北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2022年10月号の感想

 来月も縮小運行になります。なかなか本館の借金がなくならない……。
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『貴方の専属ソープ嬢』松河

 主人公が月一で通う趣味の風俗は6.5万、と聞いたヒロインが代わりに立候補する。風俗の相場について詳しくない身としてはむしろヒロイン側の衝撃に同調してしまうので、酔った勢いで迂闊な提案をしてしまうヒロインはちょっと分かる(気持ちは)。会社の飲み会の日に風俗の予定を入れる主人公の胆力にも驚くんですが、これはおそらく会社での付き合いにそれほど興味がないことの現れなのでしょうね。二次会三次会は行かないと決まってるので、という前提。
 一応知り合いだけどほぼ他人といきなりそういう関係になる、というちょっとインモラルな香りもする設定が魅力的なんですが、2人が最初からインモラル全開なわけではないのが良い。飲みの席であんな提案を言ってしまったのでよその男が群がってきて、それを助けるためにも主人公が引き取る。その後何もないまま翌朝を迎えてからの物語。夜から始まるのではなく、朝から。朝から1日がかりでお金の関係。
 微妙な距離感の他人といきなりエロの関係になるのが最高なんですが、さらに良かったのはその後、休憩がてら外出をして、ここが普通のデートっぽい点。エロ、健全、からのクライマックスでもっかいエロ、という構成が最高。いきなり体の関係になり、その後デートでちゃんとした交流も重ね、互いに人となりが分かった状態でもう一度。他人と結ばれるエロと、互いに理解し合っていった先のエロ、という本来なら矛盾する2つが1つの作品で味わえる。

『たべかけ』楝蛙

 今号の表紙イラストも素晴らしかったんですが、本編1ページ目のタイトルのコマもやばい。こっちをカラーにしても良かったんじゃないですか、とか無い物ねだりをしてしまうレベル。まぁ、本作のエロは浴衣なので、セーラー服だと表紙詐欺みたいになっちゃうんですが。
 そんなヒロインも可愛いんですが、黒猫も可愛い。でろんと伸びる猫の描写が好きすぎる。ヒロインの長い黒髪がひたすら美しく、エロい作品だと思うんですが、それと同様に黒くて長い存在としての猫。私も伸ばしてみたいw
 ヒロインが小学生の頃に野良猫を拾ったことから始まった関係。おそらく高校を機に一線を越えたと考えられ、なかなかのヤバさも感じる関係。その後ろめたさと持続可能性のなさについては主人公が重々承知で、だからこその2人のすれ違い、というドラマが良い。関係の終わりを意識し、浴衣を見るのはこれが最後と思ったからこその特別な1回。そっからのヒロインの真意が明らかになるラスト、激甘ハッピーエンドの爆発力がすごい。主人公が小さく察することで終わる、という控えめながら内に広がる感情はデカい。
 エロパート。表紙やらで分かってはいたんですが、浴衣と黒髪が圧倒的に美しく、エロい。部屋の暗さ表現も印象的で、だからこそ浴衣、黒髪、そして白い肌、というコントラスト。さらには最初は結ってた髪が乱れる、という展開まであって、その乱れっぷりが本当に美しい。

『すくすく成長日記』ごさいじ

 告白成功で付き合ってからの順風満帆ぶりを主人公の日記を交えて描く。この日記形式が面白すぎる。アイディアとしても見事だし、それによって生まれた効果、この形式でしかあり得ないであろう読み味、読後感。主人公は日記で内省を吐露しまくるけど、あくまでも日記なのでその場での心理ではない。完全に主人公視点の作品で、一人称視点も多めなので、ヒロインの心理も分からない。漫画(絵)として描かれるのは一歩引いた視点になってて、それによるある種のダイジェスト感が生まれていて、そこで描かれるヒロインの変遷がまさにタイトルであり、劇中にテキストとして出てくるのとは別の日記。
 あんなウブな子がこんなに……というグラデーションが良いんですが、ダイジェスト感もあって、あっという間な印象もある。それが「逸材ですな」みたいな下衆な視点での面白さであり、同時に「あの眩しい笑顔はもう……」みたいな取り返しのつかなさも感じさせられる。カップルとしては超順調で、ひたすらエロやってるだけの話のはずなのに、終始「これでいいのかな」と苦みがつきまとう。それが思春期男子特有のめんどくささとして可愛くもあるんだけど、やっぱり本当にヤバいかもしれないという気も少しする。基本的には主人公の気にしすぎだと思いますけどね。若干(ではないが)エロくなりすぎた感もあるけど、だからといって恋愛的に険悪になったわけではないので、まぁそっちが順調なら何とでもなるのではないか。
 一人称視点多めの作品で、主人公の顔も名前も知らないので、本来なら読者が没入しやすいようの設計意図だと思うんですが、本作の場合は濃すぎるキャラクターを感じるから面白い。大丈夫だから自信持て、と親戚のおじさん感覚で背中を叩いてやりたくなる。そういう距離感になってしまう。

