北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC X-EROS(コミックゼロス)#87 の感想

COMIC X-EROS (コミックゼロス) #87 [雑誌] (コミック ゼロス)
COMIC X-EROS (コミックゼロス) #87 [雑誌] (コミック ゼロス)

 やっと終わりました。連休前に終わらせるつもりだったんですが。ががが。

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『ボクたち肉食純情派!』軽部ぐり

 冒頭2ページがカラー。当然カラーページではセックスするんですが、2人の関係性がよく分からないままセックスが描かれ、モノクロページに移り、そこで初めて説明。ただのカップルかと思ったら実は、という情報の順番が面白いですよね。エロ漫画の冒頭カラー、独特の文法というか定石が生まれていて好きです。何となくだけど、最近減少傾向にあるイメージもあるので今回あって嬉しかったです。
 姉が結婚し、家を建てたのでお祝いで泊まりに行くが、一緒に行った幼馴染の子と実はセフレ。いや、セフレというか、当たり前にセックスする友達みたいな感じでしょうか。この独特の関係性が本作の魅力ですね。順番を間違えてしまった感。一見矛盾してるようでもあるタイトルがそのことをよく表してると思います。
 主人公の方は割とセンチメンタルというか、現状に疑問も感じていて、恋人になれればと考えているんだけど、ヒロインの方が度を超してエロい。セックスが当たり前の生活に慣れきってしまってるので主人公もその誘惑に流されてしまう(主人公は主人公で超エロいw)。ズブズブの関係でやりまくりなんだけど、主人公には少し引け目もあるのがスパイスとして最高だったと思います。そこに姉の家という別のいけない状況が加わるのも楽しい。
 主人公もエロくて、ヒロインもその期待を120%応えるエロさなんだけど、主人公は “まさか…誰のでも 良かったりして……?” と不安になる感じとかリアルですよね。冷静になって考えたら男の都合が良すぎる思考なんだけど、その情けなさがリアル。主人公はエロに興じつつもウジウジと悩みがちで、最終的には逆ギレ的にプレイが激しくなったり、逆ギレの果てに気持ちを吐露してしまう。そこで初めてヒロインの本音を聞くことになるんですが、ここでタイトルの「純情派」が剥き出しになるのが可愛かったです。2人の関係性の変化としてはかなり感動的なんだけど、2人がその場でやってることがハードすぎるw
 エピローグ。もう1つの大事な要素として、姉の家。バレという最悪の展開を迎えるんですが、あまりに脳天気なオチになるので笑いました。いや、序盤の段階から姉のキャラとしては説明されてたんだけど。大人の全裸であそこまで爆笑できるのはちょっと尊敬の念すら湧きますわw

『つくもがみ』flanvia

 古くなったPCから生まれた付喪神。身近にあるものの中でもPCはかなり擬人化的な印象を抱きがちかもしれない。反応鈍くなったり、すぐフリーズしたり、起動が遅かったりしておじいちゃん感ある。それがおじいちゃんではなくメイド服着た美少女だったという話。美少女じゃなくても人出てきたら愛着湧いちゃうと思うんですが、本作は徹底的にギャグベース、ボケツッコミで進行する。それが楽しく、ヒロインとのクドめの交流が可愛い。
 んで、ウェブ会議、そして仕事に支障が出るのでPCの買い換えとなってからエロ突入。ヒロインが買い換えを聞いてエロを決意するコマが渾身のアホ面なのが最高ですね。紙ボサボサで鼻水とよだれ垂らしてるのが可愛すぎるw
 ウェブ会議の最中に机の下で……なんですが、主人公が我慢できなくなって会議をぶっちぎる。ここでちゃんとPCの調子が悪い、というそれまでの話が利いてくるのがうまい。PCがポンコツだからエロいことになり、会議をサボってエロにふけることになる。
 PCから離れると消えちゃうって設定もあるんでしょうが、デスクにヒロインを乗せて、彼女がモニターを背負った状態で挿入、というのが「PCとセックスする」というコンセプトを完遂してて面白かったです。てか、よく考えると机の下ってシチュエーションもデスクトップの特徴を踏まえてるのですね。最近はよほどガチらない限りはノート型が主流だと思ってたんですが、本作はデスクトップ。ちゃんとそのことに意味がある。机の下と上に存在するので、当然セックスも机の下と上で行う。
 ギャグ調だったのが最後に急に悲しい別れみたいになるのも驚くし、そっからの復活、再会のエピローグも妙に感動的なんだよなぁ。最後だけセリフは少なめで、ヒロインの呆気にとられた間抜け面(可愛い!)で再会して終わり、というのもハッピーエンド感として秀逸でした。下手すりゃ泣きそうになってもおかしくないんですが、泣かせにかかるほど押しつけがましくもなく、ギャグに偏りすぎないバランスが絶妙。

