北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC快楽天 2019年9月号の感想

 快楽天クロニクル展は元気があったら行こうと思います。近いし。覇気のないメガネがいたら私ですのでよろしくどうぞ。
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快楽天 2019年 9月号

『水泳部のサキュバス達2』ぼっしぃ

 フルカラー8ページ。続編。前話と読み比べるとやっぱ修正が変わったのは大きいですね。特にカラーだと白抜きは目立つ。
 男子部員から何かを吸い取ってタイムを伸ばす水泳部。前作のヒロインは部活のシステムに少し抵抗があるようでしたが、本作は部長なので超ノリノリ。前作の抵抗があったけどいざ始まったら豹変というのもエロいんですが、本作の最初からフルスロットルなのも良いですよね。支配的な態度から精子飲んだ途端に甘え出すという展開の良さも充分残ってますし。とにかくこの部長のキャラクターが魅力で、この部活のシステムを満喫してる感ですよね。さらにはラスト、男子部員が被害者ながら「悪くないよな」と彼らなりに楽しんでると分かるのも魅力的だったと思います。丸く収まってる感。
 今回驚くのが、精子飲むとピンク髪になる点。あれがサキュバスの証ってことなんですかね。だとすると、デフォルトでピンクだった前作の丸子先輩は、ポテンシャルがヤバイってことですかね。才能の塊かよw

『ヒメ♡ハジメ』きい

 男子寮で憧れの先輩の写真でシコってたら、先輩登場。なんですが、スマホの写真でシコってるから「バレてないよな?」という余地がある、んですが、名前呼びながらシコってて、彼女が入室時に “なにぃ?” と言っていて……というのがうまい。1つの展開に真逆の2つの意味がある。てか、ただの写真でシコシコできるって良いですね。青春かよ。
 結局オナバレで、先輩に翻弄される話になるんですが、演出がめちゃくちゃうまくて、翻弄されてる感の説得力が異常なんですよね。基本的にコマ割りは四角で、直角に割られるんですが、先輩が主人公の心の中にグイッと浸食してくるような決め絵の場面では決まって斜めのコマ割りになる。心がグラッと揺らぐ感覚ですね。ノーパン疑惑の “どっちやと思う?” の場面だと、上段でコマが斜めに割られ、例のセリフのコマではついにカメラが斜めに揺れる。こうなるともう地に足着いてないレベルの動揺を感じてしまいますよね。やっぱ年上ヒロインに心を弄ばれる感じエロいなぁ。
 終始振り回される形になるんですが、いざ挿入の場面、年越しのカウントダウンと挿入のカウントダウンが重なるのが最高なんですが、ここで受け入れる “…しゃあないなぁ” のコマで、彼女は顔を隠す。その後も顔を隠す仕草が頻出するんですが、ここらへんで彼女の真意が見えてきますよね。それが最後の最後、ラストのコマで明確になる、という構成も素晴らしかったと思います。取って付けたようなオチではなく、よく見てれば「ですよねー」と納得できる。そんなオチを分かった上で、もっかい最初から読むと前半の翻弄するパートが強がってたと分かるのでニヤニヤが止まりませんw そんなデレを主人公が知らないまま終わるってのも良い。良さしかない。

金糸雀の坂道』藤丸

 カナリアと読むらしい。勉強になります……。カナリアの意味がいまいち自信ないんですが、炭坑のカナリア的な意味になるのかしら。最初に被害を受けた人たち、みたいな。
 藤丸先生名物の終末世界設定。最近の作品はほとんどがコレだと思うんですが、最近はどれも背景的に描かれてばかりだったと思います。「よく見たらコレも!」みたいな。それが今回は物語にガッツリ関わってくるので驚きました。おもくそメインテーマというか、土台としてなくてはならない設定。新刊の告知がありましたけど、ひょっとしたらそこに向けてこのシリーズも佳境には入ってきたのかもしれません。
 そんな終末設定がどのように絡んでくるかと言うと、記憶喪失。それも2人とも。記憶喪失を大仰に、悲観的に扱うのではなく「この世界ではよくある」として扱ったのが独特だと思います。このバランスはなかなかないですよね。そんな記憶喪失がエロパートで生きてくる。よくエロマンガで「処女なのにテクニックありすぎ!!」ってツッコミがあってそれはそれでご愛敬だと思うんですが、本作は記憶喪失なので「覚えてないだけで過去に経験があって体が覚えてる」という理屈が成立する。すごい面白かったですね。納得できちゃうのがすごい。エロが盛り上がってくるとヒロインの方から淫語を言うようになるんですが、急にエロくなったのではなく、かつての記憶が戻ってるということですね。記憶喪失を扱ったエロにこんな可能性があったとは……
 あと個人的に好きだったのは男のキャラクターで、イケオジというほど年取ってはないんでしょうが、渋めのイケメンって珍しいですよね。キザな感じも含めすごい新鮮でした。ヒゲの有無でビフォーアフターを描き分けるのも含めとても良いキャラクター造形だったと思います。

