北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2021年4月号の感想

快楽天 2021年 4月号
快楽天 2021年 4月号

 更新が遅いように見えますが、2月は日数が少ないので月末発売の快楽天の感想はいつもより遅く見えてしまうトリック!!(それでも遅い)
kitaku2kitaku.hatenablog.com

『オタクの前にカノジョです!』雛原えみ

 ギャルの前にオタク、の前にカノジョ。いわゆるオタクに優しいギャルなんだけど、その流行りのジャンルに対して批評的な視点を持ってるというか、流行ってるが故にある種テンプレ化してるジャンルに一石を投じるような内容で面白かった。というか、端的に「考えが至りませんでした……」と軽く反省もした。オタク趣味があってもギャルという時点で友達だと思ったオタクくんたちから性的な目で見られてしまう、という悲劇。この指摘がマジ鮮やかだったというか、ホント反省しますw いや、オタサーの姫的な作品でこの手の指摘をしてる作品を読んだことあって、そのときも「たしかに!!」と激しく納得した記憶があるんですが、まったく同じ過ちをオタクに優しいギャルで繰り返していたw
 ということで、その欺瞞に気づけるオタクくんが付き合える。からのタイトルの通りの話になる。彼氏のオタク趣味(エロ同人)が許せない。先ほどのギャル像批判もそうだけど、ここでもヒロイン像がオタクにとって都合が良くない。定番のオタクに優しいギャルものだったらエロ同人にも意気投合してくれる感じになりそうなもんだけど、本作は結構マジでキレる。ただ、オタク趣味を全否定するのではなく、真っ先に “妬いてんの!!” というパワーワードが飛び出すので怒られてるけどイヤな感じはしない。ここらへんのバランス感覚が絶妙でした。趣味の不一致みたいな話でもあるので、割と深刻なんですが、怒るのは好きだからこそ、というのが土台にあるのでその怒りすらも愛情に思える。
 からのエロ同人の内容である足コキ。漫画と現実に求めるものは違う、という身も蓋もない事実が指摘されるのも笑えるんですが、このすれ違い足コキの場面における、ヒロインの太股、そして付け根の描写がめちゃくちゃエロい。 “…視界は最高なんだけど” と劇中でも言われてる通り足コキとは別の副産物がエロいw このすれ違い、彼女の意図ではない隙みたいな部分が良い。彼氏の変態趣味に付き合ってくれるって、それこそオタクに優しいギャルとして定番の姿で、それだけで夢のような状況なんですが、実際の足コキにはそれほど興味がなくて別の部分に惹かれてしまうから面白い。オタク趣味、性癖に対する掘り下げがすごいリアルw
 何やかんやエロを満喫したのでうまく丸め込めた……と思ったらのエピローグも笑いました。オタクとしてはつらい話でもあるんだろうけど、それだけ必死になってくれる彼女がいるということは幸せですよね。てか、劇中にエロ同人の表紙が良い感じに間抜けというか、本作のヒロイン像との間にギャップがありすぎるのがまた笑える。彼の所持する本がギャルに足コキされるような内容だったらどうなっていたのかw

『湯気のゆくえ』楝蛙

 エッモ!! エモぶっぱな作品来ましたな。エモに振り切った楝蛙作品の破壊力よ……。銭湯の料金の違いで年月の経過を表すラストとかオシャレすぎて唸ったし、タイトルとも関係してくる煙突の消失(技術の進歩により煙突は必ずしも必要な設備ではないらしい(調べた))、そして「リニューアルオープン」の看板、トドメとして2人にとっての時間があの日のまま保存されたスタンプカード。最高ですね。さらには、2人が初めて関係を持ったのがボイラー室というがのまた良いですよね。湯気の出所であり、2人の熱の高まりを象徴するような場所。
 ということで、帰国子女の転校生と銭湯で。2人のすれ違いからの仲直りというドラマの積み重ねがとにかく丁寧。「ガイジン」の呼び方はそもそも良くないらしいですね。そんな謝罪と仲直りの印としてスタンプカードを渡すのもエモいし、 “私に また来てほしいんだ?” と返すヒロインも可愛すぎかよ。
 からの2人の交流をモンタージュしていく2ページも最高。いろんな格好が見れるので単純に眼福でもありつつ、2人の距離が狭まってるのも感じられてドキドキする。そして、いよいよボイラー室で初めてに至るんですが、そっから関係を持つまでの助走がゆっくり。ようやく、いよいよ! という感じでキスに至るんですが、そのキス、2人の唇の重なりを直接は描かない。心憎い。その後もセックス中にはキスしないので、2人のキスは一切描かれないまま作品が終わる。2人の秘密の関係みたいな特別感が増すじゃないですか。はぁぁ、エッモ。
 プレイ内容は大人しめなんですが、初々しい2人の初めてという意味でリアリティがある。シンプルながら、個々の描写は生々しくてしっかりエロい。そして可愛い。キャラクターの魅力がしっかり乗っかった上でのエロシーンというのが感じられて素晴らしかったです。

