼氏を糾弾していいラインなのかがよく分からない。これが男女逆で、「彼女が実はコスプレやってて」という話だと男の夢設定として非常に単純な話だと思うんですが、彼氏が撮影となるだけでこんなにも判断に困る話になるのか、とちょっと目から鱗でした。どこまで理解を持つべきなのか……。
 そんな謎の彼氏のことを分かろうと試しにコスプレ元のアニメを観てみたらドハマリ。勢いでコスプレにも手を出してみる。ここまでだとオタクカップル良い話という感じで微笑ましいんですが、初手で着てみるコスプレ衣装がキワッキワなので笑ってしまった。ロケットスタートすぎる。下手すりゃ「そうはならんやろ」的な飛躍なんですが、それだけアニメにハマってしまったということなんでしょうね。ある種の盲目状態というか。結局のところ似たものカップルだったのかもしれない。そう考えるとやっぱりめちゃくちゃ微笑ましい。
 いざ披露。衣装もそうだけど、披露の方法も思い切りが良すぎるので笑ってしまった。可愛すぎるだろこの彼女。そして彼氏のリアクションがドン滑り……ではなく限界オタクムーブ。2人揃って極端すぎるので楽しい。彼氏の方は仕事のストレスで元々限界状態だったところに劇薬ぶち込まれたので常軌を逸してしまった、という一線があるので良いですね。何はともあれ一応作戦としては成功……と思ったら彼氏の限界ぶりが変な方向に暴走してしまってエロ突入。彼女が好きなアニメのコスプレしてくれるなんて夢のような話だと思うんですが、夢すぎて現実と認識できないのには笑った。疲れすぎて心配になるが、実際にやることが激しめのエロなのでそれどころではない。この2人、この話で彼氏の一方的な攻めの内容になるのが意外で良かったです。普通に考えたらイチャイチャしない方がもったいないと思うんですが、彼氏が自己開示せずに不理解が生じて危機に陥ってる話なので、一端彼氏の理性を取っ払って頭の中をすべて開示させる、というのがある種のセラピー的に大事だったと言えそうですね。恋人とのコスプレセックス、絶対イチャイチャした方が良いと思うんですが(2度目)、それは今後できるといいね、という感じ。ただ、この2人の場合、冷静な状態だと恥ずかしがってできなさそうw
 また、彼氏の意外な攻めに直面することでヒロインが相手を知るという快感に夢中になってる感じがあるのも面白い。一方的で激しいプレイだけど、レイプ的な暗い話には全然なっていない。イチャイチャとまでは行かないんだけど、彼女側にも大きな発見はあるので、2人の恋人関係として結構大事な前進を迎えたような話になってるのが良いですよね。この話、このエロの内容で良い話的なニュアンスも盛り込めるのがすごいと思います。
 エピローグ。気になってたコスプレ写真の真相。姉のセクシー写真を見られる、というのが下手なポルノコレクション発見されるより恥ずかしいと思うので笑ってしまった。心配の解消としてウルトラC的なハッピーエンドに至るのも良かったんですが、「家族への紹介」という要素から恋人として次のステップの予感、と落ちるのも見事でしたね。

