北区の帰宅部の媚薬

エロマンガ(雑誌)の感想を書きます

COMIC失楽天 2019年7月号の感想

 前号の感想をスルーしてしまいました。ぐぬぬ

失楽天 2019年 7月号

「表紙」篠塚醸二

 水風船の持ち方が完全に使用済みゴム……と思ったら本当にそうだったので私は満足ですw コンビニ売りがなくなるとこういう差分ネタもなくなるんですかね。これはこれで大好き。

『コクりコクられ』utu

 冒頭4ページがカラー。印象的なのはそのカラーページにタイトルが出てこないんですよ。特に意味はないのかもしれませんが、物語を説明するようなタイトルなのであえて隠したんじゃないかなぁと思うのですよ。素性のしれないカップルが屋外でやってる。ヒロインの口調的にギャルらしい。ギャルが好き好き全開だけど男の方はたじたじな感じもして……と、セックスの様子から2人の情報を読みとってく感じが楽しい。
 んで、モノクロ入ると2ヶ月前。バツゲームとしてギャルに告白。イジメとかでなく、バツゲームなので割と罪が深い気がしますw ここだけだったら割とクズだと思うの。まぁ、その後ろめたさがしっかりと作品に反映されてるのが魅力なんですよね。ギャルだと思ってたヒロインが甲斐甲斐しく愛してくれればくれるほど、主人公としては後ろめたさを感じるわけで。その2人の間のアンバランスさが物語に深さを生み出してる。
 その罪がバレて、主人公が謝罪(=2度目の告白)をするのが物語的にはクライマックス。雨の使い方もうまいし、 “じゃぁ好きって証明して” という壁ドン(最高)からの1枚の絵を3段に分けたコマ割りとかマジで秀逸だと思います。キス、胸をさわる、そしてその先……というのをコマ割りで強調してるんですよね。そのまま恋のABCになる……ってもうこれ死語だと思いますがw

『小麦色に首ったけ!』だむ

 『あこは首ったけ!』『リーナ様も首ったけ!』に続く3作目。タイトルからキャラ名がなくなったのが初なんですが、今までの2人のヒロインが合流する。ただ、どちらかと言えば2作目のリーナ様が主人公なのが意外でした。1作目ではなく2作目ヒロインの方がメインになるのですね。まぁ、2人のキャラクターを考えれば納得なんですが。あこちゃんは超越しちゃった感があるので、リーナ様の方が振り回され役としてハマるんですよね。今回のテーマである日焼け、黒ギャルについてもギャップが大きいのはリーナ様の方だと思いますし。いやしかし、このような形でシリーズが続くのは意外でしたね。この発想はマジ見事だと思います。
 そんな日焼け。黒ギャル雑誌に取り上げられるという話なんですが、印象的なのはその劇中の雑誌が「コンビニ誌の限界に挑戦」という点。これは明らかに失楽天の本号がコンビニ売りの最後って点を踏まえてますよね。そんな雑誌の限界を2人のヒロインが軽々と突破してしまう、という話なので、メタ的な意味を感じ取ってしまいます。まぁ、劇中に “黒ゴム着ければ大丈夫だよぉ♪” とあるんですが、コンビニ売りの失楽天的には黒かろうとゴムは全部白抜きなので残念ですね。ただ、その違和感も込みで描いてる気もするんですよ。「次号からは大丈夫だよー」的な目配せなのではないか、と。……あと、1作目のファンとしてはあこちゃんがゴム使いで個性を出してきたのが嬉しいです。

『コスプレでオフパコちゃん』さめだ小判

 『オフパコちゃん』の続き。続くんかいワレェェ!!と歓喜です。しかも本作で終わりではないのが確定なんですよね。シリーズ化とかやってくれるやんけ。嬉しい。
 前作で仲良くなった2人が日常的にイチャコラしつつコスプレという新境地に手を出す。前作のエピローグで売り子の話があったので、その延長ということですね。エロ的に新しい要素が加わって大満足なんですが、話的には割と大人しい(そもそもページも短め)ので、今後どう2人の物語が広がっていくのかが本当に楽しみです。コスプレでもメガネを死守するのとか良いよなぁ。わざわざ1発目のコスプレで伏せ字使ってまで版権キャラ出してるんですが、あれは要するに「コスプレ的にメガネは不適切でも外さねぇからな」という所信表明だと思うんですよ。わざわざセリフで版権キャラであることを明示する意味ないですし。
 まぁ、あとは漫画は絵ですので、完璧なコスプレをしたら本物と区別がつかなくなる危険性もあると思うんですよ。ここでも版権キャラについてですが。さめだ先生の描く○風ということで、その世界での本物になっちゃうので、そうではなく「コスプレしてる別人」を強調する上ではメガネは非常に重要なアイテムなのではないかと思います。本人の証明ですね。メガネ最高。

