北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2020年7月号の感想

快楽天 2020年 7月号
快楽天 2020年 7月号

 ついこないだ前号の感想書いた気がするぅぅー!!!(激遅でした)

kitaku2kitaku.hatenablog.com

「カリユグ」YUG

 表紙パロなんですが、本家よりも大きい!! こんなパターンもあったとは……

『お仕えします』さめまんま

 メイドリフレ(健全)でこのタイトル、入ってみたら実はダーティな店で客(ご主人様)に悪いことされちゃう話だと思うじゃないですか。最後まで読んでみたら「お仕え」ってただの店長との雇用関係のことなので笑いました。言われてみれば当たり前……!
 そんな第一印象からの反転もそうなんですが、エロファンタジー的な飛躍は少なく、リアルに根付いた男女の出会いと恋愛の話なのがすごい良かったです。エロ漫画でメイドリフレの店って聞いたら身構えちゃうんですが、その環境での生々しい男女のキャラクターが良い。
 「手慣れたメガネ」こと店長のキャラクターも素晴らしいんですが、最初は “バカっぽそうだけど…” と言っていたのに蓋を開けてみれば相手の色気に魅せられ暴走しちゃってるのはむしろ店長の方ですよね。劇中ヒロインのセリフで「あてられる」があり、2人の関係においてキーワードだと思うんですが、間違いなく店長の方もあてられてるw 「手慣れたメガネ」の件が分かりやすいんですが、彼女は店長が自分のタイプだと自覚してる分、むしろ理性的と言えるかもしれない。店長の方が相手の魅力にワケも分からぬうちにハマっちゃってる感ありますよね。パッと見だと店長が主でヒロインが従の関係に思えるんだけど、実はそうとも言い切れない。そこが関係性の深みとして素晴らしかったです。
 そんな店長があてられちゃった大きな要因としては「隙」があると思うんですが、その隙として象徴的だったのがエピローグでも言及された脇。巻頭のカラーピンナップだと脇の描き込みがすごくてビビったんですが、本編を読むとたしかに脇が印象的、だけど決してメインテーマというほどではない、というバランスだったと思います。ボーボーではないけど残ってる、みたいな細やかな機微が素晴らしかったですね。だらしなさ、緩さとしてリアル。いや、そもそも脇見せる予定なかったんだから仕方ないのかもw
 個人的にはメガネ使いに関心があるんですが、ラスト、店長が弱音、本音を漏らす際にメガネを外したのが良かった。「手慣れたメガネ」にホレられてるので彼にとってメガネはかっこつけの鎧でもあると思うんですが、それを最後に外してため息混じりに本音をポロリ、というエンディングが素晴らしかったです。最後の最後に手慣れてない一面が垣間見える。

『スー女の恋』もじゃりん

 相撲体型が大好きな女子……の話なんですが、彼女視点で進むのかと思いきや実際は力男くん視点。振り回される視点でヒロインのことを愛でる作品。ただ、暴走気味に愛してくれて可愛い、だけではなく、彼女のヤバさが徐々に明らかになるのが本題。まさかのマゾ趣味は衝撃でした。ただの相撲好きかと思ってたら、そこに押しつぶされたいという被虐の心理が加わる。力男くんは徹底的に流される存在なので徐々に彼の中にサディズムが目覚めていく……みたいな話ではない。体格差でヒロインを滅茶苦茶にしたい作品というよりは、変態なヒロイン可愛いという側面にフォーカスした作品だと思います。まぁ、これは私の好みによってそう見えてるだけかもしれませんがw
 とにかくイチャイチャしてるはずなのに徐々にプレイがハードになっていく。彼女への行為に暴力味が混ざっていく……けどやっぱりイチャラブ、という綱渡りのようなバランスをキープしていて面白かったです。ラストの雑展開エピローグもライトな味わいを生んでいて、力男くんの心の闇が……みたいな話ではないことを再確認させてくれる。