『さいみんクエスト』背徳漢

 #4。3話で一旦の区切りで、本話は次章に向けたプロローグみたいな感じでしょうか。前回までの主人公も最初にチラッと出てくるんですが、その場面で彼女と絡む人物が実は……という仕掛けもうまいよなぁ。油断ならねぇw
 催眠ボールを手にした先生が生意気な生徒を好きなようにするんですが、最初に催眠をかける場面も気の利いた展開になってて良いですよね。コーヒーカップのくだり。本シリーズは全体的にそうですけど、ちょっと少年漫画的というか、能力バトル感あるのが面白いです。催眠で無双するんだけど、どう使うか、どう使って相手を出し抜くか、みたいな要素がどんどん前面に出てくる。もちろんエロ的にも。
 最後、今後のキーマンとなる人物が出てくるんですが、彼女(彼)の催眠の使い方が明らかに今までのキャラとは一線を画すレベルなのが一発で分かるのが見事ですよね。一見して分かる強キャラ感。そんな使い方あるのか! という驚きもあるのが良い。やっぱ能力バトル漫画だわw

『お前に精求する!』変熊

 男勝りで色気のない幼馴染が実はサキュバス。ナメてた相手が殺人マシンでした映画ならぬ、ナメてた幼馴染が実はサキュバスでした。サキュバスとはいえ、男勝りなので拙い感じなのかと思ったら、正体を現したら圧倒的な強者なので笑った。男の即堕ち。すなわち即射精w 手コキで瞬殺された精子が空中を漂い、ヒロインに吸われる。この超能力感も新鮮ですごい良かったです。サキュバスものは多いですが、この設定良いなぁ。サキュバスだから精子を無駄にしない整合性もあるし、サキュバスだから使える魔法という意味でも、「本物だったのか……」と愕然とする場面として秀逸。あと、設定という意味では男の刻淫も笑いました。腹筋バキバキの下腹部にお馴染みのアレがw
 とにかくヒロインの強キャラ感が魅力ですよね。「こんなの敵うわけない」と諦めるしかない感覚。ヒロインが完全に支配する関係なんですが、途中から主人公以外に手を出さないことにイチャイチャの要素も感じられる。結局のところは幼馴染カップルとしてものすごく幸せな形に収まったのか? みたいな感じになるのが面白いんですよね。主人公も支配されてるんだけど、彼女のことが好きなのを自覚してるっぽいので、プレイがハードすぎるだけで案外イチャラブ作品でもある。すごいバランスだw

『暮井さん』こっぽり生ビール

 とてもゆったりとしたオープニングが印象的。一応ヒロインは出るんだけど、話としては男のみで、その話ってのも極めて薄味。特に大きな出来事は起きない。そんな退屈な日常の隙間に出会うことになるヒロイン、というのが染みるわけですね。エロ漫画で、しかも読切だと最初からヒロインの可愛いとこ見せてドン!! みたいな方法になりがちだと思うんですが、この行間だらけの序盤が最高。映画だったらこの時点で「見に来てよかった」と確信を持ってしまうレベル。
 そんで、2人が徐々に接近することになるんですが、これも序盤と同じで、多くは語らない。2人が仲良くなる劇的な出来事は描かれないし、そもそも2人が互いのことをなぜ好きなのかも描かれない。あるのは男の方が意識してる描写と、そんな男のことをヒロインは何かを気にかけてくれるので読者からすると「こっちも好きなのか?」と察せられる程度。そんな中、大々的に描かれるのは2人の緊張感のみ。物語的な要素は極めて少ないんだけど、その分キャラクターの感情が、感情のみがめちゃくちゃ丁寧に描かれてる。普通だったら「○○だから好き」みたいな感じになると思うんですが、本作はとにかく「好き」の部分だけを抽出することで、そこが際立つ。これを描く作家もすごいし、それにokを出す編集もすごい。それが成立してしまうのはエロ漫画ならではかもしれませんね。

