北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2020年10月号の感想

快楽天 2020年 10月号
快楽天 2020年 10月号

 次はゼロスになると思います(weeklyは別として)。
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『冬見さんと飯島くん』雛原えみ

 komifloコメ欄が飯島くんファンクラブと化していて笑った。ちょい不良が優しい心を持ってると爆裂なモテが発生する、というのを実感。いや、たしかに飯島くんめっちゃ良い奴だし、何なら作品全体が飯島くんの魅力を引き立てるような作りになってる……気にもなってくる。
 飯島くんが直接性的な魅力を発揮してるとかそういう類ではないと思うんですよね。もちろんそういう見方をする人もいるこたいるでしょうが。ショタ作品とかに比べると控えめだと思います。あくまでも飯島くんは冬見さんに翻弄されて、その様が可愛い、みたいな感じじゃないでしょうか。要するに冬見さんのエロを十二分に堪能する触媒としての飯島くん。竿のキャラが立ちすぎると下手するとエロ(ヒロインの)の邪魔になる恐れもあると思うんですが、本作の場合は逆であの立場が飯島くんだからこそ特別なレベルに達してるんだと思います。
 冬見さん。無表情で、人との距離感がおかしくて、セックスへのハードルが異常に低い。漫画チックなキャラ付けがかなり濃いめだと思うんですが、それでも地に足着いた魅力を感じるのはやはり飯島くんのおかげなのでしょう。母子家庭であることを冬見さんがズケズケと言及していくんですが、その話が後半に再び出てきて、それこそが飯島くんが冬見さんをほっとけなかった理由。この構成は見事でしたね。2人の掛け合いによってキャラクターが掘り下げられ、そのドラマが最終的にエロに繋がっていく。
 無表情ヒロインなので当然表情が崩れるのがクライマックスになるんですが、そこに向けた話の流れ、プレイの流れが秀逸。挿入となり、最初は “あ 後ろからでいい? 好きなの” と冬見さんの希望でバック。そして飯島くんの優しさが利いたのか冬見さんはいつもより気持ちいい。ここで表情が崩れ始め、そのタイミングで飯島くんがキスをご所望。バックだったんですが、ここで2人が向き合うんですよね。さらにそのキスが「他の男とは違う」の証明になるのも見事でした。普通にセックスしてるだけにも見えるんですが、その中にドラマがしっかりあって感動的。だからこそエロの魅力が増す。

『つづれおり』えーすけ

 兄妹(義理)。なんですが、これ1ページ目だとただの甘酸っぱい思春期カップルのように見えるんですよね。2人が近づき、いざキス……という瞬間で2ページ目に移り、キスを邪魔する母親の声。そして兄妹だとあかされてタイトルどん。この開幕が劇的すぎてマジ最高なんですが、1ページ目のアオリで兄妹ものであることを示してしまってる。これはダメだろう……とも思うんですが、エロ漫画の場合はジャンルを一刻も早く提示した方がいいというのも分かります。ここらへんは難しいですね。とりあえず雑誌を前から順に全部読む、という私の方が変わり者だと思いますし。
 兄妹は兄妹でも義理。近親相姦を避けるためのエロ漫画特有のお約束……かと思ったら違った。えーすけ先生やっぱすげぇや。「兄妹だから」と最後の一線を保っていた2人が血の繋がりがないと知り、タガが外れる。この心理こそが本作のメインテーマですね。甘酸っぱい2人がイチャイチャしてるのが魅力なのも間違いないんですが、後ろ暗い心理がスパイスになってるのも確か。いざ2人がセックスに至ろうとするとまた母親が邪魔しに登場するんですが、ここで兄貴は咄嗟に扉の裏に隠れる。2人で話してたと言えば疑われることなんてないのに。そして、兄貴が隠したいものは何かというと、勃起したチンコに象徴される。いちいち展開、見せ方が面白すぎる。その後のエロの気持ちを盛り上げるための前フリとも受け取れる場面ですが、いちいち漫画的なオモシロが濃い。
 いざセックスが始まったら後ろ暗い感情が吹き飛ぶカタルシスが得られるかというと、まだ終わらない。最初はゴムありなんですよね。おそらく兄貴が用意したものなんですが、1発目を終えたあとに妹の方からナマのリクエスト。本作は全体を通じて兄貴の心理を丁寧に描いてる作品で、妹はあくまでも外から見た情報を通じてエロにハマっていく様を想像する形になるんですが、このナマのくだりで「そんな風に思っていたのか」と兄貴と読者が驚くことになる。その驚きがさらなるタガを外すエロへの飛躍になってるわけですね。我慢からの解放、という展開が何度も何度も繰り返されるから本作は面白い。