夢現センチメンタル』雛原えみ

 『夢現ロマンティック』の続編。マジ大好きなのでホント嬉しいです。夢と現実を行ったり来たりして雰囲気も甘美ですし、何よりヒロインの色気に主人公があてられてるだけと思ってたけど、実は彼女のことを見つめることでその視線に彼女はあてられていた、のかもしれない……みたいなすべてが逆転するような展開が素晴らしいんですよね。見てると思ってたら見られてた、彼女に欲情を抱いていたら実は彼女も、という反転のドラマであり、双方向の関係性。あと、前作ファンとしては友人の鈴原くんがチラッとだけ登場したのも嬉しかったです。仲良いんだなぁw
 んで、本作も夢で彼女のことを見るんですが、今度はガチの風邪。風邪引いたときってなぜか悪夢見がちだと思うんですが、その理屈で淫夢が発生する。最高じゃないか!! と思いますが、熱が出てしまうのでつらいw
 前作同様どこまで現実か分からない感じでエロに突入し、最後に現実だったことを示すエピローグで終わる(主人公はエロが本当だった確信を持てないw)。今回は自宅に見舞いに来た事実はリアルとなるんですが、その時点でもうめちゃくちゃ仲良いし、普通に羨ましいことですよね。さすがに確信持てよ!! って思うんですが、まぁそんなポンコツぶりが可愛いのかもしれない。ヒロインが置き手紙とプリンを残していったのは「どうせまた夢扱いするんでしょ」みたいな意思表示だと思いますw
 2人の距離がグッと近づく、近づき始める場面として象徴的だったのが “佐藤くんだって悪いよ” だと思うんですが、前作同様彼女に魅了されてたように実は彼女だって……という反転が素晴らしいですね。彼女にだって人生があるというか。勝手に夢とかサキュバス扱いするのも彼女に失礼ですよねw 度胸というか覚悟決めろよー!! とか思うんですが、今回のエロシーンは前回を踏まえた少しだけ関係性が進展してる内容になってるのも素晴らしかったです。同じ構造の続編ではあるんですが、ゆっくりではあるけど進んでる。

『せんぱいの家で』なぱた

 先輩の家で先輩の勉強を見てあげていたら休憩に誘われる。勉強を教えてるので主人公が優位にいるのかと思ったら終始一貫してヒロインがリードする関係性が素晴らしい。てか、呼び方が「誠司」に対してヒロインはすべて「先輩」なんですよね。属性というか2人の上下関係が揺るがないことを示しているようだったと思います。年下なのに勉強を教えてるのも優位に立つのではなく、立場が下だから当然の奉仕、みたいな感覚にもなってくる。ちょっと家庭教師扱いでもありますよね。まぁ、勉強しないんですがw
 主従関係はしっかりあるんだけど、SMでは決してなく純度の高いイチャラブ。互いに好き好き言うんだけど、先輩の方がそれを伝えるのが上手で、主人公の方は少し感情表現が消極的で、というパワーバランスが魅力的。おそらく相手への好意と性欲をストレートに伝えられるから先輩の優位性は崩れないんでしょうね。

『ビッチ性豪イッパツ勝負!』南乃さざん

 ビッチが剣道一筋の柳田くんに勝負を挑む。コメディ色の強いエロ漫画だと決闘って多くはないが一定の数はあるジャンルな気がします。好き。
 オタクに優しいギャルではなく、ビッチが正真正銘のビッチなんですが、それでもギャグ調で進行する本作の中ですごい表情豊かで可愛くもある、ってのがずるい。強い。
 そんなビッチの攻めに対して愛犬のコジローを思い出すのも笑ったし、デフォルメの少ないコジローも可愛かったです。コジローにもペロペロされたい……。てか、南乃先生、以前に犬をテーマにした作品も描かれてましたね。あれもワンちゃん可愛くて最高でした……(もちろん女の子も可愛いです)。
 ビッチだから持ってる変態衣装としての逆バニー。噂には聞いてましたが、本格的に見たの初めてかもしれない。肩から腕の布地部分がフォーマルな感じがありつつ可愛くて、それがエロとのギャップで素晴らしかったです。その衣装についてヒロインが恥じらいを見せる場面が1つ入るのも絶妙でしたね。とにかくヒロインのアクション、リアクション、表情が常に可愛い。
 男柳田にビッチが逆に快楽堕ち……だと思ってたんですが、しっかりビッチ勝利。なんですが、柳田くん真面目すぎてそこからの結論がズレてて「勝ったのか?」みたいなオチがつくのも楽しかったです。勝敗がよく分からなくなるw