『Over』Hamao

 花見の席で後輩に童貞をイジられたのをきっかけに仲良くなって……。そんな2人が初めてを迎える話かと思ったら一気に場面が飛んで初めての事後。直前の『湯気のゆくえ』と同じでゆったり物語を見せていく感じなのかと思ったら急激にエロが始まる。というかエロが終わる場面から始まる。本作がメインで描くのは優しくリードして童貞を奪ってくれたヒロインの魅力……と同時に感じてしまう自分以前の経験についてのモヤモヤ。経験豊富でエロい子と付き合えるのは嬉しいけど、自分以外の男といっぱい経験があるという事実とは折り合いが付けられない。男の身勝手でしかないし、劇中でも怒られるんですが、この情けない男の心理、めちゃくちゃリアルですよね。コスプレとか好きなAVと同じプレイを実践してくれるとか男の願望を具現化したようなヒロインなんですが、そんなに性に寛容だと心配になってしまう。こうして書いてるとホント最低ですねw AVと同じプレイという意味では『オタクの前にカノジョです!』とも通じるテーマがあるし、それよりも優しい(甘やかす意味で)彼女なんだけど、何でも受け入れてくれるからこそのモヤモヤ。理想のセックスをしてるはずなのに主人公はどこか上の空、みたいな2つの相反する感情が同居してる感じがめちゃくちゃリアル。嬉しいんだよ。嬉しいんだけどね、なんか……という最低な発想ですね。分かってしまうw
 そんなモヤモヤを乗り越えてハッピーエンドという話なんですが、その乗り越えるドラマが “今日のセンパイずいぶん積極的ですね…♡” というプレイ内容に反映されてるのが良い。エロ漫画におけるドラマ描写、心理描写として理想的なバランスになってると思います。物語的な結論、主人公の成長によってセックスの内容が変化する。物語要素とエロが分離してない。

『定点ミッドナイト』小中えみ

 配信もの。漫画として描かれるカメラアングルがかなり限定的で、ラストページを除いて片手で数えられるほどしかないと思います。要するに劇中の配信で映される映像がそのまま漫画として描かれる、みたいな感じですかね。まぁ、個人の配信でここまで複数のカメラを用意するとも思えないので、厳密にPOV作品ではない気もするんですが、ある種単調なアングルの連続が逆に配信ものとしての迫力を生んでるのは間違いない。心の声も(ラスト以外)一切語られないので、「ヤバい配信観ちゃってる……」というドキドキ感ですよね。
 配信を通じて映像に映るものしか描かれないので、2人のキャラクター、背景、関係性については一切分からない。いきなりエロから始まって、ワケも分からないまま進行していくんですが、途中で少しずつ漏れ出る個人情報みたいな要素がちゃんと漫画の物語進行として機能してるのが見事ですよね。単純に配信を漫画として疑似的に体験させるもの、というコンセプトも充分面白いんですが、本作はそれでは終わらず、しっかり漫画の物語としても最後にしっかりオチがつく。
 そんな衝撃のラストですよね。すべてがひっくり返るというか、作品に対する印象が根底から覆るようでマジ最高。ヒロインの抱えた闇もそうだし、男の子との関係性にも深みを感じる。配信の途中で部屋の様子が見えちゃう場面では「個人情報見えちゃったラッキー」程度の印象でしかなかった部屋の様子、ハンガーにかけられたセーラー服。ラストページで最も衝撃的だったのはやはり寄せ書きだと思うんですが、配信中はその寄せ書きを隠すようにセーラー服がかけられてるんですよね。ハンガーの位置が移動してるんですが、彼女にとってあの寄せ書きが「絶対に見られたくないもの」だったのかもしれません。他にも配信の途中で語ってた “…さっきの服飾科希望の子さぁ” “夢は追っかけるべきだよマジで!” とか、ラストを見たあとだと味わいが何倍にも濃くなる。配信の中にも彼女の本音みたいな部分が漏れ出ちゃってたのではないか……みたいな奥行き。

