北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2022年8月号の感想

 『モンハン』のしすぎでブログ更新が1ヶ月遅れました……。発売前に最初の1本だけ感想書いたので、感想の書き方が2本目から変わってるかもしれません。
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『夢見るアプリ』えーすけ

 #1。とはいえ前後編の前編ではないかと……と思ったら前中後編でした。次号の表紙起用に向けたぶち上げ感がすごい。
 催眠。定番のジャンルというか、ジャンルとしての型が強いのである程度中身が想像できる……と思ったら一捻りあって面白い。催眠かかったフリというのもそこそこ見ますが、冒頭の場面の語り、情報開示の順番がうまい。のっけから2人のヒロイン(双子幼馴染)にエロいことされてるんですが、誰が催眠かかってるのかがまだオープニングの段階ではハッキリとは分からない。そっから時間が戻って、事の発端。そこで主人公がかかったフリしてると分かる。さらに言うと、催眠がただ寝るだけというのも良い。ホントにかかったと思ったヒロインの行動、即座に取る行動が衝撃で、エロが始まるのが早い。最高かよ。主人公としてはおふざけとして寝たフリをしたんですが、ヒロインにとってはその「ホントにかかった」によって理性のタガが外れる。この心理の重さの違いがそのまま漫画としての飛躍になってて熱い。一線をあまりにも鮮やかに飛び越えてしまうので主人公はネタバラシするタイミングを失ってしまい、その後も続けるしかなくなる、という物語的な必然性も良い。おいしい思いをしてる、という考えはあまりない(とりあえず表面上は)のもポイントですね。
 目隠しでモノ扱いされてるようなプレイ内容になるんですが、そのどんどんと過激化していく盛り上がりも最高だし、ヒロイン側の心理の盛り上がり、緊張感と事のヤバさを自覚してるような描写も良い。コミュニケーションできないので、ヒロインが寸止めしてることに気づかないという展開も意外性と納得度があって好き。彼女としては恐る恐るやってるので自然と寸止めになってしまった、というのはリアルですよね。
 クリフハンガー的なラストも面白くて、要するにパブロフの犬。アプリに催眠効果なんてあるはずもないはずなんだけど、主人公の理性ではコントロールできない部分で変化が生じてしまう。それはもう催眠と言っていいんじゃないかな、と後引くエンディング。

『また恋になる』ホムンクルス

 クラスのマドンナが元カノ。この距離感、設定としてはシンプルなんだけど、意外なほどに新鮮。素直になれない感じとか幼馴染モノとも近いんだけど、幼馴染なんだけど既に肉体関係がある、という独自性。手ぇ出しちゃいけない感もありつつ、互いによく知った関係性なのでコトが始まってしまえばどんどんエスカレートしていく。初々しい緊張感もしっかりあるんだけど、エロの迫力も抜群。表面だけ見るとセフレになりそうな話でもあるんだけど、ヒロイン側の心情に寄り添った語りなので変に初恋の成就とかを描くよりも甘々な印象が強いというバランスも最高。2人にとって初めてではないのに、ここまで甘酸っぱい雰囲気になるとは……。

『火照り合い』雲呑めお

 夏祭りで浴衣の彼女と。鉄板のシチュエーションながら浴衣ヒロインの初々しさ、緊張感、祭りの浮かれ気分とそれ故のこっぱずかしさ、からのそれを乗り越えてエロに踏み込む盛り上がりが最高。あと、夏祭りの場面の背景に顔の雲呑からのカメオ出演が多数あるので情報量もすごい。雲呑ユニバースの交差点みたいな作品。
 夏祭りの浴衣ヒロインとして超王道ながら、エロに至るのは自宅に帰ってから、という優等生ぶりからも2人の緊張感を感じる。我慢して、ついに家に入ってからの爆発、という盛り上がり。丁寧な浴衣描写と、その半脱ぎも最高で、その状態のまま家の窓から花火が見える。激エモ。部屋は暗いので余計に花火が際立つし、暗い部屋の中でセックスにいそしむ2人の姿が世界に向けて一瞬だけ照らされてるようなドキドキ感もある。そして、ラストの場面では逆に窓の外から中を覗くアングルになって、窓に反射した花火が描かれる。中の2人は花火なんて見てなくて……という没頭ぶりがエロい。
 本号の快楽天、何と作家インタビューまで載ってる。インタビュー大好きマンなのでこれは歓喜。こういう作家へのインタビュー、ファンとしては幸せでしかないのよ。各方面にありがとう。単行本発売記念企画みたいな感じで定着してほしい。