『ヒメコイ』SAVAN

 アイドルの結婚。そのインタビューから始まる回想、という形式。インタビューの場面でチラッと映ってた男が旦那さんで、となる展開も良いですね。プロデューサーではなくマネージャーなのでは? と考えてしまうんですが、言うだけ野暮というか、この手のジャンルではプロデューサーというのが定着したのも分かります。
 SAVAN作品は衣装が可愛くて好きなんですが、今回はアイドルという設定、そして回想で進む話なので場面が何度も飛ぶため出てくる衣装が多い。非常に眼福でした。嬉しいったらない。最初にキリッとした印象を与えてから新人アイドル時代の可愛い衣装、そして水着グラビア、最後は私服でオナニーかと思ったらその下にエロ下着、という最後まで盛り沢山。時系列とは違うんですが、徐々に彼女の露出が増えていく構成になってるのが素晴らしいですよね。エロ漫画的にも盛り上がるし、彼女の誘惑に耐えられなくなるプロデューサーの心の変遷としてもバッチリ。どの場面でも常にヒロインの方からキスを迫るのが丁寧ですよね。プロデューサーはよく耐えたと思いますw
 ラスト。エロのフィニッシュでそのまま終わる。現在に戻らないのが意外だったんですが、最後にヒロインがプロデューサーの左手を握る場面は「ここに将来指輪が?」みたいなことでいいのかな。

プラトニック革命』七ツ田

 4姉妹の上3人がビッチなので極端に清純な四女がヒロイン。彼女とプラトニックな関係を築くのだが、徐々に彼女の正体が明らかになる。上3人が出てくるとか(最後にちょっと出てくるけど)、ヒロインが不純なことを覚え溺れていくみたいな話を想像したんですが、予想外の形でエロいことになっていくので面白かったです。平たく言うと、姉たちの影響で「エッチなこと」の基準がぶっ壊れちゃってる。そう来たか! と笑うと同時に膝を打ちました。あの環境で育ったなら彼女の言う「清純」が世間のそれとズレててもおかしくない。
 よく大人しい女の子が悪い男に「ゴムしたらセックスじゃないから」みたいな無茶苦茶な論理で押し切られて快楽堕ちみたいな話ありますけど、本作の場合はその無茶な論理を展開するのがヒロイン自身ってのが最高に面白い。一応姉たちへの反発心はあるので姉たちの言う「セックスとは○○」には従わないんだけど、それ以外なら何でもアリなんかい、という荒唐無稽さが楽しい。フェラはダメなので代わりにパイズリという開幕から衝撃でしたね。それで “わたしは姉とは違うから…” と言う様が妙にシリアスで、作品の雰囲気がギャグになりすぎないのが良い。いくらでもギャグに出来る話だと思うんですが、本人は至ってマジだし、彼氏としてはその勘違いを否定しなければいくらでもエロいことが出来てしまう……という誘惑に屈してしまうんですよね。その男側の心理もリアルだったと思います。「こんなのダメだよ!」と言えば彼氏としての株は上がるんだけど、言ってしまったらエロいことすべて出来なくなってしまうw ラストはナマ中出しだけはNGなので直前に抜いて顔射。初々しいカップルの初体験だったはずなのに「そんなのAVでしか見たことねぇよ!!」というオチなのが良いですね。てか、あのプレイを実行できた主人公すごいw

