北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC HOTMILK(コミックホットミルク)2019年8月号の感想

 おっせぇよ、と我ながら。もう7月の中旬……?
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COMIC HOTMILK 2019年8月号

「表紙」「HOT LOVE NOVEL」ん ICHICO

 イラスト2枚がコントラストあって非常に良いです。表情もそうだし、太陽の日差しを一身に浴びてる表紙と、影の下の裸体というNOVEL。水着の裏地が見えるのとかも凝ってますよね。脱がした実感がすごい。
 イラストもそうだし、NOVELもそうだと思うんですが、浜辺のシートの上、という非常に限定された空間の話なんが効果的だったと思います。特にNOVELか。狭い中での2人の話になるので余計な情報が省かれるというか。
 あと、NOVELで面白いのは最後まで入れなかった点ですよね。焦らされたまま終わっちゃったよw ボイスドラマの方だとしっかり続きがあるので良かったです。

『俺に天使が舞い降りた』久水あるた

 フルカラー4ページ。家出少女ものにカウントしていいと思うんですが、「一泊で終わらないんかい!」となるのが1ページ目なんですよね。話がサクサク進むのが面白かったです。テンポの良さがすごい。中2ページで丁寧にセックスを描いたと思ったら最後には新婚(気分)になるので笑いました。すごい密度w

『恋せよ処女』じょろり

 「処女」と書いて「おとめ」と読む。タイトルの通り処女であることが重要な話でしたね。
 じょろり先生的には『夏と純』『大好き。』に続くド青春路線ですね。三部作という感じだったのかしら。冒頭のキラキラ感、青春感とかもはやセルフパロディーなのではないかというレベルになってるのが面白かったです。川辺で叫ぶ、とかあまりにドストレートなので最高ですね。三部作かもとか言いましたが、ここらへんのバランスは『夏と純』とは大きく違いますね。あっちはもうちょっと控えめというか、感情の爆発を絵(花火)に託すような作品でしたので。ヒロインのキャラクターが子供っぽいというか、感情を炸裂させるタイプになってるのでそういう違いか。『大好き。』はイチャイチャ真っ盛りのカップルの日常の話だったので、それもまたちょっと違いますね。三者三様で素晴らしいと思います。
 とにかく処女。女だってやりたい。事故的に気持ちがバレてしまうんですが、彼の家で “このまま帰したら……” “怒るかんね……” と自分の気持ちを伝える場面で、画面の手前で倒れた彼女のカバンの中からコンドームが見える。彼女の心理、決意を描くコマとして秀逸ですよね。その後も、いざ挿入となる場面で彼女がコンドームを持つ場面があって、すごく良い。彼女の心理を示すアイテムとしてめちゃくちゃ効果的。
 あと、彼女がゴムを持ち出す場面、彼女がパンツの上から自身の薬指をあそこにはわせてる……を通り越して軽く入っちゃってるんですよ。ここめっちゃエロかったです。うまいこと修正を避ける意味でも見事でしたよね。確かに直接は何も見えてないけど、ただ見るよりもその存在をありありと感じるというか。
 フィニッシュの場面、描き文字があまりにアバンギャルトにコマを縦断していくんですが、これも最高でしたね。こんな表現あるのか……と感心しきりです。ただ、変わったことしてるのが鼻につくわけではなく、ちゃんと読みやすいんですよね。あの描き文字に沿って視線を動かすことになるのでむしろ読みやすくなってるというか。すごいことするわ……
 例によって情報量の圧縮陳列となってる背景なんですが、ラストページ、背景のモニターに前作『大好き。』の一場面が映ってますね。あと、前半の背景にはじょろり先生のサイン色紙が飾ってあるので笑いました。お前じょろり先生のファンだったのかw てか、彼の苗字が描かれるのってあのサイン色紙だけだと思うんですが、情報量!!