『君の大きないっぽ』背中が尻

 真面目と言われるのがコンプレックスのヒロインが処女を捨てる。このヒロインがめちゃくちゃ可愛くて、何と言っても表情が良い。常に緊張感と不安を抱え、内気な性格が現れてるようなんだけど、その先にうっすらと未知なる快感へのワクワク感、実際に得た快感による満足感、そしてさらなる渇望というのが細かい表情の機微で伝わってくる。性格もあってそれほど雄弁に語るタイプの主人公ではないんだけど、それでもヒロインの心理の変遷を描く作品としてめちゃくちゃ情報量が多いというか、読み応えがある。タイトルの『大きないっぽ』は最初のことかと思ったんですが、実は最後の申し出の方を指しているのでは……という構成も面白いし、ラストに彼女が見せる満面の笑みってのが素晴らしい。それまで描かれてきた表情とは明らかに違う、心のからの笑顔。なんだけど、まぁ冷静に考えればハッピーエンドとは言えない結末なわけで(ネタとしてなら分かるけど)……という余韻。
 ネタでハッピーエンドと言いたくなるのも分かる。それの大きな理由がオッサンにあると思います。無理矢理はしないし、暴力もない、ヒロインが求める言葉も投げかけるし、彼女が求めたもの(エロ)はすべて満たすような存在。処女を捨てたい彼女の前に現れる存在としてはかなり理想的と言える。本当の理想は断ることだけど(マジレス)。ネタ的に「良い人じゃん」とはなるんですが、出会い頭に制服の持参を要求してたことが明らかになったりして、ちゃんとキモい一面もあって、その印象が本作全体を包む暗い感じとしてすごい利いてますよね。純度100の良い人だったらさすがに作品として面白くはならない。

『田舎の馬鹿女ちゃんとおじさん』アサオミ志群

 支配的な家庭環境で育った真面目ヒロインが家庭教師のおじさんに保健を教わる。直前の『君の大きないっぽ』とめちゃくちゃ方向性は近い作品なんだけど、あまりに悪意に溢れたタイトルで笑ってしまった。身も蓋もないことを言うとたしかにそうだし、それは『君の大きないっぽ』のヒロインにも当てはまることなのかもしれないけどw
 タイトルにもあるけど、おじさんのキャラクターもかなり押しが強くて強引なタイプ。ただ、作品全体が露悪に染まった作品かと言うと案外そうでもない。ヒロインがなぜこうなってしまったか、という闇の部分が丁寧に描かれて、しかもそれがエロシーンの最中にフラッシュバックとして差し込まれる構成もめちゃくちゃ効果的。漫画としての完成度としてはむしろクレバーな印象すら受けるレベル。
 基本的にヒロインのドラマについて描かれて、おじさんの方は顔も映らないんだけど、クライマックス、ヒロインの心理が剥き出しになり、彼女の闇が完全にさらけ出された場面からの3ページ、ここでもフラッシュバックが入るんだけど、ここは完全におじさん視点。おじさんの口元がアップになり、ヒロインとの出会い、彼女の母親の異常性を目の当たりにして……そこでほとんどトランス状態のヒロインが投げかける言葉、というのが秀逸。タイトルがあまりに身も蓋もないと先ほど書いたけど、このタイトルはこの劇中のおじさん視点も反映されてることを考えると、意外とただの露悪ではなかったのでは……。

