北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

WEEKLY快楽天 2024 No.35の感想

 涼しくて最高です。ありがとう愛してる……とDV夫に依存する妻みたいな心理になりました。
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『新性活』加茂なべ郎

 自己肯定感爆下げ中のOLが自撮りの裏垢を始める。無関係だけど先週の1本目も気持ちが落ちてるOLの話でしたね。あちらはエロマッサージに行ってハッピーだったのに対し、本作はどんどんダーティな世界に足を踏み入れていく転落劇。勝手な比較ですが対照的で面白かったです。また本作は自己肯定感を求めてずるずると裏垢を始めてしまう経緯、どん底メンタルが流されていく経緯がものすごく丁寧でリアリティを感じてしまった(実際のリアルは知らない)。身バレ予防のために基本的に顔を隠すんですが、そのせいで大胆になれるというか、普段の生活で味わってる嫌いな自分の仮面を捨て去るような感覚が真に迫ってる。ちょっと脱げば一定数反応してくれるし、脱げばそれが増える、その加速度的な上昇にヒロインは酔ってしまうが、増えれば増えるほど過激さのレースも加速していく。システマチックにヒロインが転落していくような感じですごく良かった。過激化していく際にヒロイン自身が「こうすればもっとウケる!」と考えたわけではなく、あくまでもフォロワーのリクエストに応える形が多く、その受け身な感じも不安になりますね……(それがクライマックスで思わぬ形で解消される)。
 流されるように公園で全裸自撮り。そこに何も知らない野郎2人組が現れて……という本番パート。ここでヒロインのことを何も知らない竿役になるのが意外で面白かった。会社のことは知らないのである程度安心もする面もあったんですが、同時に何も知らない人に “痴女いるじゃん” と一蹴される感じがヒロインの現状を客観視するようで、彼女の悲劇性を強く感じる。作品のジャンルがちょっと変わるような印象もあったんですが、ヒロインが当初考えてた道ではない、まったく知らないどこかへと気づけば来てしまっていた(転落してしまった)、という意味でめちゃくちゃ良かった。竿役が2人なのもパワーバランスで完全に負けてる意味でもそうだし、変態同士対等な関係を結ぶ、みたいな余地が一切ないですよね。そして、エピローグ、通りすがりの男性による客観視点というのが今度は会社の中で行われて劇終、というのもキレイ。オープニングと対になってるし、竿役2人の登場とも対になってたと思います。
 エロパート。悲劇性の強い話ではあるんですが、同時にヒロインが解放される側面もあって、それがエロシーンに現れる。オープニングのタイトルのコマ、ヒロインの泣き顔がものすごく印象的で好きだったんですが、当然知らない男2人に犯されるクライマックスでも泣く。別の世界に行くことで自己肯定感(まやかしっぽいけど)を得たヒロインだが、結局行き着いた先でも涙を浮かべることになる、という救いのなさが面白いんですが、落ちきった先で彼女があることに気づき、それを境に涙が止まる(涙の描写がなくなる)。フェラの強制が苦しくて泣いてたヒロインが “…私 いま… もしかして… 女として見られてる?” と気づくんですよね。落ちて落ちてどん底まで落ちきった果てにヒロインが視点の反転でちょっとだけ救われる。救われるというか、どん底の楽しい暮らし方を見つける、みたいな感じですかね。セックスの内容もそれまでは完全に被虐だったのが、この場面を境にヒロインが積極的に動くようになるのでエロさが増すし、ドラマ的にもクライマックス感すごいですよね。彼女の成長……と言っていいのかは分からないけど変貌の物語として結論が出る。

『変わらなかったコト』めんぼー

 めんぼー先生の新作はやっぱり地雷系で嬉しいんですが、地雷系の表現、地雷系のメイク表現が一段とすごいことになってたように思う。特に目元の、涙で晴れ上がったようなアイシャドウの表現とか絶品ですね。めんぼー作品の地雷系ヒロインとか超お馴染みなんですが、それでも1ページ目でちょっと感動してしまったレベル。物語のキーアイテムとしてピアスも印象的に描かれてて最高のオープニングなのではないかと。
 その後もヒロインの表情がとにかく最高で、地雷系とは逆の幼馴染ラブコメになってるギャップも最高。デザインとか表層としては圧巻の地雷系ヒロインなんですが、彼女の表情や言動などキャラクターを感じる部分では超ピュアでウブなのが良い。良すぎる。2人の物語が動き出す、 “…前みたいに勉強とか教えてよ” と言うヒロインに後光がさすコマとか素晴らしいキラーショットだったと思います。ドキッともするし、ヒロインの変わってなさを実感する。彼女の二面性というか、本当のキャラクターみたいな部分に気づいてそっからグイグイと引き込まれていく……のだが、それだけでは2人はエロに発展しないので半ば強制的な事故が発生するのも良い。2人のピュアさが際立つ。
 エロパート。見つめ合い多め、会話多めのイチャイチャ感がおいしい。純度高めのイチャイチャなんですが、その中にもママの妨害があったり、告白からの再挿入などと展開が多いのも良い。デロデロに甘い作品なんですが、最後の最後は寝バック(横バック)の体位での耳責めとなるのも意外性があって良い。それでいて耳のピアスという象徴的なアイテムにフォーカスするのも見事でしたね。
 エピローグ。朝チュンを迎えたヒロインが服を着る場面があるのが嬉しい。朝チュンで地雷系としての記号のほとんどはそぎ落とされたんですが、それを再び彼女が着用していく、という日常と非日常の境に立つような瞬間。着けるものが多そうなのがまた良い。

『エロッチぃ日常』エロッチ

 #46「はじめては手探り」。初めて同士で緊張感マックスなんですが、初めてで慎重になってるが故の丁寧な手つきが結果的にスローセックスみたいな魅力を生んでしまう、という描写の説得力がやばい。実際に緊張した童貞だったらこううまくはいかないと思うんですが、読んでて「童貞最強では?」みたいな納得も少ししてしまった。いや、ヒロイン側にも緊張による感度の上昇って要因はありそうですね。よくエロ漫画などへのツッコミで「童貞と処女がこんなセックス激しくなんないだろ」みたいなのありますけど、本作には逆に「童貞と処女だから特別なエロさになる」みたいな説得力を感じる。


 終わり。涼しくなってきて快調なんですが、もう来週には快楽天の本誌が来るという事実に少し驚く。早くね?(毎月言ってる)
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