ヤンデレちゃんはフィジカルエリート』すずきとと

 タイトルで笑ってしまった。面白すぎる。今号だと事前に本作のカラーイラストだけ目に入るのですが、初見時「さすがに腿が太ぇって!」と思ったんですが、太いのも納得の設定でした。そして、カラーイラストのぼやけた背景がちょっとヤンデレみを感じさせるものになってるのですね。
 ということで束縛の強い彼女はフィジカルも強すぎるので困る話。独りの時間が欲しくて「バイクで」ツーリングしてたらチャリで捕まるで笑いました。『AKIRA』すなw
 言い訳として、そのまま山の上のラブホへ行ったら「好きにしていい」。移動で体力がなくなる計算だったが……という導入。到着時、元気そうにワクワクしてる彼女の笑みを見て期待なのかサスペンスなのかを主人公が感じてるのが面白すぎる。こわえろい。
 エロパート。極端な子ではあるが、決して暴力的だったり嗜虐心の強い子ではないので、一応糖度多めのイチャイチャではある。あるが、暴力に転用可能なフィジカルを有しているがため、溢れる気持ちの愛情表現がいちいち危なっかしい。日頃のトレーニングの成果なんでしょうね、相手を強く抱きしめたりしようとすると、自然と締め技になってしまう。このイチャイチャと格闘技がシームレスに移行していくのが面白すぎる。飼い主のことが大好きな大型犬が本気でじゃれついてきたら飼い主倒れて死にそう、みたいな状況。犬と違って効率的に相手を拘束、締め落とす術を体得してるので……という怖さ。格闘技だけではなく、乳首責めとかフェチな要素のエロも織り込んでくるので強い。
 本作のハイライトの一つがパワーボムフェラ。男女逆転駅弁みたいならまだ分かるんですが、それを遙かに飛び越えてくるので面白すぎる、そして怖すぎる。あの体勢で維持するのって技決められる側にも筋力とか要求される気がするんですが、チンコを押さえられた状態で変に倒れたらちんちんちぎれちゃうと思うので……と怖すぎる。
 挿入、の前に密かにキレてた彼女からのお仕置きとしての壷洗いの状態での圧殺。細い小指をあれだけ締めれると確認した上でのチンコ挿入とか怖すぎるので笑う。ただ、パワーボムのくだりもそうですが、命の危機と性的快感を同時に感じる体験というのは唯一無二で、脳味噌バカになっちゃいそうですね。完全に彼女に大事なものを握られてるというのは少し魅力的なのかもしれない……(M思考)。
 彼女の本職はどの競技なのかは不明ですが、前半であれだけ意識させられた下半身の強さが、挿入時にああいう形で披露される、というのもキレイな展開。キスも挿入もだいしゅきホールドもそうなんですが、彼女の行動すべてが「締め付ける」に収束していくのも見事な構成でしたよね。フィジカルエリートなヤンデレちゃんの行き着く先としてものすごく納得感があるというか、象徴的ですらある。普通に可愛い子だし、悪い子ではないのは伝わってくるので、うまいこと付き合っていく方法はないものだろうか……。ヤンデレバッドエンド的な味わいでは全然ないのが本作の魅力でしたよね。何とか両者が幸せになる道を探したいところ。

淫夢で会えたら』mogg

 クラスで仲の良い女子のことを夢で見てしまう。今号インキュバス作品が2つもありましたが、それらよりも「夢」にフォーカスする作品になってるので面白い。というか、初読時はマジで「実はサキュバスとか?」と予感してしまったほどです。まぁ、劇中で明言されてないだけで裏設定としてそういう真実が隠されている、みたいな読み取りをするのは勝手というか、ちょっとそういうことも考えたくなってしまうほどに淫夢に現実が浸食されるような話。mogg作品だとそういう突飛な設定で夢現の境が分からなくなっていく話があっても面白そうなんですが、本作はあくまでも(少なくとも表面上は)現実ベースの淫夢という扱いなのが良い。心の内で肥大化していく性的衝動の反映、とかもっともらしい理屈で納得するのもアリかもしれませんね。
 日常生活の中で一気に夢(エロ)へと飛躍する、というのが前半の楽しさ。女体を見せるためにモノが透明化するのはエロ漫画ではお馴染みの手法なんだけど、そこに「ガラス張りの机」というあり得ないけど物理的には一応正しい理屈を持ち込んできてるの夢っぽくて面白いですね。中途半端にリアルにしてしまうというか、自分が納得できるように、という謎の配慮。
 からの現実でついに、という後半が熱い。緊張感もある2人なので、プレイ内容が荒唐無稽な方向に過激化するわけではないんだけど、だからこその良さがある。初々しいし、互いに優しさはあるんだけど、気持ちの確認はしてあるし、夢の再現という口実もあってセックスは止まらない。特殊な設定ならではの独特の味わいが後半特に生まれてたと思います。夢がテーマなのに、夢じゃない場面がメインってのが面白いですね。