『プレゼント』Hamao

 兄のヤリ部屋ならぬヤリ家にて盗撮と監視をする弟。たまに来るHamao先生の闇回なんだけど、これがまた強烈であった。『君の大きないっぽ』『田舎の馬鹿女ちゃんとおじさん』からの本作『プレゼント』という流れも良くて、闇度がホップステップジャンプのようになってる印象。『田舎の馬鹿女ちゃんとおじさん』も相当強烈だったけど、あれはドラマ的に歪んだ形ではあるものの救いがあったと見る隙間もなくはない作品じゃないですか。本作はもう完全に救いがない。ただのレイプだし、ヒロインも意志ある女性として描かれた上で、それが踏みにじられる。
 さらには本編とは別にカラーページで描かれてるのがどう考えても本作の後日談になってて、主人公が予想通りの行動に出たと言えるんだけど、予想以上の地獄になってる。カラーページの使い方としてすごいアイディアだったと思うし、雑誌ならではの読書体験が発生してましたね。
 エロシーンにおいてヒロインが目隠しというのも大きな特徴。ヒロインの顔に制限がかかるってなかなかの冒険だと思うんですが、それでも伝わってくるヒロインの表情というのがすごい。抵抗としてヒロインは途中から喋らなくなるんですが、むしろそこからの場面の方が彼女の感情は強く伝わってくる印象すらある。そして、本当に素晴らしかったのは事後、事が決着したあとのヒロインの睨みつけ。もうどうにもならないと彼女の中で諦めたんだけど、それでも完全には折れてない、という彼女の強さが感じられる。ただ、独りになるとそんな強くはいられなくて、そしてそれを盗撮で見る、という地獄エンディング。からの後日譚としてのカラーイラストが意地悪すぎるw

『イクパン』スミヤ

 陰キャとギャルが同窓会で再会。明るくハッピーエンドの作品がマジで沁みる……。
 ギャップとあるカップルとしての学生時代も回想で描かれ、正直それだけでも大好物じゃないですか。ただ、それを踏まえた再会後の現在がメイン。徐々に彼女の本心が明らかになる構成がドラマチックなんですが、それは劇中の主人公が学生時代には気づけなかったところを知り、あのときよりも深く分かり合えるようになる、ということでもある。たった16ページなのに起伏もあって、ドラマ的な感動、最終的な着地、ふと緊張状態から解放されるエンディングも素晴らしかったですね。
 個人的に最高だったのは、同窓会での “あー 反応しくった” の場面。あそこで再会した2人がもう一度、となるキッカケでもあるので燃えるんですが、それ以上にヒロインのからかう側としての仮面が一瞬剥がれ落ちるのが良い。別に演技でギャルやってるとは思いませんが、彼女のキャラクターの中にもよそ行きの部分とそうでない部分があって、そうでない部分を引き出せてしまう主人公はやはり特別、という関係性を感じさせる。対外的な顔を優先してしまう彼女の不自由さ、みたいなものは最後に明かされる事実でも感じたかな。主人公は真逆の存在だからこそ、その壁を打破できる。

『始まりの夏』ももこ

 兎女チア部第3弾。定番となったラストのLINE描写が今回も最高なので笑った。たとえ彼氏ができても人生のすべてが男になるわけではない、という女子側のクールな現実が垣間見えるようでホント好き。今回は中でもやりすぎというか、グループ内で文字通り「共有」することになるので「女子の連帯こえぇぇ!」ってなりました(好き)。話の本筋としては幼馴染と再会して順調に関係を深めていくものを男視点で描く。普通に甘酸っぱくて初々しくて最高なんですが、そっからのLINEの現実w
 前戯におけるねちっこい愛撫描写がめちゃくちゃ丁寧で心底エロいんですが、「手練れだから」ではなく「不慣れで探り探りやってるから」というのが良い。「初めてなのにうますぎる」というツッコミはエロ漫画だと定番ですが、本作はちゃんと初めてらしさも感じさせつつ、だからこそエロい、というところに着地してる。初めてで心配だから入念に、とにかくじっくり準備を重ねていき、それがヒロインからしたらちょっとやりすぎなくらいで、ある種一方的な快楽になる。乳首くにくに、のエロさはマジでちょっとどうかしてるレベルだったと思います。

