北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC X-EROS(コミックゼロス)#94 の感想

 もう1月が終わる……?

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『ギャルJKれいな先輩のご奉仕』いづれ

 フルカラー8ページ。『ギャルJKれいな先輩の一夜』の続編。ショートということで物語要素はどうしても弱くなるんだけど、後日談にすることでその問題をカバー。前作の舞台は家だったけど、今回は学校。ギャルJKのJKたる要素が強調されてるようで嬉しい。今回は脱ぎきらないまま行為に至る点も個人的にとても良い。前作はお風呂だったら全裸なんですよね。続編において見たいものが十二分に見れた、という満足感。フルカラーらしく、全編夕日を浴びながら、という色合いも素敵。

『フラストレーション』さんじゅうろう

 アイドルとAD。ADというのは限りなく一般人に近い業界人という感じなのかな。ヒロインが出会える範囲で最も普通の人、みたいな。
 24ページと特別長い作品ではないんですが、冒頭の一般男子高校生の場面とかすごい印象的で、あのゆったりとしたオープニングには大作のような貫禄も感じる。すごい安直に読んでると、最初に登場した男が竿役だと思いがちじゃないですか。そうではなく、芸能人という雲の上の存在であることの強調。巨大看板に大写しになったコマで彼女が如何に浮き世離れした存在なのかを示すのとかすげぇ好き。そこから、その看板を移動中の車の中から自撮り、という場面転換も最高。
 そんな看板は彼女のセカンド写真集の宣伝なんだけど、ファーストのファンと遭遇することになる。仕事の感想を直接伝えるのだったら別に普通というか、それほどドキドキはしないけど、2人っきりの状況で写真集の感想を伝えるとなると途端にドキドキする。この緊張感、互いに意識して徐々に気持ちが高まっていく感じがめちゃくちゃエロかった。
 そんな2人の言葉には出ない攻防も最高だし、最後の最後ではヒロインがリードする形なのも良い。まぁ、所詮はADだからなぁ。立場的にそうなりますよねぇ。
 そして、ヒロインに誘われるがままに本番。アイドル相手にナマなので、当然サスペンス要素もある。ふいに見せる言動、その表情に不意打ちを食らって発作的に出てしまう……ので何とか抜くくだりとか最高ですよね。彼女に魅了される素敵な瞬間であると同時に「中はヤバすぎるだろ」と一気に冷静になる感覚が同時にやってくる。こええw
 それを踏まえた2回戦。ヒロインが無意識的にだいしゅきホールドをしてしまって……というやりとりも良かった。こういうホールドもあるのか、と感動してしまったレベル。中出しを求めてるわけではなく、気持ちよくて没頭したから。夢中になってるヒロインも可愛いし、射精をコントロールしないといけない男側のハラハラもすげぇ面白い。

『おつかい』ななもと

 田舎のエロ自販機へとお使いに行かされる。袋の持参が必須という細かいリアリティも良いし、中盤でもう一度お使いに行かされるのが良い。今度はコンビニへ、コンドームを買いに。タイトルに偽りなしやで。
 いとこのお兄ちゃんと爛れた関係になってるんですが、「お使い」というテーマとは別にストーリー要素が濃い。エロが始まるのかなり早かったし、全編エロいことやってるのに、こんだけストーリーを詰めれるのすごい。短い回想、そして視点がヒロインから男へと変わって、彼の過去が明らかになるオチ。最初は単にヒロインが理不尽な目に遭う話かと思うじゃないですか。それが徐々に彼女は本気でホレてるらしい……と分かる。変則的なイチャイチャなのかと思ったら男側に闇を感じさせるオチが出てくるのも面白い。すべての元凶であり、今回の2人の関係もその二の舞になってしまうのか? と少しイヤな予感もする(違う道を進むと思うけど)。表面的なクズキャラかと思われた竿が実は……というかむしろ本作でストーリー的な厚みがより強いのは彼の方ですよね。この濃密さがたった22ページ。それもずっとエロいことやってるのに。ヒロインは最初可哀想かと思ったら実はエロに没頭するのがどこか幸せそうに思えてきて、男の方は理不尽なことしてくるクズかと思ったらヒロインに入れ込んで冷静さを失ってるのはむしろ彼の方と徐々に分かってくる。この両者のグラデーション、そして演技の良さ。ずっとエロいことやってるのに、セックスを通じて2人の本音が徐々に明らかになる変化が素晴らしい。