『おさがりセックスフレンド』スミヤ

 #3。メスガキ先輩からの大家婦人の和服美人。極端すぎる振り幅最高。やっぱ本シリーズの対応範囲の広さが素晴らしい。極端なキャラが出てくる旅に「兄貴どこまでやってんだ!」とツッコみたくなる楽しさ。
 和服美人だけど、OKのときは洋服で来る。直前の『火照り合い』が浴衣半脱ぎのロマンを突き詰めたような作品だったんですが、それとは対照的。和服姿ももっと見たかったけど、彼女が能動的に「セックスしたいです」と主張してくる感じがめちゃくちゃエロい。ヒロイン側がコンドーム出してくる、みたいなのと演出としては似てる。そりゃ和服と洋服だったら洋服の方が動きやすいし、脱ぎ着もしやすいんだけど、彼女にとっては洋服の方が「わざわざ着るもの」になってるので、何のために脱ぎ着しやすくて動きやすい格好になってるんでしょうねぇ……という良さ。
 本シリーズでは毎回のことですが、とにかく美味しい思いをするんだけど、あくまでも「おさがり」なことに違和感もあって……という余韻が終始まとわりつくのが良いですよね。いや、その嫌悪感がセックスに没頭してるときだけ吹っ切れそうになる(けどヒロインが思い出させるw)。

『性癖公表大戦線』すぎむらたけし

 サバゲーを通じて仲良くなった子とラブホに行ったらやべぇプレイをご所望だった。のっけからフルスロットルすぎて笑うんですが、本作のポイントは日常時のヒロインの姿を一切見せてない点ですよね。プレイに入りきった姿しか読者は知らない。いきなり異世界にぶち込まれたかのような衝撃がすごいんですが、だからこそ、本作の中で数カ所だけ描かれる彼女の素の表情、素のリアクションというのがめちゃくちゃ可愛い。それこそ爆発的な萌えが生じてたと思います。ドン引きした主人公を見た際の “こーゆーの嫌いだった…?” とか超可愛いじゃないですか。彼女にもまともな思考があったという安心感もあるんだけど、あそこで照れみたいなものを見せるギャップがやばい。実は良い子なんじゃないかと勝手に盛り上がれるし、良い子だと思えたからこそその後のやべぇプレイに再び驚けるし、笑ってしまう。
 彼女の希望は底なしというか、まだまだ深そう……という余韻と共に終わるんですが、その片鱗が見えた謎の道具の存在感がすごいw 「小動物のようなかわいい目」とか笑ってしまうんだよなぁ……。

『新婚ごっこ』肉棒魔羅ノ進

 家に帰ると裸エプロンの新婚妻がお出迎え……だと思ったら、というラストのピロートークでネタバラシする構成が面白い。直前の『性癖公表大戦線』もそうでしたけど、決して長くはない読切作品だからこそ、出さない情報によって読者の印象を特別なものにする。
 旦那が一切喋らず、代わりにヒロインが過剰なほどに喋りまくるんですが、そこにロールプレイだったというオチがつく。ヒロインが過剰に「新婚さん」らしさにこだわるんですが、そこが主目的だったのですね。最初こそ裸エプロンというコスプレ要素があったけど、その後は完全にヒロインの演技によって成立するプレイということで、微笑ましいと同時に完遂したヒロインはなかなか強い。意志の強さと押しの強さが意外と感じられて、それがラストにイチャイチャだったと明かされる。そんな最後のネタバラシパートが(1コマを除いて)主観ショットになってるのも最高でした。目線が同じ高さのピロートークから……という甘すぎるラスト。