『沈む』雛原えみ

 ペットロスで悲しんでいたら浮き世離れした美人と出会う。素敵年上女性の魅力に溢れたなんて良い話……と思ったらヒロインのキャラクターがなかなかに歪んでて笑った。劇中、何か特別変なこと、悪いことをするわけではないんだけど、「したたか」「ずるい」みたいな印象で埋め尽くされる。具体的な彼女の背景とかはほとんど描かれず、掴み所のなさが魅力になってるんですが、それでも彼女のキャラクターはめちゃくちゃ立ってて、彼女の中で常に一貫した何かが感じられる。目的に対して一直線というか、すべて彼女の手の上で進行し、結局そのエリアから抜け出すことはできなかった、みたいな。
 “知らない女に甘えられないタイプでしょ?” とか、 “私 弱った男に色気感じるタイプだし” とかセリフが強すぎる。年上ヒロインの優位性を常に感じさせつつ、基本的には優しさと包容力も強い……ただ、その先に彼女の悪さみたいなものが常にチラチラしてる。その魔性性ですよね。年上ヒロインモノとしてかなり新鮮でした。からかい系とは方向は近いけど、そのアプローチが全然違うし、ヒロインの人物像の解像度が異様に高い。年上ヒロインとしての理想も感じるんだけど、「いや実際にいたら怖くねぇか?」みたいな現実もうっすら感じさせてくれるw ただ、彼女はそのダークサイドを隠そうともせず、気づかれた上で捕まえられると分かってるっぽいのが強すぎる。

『推してダメなら挿入れてみたい!』吉田Killy

 ヤリチンの弟が推しのアイドルを連れてきた。登場時のアイドルがとにかく可愛い。お忍びとしての私服なんだけど、そこが非常に好き。ラストに別の日の私服でもう一度出てくるんですが、そっちもまた素敵で最高。アイドル時の姿はほぼ描かれないんだけど、アイドルだと納得してしまうほどの華やかさが感じられる。キモオタメガネの主人公と対比するかのようなお忍び用の伊達メガネ、というのも個人的にありがたかったです。
 2人きりになり、オタ部屋を紹介しつつファンとして挨拶。あの部屋を見せれば好印象を持ってもらえる、という認識がヤバいんだけど、その通りヤバい行動を重ねていく。「そりゃダメでしょ」という行動しか取らないんだけど、彼のダメ行動の象徴とも言える例のオタ部屋というのがエロパートでも印象に描かれてて、これが本作の白眉。アイドル時の姿との対比というよりは、自分のテリトリーに連れ込んだことの支配感。クンニしてるのを引きで映し部屋の全景を見せるコマも秀逸でしたし、何と言ってもクライマックス、バックで突きながらやや魚眼気味になってヒロインのケツと部屋を映したショットが芸術的。てか、せっかく憧れのアイドルとやってるのにバックで顔見なかったらダメじゃん、という話なんですよ。ホントだったら(ホントだったら困るけどw)。ただ、本作のこのコマだと、実物として挿入してる彼女の顔は見えないけど、部屋に飾られた彼女の顔が描かれたグッズが無数に置かれてあって……という構図。まさに憧れのアイドルである彼女とやっている、と感じさせるというか、象徴的な1枚になってて素敵。
 おもくそ暗い話だし、完全にレイプなんだけど、なぜかラストページの後味はカラッとしてるのも面白い。ヒロインの笑顔が眩しすぎるし、それを見た弟の “そんなことある…?” が良すぎる。同じセリフを主人公が冒頭の場面で言ってるんですよね。兄弟仲良いな、と妙に微笑ましいオチw

『ピアノレッスン』南北

 不登校の子が更正のためにとピアノ教室に入れられる。正直最高のおねショタなんですが、ヒロインの大人としてのずるさ、強さ、そしてつらい現実に対して開き直ってる姿勢がめちゃくちゃ良い。年上ヒロインが強くて悪いという意味では今号の『沈む』と重なる部分があるんですが、本作は何と言ってもおねショタなのでヒロインの悪さがより際立つ。劇中でほぼ犯罪だと自覚してるのが良いですよね(ほぼじゃねーよw)。
 そして、本作の2人は似た者同士。親の支配による被害者。そういう意味では『田舎の馬鹿女ちゃんとおじさん』と通ずるものがあるんですが、こうも読み味の違う作品になるとはね……と感心しちゃう。ずるくて悪いのは百も承知なので欺瞞ではあるんだけど、本作はどうしても「良い話」に見えちゃうんですよね。そこが漫画としてのうまさでもあるし、当人は悪い話だと自覚してるのに、という捻れであり、奥行き。
 ヒロインは主人公と同じ悩みを抱えてて、その上で強いんだけど、彼女の根本的な問題は何も解決してない。それなのにあんなにも堂々としていて、その姿に憧れを抱いてしまう。悪いと自覚してるのとも通じるけど、彼女は開き直ってるというか、現実に対して折り合いをつけてる部分がある。それができるのが大人、という圧倒的説得力。大人感であり、それがないのが子供であるショタ。だから彼は理想を求めて現実を変えようと一歩踏み出す……という圧倒的なまでの良い話エンディング。あんなにもインモラルな話だと認識しながらあのラストはすごい。ヒロインは、自分のダメさに関してはもう諦めてるけど、ひょっとしたら目の前の少年の未来は明るくなるかもしれない……みたいな余韻。いや、彼もヒロインの城=籠に閉じこもることを決意したとも取れるので世間的にはバッドエンドなのかもしれないけど、彼が自らの意志で動き出したのは紛れもない成長だよなぁ、と思わざるを得ないです。