『コスられるがママ』西沢みずき

 ワニマガグランドスラムのシリーズ。4/5作目。ちょうどこの1つ前の失楽天掲載の『なされるがママ』が物語的にもエロの内容的にもクライマックス感あったんですが、今回はその後(時系列的にその後なのかは不明)として、コスプレの内容がアブノーマルな方向に加速していく。最後に急に良い話っぽい雰囲気になるのがギャップで笑えたんですが、今回はナシで、むしろヒロインの加速っぷりがオチとして機能する。ヒロインの素の姿(メガネですね)が見れなかったのは残念でもありますが、「主人公以上にノリノリじゃねぇか!!」みたいな状況は笑える。ある意味、失楽天の3作目で一旦物語は完結していて、残り2作はエロ的な加速が止まらなくなってしまったエピローグ、みたいな味わいかもしれません。
 ただのシリーズ連載ではなく、1ヶ月の間に全誌掲載するという極めて特殊な連載形態ならではの内容になってて面白かったです。ある種発明的なコンセプトだったんじゃないですかね。

『モーニング♡コール』めえお

 朝活の手コキ風俗にハマる。最近ちょっと忘れてたんですが、こういうお店系の話めっちゃ好きなんですよ。そんなことを思い出しました。現実にも存在するエロのある非日常空間で、変態性を好きなだけ発露する場でありながら合法じゃないですか(厳密に考えると必ずしも合法とは限りませんが)。そんな良さ。
 そこに本作はハマることの魅力、ホレることの魅力が描かれててさらに素敵。ちょっとしたアイドル感もあるように感じました。手書きのポイントカードのくだりとか「こんなんホレてまうやろ……」と衝撃的w
 それと本作は、主人公がヒロインの魅力にやられまくる話で、ある種振り回され続ける。心理描写は完全に主人公のみで、ヒロインの方は実際のところ何を考えるかはハッキリとは分からない。特別扱いされてるらしくて、そこの魅力にクラクラきちゃうんですが、これもただカモられてるだけかもしれないですよね。それなりに金を落としてくれて無害なオッサンということで気に入られただけかもしれない。てか、十中八九そうだと思うんですが、けど優良な客を演じてたらありがたすぎる対価を得るってめちゃくちゃ良い話じゃない? みたいな気もします。終始ニコニコして天使のような存在なんだけど、よく考えるとミステリアスな雰囲気でもあって、そこが良いんだよなぁ。店だけでの付き合いなので、キャラクターのバックグラウンドとか、ドラマ性として語られる要素はほぼゼロなんですが、それがキャラクターの魅力というか、魔性みたいなものが生まれてたと思います。挿入直前の “何でかな? 何でだと思う?” とか彼女の優位性を象徴するセリフで最高でした。この部分だけちょっと雰囲気が違って、ひょっとしたらここが彼女の本音……というか本性が露出してるのかもしれない。とか考えてしまうんですが、この勘ぐってしまう時点で彼女の魅力にやられちゃってるw

『家賃の秘密』ゲソスミス

 管理人さんに射精管理される話。管理ってそっちかい! と笑ってしまいました。
 ワケあり物件のワケが管理人さんによる管理なんですが、本作、いきなりエロ最高潮の場面から始まって、そこから一旦時間が戻って事情が語られる。なので最初にエロに振り切ったヒロインの姿、顔を見るんですよね。その後、平時の顔が見れて、そのギャップが良い。主人公は管理人さんが美人で喜ぶんですが、読者としては「それどころじゃないんやで……」と一歩踏み込んだところまで考えちゃいますね。
 射精管理で主人公がおかしくなる一歩手前というか、ほとんどおかしくなってしまい、自ら駆け寄る。おそらくだけど、管理人さん的には主人公が完全に落ちて泣きついてくるまで放置するつもりだったんじゃないですかね。彼の方から来るようになって初めて準備が完了するというか。いざ本番になって、主人公的には感動なんですが、それと同じくらい我慢してる彼の顔を見てゾクゾクしてる管理人さんの顔が嬉しそうなのが印象的でした。直接の性感よりもこの顔を見るために管理人さんは射精管理してきたのではないか。ヒロインの心理、真意が垣間見えるような場面だったと思います。