『年下で先輩で』翁賀馬乃助

 引越屋の業務後、年下先輩の引越を手伝う。ルームシェアしてた子のトラブルで人手が必要、それを知った上司が手伝うように進言する、というワンクッションが良い。引越の手伝いとはいえ女性の家に上がるとなるとどうしても変な意識はしちゃうじゃないですか。どうしても手伝いを言い出した方に下心とか勘ぐっちゃうんですが、今回の上司発、それも無害そうなおじさんだと下心とか介入する余地がない。少ない出番ながら良いキャラしてたのでエピローグのオチで出てきて嬉しかったです。あそこで「さてはあの2人……」とかならないのがまた微笑ましい。
 職場発の引越の手伝いなので、車の移動が2回あって、定点カメラで描く車内の様子がビフォーアフターで対比させられるのも面白い。狭い密室の中で気まずい雰囲気というのがおかしいし、その後のエロシーンでその一線を越える感慨も増す。
 ヒロインの腰にタトゥーが入ってるのが珍しいんですが、そのことについて一切言及がない。変な話、タトゥーの存在に気づかず読み終わる読者がいてもおかしくないレベル(エロいから気づきますけど)。ヒロインの視点がほとんどの作品なので、わざわざ自分から言い出すのもおかしい、ということなんでしょうね。
 引越屋のバイトということでガタイがすごい。翁賀先生の前作でも、童貞だけど運動部なのでセックスが強いという内容でしたが、本作はさらに踏み込んで普通にセックスしてるはずなのにちょっとした拘束みたいな状況になってしまう。別に男側に分からせの意図とか一切ないんだけど、ヒロインの心理が被拘束による特別さみたいなところにフォーカスされていく。変態プレイはしてないんだけど、ヒロイン的にその趣味の第一歩に立ったというか、変態プレイの種というのを感じる。
 普通に終わってピロートークなのかな、と思わせてからの第二回戦突入という緩急も最高。ここらへん翁賀先生らしさを感じるというか、静寂から再びフルスロットルまで上がっていく高揚感がマジで絶品。

『絶対見ちゃダメ!』こやま滋

 おねショタかと思ったけど体格差カップル。というか発育差? 2人が付き合うまでの経緯とかもめっちゃ興味ある。絶対おいしい奴でしょ……。小さい彼氏が普段はリードしてる関係性も魅力的だし、大きいのに引っ張られてる彼女も良い。優しいとか包容力という感じではなくおっとりしてて引っ込み思案って感じなんですかね。ナイスカップルとしか。
 体格差であり発育差。その象徴として本作のメインテーマとして出てくるのが、毛。この可愛らしい絵柄からの毛か!! デフォルメとリアルのある種のアンバランスさというかギャップ。そのインパクトに一気に引き込まれてしまう感じは劇中のてっちゃんとほとんど同じですね。とはいえ、あの状況で真っ直ぐに、照れたりせず、何のてらいもなく好意を伝え続けたてっちゃんは偉いですね。そりゃこの2人結ばれるわけだよ……と幸せな納得。
 毛は毛でも脇も。挿入に至ってもシャツと靴下を脱がない半脱ぎがエロいですな……とかのんきに喜んでたら違った。さらなるボムが隠されていた。衣装で隠したのが自然で見事だったし、最終的には彼女が脱ぎ、自ら脇をさらすようになる、という変遷込みで味わい深い。エピローグではもはや2人の間の合図みたいになってるのが良かったですね。日常からさっくり出せる夏服も良いが、冬の2人も気になってくるぜ……。