『狐の発情期入り』いづれ

 狐の男女がやる。『暮井さん』もいわゆる「やるだけ」の作品だったんですが、やるだけ作品としては本作の方が正統派って感じありますね。まぁ、あっちは長め、こっちは短めのページ数って違いも大きいんですが。
 あるのはケモな男女だけ。2人がやるだけ。特殊な設定なんだけど、その説明や掘り下げにも関心はなさそうで、むしろメタっぽいセリフも出して「細かいことは考えるな」と言われてるようでした。発情期だからやるんだよ、という感じ。
 何が魅力的かと言うと、ヒロインが可愛いのはもちろんなんですが、やっぱねぇ、ショタが可愛いんですよ。いづれ作品のおねショタなので鉄板っちゃ鉄板なんですが、ケモ耳搭載の破壊力がヤバいですよね。ゼロス今号のベスト竿決定です。

『褐色エルフ(JK)となぜか同棲してます。』えーすけ

 『狐の発情期入り』と並びで読むと同じコンセプトの作品という印象が強まるんですが、要するにファンタジー設定だけど特に物語的には掘り下げないショート作品。タイトルからして説明を放棄してるというか、投げやりな感じがあって清々しいw
 ただ、キャラクターとしての設定、2人の関係性、そして展開(プレイ)の起伏としてはむしろこっちの方があったのかな、と思います。こっちのがページ少ないんですけどね。ここらへん作家性だと思います。1ページ目にあった “会社に遅刻するぞ!” という話についてラストページでオチがつく感じとか、生真面目というか、意外と丁寧。ダークエルフは描きたいけど、ダークエルフのいる設定や物語を考えるのはめんどい、だから「なぜか同棲してます」でショート、みたいな感じでしょうか。通常サイズの読切だとさすがに「なぜか」で押し切れないという判断とかあったのかな、と妄想すると楽しいw

『ハロウィンの翌日は…』終焉

 これまたショート。今度は6ページ。これが一番短い。ただ、エロ漫画読切としての起承転結は意外と本作が一番キレイにある気がします。ハロウィンの翌日に目覚めたら謎のコスプレ美女がいて、彼女に誘われるまま彼女の好きなようにされて、最後に彼女の正体がうっすらと明らかになる。ショート3作品の中で最も通常サイズの読切にしやすい作品なんじゃないかと思います。設定とそのオチも面白いです。蓋を開けてみればサキュバスものだったんですが(おそらく)、サキュバスなのに話の時間設定が朝方もしくは真っ昼間なのが面白いですよね。ハロウィンという夢から覚めたはずなのにコスプレ美女がいて、祭りの延長戦のつもりでセックスしてしまう堕落感も魅力的ですし、そこからハロウィンのコスプレだからこそ彼女の正体に気づけなかった、とオチがつくのも秀逸。
 ちょっと三者三様の魅力があって「エロ漫画ショートはいいぞ」と感じてしまう並びでした。

『れい/らいふ』UREC

 初々しいカップルかと思ったら家庭教師のオッサンが出てきてタイトル。そっちかい!! とまんまと騙されてしまったw そんな開幕とも通じるんですが、2人の間にはもう既に経験があり、その過去が小出しになりながらセックスを描かれていく。この語り面白かったです。相当な分の蓄積が既にある。乳首いじりすぎて形が元に戻らないとか象徴的でした。
 家庭教師の肉だるま感もすごいんですが、ヒロインの方もお肉描写が圧巻。贅肉というほど太ってはないんですが、肉の垂れ、皮の垂れの描写がものすごい細かくて驚きました。これは単に作者のタッチだとは思うんですが、脱いだらすごいというのが本作の「この2人実は……」という物語展開と合致してたとも思います。
 挿入からの流れがちょっと格闘技的な雰囲気すらあって面白かったです。挿入後の1つずつのアクションが丁寧というか、1つ行為を変える度に着実にヒロインは堕ちていく、という展開、グラデーションが迫力ありました。一手ずつ追いつめられてる感。モノ扱いからの快楽堕ちでワンサイドゲームではあるんですが、1つずつの行程が丁寧なので苦戦じゃないけど苦労して追いつめてるようにも感じられました。この機微はかなり特徴的で面白かったですね。