『童貞証明』かるま龍狼

 童貞を捨てる「ふでおろし券」を申請するために町役場に行く。のっけからかるまワールドが静かに展開していくので最高なんですが、単に行政がふでおろししてくれる話ではなく、そのサービスを受けるための「申請」という部分にフォーカスした話なのが面白い。謎にややこしいというか、不思議設定に対してリアリティを詰めるような掘り下げが楽しい。
 ふでおろし券のためには当然童貞でなければ不正受給になってしまうので、童貞の証明が必要。ということで別の場所に移動して童貞の確認。係の人が特別変なことはしないので、エロの期待が静かに高まっていくような味わい。不思議設定の話ではあるけど、ヒロイン自体はかなりボケとは無縁の存在で、不思議設定を完全に内面化した上で静かに仕事を進めていくような感じで、そこがめちゃくちゃ魅力的ですよね。かるま作品のオモシロの部分に注目しすぎるとたまに「いや普通にめちゃくちゃエロいな……」と本末転倒な印象を抱くことあるんですが、本作がまさにそれでした。
 ヒロインがまともな人に見えるのが魅力だと思うんですが、代わりに不思議設定のボケ的な側面を一手に引き受けてくれる童貞課の小沢さんが最高。エロい期待が一気にしぼむんですが、ここでヒロインのエロにしか思えない手続きが始まるので、エロとオモシロの行ったり来たりに陥る。「童貞線」というワードも良かったなぁ。たしかに処女膜があるなら童貞にも何かあってもおかしくないのかもしれないけど、勃起したチンコを真正面から目視して童貞線を確認する、という状況が面白すぎる。
 そして、最終確認をヒロインが担当してくれて、それがエロ本番。これまでは淡々と事務所仕事をするような印象もあったんですが、ここから急に彼女がノリノリなのが伝わってきて、その前のめりさと落ち着きが最高のバランス。挿入もしちゃって(童貞の確認なのに?)、エロが盛り上がるんですが、そこで小沢さんが再登場するので笑ってしまう。ただ、ここ「彼らにとっての日常」って感じがあって良いですよね。
 てか、挿入がこの世界における当たり前だったのかもよく分からないまま作品が終わるんですよね。あれはヒロインが盛り上がりすぎたが故のイレギュラーのようにも思えたんだけど、小沢さんが当たり前に注意してるからセックスしちゃうのも作業の一部なのかしら。あのくらいのお目こぼしが常態化してる、というのも不思議な世界の日常としてちょっとありそうな気もする。

『柊先輩くんくんくんくん』昼寝

 今号の目玉企画と思われる昼寝先生の新作、まさかの60ページ。濃い、あまりに濃すぎる……と思ったけど、いざ読み終わってみると「このくらいの長尺が最適解かもしれない」とすら思えてくる。そのくらい良かった。大河ドラマでもやるのかと思ってしまう長さですが、話としては結構シンプルというか、割と普通の尺の作品でも成立しそうな話だったように思います。それをひたすら大コマを大量に使ったりして特大濃度で描き通す。印象的だったのは特に前半の間を取るような一枚絵。冒頭がまずそうで、映画のような味わいすら湧いたんですが、何より特徴的だったのは前半の「日常くんくん」のモンタージュですよね。学校の人気のないところでの、2人きりで、静かだからこそ日常の音が聞こえてくる「くんくん」。お見事すぎるというか、このための60ページだったのか、60ページをありがとう……という感じ。昔weekly快楽天に載せてた『いっぱい遊ぼ!』でも一枚絵の連続でデートシーンをモンタージュしてたのを思い出したんですが、本作は長尺のおかげでその大胆な語り口と通常の漫画進行の場面がシームレスに移行しててマジ最高でした。本当に昼寝先生の作風との親和性を感じる尺でしたし、本作で昼寝作品の真価を目の当たりにした気分。具体的なエロが始まるのはかなり遅いというか、ページの比率的には普通の読切とさほど変わらないと思うんですよね。60ページだと、起承転結の「承」の部分が引き延ばされ、そこで行われる1ページぶち抜きの連続。
 ゆっくりとした語り口が魅力だったのとも通じる話ですが、物語としての起伏は比較的少なめの作品ですよね。若干聞こえの悪い表現になってしまいましたが、衝撃の事実とかどんでん返しとかがないという意味。冒頭から続いてる2人の関係がある種順調に深まっていく、というだけの話。起伏は少ないんですが、それでも十分見応えがあるというか、読者を引きつけるのに分かりやすい起伏は必要ない、というストロングスタイルを感じる。画面の濃さ、圧で十二分に楽しめる。ピースフルな話で長尺だからこその2人のキャラクターの魅力とかもしっかり立ってたと思いますし、言うことなしでは。
 エロパート。当然のように激しさはあるものの、どっしりとカメラを据えてシンプルなプレイをじっくり描いていて、それ以前の日常パートと同じ流れを感じる。フェラのくだりとか、どう嗅ぐか、どう舐めるか、をねっとりと観察していくようで迫力あったんですが、最初は大体ページを四分割するくらいの大きさだったのが、フェラのクライマックスで二分割くらいになり、ついに挿入となると再び1ページどん、1ページどんという横綱相撲状態。それが終わるとようやく数をこなすというか、性欲を追求するかのように多様なプレイが細かく展開していき、畳みかけるかのような盛り上がり。
 そして事後、エピローグでは再びじっくりと間を取るようなペースに戻って、日常だったくんくんが別の新たな行為へと移り変わってエンド。60ページには60ページの戦い方があるのだなぁ……と目から鱗の体験でした。
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 終わり。すっかり遅くなってしまいました。来月はもうちょっと早めに更新できるかと思います。基本的に発売の翌月10日までに終わらせたい、というのが目標です。
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