『初恋』ひげなむち

 可愛らしいタイトル、可愛らしいヒロイン、可愛らしいオープニングからのバイブどーん!!で笑った。開始5ページが見事すぎるフリ。ヒロインの好奇心が暴走してるのかと思ったら、男の方が元凶でした、ともう1つツイストをかましてくるのも最高ですね。いや最悪なんですがw このタイトルでこの内容ってのがなぁ、ずるいよなぁ。ただ、何も間違ってないし、初恋の相手が全うな人であるとは限らないってのもよく考えれば当たり前の話ですよね。初めての恋で相手のことをそんなに見極められるわけもなく。惚れた弱みとはよく言いますが、ある意味それの最上級みたいな物語なのではないか。
 本作で秀逸なのはカットバックで差し込まれるおじさん達の場面。初恋には気づいている、けどその実状には当然無知で……というのが本作の悲劇性を引き立ててると思います。光と陰のコントラストをより強調してるし、おじさん達の会話がエロの内容とリンクする部分とかちょっと笑っちゃうくらいにうまいですよね。ああいうの好きっすわぁw
 キスは最後までしない……と思ったら最後の最後にする。要するにアレ、 “ハルカちゃんの今もこの先も” “全部俺が消費しちゃうね?” で射精した直後なんで、愛とかではなく消費した喜びとしてのキスだと思うんですよ。ハルカちゃんに対して感じる最大の喜びは彼女の存在を潰したときに得られるので、そのときにようやくキスをする。そのキスが互いの顔の向きが逆さになってて良いっすねぇ。不気味。2人のイビツな関係性を象徴してたと思います。

『MULA MOOLAH』外山じごく

 オタクがギャルにコスプレしてもらう話。ヒロインのキャラクターが素直で可愛いですね。ギャル特有の攻撃性もあるんだけど、写真を見て “ヤバめっちゃ盛れてる!?” と驚くだりとか最高。写真の良さには素直に感嘆するとかめっちゃ良い子やん……。その後もおだてられて乗ってくるのも可愛いし、金に弱いのもそうですが、とにかく素直ですよね。裏表がないというか。オタクとギャルという本来は水と油な関係性が彼女のキャラクターによって名コンビになってる。都合良くオタクに優しいギャルとかではないのが絶妙ですね。そういうのも好きですが、それよりも難しいバランスだと思います。
 てか、よく考えたらギャル視点の話なんですよね。オタクも素直なんで考えてることがすべて現れるタイプなんで主人公そっちと錯覚しそうになるんですが。ヒロイン視点で、モノローグも彼女だけなので、彼女の心理の変化、優位性が徐々になくなっていく感じとかが丁寧で良いんですよ。感情的に激しい2人なんですが、意外と心理のグラデーションが丁寧で説得力ある。テンションは高いけど雑ではないんですよね。そんな心理の変化がエロと見事に連動してるので、展開が普通に見応えあるし、エロに説得力があって最高。

『えっちに撮れてる?』いちまつ

 兄妹で何とかチューバーやってたら妹のおっぱいにのみ反響があってやがてそっち方面に先鋭化、という流れが妙にリアル。「お前らそれでいいのか」感もありつつ、そう流れてしまうのも分かるよなぁ。それで金を手にして調子乗るくだりも楽しかったですね。エロネタをやってるけど2人の関係はプラトニックで、まだ過激化する気配もないのが幸せそうで見ていて微笑ましい。まぁ、当然そっから完全エロに移行するんですが、「ウケるためだから」「金のためだから」という言い訳が働くのが良いですよね。決して快楽のためではない、という体裁。ここがリアル。エロに溺れる言い訳を与えられてそれに甘えて溺れていく感じ、人間の心理、エロに陥る心理としてあるよなぁ。
 そんな妹のデレが最後にあるんですが、妹の心情が明確に語られる部分が非常に少なかったのも特徴的で良かったと思います。一応モノローグは妹の方が描かれるんですが、兄のことをどう思ってるのか、という肝心の部分に関してははぐらかされるというか、自分にもウソついてる感あったと思います。それを具体的な文字情報以外から読み取るのが本作の醍醐味ではないでしょうか。