『like film』ねとろもりこん

 映画みたいな行きずりの関係。そんな意味のタイトルだと思ったんですが、komifloのコメ欄でダブルミーニングだと言ってる人がいて驚く。映画好きってことか。気づかんかった……。
  “今夜くらい” “ドラマみたいな成り行きがあっても” 。この「映画みたいな」関係に慣れてるのではなく、憧れてるからこそ思い切って誘ってみた、というヒロイン側の心理が可愛い。ヒロインの方がこういう出会いに対する憧れというか、幻想を抱いてるように見える。彼女の方はどこかロールプレイに近い雰囲気があるけど、男性の方はちょっと演技に入りきれず、ちょくちょく素が出てきてしまう。説明的な場面がほとんどなく、2人の背景とかは一切語られないんだけど、それでも2人のキャラクターについては細かい部分でしっかり描かれてるのでドラマとしても味わい深い。
 そもそも、最初に話しかけたのは男の方。ただ、その出会いにノリノリで食いついたのは女性の方で、そのままグイグイ引っ張っていく、というある種の逆転関係が面白い。だからこそ男の方は必死に相手の理想に寄り添おうとしていて、それが最終的には本音で語るようになる、という決着。あの関係でちゃんとした告白は彼の方から、というのが良いよね。まぁ、それも王子様願望のあるヒロインに応えた形って側面もあるのかな。

Blossom!!』Hamao

 真夏の初体験。セミが鳴き、汗だくのままエロに至るのは定番の良さがあるんですが、そこに本作は初々しさをプラスしてくる。緊張感と熱気、汗だくだけどそれが気にならないほどに相手に没頭していって……という良さ。スマートな初体験という意味ではもっと良い方法はあったと思うけど、そういう細かい障害を気持ちだけで乗り越えていく2人の様が微笑ましい。とにかく純度が高い。途中でふざけて冗談を挟んじゃうのも互いに照れ隠しなのがバレバレで可愛いんだよなぁ。そんな2人だけどフィニッシュの直前には黙り込んでしまう感じとかも最高。
 からのエピローグも良い。日焼けで時間経過を示しつつ、すっかり日常となった2人のエロが黙々と始まっていくのがエロい。フェードアウトしていく良さがあるのは分かるけど、あの平然とエロが始まる2人の姿ももっと見たくなってしまう。親がいようと関係ない、という慣れっぷりがすごいw

『暮井さんはSF』日吉ハナ

 くれいさんはすこしふしぎ。マンションの管理人(代理)が屋上で宇宙と交信する暮井に注意しに行く。身も蓋もないことを言ってしまうと最終的に暮井さんは本物だったわけで、名前からしても怪しいのですが、初読時は物的証拠が足りないというか、「どっちなんだ!?」と振り回され、引き込まれていく感じがあって楽しい。白衣を萌え袖にしてるのとかめちゃくちゃ可愛いし、アニメチックなデフォルメがされてるキャラデザとは思うんですが、されすぎてはいない。そんな雰囲気はあるこたあるけど……というバランスが魅力。ガチSFではなく、「すこし」ですね。
 ただのオカルト好きのやべぇ奴という可能性も捨てきれない。そのまま翻弄されるようにあれよあれよと主導権を握られ、一方的に好き勝手される良さ。フェラで一発搾り取られた際のヒロインの口内をアップにするコマとかめちゃくちゃエロい。エロいと同時にちょっと場面としてのかっこよさみたいなものも感じられるのも好き。どこかクールな温度が常に漂ってるのも本作の魅力ですね。
 あと、ヒロインがデレすぎない。感情を見せないヒロインがクライマックスでは予期せぬ快感に初めて顔を歪ませ、読者にはそれがチラチラと見えるんだけど、体位はバックなので主人公にはそれはほとんど伝わらない。甘すぎないバランスのまま、主人公はキョトンとしながら真実を知る、というラストも良い感じ。主人公的にはバックで災難だったとも思えるんですが、そもそもあそこで主人公が本能をむき出しにしたからこそヒロインに想定外の快感が生まれたので、このすれ違いはある種の必然だったとも言えるのかもしれない。