『背春』デルタナイン

 冒頭の場面で、変態ヒロインに支配される話かと思ったんですが、そう単純じゃない。その直後に “雨宮さん淫語下手だよなあ…” と主人公が言うので笑ってしまいました。エロの迫力に圧倒されて気づかなかったけど、たしかに「舐め犬」とかって変な言い回しですねw
 主人公は自称学校一経験が豊富。そのこともあって他人のことをどこか見下してる感じがあるんですが、そんな彼に対して一切動じず、ある種上からの態度で接してきた、2人が初めて遭遇する場面が素晴らしかったです。めちゃくちゃ歪んだ2人ではあるんだけど、運命の出会い感すらある。
 こじれた心理のある主人公が徐々にヒロインのことを好きになっていくんだけど、エロありきの関係が確立されてしまっている現状にイライラしてしまう感じとかすげぇリアルで良かった。 “雨宮さんのことちゃんと知りたいんだけどっ” と言う際の顔とか絶品だし、それをヒロインに断られることで彼の心理が少し闇に落ちる感じとか最高でした。中出ししてしまって自らどん引きしてしまう感じとか彼の小物としての側面が露出してて魅力的だし、そこから逆ギレ的にイライラしていく感じとかすごいリアルですよね。やけっぱちになるあの感じ、ありますよね。いやダメだし、最低ではあるんだけど、ああいう最低になってしまうことありますよね。最低だけど他人とは思えないw
 んで、仲直りしてからのクライマックスなんですが、ここでの仲直り、割とヒロインの方から歩み寄ってるというか、より自分の感情に素直になってるのは断然ヒロインの方ですよね。主人公も彼にしては頑張った方ではあるんですが、告白する際の顔は描かれないし、その告白もヒロインが投げかけてきた言葉の返事として出たもの。その後、セックスの最中にヒロインは感情を爆発させて愛の言葉を吐きまくるんですが、主人公の方は内省の語りが圧倒的に多くて、このねじれというか、主人公側のこじれ。そんだけ暗いキャラクターなんだけど、物語は悲劇ではなく、めちゃくちゃハッピーエンドで終わるのも良い。

『風化』柳瀬こたつ

 同窓会ですかね、かつてめちゃくちゃ仲良かったヒロインと最低な再会を果たす。とにかくオチ、最後の場面で明らかになることが衝撃的で、その衝撃にすべてを持ってかれたような印象もあるんですが、読み返してみたら冒頭の場面で普通に左手の指輪が描かれてるんですよ。主人公が “あーあの頃ワンチャンあったなら” と最低の発言をする場面、初読時はあまりの気まずさに笑ってたんですが、2度目に読むとその場面で彼女が指輪を隠してるのが分かる。あそこで主人公の本音を知って、ヒロインの心が動いてしまったわけですよね。めちゃくちゃエモい場面じゃないか……。伏線として見事なんですが、単純に考えてあんな堂々を指輪を描いてるってすごいですよね。勇気というか、胆力。めざとい読者だったら気づいててもおかしくないと思うんですが、初読時に気づけた人にとってはこの漫画がどのような印象になるのか気になるw
 初読時は、すっかり陽キャになってヒロインに誘われる形で関係を持つ話で、それはそれで魅力的だったんですが、あのオチ、そして指輪を隠す場面に気づいてからだと印象がガラッと変わる。2人きりになって “一発やっちゃおっか” と誘う場面で彼女がポケットに手を入れたままなのも良いし、主人公の “…お前変わったよな” に対してヒロインが “思ったことちゃんと言うようになったからかな” と返すのがめちゃくちゃエモい。要するに学生時代は思ったことを素直に言えてなかったということですよね。何を思っていたのでしょうか、という話ですよ。そして、今回彼女の方から誘ってきたんですが、それはつまり彼女が思ってたことを今言ってるってことですよね。もうめちゃくちゃエモい。彼女の方だけ決意がすごいし、何なら何も知らずに振り回されてるだけの主人公が焦れったくもなってくるw