『今宵、不運と踊りませんか?』肋骨

 ハードラックとダンスっちまう話かと思ったら違った。占い師の話。とにかくこの占い師コスが可愛いですね。1ページ目から占いの内容はめちゃくちゃで、占いを口実にエロいことしようとしてると分かるんですが、本格的な格好、そして意外なほどギャグ調にならない語り口が素晴らしいです。占いの内容は完全にギャグなんですが、それは最初だけですねw
 そんな占い師コスが物語の展開ともリンクしてて素晴らしい。要するに占いってのが意中の人とお近づきになるための口実であり建前。エロが進むに連れてその衣装を徐々に脱いでいくんですが、この脱衣は建前がなくなっていくことと同義ですね。そして真意を見抜かれてる、という展開があると、いよいよ全裸。話と絵が完全にシンクロしてますよね。建前をゼロにして本音でぶつかり合うから占い師の格好を脱ぎ捨てる。そして、エピローグ。ここで私服での交流が描かれるのがまた良いんですよ。占い師コスでもなく、全裸でもなく日常の私服での交流が始まる。2人の関係が完全に変わったことが象徴的に分かりますよね。

『ふぃぎゅ♡ストーリー』健やか牛乳

 二次元しか愛せない……のはかろうじて分かるけど、いきなりフィギュアへのぶっかけで始まるので笑った。扉の衝撃w あんだけ壮絶な絵面になってるのに女の子は平然と笑顔なのがフィギュアらしいチグハグ感ですね。
 そんなフィギュアがでかくなって現れる。二次元しか愛せなかった男に心境の変化が……という話。当たり前ですが、本作は漫画なので二次元ですよね。二次元のキャラがフィギュアになって、フィギュアが生身になったけど、そのすべては漫画という二次元なのが面白い。ちょっとメタ視点を連想せざるを得ないというか。 “よく見たら毛穴とかもないし” とフィギュアであることを確認するんですが、漫画なのでこのキャラに限らない話です。このどっからどこまでがフィギュアで、二次元で、三次元で……と境が曖昧になる感覚こそが本作のオモシロなのかなと思います。虚実の境がなくなっていく感じ。SF的に設定を突き詰めるタイプの作品ではないので、毛穴がないのに汗をかくとか言っても仕方ないし、そもそも魔法とかの類の超常現象なので考えるだけ無駄です。おっぱいは柔らかい、女性器はちゃんと濡れる、みたいな都合の良さも、深く考えるのはやめて目の前のエロに溺れてしまおう、みたいなトリップ感。

『放課後Disclosure』馬鈴薯

 女の子にだって性欲はある!! と声高に宣言するような作品。テーマとしては全うだし、誠実とすら感じるんですが、ヒロインのワードセンスが強烈なのでギャグっぽい印象になるのが不思議。清純派を演じてる日常パートとのギャップとしても楽しいし、エロマンガとかの読みすぎで知識が偏ってるのかな……と深読みするのもアリだと思います。
 てか、男女逆転して性描写を大人しくしたら少年漫画でもあり得そうな話ですよね。清い交際をしたけど、主人公の童貞の脳内はエロでいっぱい。そう考えると本作の大木くんは童貞(処女)垂涎のヒロインという見方も出来ると思います。超優しいけど、愛情表現はしっかりあって、それでいて超名器w
 komifloのコメ欄だとオナニーに対して本番がやや大人しい、みたいな意見があってその通りだとも思うんですが、実際に愛し合ってる人との粘膜接触即物的な刺激以上の快感がある、という話なので全然アリだと思います。むしろ、だから良いともなる話かと。 “うそ 指だけでイッちゃった” とあるように、あれだけ激しいオナニーに興じてた園田さんが指で触るだけで、というのが良いじゃないですか。気持ちのこもったエロは最高だし、そのためにエロマンガはストーリーを語るんだろうな、とも思います。

異世界はこう抜く』F4U

 第11射。バク。先月のビーストにバクを扱った作品あったんですが、奇跡的な一致で面白いです。この手のファンタジーネタとしては相当珍しいと思うんですけどね。
 毎度直接的な性描写はない本作なんですが、1ページ目の寝てるまくら嬢に覆い被さるバク、が妙にエロいです。今まで完全優位にいたまくら嬢が……という意外性もありますし。
 泥中の蓮からの曼荼羅オチなので超笑った。曼荼羅ってw 漫画でネタにされてるの見ること自体超珍しいのに、エロネタで曼荼羅w ちょっとグッズ化したくなるようなレベルの1コマだったと思います。最高。