『センセイ、もっと♡』ユズハ

 続編。単行本の告知があるので、宣伝漫画的なショート後日譚なのかと思ったらがっつりとしたボリュームなので歓喜しました。普通の続編。我ながら察しが悪いw
 学校に赴任する直前童貞を捨てようと店を探していたらコスプレ制服(自称)の子に誘われてそのまま……というのが前作。ガチ制服だったんかい、と明らかになるのがオチだったんですが、本作はいよいよ学校での話。最初に出てくる風紀委員長がやけに可愛いんですが、彼女は踏み台。「ギャルの魅力教えてやんよ」とヒロインが嫉妬混じりに張り切り出すのが可愛いですね。前作もそうだったんですが、本作だとより秘密を共有した関係になっているので、ヒロインの誘惑がより強く、結果的にイチャイチャ度もマシマシ。舞台が学校でやることになるのでよりヤバいんですが、それがヒロインの優位性になるので、小悪魔的な魅力。魅力の方向性としては前作と同じなんだけど、それがより先鋭化されてて続編としてかなり理想的なのではないでしょうが。物語の続きが見れるという意味でもバッチリですし。体だけの関係だったのが、最後にいよいよラブコメ的な展開を迎える進展具合も最高でした。

『まなばせ』亜美寿真

 本屋の店長とエロ本に興味津々なバイトの子。冒頭、クレーマーに絡まれるヒロインを助けるので「イケおじナイス!!」みたいな気持ちになってたんですが、この店長が絶妙にクズでもあって面白かったです。いや、クズと言い切っていいのか怪しいバランスなんですが、そこの機微が本作のドラマ部分の魅力なんじゃないかと思います。
 直前の作品の印象を引きずってるのもあるけど、この手の年の差だと年下ヒロインが誘惑して、オッサンがずるずると……みたいなものを想像するんですが、本作は徹底的に店長が優位に立つんですよね。逆に言うと、ヒロインの子供っぽい魅力が常に溢れてる。そんな2人のギャップが丁寧に、すげぇリアルに描かれるので、結果的に店長の暴力性みたいなものが浮かび上がってきちゃうというか。
 この設定でヒロインが処女じゃないの意外だったんですが、店長的にはむしろ歓迎だったような気もします。処女を相手にする責任とか嫌がりそうなイメージ。序盤から何度も、それもかなり執拗な回数、店長がヒロインを見るという視線のコマが差し込まれるので性的に意識してたのは間違いないと思うんですが、とはいえ本作まったくと言っていいほど店長の心理が読み取れない。店長視点で物語が進行してるんですが、心の声とかは極少ですし、表情も目も何とも分かりにくい。語り手なんだけど、読者の感情移入を拒絶するような作りになってると思います。それが店長の圧倒的優位性という印象にも繋がるし、店長の手の上で転がされるヒロインがめちゃくちゃ可愛い、という印象にも繋がる。この独特のバランス面白かったです。過去作にもそんな気配全然なかったと思うんですが、底が知れない。
 タイトルの『まなばせ』。学ばせ。これが最も象徴的に描かれたのが挿入の場面じゃないかと思います。ヒロインは過去に経験があるので、挿入の瞬間に苦手意識がある。なのでゆっくり挿入するんですが、そこにヒロインの母から電話。電話に出るヒロインを見るコマがここでも差し込まれて、そこからページをめくると挿入。ここ、小さめのコマで済ませてるのが逆に迫力ありました。やってることとしては子供に自転車を教える際に「支えてるからねー」と言いながらこっそり手を離す、ってのと大差ないと思います。そんな微笑ましい話じゃないけどw 店長が事態を完全に掌握してる、というバランス。そこが恐ろしくもあるんだけど、本作が単純な話で終わらないのがヒロイン的にはレイプされたとか、クズ男に捕まっちゃったみたいな意識はゼロっぽいんですよね。あくまでも学びという体裁が最後まで通ってる。
 ラスト。完全にハマってしまった感のあるヒロインに対して店長が無の表情で “今度の彼女とは上手くいくといいね” 。うまいことヤリ捨てやがってこのクズ野郎!! とも見れるんだけど、それに対してヒロインが見せる今日イチのいい顔ってのが最高。幼い印象があって魅力的だったと思うんですが、最後はそんなイメージがガラッと変わりました。すごい余韻の作品だし、店長すごいキャラクターだったなぁw