『ソトにダしてナカに』kanbe

 女っ気のない妹を女にする。光源氏計画ここに極まれりみたいな作品。妹とかボーイッシュを扱った作品は多いけど、それを女にするという部分にフォーカスしてて、だからこその不気味さ、背徳感がすごい。変化していく過程こそがメインディッシュというか、漫画としての見所だと思うんですが、そのグラデーションですよね。そこがめちゃくちゃ丁寧。終わってみると、24ページしかなかったのか……と驚くほどの濃さ。肉体的(キャラデザ的)な変化も大きいんですが、それと同時に性格の変化ですよね。その内面の変化が決してこれ見よがしでないバランスで描かれててエロの説得力がすごい。終始兄貴が支配的になる関係なんですが、そんな兄の攻めに対するリアクションの違いがあまりに大きくて、それでいてその過程、少しずつの変化も描かれる。ヒロインが複数人いるようなくらいの感覚すらありました。別人のようになってしまうんですが、その別人のような感覚があるからこそ主人公の罪を深く感じるし、取り返しのつかなさを感じる。 “ミツキは俺の見込みどおり最高の女性になった” とあるように、主人公としては最後の姿を理想として少女時代のヒロインに手を出したのでしょうね。ただのロリコンとは違くて、どう変化するか、どう育つかの部分が彼にとっては重要だったんだと思います。やっぱ光源氏計画だ……。

『湯ノ花』外山じごく

 ラボメンと2人きりで温泉。どうでもいいけどラボメンって言葉初めて知りました。初めて聞いて意味は分かるんだけど、今まで縁のない言葉でした。こういう専門用語というか、細かい言葉ってリアリティが生まれるので良いですね。別にエロとは直接関係しない言葉なんだけど、本作のエロさを土台として支えてる言葉だった気がします(まぁ知らなかった私にとっては)。
 そんなラボメン。他の人たちには付き合ってることは秘密。要するにオタサーの姫と付き合ってる的な構図だと思います。そんな2人が交際1ヶ月記念で温泉旅行。そして貸し切り露天風呂。エロさしかない。秘密の関係がそこはかとなくエロいんですが、人間関係を崩したくないから、という理由に関しては主人公たちの人の良さが現れてますよね。シチュエーションとしてエロいんだけど、それが同時にキャラクターの表現にもなってる。ぶっちゃけ、このシチュエーションってもう「あとはやるだけ」みたいな感じじゃないですか。そんな中で2人のバックグラウンドがうっすら感じられる。
 そして、エロスタート。隣の貸し切り風呂から子供の声が聞こえる中、スタート。貸し切り風呂の本来の使い方、健全な使い方を音として聞きながらの行為開始。のぼせちゃうのでお湯から上がっていざ本番なんですが、ここで挿入に至るのが1ページ目で2人が座っていたソファというのが良い。オープニングではエロへの予感と緊張感を抱いていたんですが、そこで挿入に至る感慨ですよね。高低差を利用した実用性、やりやすさみたいなものが感じられるのも生々しくて良かったです。そして、エロが盛り上がっていくにつれ、プレイがどんどん激しくなっていき、最終的に駅弁に至るのも最高。ソファの高低差を利用していたのにエロに夢中になりすぎて最終的には自力で持ち上げる、という無我夢中感。

『どろどろ』鬱ノ宮うかつ

 珍しく爽やかなカップルなのでは……と思った私が間違いでしたw いや、関係としては健全感もあるんですが、いざ行われるプレイの内容がタイトルの通りどろどろでぐちゃぐちゃ。まともな裸体が映る場面がめちゃくちゃ少ないですね。脱いだ直後の数コマくらい。あとは、何かしらが体に付着してる状態。食欲と性欲がない交ぜになった状態なんですが、「食べる」という行為がセックスの間に挟まることでより本能的な欲望がむき出しになった感じが強まったんじゃないでしょうか。1ページ目から “お腹すいた〰” とあるように、とにかく「食べる」を介したセックスが印象的な作品。それがヒロインからの一方通行ではなく、逆側のベクトルも描かれるのが良い。変態的なプレイなんですが、男側もそれを喜んで行うことで変態なりに2人の関係性がフェアというか、ナイスカップル感。まぁ、動物的な雰囲気という意味では断然ヒロインの方が強くて、そういう意味では対等ではないんですけどね。いざ挿入する際の “待てないにゃあ” とか迫力あって最高でした。剥き出しの本能が少し恐ろしくもあり、動物的な可愛さも感じなくもない。その後、喜ぶ彼女の表情とかは混じりっけなしの可愛さに溢れてるのとか良いですよねぇ。どろどろでぐちょぐちょなんだけど、やっぱ本作はかなり可愛い関係性というか、微笑ましいカップルのような気がします。まぁ後片づけとかめちゃくちゃ大変だと思いますけどw