『梢おねえちゃんと僕』オクモト悠太

 モノクロページの方のタイトルだとオクモト「裕太」になってるんですが。これは勇者ハメ太郎先生的なギミック……!(それは別の作品)
 冒頭4ページがカラー。カラーパートの本番はモノクロ本編とは微妙に内容が違うので、モノクロの後日談的なことになるのだろうか。 “また…ね?” と最高の終わり方をするんですが、その「また」がカラー。なのかな。初めてっぽくも見えるけど、断定的な情報はないので面白いです。どっちにも取れるというか。
 最初から最後まで大きく表情が崩れることなく、ヒロインの心理を読み取りづらいのがミステリアスで良いですね。憧れのおねえちゃん感として素晴らしいと思います。性的に結ばれはするけど、対等な関係性になったわけではない。おねえちゃんの優位性はセックスしたところで崩れるはずもなく……ってのが最高。分かりやすいデレで終わるのも良いけど、ミステリアスな雰囲気を保ったまま、長年憧れてる格を保ったままってのが良い。

『続・解き放て! 欲望ちゃん♡』雛原えみ

 続編。オルターエゴ的な話ですね。よく考えたら前作ではヒロインは実際のところオナニーしかしてないんでしたw そりゃ続編あるか。あってくれて嬉しい。
 早速分身が現れるので話が早いw 即LINEもそうだけど、仲村くんが即やってくるのも笑いました。 “この間の…やっぱり夢じゃないんですね!?” が切実なので最高。めっちゃあの気持ち分かるし、イケメンがあのノリでやってくると可愛さもありますね。小動物感というか。
 夢のような3Pが繰り広げられるんですが、 “仲村くんの人権を無視して…” という抵抗が笑えますね。最後の最後まで生真面目w
 前作は欲望ちゃんがセックスして、感覚がリンクしてるので本体がそれでオナニーするって話だったんですが、本作では逆。ついに本体がセックス。そこで欲望が解放されるので、欲望ちゃんが消滅。そっから本体が攻めに転じるのが良かったですね。最初の挿入は仲村くんの選択だったんですが、2度目以降はヒロインもノリノリ。最高だったのはセックスが盛り上がるといつの間にかヒロインのメガネが外れてる点。メガネの有無が本体と欲望ちゃんの区別だったんですが、本体がメガネを外すことで2人の区別がなくなり渾然一体となる。それと同時に仲村くんからの呼び方が國枝先輩」から「桐子ちゃん」に変わってるのも最高ですね。めっちゃ進展してる!!

『HEROINE』「タカシ」

 新刊発売記念で続編。続編というか別視点によるもう一つの話、みたいな感じか。
 オナニーにハマってしまい、憧れの彼と近づくキッカケとしてオナバレを期待してしまう、という導入が面白い。荒唐無稽にもなりかねない話なんですが、丁寧な心理描写のおかげで暴走しつつある性的好奇心と恋心になってて見事。それと本作全体の特徴なんですが、虚実の境が曖昧で、すぐ妄想の世界に入るんですよ。これがすごい面白かったですね。細かく現実と妄想を行き来するのでマジでどっちだか分からなくなるような感覚。よく見るとコマ枠の外が黒く塗りつぶされてるのが非現実なので正解はハッキリしてるんですけどね。この黒塗り自体はよくある手法なんですが、その虚実の行き来が1コマ単位とかで行われるのが最高でしたね。ラストの現実が明らかになるくだり。「やっぱそっちかー!!」と思ったらさらに転落していくことになるので二重で驚きました。あれは演出の妙だなぁ。漫画って面白いわ。あのクズ男もなぁ、 “一回でいいよ” の言葉には偽りはなかったんだけど、だからといって善人なわけでもないというバランスですねぇ。 “約束通り画像は消してやるよ” “さっきの画像はな” “なんてな” の彼の独白が二転三転するくだりも虚実を行き来する本作らしいツイストで超面白かったです。