『お花畑の中で』ロケットモンキー

 3作目。無印、中編、無印。まぁ、後編ですね。これで続いたらすげぇわw
 てか、『恋せよ処女』の直後に何てもん掲載してんだよ、って話ですね。前話までは寝取りの中にもまだ純愛感もありましたが、ここに来て一気に闇堕ち(主人公が)。落差がすごいよ。雑誌の振り幅w
 ということで主人公が闇堕ち。「彼女はどんな結論を出すのか」ばかりに気を向けてると後頭部にガツンと一発くらうような衝撃ですねw いや堕ちたというよりは元々あった闇が噴出したという感じでしょうか。鼻血の噴出と同時に彼のタガが外れる、という演出は鮮やかでした。同時に、彼女の方もその血を浴びる。彼女にも罪はあるということでしょう。
 本作に限らないけど、こういう急激な展開を見ると連載で読む魅力を感じます。一気読みもいいけど、リアルタイムで「待ち」の行程があるのと、この「そうなっちゃうのかー!!」という衝撃が増すというか。そもそも1話目のときは続くかどうかも分からなかったわけですので、そこが気づけばとんでもないとこまで来てしまったなぁ、というある種の感慨w

『ザクロ症候群 -飯沼美羽の場合-』黒川おとぎ

 シリーズ4作目。と思ったら、いきなり『食戟』パロきたw 決めゼリフとかを使うわけでもなく一目で「アレじゃんw」と分かっちゃうから面白いです。やけに説明的な解説コメントとかも笑ってしまいます。
 本シリーズは各ヒロインが五感に関わる設定になると思うんですが、今回は味覚……と嗅覚。あれ、今回は2つなのですね。前作のヒロインはたしかに五感要素あまりなかったけど、汗の匂い好きな描写があったので、それで嗅覚担当だと勘違いしてました。あくまでも彼女は体力バカで、今回のが嗅覚と味覚なのですね。となると、次回来るであろう触覚が気になるわけですが、絶対エロいw バトル漫画とかだと扱いに困りがちな触覚ですが、エロ漫画ではシリーズ最強格と言っても間違いはないと思います。楽しみすぎる。
 ただ、嗅覚と味覚も充分すぎるほどエロい。挿入前のフェラとパイズリが嗅覚&味覚キャラであることを考えるとより説得力がありますね。味わうようなフェラもそうですし、射精したあとの処理も満喫してるっぽくて良いんだよなぁ。他の人よりも感じ取ってるエロの質が違うと思うと、グッときますねぇ。他のヒロインは本能全開でエロを貪る感じで本作もそうなんですが、嗅覚味覚のエキスパートなのでもう少し堪能してる、みたいなニュアンスが生まれてたと思います。

『アヒルの王子様』神楽もろみ

 「みにくいアヒルの子」と「カエルの王子様」をあわせたタイトルが秀逸。たしかにどちらの要素もありますね。
 ヒロインがヤクザのお嬢ということで、彼女の家に侵入するくだりが異常にハラハラしますw あそこで心が折れずに最後まで入ってったのはいじめられっ子にしては大したもんだと思います。偉いw それだけ彼女との繋がりが濃いということなんでしょうね。
 冴えない男の子のことをヒロインが好きで、というのはよくある話だと思いますが、男女の関係になるキッカケがイジメによるチンコ露出というのが壮絶。そこからの飛躍が面白かったですね。事故的にチンコを見てしまったことで幼馴染としての関係が一気に壊れ、男女の関係を求めるようになる。男の子にとっては人生最悪と言ってもいいレベルの出来事だと思うんですが、ヒロインにとっては全然違くて……というギャップが楽しい。彼女のオナニーがあってヤクザの家への潜入と話が加速度的に盛り上がっていくのが良いですよね。イジメの話だったのにもうこんなことに……という驚きがすごいw
 セックス中の2人のリアクションも対照的。彼の方は静かに初体験を噛みしめてるような感じだけど、彼女の方はオナニーもしてるし、欲しくて仕方なかったので乱れに乱れる。プレイ中にも2人のキャラクターがしっかり立ってるのは嬉しいですよね。良い作品の証拠だと思います。
 エピローグが3ページと長め、と思ったら組長が良いキャラしてるので笑った。たしかに序盤から何度も存在については触れられてきたけど、あんなガッツリと出番があるとはw