『アフターサービス♡』ぼーかん

 ガールズバーで出会った子に深入りする。冒頭、男友達の主張が強いし、初めて登場する女性がヒロインではない、という少し変わった印象もあるオープニングだったんですが、それ故に日常社会から非日常の世界へのずるずると落ちていく感覚が強い。別にガールズバーで出会った子とそのまま仲良くなって……でエロに至ってもいいじゃないですか。が、その先に別の店に行くことになる。この徐々にと別の世界に足を踏み入れていく感ですよ。魔窟感というか蟻地獄感。
 そんな店の移動。バニースーツに驚くんですが、バニーなことに驚くというよりは、その着こなし。あまりに肉感的、を通り越しただらしない肉感が衝撃でした。一目で「あっこれまともな店じゃない……」と分かる。読み返してみると、最初のまともなガールズバーの場面の段階から彼女の肉感は主張していたのですね。ブラウスに隠れて目立ってはいなかったものの、他の子と比べると明らかに迫力が違うw
 そして、当然店の中でエロいことになるんですが、他の店員が当たり前に目撃してくるので衝撃w あの子は別にエロに参加するわけではないんですが、あの店の異常性を強調する存在でしたよね。そんな店の中で一番ヤバい存在が間違いなくヒロインだったわけで、あそこで「思ってたより数倍ヤバい(エロい)」と驚く感覚が本作の魅力だったと思います。そこで振り切って欲望を解放させることが出来る主人公は偉いw 最初から期待してたってのももちろんあるでしょうが、あそこまで満喫できるのはちょっとすごいと思いますw

『佐木場さんちの男性事情』いちまつ

 生徒に手を出してしまったので母親に謝りに行く。佐木場というのは要するにサキュバスということなのでしょうね。ファンタジー設定のサキュバスというよりは、サキュバス的な存在。サキバ家のシュリとスズネで、それぞれサキュバスになってるから芸が細かい。父親はどういう名前なのだろうかw
 娘に手を出してしまってる、というオープニングなので、最初に描かれるエロは娘の方なんですよ。本作のヒロインはこの子か……なんて読み進めていると、実は母親も参加してくる。このツイストですよ。エロ漫画ならではの仕掛けだったと思います。序盤にも回想という形で娘とのエロは描かれるので母親の方はすっかり油断してました。なので、母親が妙に距離を詰めてくる場面のドキドキとかかなり迫力がありました。身も蓋もない話をしてしまえば、エロ漫画なので大体最初に出てきた男女がセックスに至るじゃないですか。どんなにドラマを丁寧に描いてもある意味でオチが分かってるんですが、それを本作は最初に娘との話だと思わせることで母親に迫られる場面の意外性、それによるドキドキが素晴らしかったです。母親の迫り方が大人っぽいというか、かなりしっとりとした感じなんですが、途中であっけらかんとした娘が参加してくることで作品の雰囲気がまたガラッと変わるのも良いですよね。当然ヒロイン2人が行うエロの内容も対照的なので、一度で二度おいしい仕様になってる。サキュバスをもじってるだけあって、誘惑してくる感じが魔性感あって最高なんですが、2人の魔性がそれぞれ陰と陽って感じでどっちも魅力的。

『春の病』こめざわ

 担任をしている生徒に誘惑される。JKに誘惑される話なんですが、男の願望をストレートに具現化したようなものではなくて、そこが面白い。主人公がヒロインの誘惑を断る理由ってのが、以前に生徒に手を出したことがあって痛い目を見てるからなんですね。それも社会的制裁が怖いから断るのではなく、以前の生徒にフラれたことがある種のトラウマになっていて、人を好きになるのが怖い。特に生徒はめちゃくちゃ怖い。ギャルっぽいヒロインにからかいながら誘惑されるとか、めっちゃ明るくてハッピーな内容になりそうなもんなんですが、本作は主人公の心の闇描写が丁寧。そこからヤケクソ的に盛り上がっていく展開もエロいんですが、話がどう転がるか分からないのも面白さの一因になってたと思います。バッドエンドもありそうな予感を抱きながら話が進行する。結果的に本作はハッピーエンド、それもかなりのハッピーエンドなんですが、初読時は読みながらその判断ができないんですよね。そのドキドキ感が絶品。また同じ結果になって主人公の心の傷がえぐられるかもしれないし、バレて社会的な制裁を受けるかもしれない。そんなダークサイドに説得力があるからこそ、最後の最後で一気に、それこそちょっとギャグっぽい印象もある勢いでハッピーエンドになるのが良い。いや、このあと彼女が卒業するまで我慢しなくちゃいけないので、それはそれでつらい話かもしれない。てか、エロ漫画の「1回だけ」の脅しが本当に1回だけなことってあるんですねw