『ゆたんぽ』すぎぢー

 これ良かった! 本号ベスト確定ですね、と読みながら思いました。全部読み終わってもその気持ちは変わってません。
 田舎に1軒だけある民宿。民泊ではない。昔からの民泊だから風情があって良い。この「まだ民宿ってあるの?」みたいな失礼込みのイメージが本作の魅力に繋がってると思います。なぜココだけ続いているのか……という不気味さであり、具体的な根拠が良いんですよね。田舎のエロ因習ものもエロマンガでは一定のジャンルだと思いますが、それとも近い味わいがありますかね。「田舎だとこういうことやってそう」という(失礼な)イメージが作品に説得力を持たせてる。失楽天だと2018年10月号でビフィタス先生の『もてなしの湯』も民宿なんですが、あれは民宿特有の個人間の距離感にフォーカスした作品ですが、『ゆたんぽ』はよりエロ因習の趣きが強いですね。今まで知らなかっただけでこんな甘美な世界が広がったのかよ、と別世界に首を突っ込んでしまったワクワクとドキドキ。
 そんなある種の異世界への合い言葉が「ゆたんぽ」。この選ばれた者にだけ許された感のある暗号制が燃えますね。「そんなバカな」と思いつつ頭はもうそれでいっぱいになっちゃう感じとかリアルですし、試しに言ってみたら笑われてガッカリしてたら……という揺さぶりもマジ最高でした。
 限界感のある田舎でひっそりと続けられてる「ゆたんぽ」サービス。常連しか知らないサービスなので、自ずと客が高齢化してるので、娘の方が若い主人公に喜んでて……というロジックも見事。仕事抜きに彼女(たち)は喜んでる、と感じられる良さですよね。よく風俗とかで「いつもオッサンを相手にしてるから若い客は嬉しいでしょ」と幻想を抱く人いますが、その理想を気持ちよく具現化してくれたのが本作だと思います。
 オッサン相手に辟易してる娘……の若さとして事前に制服姿で登場させてるのも効果的ですよね。あの民宿特有の距離感。知らない家族とダイレクトに繋がって同じ家で過ごす気まずさと緊張。完全に日常モードとして娘が制服で登場したのが良かったと思います。逆に、母親の方はメガネの脱着で日常とサービス時の違いを作ってるですよね。この「ゆたんぽ」というたった4文字によってまったくの非日常が生み出される、というのが本作の肝だと思うので、このギャップ表現は非常に重要。

『もっともっと!わんわん×2 Girls』南乃さざん

 3号連続掲載、シリーズ3作目なんですが、タイトルの足し算感がすごいw
 過去2作のヒロインはそれぞれ別なんですが、最終話にして同時に。「犬と言えば散歩だろ!」ということで夜の公園での露出になるので笑いました。特に1作目は犬を愛でる気持ちと女の子を愛でる気持ち(エロ)のすり合わせが見事だったんですが、本作ではもっと犬より。セックス以外はほとんど完全に犬になりつつあるw
 よくメスイヌみたいな表現ありますけど、本作にはあまりそういうSM的なニュアンスがないんですよね。ないのにSM作品と遜色ないほどハードなことやってるので驚きますw 犬の格好して、公園で露出して、セックスまでして、最終的に見られますからね。もう行くとこまで行っちゃってるw なのに、女性主導でもあるから面白いよなぁ。てか、あの状況だと学校の制服を着てる主人公の方がリスクはあったのかもしれないですね。コスプレしてるから通行人に見られても “バメモンだぁあ!?” と済んだわけですしw
 ヒロイン2人が単純に主人公のこと大好き……でもないのが面白い。主人公大好きな子と、その子が大好きな2人目、という構成なのがエロ展開に幅を生んでたと思います。単なる3Pとは違う展開であり、感情がありましたよね。犬モチーフも面白いんですが、それ以外にも本作特有の魅力があったと思います。最初から3話構成だっただけあって見事ですね。
 ラスト。主人公が犬好きとしてステップアップを果たして終わる、という物語的な決着、成長を描いたのも秀逸だったと思います。三部作としてめちゃくちゃキレイ。まぁ、あんな犬プレイを繰り返したあとも、全うに犬を愛せるメンタルはすごいとも思うんですが。犬とヒロインを割り切れる自信ないよw