『ていしまい』ほた。

 第1話。ほた。先生、こないだ久々の新作が掲載されたと思ったら、今度は新シリーズ始動。こんな精力的に描いてくれるとは正直思ってなかったのでマジ朗報。おねショタ新作マジありがてぇ。タイトルも秀逸。
 2人のお姉ちゃんと弟。父の再婚で出来た弟と姉妹。出会いの場面での「ヒエラルキッ」の擬音で笑ったわ。どんな擬音だよw
 優しいお姉ちゃんと、活発で少し意地悪なお姉ちゃん。本話は主に前者が描かれるんですが、エロのときだけ支配的になるギャップが良い。話が通じない感じ、立場の違いによる強さが感じられる。やはり姉は強く、ショタは弱い。そこが好きだぜ。優しいんだけど、エロは激しい。この二面性が魅力。世界平和。

『三度目の浮気』ニコライの嫁

 彼氏に浮気される。それに悲観して隣室の後輩の元へ転がり込む。彼氏の方は三度目だけど、ヒロインは一度目の浮気に至る。いや、ヒロイン的にはもう彼氏のことは諦めたつもりかもしてないので浮気にはカウントされないのかも。
 とにかくそんなヤケクソ的な心理が強く、そこに後輩くんの “めんどくさ…” なリアクションが絡む。さらにはヒロインの “この後輩利用できる…!!” という打算ですよ。みんながマイナスな感情抱きながらエロに至るのが最悪(最高に楽しい)なんですが、そんな前半からは信じられないような甘い決着。このギャップはヤバい。もっとギャグっぽい雰囲気の話かと思ったらどんどん2人の感情がマジになっていく過程が丁寧に描かれてて迫力ある。冒頭とかヒロインの泣き崩れる顔にギャグ的な印象を抱いてたのに、終盤の泣き顔では「可哀想」と「好き」の感情へとひっくり返る。まさかこんな甘い話だったとは……。
 エロとしての特殊シチュエーションとしては、隣室の彼氏に聞かせるようにする。当てつけであり逆襲。「聞こえるようにやる」となかば演技をしていたら、声出しながらのセックスの気持ちよさに目覚める。気持ちいい演技のはずが本気で気持ちよくなっちゃう、ってリアルでもありそうな現象で面白いし、そこから彼氏への逆襲という当初の目的を忘れるほどに没頭することになる展開が熱い。壁ドンで中断されて、フェラで果てる……で作品が終わると思ったんですよ。絶対思うでしょ。そっからお風呂で2回戦始めるから最高。ボーナスステージ突入。音の問題は解消してるので、彼氏への当てつけという体裁を失い、互いに本音をぶつけ合うだけの純度の高いセックスになる。シャワーを浴びながらのプレイになるのでヒロインの髪型がどんどん崩れていくのも彼女の心境の変化、負の感情が洗い流されていく演出として見事だったと思います。バックでやるんだけど、フィニッシュの際には密着度の高い体勢になってるのも2人の感情が全開になってる感じでエロい。