『主従風紀ゲーム』ダワリシ

 風紀委員のヒロインが男子生徒からエロ本を没収するところから始まる。ので、その男子生徒が竿だと思うじゃないですか。そうすると彼女の中のバイブを操作する別の男が現れる。直前の『れい/らいふ』もそうでしたが、「竿そっちかよ!」と驚かされるオープニング、エロ漫画特有の仕掛けで楽しい。
 ヒロインを支配するご主人様……かと思ったら2人のなれそめが真逆。ここでもツイスト。告白したのは男の方からで、 “今日からあなたが私のご主人様…ということなんですね” とヒロイン。ヒロインの方が変態だw この回想の場面から男の変貌ぶりにはちょっと感動するレベルなんですが、覚醒というよりは彼女に好かれたいから理想の彼氏……じゃなくてご主人様を演じようと努力してる。ドS彼氏だと思ってた彼の印象がガラッと反転するのが面白い。途中、彼女に対してイラッとする描写が入るのが印象的だったんですが、彼のドS責めのすべてが演技ではないってことかな。とはいえ、彼女が着替えを済ませた場面ではドキッとする表情を見せて、その顔はご主人様感がゼロw この二面性というか、彼側の心理の揺れ動きが面白いです。ヒロインの方は彼女にとっての理想の変態道を突き進んでるだけなので、そっちに揺れはないんですよね。彼が予想以上にハードな責めをしてくれて驚いたりはするんですが、結果的に大満足ですのでw
 からのエピローグ。ド変態キャラが面白いと思ってたんですが、ここでまた印象が変わるというか、ヒロインのストレートに可愛い一面が見えるのでずるい。ただ、やってること、見せてる顔はめちゃくちゃ可愛いんですが、言ってる内容は変態w 要するに、めちゃくちゃな2人だけど、結果的にナイスカップルだし、良い恋人生活を送っているのでは……みたいなハッピーな後味になるからすごい。さっきまでのプレイ内容とのギャップがw

『くらぶルーム』ザシャ

 ヤリ部屋の隣のイラスト部の話。部活の活動内容とか詳しい描写はないんですが、おそらくオタサーとかそういう感じなんじゃないかと思います。男1女2なのでオタサーの王子様的な構図ではあるんですが、単純にそういう感じでもないから面白い。3人がそれぞれオタクっぽいというか、それぞれディテールの違う陰キャラなんですよね。その3人のキャラクターの交差というのが本当に魅力的で、その生々しさがそのままエロ的な魅力にも繋がってたと思います。エロい雰囲気に当てられて一歩踏み出すのがヒロインなんですが、ビッチという感じではなく、引っ込み思案なのに無理して頑張った感だと思います。この緊張感がめちゃくちゃ良いんですが、そこに最初は笑ってごまかす童貞の主人公、焦りながら否定しつつ正直エロには興味津々でどうせだったら自分も参加したいもう1人のヒロイン。この三者三様のオタク感。正直めっちゃ分かる。ヒロイン2人も含め、めっちゃ分かるw あの根暗が調子乗ってはしゃぎ出す感じとか、自分もあの状況に置かれたらなってしまう気がする。主人公の受け的な言動も分かるんですが、ヒロイン2人の方も分かっちゃうんだよなぁ。学校の日陰者たちが狭い部室の中で、普段は憧れてるとも公言できないようなエロにまみれた行動にノリノリになってしまう感じ。オタクとギャルとか、分かりやすい構図の作品もいいけど、3人ともオタクでそれぞれ微妙に方向性が違う細やかさな作品も素晴らしいです。3人がそれぞれ初々しいから、ものすごい淫らな事態になってもちょっとピュアさというか、甘酸っぱい雰囲気も残ってるのもエロ的な魅力だったと思います。
 ラストは少し暗い雰囲気になるんですが、要するに冒頭の場面では嫌ってた、場所を気にせずやりまくる奴ら、それが当たり前の学校の雰囲気に飲まれてしまったというわけですよね。おそらくだけど、元からヤリ部屋になってる逆側の部屋には冒頭の場面における主人公たちのような「今日もやってるのかよ……」とか愚痴をこぼしてるような人がいるんだと思います。そんな彼らもいずれは……という余韻を感じました。