『宴のあとで』西沢みずき

 飲み会の帰り、酔いつぶれた主人公の旦那を運んでくれた上司に……。タイトルはこの飲み会の後に自宅での情事のことを指すんですが、最後まで読み終わると、「宴」とはこの2人の情事のことでそこから日常に戻ることのギャップを示してるのでは、ともう1つの意味が生まれてくるのが良いですね。秀逸。あと最高なのはラストカットで出てきた朝食の目玉焼きが2つ……。何を意味してるんですかねぇ、とニヤニヤできますw
 まぁ、言っちゃえば不倫であり、主人公が食われちゃう話なんですが、本作で特徴的なのは相手役、上司のキャラクターじゃないでしょうか。彼から手を出すので、クズは誰かと言われれば彼で間違いはないんですが、彼の手の出し方が妙にスマートというか、あまりレイプ感はないんですよね。性的に近づく前に自分の妻の話をしてたりして強キャラ感ハンパない。酔ったヒロインの色気に当てられた小物が暴走するような話では全然ない。この上司の「こなれてやがんなチクショウ!!」感が楽しいんですよ。現実でもああいう奴が不倫とか謳歌してんだろうな、とか憎たらしくなってきますw
 もちろん、そんな上司に良いように言いくるめられてしまうヒロインの心の隙、みたいな部分も魅力的ですね。罪悪感に押しつぶされるのではなく、どこかスッキリしたような感じで終わっていくのも「うわぁなんかリアルゥゥ!!」とすごいイヤな気持ちになりますw(ああいうことは絶対縁がない自信があるから)

『ペット先生 ~先生と入道雲~』西安

 快楽天での『ペット先生』と連動。そういうやり方もあるのか。先日のビーストでも快楽天と連動した作品ありましたが、コンビニ売りから撤退するとういことで3誌が一致団結してるってことなんですかね。
 劇中に出てくる “「考えオチ」好きなんて死んでしまえ!!” というセリフが印象的なんですが、本作も詰まるところ考えオチと言えるんじゃないですかね。1ページ目からフルスロットルで享楽的でありながら、主人公は本作では一切エロに参加せず、ヒロインが犯されてるのを横目に夏の始まりを感じて終わる。これすごいですね。終始やりまくってるんですが、主人公はノータッチのまま終わる。これが単独の作品だったらかなり尖った話になるとは思うんですが、あくまでも2作目であり、快楽天での『ペット先生』を補完するような位置づけなわけで。この特殊な形式ならではの作りで面白いですね。

『おちんちんレンタル ~肉食女子 世羅つばめ 27歳~』堀博昭

 前回の『おちんちんレンタル』がシリーズ総決算感あったので最終作かとも思ったんですが、まだまだ続く。マンネリ感は一切ないのが見事ですよね。タイトルだけ見たら出オチみたいな印象もあるんですが、蓋を開けてみればいろんなアプローチがあって本当に面白い。
 今回はおちんちんレンタルの存在をひょんなことから知ってしまう話。性的な渇望に押しつぶされそうな主人公が偶然知ってしまう。大金を失ってしまうわけですので、悲劇でもあるし、「知らなければよかった」なのかもしれませんが、間違いなく幸せな出会いであったのも事実で。この「私はこれを求めていた!!」という感動が良いんですよね。運命の出会い感がある。もちろん、おちんちんレンタルは荒唐無稽な話ですけど、新しい趣味に出会ったときの感動とかだと、似たような経験ある人もいるんじゃないですかね。「この世界にはこんなに面白いものが隠れていたのか!」という驚き。この日常に潜むおちんちんレンタル、というのが本作の魅力だったと思います。
 趣味が例えとして当てはまると言いましたが、ラストがまさに趣味友達が出来る、という終わり方でしたよね。あの感じが良いんですよねぇ。まったく関わりのない、むしろ嫌悪すらしてたような人と共通の話題で仲良くなる。同じ沼の被害者とも言えるし、だからこそ最大の理解者になり得る。

『メイドの素顔』みどり葵

 ギャルが実は家庭的、みたいな作品も多いですが、本作は逆でお淑やかだと思ったメイドが実はギャルっぽい。ギャップとしては同じなんですが、その方向ですね。ギャル性が彼女の本質という印象になるわけで。そこにメイドとしての確かなスキルが表面として加わってくる。そこが良いんですよねぇ。そんなん好きになるに決まってるというか。オープニングの「実は……」との部分がちょっとギャグっぽい雰囲気もあったんですが、そこから意外なほどに丁寧なドラマパートになるのが最高。心の交流を申し分なく描いてからいよいよ体が交わる。初めて同士なのに頼れる姉御感があったのも最高。あんなんホレるわ。メイド服なのに姉御感というギャップが良いですね。
 最後に出てきた2箱のコンドームがまた最高で。勢いで結ばれてしまった関係だけど、今後はちゃんと準備してやろうな、となるのが逆に良いんですよ。ゴムはあるけど、その方が2人の関係が深くなったと感じられる。2人の用意したゴムの厚さに違いがあるのも素晴らしい。2人の積極性のレベル差を端的に、数字で示してる。