『うちの大きなメイドさん』はるゆきこ

 大きなメイドさんと小さなご主人様。ヒロインのデカさ(&強さ)表現が度を超してるので全編的にギャグなんですが、だからこそ2人のキャラクター、感情表現がデフォルメされてて非常に可愛い。ヒロインは体だけでなく感情もデカい。そのぶつかり合いとしてのセックス。互いに気持ちはデカいけど、体格差があるのでビジュアル的には格差があって……というのが非常にありがてぇ。大好物。
 肝心のヒロインのデカさ。冒頭の場面ではヒロインが1人でご主人様の活躍を見守ってるので彼女のデカさがどこまでなのかよく分からない。それが徐々に伝わってくる流れになってて、だからこその「思ってたよりデカい」という衝撃。公園の乗って前後にギコギコする遊具にまたがった際の体の持て余しっぷりがおかしくもあり、魅力的でもある。大人(大柄)の人物があの遊具で遊んでる姿に一つのフェチのようなものを感じたかもしれん。どう見ても不釣り合い、体がまったく収まってない感がすげぇ好き。
 ヒロインはご主人様への愛がデカいんだけど、基本的には冷静。冷静なまま狂ってるという感じですかね。それにご主人様が振り回されるんだけど、彼としてはメイドとして接してくるヒロインに対して抵抗もあって……というすれ違いが最高だし、彼が気持ちを伝えた際のヒロインのリアクションも可愛い。イチャイチャ度は高いんだけど、体格差のせいで「大丈夫?」という見た目になっちゃってるのも良い。
 それと、衣装も可愛かった。メイドという属性を終始強調し続ける意味合いもあって素敵。巨大メイドというジャンルの魅力に目覚めてしまったかもしれん。そんなものがあるかは知りませんが。

『おとなのじかん』川島よしお

 第12回。
 「KISS」。セリフが一切ないままの8コマ。めっちゃ笑ったんですが、同時にそれでも気持ちよさそうかも……と少し感じてしまう。似たような意味で、地獄行きのバス停もそう。死を確信して絶望するんだけど、同時にその場限りの幸せを享受しよう、みたいな心理にもなる(気がする)。あの世行きの電車とかバスとかの交通機関って作品、探せばそこそこあると思うんですが、本作はエロ漫画らしくバス停で完結してるのが新鮮。謎の一大ジャンル、田舎のバス停。
 「彼女の手コキは地獄だぜ」。2コマ目から始まる情景が意味不明で混乱するんですが、最後のヒロインの一言で納得させられる。うまいこと言われた快感もあるんですが、それ以上にしょうもないネタをここまで絵として膨らましたことがおかしい。

『さきゅ!』fu-ta

 サキュバス。fu-ta作品なのにヒロインが一方的に攻めて主人公は為す術もないのか? と思ったらしっかり逆転するし、その逆転のロジックがワニくんなので笑った。まさかのカメオ出演サキュバスに対抗するのが科学のチカラとはw
 冒頭の場面、主人公が目隠しされながら攻められる快感、目隠しされてるからこその快感とう表現が素晴らしかったんですが、その目隠しの場面に物語的なトリックが潜んでいる。ここ単純にエロ漫画的に見応えのある場面だと思ってたのに、それが同時に物語的なキーポイントだったので驚きました。めちゃくちゃうまい。逆転展開なんだけど、最終的には怒濤のイチャイチャという着地になるのも非常においしい。サキュバスらしい超常現象を用いつつ、サキュバスらしい一方的な攻めも見せつつ、それだけで終わらない物語とキャラクターの魅力があって素晴らしかった。セックスを通じて相手の本当の姿を知り、気持ちが通じ合い、2人の関係が進展する。エロ漫画として実に王道だと思います。

『せんせいと…♡』『せんせいと…♡ After』UREC

 まさかの一挙2話。というか、後日談が別途載る、という感じか。エロ漫画の多くが最後に結ばれて終わると思うんですが、だとしたら結ばれた後の日常(の中のエロ)も見たいよなぁ、と思うことは多い。それが完璧な形で満たされました。やはり後日談、良い……。
 本編としては、受け持ちの生徒がデリヘルとしか思えない挨拶をして訪問してくる。先生がデリヘル呼んだら生徒が来る、みたいな設定って割とあると思うんですが、本作でデリヘルを呼んだのは隣人。先生はシロです(この時点ではw)。そりゃほっとけないし、見過ごせるわけないよなぁ、という説得力。ただ、先生はそれほど清廉潔白な存在という感じでもなく、適度にゆるい大人なのも面白い。それでもあの状況はほっとけない、という設定の良さ。
 奔放なヒロインと、真面目すぎない先生の関係性がエロパートへとずるずると移行していく感じがすげぇ良かった。設定は特殊なんだけど、妙な生々しさがある。設定は超劇的なんだけど、エロが始まるくだりが妙に低温というか、感情の高まりがそんなにないんですよね。ラストでも互いに妙にクール。それで、だからこそ後日談における新たな日常というのがまたエロい。すごいことやってるんだけど冷静なんですよね。2人とも妙に冷静だからこその仲良し感とかもあって魅力的でした。