『縁サポ』ひげなむち

 8ページのショート。短いんですが、ぶっちゃけ大充実の内容というか、2倍3倍のページ数の読切のような感覚。常識のネジが外れちゃってるような人たちの話なので、展開の思い切りが良いんでしょうね。この飛躍を描くには心理の機微を数ページかけて然るべき、みたいな展開がぬるっと1コマとかで終了してしまう。この飛躍っぷりが「こいつらヤベェ」という印象になってたと思います。いやマジで8ページの漫画でここまで面白くなるの異常事態だと思います。印象として、あんまショートっぽくない。
 3人のうち2人がぶっ飛んでるキャラなので、結果的に本当のヒロインは菊池くんなのではないか……というオチを迎えるのも笑いました。というか、あんだけインモラルな内容やってから、ほのぼのとしたギャグ的なオチを迎えるのがすごいw

『オレの幼馴染つよい』オクモト悠太

 後編。前編は海で彼女のをフリをしてもらう話で、割としっかり完結した印象も受けたんですが、本作は文化祭で彼氏のフリをさせられる話。そう来たか。
 そんな後編なんですが、1ページ目における主人公がヒロインの女友達に囲まれる図が個人的にグッときました。いや、本作的にそういう多人数戦にふさわしくないし、別にそのエロがなくてもいいんですが、あの状況でもう既にある程度満足できたというか。幼馴染というよく知ってるつもりになってたヒロインの実は知らなかった交友関係を知る、という意味でも結構大事な場面ですよね。ヒロインが学校ではモブ男子から大人気であることを実感するのも大事。
 そんな主人公以外との交友関係を踏まえてドラマが進展するからうまい。前編と同じようにヒロイン主導で進むのもいいですが、後編だとちゃんと主人公が逆転するというか、ヒロインのツンからのデレがより明確に出てるのがドラマ的には最重要だと思います。ヒロインの “ずっとニコニコしてる私の方がいいと思う?” 、この質問をヒロインは背中を向けながらするのですが、要するにこの瞬間は彼女の心がむき出しになってるから顔を見せられないのですね。それに対する主人公の返答が一見0点……かと思ったら100点という逆転劇になってるのも激アツ。これをキッカケにエロパートへと突入して、ヒロイン主導で彼女がからかいながら進行するのは前編と同じなんですが、その内心は前編と決定的に違う。そういう裏側の部分をしっかりあるからこそ同じヒロイン主導のエロパートがより輝いて見えるわけですね。前後編の構成がマジ見事だったと思います。
 ヒロインが完全にデレて、もう今後はデレデレになるのかー?? と思ったところで姉が登場するエピローグも最高でした。タイトルに「つよい」とありますが、最後の最後にヒロインよりも「つよい」存在が現れるわけですね。それによってヒロインは素直になるタイミングを逸して、再びツン期に突入。この微笑ましさが最高だったと思います。