『もみこみギャル』あじ

 エロ漫画家がJKの実体を取材する体でギャルと交流する。ラブホテルに入るまでの経緯とかすげぇ良かったです。エロの予感はそれほどしないんだけど、主人公の方だけ勝手にドキドキしてしまって……みたいな。ヒロインの属性がギャルだともっと直線的にエロに繋がるようなイメージがあったんですが、あっけらかんとした感じでラブホに入り、その後も事前の話の通りゲームも楽しむ。ちなみにこのゲーム機がおそらくWii(もしくはWii U)なんですけど、ちょっと古いのがリアルだったのかもしれない。
 からのエロパート。当然ヒロインが主導となるんですが、からかいって感じではなく、優しくリードする感じだったのが本作の良さというか、本作のキャラクターの良さだったと思います。ギャル的な軽さはあるけど、最初から優しい感じが垣間見えてて、それがエロパートになっても変わらない。
 2回戦は制服着用。直前の『春の病』は主人公が制服を拒絶する意外性がめっちゃ良かったんですが、本作は取材という体裁なので制服を断る理由はない。本作全体が制服に始まり、私服、私服のままエロが始まり、裸になって挿入、からの制服に戻ってクライマックス。この流れがあるので最後の制服で「待ってました」感。制服の登場自体はサプライズなんですが、かゆいところに手が届いたような快感。

『火のタネ』大箕すず

 ヒロインのむっちり具合がすげぇリアル。ついでに男の方もむっちりw エロパートでは特にむっちりネタないですが、寝てる隙にヒロインがむっちりボディで少し遊ぶ場面とか良かったです。彼女としてはまだエロの意志はなく、単なる好意が感じられるんですが、それが愛撫のように機能してしまって寝ながら男のスイッチが入る。やっぱエロ漫画って一線を越える場面が最高にエモ&エロだと思うんですが、本作だと男が寝たままエロに至るので完全にヒロインの独り相撲。勝手に触ってたら彼が勃起してしまってヒロインが困惑、けどドキドキしながらチンコへの接触が始まって……という場面のじっくり感が最高。片方が寝てるからこその特別なエロさが生まれてたと思います。睡姦ってどうしたって支配的というか、暴力的なニュアンスになると思ってたんですが、本作はそれとは別の魅力。
 そんな関係が常態化してしまい、いよいよバレる。くまさんが起きるw ハラハラもする場面なんですが、そこでのヒロインが意外なほど強気。強気というか、もうエロのスイッチが入ってしまった「あっち」の存在という感じでエロいんですよね。不気味さもスパイスとして混じりながらのエロさ。ヒロインとしては寝てる彼で楽しむことを何日も続けてるんですが、男側は今初めて知ったわけで。経験豊富なヒロインと、ある意味で初日の男。このギャップが最高。そしてようやくヒロインが積極的に進める形で双方向的なエロになるんですが、それまでがめっちゃエロくて忘れてたんですが、ここで初めてヒロインが脱ぐ。真っ黒なシャツのボタンを1つずつ外してむっちりボディが露わになっていく場面も素晴らしかったです。スイッチ入っちゃってるものの、基本的にヒロインは弱気なのでこういう場面でかなり慎重。それ故にドキドキ感がすごい伝わってくるんですよね。
 セックスが進むにつれて、ヒロイン側がどんどん大胆になっていくというか、欲望の発露が直接的になっていき、それと同時に2人の攻守がやや逆転していく。乳首責めをご所望な場面とか意外な性癖が明らかになってドキドキするんですが、そこらへんから男側の攻めも始まる。最終的には「病人のくせに元気だな」と言いたくなるようなハードさになるのも良い。寝込みを襲ってた冒頭の場面と対照的。
 本作、ドラマ的には過去の大箕作品と比べると特別ドラマチックとか、エモさが強いわけではないんですが、それでもヒロインの心理描写とかめっちゃ丁寧で、それ故の迫力があって、それがエロへの没頭感に繋がっていく感じがとても良かったです。