『不束ながら』いだ天ふにすけ

 頼りない先輩と世話焼きで幼馴染の後輩(同僚)。端から見て “ホテル行ってしまえ そのまま” という2人なんですが、ホントにホテルに行く。ただし、ヒロインが周到かつ大胆に。愛が重すぎてちょっとヤバい雰囲気もあったんだけど、最終的にひっくり返すオチになるのが面白い。話としては、事実としては何も変わらないんだけど、読んでるこちらの印象がガラッと変わる。思いっきり明るいラブコメに振り切ったようにも見えるし、マジで何も計画してなかったというヒロインの抜けっぷりが可愛くもある。ただ、他人に具体的な言葉で言われるまでは自分では絶対気づけない彼女の自己肯定感の低さがすべての根元にあり、今回の一件は彼女がそれをついに打ち破る記念碑的なイベントであった、みたいな感動すら最終的に湧いてくる。もうそのイベントは一度見てるのにね。
 ヒロインのヤバさであり、可愛さが極まってる、彼女のキャラクターを象徴するセリフが、挿入する直前の “先輩… 許可を” 。明らかにおかしいセリフなんですが、彼女がワガママを主張していることは大きな成長にように思えてならない。あと、本作は動揺する先輩側の心の声が多く、頼りない先輩のキャラクターを示してるのかと思ったけど、彼が積極的に言葉にして気持ちを伝える人じゃなかったからこそ彼女があんなにも溜め込んでしまった、という側面もありそうですね。いつも良い雰囲気になる度に先輩が勝手にダウナー入ってだるい感じにしちゃってたんだろうなぁw 冒頭の飲み会の同僚の冗談もそうだけど、言葉にするのは大事。何が相手にとって刺さる言葉になるかは分からないもんですね。いやけど、あの「はよ結婚しろ」的な発言でマジで自信持つとは思わないよなぁ。

『素直に言葉に出来なくて』ちょりもっき

 冒頭の場面、ヒロインの可愛さ、輝きがヤバい。1ページ目の覗き込むようなアングルも引き込まれるし、そっからいきなり事後に飛んでタイトル、という衝撃も良い。そのままエロエロになるのかと思ったら1年後、セフレとしてまったりとした雰囲気になってるのも驚きがありつつ、これはこれでエロい。
 ヒロインが小悪魔系でめちゃくちゃ魅力的なんですが、ビッチと誤解されかねない側面もある。主人公にビッチと言われた際の表情が絶品で、あそこで初めて彼女の本音が漏れたというか、普段のキャラクターで隠されてた部分が露出したようなドキドキ感がある。一見するとマジギレにも見えて、地雷ワードを踏んだようにも思えるんだけど(実際そうでもある)、大事なのはビッチと思われてたことに彼女がキレてるということはー?? という部分。急に乙女な一面が見えてくる。ヒロインのキャラクター、方向性は真逆ながら、直前の『不束ながら』と「言葉にしないと伝わらない」という部分は通じますね。腐れ縁からのブレイクスルーというドラマ。腐れ縁状態の2人の関係が2作で対照的すぎて興味深いものがある。

『シスターモンスター』おりひか

 変身モンスターを退治した冒険者がそのモンスターを利用する。依頼主であるシスターに変身させて犯す……までが前段で、本題としてはその状態のまま放置して村人たちに好き勝手させる。冒険者がエロに関わるのは最初だけなのでビックリ。「ゆうべはお楽しみでしたね」ネタを入れつつ、しっかりそれが物語の重要な展開に関わってくるのも何気にすごい。ただの小ネタじゃ終わらない。
 シスターと同じ見た目なのに……というギャップがエロいし、普段のシスターをよく知ってる村人たちが余計に興奮する、という展開も面白い。調教からの凌辱でどんどん本物のシスターとの乖離が進んでいくんだけど、最終的にそれが本物の方に降りかかることになるので笑った。ギャグ的なオチではあるけど、よくよく考えたらひでぇ話だw ただ、モンスターは見た目だけでなく身体能力もコピーしてるらしいので、本物も同じ資質を持っていたということなのか? みたいな勘ぐりするのも楽しい。敬虔なシスターが実はエロい、みたいな奥行き。