『ベストマッチング?』ななもと

 上京し、一人暮らしの大学生活を始めたら自然と彼氏ができる……と思ってたヒロインの話。あるあるだわw 本作もオタク系のヒロインなんですが、彼女が手を出すのがマッチングアプリ。一昔前の出会い系とかだったら100%エロみたいな感じだと思いますが、最近は普通にテレビcmやってたりするので、健全なマッチングアプリもあるらしい(詳しくは知らないw)。この二面性、「どっちなんだ?」という感じが本作の味噌。主人公は思いっきりエロ目当てで行ったけど、そこに現れた彼は健全な方を想像していて、という齟語。このすれ違いが微笑ましいんですが、とはいえ彼も誘われて断るほど清廉潔白なはずもなく……とずるずるエロに突入していくのが良い。一応ヒロイン主動ということにはなるんですが、当然彼女には経験もないし、勝手も分からない。初々しさがあるんだけど、たった1回を満喫しようと気合い入れてきてるので自分の性欲には正直でオープン。そこで行うのがハメ撮り。初めてでレベル高すぎるんですが、極端な話、彼女はもうこの1回の思い出だけで今後の人生を乗り切ろうと決意を固めてるんじゃないか。そんな雰囲気すら感じます。普通、こういうヒロインだったら受けに回ると思うんですが、本作は逆。ただ、カメラを彼に任せる場面もあるので、そこでセックスの主導権が移ったようにも感じられて……みたいな機微も魅力的。
 本作のドラマとセックスの展開として最も重要なのはヒロインの低すぎる自己肯定感がセックスによって満たされる、という展開。 “とりあえず もっと自信持っていいんじゃないですか?” は普通に良い話でしたよね。セックスじゃないときに言われるのがカップルとしては自然な形なんでしょうが、2人は成り立ちが少し歪んでるw ただ、そんな自信を持つ話が、セリフだけで終わるのではなく、体重を気にしていたヒロインがセックスの際に全体重をかけるようになる、というプレイ内容に反映されるのが実にエロ漫画的な物語描写で面白かったです。ちょうどこのくだりの前後に騎乗位があるんですが、そこにちゃんと違いがあるのが良いですよね。そのビフォーアフターに彼女の解放が象徴されている。

『Runners Favor』燵成

 社内スポーツ大会のために夜の公園でランニングしていたカップルの話。仕事で忙しくご無沙汰だった2人に何もないはずがなく……という感じ。やりたいなら帰ってからやれよという話なんですが、そのムラッときた原因が彼女の汗にあるのでその場でやるしかない。汗で透けて、体にぴったり張り付いたスポーツウェアというのが可愛かったですね。そっからストレッチになり、いよいよ我慢できなくなる。ストレッチすることで密着し、そこで完全にタガが外れる。そこで触ってるだけだったらまだ言い訳もきくんですが、そのまま脱がしにかかるので今度は露出の要素も加わる。運動、公園、露出という連想ゲームが当然のように行われるのがエロ漫画的で良いですよねw
 スポーツウェアがかなり可愛かったので脱がしちゃうのもったいないんですが、そこは野外でいつでも逃げれるようにしないといけないのもあって半脱ぎ。ただ、我慢できないのでおっぱいは出すし、セックスが進むにつれて脱がす量も増えていくw このグラデーションが男側の興奮の度合いに比例してるのかと思いきや、案外ヒロインの方にも当てはまる。野外にハマったのはむしろ……とオチがつくのも笑いました。たぶん彼の方は我慢の限界でその場でやった、という感じだろうけど、彼女の方は野外という部分にこそ目的が設定されちゃった感ありますよね。この主従の逆転感がカップルのある意味で対等な関係性でもあって微笑ましかったです。男のワガママで結構な変態プレイをしてたんですが、最終的にはワガママに付き合うのが逆転してしまう。

『おとなのじかん』川島よしお

 第5回。前回の干物女部、文芸部の話も好きだったんですが、今回もマグロ女部のネタ良いなぁ。彼女たちの探求者感、プロフェッショナル感がすげぇ好き。ぶっちゃけ女子高生がこんなことやってます、という事実がオチみたいなもんなんで、4コマ漫画、8コマ漫画としての物語進行によるオチはほとんどないんですが、そこが逆に「そういう軽薄なもんには興味ないんで」みたいな雰囲気になって良い。みんな安易に笑顔を見せる感じではないんだけど、めちゃくちゃ楽しそうw
 それと似た意味で、最初のスカウターの話も好きです。女の子たちが女の子コミュニティの中で生き生きと楽しそうにしてる感じが良いんですよね。こっちのネタは彼女たちが煩悩にとりつかれてるってのも良さだと思います。スカウターで巨チンを探す話なんですが、この子がデカいのかよ、と驚いてしまったので劇中でキャーキャーなる彼女たちの心境がわかってしまうw