『ラストダンジョン』mogg

 mogg先生、前作では主人公の内面に寄り添うようなシリーズだったのに本作では非常にライトな作品になるから面白い。この振り幅、油断ならなくて好きです。どっちも作家性だと思うんですが、2つの指向が混ざらないのがすごいw
 ということで、ゲーム的なファンタジー世界に召喚される話。RPG的な物語をエロ読切でやるのは尺的に難しいと思うんですが、タイトルにあるようにいきなりラストダンジョン前。劇中で “他人を…モノみたいに……” というセリフが出てきますが、システム上どうしても勇者が必要だから呼び寄せた、みたいな感じですよね。ラスト、ボスのHPが残り1だと表示されるんですが、最初これ「ヒロインで全部勝てたじゃん」とか思ったんですが、komifloのコメ欄で「特定の攻撃でトドメささないとループするタイプ」という指摘があり膝を打ちました。たしかにゲームだとそういうのあるわw 決して負けないけどトドメはさせない。だから勇者が必要、というか利用する。ラストの主人公の「何だったのこれ」的な脱力感が笑えました。本気で喜んでるヒロインとのギャップがまたw
 エロ漫画なのでラストダンジョンの前でやっちゃうことになるんですが、「ラスボス直前でそれどころじゃないだろ」と考えちゃうところなんですが、これもゲームあるあるというか、扉を開ける(マップ移動する)まではいつまでもラスボスは待ってくれる。エロ漫画的なご都合をゲームあるあるで処理してるのが見事でした。ラスボスと戦う前のエリアでトイレ休憩したり、何ならセーブして残りは翌日、とかありがちですよね。それのエロ版、ということでおかしかったですw

『ふぁっしょん☆もんすたー』ICHIGAIN

 グラビア好きの彼女と。アイドルとかコスプレとかAVって題材は割と思いつくんですが、グラビアってのは珍しいというか、個人的に盲点でした。親が厳しくてグラビアすらも認めてもらえない、からの(おそらくグラビア好きを通じて付き合うようになった)彼氏との関係ってのが良い。劇中に本棚が出てきて、その背表紙が視認できるんですが、これはやっぱ実在のグラビアネタなんですかね。全然詳しくないのでピンとこないのが悔しいw そんな本棚を眺めたヒロインの「最&高」は本作のタイトルの元ネタであるぱみゅぱみゅさんの別の曲……とネタが細かい!!
 エロとしてはメイドビキニを着て撮影からの……。ちょっと低身長ロリ体型なのでそのコンプレックスからグラビア好きになったのかな、と想像できる感じも良いし、当然「気にすることはない!」と断言できるくらい可愛い。衣装に対して恥じらいもあるんだけど、憧れのグラドルと同じことが出来てる高揚感もあって……という心理の機微も秀逸ですよね。グラビアなので変態趣味というわけではない、ないんだけど彼氏としてはエロを感じてしまうのも当然で……とエロに進展していくのも良い。ここはやはりグラビア好き設定の妙ですね。「いかにも主観のヤツ」とか、グラビアの世界のあるあるというか、欺瞞についてもしっかり指摘してるのも良かったです。テーマ選びの時点で面白いんですが、その掘り下げも素晴らしかったです。