『匂ひ匂はれ』近江訓

 二十歳までは純潔を守りたい彼女と、我慢できなくなって匂いを嗅ぎたくなった彼氏。コミカルなんだけど、荒唐無稽すぎないバランスで好き。ラブコメとして微笑ましいし、おかしいんだけど、無茶苦茶すぎない。2人の言動とそのリアクションが思春期の心理としてリアルというか、リアルに根付いたデフォルメ。匂いのリクエストをした彼氏が自分で反省する “逆に立場になってみろ” の暴走とかすごい好き。自分の思考もコントロールできてない感が微笑ましい。
 前半、特に序盤はかなりコマ割りがシンプルで今時珍しいくらいカッチリとした印象なんですが、徐々にエロが発生していくと同時にそのコマ割りが崩れていく。主人公のエロによる興奮、動揺とシンクロしているようで非常に迫力があった。斜めのコマなんて出てこなかったのに、2人がいよいよ……という場面でコマが斜めに、被さるように配置されていき、 “ガマンできなくなっちゃった…” のページで高まった感情が爆発する。理性の決壊みたいな感覚でもあったのかな。盛り上がりがあってすごく好きな場面。

『一人称は過去の話の配列』ばにこー

 タイトルが良すぎる。エモい。1ページ目の最後にタイトルが明らかになった時点で作品に引き込まれる。
 話としては、幼馴染がアイドル(ジュニアアイドル?)。2人とも子供なんだけど、徐々に大人になっていく。その過程の狭間にいる感じがめちゃくちゃ良い。主人公側がバトロワゲームやってるのも子供っぽくもあり、大人っぽくもあるチョイスとして適切だったと思う。その大人への背伸び感、背伸びの方法が2人の間で大きく違って、ヒロインの場合はアイドル活動に現れる。彼女だけ先に大人になってしまった……みたいな切なさも感じつつ、目の前にエロに反応してしまう。この揺れ動く感じが素晴らしい。先ほどのバトロワゲームの話と関連して、過去にエアガンでスズメを撃ってしまった話が出てきたのもとても象徴的で良い。事故的に大きなステップを踏んでしまったという主人公の過去が、現在行われるエロと重ねられてめちゃくちゃ良い。セックスの最中にDVD(作品)の映像がカットインする演出とかはそこそこ定番の演出でそれ自体も魅力的なんだけど、そこにスズメが1コマだけ差し込まれるのが最高。消せない記録に対して主人公が “学校には来なくても…” と多くは語らないけど気づいてるあたりも好きだし、それでも学校に来るヒロインにある変化が……というラストも素晴らしかった。

『ムラムラしたらおねーさんがすぐに駆けつけてくれる島 Final』森島コン

 シリーズ最終回。今回のショタは島に引っ越してきたが海辺で地元愛に浸っている子。島の端っこであり、入り口である海辺というのが最終回らしい、原点回帰を感じさせるシチュエーションで良かった。盛りだくさんすぎるヒロインの量も良いし、囲まれて見下ろされる構図も最高。

『本日のがちんこ対決!』軽部ぐり

 「さーびすえでゅけいしょん編」。成金企業の飲み会にギャラ飲みとして参加したら、冴えない社員(推定)を見つけてハントする。11ページと短めではあるんだけど、キャラが完全に確立されてるので、「あとは彼女をどこに置くか」という話なんですよね。話としてもキレイにオチがつくし、普通にちゃんとした満足感がある。
 オチを踏まえて読むと、最初に男性が言ってる “女の子達との距離が近くなると緊張して目のやり場とか…ね” という発言がうまい。だからそれを克服するためにこの飲み会を開催した、という話だったんだと思います。そういう意味でエデュケーションなんだけど、ユイカの手に掛かれば新しい性癖も教え込まれてしまう、というエロ的な内容とも合致する。今回は相手が完全に弱者なので、ヒロインが徹頭徹尾ノリノリで、強者として立ち振る舞い、その状況に酔ってる感じもあってめちゃくちゃ魅力的でした。乳首責めを始める際とか、騎乗位で挿入する際の表情が最高なんだよなぁ。心の底から満喫してるのが伝わってくる。