『方言熟女のまかないごはん』gonza

 同じファミレスでバイトしてる離婚したての元人妻と。貧乏学生とファミレスのバイト、そして元人妻という要素が合わさり、食事という口実でお近づきになる。この開幕が見事だったと思います。設定、キャラクター、そして家に上げる口実、流れに無駄がない。さらには家にお邪魔することでバイト先では知ることのなかった彼女の違った一面が見えてくる。ラフな私服にドキッとするのも良いし、荒れた部屋を見て彼女の心の様子を察する、という2人の急接近ぶりも実に漫画的で素晴らしいと思います。いや、漫画というか視覚的。映画とかでも全然ありそうな語り口ですね。
 主人公はアラフォーの魅力に目覚めそうになってる段階なんですが、彼女の方が積極的。理由は離婚したばかりでストレスと性欲が溜まってるから。突飛な行動に思えたけど、理由は既に説明済み。うまい。
 初めては童貞だったこともあり、挿入して即出てしまう。エロ漫画の主人公失格なんですが、そこから完全に目覚め、ずるずるとハマっていく。ここ童貞というのもあるけど、スタミナ不足だからという理由が加わるのもうまい。要するに食事ですよね。食事のため、という口実がそのままセックスを充実させるために変わる。ずるずる感ですね。食事というテーマが一貫していて、最終的には “毎日ご飯を作って下はい” というプロポーズにまで発展するからお見事でした。ずるずる感が魅力なのでインモラルな印象も受けるんですが、よく考えたら離婚したばかりという設定なので何の問題もないですね。ものすごく純度の高いハッピーエンドだったと思います。ちょっとやりすぎではあるんですが。バレたらファミレスのバイトやばいぞw

『タワマン・コールガール』hal

 タイトルが「タワーマンション」ではなく略してあるのはやはり「マン・コ」ということなのだろうかw
 憧れのタワマン暮らし。が、そこでは奥様同士の熾烈なマウント合戦が待っていた。この閉鎖的な社会における上下の争いってのが良いですよね。タワマンという上下の構造なのも相まって世界の縮図感。エロおとぎ話みたいな味わいで最高でした。
 主人公は一見可哀想な存在なんですが、夫の “パートにでも出れば?” という提案のキレてたりして、彼女は彼女でちょっと狂ってる感じありますね。もちろんマウント合戦で心が疲弊してるとも取れるんですが。
 そこでタワマン最上階で行われる、住民専属娼婦の誘いを受ける。夫の仕事でマウントを取り合ってたんですが、そこからの打開策としての娼婦も結局はタワマン住人の男の金ってのが皮肉ですね。結局はタワマンの中から出れてない。ただし、上下の価値観においては最上階なので甘美の極み。この設定が最高でした。
 いきなり誘われたにしてはハードすぎるプレイで面食らうんですが、レイプとか快楽堕ちの話にはならない。彼女が取り付かれたのはセックスの快楽ではなく金。そして、奥様同士のマウント。彼女はチンコにとりつかれたわけではない、というのがエロ漫画としてとても新鮮。寓意、そして教訓としてバッチリなので見事なおとぎ話ですよね。絵本になっててもおかしくないレベルw

『ひながんばる!』秋白秋乃

 童貞狩りにチャレンジ中のギャルが思わぬ巨根と出会い、アナルに活路を見出す。1ページ目にて見事すぎるチンコを披露してるガリ勉の敦くん、結局最後までセックスすることなく漫画が終わるので爆笑しました。エロ漫画でそんなことあるのか、あっていいのかw 何なら彼とのラブコメ的な展開も想像してしまったんですが、まったくそんなことにはならない。いや、コメディではあるんだけどw
 ということで、アナルに詳しい先輩にアナルおじさんを紹介してもらう。ここから開発がメインテーマになるんですが、重要なのはヒロインが2人いる点。そして先輩は既に開発が完成してる点ですね。開発を丁寧に描けば描くほどスロースターターにならざるを得ないじゃないですか、普通は。本作も開発の様子がかなり丁寧で、「実際こうやって開発するんだろうな」と納得してしまう説得力がありました。
 その開発待ちの場面で出てくるのが先輩。料理番組でいう「~したものがこちらになります」と隣から急に別のフライパンが出てくる展開w 読者視点で常にエロいことが行われてるメリットがあるんですが、それだけでなく、開発途中の主人公が目の前で繰り広げられるアナルセックスを見て「私もああなるの?」と想像することになる。アナルだけに(うまくない)。動機が巨根対策なので、特別アナルに対する憧れがあるわけではなかったんですが、ここでアナルの魅力を知る。そうこうしてる間にアナルの準備が整ってきたのでいよいよ本番、という展開がマジ見事。無駄がない。
 そして、修行が終わって敦くんにリベンジしに行くと “俺のもっとデカくなるんだよ” と返り討ち。バトル漫画のインフレ展開みたいなオチで笑いました。あと、劇中では特に触れられないけど敦くんデカいだけでなく、ちょっと被ってるんですねw 本筋とは関係ないところにも足し算していく過剰さが最高です。