『アイショウ×○!』オクモト悠太

 付き合いたての友人の付き添いとして夏祭りに来た2人が。1ページ目から魅力炸裂なんですが、とにかく浴衣が可愛い。低身長巨乳とか屋外とか要素はあるんですが、やはり浴衣の魅力が前面に出ていてそこが最高だったと思います。何もない関係から意識してしまうのも仕方ないですよね。その甘酸っぱさも最高でした。
 友人カップルはあくまでも触媒としての出番で脱ぎはあるし、セックスの事実もあるんだけど、直接の描写はない。おっぱいもギリでない。あっちはあっちで可愛いのでもっと見たい気持ちもあるんですが、可愛いだけに作品としてブレるので適切なバランスだったとは思います。エロ漫画なので4P的なことも妄想してしまうんですが、初々しい甘酸っぱさが魅力なのでそこまで飛躍するとまた違うのかなとも思います。とはいえ、そんな続編があってもいいのよw
 友人としての関係性があるのでエロが始まってからも会話は途切れなく、照れ隠し的な減らず口もあるんですが、クライマックスでは完全に男女の仲になり徐々に言葉がなくなっていく、というグラデーションも素晴らしかったです。浴衣の脱ぎっぷり(残しっぷり)も最高でした。脱ぎかけの上、野外なので体位に制限がある……んだけど、抱き合う体位に行き着くのもとにかく最高。
 そして、エピローグ、冒頭の場面で小馬鹿にしてた友人カップルとまったく同じ初々しさを発揮して終わるのも気が利いてましたね。オチとしても面白いし、2人が恋人になった実感としても見事なエンディングだったと思います。

『ひみつみつけ』楝蛙

 低身長3連発いいぞー。巨乳を挟んで再び小さめなんですが、そのことがヒロインのコンプレックス、というか引け目として物語に絡んでくるのが良い。
 てか、1ページ目の制服脱ぎかけで抱き合ってる場面が正直大好物すぎてヤバかったんですが、その後のエロ本番でも制服を脱ぎきらないのが最高。しかもちゃんと物語の展開的に脱がないことに必然性があるのが良いですよね。急に始まった拘束プレイなので服の上から拘束し、そのため脱げない。
 ということでSM。彼氏の部屋で拘束具を見つけ、彼を満足させられると喜びながら彼を拘束しようとするヒロインも可愛いんですが、そこからの逆転が素晴らしい。個人的な好みとしては彼氏が拘束される方が好きなんですが、これは素晴らしかったです……。彼氏のいけない蓋を開けてしまったハラハラもあるんですが、言うても彼の闇全開という内容ではなく、むしろ未知の快感に目覚めていくヒロインの内省に寄り添うような描写が良い。彼の描写は割とライトなのでギリギリを見極める優しさがあったのか、たまたま性癖が合致したのかは分かりませんが、前者だと思いたいw
 さっきも書きましたが、腕と脚を拘束されてるからこその脱げない脱ぎ描写が本当にエロかったです。直前の『アイショウ×○!』も浴衣ならではの脱ぎ描写が良かったんですが、本作の思いっきり乱れるけど脱げない、というギリギリの描写が最高でした。

『かてえん』おから

 おから先生また援助ネタやんけ、と思ったらとんでもない展開を迎えるのでのっけから笑いました。
 結婚するので援助関係を円満終了したと思ったら連れ子が……。アバンの場面では裸だけど、エロ行為は描かれない、事後というのも良いですね。彼女との関係がよりインモラルになってから読者は初めてエロを見ることになる。
 現実的に考えたら大問題すぎるというか、結婚相手が二重苦で可哀想なんですが、作品のトーンが闇に寄りすぎず、かといってインモラルな味わいが消失するほどギャグでもない、という絶妙のバランスだったと思います。援助の相手の素性が知れるし、何より行為そのものが相手の最大の弱みになるのでヒロインが援助再開に踏み切るのも理解できるというか、合理的……な気もしてくるから不思議。彼女の言い分にとりあえずの筋が通ってるからこそ主人公は悪魔の誘惑に屈しやすくなる、というのもあると思います。おいしい思いをしてきたし、気持ちよさを知ってて半年ぶりだからこそ間違ってるけどその誘いに乗ってしまう、という理性がずるずると決壊していくグラデーション。脅されて再開するってわけではないのが良いですよね。