『ママガチャ♡ ~息子の居ぬ間に~』草津てるにょ

 同僚の母親を寝取る。その続編。関係は既に始まってしまっているので、あとはそれを繰り返し、それまでの日常を上書きし、浸食していく話。息子が10日間の海外出張なのでその間に好きなだけ繰り返すので、その無限地獄感が迫力あったし、だからこそ徐々に堕ちていってしまう流れが良い。
 それと、表面だけ見たらただの寝取りなんだけど、主人公がしきりにママという要素に強調していて、その執着度合いも良かった。ただ奪うのではなく、奪ってママにする。同僚の母を好きになる話なんだけど、ただの熟女好きでは終わらない屈折さが面白い。

投げ銭ポルノ』hal

 アイドルが復讐され、転落する。時系列をいじって1ページ目に転落ぶりを見せたのが効果的だったと思います。時系列通りにやる良さもあったと思いますが、どうせタイトルでネタバレみたいなことにはなっちゃいますし。1ページ目がすべての結論ではなく、その先にもうひと展開あるので、最後まで興味は持続する。主人公の転落劇なんだけど、本作のエロ的な意味での大きな特徴としてはもう1人、途中からヒロインが追加される。女性同士の対決の形でエロが進行し、主人公はその対決に率先して乗る。主人公のたくましさであり、クズさが現れてて面白かったし、その前傾姿勢によってエロがどんどん加速する。主人公の転落劇なんだけど、最終的に主人公が対決に勝つ、という結論もすげぇ意外でした。勝ったとしても「ウソに決まってんじゃん」的なこと言われて絶望するのかと思いきや、その場の問題は本当に勝利して終わる。その後、別ルートで(多少誘導はしたかも)勝手に転落したことを伝聞で知る、というエンディングが意外性あって、それでいて十二分に意地悪なオチで面白かった。この手の復讐譚をエロでやるとある程度地獄の底が予想できちゃいそうなもんなんですが、その中で一捻りしてくるのですごい。そもそも主人公は復讐される側なんだけど、エロパートにおいて彼女は積極的でもあるというのが独特ですよね。この捻れがすごい。
 細かいところで好きなのは、序盤、おっさんが怪しい航空券を渡してくる場面で言う “いきなり話し掛けてごめんね 僕の事解るよね?” 。悪意を隠してる場面なんだけど、このセリフに彼の恨みが透けて見えるのが良い。ものすんごい意地悪な一言。本当に解ったら彼の言い分を信じるはずがなく、後の転落も何もなく終わってたはずですよね。い、意地悪……。

『おねえちゃんとあそぼっ!』こやま滋

 みんな大好きおねショタだよ……と思ったらの衝撃で笑った。鮮やかすぎるジャンル詐欺w 雑誌初登場の作家がコレをやってくるのも最高だし、タイトルロゴも完璧なんだよなぁ。普通の、平和なおねショタとしか思えない。蓋を開けてみたら「おねえちゃんであそぼっ!」であった、というツイスト。冒頭のアオリ「お遊戯会」も意味深に思えてきてしまう。
 清楚系おねえちゃんを具現化したかのような冒頭の場面の衣装も素敵で、だからこそ騙される。彼女の衣装の変化で作品の方向転換が一発で実感できるというか、衣装の変化がすべてを象徴してるようでもある。その場面転換のシーンが面白すぎるんですが、 “2時間ぶっ刺したままだけど…” と予想以上の時間が経過してたと小さなセリフで明らかになるのもインパクトあって好き。
 逆転……ではないんですよね。読者が勝手に勘違いしてた(そう誘導されてた)だけなので。2人の関係において、どっちが支配的かは固定されてて、2人の恒例行事が作品として提示され、読者はそれを垣間見てるに過ぎない。
 ショタのキャラクターも絶品で、悪意を隠してたとかそういうわけではない。別に誰のことも騙そうとはしてない(おばちゃんには隠そうとするけど)。支配的なんだけど、ヒロインのことが大好きなのも事実。その愛情表現がどうかしてるだけ。なので、彼の言動は意外と最初から最後まで一貫してるんですよね。クライマックスの “麻耶姉ちゃんの可愛さには勝てないや” とか印象的で、この部分こそが彼の本質なんだと思います。