『むらむら後輩ちゃん2』しのづかあつと

 バイト先の子と付き合うようになったら彼女が性に積極的すぎる話。その2。前作は職場で我慢できなくなる話だったんですが、今回は店の外。デート中……というわけでもなく電車の中。どんどんアウトな方向に加速していってるw エロいのはいいけど少し心配にもなりますね。「いい子なんだけどなぁ」と主人公が戸惑う場面とか笑ってしまいます。
 要するに彼女は好奇心が膨れ上がってしまい、抑えが効かなくなってる状態なんだと思います。好奇心旺盛だから突発的に我慢できなくなる、とは違いますよね。前からいろいろ調べてて、それを実践したく仕方がない。手コキも事前の勉強の成果を試すように行ってるのもエロいし、ちょっとそのひたむきな姿勢が愛おしくもなってしまいます。いや、電車だから困るんですがw コートを開くとスカートとパンツがないのもそうですね。上は着てるのがリアルというか、上を着てることでバレる確率が劇的に下がる、みたいな理性的な判断してるんじゃないかと思えて面白いです。
 本筋から離れてしまうんですが、挿入中に痴漢じゃないかと心配してくれる隣の人いるじゃないですか。その人がやたら可愛い。彼? 彼女? かも分からないんですが、すごい良いですよ。あの人。脱線ではあるけど、心掴まれてしまいましたw

『寄り道=おとなの近道』でんぶ腿

 バスで憧れのAV男優と出会う話。AV男優かよ。女優じゃなくて。すごい珍しい。ただ、女優だとアイドル的というかニュアンスも出るのでそんな道ばたで出会ったファンとホテル行くなんて……となりますが、男優だとあるかもな、と思える感じが良いですね(偏見)。最近は女性向けAVとかも多いらしいので、そっち系の作品でも有名な男優だったのかもしれませんね。いやマジこの設定は秀逸でした。
 んで、男優に出会ってしまったヒロインのキャラクターがまた良いんですよね。処女だけどエロに興味津々で。言っちゃえば童貞的だと思います。なんだけど、その興味あるくせに直接的には言い出せない感じとか、めんどせぇw けど、そこがちょっと可愛くもありますね。
 てか、性に興味津々なヒロインという意味では直前の『むらむら後輩ちゃん2』とも通じるものがありますね。あっちは電車で、こっちはバスですよ。いろんなとこでやってんなぁw バスだと座ったままになるので、姿勢に独特の制限があるんですが、静かにしてればバレる可能性は少ない、しかし横には窓ガラスがあるので外の景色に羞恥心が刺激される。バス、良いですねw
 その後、駅前で降りてホテルへ。男優が丁寧に処女を奪っていくんですが、すごい手際よくやっていくのが面白かったですね。ヒロインの方は頭真っ白になってろくに脳が回転してない感じなのに、男優は声も乱れず至って冷静、というギャップがすごい。変態的なプレイにもキャリアに裏打ちされた説得力が感じられるのも設定の妙ですね。ヒロインのことを童貞っぽいと言いましたが、当たり前ですが男ではないのです。つまり、射精という切れ目がないんですよね。「彼女もうとっくに限界超えてんですけどw」と読んでてなる感じが楽しかったです。

『私の知りたい音』宮部キウイ

 後編。SNSで出会ったユウヤさんの正体が気になってたんですが、「実はゲスでしたー」みたいなタイプの作品ではなかったですね。むしろヒロインの内情にフォーカスする話でした。いや、ぶっちゃけまだユウヤさんのことは信じれてないというか、まだ彼がクズである可能性は残ってると思うんですよ。明らかにならなかっただけで。ただ、それよりも本作が語るべきは変わってしまったヒロインの心と体という方であったわけで。直前の『寄り道=おとなの近道』は、あれだけのエロがあっても何食わぬ顔で日常に戻っていくギャップがおかしかったんですが、本作は決定的に変わってしまって今までの日常にはもう戻れない、という感じですね。プレイ中は彼の方がリードする形なんですが、ホテルに誘ったのは彼女の方なのが象徴的ですよね。されることに対して積極的。
 前作のラストも「音」で秀逸だったんですが、今回も「音」で締める。日常に浸食し始めたエロの音、というのが見事でしたね。前回もエロとは無縁の日常の中に響く音だったんですが、その音がより直接的にエロと結びついたものになってる。見事な前後編でしたね。タイトルもそうだけど、それぞれのラストが素晴らしかったと思います。