『如月さん奮闘記』ミカリン

 プールの監視員のバイト。子供たちを見守る如月さんが小さい。1ページ目でバストアップが描かれ、監視台が降りると、小さい。この開幕のインパクト良かったですね。あのちょっと背伸びするようなポーズが可愛い。ロリの代わりでは表しきれない魅力があったと思います。大人の女性に憧れてる年上の女性、という文章にするとややこしいんですが、この一捻りが独特の良さ。基本子供っぽいんだけど、リアルキッズに注意するくだりで優しい大人としての側面がチラッと見える場面とか素晴らしかったです。年上の女性として、バイトの同僚として尊敬できる一面が見えたのが重層的。なのに、その直後ではムキになって迫ってくるのも振り幅あって可愛いです。
 そのままエロパート突入。ヒロインは年上だし、彼女から迫るので、コマの中に彼女だけが映るともう普通に積極的な年上ヒロインに迫られるタイプの作品として見えちゃうんですよ。なんだけど、彼女が隙を見せると引きのカメラになって2人の体格差が露わになる。この漫画的な演出、見事でした。さらには、彼女が見せる隙っていうのが序盤から繰り返し描かれてきた「水分補給」に由来するおしっこなのも最高。エロとしてのテーマは体格差だけじゃなかった、というサプライズ。おしっこ漏らしちゃうのも子供っぽさの内ということなのかな。場所がプールなので盛大におしっこしても大丈夫、という精神的な安心もあって、かなり変態度の高いプレイながら微笑ましいライトな味わいに繋がってたと思います。
 からの挿入なんですが、ちょっと意地悪に思えてしまうくらい、容赦なく体格差が描かれる。あの手この手でヒロインのコンプレックスを刺激していくので笑いました。騎乗位からのキスのくだりとか可愛い場面なのに、届かないw ただ、そっから対面座位に移ることでキス成立という流れは見事でしたね。2人の身長差を埋める行為がそのまま2人の心の距離を埋めることになる。

『即堕ちドスケベ学園』柚子まち

 めちゃくちゃ修正の黒棒がでかいw チンコが画面を占める割合が大きいのもあるけど、単純に黒棒のサイズが巨大ですよね。たまたまなのか、何か明確な基準でもあるのか……。
 話としては学園で女子生徒5人とそれぞれやる。痴女だらけの学園なので襲われるような形も多いが、普通に逆もある。物語性はほとんど排除して、とにかくキャラとセックスのみ。それが5回。1作で短編集的な感じですね。特殊な学園という舞台ともマッチしてるし、かなり面白かったです。ただ、5人もキャラ作らないといけないので、作家的には制作カロリーかなり高かったのでは……とか感じてしまう。いや、物語を凝ったりする方が大変なのか? 分からん(ド素人)。
 順繰りにヒロインが出てくるんですが、徐々に設定が荒唐無稽に飛躍していくのでその流れも楽しい。最終的には何の説明もなくネズミの女の子とか出てくるのでビビりました。そういうのがある世界だったのかよ。5人もいて最後の1人だけ、というのが面白いバランス。2人目の子とか、男の幼馴染だったら女になってしまったと嘘をついて主人公の気を引くという設定で、何とかして男の娘とか性転換を回避してると思ったんですが、最後の最後に何でもアリ。逆に言うと、2人目のツカサは男の娘の代替ではなく、最初からああいう捻れに捻れた設定の子を出したかった、ということなのでしょう。すごい複雑だ……。ちなみに個人的にはやっぱこの2人目が最も好きです。