『ボーイミーツビッチーズ』今ゾン

 妹の友人2人に喰われる。速やかに犯行が進む序盤の軽いノリがで笑ったんですが、チンコが露出する場面ですべてが一変する。チンコの全段ぶち抜きは衝撃だわw 最近はゼロスも白抜き修正になってしまい寂しく、本作みたいなチンコが重要になってくる作品も被害は大きいんですが、黒帽修正よりも輪郭がハッキリと分かる白抜きの方がインパクトが多くなった側面もなくはない気がする。もちろん実際の描写がどうだったかは藪の中なので一概には言えませんが、これはこれで充分すぎるほどの驚きがありました。
 ビッチ2人に襲われる話なんだけど、この超特殊チンコがあるおかげで男女の主従関係がよく分からないことになってて、そのバランス、駆け引きが面白かった。いや、主人公に駆け引きの意志はなく、完全に受け身なんですが、チンコの特殊性によってなぜか上位に立ってるかのような話にもなる。ビッチに支配される良さもあるけど、同時にビッチが快楽負けする良さもあって、この矛盾が成立しちゃってるのが面白かった。逆転というほど主人公が上になるわけじゃないですよね。主人公(のチンコ)がめっちゃ強いけど、あくまでもヒロインたちに気に入られる、という形。

『きょうのふろく』れゐぢ

 出張版VOL.3。ネタも1本で、ショート連載みたいなことになっておる。2人の進みすぎない進展ぶりがめっちゃ微笑ましい。テーマはエロなんだけど、2人の関係はプラトニックなまま、というのが最高。
 2人の関係が完成してるというか、もう完結してるので全員が幸せになる良い話……と思ったら最後の最後に酷すぎる流れ弾がとぶので笑った。理解できてないようで本当によかったw

『しにぞこない』ザシャ

 物騒すぎるタイトルに闇深い話なのかと身構えましたが、読み始めると驚くほど脳天気にエロが始まるので驚く。クッソ暗い主人公とのギャップが魅力ですね。そして、最終的にはタイトルが「生きててよかった」の言い換えであったと明らかになる。後ろ向きではあるけど、ひたすらポジティブな物語であった。そんな後ろ向きな主人公が最後に、心の声ではなく相手に伝える発声として “がんばって生きてみるよ…” と言うのも良いんだよなぁ。エロとしてはものすごい都合の良い話なんですが、そんなエロを通じて主人公が救われる。
 エロで自殺を阻止する設定って少なからずあると思うんですが、本作は物語が始まった時点で飛び込みを遂行済み。それを見てた少女2人が救助に現れる。全編を通じて回想シーンもないし、3人のバックグラウンドがあまり語られないんですよね。一応主人公側の自殺に至る話が最低限出てくるだけ。特にヒロイン2人側がどういう人物なのか、紹介とか説明が全然ない。そんな2人が目を覚ましたら目の前にいて、ずるずるとエロが始まっていくので、ちょっと浮き世離れした印象が強くて、何なら天国に来ちゃったみたいな気にもなってくる。この2人のことがよく分からないまま流されるようにエロパートに突入していくのがすげぇ好き。積極的なかずちゃんと消極的なみく、みたいなキャラクター描写はしっかりあって、だからこそ2人のコントラストで3Pが燃えるんですが、実際のところ彼女たちがどのような人なのかが分からない。というか、読者的にはこの場所も自殺の名所というぼんやりした情報のみ。この現実感のなさが享楽的な3Pというエロの内容との相性が良かったと思う。変な話、最後にもう1ページ追加されて夢オチだと明かされても納得できちゃうかもしれないレベル。もちろん、そういう現実に戻るような話がない、夢見心地のまま終わるエンディングが良かったという話なんですが。