『なーすこぉる』藍夜

 ナースの主人公の元に、黒ギャル時代の彼氏が入院してくる。わざわざ黒ギャル時代を書いてしまったのは1コマしか出てこない過去の姿がめちゃくちゃ可愛かったからですw 奔放なギャル時代だと寝取られの要素が入る隙がないから無理なんだろうけど、ギャル時代の話も見てみたくなってしまう……。
 夜の病室ということもあり、暗がりの中、一方的に攻められ快楽堕ちしていくヒロインの姿が魅力的。元ギャルで、別に弱み握られてるわけではないので、前半のヒロインの気が強いんですよね。それが最終的にとことん堕ちていくことになるので、その落差、グラデーションが素晴らしい。徐々にセリフが少なくなっていき、表情にも変化が生じ、最終的には虚ろな瞳に……という変遷が最高。ラスト、堕ちたあとに平静を装って仕事に戻っていくところの表情も見事でしたね。
 あと、シンプルながらナース服ってやっぱ可愛いな、と今更なことを改めて感じました。本作のデザインは、リアリティとロマンのバランスが個人的にかなり絶妙。

『妹はメスガキ』明石六露

 軽い、あまりに軽いがそこが良い。主人公である兄の即堕ち2ページから始まるとこからインパクトばっちりなんですが、その後もずっとそのノリで最後まで行くし、以下略という感じで終わるw 兄貴はずっと葛藤してるけど、その回答となる行動を一切取らない。終始妹ペース。そこが良い。
 ただ、やっぱ兄貴側の葛藤が本作の柱となってるのは間違いなくて、葛藤と賢者モードをひたすら繰り返す。妹が好きだからやりたい、という話ではあるけど、それだけではなく、「本当はダメなんだけど」という後ろめたさがスパイスとして利いてくる。勢いで突っ走るような作品だけど、最低限のインモラルさはキープしてて、その一線が何気に大事なのではないかと思う。兄貴が何の抵抗もせず、自ら妹を欲するようになったら、かなり別物になってしまいますよね。まぁ、本作の兄貴のなれの果てはそういう感じかもしれませんがw

『レスポンス』トウ

 レスになった夫婦だが、ある日突然夫が妙な行動を取り出す。タイトルはひたすら受け身に回るヒロインのことを指してるけど、同時に「レス」でもある、というのがうまい。resじゃなくてless。
 オチを知った上で振り返ってみると「なんだポリネシアンセックスだったのか」という感じだけど、本作の味噌であり、夫のダメなところはそれを黙って始めた点ですよね。ポリネシアンセックスというプレイに対する合意がないまま勝手に始められる。それに振り回されるヒロインのリアクション、まさにレスポンスが可愛いんだけど、夫に対して「そういうトコだぞ」みたいなことも感じてしまうw ただ、ポリネシアンセックスの合意はないけど、セックス(挿入)の合意はしっかり取ろうとするのが本作の良いところで、セリフが少なくて何考えてるか分かりにくかった夫が突然 “今日はいれるよ” と言い出す場面の衝撃が最高。夫はメガネで、表情の描写も少なかったんですが、その演出が非常に活きてる。
 数日間にわたる焦らしで体の感度がビンビンになると同時に、気持ちの盛り上がりも最高潮。パート中の静かにワクワクしてる場面の可愛さったらないですね。マスクでほとんど顔が見えないのにすごい。そこまで準備が整ったと実感させられるからこそ、いよいよ挿入が始まるという宣言が熱い。ただ、よく考えたら、ヒロインの内面的なリアクションを丁寧に描く作品だから忘れがちだけど、ヒロインはヒロインで主張しなさ過ぎ、みたいな問題はあったかもしれませんね。そういう意味では勝手にポリネシアンセックス始めるような夫との相性が良いとも言えるし、そもそもセックスレスだから(一度断られたのがショックだから)閉ざしがちになるのも仕方ない話ではあるんですが。そういう意味では、夫婦ならではのギクシャク感が細かく描かれた作品だったとも言えそうですね。単なるツンデレヒロインではない、大人だからこその機微。