『ひとりぼっち×2』翁賀馬乃助

 制服ギャル。翁賀先生、過去の作品にもあまりない題材ですよね。学生はあったけど、制服はない。学生は学生でも大学生のが多いと思います。なので、やるんかい、やってくれるんかい、という歓喜。そんな制服なんですが、オープニングで来てるのはコンビニの制服で、それを脱ぐと中からセーラー服が出てくる展開。ただの制服ギャルを出すのではなく「制服JKきた!!」とアガる展開を用意したのが最高でした。ちょっと変身シーンみたいな高揚感に近い。コートを脱いだら実は制服、みたいな作品は見たことあるけど、コンビニ制服ってのがめちゃくちゃ新鮮。コンビニのバイトだからオッサン(というほどの年でもないか)と接点がある、となるのも周到だったと思います。さらに言うと、この制服の下からセーラー服が出てくる展開で主人公がちょっと動揺するというか、「やべぇJKだった」とみたいなリアクションを見せるのもリアル。エロ漫画だと忘れられがちですが、たしかに現実でこんな出会いがあったら普通はこの心理になるはず。これがあるから最後の射精の場面で主人公が外出しを選択したんだと思います。不意の遭遇で、ラブホでもないのでゴムの用意がないという土台からの「JKなのでさすがに中出しは無理」という判断。挿入の場面では手マンでイキそうになった瞬間に挿入、というテクニカルなことやっててエロ漫画的にも面白かったんですが、挿入と射精の場面がそれぞれ対照的……な気もする(たぶん考えすぎ)。
 褐色ギャルが無表情ってキャラ付けもすげぇ良かったです。ラフな口調なのに表情が動かないんですが、誰にでも分け隔てなく接してる感の極致。無表情ギャル、今号だとちょうど『冬見さんと飯島くん』の冬見さんも連想するんですが、アプローチは全然違うというか、対照的ですらあったと思います。あちらは底知れなさみたいな感じですかね。本作の場合は彼女が無表情だったのはお爺ちゃんを亡くしたからなのか? みたいな奥行きもあったと思います。そのショックを主人公に埋めてもらいたかったけど主人公は既にコンビニを辞めていて、代わりにいるのはカタコトの留学生、という感じですかね。オッサン(違うって)とJKの話でここまでエモに特化できたのはかなりすごいんじゃないかと思います。どうしてもね、無理は生じるのでキャラやら設定で強引に進める形になりがちだと思うんですが。
 セーラー服が明らかになった直後に “あたし もう一人暮らしなんで” 。エロ漫画だと「今日親いないんだ」ってワクワクするセリフじゃないですか、普通は。そうではなく、むしろエロとは真逆にドラマを進めるセリフだったのも面白かったです。ちゃんとそこからエロに自然に繋がりますし。
 これまた2人が接近するキッカケとなった「クックパッパ」がエピローグに出てきて、そこから再びお爺ちゃんの話に繋がるエピローグも素晴らしかったと思います。いろいろと無駄がなさすぎる。ここで未成年に酒を飲ませるのを拒否するのも主人公の生真面目さが出てて良かったですね。外出ししたのと同じ理屈だと思う。じゃあヤるなよ、というツッコミは劇中でも入るんですがw

『逆よばい』かるま龍狼

 妻の横で寝ていると夜這いをかけられる話。なんだけど、主人公の妻の存在感がおかしい!! 読みながら「ツッコミないのかよ!!」と叫びたくなってしまった。過剰にナヨナヨした感じの主人公のキャラクターも特徴的だったんですが、それはまだまだ序の口であった。特大のボムが仕掛けられてるので笑った。ぶっちゃけ、物語とはまったく関係ないし、エロ的な要素とも無関係ですよね。タイトルも女性の方から夜這いしてくる、という意味なので主人公の妻はメインテーマの外にいる存在。あえて違和感が生じるネタを仕込んでくるスタイル。面白すぎるだろ……。てか、主人公夫婦の日常の性生活も気になってしまう。ナヨナヨした主人公と屈強すぎる妻、というギャップはむしろナイスカップル感もあると思いますw
 もちろんあんだけ強そうな妻にバレたら確実に死ぬ、というハラハラ感もあるんですが、そのサスペンスはあまりメインではないんじゃないですかね。もちろん寝相の場面とかドキドキはしたんですが、あまりの絵面にギャグ的な印象が勝ってしまう。そこにツッコミが一切入ることなく、ヒロインが再びエロを再会する、というアンバランスさがたまらないw