『ぼくたちおんなのこ』隣乃えすいち

 #5。いよいよ次が最終回だそうです。そのせいもあってか急展開。前回、メインで描かれるキャラが交代して、催眠の要素が出てきたと思ったら、まさかの展開。エロ漫画の催眠に慣れていたので、催眠のこういう使い方には驚きました。退行催眠は本来なら正しい使い道だし、虚実がグチャグチャになる感じはよく考えたら正統派な演出とも言えるんですけどね。エロ漫画雑誌故の驚きw
 前回、話が脇道にそれたような印象もあったんですが、よくよく考えてみれば最初からこの2人の物語だったわけですね。逆側の視点になったけど、元の主人公が再登場して本話が終わり、いよいよ最終回。初回からあった余命カウントがこういう形で役に立つとは思いませんでした。催眠で何が現実なのかさっぱり分からなくなってるんですが、150日なので初回のラストと同じ日にち。次回がこの直後になるかは分かりませんが、直後だとすると実はものすごくミニマムな範囲の物語だったことになりますね。

『恋』「タカシ」

 バイト先の人妻との心の透き間を埋め合うような話……からの寝取られ。特筆すべきは序盤のキラキラ感じゃないですかね。主人公のキャラクターとかちゃんとそっち系の作品でもやっていける雰囲気を持ってて、だからこそツイストの部分で「こっから!?」と度肝抜かれてしまう。身構えてはいたんだけどね。1ページ目で下世話なボーイズトークしてた相手が実は、という展開には普通に驚きました。思春期特有のしょうもない会話かと思ったけど、彼はあのときのセリフをそっくりそのまま実行してるだけだったのですね。見事だわ。そして、その彼に主人公がいじめられていたと明らかになるのとかちょっとした叙述トリック
 もちろんクズ男による寝取りではあるんですが、そもそも人妻なのでヒロイン側にも非があって、そのことを徹底的に突いてくる。悪ガキの無計画な犯行のようにも見えるんですが、言葉責めとして使われるロジックがちゃんとしてるというか、容赦ないというか、救いがない。ヒロインをただの被害者、可哀想な人にさせてくれない。この理詰めな感じが面白いですよね。「タカシ」作品は割とこういう傾向あるんじゃないかと勝手ながら思います。作品が意外とクレバーというか、キャラクターを転げ落ちる階段の構造が良く出来てるw
 よく寝取りものだとチンコの大きさとか、快感の度合いで寝取り側がマウント取ってヒロインが快楽堕ちみたいなパターンが多いと思いますが、本作はヒロインの視点になる描写が一切なく、ヒロインが言葉で快楽堕ちを自白するような場面もない。ただ、セックスの様子を撮影し、それを主人公に見せつけてくる。ここでの情報に嘘が混じってる可能性もありますよね。快楽堕ちというよりは最後まで脅してるので。その脅しの材料として主人公が使われていて、そのことを主人公は知らない。その底意地の悪さがホント最悪で、作品としては面白いと思います。

『ヤレルアプリ』東雲龍

 彼女にフラれた腹いせに不思議なアプリで復讐する。ちなみに劇中の名称は「ヤレるアプリ」。なぜ違うのだろう。
 やったあとの記憶は失われるので、やりたい放題。名前が必要なので主に知り合いのむかつく女性を中心にとにかくやりまくる。ただ、よくアプリの画面を見ると下の方に小さく「Life Point」と書いてあって、やればやるほどその数値が減っていき……というオチ。初めて使用したときからこの数値は表示されてるんですが、コマ割りやフキダシで巧妙に隠されてる。漫画らしいギミックで面白い。2人目以降、ようやく数値がハッキリ見えるようになって、「これはヤバいのでは」と不安になるが、味を占めた主人公はどんどん加速していって、圧巻の見開き。数値が案の定どんどん減ってしまって、というオチまでの流れが見事でした。エロおとぎ話感あって、そういう意味では『タワマン・コールガール』と通じるものがあるんじゃないですかね。
 んで、問題のアプリは次にヒロインの元へ、とさらなる破滅を予感させてエンド。はっきり言って本作の登場人物全員クズですので、全体的に因果応報という感じでしたね。ここらへんがやっぱエロおとぎ話なんだよなぁ。


 終わり。ほぼ1ヶ月かけてのブログ更新になってしまいました。毎回そうですね。次号はもうちょっとマシになればいいな、とこれも毎回。てか、次号ってもう2021年なのですね。予告ページを見てちょっと面食らってしまいました。2020年、何もなかった気がするw
forms.gle
 アンケート。面白かった3つは『暮井さん』『くらぶルーム』『タワマン・コールガール』です。それぞれ方向性が違って我ながら良い3選だと思います(知らねぇよ)。
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