北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

WEEKLY快楽天 2022 No.33の感想

 ブログ本館でのジャンプ記事、ようやく本格再始動……に向けた心の準備が整った感がある(まだまだじゃん)。
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『本当のキモチ』パンダエキス

 満員電車で連日同じ人から痴漢され続ける。そのことを現場でも言えないし、友達にも言えない。この友達にも言い出せないパートがすごく良くて。この友達たちがモブの割にはキャラ立ちまくりだし、普通に可愛いのよ。この子たちを使ってシリーズ展開でもするのかしら、と疑ってしまうレベル。普通にエロのない作品でも成立しそうなくらいのキャラが揃ってるので贅沢。その友達との平和な日常に戻ることもできたのに……という余韻が残る構成になってるのも素晴らしかったと思います。
 痴漢モノだと定番というかお約束として処理されがちな「そんな派手にやったらさすがにバレるでしょ」という盛り上がりを本作も見せるんですが、それはあくまでもヒロインの妄想の中の出来事として処理してるのもうまい。いや、現実パートでも相当なことやってますけどねw
 痴漢をキッカケにヒロインの中で何かが目覚めてしまって……というドラマで、現実での本番へは彼女の方から誘ってしまう。この主体と客体が逆転する感じが面白かったし、いつの間にかヒロインの方が変態と言えるのではないか、みたいな味わい。オッサンはもちろん痴漢はしてるし、毎日同じ人にやってるくらいなので結構な人なんだけど、先ほどの妄想パートが利いてて、読んでる印象としては「思ってたよりまともじゃん」となってしまう。変態の度合いをヒロインが牛蒡抜きしてしまった、という感じ。最初の挿入は騎乗位でヒロインがあえて能動的にさせられるんだけど、最終的にはヒロインがバックの体位でオッサンを誘う。いつもの近いの体勢に近いというのもあるけど、受け身の体勢だけど実際は相手に攻めさせている、というのが彼女のドラマとして象徴的だったと思います。

『敷井さんは意識が低い』ミナギリ

 カラオケ店でのバイト仲間と。主人公は堅いというか真面目で、一方ヒロインは意識が低い。要領の良さが対照的、というのが一番しっくりくるかな。関係性としては、真面目オタクがギャルにからかわれる、に近いと思うんだけど、細かい部分で本作独自のものがあり、そこが面白い。主人公の抱える闇が意外と深いというか、駅のホームで倒れた件とか、位置とタイミングが悪かったら最悪死んでたかも……と重い。そんなサボれない主人公がヒロインと交流することで意識の低さを学び救われる。過去は重いがキャラクターの関係性の魅力としてはバッチリだし、たまたまそのときの彼にとっては彼女が救いの存在だった、というのもなかなか感動的。ただ、基本的には「悪いこと」する話なので、そこまでキラキラした感じではなく、そこらへんの小市民感がリアル。
 エロと違うところで興奮して申し訳ないんですが、ヒロインが主人公の真面目さの本質を見抜いたように言った “気にした方が恰好つくんでしょうけど” というセリフがすごすぎて感動してしまった。ちょっと前に真面目系クズって言葉が流行って、本作の主人公も方向性としてはそれに近いところがあると思ってたんですが、このセリフで一気に解像度上がりました。決して珍しくはないタイプの人物像(私も近い)だと思うんだけど、この表現、この一言で示されるのは初めてなので目から鱗でした。
 エロに至る流れとしては、主人公が真面目なので返事がすぐマジレスになってしまい、ヒロインがちょっとからかうとそっちの話題が加速してしまう、というのもすごい良かった。2人らしいやりとりでエロに発展していき、2人の相性の良さも感じる。からかい系のジャンルって人気だけど、本作の2人は目新しさに溢れてたと思います。ヒロインがバカなのかと思ったら先ほどの「恰好がつく」で一気に印象が変わるのも良いよね。エロパートでもヒロインがからかうんだけど、行為として主体的なのはむしろ逆で、それが主人公の一種の成長でもあり、ヒロインの小悪魔感があって最後まで可愛い。

『からかいインベーダー♡ ~after~』比比山よきかな

 後日譚。とはいえ12ページあるので普通に続編って感じですね。
 前作は完全に校内の話だったのに対し、今回はデート。服装の違いで作品の印象もガラッと変わるし、制服しか知らなかったヒロインの私服を見ることで恋人関係になったことも実感できる。
 デートは失敗続きだけど、そのことに落ち込んでる彼に対してヒロインがエロで迫る。失敗をエロで上書きするような優しさも感じるし、最終的に失敗を期待してたというオチも好き。どこまでも彼女の手の上だったことの良さと同時に、少しだけ「普通に酷くない?」みたいな感じもあるのが良い。キレイすぎないというか、2人とも完璧ではないけど、デコボコが合致して2人の相性は文句なし、みたいな関係性の魅力を感じる。ヒロインがマイペースで何も考えてなさそう(何考えてるか分からない)、からのすべてお見通しだった、というオチが良いのよね。


 終わり。weeklyは軽率に続編もしくは後日譚を作れるのが良いですね。通常の雑誌だと本編と同量のガッツリした続編になっちゃうし、単行本に載せるようなオマケだと今度は少なすぎる。
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