『罰×ゲーム』桃月すず

 「×」タイトルが2作あるってかなり珍しいですね。ハートマークとかはまぁ分かるんですが。
 桃月先生の猪突猛進系のヒロインは鉄板……とか思ってたら本作挿入ないまま終わるので驚きました。そういうのもあるのか。雑誌全体を通じて見た場合、たまには挿入ナシ作品がある方がアクセントになって良いとも思いますが、本作の場合は挿入ナシというコンセプトがちゃんと物語、キャラクターと合致してるのが面白いです。桃月先生は前回、大々的にお胸にフォーカスした作品を描いてたんですが、それもお胸というコンセプトが物語と合致してて秀逸でした。今回もそう。2人のすれ違い感、ヒロインの一途だけど不器用に突き進む感としての挿入ナシ。というか、おクチ。圭太のすっとぼけぶりも相当なもんなんですが、ヒロインはヒロインで暴走しすぎな感があって、それこそが可愛い。言葉では素直に言えないから、代わりにおクチで……ということなんだと思います。本番を迎えてしまうと、どうしても「結ばれた」みたいな印象になっちゃいますからね(もちろんレイプとかだと別ですが)。なので、本作は最後まで挿入に至らなかったことで特別な作品になったと思います。
 圭太が計3回も出すことになるんですが、出す度に結ばれるか? つまり挿入か?? とワクワクするんですが、圭太のすっとぼけが度を超してるので「まだ分からないか」とおクチで続行、となる繰り返しが最高でした。2回出したところで圭太がおかしな方向に勘違いを重ねて、攻めに転じるのも面白かったです。普通のエロ漫画だと2人の攻守が逆転する場面って2人が対等になるとか、2人の気持ちが双方向に通じ合う意味合いが強いと思うんですが、本作だと真逆ですよね。攻守交代してもまだまだすれ違ってる。もちろんエロ的なバリエーションに富んでて何度も見て飽きない良さがあるんですが、2人といつまで経っても解消しないすれ違い劇としても微笑ましかったです。「早く幸せになってくれ!」ともどかしいw
 ラストに、いよいよ逆ギレ的に気持ちを伝えてハッピーエンドなんですが、その後の様子がまるっと省略されてるのもニクい。言葉にしないと伝わらないこともある、という教訓が得られるエロ漫画でした(雑なまとめ)。

『アヴェンジャー』Hamao

 後編。なんだけど、前編と後編でエロ漫画としての毛色がハッキリと違う。物語的な続き、決着が描かれるオモシロももちろんあるんですが、「そういうエロになるの!?」という意外性に魅了されてしまいました。
 前編の感想と重なっちゃうんですが、komifloのコメ欄で後編の展開を予想してる人がいて、それも複数いるので驚きました。というか、まったく気づかなかった自分が情けなくなる。そこそこ注意深く読んでるつもりでいたんだけどなぁw ということで、みなさんの予想が当たり。というより、前編に必要な情報を丁寧に描いてるので、それを正しく拾えれば当然行き着く結論って感じなのかな。
 さらなる陵辱、もしくはサキュバ星人として覚醒しての逆転……かと思ったけど正解は後者。ただし、そこまでは予想できたとしても、さらなるボムが仕掛けられてるのであった。それがふたなり。さっき「情報を正しく拾えれば予想できる」って書いたけど、おそらく作者としては予想されることも想定内だったんでしょうね。だから予想できないサプライズを後編に用意したのではないか。
 ふたなり。何のために珍しいSF設定にしたのか、の真意がここにありました。メインで描かれることはなかったけど、ただの「どちらか一方がふたなり」作品だったら絶対にできないのが、チンコ(攻守)交代。まだサプライズあったか!! と驚きました。この設定でいくらでも展開が広がりそうな奥行きを感じる。見たいわけではないけど、兄貴の変身も面白そうw
 からのエピローグも素敵。完全に覚醒した主人公が同僚を誘って……見たい! 見たいぞ、このあとも。静かに近づき、誘惑していく感じがめちゃくちゃエロかったです。香水の話も交えつつ、直接的には描かず間接的に、雰囲気で悟らせる、というのが最高。