『冬をこえるお前たちは』モモヤマハ

 遊園地デートをする2人。そこらじゅうでセックスしてるんだけど、結婚は男が断固として否定。からのヒロインが “この子を産む!” 。で、できとったんかい……。男の方が息をするかのように自然に “死ね” と言ってて衝撃というか、クズ度高いんですが、彼女が妊娠してると分かるとさらに印象が変わりますね。もちろんクズなのは変わらないんだけど。
 そんなクズ男をおっとりしたヒロインが優しく包み込む……の割には彼女の方もスケベの度合いがすごくて驚く。いや、彼に調教された可能性もあるんですが。とにかく2人とも第一印象がひっくり返る。2人それぞれについてもそうだし、2人の関係性についてもそう。この話に至る経緯とかは一切語られなくて、とにかくこの日のこのデートの様子のみが描かれるんですが、だからこそ2人のドラマが気になるし、闇を抱えながらも最終的には「幸せになってくれないかなぁ……」という気持ちになるから不思議。
 妊娠について、 “一度もナマでしなかった” というからまた驚く。さらには、この男は彼女の浮気を1ミリも疑ってないっぽいんですよね。あんなに酷い言動をしてるのに彼女のことを信用してる。ここらへんのねじれ、こじれが面白い。まぁ、彼女のことをものすごく見下してるからこそ男が出来るわけないと思ってるのかもしれませんが。
 こないだのWEEKLY快楽天に載せてたゾンビモノでもカップルがモブキャラに “死ねよ!” と言われててギョッとしたんですが、本作でも言われてる。社会的には決して認められないような関係だけど、2人の中ではキレイな感情があって……みたいな感じですかね。ただ、本作だと主人公も “死ね” と言ってたのでタチが悪いw ただ、序盤では “死ね” だったのが、ラストでは “殺すぞ!” に変わるんですよ。無意味な言い換えかもしれないんですが、2つの言葉のニュアンスの違いに主人公の変化が現れてるような気もしました。とはいえ、言ってることは酷いし、ハッピーエンドっぽいけどその直前には “でもやっぱり子供なんて無理だよ おれたちには” と言っていて混じりっ気なしのハッピーエンドって感じではない。とりあえず結婚は決意したっぽいんだけど、大丈夫なのか? みたいな不安も後を引く。季節は雪の降る11月で、タイトルもそうなんですが、2人の行く末を示してるんでしょうね。今後も気になるし、何ならこの前も気になる。味わい深い作品でした。

『青春リビドー山』位置原光Z

 第23回「負債」。サブタイのロゴかっけぇ……。本編の雰囲気とのギャップがすごいw
 彼女がギャンブルで負け、その負債としてチンコが提供される。ひでぇ話で、恐ろしくもあるんだけど、 “でも… 健司のチンチンはもう私の物でしょ?” と真顔で言われると「あっ 良い……」となってしまったので悔しい。それがノロケになってしまうのもどこかズレてるようで、エロくもある。本編では直接語られない普段の様子が想像させられるのが良い。
 というか、シコらせるだけなら、簡易的な寝取らせ、寝取らせられ? みたいな関係も含め、これ、主人公(男)の立場が実はめちゃくちゃ羨ましいのではないか……みたいな気持ちになってしまったからもうダメだ。いや、浮気になるのは申し訳ないけど、彼女の方から言い出した話だし、それも含めてモノ扱いと考えたら。面白かったし、オチも笑ったんですが、このシチュエーションの本格エロ漫画も読んでみたい……。ちょっと刺さってしまったw

「読者コーナー」


 ツイッターでのアンケート。今までは極論な2択が物騒だったんですが、今回は3択目がある。こういうアンケートにその他的なの入れるとその票が増えやすい傾向があると思うんですが、実際にそうでした。まぁ、それを除外して見ると、陰毛アリ派がダブルスコア。お恥ずかしい話になるんですが、私は正直こだわりがなくてですね。たまに人のエロ漫画感想で「この先生は陰毛の描写が良い」みたいなのを見かける度に「全然注目できてなかった……」と申し訳なくなります。いや、嫌いなわけじゃないし、意外と陰毛がだらしないみたいなキャラクター造形になってると分かりやすく楽しめるんですが、陰毛の有無やその描写に対する審美眼みたいなものを持ち合わせてない。こんなんでエロ漫画感想やっててごめんなさい、みたいな気持ちにもなります。今後はもうちょっと意識的に注目してみます。


 終わり。とても遅くなってしまいました。今月はこのあとゼロス感想もやるつもりでいるんですが、今から心配。いや、何とかやりますけど。駆け足になりそうでごめんなさいね。
forms.gle
 アンケート。面白かった作品3つですが、『湯気のゆくえ』『定点ミッドナイト』『モーニング♡コール』になります。
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