『禁欲♡らぶめいく』はぎよし

 試験勉強のために禁欲することになったカップル。特に序盤、ヒロインのころころ変わる表情が可愛いです。小動物的な魅力ありますよね。ちょくちょくデフォルメが挟まれるのも非常に好みです。エロではない部分での彼女の魅力が丁寧に重ねられるのでエロに至る感慨がすごい。
 あと、本作で最高だったのは禁欲中の下校時、手を繋いだら禁欲故のムラムラで手をエロくすりすりしてしまって……という場面。我慢の限界、超やりたいという心理表現としてかなり効果的だったと思います。漫画って好きなように時間を飛ばせるので禁欲感をどう表現するかが難しいというか、作品の味噌だと思うんですが、この「手」の時点で本作は勝ちだったと思います。
 テストが終わっていざ解禁となるんですが、エロ開幕を知らせるアクションとしてキスがねっとり描かれたのも良かった。「手」の場面と同じように部位ドアップで細かくコマを割るんですが、「今度は最後まで行ける!」という感動がありますよねw いきなりセックス的なとこに行ってもいいんだけど、それでも最初はキスから、というのも恋人のラブラブ感として良かったと思います。
 いかに我慢してきたかを振り返りながら耽るエロシーンも最高だったし、それだけに最後のオチも笑いました。日常生活の中でもエロで頭がいっぱいだったと語られるんですが、だとしたらそりゃテストの成績も悪いわな、と納得しかないw

『朝までラブゲーム』明石六露

 テニスに真面目なヒロインが悪い先生に騙される……と思ったら一捻りあるので笑ってしまった。ロリ故のダークな作品かと思ったらその雰囲気のままシームレスにギャグになるのですごいw いや、これ見よがしなギャグという感じではなく、ギャグっぽいのは “気持ちいいのはテニスじゃなくてペニスだろ” だけだと思うんですが、おもっくそライトな味わいに着地するので笑う。無知な子を騙すのでテニスにかこつけてエロに押し切る際、無茶なコジツケをするんですが、その浅はかさが終盤には完全にギャグの味わいになって返ってくるのが本当に楽しい。先生の視点で一貫された作品なのでヒロインの底知れなさ、化け物っぷりがリアルに感じられて良かったですよね。
 タイトルの「ラブゲーム」、点を取れなかったのはヒロインではなくむしろ……という反転。うまいw

『私のモノサシ』Beなんとか

 彼氏のサイズが20cmだった話。身長差カップルで入らなくてあれこれ努力する話は割とありますけど、具体的な数値を聞くことによって日常生活の中でもそれしか考えられなくなる、というのが秀逸でした。これはチンコを受け入れる側ならではの心理で面白いです。漠然と「大きい」ではなく、具体的に20cmなので、目に入るものすべてと比較して「このくらいの大きさ」と想像できてしまうのが良い。夢中になりすぎた間抜けさに気づく鏡の場面も最高でしたね。「なんで私ばっかり」と逆ギレ的になるのが可愛いし、女性のサイズとして出てくるのが乳輪なのも予想外でした。おっぱいの大きさと違って実際に見てみるまで見当もつかないのが面白い。
 いざエロ。20cmなのでどうしたって支配的にならざるを得ないと思うんですが、案外紳士的で、ヒロインがその優しさに感動してる描写があるのも良かったです。ギャグ的なノリで進行していたのにそこは丁寧。勢いで突っ走らないのが良い。クライマックスの “ラストスパートおなしゃす!!” も彼女主導というか、彼女が主体。

『他人みたいに』いだ天ふにすけ

 いだ天先生、今度は姉弟モノ。インモラルなダーク色全開で最高なんですが、怖い弟に支配される話かと思いきや……と一筋縄では行かない展開がホント素晴らしかったです。前回の『仲良くしてね』が彼氏の狂気に支配されるような話だったんですが、本作は支配という意味ではむしろ……というツイスト。ヒロイン側も変態というのは同じで、『仲良くしてね』ではそれを狂気の彼に見抜かれる話だったんですが、本作だと狂気に思えた弟が実はピュアだったのが良い。ヒロインの変態性を目の当たりにして明らかに引く描写があるのが超リアルですよね。ゴムのくだりで2人の支配関係が完全に逆転する。そして姉に好かれるために弟は姉の求めるオスを演じる。この描写、機微が最高でした。心は子供なまま体が大人になってしまったような歪さが不気味でもあった弟なんですが、闇に溺れていくからこそ彼のピュアさが輝いて見えるし、その光が闇に沈んでいくラストがまた素晴らしい。
 中で出した際の “クソ…ッ” からの “…大丈…ッ” が本作を象徴していたと思います。「大丈夫?」と最後まで言い切ることなく姉に遮られ、姉に抱き寄せられ、姉がゾクゾクして終わる。このセリフでは直接説明されない2人の入り組み、倒錯した心理が本当に生々しかったです。