『隣人とのオツキアイ』ぼーかん

 日頃、夜の営みの声が聞こえる隣人と。ギャルとオタクが隣人という関係で仲良くなってる序盤のくだりも十分魅力的なんだけど、そこからズケズケと踏み込んでくるヒロインの強さがまた良い。属性が違いすぎる2人なんだけど、互いに好感があるのは伝わってくるのが絶妙。その好感を即エロへと結びつけられるヒロインと、好感があるからこそエロには踏み出せない主人公。ヒロインはからかうし、主人公は反発するんだけど、そのどちらも本気で嫌がってはいない。それを互いに分かってるし、読者として端から見ても伝わってくる。ギャルとオタクモノは定番のジャンルではあるけど、もう既に仲が良くてある程度関係性が確立してる2人という前提がめちゃくちゃ良い。
 好感があるからこそ最初は抵抗してみせた主人公だけど、あんなエロいことになったら当然好きになってしまうわけで、告白しようとするんだけど断られる、というエピローグ。主人公の困惑ぶりがマジすぎて笑えるんですが、ヒロインのただ軽いだけではないという一線の守り方も素敵でした。ギャルとしての矜持というか、セフレや今回のようなセックスは簡単にするけど恋人となると……という意外性。

『ドタキャンされたので…』藍夜

 彼氏にデートをドタキャンされたと思ったらナンパされる。これ自体はシンプルな設定なんですが、彼氏が寝過ごして、そのまま反省もせずに寝続けてる、ヒロインはそんな彼に連絡を取ろうとし続けている、ナンパされ連れてかれた先がカラオケボックス、という追加の情報が面白い。これらの要素によってヒロインの快楽堕ち、からの彼氏視点の寝取られ、しかも写真送信付き。そもそも彼氏としては、寝過ごさなかったら、返信を絶やさなかったら防げたイベントですよね。因果応報としてのキレイさもあるし、「寝たのに寝取られた」という皮肉のようなオチになってるのも好き。寝取られモノでは定番のメール送信という行為が物語の中でめちゃくちゃ自然に出てくる面白さ。あまりの自然さに初読時は「めっちゃ定番の寝取られ展開じゃん!」最後になってようやく気づきましたw
 そもそもナンパされた先でもヒロインがメールを送り続けてたのは彼に最後の期待をしてたのもあるし、防衛戦略としての意味もあったと思うんですが、それがすべて裏目に出るようなラストシーンがお見事すぎる。

『ちょっと待ってて!』トウ

 初めて彼女が家に来るので初セックスを期待してるのに、抜いてしまう。彼女に良い顔をするために部屋の掃除をする、AV発見、魔が差す……という1ページ目の展開がスムーズすぎて笑う。あとAVの「鬼ギャル」のインパクトがすごすぎる。ちょっとそのAVの内容も気になってきちゃうのよw
 彼女が彼氏の所持するAV(エロ漫画)に嫉妬する、という設定は割とよくあると思うんですよ。彼女の可愛らしさも感じられるし、そのAVに触発されて行為が激しくなっていく流れも想像しやすい。本作もそうなんだけど、本作はそこに「抜いてしまった」という要素が加わってくる。これはマジ発明でしょ。アイディア賞すぎる。この手の設定だと「AVの所持くらいは勘弁してくれよー」とか思わなくもないんですが、本作だと明確に主人公が悪いと確信できるので、その罪の意識によってドラマがより盛り上がるし、若干冷めてる主人公とは対照的にやる気満々でいるヒロインの可愛さがめちゃくちゃ引き立つ。本当なら2人とも「その気」になっててピュアピュアした話になってたはずなのに……。
 緊張感を抱えながらも一生懸命頑張るヒロインの姿が可愛くて仕方ないんですが、その頑張りの方向がやっぱりエロなので彼女がやってることに全然初めて感がないのも最高。水と油みたいな要素が彼女の中でキレイに混ざり合ってる。そして、そんな彼女の頑張りに彼氏が気づく。徹底して彼氏目線で物語が進行するのもとても良かった。彼氏視点の話なんだけど、ほとんどすべての場面において彼が主体的に動くことはない(許されてないw)というのも素晴らしかったです。