サマータイムリビドー』いちまつ

 夏に帰省したらヒロインと再会。鉄板ですね。夏と正月の特権だと思うので、季節になったら最低1作は保証してほしいw
 2人の関係を明言する描写はおそらくないんですが、たぶん親戚。明言はされてないのでただの幼馴染の可能性もある、みたいなバランスなのかしら。2人とも1年ぶりで大人になっていて、心が大人になりかけてる主人公と、体が大人になったヒロイン。この交錯がとても良い。やはり鉄板。本作はそこに蔵で見つけたパパ(ヒロインの)のエロ本というアイテムを持ってくるのが秀逸。タイトルにもある「リビドー」を象徴するアイテムであり、主人公の心がヒロインに覗かれる、というのを物理的に描いてるのが見事だと思います。蔵が少年の心であり、心の壁、その中にある秘密のリビドーをヒロインが見つけてしまい……みたいな暗喩的なオープニングですよね。うまい。面白い。そして、そのエロ本の題材がパイズリなので2人も当然……とエロのメインテーマへと繋がっていく。ヒロインの巨乳が「大人になった体」の象徴なんですが、それとも合致するテーマですね。蔵の中という2人だけの秘密基地感ある舞台も良かった。
 主人公は思春期で大人になりかけてるけど、なりきれてない思春期全開なんですが、そんな彼が最後に謝る。謝ることで彼の成長とするラストが感動的だったと思います。2人が事後のピロートーク気味に授乳手コキしててちょっと面白いんですが(メインでも見たい!)、子供扱いからの謝罪という成長ってのが秀逸ですね。

『今日の明日花』明石六露

 兄2人と妹1人。今号だと『つづれおり』が兄妹だけど血が繋がってなくて、そのことが一線を越えるキッカケになる、という心理の変化を丁寧に描いてたんですが、本作はいろんな意味で対照的。兄妹でのエロが完全に日常になりきってる。何の疑問も後ろめたさもない。このポップさというか、ライトなノリが魅力ですよね。男2なので乱暴な感じになるのかと思ったら、兄貴2人が互いに対抗心を抱きながら妹を抱く、というのにギスギスした感じがなく微笑ましい。むしろ甘噛みのケンカ込みで3人は仲良し、みたいな雰囲気すらある。
 ヒロインはひたすら受けに徹するんですが、実際にあの家庭を支配してるのはむしろ彼女の方なんじゃないか……みたいな底知れなさ。ヒロインの語りで進行するんですが、3人の中で最も何考えてるか分からないのは彼女なのではないでしょうか。幼さでもあるんだろうけど、それだけではない不気味さ……はちょっと違うか、とにかく何かがありますね。
 そんな彼女の二面性を感じさせるアイテムとしてメガネが出てきたのも最高。いや、メインの方でもかけてよ! と個人的には思うんですが、あの「勉強するときはメガネ」という切り替えも好物です。ラスト、学校でヒロインが噂されて終わるんですが、メガネと相まって「お前らは本当の彼女を知らない……」みたいな印象になりますよね。

『炎の生徒会長』Beなんとか

 生徒会長と倉庫で2人きり。冒頭にだけ出てくるモブ生徒会の2人が無駄にキャラ立ってて好き。エロい目では見るけど何もせず、むしろ会長の恋を応援するスタンス。見習いたいところがある。
 そんな生徒会長。正直めちゃくちゃ好き。目つき悪いんだけど乙女で、それでいて好きが暴走してるのでやることが極端。そんな会長の誘惑を主人公が鈍感スキルを発揮しながら交わしていく攻防がとにかく魅力的。もちろん最後にはセックスに至るからこその良さでもあるんだけど、そこまでの盛り上げ、2人のすれ違いが魅力的すぎる。無茶苦茶な論理で誘惑する会長と、無茶苦茶な解釈で回避する主人公。よりおかしいのはどちらかと聞かれたら、主人公だと思う。 “マラが心地よい!?” とか面白すぎる。会長単体でもギャグなんだけど、そこにさらなる加速をつけるのが主人公の受けでしたね。
 完全にカップルとなった2人の日常も見てみたいし、それを見守る生徒会の残り2人も気になるw

快楽天ちゃん おかずレビュー!』火鳥

 快楽天の表紙や告知に火鳥先生の名前があって気になってたんですが、本当に載ってた。しかも快楽天ちゃん。きい先生が表紙の号に載ってるというのがまた味わい深い。
 とはいえ、以前にも描いてたけど、火鳥先生の快楽天ちゃん、普通にめちゃくちゃ可愛いんだよな……。1ページ目で普通に喜んでしまった。ただ、こうなるとビーストくんにも会いたくなってくるw
 そんな「描けば可愛いのに……」というのが本編のオチとも通じてましたね。編集長の “一応いるんだよ!!” は爆笑してしまいました。一応かよw