『ついんず☆』伊丹

 双子。双子も1つのジャンルだと思いますけど、良いよね。エロマンガの強みだと思います。AV女優にも一時期双子の人いましたけど。
 キャラデザ。2人の区別として髪の結び、泣きホクロと左右対称になってるんですが、釣り目と丸っこい目の区別もあるのも良いですよね。目だけで2人の性格が何となく分かるというか。どっちが好きか選びたくなるけど、考えれば考えるほど選べないw
 あと、本作で最も感動したのは2人の向き。顔もしくは体の向き。2人が同じコマに収まるとき、2人は向きがほぼ必ず左右対称になるんですよ(1コマくらい例外もある)。これマジ素晴らしかったですね。芸術的というか。コンセプトを最後まで一貫したのが実験的でもあり、漫画じゃなきゃ不可能だと思います。鏡写しみたいな構図が多いんですが、それだけじゃないのが最高でした。よくあんなに思いつくなぁ。やばい。これは双子設定を十二分に生かした試みですよね。単なる3Pじゃこうはならない。
 同じくらい驚きだったのは挿入ナシで終わった点。挿入って1つのルールみたいなもんだと思ってたんですが、あそこまで「もうこれ挿入だろ!」という描写になればアリなんですね。もちろんゼロではないのは分かりますけど。とはいえ、双子のどちらも選ばない(どちらも切り捨てない)という意味で最適解だったと思います。

『バイト先の奥さん』Noise

 家庭教師の主人公が密かに恋い焦がれてるのは教え子……ではなくその母親。このツイストは良いっすね。劇中でも母親が “京子とできてんの?” と娘との関係を疑うくだりが出てきましたけど、母親を第二の選択肢という扱いが強調されることの良さ。「いやそっちのが全然良いでしょ!」という感覚ですね。捻りのある選択をすることでその意志の強さが自ずと強調されるというか。まぁ、よく考えたら年齢的に母親ってのは不思議な話でもないんですけどね。
 そんなヒロイン(母親)の余裕ある振る舞いが魅力的なんですよね。「おばさんだけど」と自らネタにしてくる感じも最高です。自信あるけど翻弄するために言ってる感ですよね。このキャラクターにはやられたなぁ。オープニングから表情豊かでホント魅了されますよね。パンツルックなのも意外性のあるテーマにぴったりだし、単なるエロを持て余してるのではなく、たくましさも感じる。キャラクターの勝利だよなぁ。

『DREAMでまた逢いましょう』ヨイコノtt

 勇者ハメ太郎先生の新作ではなく、『YOUR DREAM×MY DREAM』の続編。ウソオープニングにしっかりタイトルロゴとかアオリが付いてるのがずるいw てか、前作に勇者ハメ太郎先生しっかり登場してるんですね。前作の主人公をこの店に誘ったのがハメ太郎先生。VR風俗ガチ勢の楽しみ方教えてやるよ、というのが本作。これはやられたわw
 ということでVR風俗の話。設定の掘り下げとしてこの飛躍はマジ素晴らしかったです。前作がいかにもったいない使い方だったのが分かりますねw(だから感動的なんですが)
 店外の場面が多く、いざ結ばれるのも店ハメ太郎先生の自宅ってのも新鮮。シリーズの展開としてホント普通にうまいですよね。勇者ハメ太郎先生のインパクトでもう全部持ってかれちゃうし、何度でも爆笑できるんですが、よくよく考えればシリーズとしても面白いし、もちろん本作単独でも面白い。
 前作が声優の夢という話でタイトルの真意はそれだったことを考えると、本作も妄想としての夢ではなく将来の夢の意味があるんじゃないかと考えちゃうんですよ。そう考えると本作は勇者ハメ太郎先生ってことですよね。彼の物書きとしてのポテンシャルが静かに開花する話……だったとか? さすがに世に発表するつもりはないですが、彼の書いた物語に “続き楽しみにしてんのよ?” と言ってくれるファンが現れる、という見方も出来るんじゃないかしら。
 しかし、あのギャグ全開なオープニングから良い雰囲気になるからすごいよなぁ。エロパートは感動的かつめっちゃエロいですよね。ギャグがキャラ立てとしてうまいこと機能してる。
 あと、良かったのはヒロインの方のつらい現実というのを序盤に見せた点。場面としては短いし、勇者ハメ太郎先生のインパクトですべて忘れ去りそうになるんですがw “そもそもお前そんないい子ちゃんじゃねぇだろ” とか端的でありつつ、効果的だったと思います。あれがあるから2人が現実で結ばれることの美しさが引き立つわけで。