『青い空の真下で』いちまつ

 進学校でのエリート競争に疲れた主人公が息抜きをする。そんな息抜きに誘うヒロインがヒエラルキー上位の清楚系だけどビッチ。主人公が持ってないものをすべて持ってる存在であり、世渡り上手という感じもある。そんな彼女にされるがままにしてるうちに主人公の心の風通しがされる、みたいな爽やかな雰囲気がある作品。ビッチなのに、という意外性が良い。主人公は日陰者だけど、だからこそ舞台が学校の屋上というのも良いですよね。隠れてるのにめちゃくちゃ抜けが良くて、この上なく開放感のある青姦。
 息が詰まってた主人公が「悪いこと」によって救われる、みたいなドラマが個人的にめちゃくちゃ好き。私だったらヒロインにガチ恋してそのまま堕落する人生しか想像できないんですが、息抜きの効果によってしっかり社会的にも成功を収めることになる、というエンディングもドラマとしては素晴らしい。ヒロインの言う「息抜き」はマジだったのか、というどこまでも彼女には勝てないような味わい。主人公にとっては特別な1日だったけど、ヒロインにとってはマジで無数にある経験の中の一つに過ぎないんだろうと実感させられるというか。住む世界が違って、その世渡りスキルの格が違いすぎる。そこが好き、となってしまう晴れやかさが良い。

『恋マインド!』森シンリスク

 仲の良い女の子に催眠術をかけられる。催眠というと今号だと『夢見るアプリ』がありますが、あっちはかかったフリをしてるうちに条件反射という催眠にかかってしまう話。こちらは催眠を繰り返されてるうちに主人公の意識とは別に条件反射的にエロが染み着いてしまった話。催眠にかかるのがヒロインだともっと陰鬱な作品にもなりそうなプロットなんですが、男がかかる側で、底抜けに明るいラブコメになっているのが楽しい。主にヒロインのキャラクターなんですが、ちょっとバカだけど素直で常に全力、みたいな可愛さですよね。それ故の憎めなさであり、だからこそのバレてからのハッピーエンド的な着地。
 めちゃくちゃハッピーな話になったと思ったんだけど、度重なる催眠によって心と体はめちゃくちゃになっていた……とオチがつくのも最高。考え方によっては普通に怖い話なんですが、抜けの良いチャンチャン感が好きです。

異世界はこう抜く』F4U

 第30回にして、最終回。最終回を飾るのはファンタジー生物の超王道にしてマイナー性癖の隅の隅、ドラゴンカーセックス。突然何を言っているんだ……というド級のネタなので笑った。大ネタなのでこの最終回に向けて連載を続けてきた、という感じだったのかもしれない。そのくらいの収まりの良さ。
 そんな大ネタなんですが、驚くほど直球に希望プレイが叶えられる。その中にもエアバッグというロジックを入れてくるあたりが本作らしい良さなんですが、ここまで真正面からドラゴンカーセックスを描いてくるとはなw
 まくら嬢がそこまでストレートにドラゴンカーセックスに付き合ってあげてるドキドキ感もあるんですが、よく見たらボーイくんも同乗してるので笑った。これはもう傍観者の立場ではないでしょ。完全にプレイに参加してるよw


 終わりです。更新が1月遅れるとアンケートのリンクがもう存在しないんですよね。悲しいぜ……。
 次号はもう少しまともになるよう頑張ります。あとゼロス感想はお休み(サボリ)ということにさせてください。去年の『モンハンライズ』が出たときは快楽天サボってゼロスを何とか書いたと思うので……。まぁ、去年より断然ひどい状況になってるとは思うんですが。
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