『お母さんの内緒』さじぺん

 子持ち主人公(離婚かな)が隣の若者に食われる……と思ったんですが、ちょっと距離感が特徴的で。1ページ目の印象は完全に「クズに捕まってしまった……」なんですが、読み進めていくとこの男が案外良い人にも思えてくるんですよね。もちろん性的に迫ってくる過程はあまりに強引でこの次点でアウトでもおかしくないんですが、その割に随所に優しさや誠意も感じられるバランスになっててすごい面白い。レイプだったら “俺…もっと七緒さんに感じてほしい” なんてセリフは出てきませんよね。アウトだと思えた強引さも若さ故の暴走だと思えば、それだけ彼女に夢中になってるということなので可愛くも思えてくる……のか?? という不思議なバランス。
 最終的にヒロインが受け入れるようになるんですが、その過程がひと味違うので「快楽堕ちとは呼ぶのはおかしいよなぁ」みたいな感じなんですよ。このバランスがすごい。シングルマザーの心理表現としてめちゃくちゃリアルなのかもしれない、と何だか説得力を感じました。女は捨てて母として生きるのを選んだっぽい女性との恋模様として感動的な物語だったかもしれない。ただ、最後を除けば、彼女は明確に嫌がってるので、安易なラブラブな印象でもないんですよね。そこが最高。

Cross the line田沼雄一郎

 結婚はしてない大学性カップルですが、導入、設定は『宴のあとで』と極めて近いと思います。近いのに読み味は全然違うから面白いわけで。こちらの方が男のクズ感、レイプ感が強いんですよね。寝取り感でもあり、そこには彼女への密かな憧れもブレンドされてると思います。『宴のあとで』は男の方にも妻はいるし、そこまでヒロインにホレてる感じでもないですよね。状況は同じでも、キャラクターの小さな違いで、漫画としての味わいは大きく変わってくる。
 終始寝てた彼氏が最後の最後にちゃんと登場するんですが、そこでの危機感のなさが笑えますね。お前がそんなんだからw 逆に後輩からしたら「こんな人だったら俺の方が」みたいな鬱屈もあったのかな、とか想像も膨らみます。

『華麗なる性教育 2時間目』はるゆきこ

 前号の続き。予告されてなかった続編なんですが、前作でキャラが立ってたにも関わらずノーエロだったもう1人のヒロインが本作のメイン。前回「お嬢様も可愛いけどメイドさんも……!」と無い物ねだりをした人の大勝利ですw このタイプの続編は良いですよね。続編がある、という時点で盛り上がれるし、1ページ目を見たら「これは!!」とさらにアガるw
 それと逆の現象が本作で起きてると思うんですが、今度はエロに参加しないお嬢様の可愛さも引き立つんですよね。ポンコツぶりが可愛いというか。完全にカップル状態になった関係性も魅力的です。
 前作ヒロインのお嬢様は無知っぷりが可愛かったのですが、本作のメイドさんは完全な強者としての魅力。主人公としては美味しいことこの上ないんですが、前作とは逆の角度から振り回されてる感があって楽しいです。テクニックとしても前作より間違いなくレベルアップしてるのでそういう高揚感もありますね。一方的に攻められる魅力があるんですが、それと同時に話が通じない感じもあって、そこらへんがキャラの魅力だと思います。
 あんな終わり方されたら「3時間目」に期待してしまいますね。が、次号予告にはるゆきこ先生の名前がないやんけ(贅沢)。次次号でもそれ以降でもいいのでどうか……

「読者コーナー」

 隣の作家飯。今回は田沼先生なんですが、担当から話を聞いたその日の夕飯ということでマジで突撃感ある。ただ、それがめっちゃちゃんとしてるじゃないですか。家庭的というか。ちょっと色物っぽいものが多いイメージもあるので、あまりに家庭的なので「ちゃんとしてる……」と感動しましたw

「次号予告」

 コンビニ撤退ということで失楽天もリニューアル。ただ、ビーストと違って隔月になるそうです。そうきたか。マジで激動ですね。ちょうど歴史の転換点にいるというか、節目。コンビニ売りとは関係のないゼロスのリニューアルはここらへんとの兼ね合いでもあったんですかね。
forms.gle

 アンケート。面白かった作品3つは、『ゆたんぽ』『メイドの素顔』『お母さんの内緒』ですかね。例によって悩みました。アレも、コレも、と後ろ髪引かれます。

 ということで、次号は2ヶ月後になりますが、元気に更新できたらいいんですが、どうなんでしょ。