『7月の黄金比翁賀馬乃助

 タイトルかっこよすぎでしょ。感想が8月中旬になってしまったのが悔やまれるw
 そんなタイトル。黄金比は2人の関係性を示してると見るのが無難ですかね。あとはヒロインのおっぱいと乳首の比率もあるかな。あとは、2人が絵を描こうとする紙のサイズもおそらく黄金比ですね。美術が重要なモチーフになってますし。そして、本作屈指の名シーンである、ヒロインが服を脱ぐ場面。あそこで月明かりと障子によって陰影が生まれて、彼女の体を這うように四角い影が走るんですが、あの四角も黄金比なのかなぁ、と。実際は畳とかは黄金比ではなく白銀比と言うらしいんですが、あの場面での影は間違いなく額縁や絵画を連想させるためですので、黄金比と見てもいいんじゃないかしら。てか、障子の影で絵画を連想させるとかオシャレすぎてヤバイ。エロを芸術に例えて、それがこのレベルで実現しちゃうのがすごい。
 そもそも四角に縁取る芸術という意味では漫画もそうであって……とメタなことも考えちゃいますね。射精の場面が1ページ丸々使った半見開きなんですが、漫画の1ページという四角も黄金比ですね。マジすごい。翁賀先生、前作もホームランだったんですが、2作連続でヤバイわ。とか思ってたら2号連続掲載らしく次号も載るらしいです。なにそれ最高……。完全にファンになってしまった。

『その行動は愛ゆえに』いとうえい

 ヤンデレでストーカーな先輩。幼馴染とかではなく先輩ってのが良いですね。本来立場が上な存在があんなことになってるw
 そんなヤンデレ描写。暗くシリアスな作品にしない限りはギャグ的な味わいになるのが不可避だと思うんですが、本作だとギャグ的なニュアンスのある描写を最初と最後に集中させてるのがうまい。中盤のエロパートに関してはホラーとかギャグみたいな印象がかなり希薄で、「こんだけ愛してくれるとか最高じゃない?」となっちゃうんですよね。そっからラストの「※お見せできない手段」のモザイクで現実にたたき落とされるのがまた最高ですw ヤンデレ可愛いみたいな作品は一定数あると思いますが、その中でも本作は独自なバランスになってたんじゃないでしょうか。重すぎず、軽すぎず。そこがすごい良かったですね。しっかり可愛いし、何なら感動的……いやぁそれはちょっと、みたいに印象がぐらつくw

『アイラブパブ』アシオミマサト

 脱力してしまうようなタイトルが最高。ギャップはんぱないタイトルが並ぶってのは雑誌の魅力ですね。『7月の黄金比』『その行動は愛ゆえに』からの『アイラブパブ』ですよ。本号の最後がコレってのがまた良い。
 主人公の英雄的な行為によってお近づきになる話なんですが、2人のことを周囲のキャラが応援してる感じがめっちゃ良いですよね。エロと関わらないキャラが立ってるのは優れた作品の要因の1つだと思いますが、店全体から見守られてる感ですね。優しい世界だわ。
 そんな2人のやりとりが、妙にギャグ調になるのも最高でした。 “あっ 駄目だコレ!” とか笑いましたし、それと同時に恋によって盲目になってるヒロイン可愛い。大人っぽいキャラクターなのに、あれはギャップでやられますわw 主人公が辛気臭く悩んでたのがまた振り幅として最高ですね。
 挿入のくだり。タイツを破いて、パンツをずらしての挿入なんですが、タイツを破いて以降、挿入するまで手の描写がゼロ。これすごすぎて笑いました。笑ったけどめっちゃエロい。チンコのみでパンツをめくってずらして挿入。あのチンコが這うように、生き物のように躍動するのが素晴らしかったです。実際にやろうとしたら手による補助は必要かもしれませんが、それを省略するのが漫画的な演出ですね。これ良かったなぁ。あんな焦らし良すぎるでしょ。我慢できないよ。

「読者コーナー」

 扉が『異世界はこう抜く』だ。めっちゃ嬉しい。てか、やっぱ可愛いよなぁ。
 新しく始まったコラムも面白かったです。コンビニ売りについて語られたという意味でも必要だったと思いますし。

forms.gle

 終わり。感想書くのがあまりに遅くなってしまいました。お盆休みになったら即書くと思ったんですが、気づけばもうすぐ終わってしまう……
 最後にアンケート。面白かった作品3つですが、『ヒメハジメ』『ついんず』『7月の黄金比』。少なくとももう3つくらい入れたい気持ちあるんですが。
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