脱穀山崎かずま

 都会に憧れる女の子の話。komifloのコメント欄によると大分らしい。方言で舞台が特定できるってスゴイ。
 エロパートとしては東京からの転校生とやることになるんですが、彼女にとって彼は東京を感じられるだけの存在であり、彼に対して好意があったのかは疑問、というのが切ないなぁ。彼も良い子っぽいんですけどね。都会暮らしを自慢するような感じもなく、彼女に寄り添おうとしてるんですが、既にすれ違ってる。彼女が田舎への恨みを吐露してると方言がきつくなりすぎて “…ごめん 上手く聞き取れなかったけど…” となるのが切なすぎる。彼もそうだし、結局田舎の影響を色濃く残したままという彼女も方もつれぇぇ。体を重ねても心の距離は全然縮まってないのが端的に現れててすごい。
 んで、エロとは無縁だったもう1人の男の子が物語的には重要になってきてエンド。決して長くない読切でこの構成は面白かったですね。エロの読切だとどうしても行為に至る男女2人にばかり気を取られるじゃないですか。ところが本作は竿役だった転校生よりも最初と最後に出てくる男の子の方が重要。

『キンギョバチ』えいとまん

 第四話。ついに完結なんですが、『脱穀』に続いて田舎の地獄性についての話ですね。いや、本作の方が直接的かつ積極的に地獄なんですが。
 これまた『脱穀』と同じく扉があるのが嬉しい。本シリーズだと初になるのかな。蹂躙されつつ表情はフラットで、着物の乱れが金魚と重なって……とかっこよすぎます。
 前回現れた姉は子を奪われる。子を奪われる悲劇もそうですが、姉妹がどうこうしようとこの家は次世代まで繋がったことも意味するので、そういう意味でも絶望感ありますね。村のシステム、家のシステムは強固でそれが次の世代も回り続けることが確定する。
 本作の名場面は何と言っても都会への憧れを語っているとコマの上から精液がドロリ、のところだと思います。いや、マジでこれすごい。彼女の頭の中が精液に浸食される、支配されるという表現としてこれ以上のものはないでしょ。その精液を客ではなく、村を象徴する人物によってかけられる、というのも物語的に重要だと思います。すごすぎる。
 その後も主人公の前髪に指をかける場面も、すごすぎるんだよなぁ。なにあのショット。通常ではまずあり得ないんだけど、今この状況の漫画的表現としてはバッチリ。ここでも頭の中に浸食してくる感じですね。その表現でこんだけバリエーションあるんだからホント驚きます。
 ハメ殺す場面。体位がアクロバティックになりすぎて、ヒロインを背中側から映すコマがちょっとした宗教画みたいなことになってるので笑いました。迫力がありすぎるw
 ラスト。頭首が代替わりしてエンド。前頭首の死を医者が腕時計を見る絵だけで表現するのとかも最高ですね。あそこでセリフが出てくるような野暮な真似はしない。最後まで圧巻。漫画としての地力を感じる。

『母性天使マザカルカノン』一億年惑星

 第21話。『ゲノム』が休みなので巻末がカノンちゃん。『キンギョバチ』で削られた心が癒されるぜw
 冒頭から “それよ!!!” “これか!!?” の連打で進むのでテンポがすごい。徐々にスパンが短くなっていくのもヤバイですね。最終的に助走なしでぶっ込まれるようになるw
 そして、サクサクと問題を解決していくので最終的にはカノンちゃんから卒業する……って良い話になるのかよw なにこの急に「さようならドラえもん」みたいな雰囲気。カノンちゃん土管に座ってるしw そっからオチがつくんですが、むしろちょっと安心しますね。最終回は回避されました。マジ良かったです。最後に鼻息荒くなるカノンちゃん可愛かったですね。ダメであってほしいと願うのはカノンちゃん的に良くはないんだけど、読者的にはハッピーエンド感ハンパない。

「読者ページ」

 普段からページもボリュームも多いんですが、次号は拡大版で、次次号からは雑誌のリニューアルに伴い通常が8ページになる、かも。すごい。ここまで投稿ページにチカラ入ってる雑誌も珍しいんじゃないですかね。そんなに詳しいわけじゃないけど、異色です。てか、8ページって『カノンちゃん』の倍じゃないかw
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 終わり。ついでですけど、TDFK47、書籍化するんですね。ふと目について驚きました。
 まとめ代わりにアンケート。一番面白かった作品は『キンギョバチ』、ヒロインが可愛かったのは『寄り道=おとなの近道』、ヌけたは『脱穀』にしようかな。今号は『キンギョバチ』の圧倒的優勝でしたねぇ(優勝ってなんだよ)。
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