『秘密の放課後』ぼーかん

 保健室の先生と。理想の保健室の先生を具現化したようなビジュアルしてるので最高でした。キャラクターとしても可愛いんだけど、序盤のビジュアルだけでもう大満足というか。
 ヒロインは年下好きで、生徒に手を出してしまう……というのが事前設定でそこから話が始まる。なんだけど、今度は先生からではなく、生徒の方から迫る話になるんですよね。それがヒロインが同僚の先生に誘われてるのを見かけて嫉妬して。脅してくるんですが、ぶっちゃけこの片倉くんがもう1人のヒロインと言えるような存在。作品としてはあくまでもヒロイン視点に限定して描かれるんだけど、片倉くんの思惑が手に取るように分かって、そこが可愛い……とヒロインに同調してしまったw ヒロインにメロメロな片倉くんの様子にメロメロなヒロイン、という関係性の魅力がとても強い。ヒロインが脅された体でエロに突入するんですが、どう考えてもヒロインが主導権握ってるw 年上ヒロインものとしてこういうアプローチもあったのか、と目から鱗でした。終盤、片倉くんが逆転して攻めてフィニッシュ……かと思ったらエピローグで再び「片倉くん可愛すぎかよ」となるのが良かった。2人の小突き合いながらのイチャイチャ良いなぁ。

引退試合』いだ天ふにすけ

 オナニー配信やってる友人にチンコ貸してと頼まれる。仲良くて何なら無意識的な恋心もあった子の知らない一面を覗く居心地の悪さ。違和感や嫌悪感もあるけど、エロくて体が反応してしまう情けなさ。そんな怪しげな雰囲気の中、主人公のタガが外れるように予定にはなかったエロに突入していく。このどんよりと重い心理描写が良い……と思ってたんですが、読み終わってみると「イチャイチャしてただけなんじゃない?」となるw この意外性、そしてあの雰囲気の中で紡がれるイチャイチャというのが絶品でした。ド変態なヒロインと、それに振り回され黒い欲望を吐き出すことになる主人公なんだけど、いつの間にかものすごいキレイな恋模様になってる。2人がそれぞれ気持ちを素直に吐露する場面があって、そこの盛り上がりがとにかく最高でした。撮影中は「Nくん」だったけど、事故で撮影が中止(ほんとは撮れてる)してから本名で呼ぶようになる、みたいな細かい変化も良いですよね。徐々に2人が本音を剥き出しにしていく過程が丁寧。
 互いに今までの友達状態でのことをフラッシュバックしながら……というクライマックスも大迫力でした。その後の頭チカチカする描写も良いですね。ただのイキ顔とはちょっと違う、チカチカ特有の顔がすごい生々しい。

『アイはあざなえる』ICHIGAIN

 後編。前編は屋上という舞台の魅力がとにかく最高なんですが、後編はいきなり屋上が消失するところから始まるので衝撃。まぁ、前編ですべてやりきったということなんでしょうね。話の続きだけど、作品のテイストとしてはかなり違ったものになっていて、2人の関係性としても全然違うので、新しい魅力が詰まってたと思います。前編は2人が徐々に近づいて、ついに結ばれる感動だったんですが、本作は停学処分でお預けを食らってからのラブホテル。まず、1ページ目のヒロインの私服姿が良いですよね。前編では当然制服だったんですが、また違った魅力が炸裂してる。屋上からラブホテルという変化もセックス以外に目的がない場所というワクワク感、ドキドキ感がありました。初々しさもあった前編からのこの変化がグッときますな。
 前編はかなりドラマ重視だったと思うんですが、本作は1ページ目からセックスの予感&確信から始まるのも対照的。これは続編の良さですね。土台作りとか人物紹介が必要ないので。とはいえ、「たたやるだけ」にならないために停学の話があって、それが前編の支柱を失うような話なのでショッキングでもあり……というのが良い。冷静になって考えたらこの停学関連の話、2ページしかないんですよねw 他は全部エロ、もしくはエロの予感のあるページ。たった2ページしかないんだけど、2人のドラマ、ただの日常のではない特別なエロにするためのスパイスとしてこの停学の話が利いてたと思います。
 んで、エロパート。完全に仲良くなったあとの話なので、もう慣れきってるのかと思ったら、屋上以外でやるのが初めてなので2人とも初々しい雰囲気。エロが始まるまでは2人とも何てことないような雰囲気だったんですが、触れ合い出すと互いに緊張して口数が少なくなっていく。心の声もめっちゃ増えるのも可愛かったです。お預け食らってたのもあるのかもしれませんが、初々しさと必死さのある絡みになってるのが魅力的。会話多めの序盤からのメリハリが良いですよね。いざとなると素直に言えなくなっちゃう2人の関係性が良い。