『姉ちゃんと勉強しよ!』Aikunn8

 姉がポンコツ姉弟ものなんですが、弟による姉の評価が酷いw バカにしてるのに欲情してしまう弟側の矛盾も人間臭さがあって良いし、エロが始まってからの2人の逆転ぶりも最高。バカにしてた姉が圧倒的な強者だったと思い知る屈服感も素敵だし、そもそもこういう他人をバカにする割に自分は何も持ってない、というのは少年の心理としてあるあるというか、いかにも思春期的なんじゃないですかね。
 オープニングからエロが始まるまでは姉のモノローグは一切描かれず、弟側の語りで進行するので、ヒロインの何考えてるか分からない相手としての不気味さ、底知れなさが感じられる。それがおねショタ作品のヒロインとして最高に魅力的。優しいだけじゃないお姉ちゃんヒロイン、良いよね(もちろん優しさもあるんだけど)。セックスを通じて2人の気持ちが通じ合うようになる、みたいな物語じゃないのも良かった。圧倒的な格差が常にあるんですよね。体格差の魅力が描かれる場面もあって素晴らしかったんですが、体格以外にも2人の上下は決定的で、1ミリもブレる隙がない。

『妹の友達』「タカシ」

 「タカシ」先生復活めでたい。闇属性なんですが、1ページ目のジャンル詐欺っぽさが良いですよね。しかも、最後まで読み終わるとこの1ページ目の印象すら変わってしまうから面白い。明るさしかないと思ったけど、その明るさも闇の上に形成されていた、みたいな。
 主人公が酷い目に遭う話ではなく、主人公が加害者になる話ってのがめちゃくちゃ面白かったし、だからこその絶望感がある……と思ったらこの「加害者になる」という部分がそもそも間違っていたとラストに明らかになる仕掛けが最高。たしかに言われてみれば、序盤で鬼畜プレイの話してるときからヤバさはありましたねw
 この手の転落の話で、クライマックスのエロシーンで転落する前の回想が差し込まれる演出って割と定番だと思うんですよ。そしたらそこでも……という衝撃。現在と同じ体勢(バックで一方的)なんだけど、ヒロインの衣装が違うってのも良かった。中盤の “まじで経験済みなの? かわいそ〰” がさりげない伏線だった、というのも秀逸。読み返した際に気づく楽しさ。
 ラストの衝撃で忘れそうになるんですが、序盤のずるずると加害者として組み込まれていく場面も最高に気味が悪くて好き。心理的な怖さという意味ではあそこが一番だったかもしれない。終盤の仕掛けもそうだけど、回想と現在を行き来する話運びが鮮やかでした。「時既に遅し」を実感させられる意味でも効果的だったし行ったり来たりするのに、決して話が分かりにくいわけではない。

『夜勤のお痴ゴト』東雲龍

 入院中、苦労してシコってたらお気に入りの看護師さんに見つかる。定番の設定なんだけど、出会い頭にヒロインが “斎藤くん?” と呼ぶのが良い。看護師なのに患者のことを「くん」で呼ぶ。この時点で彼女のキャラクター、主人公に対する接し方が分かってしまう。ヒロイン初登場の場面として完璧というか、異様に話が早い。ありがてぇ。
 話としては、オナバレからの彼女の誘いが予想外。あまりに当たり前のようにエロが始まる。このヒロインの強引さに主人公が「これでいいのか?」と動揺しながらも転がっていく感覚が絶品。頭が追いつかないというか、彼女の考えてることがよく分からないんですよね。けどめちゃくちゃエロいから否定できるはずもなく……というズルズル感が最高。
 ヒロインのモノローグはなく、マジで何考えてるか分からない存在なんですが、だからこそ作品の中に何度かある、彼女が表情を変える場面、意味深な表情をする場面の重み。そこに彼女の真意が隠れているのではないか……と彼女のことを追い求めてしまう。そんな魅力、魔性が素敵。明日の夜の約束をして終わるんだけど、それは体だけの関係なのか?? とか我ながら気持ち悪いことを考えてしまうw
forms.gle

 終わり。マジでまるっと1ヶ月遅れくらいになってしまった。毎度毎度申し訳ない気持ちはあるんですが、この自転車操業、抜本的に直すことがなかなかできなくてですね……。
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