北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

WEEKLY快楽天 2024 No.33の感想

 お久しブリーフ。9月は日曜が5回あるのでweeklyが1週休みだったんですが、その間に快楽天本誌の感想書けました。お暇でしたら読んでください。ちなみに、12月も日曜が5回なので休みがあると思います。
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『愛され彼女の秘訣』すがる春

 彼氏に捨てられたくなくて売られる。1ページ目から怖すぎる。実質扉みたいな1ページ目で、ちょっと時間が戻って本編が始まる感じなんですがこの1ページ目、たった3コマしかないのに不穏さがヤバい。すがる先生なのでそっち方面なのは分かるにしたってフルスロットルすぎるというか、今までで一番キツい話とも言えるし、とにかく冒頭の不穏さマックスの開幕でもはや乾いた笑いが出てしまった。
 よくホメ言葉で「悪い人が出てこない」みたいな言い回しありますけど、本作は真逆で、悪い人しかいない。全員悪人、と言えるほどかっこいい話でもないのがまた怖いですね。その悪い人、イヤな性格の人の描写が細かすぎる。すがる先生は過去作でも見れましたが、主人公が感情移入するタイプではなかろうとキャラクターの解像度が異様に高いというか、心理とその言動のリアリティがすごいんですよね。冒頭主人公のクズムーブも、彼氏のクズさも、竿役であるオタクくんのクズさもすべて「こういう人いるわ」的な説得力。オタクくんに関してはいわゆるキモオタ的な、ステレオタイプな側面も大きいので、「この中ならまだ記号的な分マシかも」みたいな印象も少しあったんですが、最後の最後、中出し後の賢者モードが情けなさすぎて泣きました。最低の極みみたいな発言なんだけど、ちょっと人間くささが出てて嫌いになれない……は嘘。普通に嫌いだけど漫画としては好きな場面。
 竿役としてのオタクくん。何気に良い仕事をしたと思うのは、プレイ中ずっと彼氏の話をしてた点。彼は彼であの俊くんのことを大嫌いだと思うので、対抗心や一時的とはいえ彼女を抱いてることに優越感(勘違いです)を得ていたんだと思います。終始彼氏の話を投げかけることがヒロインに「売られた」という現実を常に思い出させる。チンコは出てこないけど、あくまでも3人の話というのが徹底される。うまくない作品だとオタクに抱かれることになる前段の部分の印象が薄くなっちゃいがちだと思うんですが、本作はそこの徹底ぶりが素晴らしい。意地悪。
 エロシーンではないんですが、物語の絶望感、及びオタクくんのキモさに対する嫌悪感が象徴的に描かれたエレベーターの場面が超好きです。エレベーター内の鏡によって3方向から2人の姿が描かれて、逃げ場のなさも感じるし、2人の置かれた状況を客観視するような絶望感も味わわされる。2人の手の位置、動きも凝ってるというか情報が詰まってるし、こんなコマが出てくる漫画は面白いに決まってると初読時に感じました。

オフィスエルフ ー異種族新人教育ー』アシオミマサト

 アシオミ先生、こないだの快楽天の予告に名前があったけど実際の掲載はなく、代わりにweeklyでお馴染みのゆぶね先生が載ってたので、本誌のアシオミ先生とweeklyのゆぶね先生がスイッチした形なんじゃないかしら。部外者の詮索で申し訳ないです。どうやら体調不良だったらしいのですが、今度は完成するのが早すぎないかと別の心配も湧いてきます。新作は嬉しいとはいえ、無理のない範囲だといいのですが。
 異世界から異種族がやってきて数年。オフィスで働くエルフの新人教育をすることに。オフィスエルフ、略してOLってことだろうか。オフィスエルフ設定だけで面白いんですが、まさかのヒロイン2人体制。豪華すぎる。スーツ美人ってだけで嬉しいってのに、カルチャーギャップによる着崩しと、正統派な着こなし(ただしスカートは極短)の2つが楽しめるのがありがたすぎる。かと思ったら、ヒロインの片方にだけが言葉を聞ける精霊様まで出てくるので情報量が多い。超面白いんですが、「こんなに盛ってもらっちゃっていいんですか!?」とちょっとたじろいてしまうレベル。
 要するにドエロの2人に一方的に攻められる話なんですが、その攻めが好意ありきなのが良い。あくまでもカルチャーギャップで極端な行動に出てるだけ、という話。そこに絡んでくるマスコット的な存在感の精霊様も面白いんですが、彼の言葉は片方のヒロインにしか届かない。エロシーン中にある種のツッコミ役(ボケとツッコミの意味)になるんですが、彼の叫びは竿役には届かない。適度にエロに介入してこない感じが、漫画としての面白さは足すが、エロさは邪魔しないバランス。精霊様の言葉が都合良く通訳されてしまうくだりとか普通に面白かったです。また、精霊様の言葉が分からない方のヒロイン、基本的に真面目なのが良いんですよね。展開としてはガン攻めなんだけど、根っこには好意があるし、真面目さ故に変な方向に暴走してしまったが故の結果。一方、不真面目でやりたいだけ感のあるもう一人も対照的な魅力なんですが、そのずるさに主人公は何も気づかず良いように踊らされてるのも微笑ましい。やはりエルフなのでパワーバランスは圧倒的にヒロインの方が上なんですが、あくまでもイチャイチャ感も保ちつつ、というバランス。


 終わり。3枠目は表紙イラストのやつですね。
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