『まなの日記』昼寝

 日記形式。そう来たかw 昼寝先生、weekly快楽天での『いっぱい遊ぼ!』以降変則的な語り口に傾倒してると思うんだけど、奇抜でありながらストーリー展開は十二分にある。奇抜でありながら普通に読める。また面白いこと考えたなぁ……。
 ヒロインの日記形式のモノローグで進行するので彼女の言葉は非常に多いんですが、実際にセリフとして出てくる言葉はほとんどない。あえぎ声のみですよね。無口でありながら饒舌。
 エロパートは常に受けに徹してて、2人が言葉を交わす場面がまったくない。原田くんがなかなかのクズっぽいので仕方ない……と思ってると最後にヒロインが堕ちる。原田くんの気持ちが一方通行かと思ったら、という最後の展開が面白かったです。日記形式なのに原田くんの正体というか、本性が後半になってから明らかになる展開とかも普通にうまかったです。ただの日記形式だったら時系列順に情報が明らかになるだけだと、正確にはヒロインが知った順で語られるので、「衝撃の事実」みたいな展開も可能。日記形式なのに単調にならない展開が見事でした。ただ事実を淡々と並べてるだけ、ではないですよね。

『青春リビドー山』位置原光Z

 第20回「マイクロビキニ混浴で上司部下の絆を深めよう!」。語りすぎなサブタイが既にちょっと落ちてる感あるw
 タイトルの通り上司と部下が混浴。2人の絶望的に噛み合ってない、けど掛け合いの楽しさとしては100点のやりとりがマジ楽しいし、2人がそれぞれ可愛い。中だるみが一切なく、目まぐるしい展開を繰り返しながら話が徐々に核心(セックス)に迫っていく、というのも最高ですね。面白さの加速とセックスへの接近が比例してる。
 漫画としては「やらないんかい!」な終わり方だけど、正確には「漫画の中ではやらない」ってだけで、この2人、絶対このあとやるよね。たぶん3回やるし、ひょっとしたらそれ以上……となる余韻がエロい。

読者コーナー

 2つコラムがあるんですが、どちらも「今夜は絶対にやれる!!」という一夜が失敗に終わる話で面白かったです。「これはやれる」という予感から確信に変わる瞬間って、ひょっとしたら本番そのものよりもエロいよね。


 あと、ツイッターでのアンケート。女性優位と男性優位の人気投票。私は女性優位(もしくは対等)のが好きなんですが、ちょうどダブルスコアくらいで勝ったのは意外でした。もうちょっと半々に近づくかと思った。まぁ「対等が一番好き」という人が勝手な解釈で女性優位に入れた可能性もあるのかな。たぶん。
 ちなみに、快楽天は今号19作品載ってるのでそれをカウントしてみましょう。劇中でセックス(オーラル含む)に至らない『快楽天ちゃん おかずレビュー』と『青春リビドー山』は除いて全17作。どう解釈するかが地味に難しいんですが、ハッキリと言える範囲だと、女性優位が8、男性優位が4。ちょうどアンケート通りだw ただ、ここに判断が難しかった『つづれおり』『ひとりぼっち×2』『アヴェンジャー後編』『引退試合』『アイはあざなえる』の5作が加わる。『アヴェンジャー』は女性同士なので例外ですが、チンコのない方が優位という意味では女性優位と言えるかもしれない。『ひとりぼっち×2』は本番前は女性優位だけど、本番は男性優位。『引退試合』も同じく。残り2つは対等になるのかしら。計測むずいぞw 過去1年分を計測した担当の人すごいw

forms.gle
 終わり。総括代わりにアンケートに答えるんですが、『ひとりぼっち×2』『罰×ゲーム』『アヴェンジャー』になるかな。好きな作家への偏りが強くてこのコーナー少しマンネリな気もしてきた。そろそろやめようかしら(勝手にアンケートは応えるけど)。次回以降また考えます。
 代わりに総括的なコメントをするならば、今号には続編(後編)が4作あって、それぞれアプローチが違ったのが興味深かったです。
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