『テラリウムの小瓶』いとうえい

 再び姉弟モノ。方向性が違いすぎて面白いです。本作は逆にダークさ、背徳性、変態性は限りなくゼロに近い……が決してゼロではないのが魅力。ラストの “優里姉さんはこれでいいの?” という小さなセリフが秀逸でしたね。そこからその話を掘り下げることなく再び日常に戻っていく……というエンディングが芸術的。世間から隔離された小さな世界で日常的にエロに耽る2人の関係の中から適当に選んだ1日を覗き見てるような感覚なんですが、それをこのタイトルにしたのがまたオシャレ。ラストページがコマを割らずに一枚絵ドーンなんですが、庭から見たショットの中で、その奥、襖で仕切られた中に2人、というのが『テラリウムの小瓶』感としてマジ秀逸だったと思います。徹底的な日常感が魅力の作品なので下手すると「何もなかった」になりかねないんだけど、最後にバッチリ作品を締めたのが強い。『他人みたいに』もラストが印象的で、あちらは新たな日常が生まれる予感がする終わりだったんですが、本作はいつもの日常に戻る。ちょっとのことじゃこの間違った日常が崩れない、という強固さすら感じる分、ある意味ではこっちの方が闇が深いのではないか、とか思わなくもない。それが匂う程度の扱いなのが良いですね。

姉弟ホーム』かるま龍狼

 三度姉弟モノなんですが、ダジャレタイトルからして明らかに一線を画す。能天気な雰囲気な分、心の闇ゼロでエロを満喫してる感が魅力的。のんきに「ショタ可愛い」となれるのが良いですよね。同じ姉弟モノという題材でこうも作品が変わってしまうのか、と驚くばかりです。エロ漫画は奥が深い……。
 冒頭のエロかと思ったらゲームでした、みたいなズッコケ展開も本作のライトさを象徴していて良いし、ちゃんとそこからエロの予感を感じさせて一線を越えるキッカケになってるのもうまい。
 親の寝室でやるってのが作品によっては闇を感じさせる要素でもあると思うんですが、本作の場合は子供の背伸び感として機能してますね。闇を感じさせないイノセント、というのが本作の魅力だし、姉弟モノが3作続いたのもあって味わい深い。本作が締めで良かったと思いますw

異世界はこう抜く』F4U

 第16射。サラマンダー。『アナ雪2』で見た奴だ……(最低な連想)
 歴代のお客さんの中でも屈指の可愛さだと思うし、まくら嬢と心を通わせていく場面もすげぇ可愛くてニッコリしてしまうんですが、そこから「チンコやないか!!」と落ちるので爆笑しました。よく見たらシッポがピーンとなってて、既に快感に浸ってたのかw

読者コーナー

 真空ジェシカ、ガクカワマタのコラムが面白いが、怖すぎる。有名人ならではの恐怖体験。このエピソードをエロ漫画にできそうなくらい面白いんですが、よく考えたらエロがないまま終わるのでした。


 終わり。次号300号ということで、めでたいですね。コロナで止まることなく行けそうでホント良かったです。
forms.gle

 総括代わりにアンケート。面白かった作品3つとしては、『お仕えします』『ひみつみつけ』『他人みたいに』になるかな。
 妹ゼロで姉3ってのが印象的な号でした。姉ブーム来てるんだけど、ちっちゃいヒロインも無視できない量存在していて興味深いです。
kitaku2kitaku.hatenablog.com