『ヤる為にヤること!』大判ヤキ

 試験前なのにエッチは我慢。直前の『レスポンス』と同じように焦らし&我慢からの解放。『レスポンス』は互いに主張しづらくなってしまった夫婦ならではの問題だったけど、本作は逆にめちゃくちゃ学生らしい内容。試験前というシチュエーションもそうだし、互いに元気いっぱいで、そのありあまるエネルギーが試験では発散できなくて……という沸々と溜まってる感じが非常に良い。若さ故の輝きも感じるし、2人のやりとりも圧倒的なまでのラブコメ感で、王道のような強さもある。
 エロが始まってからも、最初は互いに意地を張ってるというか、からかってマウント取るような言動が多いんだけど、エロが続くに従ってどんどんそんな余裕がなくなって素直になっていく。溜め込んだエネルギーが爆発するような迫力で、特別変態的なことはしてないのにものすごいハードなプレイをしてるように見えてくるんですが、その盛り上がりと呼応するかのように2人が素直になっていくのが可愛らしくもある。いや、正直というよりも剥き出しという方がしっくりくる表現かもしれない。

『リターン・ママ』赤セイリュウ

 元AV女優が子育てのために復帰する。足下を見られ、勝手な要求が次々に積み重なっていくんですが、ヒロイン側に引け目というか、自己肯定感の低さがあって、それらを「仕方ない」と受け入れてしまうのが妙にリアル。業界にハメられたみたいな話ではあるけど、同時にヒロインにもそういう負を引き寄せてしまうような何かがあるようにも感じる(もちろん責任はない)。相性が悪さによってどんどん過激化してしまった、みたいな。快楽堕ちかつ転落の物語なんだけど、ヒロイン側の心理描写がすごい丁寧で、グラデーションが細かい。だからこそクライマックスでは、いつの間にかこんなとこまで……みたいな感覚にもなる。
 息子に何か被害が生じなくて本当によかったんですが、例のクライマックスの電話シーン、あの子が壁にかけられた電話を使うために椅子の上に立ってるんですよね。細かくて超好きな場面。健気で「この子を守らなくては」ともなるし、だからこそバレたら終わるというサスペンス。本来なら電話をかける必要がない生活だったのかな、とか勝手に想像してしまう良さもある。最終的には「バレなくてよかった」という話で、首締めのおかげ、というあまりにハードすぎる展開には驚いたんですが、最後の場面で息子がちょっと悲しんでるというか、つらそうにしてるのがまたしんどいw もちろん母の帰りが遅くて寂しかった、とかそういうことだと思いますけど、罪の意識を刺激してくるんだけど、悲しませないためにももっと働かなくては……となる負のスパイラルでもあって意地悪w

「読者コーナー」

 葉月つばさの前号の作品から1つを選び、コスプレで再現するコーナー。コスプレそのものもそうですが、何より作品のチョイスが毎号毎号好みすぎて「分かる!」と妙にテンション上がってしまう。自分の好みを肯定されたようで嬉しい。ただ、コーナーの内容的に、好みも大事だが同時にコスプレしやすさや、した際の映えも考えてチョイスしてると思うので、「私はコスプレしやすい作品を自然と好んでいるのか……?」などと気持ち悪い結論に至ってしまう。
forms.gle

 終わり。ブログ本館のジャンプ感想を完全に放置した状態でこっちの感想始めたら驚くほどにサクサク進むので驚きました。当たり前だが、ジャンプ感想がどれだけ圧迫してたのかを実感。ただ、作業の総量は大して変わってないので今度はまたあっちの方が大変になります。
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